挿絵ちあ先生(https://www.pixiv.net/users/1749919)
「抱き枕あ!?」
それなりに広い執務室に、オレの声が響いた。
ここはリーグ本部に設置されている、チャンピオン執務室。元の持ち主はダンデなわけだが、彼の肩書きが代わり、全面的にリニューアルしてユウリに引き渡された部屋だ。白い壁に、高さのある大きな窓。窓を背負うように配置された、黒い木目調の執務机。その目の前には低いテーブルと、優雅な曲線でできている白いソファ。いずれもアンティーク調で中々洒落た部屋になっている。当然キバナさま監修だ。
その執務室にユウリと二人。いつも通りチャンピオン業務代行として、タイアップ企画や雑誌取材の依頼を精査していたオレだったが。
先方から送られて来た企画の打診メールに、思わず声が出てしまった。
「どうしました?」
大きなソファにちょこんと腰掛けて、出演イベントの資料を確認していたユウリが顔を上げる。
「抱き枕って……?」
「ああ、いや、なんでもない」
なんでもなくあるか。
なんだこの企画は。
新チャンピオンの等身大抱き枕カバーが作りたいだって?
絶対許すわけないだろそんなもん。
「キバナさん?」
本人も、抱き枕カバーが作りたいなんて依頼が来たことを話したら気を悪くするかもしれない。ガラルに数百万人はいるであろうロリコンどもの存在を知るのは、無垢なユウリにはまだ早い。チャンピオンに純粋に憧れる子どもたちや、孫のようにユウリを応援しているご老人たちの声援に絞って届けていきたい。
「キバナさん?」
とか言いつつオレはユウリと交際しているし、あまつさえ行くとこまで行ってしまっている。オレさまが一番タチの悪いロリコン、という反論がどこかから飛んできそうだが、オレは別にロリコンじゃねえし。ユウリが好きなだけだから大丈夫。
「そう、オレは大丈夫……」
「キバナさんってば!」
「あっ! わりぃ、どうした?」
気付けばユウリが隣まで来て肩を叩いていた。
「あの……ジュラルドンの抱き枕とか私も持ってますけど、そういうやつじゃないんですか? 私のおっきいぬいぐるみ的な……それなら問題ないと思うんですけど」
「そうだな……それなら問題ないんだけど……いや、ううんなんて言うかなあ……」
おっきいぬいぐるみ持ってるんだ、かわいい。そしてなんて純粋な考えなんだ。ああ、こんなピュアなユウリを前に、なんとも説明に困る案件だなあ。
難しい顔をしているオレに、彼女は首をかしげた。
「……まあ、そういうグッズとかの判断は色々事情もあるんでしょうしキバナさんにお任せします。それより、気分転換にでも一度休憩してランチに行きませんか?」
オレの心配をしてくれているのだろうか。なんて優しいんだユウリ。
「そうだな。そろそろ昼食いに行くか。今日も社内レストランで大丈夫?」
「はい。春の新メニュー、食べたいのがあるんです!」
朗らかに笑うユウリに、荒んだ心が癒やされる。
「そっか、楽しみだな! このメール返信したらオレも行くから、先行っててくれるか」
「わかりました。席とっておきますね」
彼女が足取りも軽く部屋から出て行くのを、ほんわかしながら見送って、再度机に直った。
さて、お断りをして速やかに昼食を……。
「くっそ、ゆるせねえええ」
だめだ。やっぱり普通にお断りするだけでは腹の虫が治まらない。
「抱き枕カバーなんて許可するわけないだろ!? 返事代わりにオレさまのセクシー画像でも送りつけてやれ! ヘイロトム! 撮れ! そこの壁白いからそこでいいや!」
そうして、勢いに任せて二重の意味で挑発的な写真を撮り、断りの文言と共に送りつけてやった。
先方にもキバナさまおかんむりということが充分に伝わっただろう。
そんなこんなで取り乱してしまったが。
ランチタイムをユウリと楽しんで、かなり気分も上がってきた。
午後も頑張れそうだな……というところで、そろそろチャンピオン業務を切り上げる時間だ。
こちらの仕事が一段落したところで、ナックルジムに移動するのもいつものこと。多忙さを心配されることも多いが、オレとしては午前中はかわいい彼女と過ごせるボーナスタイムだ。
その日の書類を事務室に届け、もう一度執務室に戻った。
「ユウリお疲れ。じゃあ、オレはナックルジムの方に行くから……」
そうして少しの間席を外したわけだが。
「あっ! ひゃい! おちゅかれさまです!」
見ればユウリは執務机のパソコンの前で真っ赤になっている。
「ユウリ?」
歩み寄って、画面を見た。
「あ、ええと、これは」
なるほど、抱き枕カバーがどういうものか知りたくて検索したようだが、中でも割と過激な商品に行き着いてしまったらしい。
まあ、そうか。
オレが説明しなくても、知ろうと思えばどうにでもなるよなこのご時世。
「あーっと、いや、先方もここまで過激な商品を作ろうってわけじゃないと思うんだが」
「で、ですよね」
「そうそう、ほら、こういう服着て寝っ転がってるだけのもあるし」
言いながらマイルドな商品をクリックしたのだが、同じ販売サイトの商品一覧から、よりあられもない画像が表示されてしまう。
「あっやべ」
ユウリは最早耳まで真っ赤だ。
どうしよう収拾がつかない。
と、焦りつつ、そんな初心な反応をするユウリをちょっと苛めたくもなってしまう。
オレとはもう何度も……そういうことをしているというのに。
「……えっちな気分になっちゃった?」
「そっ、んなこと」
後ろから、真っ赤になってしまった細い首すじに唇を這わす。
「ひゃ」
髪が揺れて、ふわっと良い香りが鼻腔をくすぐる。
後ろから抱き締めて、振り向いたユウリと唇を重ねた。
執務机は窓際で、背後からは明るい光が降り注いでいる。真っ昼間から盛っちゃって、ちょっとした背徳感。
深いキスをしようとすると、少し身体を引いてユウリの唇が逃げた。
「ん、キバナさん、お仕事は……」
「大丈夫だって。今は割と余裕あるし……な?」
尚も何か言いたげなユウリの口を塞いで、ちいさな唇を端から丁寧に舐めた。
「んう」
唇の次は、歯の一つ一つを。形を確認するようになぞる。か細いユウリの身体を抱き締めた腕も、じっとしてはいられない。オレの掌にはちいさすぎる身体を撫で回す。
薄い舌先が恐る恐るオレの舌を舐めると嬉しくて、互いの舌を絡ませるのにより一層熱が入った。
「ちょっとこっち来ような」
「あ」
すっかり息の上がったユウリを抱きかかえて椅子からソファに移し、横たえた。
ピンク色のワンピースのボタンを途中まで外すと、ジュニアブラのやわらかい布地が見える。
ホックのないそれを上にずらして、かわいい胸を露出させた。
アンダーバストにくるゴム素材がささやかな丘の上に追いやられ、慎ましやかな膨らみを締め付けて強調する。
それをにんまりしながら眺め……。
良いことを思いついてしまった。
スマホを取り出して、カメラを起動する。
「な、なにしてるんですか」
それに気付いて、ユウリが胸元を手で隠す。
「かわいいユウリのえっちな画像、ほしくなっちった。オレさま用だからいいだろ?」
「よよよよくないですなにひとつよくない」
ぶんぶんと頭を横に振って否定するが、ここは強行させていただく。
「んんー。こういうかんじかな」
ワンピースの裾をまくって下着を出そうとすると、その裾をひっぱってユウリが抵抗する。
「キバナさんっ、だめですって」
「でもさ」
そんなユウリの手首を掴んだ。
「オレが一人のときにえっちなお姉さんの画像で抜いてたら、ユウリ嫌じゃない?」
「えっ」
「ユウリちゃんが使える画像提供してくれたら、オレさま助かっちゃうんだけどなあ」
「そ、れは」
抵抗する手の力が弱まったのを感じて、すかさず裾をたくし上げる。胸元の腕も横に持っていって、スマホを構え直した。
「うう……」
葛藤しているユウリをカメラに納めて、画像を確認する。
終わった、と安心するユウリだったが、オレとしてはまだ物足りない。
「もっとエロくならないかな……」
覆い被さって、胸の先をぺろりと舐めた。
「ひう!」
「乳首勃ってた方が良いよな」
「そ、んな」
信じられないという声を出すユウリの、かわいい胸を唇でついばむ。それに応えて、小ぶりな胸の先がすぐにぴんと主張した。
「こっちも、もっとイケるな」
足の間に手を差し入れて、下着を脱がす。
「あ、だめ!」
「パンツ濡らしちゃったら、午後の間大変だろ?」
そう言うと不安げな顔をしながらも、大人しく脱がされる。
「ほらユウリ。くぱあして」
「く……?」
わかっていないユウリの手を取って、足の間に持っていった。
「ここ、自分の指で広げて見せて」
「!?」
ユウリは慌てて手を引っ込めると、信じられないという顔で何度もまばたきをした。
「無理ですっ、だめっ、ありえないっ」
まあ、そうだよな。すんなりやってもらえるわけがない。……だが、絶対にそんな最高にえっちなユウリの画像が欲しい。
「じゃあ、もっとえっちな気分になっちゃおっか。そしたらできるよな」
ソファの傍ら、床に膝を付くと、ユウリの片足を自分の肩に乗り上げさせる。薄っぺらい腰に手を回して、やわらかいおなかにキスをした。
「だ、だめ、あ」
ユウリの恥ずかしそうな顔はたまらなくかわいくて、もっと羞恥心を煽ってしまいたくなる。
つるんとなだらかな下腹部を唇が滑って、そのまま。閉じた割れ目に沿って落ちる。ふにふにとやわらかいそこを、今度は舌の先で割り開きながら、ゆっくり舐め上げた。
「ひゃ、ああ」
良い反応にうれしくなる。舌を上下させると淡い色の粘膜が赤く火照って、ふっくらと厚みを増してゆく。
口で愛撫しながら指を出し入れすると、たくさん零れてきてしまって、ソファまで伝い落ちそうになる。ソファを汚すとユウリが気にするだろうから、ハンカチを広げておしりの下に敷いた。
「ここ、おっきくなってる」
周辺だけを焦らすように入念に刺激してから、赤く張り詰めた突起に唇を掠める。
「ふ、あっ!」
指を締め付ける動きで、面白いくらいにその快感の度合いが伝わる。気持ち良い舌の使い方を探ることに熱中してしまい、ユウリの足の間を唾液と愛液でべたべたにしてしまった。
「も、だめ、あ」
内側が膨らんで指全体を圧迫する感触から、限界が近い。
「あ、ああ、あ」
びくびくと痙攣して、背を反らす。その反応が収まるまで、力が入っているおなかや腕を優しく撫でた。
「ん……良い子」
いつもならここで指を引き抜いて、もっと大きくて気持ちいいものをあげるのだが。
今日はちょっと違う。
そのまま二本の指を鉤のように曲げて、腹側の弱いところを擦った。
「あっ、う」
不意の刺激に、ユウリが身体を跳ねさせる。
もう片方の掌を胸に這わせながら、先ほどまでよりも強く指の腹を押しつけてかき回す。
一度達すると痛みを感じにくくなるように、女性の身体というものはできている。それは、このちいさな女の子も例外ではなく。
「は、ん」
淡い色をしたかわいらしい胸の飾りを軽くひっぱると、痛みとは違う熱い吐息が漏れた。
「キバナさん、もう、だめ、もう、いじわるしないで……っ」
音を上げるユウリが足でオレの腰を挟み込む。次に進んでほしいという意思表示だろう。あまりの愛らしさに口の端が上がる。同時にわき上がる相反する情動。すぐにお願いを叶えてあげたい気持ちと、もっと苛めてしまいたい気持ち。
「ユウリ、欲しかったらおねだりして」
それらの衝動をなんとか抑え込んで、上擦る声で促した。
「おねだり……?」
指を引き抜くと、もう一度。ユウリのちいさな手を、とろけてしまった秘部へと導いた。
「どこに何が欲しいって? ここ広げて言ってみ?」
言いながらスマホを持ち直すと、カメラのピントをユウリの顔に合わせた。
真っ赤になって泣きそうな、羞恥心で目が泳いでいる様子を捉えてシャッターを切る。
続いて、全身に。
片手でスマホを構えながら、空いている手で頬を撫でる。
「ほらユウリ。どうやるんだっけ?」
促されて、震えるユウリの細い指が、もうすっかり火照ってしまっている秘裂を左右に開いた。
喉を鳴らしながら、シャッターを押す。
赤く潤んだ粘膜に寄って、もう一枚。
「ああ、ユウリかわいい」
「は、はやく……っ」
いつまでも写真を撮っているオレに、ユウリが待ちきれなくなる。
「ここ、に、キバナさんの、おちんちんください……っ」
「……っ!」
瞬きをした細い睫毛に、羞恥の涙が絡まって落ちる。
ぎゅっと引き結んだ唇はわなわなと震えていた。
「ユウリ、かわいい、良い子、ああもう、たまんねえ」
思わずスマホを投げ出して抱き締める。それと同時になんでオレは動画にしておかなかったんだという一抹の後悔がよぎるが、それも束の間。
こちらももう撮影している余裕などないほどになってしまっていて、ポケットから急いでゴムを取り出した。
「待たせてごめんな」
蕩けた入り口に宛がうと、そこが誘い込もうとひくつく。
「ほら」
「あ、ああ」
擦り付けた刺激に待ちきれず、彼女の薄い腰が浮く。
「っ、挿れるよ?」
性急に押し込んだそれは、強い締め付けを受けながら一気に根元まで飲み込まれた。
「っひ、い……っ」
中が痙攣して跳ねる。その搾り取る動きを耐えて、息を吐いた。
「ユウリ、挿れただけでイッちゃった?」
覗き込んで余韻に震える表情を観察する。口を開けて浅い呼吸を繰り返しながら、恍惚としてしまって呂律の回らない舌で、つたない返事をしようとする。
「ふ、ぅ……あう、ご、ごめんらさ、い」
その更に幼くなってしまったような様子もかわいくて、もっと追い込んでしまいたくなる。
「ユウリ、謝らなくていいぜ? いっぱい悦くなって大丈夫だから、な?」
脱力した彼女の首元と腰の下に腕を回す。繋がったまま身体を持ち上げて、自分の上に向かい合って座らせた。
「あ、まって、あ……っ」
深いところに体重がかかる快感に硬直しながらオレの膝の上で目を見開いて、腕にしがみついてくる。
「まって、まだ、だめ」
「ユウリぃ、一番奥で良くなっちゃおうな」
背を丸めて後ろに逃げようとするのをぐっと引き寄せると、背筋が反る。
「やあ、あ、そこ、あ!」
「いいとこ当たってる?」
「だめ、だめなとこらからぁ」
泣きながらかわいいことを言う。
最初はちいさく揺すって、腰を回すだけ。それだけでもたまらないという風に嗚咽が漏れる。鼻にかかった、鈴の鳴るような音が甘く響く。
「だめなとこ? いいとこだろぉ?」
大きく突き上げると、ちいさな身体が跳ねた。
「っあ! んっ!」
中は素直に悦がって、吸い付いてくる。
ソファの上で力が入って丸まっている彼女のつま先が、動くのにあわせてもぞもぞと捩れた。
やがて何度も打ち付けるうちに、退けていた腰を押しつけてきて、自分から快感を求める。恥ずかしがる姿も好きだが、こんな風に理性をなくしてオレを味わおうとするのもたまらない。
幼い身体を揺らして気持ち良くなろうとする姿に興奮して、応える動きが激しくなる。
「っ、ユウリ」
「あ、あ、きちゃ、う……っ」
狭い肉壁を加減せずに突き上げて、その締め付けに逆らわず吐精した。
受け止める彼女のか細い声。オレの上で大きく身を震わせて仰け反り、ぎゅっと四肢を縮こまらせて、余韻に目を閉じた。
それから一週間ほど経っただろうか。
ユウリのえっちな画像を撮ることにはまって、何度かそんなようなことをやった頃。雑誌の見本誌が郵送されてくるのと似たような、厚手の封筒が届いた。ただ、雑誌とは違って明らかに軽い。
「なんだ? サンプル?」
品名を見て首をかしげつつ、事務室から執務室に持ち帰って、その包みをほどくと……。
「抱き枕カバーあああ!?」
光沢のあるつるっとした質感の、大きな布。そこにはオレさまの挑発的な全身写真が印刷されていた。
ウソだろ。
あれはブラックジョークとして送ったんだぞ。なんで使ってんだ。
「待って、なんで、え、うそでしょ、やだなにこれうそうそ」
混乱して何事か呟きつつ、同封されている添え状を引っ掴み、破れそうな勢いで開いた。
『拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
この度は、先日キバナ様がご提案くださった商品のサンプル品を送付させていただきました。
キバナ様の抱き枕カバーが商品化されていないのに、先にチャンピオンというのは順序が不適切な企画であり、その節は大変失礼致しました。ご厚意、ご指摘に甘えさせていただき、現在ドラゴンストーム抱き枕カバーの商品化を進めております。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具』
「いやいやいやいやなんでそう解釈するんだ」
何もかもがすれ違っている。
「だ、抱き枕……キバナさんの……」
「ユウリ!?」
添え状から顔を起こすと、ユウリが真っ赤になりつつ、布を広げてしっかり見ている。
「……えっと、このサンプルは一枚だけなんですか。それってキバナさんの分ですよね」
どう見ても欲しそう。
「ちょ、落ち着けってユウリ! この企画流石にポシャると思うぜ!?」
イメージ的にもジムリーダーの抱き枕カバーはまずいだろ。いや、すでに半裸のグラビアくらいは雑誌に載ってるキバナさまですけど。
「え、これ、手に入らないってことですか」
呟くユウリの顔色が悪い。
そんな悲壮感漂うユウリ、見たことない。
「わ、わかった。……これあげるから。オレさまはいいから」
「ほんとですか。わあ! ありがとうございます!」
そんなに喜ばれるのも複雑だが、まあ、ユウリが楽しそうならいいか。
これ一枚で、おそらく生産されることはないものだしな。
そして。
一刀両断されると思われたこの企画だが、まさかナックルジムの面々を二つ返事で通ってしまい、予約完売、再販を繰り返すことになるとは、このときのオレは知らなかったのだった。