※小説家になろうで比喩や擬音、初めて書くR-18の練習として最近まで週一で書いていたのですが、書くのが苦しすぎて削除したヤツです。jotter padってアプリに推敲前の文章が残っていたので、ハメで残しておきます。
僕がまだ中学二年生だった時分、毎日ゲームや外で遊びまくって、夏休みを謳歌していた。
ふと、高校受験が頭をかすめることもあったけど、秋から本気になればいい線までいけるだろう、と謎の予感があった。
夏休み課題の一つ、読書感想文で書く本を探しに、アーケード商店街の片隅に昔からある(と父親から聞いている)古本屋を覗いた。
500円ぐらいでいい本が買えればいいけど。
気になったタイトルの本を手にとってページを捲ってみると、昔の形の違う漢字の活字がずらりとならんでいて、うんざりした。
しかも1,500円……これじゃないのにしよう。
奥の方へ進むと暖簾があり、向こうにはまだ本がたくさんあるようだった。
……コンビニのアダルト棚やTSUTAYAとかでも「こういうところにはエッチな物が置いてあるから、見ちゃ駄目よ!」って、お母さんが前に言っていた。
不思議と今までその約束を破ったことが無かったから、暖簾の向こうに踏み込むのに勇気が要る。
店番のお婆さんは、高校野球を観ていて、そんな僕に気づいている素振りはしていなかった。
今ならイケる、と判断して、暖簾の奥へ進んだ。
フカフカなおっぱいを露出したお姉さんの表紙がずらりと並んでいると思ったけど、普通の活字だったり、昭和レトロなアイドルの写真集ばかりで、少し期待はずれだったけど、興奮で半勃起していた。
卑猥な小説で担任の先生にセクハラするなんて恐ろしいし、そろそろ真面目に本を探そうかと暖簾の向こうに戻りかけ──古本屋なのに、艶々のベルベット生地みたいな赤の背表紙の本が目に止まり、手に取っていた。
「……十四少年桃色伝?」
表紙を捲ると、これは翻訳本ではないらしい。
この本の作者は、え?
『多田正大』……僕とまったく同じ名前がそこにあった。
こんな偶然ってあるんだ、と、ゾクゾクが体を駆け抜けていく。
どんな内容なのか気になって、次のページへ捲ると、染みの無い白いページが眩く──強い光に飲み込まれて、視界がホワイトアウトする。
■
「何突っ立ってんだ、商売の邪魔だ。どけ」
「わっ、すみませんっ!」
男に手で肩を押されたのをきっかけに、呆然としていた意識から地に足がついた感覚が戻る。
僕はこんな知らない町に来ていたのだろうか、手の本も、背負っていたリュックもいつの間にか消えていた。
周りの建物はレンガ造りでやたら背が高く、煙突からもうもうと立ち上る煙が空にいくつもあった。
そして、防水布の屋根と木の支柱で作られた出店の前でずっと棒立ちしていた僕は、客観的にみて、殴られても仕方がないぐらい邪魔だったので、急いで脇に退いた。
なんだか、変だ。
道行く人達の格好を観察していて、そのほとんどが奇抜な髪の色だったり、革の胴衣に腰に剣を提げた人が当たり前の顔をして通りすぎていく……異常な光景。
しばらくして、ここは日本ではないと、確信していた。
よそよそしい街で一人、寂しい風が心に吹いて、目に涙の気配を忍ばせて、思い出すのはお母さんの顔だった。
「君、どうしたの?」
「……ぁ……」
レンガの壁に背を預け、いじけていた僕は、声に顔をあげて、言葉を失った。
お母さんに瓜二つな綺麗なお姉さんが、目の前にいた。
「……お母、さん?」
「えっ、違うわよ。ふふっ……私、老けてみえる?」
「ごめんなさい。僕のお母さんはすっごく綺麗で、そっくりなお姉さんだったから、つい」
「まぁ、そうなの。お母さんが大好きなのね」
失言を訂正しようとして、重ねた自分のマザコン発言に、穴があったら入りたいぐらいに恥ずかしくなる。
けど、この人が頬笑むとドキドキするというか、調子が狂ってしまう。
よくみればスラリとした長身に、サラサラな金糸のような髪をシニヨンにしていて、シンプルなドレスはパッカリと開いて鎖骨まで見えているし、露出している耳には眼の色と同じ翠の小粒の宝石が揺れていた。
お母さんと髪色から服装、声色までまったく違うのに、お母さんと重ねてしまうのは、雰囲気や顔の造形が似ているのだと、納得した。
「私に子供が出来たら、君みたいな顔になるのかしらね。顔をよくみせて」
「う゛っ」
顔をペタペタ触られて、じっくりと視られている。
ちょっと特殊なシチュエーション、前屈みになって触れてくるお姉さんの色香に、僕の視線は邪に散らかった。
ムクムクと、テントを張り出した股間が痛い。
「……本物ね」
「へ?」
正確に文字にしたら「ほぉんものねぇ…っ…」みたいに、ねっとりとした変な抑揚の呟きに、なんだと思う。
「なんでもないわ。それより君、お腹空いてない?そこで売ってる甘いフルーツ食べよっか」
「別に、結構です」
一度疑念が湧いたら、お姉さんの様子がさっきから変だと気づく。
何かあったの?迷子なの?と一人でいる子供に話しかけるお姉さんは、日本では特別珍しくもない光景だけれど、この人は物で釣って別の場所へ僕を連れていこうとしている……不審者のテンプレートじゃないか!
「……ふーーん、そうなんだ」
「僕、用事を思い出しました。さよならっ」
雲行きが怪しくなってきたので、僕は全力で路地へと駆けた。
勃起していた股間が邪魔で走りにくかったけれど、逃げ出した瞬間、冷えきった目で見ていたお姉さんを思い出して、また悶々とする。
心象もあるのだろうけれど、あれは間違いなく、獲物を狙う猛禽類の目のソレだった。
後ろを振り返ると、野良猫がのんきに「ふにゃあ」と欠伸をしている……追ってきてはいないようだ。
かなり走って、奥まった小路に迷ってしまったが、僕は咄嗟にしてはいい判断が出来たと、達成感に浸っていた。
T字路の角。
不意に腕を掴まれて、グンッ!と僕の体は何かに引きずり込まれた。
その先には、笑顔を浮かべたお姉さんが、いた。
「ど、どうしてっ……フガッ、んん゛っーー!?」
言葉の途中で、僕の顔の高さに現れたお姉さんのおっぱいに、ギュンムッ、と圧し潰されて、窒息しそうになる。
鼻腔いっぱいに、ミルクのような甘ったるい香りで満たされて、頭がクラクラする。
「すっごい、ガチガチじゃなーい♡」
スリスリ、と甘い刺激。
今日一番の勢いでテントを張っている股間を、お姉さんの膝が擦ってくる。
酸欠と興奮で、次第に意識がとろけだした。
「高く売れるわね。……堕ちなさい」
その言葉を最後に聞き取って、僕は気を失った。
■
「起きなさい」
「っぎゃっ!……え、え?」
ペチーーン!とお尻を叩かれて、僕は飛び起きた。
尾を引くお尻の痛みと謎の開放感に戸惑い、自分が裸になっていることに気がついた。
周りを見渡せば、僕の他にも裸の男の子が七人、みんな首輪をつけて牢屋の中にいた……牢屋の中に?
自分の首に触れると同じような首輪があり、状況をある程度察して……血の気が引いた。
ただ一人、服を着た見知らぬ女性が、まだ寝ている子のお尻を叩いて「ぎゃん」と鳴き、お尻に紅葉が彩られ、ジクジク、と痛む自分のお尻を撫でた。
「奴隷のみなさん、起きましたね。まずは私の自己紹介をしましょう。奴隷商会のパトロン兼、娼館白濁の園オーナーのヒルアイスです。今日は男娼を三人ほど買いに来ました」
質問を寄せつけない無表情無感情な説明から、情報を収集する。
横をみれば、誰かがすすり泣き出した声が聞こえてきた。
「現実逃避をするのも結構、男娼の枠は三つです。奴隷から人間になりたい者は、今から三〇分以内に工夫して私にアピールしなさい。では、どうぞ」
そう言って、ヒルアイスさんは小さな丸椅子に座った。
戸惑い怯える全裸の男の子達、誰も行かないのならと、僕から話しかけてみた。
「ヒルアイスさん、だんしょうって何ですか?」
「エッチなことをしたい女性と求められたエッチをして、お金を貰う仕事をする男性です」
「えっっ、エッチ。です、ぅ、か///」
ヒルアイスさんの口からエッチという言葉が出てきて、たまらず赤面してしまう。
ヒルアイスさんは綺麗な青いロングヘアーで、色素が薄い肌色をしていて、切れ長な赤い瞳にぷっくりとしたピンクの唇、
僕がヒルアイスさんを観察するように、ヒルアイスさんも股間を手で隠して照れている僕のことを、無表情で観察していた。
「いい反応ですね。他に質問はありますか」
「えっと……それじゃあ、話を整理すると。ヒルアイスさんへのアピールは、ヒルアイスさんの求めるエッチなことをする、ってことですか?」
「……そう解釈するのも、あなたの自由です。他に質問はありますか」
僕は今、人生の分岐点に立っているのだと自覚した。
奴隷とだんしょう、どう違うのかは、なんとなく分かってきた。
ピラミッドや万里の長城を死ぬまで作り続ける奴隷のイメージが強くあるので、だんしょうの方がずっといい身分なのだと思う。
僕はお母さんに似た人に売られて、奴隷になっていたんだと、僕が今に至る背景も見えてきた──なら、あとは覚悟を決めないと。
そういえば、さっき、ヒルアイスさんは奴隷のお尻を素手で叩いて起こしていたけど、口の端が少しだけ、上がっていたような気がする。
「ヒルアイスさんって、さっきお尻を叩いて笑ってましたよね。叩くの好きなんですか?」
「……よく見ていますね」
やった、当たった!
「ヒルアイスさんって肌が真っ白で綺麗だから、表情がよく分かるんです。髪の毛も、遠くに見える山みたいに澄んだ青色で、触ってみたいけど、遠くて触れないような……そんな感じがします」
「気後れしているのですか。触ってもいいですよ」
さっきのは比喩のつもりだったけど、触って欲しいのかな。
僕は慎重に、ヒルアイスさんの髪の毛に触れてみた。
「凄い、僕の髪と全然違う!……ありがとうございました」
「続けなさい」
「えっ?」
「髪を触るのを、続けなさい。頭も撫でて」
「わ、分かりました」
指通りが滑らかな髪の毛をじっくり楽しみ、それから頭を撫で始める。
「こうしていると、まるで……」
「まるで、なんですか」
犬か猫を可愛がっているみたいだ、といいかけて止めた。
さすがに、ヒルアイスさんも犬猫扱いされたら怒るだろう。
「僕に大きな妹が出来たみたいだなぁ、って。勝手にごめんなさい」
「ほう、私が妹ですか。……妹がいたのですか?」
無表情なヒルアイスさんだけど、なぜだろう、目に同情の色がみてとれるような気がした。
「いや、僕は一人っ子ですけど。欲しいなって、昔から思ってました」
「そうですか。……今だけは、私を妹のように撫でてもいいですよ」
今度は妹のように撫でろ、って、どうすればいいんだろう。
とりあえず、褒めればいいのかな。
「いい子だねー、よしよーし。ヒルアイスちゃんは本当に綺麗だねー、もっと大きくなろうねー、いい子いい子」
ふと冷静になって、大人相手に僕は何をやっているのだろう。
僕のイマジナリー妹なヒルアイスちゃんは8歳の設定なので、つい、これ以上に大きくなろうだとか、言葉がおかしくなってしまう。
しかし、ヒルアイスさんは目を細めてこちらに委ねているので、気に入ってはもらえたようだ。
「あの、ヒルアイスさん──」
「ヒルアイスちゃん、と言いなさい。あと妹に敬語はおかしいでしょう?」
「……じゃあ、ヒルアイスちゃん」
「何かしらお兄ちゃん」
この設定で続けるんだ、と僕は恐怖した。
ヒルアイスさん、リアクション薄いのに凄いノリノリだ。
「その、何か他にして欲しいことはないかな」
「ずっと椅子に座っているのも、退屈してきたわ」
「じゃあ、おままごとでもする?」
「私もう大人よお兄ちゃん、子供扱いしないでちょうだい」
ヒルアイスさん、めんどくせぇー!と僕は心の中で毒を吐く。
「はぁ……もういいです。ねぇ」
「なに、ヒルアイスちゃん」
「また手で股間を隠してるけど、さっきその手で私の髪の毛触ったよね。別にいいけど」
「ご、ごめん。つい」
「お兄ちゃんに、髪の毛の匂い上書きされちゃった」
スンスンと、髪を摘まんで臭いを嗅ぐヒルアイスさんに、不思議な快感が湧いてくる。
僕が、ヒルアイスさんの髪をマーキングしたんだ……。
「凄い、これで勃起するんだ」
「こ、これは」
「勃起するってことは、私に興奮したってことでしょ。違うの?」
「……そうだけど」
「もっと具体的な言葉ではっきり言って」
「僕は、ヒルアイスちゃんの髪におちんちんの臭いを移して興奮しました……」
「もっと大きな声で」
「僕はッ、ヒルアイスちゃんの綺麗な髪におちんちんの臭いを移せて興奮しましたっ!!」
「よくできました──では、フリータイムは終わりとして、後半はみなさんの生殖能力を測ります。壁に背をつけて立ちなさい」
最後にニッコリと笑ったヒルアイスさんは、次の瞬間にはまた無表情な仕事の顔に戻った。
遠巻きで見ているだけだった周りの子も、さっきの笑顔には驚いているようだった。
そして、裸な男の子達は指示に従って等間隔に壁に背をつけて立った。
「私を見ながら、今から十五分以内にオナニーをして射精しなさい」
「女性の前でそんなの……無理だぁ。オナニーをするときは、一人じゃないと」
さっき泣いていた子は、もう諦めているようだった。
意外なことに周りのみんなも同調するように似た不満を呟きだして、横の股間を盗み見ると、まるで冬空の下のように縮んでいて、勃起の真逆の反応だった。
「ヒルアイスさん、質問していいですか」
「さっきの子……なんですか」
「僕は、服を着ているヒルアイスさんを見てオナニーをするんですか?」
「……?要領を得ませんね」
「ええと、つまりですね。ヒルアイスさんの肌をもう少し見せてもらえたら、みんなも興奮出来ると思いました」
「……」
みんなの正気かお前……って視線と沈黙が痛い。
ヒルアイスさんならイケるんじゃね?と思ってつい、言ってしまった。
「君、名前は」
「正大です」
「しょうたは、リップサービス抜きで、私の裸でみんなが興奮すると思ったのですか」
「はいっ!せめてお腹とか、太ももとか、見たいです」
「ほう、そこまで言うのなら、確かめてみましょう」
服のリボンを解きだしたヒルアイスさんを、なんだと眺めていると、おもむろに上着を脱ぎだした。
「うぎゃー」とか「怖いよぉ……」とか、周りの男の子の汚い悲鳴が聞こえてきたが、僕の目はヒルアイスさんの一挙手一投足に釘付けになっていた。
インナーシャツに手を掛け、チラリと見えた股関節、綺麗なラインの腰のくびれに、だんだんとたくし上げられていく……。
無意識のうちに、右手が股間をしごいていた。
肉が少ないのかうっすらとあばら骨が浮いていて、下乳が見えた、と思った次の瞬間、ドタプーーンッ!!とインナーシャツからお椀では収まらないフカフカなおっぱいがこぼれ落ちた。
凄い、大きい、桜色……ヒルアイスさんって着痩せするタイプだったんだ。
インナーシャツの首が頭を抜けるとき、うっすらと毛の生えたヒルアイスさんの脇を見せつけられて、あまりの興奮で僕の頭がチリチリと煙を上げている。
あの大きな乳輪にむしゃぶりつきたい、処理をして毛を残している脇を舐め回したい……ううっ。
「これで興奮するの──」
ドピュルルルルルッ!!
30秒も我慢できなかった。
挑むような顔でヒルアイスさんが話している途中なのに、栓を抜いたラムネのように噴き出した僕の精子は後から後から溢れてきて、しごく右手を止められない。
暴れ馬の射精の放物線は波打って、精子を辺りに撒き散らしていた。
……床を汚すだけじゃなくて、ヒルアイスさんの身体にかけたかったなぁ。
長い長い僕の射精が終わって余韻に浸っていると、ヒルアイスさんは驚いた顔で固まり、次第に白い肌が紅潮した。
「なるほど……本物ですね」
また、『本物』だ。
僕のお母さんに似たお姉さんと同じ言葉を、ヒルアイスさんもエッチな顔で呟いた。
射精後に冷静になると周りがよく見えてきて、ヒルアイスさんの美しい上半身から目を離し、横を見れば。
伏せて縮こまり、怯えている様子の男の子達が、別な生き物にみえて、不気味だった。
「みんな、どうしたの?」
「これが、男ですよ。オナニーは一人でするくせに、女の魔力を怖れ、容姿すらも怖れるように成り下がったこれが、普通です」
罵るように溢した言葉には、世界中の女性の落胆を孕んでいるような響きがあった。
「しょうた君。最底辺の奴隷から、男娼になってみませんか。きっと君の天職です」
「が、頑張ります!」
僕は差し出されたヒルアイスさんの手を握った。
……あ、ついカウパーでベトベトな右手で握っちゃったけど、怒ってないかな。
■
首輪を外してもらえたのが嬉しかった。
脱がされる前に着ていた普段着に着替えて、牢屋の外に出た僕と、もう二人。
二人はさっき泣いていたり、股間のそれがとても大きかったりと、一定の需要、マニアがいるから選ばれたらしい。
ただ、女性の前でオナニーをする意思が無かったという理由で、首輪を着けた奴隷のまま男娼になるようなので、ゾッとする話だ。
待遇の違いに、当然二人から不満が出たが「男娼にするとしか言っていませんが」のヒルアイスさんの一言で一蹴されていた……大人って怖い。
馬車に揺られてしばらく、窓から見えた娼館白濁の園は、砂糖菓子のような白い壁の、西洋の城のようだった。
入り口の前の道は掃いて掃除をしたみたいに綺麗で、門は馬車が二台すれ違えれるような幅をとっていた。
「ここが、今日からあなた達の戦場です。さぁ、降りなさい」
ここが新しい家になるのかと、ぼんやりと考えていた僕は、ヒルアイスさんの言った『戦場』という言葉に緊張した。
ここは家であり、仕事場であり、戦場なんだ。
競争があって、優劣があると教えてくれているんだ。
認識を改めて、僕は馬車を降りた。
「お帰りなさいませ、ヒルアイス様。そちらは新しい男娼ですか。しかも、一人は首輪無し」
「話が早い、面倒をみてほしい。私は商会の方へ行く」
「主の御心のままにしますとも」
短い言葉のやり取りで、ヒルアイスさんは給仕服に身を包んだ女性に引き継いで馬車に戻った。
ヒルアイスさんの顔を見るたびに、脳裏に焼きついたおっぱいがチラついていたので、少し残念に思う。
「逃走は、賢明な判断とは言えません。首輪があるのをお忘れなく」
男娼になった二人の肩が跳ねた。
心の片隅で考えていたことを、言い当てられたのだろう。
「私はヒルアイス様に仕えるヤネットです。メイド長とも呼ばれますね。どちらでも好きな方で、ただし名前にはさんをつけること。ここではヤネットさんかメイド長です。いいですね。……返事は?」
「はいっ」
「よろしい。ではお客様用とは別の入り口に案内します。覚えておくように」
外周をぐるりと遠回りして案内されたのは、馬車が横付け出来る正面の入り口とは違って、人間向けの簡素な扉があるだけだった。
けれど、建物の中に入ると、がらりとその印象が変わる。
滑やかな石の床には絨毯が敷かれていて、天井にはシャンデリア、壁には絵が飾られていたりと、やらしい話、かなりお金の匂いがした。
「リズベット、チャム、今から新人の手入れよ。来なさい」
「はーーい!」
ヤネットさんと同じ給仕服を来た少女が、元気な返事をして寄ってきた。
「剃刀は持ちましたね?」
「ちゃんと持ってます」
「よろしい、行きますよ」
謎の共通認識に置いていかれて、何をするのか気になっていると、籠の置かれた部屋の中に入った。
「服を脱いだら、籠に入れて。履き物は脇に置くように」
そう言って、ヤネットさんやメイドの二人も躊躇いもなく服を脱ぎだした。
お、おっぱい、おまんこぉ……。
さっき会ったばかりなのに、小ぶりだったりツンと尖っていたりマシュマロみたいな三者三様のおっぱい。
下の毛も整えられていてたり毛が渦巻いていたり無毛だったりとこれまた三者三様。
小一時間前に射精したばかりでフル勃起はしないけれど、一撃で半勃起まで回復していた。
「ふぇ……こ、怖いよぅ……」
「いやだ……こんなのは」
横をみれば顔面蒼白にさせた二人がヒルアイスさんのおっぱいの時と同じ発作を起こしていた。
「早く脱ぎなさい。それとも私達が脱がせないと駄目なのかしら」
その一言が女性を怖がっている二人にはてきめんに効いたようで、しぶしぶと脱ぎ始めた。
「あの、ヤネットさん」
「ん、君は。首輪無しの子ね」
「正大です。その、服を脱がせてもらえますか?本当に服の脱ぎ方が分からなくて、困っていたんです」
このとき僕はバカなふりをすることに、一切の躊躇いがなかった。
「頼んだらイケるかもしれない!」そんな僕の脳内会議で大声を出している欲求の前には、僕のちっぽけなプライドの「正直になれ」という声はたやすく掻き消された。
「なら、その服はどうやって着たの」
「奴隷狩りの人に着せてもらいました。変わった服を着せた方が高く売れそうだって」
ジト目で軽くたしなめられたぐらいでは、へこたれない。
それっぽい言葉で誤魔化すのは昔から得意だった。
「……たしかに、あまり見ない服ね。一度だけよ?ちゃんと覚えなさい」
「よかったぁ!ヤネットさんありがとうっ」
純粋な笑みを浮かべてヤネットさんに礼を言うと、男女問わず僕のことを宇宙人でもみるような、不思議がる視線が集まっていた。
「天然なのかしら……。あなた達は浴場で先に始めておいて」
「了解でーす」
先に裸になった男の子達をつれてリズベットさんとチャムさんは浴場の扉の向こうに消えていった。
後ろ姿のぷりんっ!としたお尻の揺れに、目を奪われていると、目の前が肌色でいっぱいになった。
ヤネットさんのおっぱい、ヒルアイスさんよりずっと大きい……。
蛇に睨まれたカエルみたいに、ヤネットさんの茶色い陥没乳首に睨まれて、ごくり、と喉を鳴らした。
こんなにも近く、もってこいの場所におっぱいがある……今すぐしゃぶりたい!
「まずはシャツ。これはボタンになっているのね。生地をこうやって、横に引っ張って、ボタンを押し込むようにすれば脱げるわ。分かった?」
ヤネットさんの腕が襟に伸びてボタンを外してくれているとき、深い谷間の奥に、腕の動きによって見え隠れするほくろがあるのを見つけた。
ただのほくろなのに、不思議と凄くエッチだ……。
「もう一段だけみせてください。次から自分でやってみます」
「こうやって、こう、ほら簡単よ」
「こうやって……うまく出来ないよ」
「かしなさい。引っ張って、こう。もう一度やってみて」
「引っ張って……こうっ!やった、出来たよ!」
「そうそう、その要領よ」
「ヤネットさん教えるの上手ですねっ。ありがとう!」
心底嬉しそうに、喜びを分かち合うボディーランゲージとして、ヤネットさんの胸に飛び込んで腰に腕を回した。
凄い包容力だ……フカフカで柔らかくて、あったかい。
長すぎると怪しまれるので一瞬のことだったけど、ヤネットさんのおっぱいに触れて僕は満足だった。
「まだ、子供ね」
ヤネットさんは、目を細めて寂しそうに笑っていた。
おっぱいはこんなにも寛大なのに、先入観で凝り固まった男達に疲れた顔のようだった。
「肌着は一人で脱げるわね」
「せっかくだから、ヤネットさんの脱がせ方を勉強したいです」
ノータイムな僕の返答に、やれやれとヤネットさんは答えてくれた。
「しょうがないわね。ほら、腕を上にあげて。ばんざーい!ってポーズをするの」
「こう?」
「出来てたから、腕は下ろさないで。もう一度、ほら、ばんざーい!」
「ばんざーい!」
肌着を脱がせようと、ヤネットさんがグッと近づく。
そうすると、乳首が鼻の前を掠めるワケで──肌着から頭が抜ける反動で頭を振って、僕はこっそりとヤネットさんの陥没した左の乳首にキスをした。
ただ唇に触れただけで、キスとは呼べない刹那のことだけど、一言でいえばおっぱい万歳!だった。
「……っ……勉強になったかしら」
「はいっ!とっても」
「じゃあ、次は下ね」
そう言って、ヤネットさんは膝立ちになった。
気にする素振りすら見せないけれど、半勃起している僕の股間の高さにヤネットさんの顔があって、なんだかムズムズする。
僕みたいな歳は無意識に半勃起になることがよくあるので、娼館で働くヤネットさんもそれをよく知っているんだと一人で納得した。
「この金具は、ベルトね。ボタンを外すのに似た要領で、緩めることが出来るのよ。外したら、ズボンにある輪っかを通っているベルトを抜きとるの」
「なるほど……!」
オナニーをして、まだ洗っていない股間の側に、ヤネットさんの顔がある。
臭いで勘づかれないだろうか、それとも、知っていて無視をしているのか、悶々としてしまう。
「じゃあ、ズボンとパンツも下ろすわね。ほら足を上げて」
思ったそばから一気に脱がされて、半勃起している股間がピクリと跳ねた。
立っている僕でさえ、独特な臭いがむわりと感じ取れるのだから、ヤネットさんが気づいていないワケがなかった。
なのに、淡々と抜き取ったズボンやパンツを籠に入れるのをみて、少しだけガッカリしている自分がいた。
そうだよな、ここは娼館だもんな……精臭ぐらい、嗅ぎ慣れていて当然か。
「浴場にいくわ。ほら、ぼんやりしないの」
「っ、はい」
思考を引き戻して、ヤネットさんの後ろに着いていき、目の前でフリフリと大きなお尻が揺れている。
僕の少ない人生の経験でも、骨盤の幅からして、間違いなく安産型だった。
「あっちはだいぶ進んでいるようね」
扉を開けると湯気がモワリと立ち上ぼり、手のひらで払う。
浴場の中は、人が四人足を伸ばしてたっぷり寛げる程度のお風呂と、鏡や椅子も四つずつ。
椅子は脇に避けられて、うつらうつらした顔で無抵抗な男の子達と、脇に湯を溜めた桶を置いてクリームと剃刀で脇や下の毛を処理するメイドの姿があった。
「性病を予防するのは、男娼の義務よ」
「メイド長。この子達が抵抗したので、魔法をかけて大人しくさせました」
「右に同じー」
「当然の判断ね。よくやったわ」
例えば、置き去りにしたはずの人が目の前から現れた。
例えば、蝋燭の無いシャンデリアが輝いていた。
本の中のファンタジーのような『魔法』の気配を感じてはいたけれど、魂が抜けたような顔でされるがままの男の子達をみて、魔法を怖がるのも分かるような気がした。
……僕もきっとああやって意識を奪われて、一度は奴隷になったんだ。
「まずは、汚れた体を綺麗にします」
「はーい!」
手早く段取りを進めるヤネットさんが、よく泡立ちそうな水を含んだ海綿体スポンジを、グチュグチュ、と鳴らして僕を手招いている。
僕はノータイムで椅子に座った。
「あまり、汚れていないのね」
角の取れた石鹸をスポンジに塗り込んで泡立てると、ヤネットさんが身体を丁寧に洗ってくれる。
指のつけ根だとか、耳の裏、膝の裏、背中などなど、ついつい雑になりがちな場所を神経質に洗ってくれる。
僕の体はすっかり泡だるまになってしまった。
「ここは特に綺麗にしないと」
湯で洗い流した後、ヤネットさんはもう一度スポンジで泡を立てた。
その手が、僕の半勃起した股間を掴み、袋のシワにそってゴシゴシ、皮を剥いて優しくゴシゴシ、ひっくり返されて、お尻の穴までゴシゴシと、くまなく綺麗にされた。
「終わりました。次は毛の処理ですね」
「ヤネットさん待って!」
「?なんですか」
「やり方は覚えました。僕もお返しに、ヤネットさんの体を洗ってみたいです」
「そ、それは。私は商品ではありませんので。それに大人なので一人で出来ますし」
眉を八の字にしたヤネットさんの困り顔が、凄くかわいい。
だけど、やんわりと断られてしまいそうだ。
「勉強熱心でいいじゃないですか。男娼ならどのみち覚えることですし」
「リズベット。しかし、これは女性に慣れた男娼が次のステップで練習することでっ」
「みた感じ、この子なら出来ると思います。本人がやりたいっていってるんですよ?いいと思うけどなー」
「チャムまでそんなことを」
思いもしないところからの援護射撃に、勝手に諦めムードだった僕の前に光明が差した。
「若い男娼が女性への恐怖を深めないようにルール守ろうとする、ヤネットさんの仰ることも分かるつもりです。でも、僕も男娼になるのなら、気安く話せるヤネットさんで予習がしたいです!僕がお客様に等しく笑顔を振り撒く覚悟を決めるのに、これは必要な儀式だと思うんです。……それでも、ダメですか?」
ヤネットさんも会ったばかりの女性なんだけど、僕の話に水を差す人はここには誰もいなかった。
「おかしい、とは思っていたのです。……が、やっと納得しました。しょうた。君はずっと無理をしていて、そしてとても賢い。ヒルアイス様が君を首輪無しにした理由が分かりました」
「!それじゃあ」
「私の体を、洗ってくれませんか」
「ぜひ、やらせてください!」
なんか、勝手に感心されて納得したようでよかった。
あとリズベットさんとチャムさんもありがとう。
「こうやって、泡を立てるんですよね」
「そうです。上手に出来ていますよ……あっ……」
指示を待たずにヤネットさんの体を背後から綺麗にしていく。
脇に手を入れたとき、こっそり横乳を弾いたら、ヤネットさんが声を漏らしてドキドキした。
凄く楽しい、けれど教わった通り体の隅々まで遠回りをして洗うのもまたオツだった。
「上半身の背中は終わりました。次は前ですね」
「つらかったら、もう止めても……ひゃん!」
勘違いから逃げ道を提示するヤネットさんを無視して、挑発的なおっぱいを鷲掴む。
ついカッとなって、逃がさないという意思表示の為におっぱいを掴んでしまったけれど、僕の小さな手のひらでは収まらないおっぱいの懐の深さに感動した。
そして自然な流れでおっぱいを持ち上げて、下乳のつけ根をスポンジで洗って誤魔化した。
……おっぱいって、重いんだな。
「ヤネットさん、こんな感じで合ってますか?」
「ハァハァ……ええ、とっても、んっ、上手よ」
柔らかくてフワフワなヤネットさんの体。
お腹を触っていると、内臓の動きが伝わってくる。
いっぱいご飯を食べたりお水たくさん飲んだら、大きくなるのかなぁ。
「ヤネットさんのお腹が大きくなるの、みてみたいなぁ」
「……ッ~ー!?そ、そんな冗談、まだ教えていませんよ」
「あ、思ってたこと口にしてましたか?ごめんなさい。集中します」
謝ったら、なぜかヤネットさんが金魚みたいに口をぱくぱくさせていて面白かった。
綺麗な人は、何をしても絵になるなぁ。
「あっ、いけない忘れてた」
「今度はなにを……ああんっ!……そこは、くぅ……」
指に泡を馴染ませて、ヤネットさんの陥没した乳首を指でこねる。
陥没乳首の女性は感じやすいってクラスメイトが言ってたけど、本当だったんだ!
下乳に片手を添えて、片方だけ入念にこねていると、次第に充血してきて、プックリと左右の乳首の違いが一目で分かる。
寂しがっているもう片方の乳首も、今洗ってあげるからね。
「ひゃん……これは、もう、ああっ!違うっ!」
「?違わないですよ。ヤネットさんの乳首をほじりだして綺麗にする準備をしているんです。丁寧にね」
「いいんですっ、そこは省略してもほお゛お゛お゛っ゛♡」
言葉と矛盾しているそんな期待した顔をされると、抑圧されている本性を、ヤネットさんの理性の檻から解放してあげよう!という気持ちがムクムクと湧いてくる。
陥没した両乳首に人差し指を押し当てると、ニュムッ、と埋まる。
楽しくなって指を意図的に痙攣させると、ヤネットさんが獣のように吼えた。
今までずっと奥底に閉じ込められていて、かなりフラストレーションがたまっていたみたいだ!しっかり発散させてあげないと。
餅をつくるようにこねてこねて、ほぐれてきたのが感触で分かる。
親指も加えて乳首を横に広げると、小さな小さな突起があった。
隙を見せたら引っ込んでしまうそれを、素早い動作で摘まむ、と、つい力が入ってしまった。
「あ、ごめ──」
「ん゛ほお゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛♡♡♡」
まるで電撃が走ったみたいに、ヤネットさんが白目を剥いた。
僕が咄嗟に背中に腕を回さなかったら、ヤネットさんは強かに床に頭をぶつけていただろう。
それにしても、常のヤネットさんからは想像も出来ない醜態っぷりに僕も軽く引いて、おっぱいハイが急速に冷めていく……。
僕の興味はプシュッ、プシュッ、と等間隔な波でおしっこみたいな何かを噴いている、ヤネットさんのエッチなおまんこに移っていた。
「ちょっとはエッチなこと起きないかって期待してたけど、これはヤバすぎでしょ……」
気づけば、無駄毛を剃り終わったリズベットさんやチャムさんが、自分の幼いおまんこにズボズボ指を突っ込んで、いやらしい水音を鳴らしていた。
僕も自分がオナニーしているときは客観的にみて間抜けだと自覚しているので、二人のそんな余裕の無い様子に、欲情と、親近感を同時に覚えた。
「ヤネットさん、しっかりしてください。……ヤネットさん」
「ううっ……私の積み上げてきたイメージが、崩れてしまった」
ヤネットさんは静かに泣いていた。
メイド長という役職は、色々と大変なのだろうと思った(小並感)。
「次は下半身を洗いますね」
「まだ続けるつもりですかっ!?」
「はいっ!」
「よく分かりました。……これは、ヒルアイス様が理想の男娼像と重ねて考案された、未だに卒業者のいない最終試験ですが、飛び級試験で。うふふっ、後でヒルアイス様に叱られてしまう。……けれど、女性が絶対的な支配者であることを理解していない子供には、大人の恐ろしさを、たっぷりと教えてあげるのも、メイド長の務めでしょう。ねぇ?」
さっきまでのヤネットさんの雰囲気が、がらりと変わってしまう。
瞳はヘドロのような黒い塊が混沌と渦巻いていて、口元には攻撃的な笑みが浮かび、白く尖った歯が覗いていた。
「ヤ、ヤネットさん……さっきはごめんなさい」
「……許しましょう。一度目は、謝ったら許すのが、大人ですからね。それでは、さっきの続きをしますよ」
たっぷりと間をとって、ヤネットさんは僕を許してくれた。
怒っているときにグッと我慢出来るなんて、ヤネットさんは凄いと思う。
「あら。せっかく綺麗にしたのに、また汚して。今綺麗にしてあげますから。足を開いて、床に座って」
ヤネットさんが僕の股間──フル勃起に回復したおちんちんの先から溢れているカウパーを見つけて、広げるように手のひらで塗り込んでいる……どうして?それに、なんで椅子に座らないんだろう。
……疲れてるのかな?
「あの~?ヤネットさん、スポンジを忘れてると思います」
「いいえ、これで合っていますよ」
「?それってどういう……あ痛っ、ふぐぅ」
ヤネットさんが突然、僕に体重を掛けて、押し倒される。
まだ泡を洗い流していなかったヤネットさんのヌルヌルな体と密着して、気持ちいい重苦しさに喘ぐ。
「まだ分からないの?んふふっ……さっきの続きをすると、私は言いました。私の下半身を洗うのが残ってるでしょう?だから、今から私のおまんこの奥を、しょうた君のおちんぽでゴシゴシ擦って、泡まみれにするのよ♡」
「えっっ!?おまんこにおちんちんを入れたら……それって、もうセッ、セックスじゃん!……絶対に無理だよ。僕まだ子供だから、セックス出来ないよ!」
そ、そんな。お父さんのパソコンでこっそり観た、アダルトビテオの中の住民だけが出来る、どこか神秘的で最高にエッチなことを、子供の僕が出来るわけないじゃないか!
お爺ちゃんのお葬式の時に、何でも教えてくれる叔父さんに「セックスってなに?」って聞いたら頭に拳骨を落とされた、禁断の行為なのにっ!
ヤネットさんを押し退けようとしても、肌はヌルヌルして上手く掴めないし、大人と子供の大きく開いた膂力の差で、どうしようもなかった。
「んふふっ、ごめんなさいの一言で、許すワケないじゃない。それと、これから大人になるんだから。おちんちんじゃなくて、おちんぽよ」
「ヤネットさんの嘘つき!」
「信じた方が、馬鹿なのよ。リズベット、チャム、いつまでもオナニーしていないで、この子の上半身を押さえつけてくれる?」
「……ぁ……はひっ!メイド長」
今度は二人とも、僕の味方をしてはくれないようだった。
二人がかりで押さえられて、体重のプレスで密着していたヤネットさんが剥がれると、肌と肌の間に糸が引いて千切れた。
「こうしたら、しょうた君のおちんぽが私のおまんこに入るところがよーーくみえるようになったでしょ?」
ヤネットさんが普段は貝のようにピッチリと閉じているおまんこの割れ目を指で広げると、ピンク色の肉と真っ黒な大きな穴が露出して、穴が縮んだり拡がったり……別な生き物のようだった。
「無理だよぉ……セックスなんて、出来ないよぅ」
「私の体を洗いたいって言ったのは、しょうた君でしょ?ちゃんと言葉には責任を持って。おまんこの中をおちんぽから出る特製シャンプーでホワイトニングしてくれるって、期待して待ってたんだからっ♡じゃあ、そろそろ入れるわ」
「そんなことを、僕は言ってない!」
ヤネットさんの指が僕のおちんちんを掴んで、おまんこの穴に狙いをつけている。
一瞬ヤネットさんの腰が浮いて、うんち座りになると、僕の足がようやく自由に──
「んっ……そーーれっ♡」
ズボッ、っとヤネットさんのおまんこの肉をかき分けて、おちんちんの先端がおまんこ穴の入り口に少しだけ入ると、そこは柔らかくて熱くて。
ズリュズリュズリュッ!!と次の瞬間には僕のおちんちんがヤネットさんのおまんこ穴の奥へと勢いよく飲み込まれて、バチンッ!!と僕とヤネットさんの腰がぶつかりあった音が骨伝導で響いた。
間に合わなかったおちんちんに絡みつく肉ひだの甘い抵抗は、おちんちんに密着したまま蠢いていて、僕にマグマのように滾る熱さと強い快感を絶え間なく与え続けてくる。
「んーーっ、きもち゛いいっ♡しょうた君も気持ちいいでしょ?」
「ふぇ……ヤネットさんと、セックス、しちゃったぁ」
「あーあ、しょうた君。まだ射精してないのにすっごくエッチな顔してる。……今からしょうた君が三回射精するまで、休憩しないから覚悟してね♡」
「そんなぁ!?……アッ、アッ、アッ!」
ヤネットさんが僕のお腹の上で腰を揺らしたり腹圧を変化させるだけで、おまんこの肉ひだが射精をさせようと吸いついてくる。
情けない声が我慢できなくなってくる。
僕の価値観が崩壊して、おちんちんがすべてになる。
「おちんちんがとけてりゅ……もうセックスになっでもいい゛!ヤネットさんのおまんこの中でイっちゃうよぉ」
「だから、おちんぽだってば。おちんぽ!」
ここにきてヤネットさんの謎のこだわりを強要される。
どうでもいいことなのに、不思議とおまんこの中の動きが凪いで、快感が止まってしまった。
生まれてきたのに母親が側にいない赤ちゃんのような、恐怖に襲われる。
「やだぁ……イきたいよぉ。意地悪しないでっ!」
「これはおちんぽよ。おちんぽ」
「おちん、ぽ?……おちんぽ!これはおちんぽっ!」
「そう!よく言えましたぁ♡賢くてエロい子には、ご褒美よ♡」
ヤネットさんが腰を高くあげた。
気持ちいいけど、おまんこの外は寒くて、もう少しで抜けそうになって寂しくなる。
上体を起こしていたヤネットさんは、最初にしていたように体を密着させてプレスする体勢になると、パァン!パァン!パァン!パァン!と、休む間も無く高速で腰を打ちつけてくる。
「ぁああ゛あ゛あ゛イ゛く゛う゛うぅぅぅぅ!!」
ドピュルルルルルルルル!!
僕が射精しているのをお構い無しに、ヤネットさんの腰が止まることがない。
それどころか、精子がおちんぽに絡みついてさらに滑りがよくなったのか、さらに加速していく。
さっきまでみっちりとした肉感だったおまんこは、ギッチギチに締まっておちんぽが痛いぐらいに強く精子を求めていた。
フィナーレに、ヤネットさんは腰と腰が密着した状態から、更に奥を求めるように、おまんこを押しつけてきた。
「凄くよかったけど……うーん、しょうた君のおちんぽじゃ、子宮口までは届かないわね。残念」
「ハァハァ……しきゅうこう?って、何ですか」
さっきのが50メートル走なら、今はジョギングのようなペースでヤネットさんの腰が動いている。
最高な射精の余韻も抜けて、思考力が戻ると、僕は凄くよかったのに、ヤネットさんに残念だったと言われたことが気になって、脳内で何度も繰り返される。
セックスの素晴しさを僕に教えてくれたヤネットさんが、満足していないというのは、嫌な気分だった。
「子宮口は、おまんこの一番奥にある子宮の入り口よ。すべての成人女性は魔力結界で子宮が守られていて、例え子宮口の手前で勢いよく男性が射精しようが、子宮への精子の侵入を弾いてしまうの」
「えっ、それじゃあ赤ちゃんが産まれないんじゃ?」
「物わかりが早いのね。赤ちゃんを産むには抜け道のような方法が二つあってね。一つ目は、子宮口の奥までおちんぽが届くぐらいに長い男性に、直接子宮内で射精してもらうこと。もう一つは、魔力結界を破るぐらいに、魔力の強い男性に射精してもらうこと。……つまり、私を妊娠させれる男性はいないということよ。ちなみに、これは男娼の最終試験の内容でもあるわ」
ヤネットさんは諦めきった顔で教えてくれた。
妊娠出来ないのに、こんな行為は高級なオナニーでしかないと悟っているようで、腰の動きもスローに、億劫になっているようだった。
また遠巻きにオナニーをしていたリズベットさんやチャムさんも、テラテラに濡れた指で目尻の涙を拭っていた。
僕はこの人を、孕ませたい。
けれど、僕のおちんぽじゃヤネットさんの子宮口に届かなかった。
それは認めるけれど、もしかしたら僕の秘めた魔力のポテンシャルが開花して、子宮に精子が届く可能性はまだ残っていた。
「僕の魔力は、成長しますか」
「しょうた君……気持ちは嬉しいけれど、男性の魔力は一般的に女性の10分の1以下なのよ。それに、女性のおっぱいの大きさが魔力と比例するように、男性も魔力とおちんぽの大きさは比例するものなの。つまり、私の魔力結界を破るようなおちんぽは、私の子宮の底に届いてなお、20センチは余る長さだと専門家に診断されたわ」
「そんなぁ……」
今日二回目の射精で、僕のおちんぽはとうに限界だった。
気力だけでなんとか勃起を維持していたのが、今は萎えてしまってヤネットさんのおまんこからおちんぽが抜けてしまい、無駄射ちに終わった精子がおまんこの穴からダラダラと溢れてくるのが、今はたまらなく情けなかった。
■
精子を出し切ってヤネットさんのおまんこに完全敗北した僕は、現実と理想の距離を概算し、本気でプロスポーツ選手になりたがる子供のような打ち込める夢を見つけて、そして、不安になった。
昨日までの僕は、古本屋のテレビでみかけた高校球児達を、自分とは違う人種だと思っていた。
そしていざ自分が舞台に立たされると、僕では役不足だと、鈍器のような現実に突き飛ばされて、いつかは別な誰かがその枠に収まるのを「わー凄いねぇ!」と感動しているふりをする、くだらない大人になってしまうかもしれない……恐怖に襲われた。
次に、僕は恐怖に負けないにはどうすればいいのかを考えて、考えて……試合に負けた日に素振りをしなかったヤツに、明日は来ないのだと、結論がでた。
僕は、夢を追う不安と戦い続ける覚悟を決めた。
ヤネットさんを孕ませるのは、絶対に僕だ!
だから、今だけは。
「ふえぇぇぇん!……ぐすっ……ひくっ」
「しょうた君、私のかわりに泣いてくれるのね。……優しい子」
「すんっ……違うよ゛っ!……僕は泣かないし……目にゴミが入っただけだもん……ひっく」
「そうね、しょうた君は強い男の子だものね」
「う゛んっ!……すぅーーーはぁーーー。……あーーっ!目のゴミが取れてスッキリしたっ!それじゃあ、遅くなった毛の処理をしてください」
「ええ、そうしましょう」
ヤネットさんがフワフワなクリームを僕の股間に塗って、ジョリ、ジョリ……と剃刀で毛を整えてくれる。
散髪と違って少しくすぐったいけれど、メイド長をしているヤネットさんの真剣な表情は、大人にみえてかっこよかった。
湯船では、のぼせているわけではないのにうつろな瞳の男の子達とメイドさん達の四人が触れ合っていて、無意識に女性の情報を挟む、催眠学習という段階らしい。
「毛を洗い流したら、湯船に浸かりましょう」
「わかりました」
六人だとさすがに狭かったが、両サイドで向き合う男女のペアの真ん中を割って、ヤネットさんが湯船に浸かるので僕もそれにならった。
ヤネットさんのおっぱいが、海によくある浮標のようにプカプカと浮いていて、おっぱいって浮かぶんだ……と新しい発見に驚かされた。
「しょうた君、本来はベテランの男娼がすることなのですが、催眠学習を手伝ってもらえるかしら」
「?別にいいですけど、何をしますか」
「特別なことはしなくていいの、ただ私の側に座って欲しいだけで」
湯船の中でM字に足を開いたヤネットさんが、おまんこを指差していた。
否、股の間の空いたスペースを指差しているんだろうけど、やっぱりおまんこポーズにしかみえなかった。
「じゃあ、失礼します」
誘われるまま、僕はヤネットさんと向き合うように、湯船に浸かった。
ヤネットさんの意外そうな顔には、ここで向き合うんだ……と書いてあった。
たしかにプカプカおっぱいに背中を預けるのもいいけれど、僕はヤネットさんのこんな表情の変化をみていたかった。
「催眠学習って、仲のいい男女の姿を無意識に挟むってことですよね」
「ええ、そうね」
「じゃあ、くっついた方がいいですね」
「そうだけど、そこまでしなくてもいいのよ」
「僕はもう平気です」
壁際でM字に足を開くヤネットさんを更に追い詰めるように、胴を跨いでヤネットさんに抱きついた。
「これって、ほんとに大丈夫なのかしらっ」
この体勢になると、僕とヤネットさんの手入れされた下の毛が水中で擦れ合い、おちんぽとおまんこがさっきぶりだね!と挨拶のキスをしたけれど、もう勃起はしなかった。
二つの大きな浮島の間に僕の顔が帰港して、故郷のような安らぐ香りと温かいお湯にリラックスして、目をつぶれば、ヤネットさんのドクンッ、ドクンッ、と力強い拍動を感じるだけの静かな世界になった。
拍動だけに耳をすませていると、最初は戸惑いのリズムだったのが、受け入れてくれた穏やかなリズムになるのがよく分かって、0距離ならば、お互いを知るのに言葉は不要なのだと知った。
「……私の赤ちゃんみたい」
優しいヤネットさんの小さな呟きに、感情のノイズが入ってくる。
とても重い言葉に、言葉で返せば薄っぺらになるのはわかっていたので、今はヤネットさんが求めている赤ちゃんになろうと思った。
目を閉じたまま、手探りでおっぱいを触り、敏感なヤネットさんを配慮して乳首に優しく吸いついた。
「ごめんなさい……気を遣わせてしまったのね。失言だったわ」
聞こえないふりをした。
視覚を封じたことで、他の感覚器官にキャパシティが割かれ、筋肉の塊である舌で乳輪の形をマッピングする。
唾液で乳首がふやけてきたので、もう片方の乳首を唇で探していると、新陳代謝の高まったヤネットさんの汗の一滴が垂れてきて、口の中にしょっぱい汗の味と浸透圧の魔法でほんのりと甘さが広がった。
「ふふっ、くすぐったい……おっぱいはここよ」
ヤネットさんが、自分の方から僕の口元に乳首を運んできた。
やっぱり、嬉しかったんだ!
陥没した乳首に啄むようなキスと舌で弾き、カプカプと乳首に吸いついた。
「母乳が出なくてごめんね」
演技を忘れてつい、頭を振ってしまった。
母乳は出なくても、ヤネットさんに満足してもらえるなら僕は……あれ?
今、凄いことを思いついたような気がしたのに。
茎を折った矢先に風に吹かれたタンポポの綿毛のように、掴めぬままどこか遠くへ、思い出せない記憶の彼方まで逃げられてしまうような、焦りがあった。
思い出せ……僕は直前、何で閃いた?……母乳、母乳!そうかっ!おっぱいの大きさが女性の魔力と比例するのなら、つまり、母乳こそが女性の魔力の源なんじゃないのかと、僕は思ったんだ。
それが意味することは──
「しょうた君……ちょっと痛いわ、強く吸わないでっ!母乳は出ないのっ、ママじゃないから!」
「僕が、ヤネットさんをママにします」
「し、しょうた君?……きゃっ」
ヤネットさんは、一つ誤解をしているようだ。
妊娠したら母乳が出るようになるんじゃなくて、産まれた赤ちゃんが乳首を吸うことで母乳が出る体になるんだ!……と、いつかのクラスメイトの一人が熱烈に語っていたから間違いない。
男性が女性の体を怖れるのが普通なら、気づけないのも仕方がないと思う。
それよりも、陥没乳首を摘まれて醜態を晒し、お風呂で高まった新陳代謝、あとは乳の出る穴に詰まった何かを吸いだせば、きっとヤネットは母乳が出るに違いなかった。
ヤネットさんの乳首はふやけ、充血し、煮すぎた餅のようにトロトロだ。
僕はもう一度陥没した乳首の中に人差し指を押し込むと、グニュムッ、と埋まり、ヤネットさんは十秒後の自分を想像したのか青い顔をしていた。
「それはやめてえ゛よ゛お゛お゛お゛っ゛♡」
あの時は欲張って両方の陥没乳首をほじったけど、今はこの左乳首に集中する。
右手の親指と人差し指で横に拡げると、小さな突起がまた顔を出した。
それを左手で、しっかりと捕まえたっ。
僕はそれを引っ張って、陥没乳首を裏返した!
「う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ゛♡♡♡」
で、出てきた……片方だけ普通のおっぱいみたいに、乳輪の先端が尖らせることが出来た。
ヤネットさんの一番反応する、敏感なところが露出して、また白目を剥いてしまった。
けれど、僕の手は止まらない。
両手でも収まらない、ヤネットさんの大きなおっぱいを、両手の大きな円で囲って、乳首の方へ乳首の方へと円を狭めていき、マッサージで乳輪の血行をさらに促す。
そうして、ジンジンに尖ったヤネットさんの乳首を摘まむと、プシュッ、と白濁としたミルクが弱々しく飛び散って、湯船の海に混ざって分からなくなった
「えええ!!嘘でしょ……メイド長が、母乳を噴いた……!?」
さっきまで男の子達のおちんぽと自分のおまんこを弄ってハァハァしていたリズベットさんやチャムさんの驚きっぷりが凄く、ガタッ!と立ち上がり、空気を読んで、ちゃぽん、とまた座る。
現実で、解説キャラの「でっ、でたーー!」の一コマがあったようなシュールさだった。
「ヤネットさん、起きてください。ヤネットさん!」
「はっ!……また私は。……えっ、これが、私のおっぱい?」
意識が戻ったヤネットさんは、自分の左右の乳首の違いに気づいて、驚き戸惑っていた。
「ヤネットさん、みててください、あーー」
「なにを……あーー?」
さっき、母乳の出し方のコツを掴んだ僕は、さっきの要領で左胸をマッサージした。
すると、サプライズをしようと考えていたのに、もう母乳が乳首の先端から滲んできた。
「あっ……えっ、えええ゛っ!?ど、どうして、私から母乳が出てるのっ///」
凄く戸惑って、しかし、母乳が出てきた喜びを隠せないヤネットさんの照れ笑いがはにかみ屋な少女のようで、可愛かった。
「あーーむっ」
敏感な乳首から滴るミルクの雫を、下乳に舌を這わせて舐めとる。
母乳は牛乳よりずっと薄くて美味しくないと聞いていたけど、ヤネットさんの熟成された母乳はどろどろっと脂っこくて、独特な甘さが舌にしつこく残り、飲み込もうとすると喉に絡みついた。
「嘘っ……私の母乳、しょうたに舐められちゃった」
「ヤネットさんの母乳、凄い……。赤ちゃんみたいに遠慮せず、しゃぶりつきたいぐらいです。……ごくごく飲んでもいいですか?」
「それは……っ……今さらな確認じゃない」
「!それじゃあ」
「ママのおっぱい、たくさん飲んで♡」
「う゛んっ!!」
僕は乳首の前で口を開け、舌を伸ばして待機した。
遅れてヤネットさんも僕の意図を汲み取ってくれたようで、とってもエッチな顔になった。
「もう、母乳の飲み方は知ってるくせに……そんなに私にやらせたいの?」
僕は頭を縦に振る。
「自分で上手く絞り出せるか分からないけど……んん゛~ーーっ、それっ♡それっ♡」
ヤネットさんが自分の手で乳首をつまんで引っ張り、もう片方の手でおっぱいの形が大きく崩れるぐらいに強くしごくと、プシュッ!プシュッ!と母乳が噴いて、僕の口の中へと飛び込んでくる。
そして、端から母乳がこぼれそうになった僕は口を閉じて、いっぱいの母乳を口の中で転がして、ごくん!と飲み干すと、僕は餌を待つ雛鳥のようにまた口を大きく開いた。
「もっと欲しいのね、ママ頑張るわ♡」
だんだんと母乳の出がよくなってきたようで、シャアーーッ!と水音がするようになった。
母乳の質もちょうどいい具合に薄まった、けれどもコクのある美味しい母乳に変わって、飲みやすくなっていた。
「ぁ、きたあ……!」
もうっ、我慢出来ない!
敏感すぎるヤネットさんの乳首を直接咥えると、期待した目で潤んでいるヤネットさんが僕の頭の後ろに手を添えて、僕の頭より一回り大きいおっぱいを押しつけてきた。
新しい快感に目覚めたばかりのヤネットさんも、僕と同じように我慢出来なくなったようで、期待に答えるべく、僕はおっぱいを指の間から肉がはみ出すぐらいに両手で鷲掴み、タコのような顔をして乳首を吸う。
さらに、乳首の先端を、コリッ、と甘く噛んだ。
「しゅごいのお゛お゛お゛オ゛オ゛ッ゛♡♡♡」
ブシャァアアァ!!!と噴水のように湧き続けるヤネットさんの母乳をごくごくと飲み続け、胃袋がヤネットさんの母乳で満たされていく……。
息が苦しくなって口を離すと、蛇口が壊れた水道のように母乳が噴いていて、僕の顎から胸板を温い母乳が叩いて飛沫が飛び散る。
チョロッ、と最後に噴いて鎮まると、僕とヤネットさんのお腹の間に水たまりが出来ていて、僕がお腹を離すと、ヤネットさんのお腹を白く汚した。
ヤネットさんは上気した顔でだらしく舌を出して、ハッ、ハッ、と犬みたいな呼吸をしていて、やっぱりエッチだ。
目は僕のことを見ているようで何もみていないのだと、顔の前で手を振って気がついた。
……逆上せたのかな?
そういえば僕も、何だか体が火照ってきてちょっと苦しい。
「湯あたりね……〈マジック・エンド〉。チャムはこの子達を部屋に案内してあげて」
「そ、そうだね。リズベットは」
「私はメイド長を運ぶわ」
急に真面目になったメイドの二人が、段取りの確認をしていると、「ふわぁ……」と男の子達があくびを一つして、自分達が湯船に浸かっていることに驚きだした。
小柄なリズベットさんはヤネットさんの舌を指で押し込んで口の中へしまうと、涼しい顔でヤネットさんを背負って扉の外へと行ってしまった。
言う間も無かった「手伝いましょうか?」を遅れて口の動きだけをして消化しようとするが、煮え切らないこの後味は、なんだか狐に化かされたような気分だった。
けれど、お腹に力を入れたら、ちゃぽん、と胃袋にあるヤネットさんの母乳の気配がして……あの味をまた思い出して。
いつのまにか、僕はフル勃起していた。
■
お風呂上がりの水気は、チャムさんが魔法で飛ばしてくれた。
僕たちが着ていた服の入った籠や靴は回収されていて、それぞれの身の丈にあった真新しい白いシャツに黒の短パン、黒のソックス、趣味じゃない色のネクタイ、革靴が置かれていた。
僕たちはそれぞれに着替えていき、さっきからずっと初めてのネクタイに戸惑っている、よく泣く男の子が気になった。
チャムさんは、もう一人のおちんぽが大きい男の子をいつもの魔法で強制的に着替えさせていたので、僕は男の子のネクタイを奪った。
「僕にかして、着せてあげるよ」
「あっ、ありがとう」
人のをやるのってちょっと難しいな、と少し固まると、男の子は何か言いたそうに口を動かしていた。
「ん、どうしたの。息が苦しかったりする?」
「大丈夫。……ただ、何で出来るんだろうって聞こうと思ったんだ」
「ああ、年に数回だけネクタイをする学校に通ってたからだよ」
「そうなんだ!僕も昨日まで士官学校に通ってたんだよっ……昨日までは……ううっ」
だから着替えるのは早いんだな、と少し納得した。
男の子は昨日までの日常を思い出して、首輪を触ってまた泣きそうな顔になっていた。
「僕は正大、君の名前は?」
「ラインハルトだよ」
「ラインハルトぉ!?すっっごいカッコイイ名前じゃん!いいね!」
「えへ、そうかなぁ……?名前を褒められるなんて初めてだよ」
「二人もいい感じに着替えれたみたいなんで、部屋に案内しますよー」
チャムさんの大きな声で、話が途切れる。
もう一人の男の子を肩に担いだまま前を進むチャムさんについて廊下を歩くと、廊下の終わりに扉があって、さらに螺旋階段が続いていた。
一つの階層を見送って、階段が終わった三階の扉を開けると、廊下の端から端までマンションのように扉が並んでいた。
「はいっ、ここが君たちの待機部屋ねっ」
チャムさんは部屋番号が『8』とある部屋の扉を開けると、中へと入っていったので、僕とラインハルトも続く。
部屋は二段ベッドが壁際に二つ並び、クローゼット、化粧台の鏡には布が被せられており、椅子が四つある。
チャムさんは担いでいた男の子をベッドに置くと、はね出し窓を開けて部屋の空気を循環させた。
「やっぱり、三階だと中庭がよく見えるわ。あっ……〈マジック・エンド〉。そうそう、私は別の仕事があるからもう行くけど、この部屋の中で待つように」
チャムさんは、余分な椅子を一個引いてどこかへ行ってしまった。
部屋には、僕たち三人だけが残されて、微妙な空気が流れている。
「ね、起きて」
「──起きてるよ」
「わっ!びっくりした」
ラインハルトが男の子を揺らすと、むくりと上体を起こして、素早く立ち上がった。
僕よりも、この子の方がずっと身長が高い。
「僕は正大。君は?」
「オレはチャボ。茶髪の坊主で、チャボな。そっちのちっこい金髪猫は?」
「金髪猫……猫っ毛だけども。ラインハルトだよ」
「しょうたにラインハルトね……。オレはここのベッド使うから。お前達はそっちのベッドを二人で使ってくれ」
……はい?
「うん、そうするね。しょうたは上と下どっちがいい?僕はどっちでもいいよ!」
「……上、かな」
僕だって一人で使うベッドがいいのに、こいつ……と何か文句を言おうと思ったけど、二つ返事でニコニコしているラインハルトに、毒気を抜かれてしまった。
部屋に残った三つの椅子から一つ取り、僕とラインハルトのベッドの横に移動させておくと、ラインハルトもその横に椅子をピッタリと並べて座った。
チャムさんが中庭があると言っていたけれど、どんなものか窓辺に寄って眺めてみた。
「わぁ!花がキレイだね。ね、しょうたもそう思うよね」
「うん。中庭を囲うように、建物があるみたいだ。あれはお客様と先輩の男娼かな」
「……ほんとだ。あの男娼の人も、首輪が無いね」
「ラインハルトって、目がいいんだな。僕には分かんないよ」
「いや、目は特別よくはないよ?ただ、僕も少しだけ魔法が使えるんだ。常に発動しているタイプで、気分に左右されるから使い勝手は悪いけどね」
「へぇ、でも魔法が使えるなんて凄いね」
「ケッ……どんだけ努力しても、女の魔法には勝てっこないけどな」
……そういえば、この中だと一番おちんぽが大きいのはチャボだっけ。
僕達よりも魔力があるチャボはきっと、僕はもちろん、ラインハルトよりもずっと魔法の才能があって、それでも女性には勝てないという結論を出したのだと思うと、ヤネットさんを孕ませるという僕の夢がより遠くにあるのだと感じてしまった。
諦めはしないけど。
開いているはね出し窓はそのままにして、僕は椅子に座ると、ラインハルトもまた横に座った。
「ねぇ、しょうた!」
「悪いけど、ちょっとうるさいよ。あと椅子はせめて片手距離ぐらい離してほしいかな」
「ご、こめん……ごめんなさい」
「いや、そんなに重く受け止めないでよ」
さっきから、椅子に座ったかと思えば窓辺に来て、カルガモの赤ちゃんみたいに後ろをついてくるラインハルトのことをなんだと思っていたけれど、笑顔のままフリーズして、目のハイライトが消失するのは怖いからやめてほしい。
魔法が気分に左右されるって、そういうことなのだろうか。
「さっきまでの、ちょっとうるさい僕は今から殺して、次に重い僕を殺して、物静かな僕になるよ。だから、嫌いにはならないでね?イナクナレイナクナレイナクナレ──」
「ラインハルトぉ!?僕は明るくてうるさい君が好きだよっ」
「──ぷっ、あははははっ!騙されたっ」
「え?」
「演技だよ、えーんーぎっ。びっくりしたでしょ!」
「な、なんだぁ……危うく心臓が飛び出すところだったよ」
「大袈裟だなぁ。でも、仲良くしたいのは本心だよ?」
ラインハルトは笑顔で目を細めたまま、腕を伸ばしてきた。
僕は一拍遅れて、その手を取った。
「ああ!こちらこそ。僕と君はもう友達だよ」
「しょうたと友達……嬉しいなぁ」
ラインハルトの青い瞳が、夜空に宝石を散りばめたようにギラギラと輝いている。
それが何だかとても恥ずかしくて、僕は顔を反らして空咳を一つして誤魔化したのだった。
扉を二回ノックする音が聞こえたのは、そのすぐ後のことだった。
■
ノックの音に反応して扉に視線が集まる中、せっかちな「入れてもらえますか~?」という大人な男の声にひるんで、咄嗟に言葉が出なかった。
「鍵なら開いてるぜ」
チャボが、ベッドで横になりながら返事をした。
「あら、本当だ。ずいぶんと不用心だね君達……。そのおかげで重い荷物を背負ったまま待たされずにすんだわけだが。よいしょ、と……ここに道具を置かせてもらうが、構わないね?」
男性の滑舌が悪いのか癖なのか、『き』が上手く発音出来ていなくて、「ちみたちぃ」と聞こえてくるのが気になった。
「はい。問題ないですけど、それにしても……」
「しょうた、凄い道具だね!あれ、写真撮影の道具だよ」
言われてみれば、確かにこの大きな銀の円盤は、テレビ番組のドラマで見た覚えがあった。
「おおっ!正解だよ君ぃ。男娼にしては、教養があるね」
「えへへっ……」
「照れるなラインハルト、オレらのことを馬鹿にされてるんだぞ」
「えっ、そうなの?」
「とぉんでもない!子供は褒められたら、素直に受け止めるべきだ」
「……それで、お兄さんは写真の道具を持って、何をしに来たんですか?」
話がちっとも進まない気がしたから、僕が質問をすると、男性は、フッ、と嘲るように小さく鼻で笑った。
「写真の道具を持ってきたんだ。仕事で君達の宣材写真を撮りに来たに、決まっているだろう。頭を少しは働かせたまえ」
「……すみません。確認は大事ですから」
自分のペースを崩されると口撃してくるタイプだな、と僕はジト目で謝った。
「まぁ、今の一連の言葉のやりとりで君達のイメージはだいたい分かった。さて、誰から撮る?」
僕の椅子は邪魔だと端へどかされて、壁を背景にしたラインハルトの椅子が中央にセッティングされた。
「じゃあ、僕からっ!ラインハルトです」
「君かぁ……とりあえず座って」
「は、はいっ」
「表情がかたい、緊張しているな……黒髪の君、彼の肩を揉んでほぐしてこい」
「……僕は、いつからあなたの助手ですか」
「うるさい、早くやってこい」
こ、このう……。
「ごめんねしょうた、僕が緊張してるせいで」
「気にするな。ラインハルトは、自分をよく見せようとしすぎなんだって。ほらっ、リラーックス。深呼吸ーっ」
「うん。すぅーーはぁーー。……落ち着いたみたい」
「黒髪の君、もういいからさっさとこっちにこい」
「……今いきまーす」
カシャッ。
「そのままの姿勢から踵を外へ向けて、膝を合わせて。右膝だけ下へ落とそうか。そう。腕はお腹の前で、少しだけ前のめりになろうか。顎が出てる、顎を引いて」
「えっと、こうですか?」
カシャッ。
「よしいいぞ!次は誰だ。そこの茶髪いくか?」
「ああ、サクッと撮ってくれ」
「そうだな。君の場合は、椅子の前後の向きを変えて跨がろうか。足は前に投げたして、背もたれに腕を伸せて、親指のつけ根の、膨らんでいるところをマッサージしてみてくれ」
「……これでいいのか」
カシャッ。
「あくびをしつつ、椅子を前に倒して、前に進んできてくれ」
「ハァ?何だそのふざけた指示……やれっていうなら、やるけど、よっ……ふぁっ」
……ガタンッ!
カシャッ。
「よし、なかなか挑戦的な絵が撮れたな。黒髪座れぇっ!!」
「なんで僕には、高圧的なんだ……」
カシャッ。
「よし、もういいぞ」
「ちょっと僕だけ、扱い雑すぎませんかっ!?」
さすがにこれは酷すぎると、僕は待った!をかけるように、右手を前に突きだしながら立ち上がった。
カシャッ。
「あっ」
「うむ。なかなかいい表情をするじゃないか」
最後にしてやられたと、シャッター音の後に気がついた。
「仕事は終わり、後は写真を提出して報酬を受け取るだけなのだが、個人的趣味の方の写真に付き合ってくれた君達には、部屋を去る前にこの写真を贈るのが筋だろう」
「個人的趣味って?」
そう聞くと、男性はまた僕のことを、フンッ、と鼻で笑った。
「二枚目の写真が、宣材写真に使えるわけがないだろう!……私の趣味、触媒魔法の進歩によって可能となった、合成写真用の素材だよ」
出来立ての熱い写真を三枚、裏側にして僕たちに押しつけてきた男性は、部屋の一角に置かれていた、無駄になった大道具を全て器用に背負った。
「ぷっ、あははははっ!なにこれっ」
「オイ!あんな変な指示のせいで、オレだけ間抜け役じゃねぇーかよっ!」
先に写真をみた二人の反応の後に、僕も写真を裏返した。
そこには僕達の三つの写真が重なり合って。
僕がチャボの背中を押して、今から転ける三秒前なチャボと、咄嗟に体が動いたけど手を伸ばすのを躊躇うラインハルト、という一つの物語になっていた。
……クソコラじゃないか!
「クックックッ……それっ、最高にくだらないだろ?くだらないのが、いいんだよ。いつかわかる」
男性はそう言って、上着の内ポケットから透明なケースに入った黄ばんだ写真の端だけチラリと見せて、また戻すと、扉を開けたまま廊下へ歩いていった……。
「あ、みて。写真立てが三つあるよ!」
ラインハルトに言われて、ようやく僕も化粧台に置かれている写真立ての存在に気がついた。
いったい、いつの間に仕込んでいたんだろう……。
「全部破りてぇ……」
「だ、だめだよっ!写真なんて高級なもの、僕たちに次は無いかも知れないんだから。大事にとっておかないと!」
「そんなに嫌なら、僕たち三人とも、写真を裏側にして飾ればいいよ。それならチャボは見なくてすむし、部屋にきた誰かにも見られずにすむ」
「チッ……わかったよ」
それぞれが、空きベッドだったり、クローゼットの中だったり、枕の下だったりと、好きな場所に写真立てを置いた。
秘密を共有したことで、チャボとも少し距離が縮まったような気がした。
四話は削りました。なろうで投稿してた時は自他認める酷さで、更新したのにブックマーク減ったんすよ()