「失礼します」
恐る恐る扉をノックすると、向こうから奇妙なほどに優しいような、どこか蛇のような声がした。先生、普段はもっと厳しくて、例えば遅れての課題の提出なんかも事前に終わりそうにないと言わないと認めてもくれない。
ドアノブに触れると静電気が手を刺激した。生徒指導室の中に入ると、カーテンをしめ切った暗い部屋で古臭いストーブがひとりごうごうと音を立てていた。
「寒くないかな」
「あの、話っていうのは」
寒いとか寒くないとかそんな話なんてどうでもよくって、どうせ出席日数か成績が不足しているなんて話だろう。容易に想像がついていたし、それも僕のせいなので先生の目など見ていられない。
「知っているかもしれないけれど、酒匂、ええと……」
「留年ですよね、わかってましたから」
先生の手が、ぴくりと動いた。
「でも、酒匂がご両親と上手くいっていなくて辛いのも知ってる。色んなことで板挟みになってるのも知ってる」
先生はあまり生徒と話をする人ではないけれど、それでも担任として、学年長としての責任はある。思っていることを率直に伝える人でもないけれど、それでも生徒思いだ。
「だから、その、こういうことが良くないのは分かってるんだ。酒匂が留年したくなかったら……」
先生の目が、僕の眉毛から目、唇から首、胸へと動いた。そのまま立ち上がってこちらに寄ってきて、両肩に手を置かれた。服越しなのに、ストーブに当たっていたわけでもないのに、やけに熱がこもった手だった。
「先生? 肩になにかのってましたか?」
あまりにも予想外で、声がうわずってしまう。先生は顔を寄せて、言うところにしたら留年を取り消すとささやいた。それから、あついだろうと言ってブレザーを奪った。
「やめてくださいっ」
まさかそんなことだとは思わなくて、先生を跳ね飛ばすくらいの勢いで立ち上がってしまった。
「いったいなぁ、酒匂」
先生の口元が少し歪んで、下卑た顔になってきている。いままでに見たこともない表情で、そんな顔を先生がするとは思わなくて、背筋が凍った。声も出なくなった。そんな僕のことなんていざ知らず、先生は背後から首筋に手を添えてきた。
「四月より痩せたっぽいなぁ」
「先生っ」
言葉は気持ち悪くて仕方がないのに、大きくて熱い手で触れられてくすぐったい。その手は牛の乳搾りをするみたいな動きで首をまさぐり、そのまま鎖骨まで降りてきた。
「ボタン外すからな」
ブラウスのボタンが鎖骨を自由に触るのを邪魔しているらしい。リボンも外されてしまって、この次は脱がせられてしまいそうだ。
「ま、待ってください、そんな」
先生の言うボタンは、第一ボタンだけじゃなかった。脱がされはしなかったけれど、ブラウスがはだけて下着があらわになってしまう。背後から鎖骨のくぼみに親指を添わせられて、手のひらが心臓に近いところにあって、人肌恋しい気持ちが少し和らいだ。
「結衣、耳、真っ赤だぞ」
当たり前だ、僕だってこんな恥ずかしいことをされたらそうなるに決まっている。さらに言えば、いきなり名前で呼ばれたのならもっと恥ずかしい。先生は髪の匂いまで嗅ぎ出して、鼻息だけでも卑猥に聞こえてくる。
今までより密接に、先生の脚が僕に触れた。腰の辺りに先生の興奮したそれを押し付けられて、幼馴染のお家に泊まった時のことが思い出された。体を翻して先生と向き合い、男性器を服の上から手で包むようにする。
「言わなくてもわかってるんだな」
「こんな下劣なひとだなんて思いませんでした」
金属音――ベルトを外す音がして、先生の肉棒は硬くて熱くてグロテスクな様相をありのままに見せていた。根元からしごくと先端から性的な匂いの液が出てくる。手を上下させるほどに先生の吐息が荒くなっていった。
「その口でしてみなさい」
跪いて命令通りにする。舌で先生の性器に唾液を塗りたくり、そして口でくわえ込んだ。口内で肉棒をまさぐるようにして舌を動かし、時には頭を前後に動かす。こんなことをしていたら、きっと口が変な匂いになってしまいそうだ。
「ちゃんと口をすぼめたりしてみなさい」
頬をへこませて前後すると、先生の男根がびくびくと跳ね始めた。先生が急に頭をつかんできて、喉の奥に先端を押し当てて息ができない。その直後、先生の吐き出した精液が喉を下っていった。その量は尋常じゃなくて喉から逆流してくるし、苦くて飲み込めたものではない。せき込んで精液を床にこぼすと、お仕置きが必要だ、と立たされてスカートを脱がされてしまった。
太くて長い指が、僕の一番女の子らしいところを撫でまわす。幼馴染としたときは、こんなに心拍数も跳ね上がらなかった。バレたらどうしようという不安だけじゃあなさそうだ。
「こら、なんで濡らしているんだ」
「んっ……せんせ、そこはだめっ」
パンツをずらされ、一本、二本と指が入っていく。自分でするときはこんなに深いところは触れないから、「だめ」なんてことはなかった。先生の指が膣の中で曲がり、一番気持ちのいいところを探し当てられる。立っていられないくらいに気持ちがよくなって、腰がびくんびくんと跳ねたのを知られてしまい、そこを何度も何度も刺激された。
「そんなにいいのか? 結衣」
名前を呼ばれた途端に、子宮のあたりがきゅんとした。それと同時に、膣から愛液が溢れ出してきた。
「ごめんなさいっ、あっあぁぁあっ」
先生のワイシャツを汚してしまった。先生はカフスボタンを外して、全裸になった。
「悪い子だよ、まったく。そんなに汗だくなら、結衣も脱いだらどうかな」
言われるがままにブラウスを脱ぐと、先生がブラジャーのホックを外して胸を少しの間撫でた。胸のあたりで体温を感じると、やっぱりどこか安心してしまう。
先生はそのあと壁に手をついてお尻を突き出すように指示した。後ろから、性器同士をこすり合わせられる。もどかしい気持ちになって腰を動かすと、自然と
「いれてください」
なんて下品な言葉を発してしまった。先生はそれでも先っぽだけしか入れてくれない。
「結衣、お前が下なんだ。ちゃんとおねだりしなさい」
「奥まで、ください、せんせいのしたいように、してくださいっ」
本当に、ルルちゃんとした時とは別の気持ちだ。あの時は、もっと心が満たされる感じだったのに、今は身体が、肉欲が第一なんだ。
先生は満足げな感じで腰を打ち付けてきた。それからねっとりと前後に動き始めた。乳首をつねられ、肉棒を締め付けてしまう。いい具合だぞ、そう言われると一層と膣が締まっていく。
「んん……せんせ、はやくっ」
先生は僕の期待を汲み取って、より速く腰を動かした。さっきまで胸をまさぐっていた手も、今ではがっしり腰を掴んでいる。ものみたいに扱われているのに、求められているんじゃないかと思うと少し嬉しい。
「さっき出したばっかりだから……はぁ、もうすぐいきそうだ……」
荒い吐息が震えている。腰の振り方が乱暴になって、一回一回の振りで奥がえぐられる。
「あぁうっ……んっ、そとに、だしてっおねがいっ」
先生の動きが止まって、僕も腰を反らした。先生がお腹と胸をなでる。どうしてだろう、奥のほうがなんだか熱い気がする。頭の中が真っ白になった。これで妊娠なんて、親にも捨てられてしまう。胸騒ぎが激しくなっていった。
「せんせ……? だしちゃったんですかっ」
すると先生はまた動き出した。
「焦るところが見たかったんだ」
本当にひどい人だ。それでいてごめんねと言いながら耳を甘噛みしてくるので、これまでにないくらい膣で締め付けてしまう。
「ひどいっ……あぁっいくっいく」
僕のなかがひくひくとするのを確認して、先生は男性器を引き抜き、僕のお尻に精液をかけた。汗とまじりあって変な感覚だし、ストーブの熱気と汗と精液と愛液とがまじりあってひどく変態的な匂いだった。
「これで、留年は……なくなるんですよね」
そうじゃなかったら、身体を売った意味がない。精液も汗も拭きながら、下から先生を見る。
「明日から三日間、放課後を使って、留年かどうかを決める試験をすることになっているんだ。あとは、わかるかな」
先生はまた、僕の身体をなめ回すように見た。三日間の試験なんてなくて、先生と肉体を交えるだけなんだ。確かに求められるのは嬉しくないわけではないけれど、それでも、ルルちゃんとしたときより悲哀にまみれた気持ちだった。こんなことを両親になんて知られたくない。ルルちゃんに呼ばれたことにして、ルルちゃんのお家に泊めてもらおう。あの子と一緒にいれば、こんな身体を気にしなくて済むだろうから。