熱い夜を君と 作:半ライス大盛り
お久しぶりぶりブリッツガンダム。
言い訳はしませぬ。ええ、エタってました。
ブルアカの小説に逃げてました、はい。
そういえばアークナイツアニメ化おめでとうございます(今更)
アプリの方もモンハンコラボでキリンヤトウ当ててからしばらく触ってなかったんですけど、久しぶり起動してガチャ引いたら初日の単発無料でヴィルトゥオーサ確保できました。
ストーリー追えてないんで読み直さないと…。
今回はスルト編ですね。こんなの解釈違いよ!なんて方もいるかもしれませんが、深く気にせず読んでもらえれば幸いです。
誤字報告やここすきなんかもらえると喜びます。
ぼんやりと目に映る景色を眺める。
吐いた息で白く曇った窓ガラス。
陰鬱とした空に風が吹き荒れ、雨粒が窓ガラスを絶え間なく叩く音が響く。頬杖をついたまま片手の指でなぞるよう白く曇った窓ガラスを拭う。
見通しの良くなった景色、色褪せたような光景が視界の端から端へと流れて消えていく。
ただゆっくりと、時間の感覚を忘れてしまいそうになる静かな空間。
チッ…チッ…と、殺風景な部屋の中にぽつんと取り残されたように置かれたアンティーク調の小さな時計が一定の感覚で秒針を刻む音に混じりながら、窓ガラスにぶつかる雨粒の音だけがひっそりと室内に鳴り渡る。
───そういえば“あの日”も雨の降りしきる一日だった。
そんな事を考えて、無意識のうちに首に掛けた
決して保存状態が良いとは言えないものだが、
「………やめよう。うじうじと感傷に浸るなんて、私らしくもない」
気候も悪くじめじめとした空気のせいで昔の事を思い出して、なんだか煢然とした気分になってしまった。
このままではダメだと気持ちを切り替える。
こんな時こそ、混乱する思考の渦から自分を救い出して落ち着かせてくれるアイスクリームの出番だ。アイスクリームという自分を癒し、救ってくれる存在にはいつも助けられている。
封を切り食べかけのまま放置していたアイスクリームの存在を思い出して手元に視線を向けた。
「………溶けてる、だと……っ」
ハッと、息を呑む。
まるで余命宣告でも受けたかのように、現実を受け入れられず呆然としながら呟きが溢れ落ちた。
思っていたよりも長い時間思考に耽ていたのか、紙製の容器に入っていた食べかけのアイスクリームはドロドロに溶けて液体と化していた。
お前は一体誰の許しを得て溶けているんだと、放置していた氷菓に対してあまりにも理不尽な怒りを抱いて女々しそうに視線を向ける。
今すぐにアイスクリームを食べたいところだが、自分が保存しておいたのは目の前にあるこれ一つだけ。冷凍し直せば食べれないこともないだろうがそれでは時間が掛かる。
脳内で思考を回転させる。
どうするべきか、悩みに悩んで思い出した。
そういえば艦内の購買部兼研究室とかしている場所にいる喧しい変人のブラッドルードが新しいアイスのフレーバーが入荷した、なんて数日前に騒いでいたのだ。
そうと決まれば早速購買部に向かい新作を手に入れよう、そう結論を導き出して動き出す。
溶けていたアイスクリームを放り投げるように冷凍庫へ入れる。嫌いではないが同じものばかりでは流石に飽きがくるものだ、新作フレーバーの存在に期待を馳せて心なしか足取りが軽くなるのを感じた。
そして部屋を出てすぐの曲がり角、見知った顔に遭遇する。
「……あら、スルトじゃない。」
「んっ……なんだメテオリーテか。生憎と私は急いでるんだ用があるのなら後にしてくれ」
「急ぎって、今日はお互いに非番よね。何かあったの?」
「新作フレーバーのアイスクリームが購買で私を呼んでいる、だから一刻も早く私はアイスクリームの元へ向かわないといけない」
「へ? そ、そう……偶にあなたの事がわからなくなるわ」
カツカツと、艦内の長い廊下に足音が鳴り渡る。
スルトと呼ばれたサルカズ族の女性。頭部にはサルカズ族特有の鋭い漆黒の角が存在し、灼熱のように真紅に染まる長い赤髪を揺らしながら彼女は迷いなく通路を歩き進む。
なんだかキラキラと瞳を輝かせているスルトの様子に苦笑いを浮かべながらスルトと同じサルカズ族の女性、メテオリーテはそんな彼女の隣を歩きついて行く。
「そういえばあなた、前の任務の時に単独で動いて派手に暴れたそうね。あなたと一緒に行動してたオペレーターが、自分とは噛み合わないって相当怒ってたわよ」
「?………前の、任務…?……ああ、あの時のか」
「ちょっとなによ今の間は、あなた絶対覚えてなかったでしょ」
「そんな事はない、ちゃんと覚えてる。ただ私にとってはどうでもいい事なだけだ。それにケルシー先生からも大したお咎めはなかったからな、私は悪くない」
「はぁー……あなたねぇ、もう少しこう、あるでしょ。」
「特にない」
傍若無人とでも言えばいいのか。
いつも通りのマイペースな様子に呆れるどころか感心してしまいそうになる。スルトと同じく購買部へと向かっていたメテオリーテは道すがら自分の中で気になっていた話題を振り、世間話に花を咲かせていた。
二人は以前とある任務で一緒に行動するようになった後、任務以外でも何度か顔を合わせる機会が多かった事から気安く話しかけるくらいには親しくなっていた。
会話を弾ませていればあっという間に目的地の購買部へと辿り着き、各々が棚に陳列された商品を見て回る。
「………」
そしてすぐにお目当ての新商品を見つけたスルト。
カップアイス、棒アイス、それらをいくつか纏めて手に取ると、おやつやアイスなどの飲食以外で普段あまり使う事のない給料で足早に会計を済ませる。
店員の喧しいブラッドルードがオススメの商品はあれやこれやと何か言っていた気がしたが、適当に相槌を打って長い世間話を右から左へと聞き流していた。
「?──ねえ。もしかしてだけど、機嫌悪い?」
「……いきなりなんだ、機嫌が悪い? いったいどこの誰が?」
「いや、目の前にいるあなたがよ。雰囲気というか、さっきからすごい怖い顔してるわよ。自分で気づいてる?」
「……別に、そんな事はない」
隣いたメテオリーテの発言に、はぁ? と表情を歪め疑問符を浮かべながら彼女の方に視線を向けたスルト。だが純粋にこちらを心配し様子を伺ってくるメテオリーテの指摘に思うところがあったのか、僅かな沈黙の後居心地悪そうに顔を顰めて視線を逸らした。
スルトは自分の機嫌が、虫の居所が悪い理由なんて検討はついていた。だからと言ってその感情を言葉にして現そうとは思わなかった。彼女自身にもうまく説明できないが、なんとなく嫌だったから。それをしてしまえば歯止めが効かなくなると思った。
重く息を吐いて歩き出す。
メテオリーテはそんなスルトの様子に、それ以上踏み込みようなことはせずに彼女の歩幅に合わせてゆっくりと歩み寄る。
「……そういえば、朝方ケルシー先生から緊急で“連絡”が届いてたけどもう確認した?」
「んっ………連絡?」
封を切ったスイカ型の棒アイスを咥えながら不思議そうに首を傾げるスルトの様子に、あ…確認してないなこれ、とメテオリーテは瞬時に理解した。ロドス職員またはオペレーターが支給されている情報端末をなぜ確認していないんだと呆れてしまう。
大事な要件や自分が興味を惹かれる事以外はあまり関心を示さないスルト、そんな彼女に後で確認しろと伝えたところでどうせ意味はないだろうと考え簡単に纏めた情報を口頭で伝える。
「なんでも、龍門の方からお客さんが来るらしいわよ」
「だからお行儀よくしてろって? そんな事言われなくても問題を起こすつもりはないし、そもそも
心の底から興味がないと言った様子のスルト、なんだか棘のある彼女の様子にメテオリーテは重い息を吐いてしまう。
それと同時にやっぱり機嫌悪いなこいつと確信した。
自分に面倒事が回って来る前に機嫌を直して欲しい所だが、普段のスルトの行動や様子を見ていてもその原因に思い当たるものはないので彼女にはどうしようも無い。
どうか面倒事に巻き込まれませんようにと切に祈るばかりだった。
───そんな時だった。
「………なにかしら?」
「あむっ………んん?」
ロドス艦内に存在する訓練棟、在籍するオペレーターたちが使用するトレーニングセンター。訓練場から居住区画へと繋がる通路の方からガヤガヤと騒ぎ立てるような声と複数人が歩いて来る足音が聞こえてきた。
訓練場からオペレーターが戻って来たのだろう。
メテオリーテは近づいてくる気配にそう考えて通行の邪魔にならないように横に避けた。面倒くさそうにしながらもそれに続こうとしたスルトだったが、
「いや、だから何度も説明してるだろ……!」
「あ、あんな抽象的な説明で理解できるわけないだろ! もっとこう、アーツ学の理論になぞった具体的な術式の解説とか! ほらこう、あるだろ!?」
「あったらとっくに教えてるっての。俺の『斬撃』のアーツも多少関係してるが、そもそもあれは術式云々じゃなくてアーツと剣術を組み合わせたただの技術なわけ。具体的な説明を求められた所でこれに関してはマジで経験と感覚なんだよ! 俺からしたら出来るからやってるだけで、イメージなんだよイメージ! 」
「はあっ!?」
言葉も出ないとはこういう事か。
ロドスのオペレーターであるサルカズの少女、ラヴァはなんだか頭痛がする頭を押さえて深い溜息を吐いてしまう。
ジロリと睨むように視線を向ける眼前には自分と同じサルカズであり、黒いスーツとコートに身を包み首から入館許可証を下げた男の姿がある。
男の頭を抱えたくなるような抽象的な言動に、もしかしたら自分の身内の姉貴がお姉ちゃんモード全開の時と同じくらいの語彙力なのではないかと嫌な推測が脳裏をよぎる。
そんな困り果てたラヴァの姿を見て愉快そうに笑っているニェンに対して、がなるように声を張り上げてしまうのは仕方ない事だろう。
「あ〜、くそ……おいニェン! お前が連れて来たこの男使い物にならないぞ!」
「あ? んだとこのチビスケ。お前が見たがってた“空間を切り裂く斬撃”を見せてやった時は、ガキみたいにはしゃいでめちゃくちゃテンション高かった癖に」
「う゛っ……べ、別にそこまでじゃない! ただちょっと驚いただけだ!」
「ほぉ〜ん? ……因みにだが、文字通り“飛ぶ斬撃”ってのもあってだなこっちは割と簡単に出来ると思うぞ。派手だし中々使い勝手もいい……どうする?」
「………い、いいだろう。詳しく話を聞こうじゃないかっ」
ピクピクッ、と反応を示したのを見逃さない。
表面上では仕方なくと悪態をつくような態度を取るラヴァだったが、言葉の端端で興味や期待から声を上擦らせているの隠すことが出来ていない。
まるでクリスマス前にやたらソワソワしている子供の様子を見ているようで、ベリアルとラヴァの訓練のやり取りを適当な場所に腰を下ろしながら見守っていたニェンはニヤニヤと声を押し殺して笑ってしまう。
「うし………少し、威力は抑えるか」
心なしかキラキラと期待を込めた眼差しで凝視してくるラヴァを尻目に、ベリアルが抜刀した刀へと浸透させるように刀身を指先で撫でながらアーツを纏わせる。
一瞬、バチチッと耳をつんざくような音と共に赤雷が迸る。
水平に構えた刀を軽い動作で横凪に振るえば、三日月型の斬撃が空気を震わせ地面を抉りながら伸びていく。
訓練場の的どころか訓練用の強化防壁が轟音を響かせながら弾け飛ぶ様にラヴァが渇いた笑みを浮かべる。
「とまあ、こんな感じだ」
「………お前って術師だったけか?」
「いや、ロドスのオペレーターでいうと前衛ってとこだな。遠くからアーツでちまちま殴るのは性に合わないし。今のも斬撃にちょっとアーツを上乗せしただけだな」
「……それでこの威力か」
欠伸をこぼしながら答えるベリアル。
先程の軽い動作からして適当に放った技なのだろうとラヴァは推測する。
だというのに着弾点は源石爆弾や高度な鉱石術でも使ったかのような有様。その凄まじい威力に驚いてしまう、ニェンに視線を向ければ何故か彼女は後方腕組み姿勢で自分の事のように満足げにドヤ顔で笑っている。それがちょっと腹立たしい。
ベリアルは手首を回し刀を順手から逆手に持ち替えて、鯉口をなぞりゆっくりと鞘へ納刀する。それが中々様になっている姿に思わずラヴァは見惚れてしまった。
「ちょいとコツはいるが、適度に筋肉つけてアーツ操作に慣れちまえば簡単だ。こういうアーツの変換術とか応用の効く技は龍門の近衛局でも戦闘訓練とアーツの座学なんかでやってたな」
「龍門の近衛局って……そんな簡単に教えてもいいヤツなのかこれ」
「んま、大丈夫だろ。なんか文句言われたら俺の名前出せばいい、そこそこ顔は効く方だからな」
近衛局で教えているような事を外部の人間に教えても本当に大丈夫なのかと心配になるが、なんて事はないと言った様子で歯を見せて笑うベリアルの言葉を訝しみながらもまあいいかと信じる事にした。
本人が問題ないと言うのであれば是非もない。
心置きなくベリアルが扱うアーツを学ばせてもらおうと、自分の力を磨き知識を得る事に対して意欲的であるラヴァは鋭いナイフの形をしたアーツユニットを手に取る。
向上心は十分なようで、やる気満々といった風なラヴァにベリアルも笑う。
「アーツを扱うにあたって大事なのは本人の発想や想像力だと俺は思ってる。もちろん学なんかも大事だが、どれだけ知識や理解を深めたところで結局はソイツのセンスで能力の底も決まる」
「なら、どうするんだ」
「まずは今の自分の限界を知れ、んでもってそこから掻き集めて工夫しろ。後はそうだな………とりあえずどこかで飯でも食いながら話すか、腹減ったし」
「……はあ??」
なんだか指導者らしい事を言っていたベリアルに感心していたというのにいきなり何を言い出してるんだコイツは、そう思い表情を歪めるラヴァ。そんな彼女に苦笑いしながら背後に指を向けるベリアルに釣られて振り返れば。
「なぁー、暇だ暇。暇すぎて死んじまいそうなんだが! いつまで二人で喋ってるんだよ〜。時間だっていい頃合いなんだからメシでも食いに行こうぜ、腹減っちまってしょうがねえんだって」
ぶーぶーと頬を膨らませ不満を漏らすニェンの姿があった。
まるで駄々をこねる子供のようだ、そんな彼女の様子を見てラヴァは深いため息を吐いて肩を落とす。自由気ままで手前勝手な性格なのは知っていたが、今日はいつになく我が強い気がする。
「なら食堂にでも行って来ればいいじゃないか」
「いやぁ、ロドスの料理はなんかな〜。ほらこう、全体的に味気ねーんだよな。かといって龍門の方まで飯を食いに行くのメンドーだしな、あそこのメシも悪くはないんだが味付けが物足りねえんだよ」
「……お前文句ばっかりだなぁ」
「当然だろ。アタシは美味いメシに拘る方だからな。だけどまぁ、今回は無問題だ。なにせとびっきり腕の良い料理人を連れてきた事だしな!」
「料理人?」
なんの事か理解できないラヴァはニェンの言葉に首を傾げる。
その横ではそんな事だろうと予想していたベリアルはげんなりとした表情を浮かべている。そんな様子に気がついて、思わず驚愕の表情に染まる。
「……え、料理できるのかオマエ」
「あー、まぁ一応な。一時期コイツの我儘に付き合ってる内にメシを作らされるようになってな、おかげさまで献立のレパートリーと食費が増えた」
「おう。感謝しろよな」
「誰がするか、嫌味に決まってんだろ。まじでタダ飯強請りに来るのやめろ」
「ハッハァッ! いいじゃねぇか別に。一人寂しくメシを食うよりもアタシと食った方が楽しいだろ?」
「………」
歯を見せて笑うニェンのあまりにも嬉々とした態度と言葉に返す気力すら失せたようで、ベリアルは何も言わずに頭を掻くばかりだ。ラヴァはそんなベリアルの姿に心中で同情する。
同時にニェンに振り回されている自分も側から見ればこんな感じなのかと考え、頬を引き攣らせて笑うしかなかった。
ニェンに急かされるまま訓練場の後片付けを行い、後日時間が取れた時にまた訓練に付き合う事を約束したラヴァとベリアルはニェンに引き摺られながら訓練場を大きな扉を潜りその場を後にした。
「………おい」
そんな時だった。
訓練場を後にして、食堂を目指して訓練棟から居住区画へと繋がる通路を抜けた先にある開けた空間。まるで溢れ出す何かを必死に抑え込んだような重く震えた、
ギギギ、と錆びついた機械のようにゆっくりと振り返ればそこには記憶通りの人物がいた。鮮血のごとく染まる赤い前髪の隙間から覗かせる菫色の鋭い眼光に射抜かれる。
予想だにしていなかった再会に息が止まる。
「………げ、元気そうだなグオッ!?」
「え?なに? よく聞こえなかったからもう一度言ってくれない?」
「痛っ…お、おまえ……いきなりなにしやが、痛、ちょ続け様に蹴り入れてくんなって!?」
「へ……ちょ、ちょっとすすす、スルト!? あなた何してるのっ!??」
「?……蹴りを入れてる。ああ、気にするなコイツとは知り合いだ」
挨拶代わりに放たれた鮮やか蹴り。
弧を描いた爪先が吸い込まれるようにベリアルの脇腹へと叩き込まれた。痛みに悶えて膝を突き蹲るベリアルだったが、そこへ追い討ちを掛けるスルトの蹴りが踏み潰そうと繰り出される。
ポカン、と目を点にしながら固まっていたメテオリーテが慌てて止めに入ろうとするも、その横で何かを察して嗤うニェンに肩を掴まれて止められる事となる。ひとしきり蹴り終えて満足したのか、深く息を吐いたスルト。されるがままとなりボロ雑巾とかしたベリアルの襟首を掴むとギロリと睨むようにラヴァへと視線を向けた。
「悪いけどこの男は借りていくぞ。問題ないな」
「ど、どうぞ」
「そうか、感謝する」
突然の事に訳も分からず固まっていたラヴァ。
有無を言わせず視線だけで人を殺せそうなスルトの眼力に、恐れをなした彼女は自分の命とベリアルの命を天秤に掛けた結果ベリアルを見捨てることにした。ズルズルと引き摺られていくベリアルの姿に生きて帰って来てくれることを願うばかりだった。
不機嫌そうにズカズカと足音を鳴らして歩くスルト。
そんなに彼女に声を掛けるものがいた。
「ふぅーん……なァ、そこのサルカズのお嬢さんや、一つだけいいか?」
「………なに?」
不機嫌な態度を隠そうとせずに視線を向けてくるスルト。
ニェンはククク、と喉を鳴らし持っていた扇で口元を隠して笑う。
「別にその男を貸してやるのはいいがァ、ソイツは”私のモン“だからな。借りたからには、ちゃんと
「へえ………面白いこと言うねあんた」
スルトの声色が一段下がった気がした。
だがそれだけだ。スルトは何もしなかったし何も言わない。
ただただ、静かにその場に佇むのみだ。
睨み合うように視線が交差する。
ギロリ、と睨みつけるスルトの視線を受けながらも、ニェンはその笑みを絶やすことはない。むしろその目は更に細められていくばかりだ。ピリついた空気を感じ取ったラヴァとメテオリーテは不安げにオロオロと様子を見守っている。
やがてふんっ、とスルトは不愉快そうに鼻を鳴らしてベリアルを引きずりながら通路の影へと消えていく。情けない姿で引き摺れれていく男の姿にニェンはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。
───不意に目が覚めた。
ズキズキと頭がひび割れていくような痛みに襲われる。まるで頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられていみたいだ。頭に突き刺さる鋭い痛みを堪え、辺りを見渡すと平野の中心に私はいた。
寒気を感じる。吐く息が白い。
記憶にあったはずの澄み渡っていた空は触れれば飲み込まれてしまいそうなほど不気味で分厚い雲が覆い隠されている。そんな気味の悪い空模様に猛烈に嫌な予感がした。
そして予感が的中する。
ポツポツと堰を切ったように振り始めて来た大きな雨粒が肌に触れて体温を奪い去っていく。一瞬で水分を限界まで吸った衣服がまるで拘束具のように全身へ重くのしかかってくる。
最低な気分だ。
視界が白く染まるほどの激しい頭痛、脳内で様々な記憶がフラッシュバックしている。まるで私と言う小さなコップに溢れんばかりの水を遠慮なしに注ぎ込まれる感覚。
目眩がする。
吐き気もする。
前後の記憶があやふやだ。
ああ、濡れた髪が張り付いて鬱陶しい。自分が何故ここに居たのかも、なにをしようとしていたのかも思い出せない。濁流のように渦巻く膨大な記憶の情報量、意識を必死に繋ぎ止めて置かなければ自分という存在が今にも掠れて消えてしまいそうだ。
耳鳴りが止まらない。
知らないはずの情報が頭に入ってくる。
「──、──ぁ」
足元がおぼつかない。
視界がぼやける。ぜいぜいと喘ぐ舌、手足から力が抜けていく。全身の血液が沸騰しているかと思うくらいに熱を感じる。
両膝から崩れ落ちた。
ろくに受け身を取ることすらできず、硬い地面に投げ出した身体が叩きつけられる。自分の意思に反して、電源が落ちた機械のように身体が動かなくなり徐々に意識が遠のいていく。
『ん?……よっ、死んでるのかと思ったが生きてるようで何よりだ。まさかこんな
そんな私を切れ長の目をした外套の男が憎たらしい笑みを浮かべて見おろしていた。
鉱石病の影響からか、原因不明の記憶障害から起こる認知障害。
私の脳内には膨大な記憶が存在していて、虚実を見分ける事が難しく断定する事が出来ない。ゆえに私は記憶にある場所を、街並みや風景を一つ一つ探し歩く一人旅をしていた。
今回もいつも通り、なんて事はない一人旅のはずだった。
『うなされてたみたいだが、気分はどうだ?』
『………最低な気分だ。目が覚めたかと思えば、目の前に変なやつがいて私は縛りつけられてるんだからな』
『おっと、そいつは悪かった。けどまぁ、我慢してくれとしか言いようがないな。こっちだって目覚めた直後に暴れられたりしたら堪らないかからな』
『………クソッ』
───また目が覚めた。
パチパチッ、と火の粉を散らす焚き火。一定の規則で鼓膜を打つ、眠気を誘う薪の燃える音。弾ける蛍火をぼんやりと眺めながら鈍くなっている意識を徐々に覚醒させて行く。
素早く状況を確認する。
薄暗い空間に灯る焚き火。
手にあったはずのアーツユニットはない。
空気が振動して、空間にこだまする声。しんと沈んだ湿気のある冷たい空気。どうやら、自分は何処かの洞窟にいるようだった。武器はなく、ここがどこかは詳しくはわからない、その答えを知っているのは目の前いる謎の男だけ。
なにが面白いのか、呑気に焚き火の前で暖をとっていた男は愉快そうに笑っている。何もかもが不愉快だった、今すぐそのニヤケヅラをブン殴って歪めてやりたい。
『おいおい、そんなに睨むこたぁないだろ』
『ふん、別に睨んでない。私は元々こういう目付きだ、それと今すぐこの邪魔な手枷を外せ』
『外してやるのはいいが、暴れるなよ? これはアンタの為でもあるし、俺の為でもある。いちいち相手にするのは面倒なだけだからな』
男は意外にもあっさりと両腕を押さえつけていた鋼鉄製の小さな手枷は外された。鋭い小さな針のような鍵と思わしき物体で手枷の表面をなぞり、側面にある切れ込みの様な穴に差し込めば軽い音と共に両腕が解放される。
嘘のように軽くなった腕の調子を確かめながら───掛けてあった毛布を蹴り飛ばして目の前の男のニヤケ面目掛けて拳を振り抜く。
『はいはい、無駄な努力をごくろーさん。いちいち相手するのは面倒だって言っただろ?』
『なっ……ガッ!』
しかし私の拳は軽くいなされ、振った腕を掴まれる。片腕を軸にそのまま身体が一回転して背中から地面に叩きつけられた。背中から伝わる衝撃に息が止まる、肺の中の空気が全て押し出された感覚。痛みを堪えながら起き上がり、再び攻撃を仕掛けようとする。
『痛っ……くそっ』
『だからやめとけって、というかそんなに動くと色々丸見えだぞ。アンタが
『?……〜〜〜〜ッ!!??』
『恥じらいがあるようでよかったよ。だから暴れるなって言ったんだ……ほれ』
男の言葉に疑問を持ち、何の事かと自分の姿を確認して見れば一糸纏わぬ生まれたままの姿が視界に映り込んだ。息が止まり、思考が止まる。理解が追い付かず数秒惚けた後、凍りついていた思考がようやく動き出す。
ワナワナと、どうしようもなく顔が熱くなるのを感じた。
思わずその場にしゃがみ込んで、腕で身体を覆い隠す。なぜ自分は素っ裸で服が脱がされているのか、その原因であろう目の前の男に罵声を浴びせようとするも、動揺から上手く発声する事はできず口と喉が震えるだけだ。
そんな私の様子に、男は呆れた風に息をついて着ていたコートを投げつけてきた。一刻も早く肌を隠したくすっぽりと私の体を覆う丈の長いコートに袖を通して身を包む。冷たい空気に晒され冷えきってしまった身体が、温もりの残るモコモコとした肌触りの良い上着に包まれて徐々に熱を取り戻して行く。
深く呼吸をして乱れた思考を落ち着かせる。
『……おいこの変態。此処は何処だ、それにどうして私は服を脱がされていて裸で寝かされてるんだ』
『変態って、否定はできないが随分な言いようだな』
『黙れ。質問に答えろ』
『……まぁいいか、簡単に言えば此処は俺の隠れ家だ。んで、びしょ濡れなうえに泥だらけのお前を引っ張って来たのはいいが、此処を汚されるのも嫌なんでなこっちで色々と勝手に綺麗にさせてもらっただけだ』
『私に変な事はしてないだろうな』
『んな事するかよ。行き倒れて気絶してた女に襲いかかって腰振るほど飢えてないっての……というかそいうのはもう間に合ってます、マジで』
目の前の男は怪しいが、口ぶりや態度から嘘をついているようにも見えなかった。それに自分の身体に変な違和感なども感じていない。まだ完全に信用することなどできはしないが、ひとまずはこの男に対する警戒を少し緩める。
『……なら私の服は?』
『それならあそこだ。ちょうど今干してるところだ……ああ、安心しろ。別にジロジロ見たり弄ったりはしてないぞ』
男が指を向ける方へと視線を移動させれば、そこには私のアーツユニットが焚き火の近くにある。よく見れば、私の衣服が綺麗に吊るされていてまるで物干し竿のように雑に扱われている。
『まぁ、なんだ。とりあえずスープでも飲むか? 腹も膨れるし冷えた身体も暖まるぞ』
『………そんな怪しいもの口にできるか。そもそも誰があんたなんかと』
『ふーん……あっそ、じゃあ素っ裸で外に出るか? 外は土砂降りで足場が悪い上に視界も最悪だ。雨が止むのも日が昇ってからだろうな、それでも出て行くって言うなら止めないしちゃんと荷物だって返すさ』
『…………』
それだけ伝えると男は私から興味を失ったように焚き火の前で再び暖を取り始めた。きっとこの男は善意などではなく、ただの気まぐれで私を助けたのだろう。そう感じてしまうほどに冷たい目をしていた。
ふと、出口へ繋がるであろう暗がりへと視線を向けて耳を澄ませる。
暗い洞窟の外から聞こえて来る雨粒が地面を叩く音が響く。男の言葉通り、日が登るまで止みそうな気配はない。寧ろ一日中降り続くのではないかと思うほどの豪雨だ。
しばらく考えて、男から距離をとりつつ焚き火の前へと腰を下ろした。
男の言葉を鵜呑みにしたわけでも信用したわけでもないが、どうせなら利用してやろうと考えた。常に警戒して、何かあれば強引にアーツユニットを取り戻し私のアーツで反撃すれば良いだけだ。
放置されていた空の容器を適当に手に取って突き出す。
そんな私の姿に、信じられないものでも見たかのように男は目を見開いて呆けていた。そして眼を細めて愉しそうに笑みを浮かべた。
『なんだそのマヌケヅラは……さっさとよそってくれ。あんたの所為でこっちは風邪をひきそうなんだ』
『くく……意外と図太い奴だな。そういうのは嫌いじゃない……ほれ、熱いから気をつけろ』
何か毒でも仕込んでるんじゃないかと警戒していたが、どうやら徒労だったようだ。恐る恐る喉を通したスープの味は今まで食べてきたもので一番美味しいと思えるようなものだった、空腹は最高のスパイスなんて言うが正にその言葉の通りだ。
今までは味のないパサパサした保存食で飢えを凌いでいた分、ひとくちふたくちと味わえば堰を切ったよう食欲が膨れ上がり口元へとスープを運んでいく速度が加速していく。空になった容器を突き出しおかわりを要求すれば、男は苦笑いを浮かべながらスープを注いでいく。
『そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はベリアル、見ての通りしがないサルカズの傭兵だよ』
『傭兵か……野蛮だな』
傭兵、自分と同じサルカズであるベリアルと名乗った男。この世界では忌み嫌われている種族であり、アーツに対しての適応力が高く、サルカズ族は全体的に一定のアーツの才能を秘めている。
自身の出生や生まれた環境など理由はあるだろうが、その才能と力を利用して傭兵を生業としている血の気の多いサルカズは多い。私自身あまりいいイメージはない。
こいつもその一人か、無意識のうちに落胆するように息を吐いた。
『で、そういうお嬢ちゃんは? おいおいそんな顔すんなって、今更自分はダンマリってのはなしだぜ。どうして倒れてたんだ、あんな場所に何かあるわけでもないだろうに』
『別に、あそこは偶々立ち寄っただけだ。それとお嬢ちゃんだなんて気安く呼ぶな、私は……わたし、は……?』
言葉が詰まる。
喉の奥で何かが引っかかったように、言葉が出てこない。
『あ、え………わ、わたしは……わたしは、
膨大な記憶に埋もれ掘り起こす事の出来ない記憶。
モヤが掛かる思考、私は絞り出したような掠れた声で消え入るように呟いた。血の気が引いていくのがわかる。身体から汗が吹き出す、気がつけば全身が震えていた。
感じたのは恐怖だったかもしれない。
顔を青ざめ怯える私の様子が映り込み、赤い瞳が丸くなる。これがあの男……魔族殺しと恐れられるサルカズの傭兵、ベリアルとの始めての出会いだった。
それから暫くの間、私はベリアルと行動を共にする事となった。
確証もなく曖昧で、それでも自分という存在を構成する為にあった筈の朧げな情報と確かな記憶。どうしようもない喪失感と言いようのない恐怖の渦に混乱した。
どうすればいいのか分からず、お前が何かしたのではないかと、ベリアルへと掴みかかり震える声音で問い詰めるように喉を張り上げた。そんな私を落ち着かせ、この男はだた一言『それなら少しの間俺と一緒に来るか?』なんて事のないようにそう言った。
私は逡巡しながら、ゆっくりと頷くことしか出来なかった。
どうしてそれをよしとしたのかは自分でもよくわからない、もしかしたらヤケクソだったかもしれない。何かが変わるかもしれないと縋ったのかもしれない。
『………おい、どうして私は荷物持ちをさせられてるんだ。そもそも荷物が多すぎるだろ』
『あー、遠方の依頼だったからな。長距離を移動することを想定してた。それと
『っ──バカにするな別に戦えない訳じゃない。それとそういう事は早く言え、危うく転びかけた』
遠回しに足手纏いと言われているのか。
近寄ってきた感染生物を斬り捨てながら笑っているベリアルを、つい睨んでしまう。
苔だらけで滑る足元に気をつけながら手に持つ大剣状のアーツユニットを地面に突き刺して杖代わりに使う。手に馴染んでいた筈の大剣が今では違和感しか感じない、本当にこれは今まで自分が使っていた物なのかと疑ってしまうくらいだった。
穴が開いたチーズのように
乾いた笑みが漏れる。
軽々と扱っていた獲物が、やけに重たく感じる。
病は気から、なんて言葉があるが正にその通りかもしれない。相当参っているのか、どうにも今の私はネガティブな思考ばかりが次々と浮かんでくる。
『そこまで悲観する事はないと思うぞ』
『……いきなり何の事だ』
『誤魔化さなくていいさ。どうもお嬢サマは顔に出やすいタイプみたいですから』
『…………っ』
どうしてか、この男は妙に鋭い所がある。
最初はアーツで相手の心を読めるのではないかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。そういった精神感応系統のアーツは不得意らしく、単純に私が何かと表情や態度に現れやすいようで長生きしたいなら上手く隠せるようにしろと指摘されたのは記憶に新しい。
しかしそれを抜きにしてもこの男は妙に鋭い。
だからなのか、私の不安を拭うようにベリアルは旅の最中私の事を色々な場所へと連れて行き様々なモノを、この広大な大地で今も姿を残す自然豊かな美しい風景や街並みを、そこで協力して生きる人々の生活を見てきた。
──夜の闇を切り裂いて広がっていく旭光。
視界いっぱいに広がる絶景を前に息を呑み、自分の不安や悩みがちっぽけに思えてくる程の綺麗な光景に魅せられた。
『っ……ぁ………すごい、な』
『だろ? ここから見える景色は格別なんだよ』
『ああ、綺麗な場所だ』
『昔ラテラーノで知り合った奴に教えてもらってな、そいつがトランスポーターとして各地を転々としてるみたいでこういった場所に詳しいんだよ。偶にあって話す時、耳にタコができるくらいに土産話を聞かされたから嫌でも覚えてる』
『ふっ……そう、なのか』
悪態をつくような言葉とは裏腹に、男は柔らかな笑みを浮かべていた。そんな彼の横顔に見惚れるように動きが止まった。
正直に言って驚いていた
そういう風に笑う事もできるのかと。
ベリアルのいつも人を小馬鹿にしたような言動と態度に腹を立てる事もあったが、この時ばかりは彼の笑みに見惚れて、そして釣られるように私も笑ってしまう。
それが少しだけベリアルという男を理解した瞬間だった。
そんな私はベリアルと旅を続ける事数ヶ月、道中様々なハプニングに襲われる事もあったがそれも悪くはなかった。そして今回は彼に連れられて北部に存在する森深い広大な土地を有しているカジミエーシュを抜けてリターニアで休憩を挟みながらカズテル付近を目指していた。
どうにもその近辺で一仕事終えた知り合いの傭兵仲間と一旦合流するとの事らしい。
ベリアル曰く、カズテルはサルカズ同士の内戦や争い事ばかりで穏やかな場所ではないとのことだ。なぜそんな危険な場所に訪れたのか、疑問を問い掛ければベリアルは面倒ごとに巻き込みはしないから安心しろと私の頭をぐしゃぐしゃと撫でていた。
まるで年端も行かぬ相手を落ち着かせているような態度にイラッとしてその手を払ったのは記憶に新しい。
『あ?……まじか、こりゃ随分と珍しい客だな。俺はてっきりWかヘドリーの野郎が来るもんだと思ってたんだが、まさかアンタが来るなんてなイネス』
『へぇ──人の顔を見るなり随分な挨拶じゃないかしら。残念だけどあの頭のイカレた女ならいないわよ』
風に揺れる草木をぼんやりと眺めながら時間を浪費すること数分、現れたのは腰まで伸びた長い黒髪に淡黄色の瞳が特徴的な
なぜか驚いたような様子でイネスと呼ばれた女性を見つめるベリアルへ呆れたように、それでいて悪態をつくように息を吐き淡黄色の瞳を向ける女性。
『ここへ来るまでに後を付けられるなんてしてないでしょうね?』
『そんなヘマするかよ。そっちこそ変なの連れて来てないだろうな、揉め事を起こしてこれ以上余計な懸賞金をふっかけられるなんて面倒だ。ただでさえカズテルには賞金狙いの馬鹿が多いんだ』
『……随分と派手に暴れてたものね貴方、今でもその首を狙ってる奴は多いもの。それで、そっちのサルカズは……っ貴女、その“影”……』
ジロリ…と無機質な瞳が向けられる。
その視線からは私に対する警戒が見て取れた。そしてゆっくりと、何かに驚いたように目を見開いて私を見ていた。
何に対して驚いているのか、いましがた顔を合わせたばかりでましてや初対面の相手にそんな表情を向けられる覚えは私にはない。
思わずキョトンとした表情で首を傾げてしまうが、頭のてっぺんから爪先までのジロジロと向けられた訝しむような視線につい睨み返してしまう。
なんだこのやろう。
喧嘩を売ってるのなら買うぞ……ベリアルが。
そんな私たちの間に割って入るようにベリアルが立ち、私を庇うよう背に隠しのだ。
『まぁなんだ、こいつは色々と訳ありというか何というか。とりあえず暫く行動する事になって最近拾った』
『拾ったって……ハァ、どうして貴方はいつも変なのを連れて歩いてるのよ。そのうち本当に後ろから刺されるわよ、あの気の狂った女も貴方のことを偉く気に入ってるみたいだし』
『ハハハ、安心しろ。その程度じゃ死にゃしない』
『そう、死んでくれた方がまだ良かったわ』
まるで靴底にこべり付いたゴミでも見るかのような据わった目だった。
しかし、当の本人はそんな視線を向けられた所で痛くも痒くもないといった風にカラカラと愉しそうに笑っている。私もよく笑って入れるなコイツと呆れてしまう。
すると思い出したかのようにベリアルは私の方へ向き直ると、仕事の話をしている内に軽く周辺を探索して焚き火に使う薪を集めてきてくれと頼んできた。雑用を押し付けられたようで少しイラッとしたが、私は温厚なので許してやる。
だが「迷子になるからあんまり遠くに行くなよ」だとか「油断したり怪しい奴にはついて行っちゃダメだからな」などと言われた時はまたイラッとしてケツに蹴りを入れてやった。
バカにするな、私は別にお前に子守りをされてるわけじゃない。
しかし、今となればこの時のベリアルの忠告をしっかりと聞き入れて言うべきだったと後悔していた。
──私の考えが甘かったのだ。
『はぁ……はぁ……っしつこい、まだついてくるのかッ』
息を切らす程の勢いで加速する。
振り返った視線の先には武装した集団が私を逃すまいと、目を血走しらせて隊列を組みながら木々の隙間を縫うように私の後を追いかけている。
どうしてものの数分でこのような状況に陥っているのか。
ベリアルに面倒事を押し付けられ、呑気に鼻歌を歌いながら使えそうな薪木を集めていた時だ。このカズテル付近に訪れてから傭兵に追われ、逃げた際に道に迷ってしまったという人間に出会した。
話を聞くにその男は各地を放浪している“流浪の商人”らしい。
男は私に戦地を避けながら安全な場所まで移動できるルートを教えてほしいと頼んできた。
正直に言って私がこの男を助けてやる義理はなかったが、妙にしつこく食い下がってきた男に嫌気がしてそれとなく道を教えてやる事にした。
ベリアルから頭に叩き込まれた情報を思い出しながら、渡された地図に簡単な印をつけて押し返そうとした時に、小さな違和感に気がついた。
なぜこの男は私に声をかけてきたのか?
男は傭兵に襲われて命からがらに逃げてきたと言っていた、このカズテルで活動を主にする傭兵といえばその殆どがサルカズの傭兵だ。
だというのに、なぜこの男は疑いもせずに
そこから先は自分の直感に従い、地図を受け取ろうと近づいてきた男を蹴り飛ばして走り出した。その数秒後には直感が正しいかった事を理解する、尻もちをついた男が怒声をあげれば周囲の気配が大きくなり物陰から複数の影が飛び出してきた。
──そして現在に至る。
草木を掻き分けながらただがむしゃらに走る。逃げるだけではなく応戦しようとも考えたけれどダメだった、手に持ったアーツユニットは私の意思に応える事はなく沈黙を貫いている。
逃走は長くは続かなかった。
私は取り囲まれて拘束されてしまった。拘束を振り解こうにもアーツユニットも取り上げられた上に、数人がかりで取り押さえられてもがく事すらできやしない。
ただ睨みつけることしかできない私に気分を良くしたのか、リーダー格らしきサルカズの人物がベラベラと聞いてもいない事を自慢話でもするかのように声高らかに語り始めた。
どうやらこいつらはベリアルの首に掛かった賞金が目当ての傭兵らしい。
暗殺対象であるイネスを付け狙っていたが、高額の賞金首であるベリアルが現れたことで
何がつけられてないでしょうね、だ。
そっちがつけられてたんじゃないかあの女……っ!。
『……うっそだろ。なんでお前捕まっちゃってんのよ』
『そっちの女が原因だ。それと、私から目を離したお前が悪い。さっさとどうにかしろ』
『えぇ〜……』
『おいなんだその顔は』
心底面倒くさそうにゲンナリとした顔をされても困る。
私だって好きでこんな奴らに捕まってる訳じゃない。
ベリアルは、どうすんだこれと此方を指差してイネスに視線を向けるが当の本人は知らんぷり、自分でどうにかしろと無頓着を決め込んでいる。
溜め息を吐き武器を構えようとするベリアルだったが、それに気がついた傭兵の男が武器を捨てろと震える声で怒鳴るように叫んだ。拘束されている私の喉元にナイフを突きつけて抵抗するなと脅す。
ひどく興奮している男の様子にベリアルは降参でもするかのように武器を地面に置くと両手を上げる。
その行動に思わず私が動揺してしまった。
例え私と言う人質がいたとしてもベリアルなら相手を無力化出来るはずなのにどうしてなのかと。
興奮した様子の男に命じられるがまま武器を捨て膝を付いたベリアルは次はどうすればいいだと、言わんばかりに呆れたような表情を浮かべてサルカズの男を見る。
そして次の瞬間、ズドンと破裂するような重たく乾いた音が響いた。
『………えっ?』
なにが起きたのかわからなかった。
耳をつんざくような砲声、咽せるような硝煙の香りが鼻につく。
鈍い音を立てながら肢体を投げ出して地面を転がる。
絵の具でキャンバスを彩るように、吹き出した鮮血が土を融かしながら赤い華を咲き渡らせる。
『うそだ……立って、立ってよ。ねぇ……なに、やってるの……?』
ジワジワと自分の中で何かが迫り上がっていく、脳が目の前の光景を理解しようとするのを拒んでいる。
──撃たれた。
──
──ベリアルが。
額にポッカリと真っ黒な風穴を空けて、夥しいほどの鮮血で顔が確認できない程赤く染まったベリアルの姿にただ思考が止まった。続け様に響く銃声、ぐったりと動かなくなったベリアルへ執拗に弾丸を打ち込む傭兵の男の姿に意識が引き戻される。
『────やめろッッッッ!!』
憎悪が剥き出しになる。
ここまで誰かを殺してやりたいとドス黒い感情を抱いたのは初めてかもしれない。今すぐにでも行動に移したかった、だけど呻き声をあげる私を数人がかりで押さえ込むこいつらがそれを許さない。
なにが面白いのか。
楽しそうに笑いながら息絶えたベリアルを足蹴にしている男も、何もせずただつまらなそうに無機質な瞳でそれを眺めているイネスも、周囲の傭兵たちもこの場にいる全員を八つ裂きにしてやりたいと私の中で殺意の炎が燻っている。
ひとしきり笑い終えた傭兵の男が次はお前だと、無頓着を貫いていたイネスに銃口を向ける。だというのにイネスは呆れたように息を吐いていた、そして身を案じるかのよう忠告した。
『同業の“センパイ”として一度だけ忠告してあげる。勝利を確信したからといって最後まで油断しないほうが身の為よ……まあ、もう遅いでしょうけど』
『──ったく、好き放題撃ちまくりやがって。おかげで俺の服が穴だらけだっての……うわ、顔面血だらけで前が見えねえ。おいイネス、お前水筒とかタオル持ってる?』
『ちょっと、こっちに拭った血を飛ばさないで。私の服まで汚れるじゃない、というか貸すわけないでしょ』
『んだよ細けえ事気にすんなって。というか見てるだけじゃなくて手を貸してやろうって優しさはなかったのかい』
『貴方一人で事足りるじゃない。私は無駄な体力を使いたくないのよ』
驚愕で思考が停止するのはこれで2度目だ。
突然、傭兵の男の首が乾いた音を響かせながら一瞬でへし折られたのだ。
膝をつき崩れ落ちた傭兵の背後には眉間を撃ち抜かれ死んだはずのベリアルが音もなく立っていた。顔の血をゴシゴシと袖で拭いながら、何事もなかったかのようにピンピンしているサルカズに開いた口が塞がらない。
ベリアルは呆けている私に対して呑気にピースサインを向けてくる。そんな男の姿に、先程までの血生臭い光景を忘れ思わず頬が緩まり安堵してしまう。
同様に、事態の急速な変化に思考を停止させていた傭兵の仲間が正気を取り戻した。一人は狂ったように雄叫びを上げて懐から引き抜いた拳銃を構えて。
『……ッ!避けろベリ──』
『───喚くな。耳障りだ』
引き金を引くよりも早く、高速で飛来した拳程の石塊が拳銃を破壊、男の手を容赦なく叩き潰した。
剛力で握りつぶした石塊はまるで礫の散弾銃だ。
ズタズタにひしゃげた腕を押さえながら悲鳴を上げる男の首筋にベリアルは重い蹴りを叩き込むと相手はそのまま糸が切れたように動かなくなる。
そして徐に上げた腕、
何が起きたのかわからない。
まさに蹂躙と呼ぶに相応しい光景だった。
“やりやがったな!”
“敵討ちだ!”
身勝手に叫び襲い掛かる傭兵たちを一人、また一人と流れ作業のように淡々と片付けていく。武器を持ち襲い掛かる集団のど真ん中で無手の男が圧倒的な実力差で暴れているのだ。
やがて死体の山を築き上げた血濡れの男が私の側にきて嗤う。
不思議な事に、恐怖は感じなかった。自分のほうが死に体だったと言うのに大丈夫かとこちらの身を案じるベリアルに何故か私は安心感を覚えていた。
『よっ……生きてるようで何よりだ』
『ふん……そっちこそ、無事なら最初からそう言え。余計な心配をかけさせるな』
『そんな不機嫌そうな顔すんなって。あれくらいで死ねるようならとうの昔にくたばってるよ』
ついさっきまで血の海に沈んでいた事が嘘のようだ。
まるで悪戯が成功した無邪気な子供のように笑う姿に釣られて口元が緩む。
しかし突然、身体をフラフラとよろめかせて膝をついたベリアルを慌てて支える。全身の体重を預けられる重さにこちらが倒れそうになるが、寸前のところで踏ん張る。
私自身の膂力はそこまでじゃない、自分よりも身長の高い成人男性の体重を支えるのも限界がある。さっさと退けと、文句を言ってやろうと思ったがベリアルは何故かキョトンとした表情を浮かべていた。
次第に苦虫を噛み潰したような顔をつきに変わる。
『あー……だっる。あいつら弾にナニか盛ってやがったな』
『っ……毒か、大丈夫なんだろうな?』
『毒自体は問題ない。ほっときゃ分解出来る、車酔いしたみたいなもんだしな』
言われてみれば心なしか顔色が悪い気がする。
先ほど目の前で好き放題発砲していた男の弾丸に小賢しい仕掛けが施されていたのだろう。その弾丸一つ一つに毒薬が仕込まれていたりすれば、いまベリアルは相当キツい筈だ。
ひとまず楽な姿勢を取らせようと、ベリアルを横たわれせて私の膝の上に彼の頭を乗せる。まだ乾ききっていない血で手や身体が汚れてしまうが、大して気にはならなかった。
『とりあえず周辺を調べてきたわ、これ以上の追手は居なそうね。とはいえここに長居するのも……何やってるのよ貴方たち』
『見ればわかるだろ。膝枕されてる』
『見ても分からないから聞いてるのよ。脳天ぶち抜かれてとうとう可笑しくなった? そこの貴女も、そんなモノ触ってたら変な病原菌移されるわよ』
『うっわ、お前サラッと酷いこと言うな』
『事実でしょ。というかなんで頭に穴が空いて死んでないわけ』
イネスは言動こそ当たりが強いモノだが、その裏にあるベリアルに対しての信頼が垣間見えた。殺伐とした状況だったというのに、軽口を叩きあえる程の関係を築き上げている。
仏頂面が心なしか柔らかいものに変わっているのがその証拠だ。
……それがなんだか面白くなかった。
『ん?……ふふ、別に取って行ったりしないから安心しなさい』
『……な!? べ、別に何も言ってないッ』
『口に出さなくても顔に書いてあったのよ。取られるのが嫌なら唾でもつけるか、縛り付けて離れなくさせておくことね』
面白いモノを見たという顔で笑うイネス。
内緒話でもするかのように、耳元で囁かれたその発言の内容に対してこいつは何を言ってるんだとワナワナと口元が揺れ動く。
『まったく、こんな男に気を許したっていい事ないわよ。それじゃ、私はもう行くから』
『痛てぇよ。なんでいま俺の事蹴った、というかもう行くのか?』
『私も暇じゃないのよ、受け取る物はもう受け取った。それに、貴方と長くいるとあの女に何を聞かれるか分からないもの。自分のペットの手綱くらいちゃんと握っておきなさい』
彼女はジャラジャラと何かが入った小さな布袋を仕舞い込むと、背を向けヒラヒラと手を振りながらどこかへ行ってしまった。
なんだか顔が熱い。
まるで私の心の内を見透かしたかのようなイネスの言葉に思わず動揺してしまった。これじゃあまるで私がこいつに入れ込んでいるみたいだ。別にこれはそういうのじゃなくて……そう、これはあれだ、誰かれ構わず鼻の下を伸ばすような節操のないベリアルに呆れていただけで。
とりえず、瞼を閉じて深呼吸する。
心頭を滅却すればなんとやらだ。
『……一人で表情をころころ変えて何やってんだ?』
『うるさい。今は話しかけるな、集中してるんだ』
『え、ごめんなさい』
ふぅ、と深く吸った息を吐きだす。
……よし、落ち着いた。
あの女が変なことを言うから私まで変な気を起こすところだった。閉じていた瞼を開けば、欠伸をこぼし眠そうにしているベリアルの姿。次に、血で汚れ傷ついた体躯が目に写る。
その姿に先程までの熱がスッと引っ込んだ。
キュッ、と心臓を締め付けられるような痛みに襲われる。
どうしても慣れない。この男が傷つくのは何も今回が初めてじゃない、旅を続ける道中でトラブルに巻き込まれるのはよくあった。
そして戦えない私を庇いながら戦いベリアルが傷を負うことも初めてではなかった。
だからこそ、気になっていた。
『……ずっと、聞きたいと思っていた事があったんだ』
『あ? どうしたんだ急に』
『いいから聞け……私は、わたしは……』
──“お前の重荷になっていないか。”
ただそれだけが、ずっと気になっていた。どれだけの時間を一緒に過ごしても、口に出す事を恐れて胸の内にしまい込んでいた言葉。
『なあ、ベリアル……私は『次はシエスタにでも行ってみるか』……え?』
『向こうに知り合いがいてな。ここからじゃちと遠いが、傭兵業は基本的に自由にやらせてもらってるんだ。のんびりぶらぶらと寄り道しながら行ってみようぜ』
シエスタ。
それは確か都市の名称で、観光都市シエスタだったか。うろ覚えだが、以前ベリアルが昔話として口にしていた気がする。今の時代には少し珍しい大きな固定都市で、なんでもその場所には“広大な海”があるとかなんとか。
うん、それもいいな……ってそうじゃない。
『そんな顔されたら、その聞きたい事とやらも想像がつく』
『………ッ』
『ハッキリ言わせてもらうが、俺はお前と一緒に居て迷惑だなんて思ったことは一度もない。寧ろここ最近は一人旅が多かったから楽しかったぜ。だからそんなしょぼくれた顔すんなって』
せっかく堪えていたモノが、堰を切ったように溢れてしまう。
私の記憶は泡沫のように曖昧なモノで、期待したところである筈のない答えを探すような旅路。
自分自身の存在を証明する数少ない記憶すら失い、以前のように戦う事も出来ず、ただ縋りついた私の手をとったあの日から、本当は面倒ごとを押し付けられたと後悔してるのではないか。
本当はそう思われていたらどうしようと、そんな事を考えて恐怖に襲われていた。
『って、おいおいッ。泣くほどのことか!?』
『ぅっ……だっでぇ゛……っ』
『あーもう、ギャン泣きすんな! お前は絶対そういうキャラじゃないからっ!』
泣きじゃくる私の姿にベリアルは呆れたように笑う。
枯れ果てるのではないかと思うくらい溢れる涙は、赤子を泣き止ませるようベリアルに優しく抱きしめられた後も暫く止まることはなかった。
『うっし、泣き止んだな。んじゃ俺たちもソロソロ移動するぞ、これ以上長居すると面倒くさくなりそうだし何より臭いし汚ねえ。ほら行くぞ泣き虫お嬢サマ』
『う、うるさいっ。というかその呼び方はやめろ!』
情けない姿を見せた私に、先程までの出来事はまるでなかった事のように振る舞ってくれる──なんて事はなく、ニヤニヤと笑いながらこちらを見てくるサルカズの顔が非常に腹立たしい。
やめろ、こっち見るな。ブッ飛ばすぞ。
そこでふと、もう一つ伝えようと思っていた大切な事を思い出した。
荷物を纏め終え、荷物が重い身体中が痛いと年寄りの様に文句を言いながら前を歩くベリアルの肩を掴んでこちらに振り向かせた。自分とこの男では身長に20cm以上の差がある為、背伸びをするだけでは少しキツイ。
だから、胸ぐらを掴み上げて強引に身を寄せる。
────沈んでゆく夕焼けを背に影を一つに重ねた。
何が起きたのか理解できたいないのか、ポカンと間抜けな顔をしているベリアルについ笑ってしまう。
『もう一つ、大事な事を伝え忘れてた。私は──』
どうしてこう己は間が悪いというのか、ちょっとしたアクシデントに見舞われる事が多いのだろうか。
彼は無神論者のようなものだ。
風水や占いその手のオカルトな類なんてこれっぽっちも信じていないが、まさか自分は女難の相やそういった運命の元にあるのではないのかとベリアルは軽く頭を悩ませていた。
多方面に喧嘩を売りそうだが、この時ばかりは神の存在を信じてラテラーノの過激な信者のように神に救いの手を差し伸べて欲しいと祈りたいくらいだった。
場所は変わり、予期せぬ再開を果たした後ベリアルはサルカズの女性、スルトに引き摺られるがままロドス艦内にて当てがわれている彼女の個室へと連れてこられていた。
どうしたもんかとつまらない観光番組を横目に、自分の膝の上でタブレットを操作しながらアイスクリームに夢中になってるスルトへと視線を向ける。気づいているのかそれとも無意識なのか、鼻歌交じりでアイスに舌鼓を打つ姿はまるで無知な子供のようにも思える。
しかし、彼女がそんなタマじゃない事はよく知っている。
顔見知り以上の関係の相手といつまでもこの空気感は流石に耐えられない、そう判断したベリアルは歯切れの悪い様子ながらも自分から話を切り出すことにした。
「……えーっと、あれだ。そろそろ機嫌を直してくれると嬉しいんだけど」
「………フン、随分と楽しそうだったな。私は待ちぼうけを喰らわされてたのに。お前は他の女に手を出すのは相変わらず早いもんだ」
「わぁ……言葉の棘が鋭い」
首を動かして肩越しに視線を向けるスルト。
熟れた果実のように赤い前髪の隙間から覗き込む鋭い双眸に思わず頬が引き攣るのを感じる。ギロリと睨みつける瞳には怒りどころか殺気すらも滲み出ている。
言葉の節々から感じ取れる刺々しさ。
言葉にせずとも隠しきれない不機嫌な様子が態度に表れている。そんな鋭利な刃物のような視線に貫かれながら、返す言葉もなく引き攣ったように笑うしかない男の姿に怒りを通り越して呆れてしまう。
「28回だ……この数字がなんだかわかるか?」
「え? いや、全くわかりません……ぬっ!? な、何で殴られた」
「お前がバカだからだ」
そうは言われても、分からないものは分からない。
スルトが口にした28回という数字。間抜け面を晒し馬鹿正直に答えた為に撃ち込まれた鋭い肘打ちで痛む脇腹を摩りながら考える。しかし考えたところで何が28回なのか皆目見当もつかない。
唸り思考の海に沈むも答えは出てこない。
首を傾げ本気で困惑する姿に彼女からの視線が冷ややかなものになっていく。
これはいけない、どうにかして弁解しなければ命が危ぶまれる。スルトの様子と普段から適当な己の性格を考えれば自分に非がある事は間違いないだろう。
謝罪の言葉を口にしようにも何が原因か分からないまま謝ったところで意味はない。ベリアルはこれ以上火に油を注ぐような真似はしたくないので、記憶の中を整理するのを諦めてもう素直に聞くことにした。恥も外聞もない、そんなもので腹は膨れないのだ。
そもそも、自分に非はなく。
もしかしたら何かの手違いや勘違いであるかも知れない。
「……手紙」
「てがみ……手紙? それがどうかしたのか」
「私がお前に手紙を送って、それにお前が返事を返さなかった回数だ」
「……ッスー。ほ、ほーん、なるほどね」
勘違いもクソもなかった。
どう足掻いても自分に非がある状況ではないか。いったいどこの誰だ、もしかしたら勘違いかもしれないなどとのたまった阿保は。ベリアルは全力で視線を逸らしながら、能天気な思考回路をしている数分前の自分を殴り殺したくなった。
言葉は慎重に選ぼう。
じゃないとスルトが呼び出す謎の巨人に頭を握りつぶされ愉快なオブジェクトにされる羽目になる。
「えっと、すいませんでした」
「………ふん。まあいい、お前が“私を突き放した”理由は大体わかってる。自分で言うのもあれだが、あの時の私は少しお前に
「んん、まあそうだな。少しというか、かなりだった気がするが……あっすいません睨まないでください」
「話の腰を折るな……まったく。お前がどうしてそんな事をしたのか納得はしてるし理解もしてる……けど、それでも二度とあんな事はするな。目が覚めれば知らない場所。隣にはお前がいなくて、私がどれだけ不安になったかわかるか?」
酷く震えた声だった。
その声音に罪悪感で居た堪れなくなるくらい、ベリアル本人も彼女には悪い事をしたと思っている。必要な事だったとはいえ、
一度手伝うと決めた以上、中途半端に投げ出すつもりはなかった記憶探しの旅。長い年月を共に過ごし二人の仲は自然と深まっていった。否、深くなり過ぎてしまった。
始まりこそ偶然と気まぐれだが。
絶望の淵にいた少女は自分に手を差し伸べた男に心惹かれ、そんなスルトの変化に気づきながらも必要以上に踏み込む事はなかったチキンなベリアル。所謂吊り橋効果というやつだろうと軽く考えていたくらいだ。
言ってしまえば友達以上恋人未満のような煮え切らない関係。
そんな二人が爛れた男女の関係に発展するのにそう時間は掛からなかった。一線を越えるために最初に手を出したのはどちらだったか、今となっては記憶の隅に追いやられた思い出だ。
いつしかスルトにとってベリアルが隣にいる事は当たり前になっていた。何をするにしても、どこに行くにしても。それはまるで親鳥の後を追いかける雛鳥のようだった。ベリアルはそんなスルトの姿に一抹の不安を覚えた。
───
それは一時的なものかと思ったが、時々こちらの顔色を窺うように憂いを帯びた表情を浮かべる彼女の姿を見て確信した。
これはよろしくない、非常によろしくない。
互いの精神衛生上の為にも、彼女の今後の為にも強硬手段に出た。彼女がそれを望んでいなくとも、それで恨まれるような事になったとしてもその方が良いと判断した。
依存と好きは違うというやつだ。
似て非なるものだろう、それがベリアルの見解だった。
「まぁ、許す許さないは別の話だけどね」
「……悪かった」
「ダメ。心が籠ってない。そもそも、謝罪と反省は言葉じゃなく行動で示すべきだ……っておい待て土下座じゃない!? 誰も頭を下げろなんて言ってない!」
「え、違うのか?」
「違う。全っっ然、違うッ!」
徐に立ち上がったベリアルの姿に怪訝な表情を浮かべたスルトだったが、自分の前で膝をつき出した時点で何をしようとしていたのかを察して慌てて止めに入った。
行動で示せと言い出したのに、まさか止められるとも考えてもいなかったベリアルは思った以上の剣幕と必死さで止めに来るものだから困惑するしかない。
口ではキツく言いつつも、今となっては水に流した話だ。必要以上に掘り返すような事ではないとスルトと自身も考えている。久方ぶりの再開に心躍ってすらいるが、だがそれを素直に表に出す事が出来ないだけなのだ。
「もっとこう、あるだろう!」
「腹を切れ……ってコト!?」
「どうしてそうなる!!?」
肝心なところで察しが悪い男に地団駄を踏みそうになる。
どうすればこの男の緩い頭のネジを締め直す事ができるのか、どこからか取り出した刀を構える姿に思わず頭を抱えて重いため息を吐き出してしまう。
先程までの凝り固まった空気感はどこかに消えていき、今さら仕切り直すことすら出来ないような状況に陥っていた。
このままでは埒があかない。
本当ならば向こうが意図を汲み取って踏み込んでくれば楽だったのだが、こうなっては仕方ないとスルトは諦め自ら行動に移すことにした。
「───んっ」
「……
「そんな事でいいんだ。は、早くしろ。私だって恥ずかしいんだっ」
「……了解しました。お嬢サマ」
思わず目を丸くした。
てっきり沸々と煮えたぎる溶岩の様な怒りに身を任せてとんでもない事をやらされるのでは、と少々不安を覚えたがそうでもないらしい。目の前には羞恥心からか頬どころか耳まで赤く染めたスルトが僅かに目を逸らし両手を広げて何かを待っている。
ベリアルとてそこまでされて察せないほど鈍くはない。
そんな彼女の様子につい頬を緩めてしまう。
それに応えるよう両手を広げ、少女の華奢な体躯を抱き止める。
「……もう少し強く」
「こうか?」
「んんっ、もっとだ」
「はいはい」
まるで主人と長い間離れていた大型犬のようだ、グリグリと胸に頭を擦りつけ甘えてくる少女の姿にそんな感想を抱いてしまう。強く力を込めれば簡単に折れてしまいそうな細い身体だ。それでもガッチリと組み付いてきている彼女の希望に沿うように、少しだけ力を強くしながら優しく抱きしめ返す。
“───ああ、やっぱり安心する”
男の腕に包まれながらスルトは安堵した。自分よりもガタイのいい体つき、肌から直に感じる心地よい体温、胸に耳を押し当てれば伝わってくる心臓が脈打つ鼓動、壊れる程の力を込めてもいいと言うのに割れ物を扱うように気遣ってくる。
その全てに懐かしさと安心感を覚えてしまう。
スルトは考える。ベリアルは自分への依存が悪化する前にと距離をとったが、それは最早手遅れだろう。抑え込めなくなるほどの
やはりこの男が自分にとって毒だ。
消える事のないシミ。一度でも侵入を許してしまえば根を張り二度と抜け落ちる事がない甘い毒物、ダメだとわかっていながら受け入れてしまう。そもそも、それを拒絶する
……身を寄せ合いどれほど時間がたったのだろう。
感覚が曖昧になっている気がする。
あてがわれた自室の窓から見える広野。外は今朝と変わらず雨が降り注ぎ小気味良いリズムで窓ガラスを叩いている。時刻はいまどれくらいだろう、既に夕陽が傾き始めロドス本艦は夕闇に包まれ始めていた。
「あァ……ッん、ぅン……!」
くぐもった艶かしい
天井に取り付けられた照明はその機能を落とされ、ベッドの枕元に置かれた薄明かりのみが寝室をぼんやりと照らす。
ベリアルの静かな呼吸と、男との再会を待ち焦がれていたスルトの荒く甘い吐息が交差する。ベッドに腰かけた男の上へと跨るように腰をおとした女は口づけの甘い余韻が残る蕩ける
「ん……煙草、前より臭うぞ」
「悪いが我慢してくれ。禁煙しろなんて言われても無理だろうからな」
「ならせめて吸う回数を減らせ。吸っててもいい事なんてないだろ」
「うーん。そう言われると確かにそうなんだが……」
喫煙者の性に囚われる歯切れの悪い男にジッと半目で視線を向け、呆れて息を吐いた。それからもう一度、どちらからともなく導かれる様に唇同士が重なって。乾いた唇と濡れた唇を触れ合わせる度に女体の隅々に甘露な悦波広がっていく。
浅く口を開いた状態で接吻する。
更に開き通しベリアルの口腔へと恐る恐る、スルトの舌先が潜航していく。唾液に満ちた空間の纏わりつくような熱気。歯を掠めながら目一杯差し出した舌先。
舌の弾力と唾液をぬめり合わせる淫靡な感触。艶かしく舌をくねらせ触れ合わせれば指先にまで甘い衝動が行き渡る。どうしようもないくらいにもどかしくも心地よいそれが、スルトの身体の芯に官能の火を点らせてしまう。
滲み出した唾液を、二つの舌が絡まり舐り合う。
堪らず目を閉じながら、甘い痺れに身体を震わせる。
「(───気持ち、いい……)」
ジュン、と下腹部が熱く疼くのを感じる。
クチュリクチュリと淫靡な水音が耳につく、没頭するように舌先を絡め合う。ヌリヌリと舌がせめぎ合い、顎に幾筋唾液が伝っていく。塞がったままの唇の代わりに、鼻腔から熱い息を漏らす事で放散した。
長いキスだった。
息継ぎのために口を離せば、今度は唇を甘噛みするように食んでくる。
「ン! んんッ! ふッ、ンぅぅ……っぷぁ……♡」
ショーツに覆われたち恥丘が熱を孕んでいる。陰唇の割れ目から滲み出たヌルつきが、嫌でも己の肢体の準備万端ぶりを自覚させてしまう。そしてそれが自分だけではないという事も更に自分の熱を昂らせる着火剤になる。
ズボンの上からわかるほどに大きく張り詰めた男根。
指先を滑らせるように腿を撫で、続いて全面部にテントを張り煩わしい程に主張するそれをスリスリと揉み解す。男の欲情を向けられているのが自分だという事実にどうしようもなく熱が加速する。
片手で器用にシャツのボタンを外せば、露わになった綺麗な鎖骨。妙な興奮を覚えながら男の首筋に顔を埋ませ線をなぞるように舌を這わせて吸い付き、これは私のモノだと言わんばかりにくっきりと肌に痕を遺す。
焦燥と興奮から僅かに手元が震える。
どこか慣れた手つきでベルトの留め金を外すがズボンの中で引っ掛かるソレに苦戦しながらも、ファスナーを強引に引き下ろして下着の中からお目当てのモノを取り出す事に成功する。
「………ッ♡」
無意識に、唾を飲み込んで喉を鳴らす。
自然と喉が渇いたかのように口内に唾液が満ちていく。スルトの視線は吸い込まれるように、雄々しく反り立つ肉棒へと釘付けにされる。幼子の腕以上の大きさがあるのではないかと思う肉の幹にはゴツゴツと血管が浮き上がり、幾人もの女性を自分専用の雌として躾けたその証拠として皮膚は淫水焼けしていた。
初めてソレが脈動する様を見た時には未知の生物でもぶら下げているのではないかと驚いたが、見慣れてしまえばどことなく愛らしささえ覚える。
「そんなに熱い視線を向けられると困る」
「う、うるさい。静かにしてろっ……っ、する……からな」
「どうぞお好きに」
ついつい見惚れていた事を見抜かれ揶揄するような言葉と表情を向けられて、顔を背けて羞恥から赤くなった頬を隠す。
ベッドに腰掛けるベリアルの股座の間にスルトは膝をつき、目と鼻の先にある肉棒へと再び向き直った。上体を前に屈めて、息が掛かるほどの距離に迫った肉棒からはムワリ、と漂ってくる強烈な蒸れた雄の匂いに刺激されお腹の奥深くからどうしようもない疼きが響いて来る。
「んっ……むっ……んちゅ……っ」
唇を肉竿に触れさせる。恋人に口付けを交わすよう情熱的に、生温かい肉竿に口付けを繰り返す。僅かに舌先を触れさせて、いくらか滑りの良くなった表面に唇を何度も押し当てる。
「ちゅっ、んむ……はぁ、ん、ちゅっ……♡」
目の前の男の股関に顔を埋めて行う口淫。唇と舌先からの感触、鼻腔から突き抜けてくる淫靡な香りに頭がクラクラする。
「くっ……舌も使え」
「ちゅ、れろ………れろぉ……♡」
時折唾液を補充して、ペチャペチャと肉竿を舐め上げる。舌先と脳が痺れる感覚、髪を掻き上げながらリズムのついた舌の動きで、カリ首の裏にそのまま舌を這わせてベロリベロリと舐め上げていく。裏筋に唇を押し付け、優しく食むように甘く噛みついて吸い上げる。
「それ、やばっ……」
「ンチュッ! ちゅっ、ん、ぇろぉ……」
上目遣いで男を見上げれば、快感がもたらされかすかに身じろぐベリアルの姿、せつなそうな、嬉しそうな表情を浮かべる男の様子に、いま自分がそんな顔をさせているのだと多福感で胸が満たされてしまう。
自分の唾液でコーティングされベトベトとなった肉竿に息を吹きかける。先端から汁をこぼしてビクンッと震える肉竿、なんだかそれが可愛らしくてつい笑いがもれた。
「───……んぁっ」
大きく口を開いて太い幹を唇で挟む。
クプクプと先端をゆっくりと咀嚼するようにしていきながら、舌を使って溢れてくる先走り汁を絡めとる。塩気を含んだ粘液の味が、ピリピリと味蕾を通して脳に伝わっていく。
「むっ……ふむうっ」
デカすぎるんだ馬鹿。先端を頬張っただけだというのに、どうしようもない息苦しさに思わずスルトはベリアルを睨んだ。しかし当の本人は嗜虐心をそそられたのか、口の端を吊り上げながらスルトの髪に手櫛を入れている。
ニタニタと、挑発するような態度に、口の中のモノに噛みついてやろうかと考えてしまう。だけどそれは後でにしておいてやろう。
「……んもっ」
顎が外れてしまいそうだ。
スルトの小作りな顔に似つかわしくないサイズの肉棒が、ズブズブと呑み込まれていく。ほんの少し我慢するだけ、スルトはゆっくりと肉棒の大半を口腔に収めていった。
息が苦しい。
咥えていきながら呼吸をすると、鼻いっぱいにオスの臭いが広まる。舌には肉棒の熱さと硬さが嫌でもハッキリと伝わってくる。僅かな嘔吐感はある、だけどそれ以上にどうしようもない疼きを覚えてしまっている。
我慢できない。つい片手が自分の股座へと伸びていくが、それを抑え込むように目の前の男に手を繋がれてしまう。指を絡み合わせてがっしりと捕まえられる。
「はい、ダメ。こっそり弄ろうとするのは禁止」
「おごっ……ふぐううっ」
お預けを命じられ、不満そうに睨みつけるが効果はない。添えられた手に促されるようにして、艶やかな唇をジュッジュッと上から下へと往復させていく。頬を窄めて、ジュルジュルと先走りごと肉竿を吸い上げて啜っていく。
歯を立てず唇だけで肉棒を捉えるよう、強く圧迫して咥え込む。時折、先端が喉に触れてえずきそうになる、酸欠のせいか頭がふわふわとしてくるがその息苦しさすらも心地よい。
「じゅるるる……んばっ、ちゅずるるるぅっ♡」
下品に派手な音色を奏でながら、スルトは男根を何度も何度も啜りまくっていく。もう竿がピクピクと震えている、さっさと果ててしまえ。唾液も先走りも構わずに飲み込みながら、この男が根を上げるまで淫らに往復させ続ける。
「んっぽ、おっぽ……ちゅずっ、んちゅうぅっ!」
顔を顰めるベリアル、彼の様子に限界が近い事を察する。早く射精せ、早く射精せ、グラインドしながら指で竿の根本付近を擦り上げてやった時。ビクン、と口の中で大きく男根が跳ね上がった。
「ぐっ……うううっ」
「んん!? うぶっ……!」
短い悲鳴と共に、弾丸のような粘液が喉奥で解き放たれた。想像以上の勢いに目を見開く。喉が火傷してしまうのではないか、そう思えるほどの熱く重い粘液が、口内で跳ね返って食道に流れ落ちていく。
「ちょ、離せって……」
「……♡ んじゅっ、じゅぷ、ちゅるるぅっ!」
「っぅ……く、ああ」
腰を引き、口内に収めた愚息を引き抜こうとしたベリアルだが、がっしりと腰に手を添えたまま上目遣いで見上げるスルトがそれを許さない。握られた手を強く握り返して、射精したばかりで敏感な肉竿にヌルリと生温かい舌が絡みつく。
更に深く咥え込み、肉棒を舐めしゃぶる。頬をへこませながら圧迫して刺激を与える。最後の一滴まで搾りつくさんとするその淫らな姿に口角が吊り上がる。
喉を動かす。
口内に溜まり、喉にへばりつくゼリー状のそれはなかなか喉を通らず、肉竿を咥え込んだまま手こずりながらも喉を鳴らして必死に嚥下する。
「んむっ……んぐ、ぅぐ……ぷぁぁっ……げほっ……ん、ベェェ♡」
震える身体、酸欠によりどこか虚ろな瞳、ズロロッと肉竿を口内から引き抜いて、スルトは男を見上げて大きく口を広げ舌を突き出した。まるで自身の口腔内が空っぽであることを見せつけるかのように。飲み切った事を確認させるかのように大きく開いた口、突き出した舌先からは白濁まじりの唾液がツゥーっと垂れ落ちる。
言われずとも、全部飲み込めという雄の命令を忠実に実行したことを証明するかのように。
「……臭いし苦いし、美味しくない」
「飲み込んでから言うことか、それ」
「ああ。だが嫌いじゃない、なんだかクセになる味だ」
「……そうかい」
徐に立ち上がったスルトは身に纏っていた黒い衣服をゆっくりと脱ぐ捨てる。いつの間にかボタンやベルトを取り外して、下着すらもめくり上げて脱ぎ落とす。ぷるんっ、下着を外すと大きく揺れながら飛び出した形の良い大きな乳房。ツンと上を向いた乳首までも完全に晒してしまう。
「なんだ。もう触って欲しいのか?」
「う、うるさい……!」
既に大きく主張しているソレを見て、つい揶揄い混じりの言葉が出る。ベリアルの言葉にスルトは頬の朱色を強くしながら、噛みつくような態度で顔を背ける。そんな彼女が可愛くて、加虐心がそそられるがやり過ぎて後で拗ねられるのも困る。なので彼女の好みに趣向を合わせることにする。
生まれたままの姿となったスルト、彼女を背後から抱きしめるような形でベッドの上へと腰を下ろした。これから自分が何をされるのか、理解しながらも抵抗するコトなくスルトも受け入れていた。
ツゥ、と指先で乳輪を擽る。
こそばゆい感覚に、ビクンと思わず身を震わせて噛み締めた口元から吐息を漏らす。ピッタリと彼女の背後に重なったベリアル、その彼の大きな手が無遠慮に乳房を揉みしだき始める。
「はっ、はぁっ、ん……っ、あっ……!」
張りのある肌に指が食い込む。
ぐにゅ、むにゅ、とむき出しの乳房を堪能するように直に揉み込む。僅かに快感に抗うように身を震わせるスルトだが、目尻には雫が浮かび吐く息は熱がこもり荒くなっていく。
「んっ……♡ は、はぁ……んぁっ♡」
たっぷりと手のひらで乳房全体を揉み込みながら、親指と人差し指で軽く軽くつまみ上げる。丁度いい大きさで弄りがいのある蕾を指先でピンッと弾いてやれば、彼女はビクッと肩を震わせてながら首筋をのけぞらせる。
クリクリと勃起した乳首を転がす。
すっかり両方の蕾を大きくしたスルトが震えた。
「さてと、そんじゃ下も触らせてもらうかね」
「……っ」
「ビショビショだ」
「……っ……い、いちいち私に言うな」
男の大きな手が、彼女の柔らかい肌を這うように下へ伸びていく。
既にそこはドロリと湿り気を帯びていた。内股を滴る愛液、よだれを垂らす赤ん坊のように、パックリと開いた陰唇からは淫水がとめどなく溢れて来ていた。
濡れそぼった陰唇が人差し指と中指で外へと開かれる。ビンビンに大きくなった陰核が風に触れるだけで頭に電流が昇りそうだった。
顔が熱くなる。
息遣いが浅くなり額からは大粒の汗がこめかみの方へと流れていく。それは不安や不快感ではなく、興奮や高揚感から来るものだった。
スルトの秘められた肉壁を覗き込むように指で彼女の陰唇を更に大きく開く。そこかしこで分泌された愛液が泡立ち糸を弾きながら溢れてくる、ゆっくりと指を沈み込ませれば、雄の欲望を刺激するかのように淫靡な膣はうねるように指を飲み込み、ヒクヒクと蠢いている。
今すぐにでも無茶苦茶にしてやりたいが、ベリアルは我慢してゆっくりとスルトという雌を調理して行く。
「熱いな。火傷しそうだよ」
「うるっ、さい……んんっ!」
にゅるにゅると滑るように飲み込まれた指。
肉裂を指先でなぞり、ほじるように動かす。
それだけで背中を浮かせて感じるスルトの身体は面白いくらいにビクビクと震えだし、心地よい甘い声音を響かせてくれる。そんな反応が愛らしい反応を愉しむようにベリアルは嗤う。
「ぁあっ!……っ……ぁあああっ!!」
無意識のうちに腰を捻らせ与えられる快感を逃がそうとするスルトだったが、そんな彼女の行動とは裏腹に体は弛緩してしまったかのように動いてはくれなかった。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音色が二人っきりの空間に広がった。
スルトは反射的に下唇を噛むが、それでも我慢しきれない甘い吐息がこぼれ落ちていく。
徐々に加速していく指の動きに合わせ、挿入された指はあっという間に真っ白く泡だった淫靡な体液で包まれていく。
「あ、あっ……やっ、んん! ……はっん!」
ただ指で弄られているだけだというのに靄がかかったかのように思考が快楽に飲み込まれる。噛み締めた唇が徐々に緩まっていく口の端から唾液がゆっくりと滴り落ちていく。
(きもち、いい……っ。久しぶりだから、こんな簡単に……!)
思考が定まらず頭がふわふわする。
だらしない表情を浮かべてなすすべもなく快楽を享受する。
そんなスルトの様子を観察するかのよう視線を向けていたベリアル。彼は膣内で軽く指を曲げて指の腹で肉壁の天井優しく擦り始めてた。それはまるで彼女の弱点を探し出すかのように。
「あぁっ!……やっんんッ♡」
思わず、一際甲高い声を上げる。
そしてすぐさま、自分がやらかしたことをスルトは悟った。自ら弱点を晒してしまうような真似をして、目の前の男がそれを見逃して黙って置くはずがないことを彼女はよく知っていた。
肩越しに振り向いて見れば満足そうに嗤う男の姿がある。
「ま、まて……んッッ───♡」
静止しようにも、もう遅い。
指が肉壁を押し上げ、泡立った愛液による摩擦で執拗に弱点を擦り上げられる。スルトは全身を強張せて、少しでも嬌声が漏れないようにしようとする。
しかしどうしても抗えない快楽の渦。
頭の奥で溜まった言いようの無い快楽の電流が爆ぜるように、背中の芯を通って下腹部へと広がっていく。
「あっあっあっ、いっいぃっ♡ やだ、いや、でちゃう♡」
「少し静かにしろ」
「ひっ、ああっ! んーっ♡ んんーッッ♡」
合わせた唇で口を塞がれる。
暴れる彼女の舌が男の長い舌に捉われ嬲るように口内を蹂躙する。そして無防備な陰部に追い打ちをかけるように手首の動きが加速すれば、彼女の腰は面白いくらいに踊り出してしまう。
緩み切った筋肉で、背中だけが仰け反った。
瞬間、陰部から噴出する透明な液体。ベリアルが指を引き抜くとそれはビュー、ビュー、都放物線を描いてシーツを濡らした。
スルトに抵抗の余地は一切なかった。
荒い呼吸で息を整える。
あられもない姿で粗相させられ、耳元をくすぐるようにほくそ笑む男の声音に膨れる羞恥心は彼女の脈拍を余計に速くした。ガニ股で全身をヒクつかせることしかできないスルトは恥じらいで耳まで真っ赤に染まる。
「───はっはっ、なんで……っ」
「どうした? 随分と辛そうだな」
「くっ、この変態……んんっ!」
「お褒めの言葉をありがとう。けどいいようにされて喜ぶお前だって人のことは言えないだろう?」
「そ、そんなこと……んあっ」
絶頂の余韻も束の間。
互いの位置を入れ替え、ベリアルは改めてスルトの開いた両脚の間に座り、そして男根を彼女の陰部に沿って上下に揺らしていた。それは単純に潤滑油として愛液を塗りたくっているようにも見えるが、スルトにとっては焦らされているとしか思えなかった。
潮まで吹いた陰部は大きく口を開けて奥まで濡れている。今か今かとその瞬間を待っており、後は腰を突き出せば挿入は完了するだろう。
しかし目の前の男は中々そうしようとはしない。
その意味をスルトは理解している。事実、ベリアルは喉を鳴らすように小さく笑いながら彼女の痴態を眺めるように見下ろしていた。
陰茎がクリトリスが当たるたびに、小さく身体を震わせて喘ぐスルトを愛でるようにじっくりと焦らしている。全身はびっしょりと汗ばみ、息も絶え絶えといった様子で目尻に雫を溜めて瞳を潤わせながら睨みつけることしかできない。
「……おねだり、してみるか?」
「ふ、ふざけ……っぁ!」
「そっか。なら俺は君が素直になるまでゆっくりと待つことにするよ」
ベリアルという遅効性の毒は既にスルトの身体の芯まで侵していた。毛穴の一つ一つが目の前の雄を欲してどうしようもないほど疼いている。弄ぶように男根を陰唇に擦り付ければ、産気ついた妊婦のように息遣いを荒くして視線が奪われてしまう。
スルトは悔しそうに、それ以上に期待を込めて口を開く。
「お……おちんぽ、ください……!」
「……へえ、それで?」
「っ……わ、わたしのこと、めちゃくちゃにしてほしい……」
「オーケー。ハメ潰してやるよ」
「───っぁ♡」
瞬間、下腹部を圧迫する異物感。
穿たれた衝撃で思考が吹き飛んだように止まってしまう。軽く弾ける水音と共に亀頭が心地よいくらいに膣口を潜り抜けた。膣内をめいっぱい押し広げ、圧迫し、肉竿に追い出されて愛液が外へと溢れていく。
「ああっ───、っあぁっ! はぁあ……あっ! ふぅぅっ……♡」
蕩けた膣肉をこじ開けられ丹念に耕される。
スルトの口からは歓喜にも似た叫びが飛び出してしまう。まるで水泡のように頭の中で湧き上がっては弾けていく快感に頭の中が埋め尽くされていく。
挿入されただけだというのに、絶頂してしまう。
歓喜が広がっている身体に突き刺さる肉杭は、まるでスルトにきっちりトドメを刺すかのように何度もずぶずぶと刺突して、強引に絶頂へと押し上げて降りてくることを許さない。
一突きごとに膣肉は興奮でうねり喜びを露わにするよう、肉杭をキツく締め上げて離そうとはしない。腹の奥が熱を帯びていく。身体中がゾクゾクと震え上がり、スルトは身悶えすることしかできない。
「───お゛、おお、んああああっっ♡」
獣のような声が響く。
羞恥からか、声を抑えようと口元に手を伸ばした少女の両手を、指先を絡めながらシーツの上へと押さえつける。肉の杭が腹の奥を叩くたびに自分の声かと疑ってしまうような甘い声が勝手に出てきてしまう。
「ううっ! ふぅぅーっ♡ ううぅぅーっ♡」
唸るような嬌声。
下唇を噛んで堪えるスルトの様子に、我慢するなと言わんばかりに強いストロークを見せる。絶えず奥を刺激され、それだけで彼女の小さな意地は決壊する。
「や、やだ♡ これはげし、おかしくなるっ! んんっ!」
「めちゃくちゃにしてほしいって言ったのはそっちだろ」
何度も腰を振る。
首筋に吸い付き、華奢な身体の輪郭を確かめるかのように指先を走らせる。汗ばんだ肌に触れて、くすぐられる度にそれだけで意識が飛んでいきそうなほどの深い快感が彼女の身体を襲っていた。
どちゅん、どちゅんと肌がぶつかり淫靡な水音響く。
リズミカルに腰を打ちつけられる度、スルトは自ら腰を振るって迎え入れる。
肉棒が窮屈そうに自分の中を通り抜けていくのがたまらない。力強く、絶え間なくそれを送り出してくれる男の腰が愛おしい。いつもの気丈な姿は見る影もなく、甘えた声を上げて惚れた男にしがみつきねだるように腰を突き出す。
ここロドスで普段の彼女の姿を知るものがこの情事を見てしまえば、その変わりように目を疑ってしまう事だろう。トロンとした顔でよだれまで垂らして快楽を貪る姿を見て、誰が彼女があのスルトなのだと信じるのだろうか。
「ああああぁっ♡ いぃ……これひゅご……きもちイイぃっ!」
腰が一層深く密着し、円を描くように回される。
肉壁をゴリゴリと押し潰されながら、狭い膣の全てがかき混ぜられる。
肉の激しく弾ける音と共に、生々しい性臭が部屋に充満する。
そしてとうとうその時は訪れた。
今まで入り口から最奥まで細かく上下していた肉の杭が、一気に膣壁をこじ開けて、ピッタリと腰同士がキスをするまで深く挿入した。
深く挿入された肉棒が、活き魚のように跳ねる。
疼く子宮がその瞬間を逃すまいとその脈動を押さえつけるように膣内をみっちりと収縮させる。
「──────〜〜〜………っっ♡♡♡」
跳ね回る男根をダイレクトに膣肉で感じ取り、少女は全身を戦慄かせ、まるで衝撃に堪えるかのように目を固く瞑った。
スルトは言葉を失い動きを止める。
まるで腹の中で爆薬が爆ぜたかのようだった。
堰を切ったように腹の奥へ勢いよく白濁液が注ぎ込まれる。喉の奥から甘く蕩けた声が出てきてしまう。目を見開き、パクパクと口を開けてしまう。
いつまでも止まらない吐精。
腹の奥で浴びせ続けられる熱に絶頂から戻ってくることができない。ズキズキと疼き降りてきた子宮が、深い口付けを交わしながら肉棒の先端に吸い付き吐精を乳児のように飲み込んでいく。
(おなか、あつい……♡)
心地よい熱を感じる。
肉胴が脈打つ度に、快楽という名の麻薬が浸透して少女を多幸感の虜にしてしまう。膣が肉胴へと妖しくまとわりつき、だらしなく腰を痙攣させる。自らの意思を離れて、何度も何度も子種を搾り取ろうとする。
ズルリと肉棒を引き抜いたベリアルが彼女の横にしゃがみ込み、肉の杭を突き出せばスルトはぼんやりとした眼差しのまま、まるで労わるかのように体液に汚れたそれに舌を這わせて綺麗にしていく。
「へばるなよ。まだ終わらないからな」
「………♡」
「っ………?」
気がつけば夜も明けていた。
カーテンの隙間から差し込む日差しに照らされ、朧げな意識で瞼を開く。寝台の近くに無造作に置かれた時計に手を伸ばして時刻を確認すれば、既に昼飯時を過ぎたような時間だ。思ったより深い眠るに落ちていた事に少しだけ驚く。
今日は特に予定もなく、もう少しだけ惰眠を貪ったところで何を言われることもないだろうと思っていたが、自分の隣にあった筈の温もりが感じられないことに気がついた。
ぼんやりと窓の外を眺めがら、寝起きで稼働しきらない脳を働かせながら、まだ少しだけ倦怠感の残る身体をゆっくりと起こした。
「う……っ……ひどいな」
途中から記憶があやふやだが、自分が思っていた以上に乱れ深く交わっていた事が湿り気のあるシーツや床に脱ぎ散らかされた衣服を見て理解できた。
幸いにも、自分の生活スペースは相部屋ではなく個人部屋であり、この部屋の有り様を同居人に目撃されるなどという事態は起こらない為、慌てて部屋を片付ける必要もないかと頭の片隅で考えておく。
そこでふと、個人部屋に備え付けられた簡易的なデスクの横に置かれた椅子の上に掛けられた黒い外套が目に入った。
自分のものではない、サイズの大きなロングコート。
それをつい手に取って、顔を埋めたい衝動に駆られそうになったが自制しておく。起床直後から盛るほどの元気は彼女には残されたはいない。
シャワーを浴びてからあの男を探しに行くか、なんて思っているとロックが解除される音と共に機械音を響かせながら自室の扉が開いた。
「ん? おはよう、起きてたか。まあ、もうおはようなんて時間でもないがな」
「誰かの所為でこんな時間に目が覚めただけだ……どこに行ってたんだ?」
「ああ、食堂だよ。腹減ってるだろうと思ってな。あそこのキッチン使わせてもらってただけだ」
そう言って見せるように手に持った昼食乗ったトレーを軽く上げた。
それを見て、なるほどなと小さく頷いて納得する。そういえばこの男は自炊もできたんだったかと過去の出来事を思い出して思考にふけそうになるが、かぶりを振って正気に戻る。
「というか、いつまでスッポンポンでいるつもりだ。何か着ろって」
「……別に、お前に見られて困るようなことはない。流石にジロジロ見られるのは恥ずかしいが」
「あらやだイケメン……じゃなくて、風邪引かれても困るから服を着ろって言ってんの」
「ならお前が今着てるシャツを貸せ。それでいいだろ」
「えぇー……」
んっ、と手を伸ばしてくるスルトの様子にベリアルは呆れたように表情を歪めたが、手に持っていたトレーをテーブルの上に置くとシャツを脱ぐと投げて渡す。
スルトはそれに満足げな表情を浮かべながら袖を通す。
二人の身長差は体格差からか約30cmほどあり、体格差から彼女の姿をすっぽりと多い肌の露出を隠してくれた。
「というか、先にシャワー浴びてこいって」
「後でいい。それよりも私は腹を空かせている」
「……ならせめて顔くらい洗ってこい。いま起きたばかりだろ」
ベリアルの言葉に渋々と言った様子で個人部屋に備え付けられている水場に足を運ぶと、数分もしないうちに顔を洗い一通りのことを済ませてきた様子で戻ってくる。
「てか
「ん?……ああ、これのことか」
手渡されたパンやスープ、サラダといった比較的簡素な昼食を舌鼓でいるとベリアルは思い出したようにスルトの首元へと目を向けた。視線に気がついた彼女は手を止めて、彼の視線の先にあるものに指を伸ばした。
それはドックタグだった。
傷や血錆などの損傷が目立ち、文字が刻まれた部分は摩耗して読めなくなってしまっていて、とても状態がいいとはいえないボロボロなものだ。
「……ふん、 あったりまえだ。そう易々と捨てるものでもない」
そういって愛おしいそうに指先で表面をなぞる。
そのドッグタグは過去にベリアルがスルトへあげた贈り物のようなものだ。出会った頃の彼女は名前を忘れ、なぜ自分があの場所にいたかもわからなくなってしまうという事態に陥っていた。
幸いにもその記憶障害は一時的なものであったが、彼女が自分の呼び名すら思い出すまでは色々と不便だろうと、ベリアルがいらなくなった自分のドックタグに名を刻み直して、彼女に
そこにはベリアルとスルトしか知らない、彼女のもう一つの名前が刻まれている。
それを大事そうに抱えるスルトの様子に、ベリアルは少々気まずそうに視線を逸らす。彼としては拾った動物に名前をつけるくらいの軽い気持ちで名を与えただけなのだ。
まさかそこまで大事そうにされるなんて当時の彼を思いもしていないのだから。
しかし、彼女がそれを気に入ってくれてるなら別にいいかと、いつの間にか雨が降り止んだ外の景色に目を向けるのだった。
「……ああ、そうだった。私もお前に聞きたい事があったんだ」
「へ、なに?」
「私と一緒にいない間、随分と遊び歩いてたみたいだな。そこら辺をしっかりと聞かせてもらおうか。特にこの間、お前と一緒にいた奴のことも詳しく教えてもらうからな、ん?」
「……か、勘弁してください」
キャラ詳細みたいなやつは後日載せるかもしれませぬ、久しぶりのR-18小説書き切ってからそこまでの元気はなかったです。すいませぬ。
というか、こっちのこっちの小説久しぶりすぎて難航しましたわ。えっちなシーンもっと増やしたかったけど、文字数多くなり過ぎて気が狂いそうだったのでストップしました。
多分、過去一番で文字数が多いかもしれない。
再登場希望キャラ
-
チェン
-
W
-
テキサス
-
エクシア