狐月の誓い 作:じゃじゃじゃ
何も言えずにただぼくは立ちすくむ。
目の前で、何故か両手を後ろに縛られたまま、男に向かって股を開かされている女の子。
だけど、村では見たことのない子だったし、そもそもその子は人間じゃなかった。
見間違えじゃ決してない。
……狐だ。
年はぼくより一つか二つぐらい年下だろうか。背はぼくと同じぐらいだろう。
反対に黒髪は腰まで届きそうなほど長い。
全身を覆う、ふわふわの狐色の毛。
だけどおなか側の毛は反対に白い。ぱっちりとした大きな目に、大きな狐耳。
狐にしてはそれほどツンとしてはいない鼻先。先の方が真っ白い立派なしっぽ。
人間にも似ている部分もあるけれど。人間じゃなくて、この子は、確かに狐だ。
おかしいな。人間じゃなくって、狐なのに。どうしてかわいいって思うんだろう?
どうして、胸が高鳴っているんだろう……?
なんて思っている内に、右乃助さんが孤の子の股に自分のちんぽを挿れる。
「う、ひぐう……」
痛がるような素振りをする狐の子。
その目は虚ろなように見えた。
けれどそんなのもお構いなしに、右乃助さんは激しく腰を振る。
「口でもちゃんと味わうんだぞ」
四五郎さんがその途中で、狐の子の口に無理やりちんぽを押し込む。
「ん、んん~!」
泣いてしまいそうになりながらも必死に咥える狐の子。
膣に、そして同時に口に入れたり出したりを繰り返されて。
「出るっ!」
沢山の精液が、狐の子の膣にも口にも、溢れるほど注ぎ込まれた。ごく、ごく……と狐の子が精液を飲み込む音。
「ちょっとは上手くなってきたな、こいつ」
女の子の口からちんぽを抜いて、右乃助さんが笑う。
「ああ。偉そうなこといってても、所詮は獣だな。あれほど嫌がっていた人間おちんぽが大好きになっちゃったんじゃないか?」
なんて四五郎さんが言っていると。
「もう、……今日は、勘弁してくれ……」
女の子がそう呟いた。涙を流して体は震わせながら。
既に沢山注ぎ込まれたためか、体中に誰のとも分からない精液がかかっていて……。
「人間様に口答えするんじゃねえよ」
そう言って彦八さんが狐の子に問答無用でのしかかり、狐の子の膣内に指を入れる。
「そんなこと言ったって、お前だってもっと欲しいんだろ? もうこんなに感じてるじゃねえかよ」
そして彦八さんは問答無用で指の代わりにちんぽを挿入する。
「あっ、うぐっ……」
息をつく暇も無いまま、次の行為が始められる。
そんな異様さから目を逸らせないまま、屋五郎さんに訊いた。
「あの女の子は……」
「あいつは去年この村を荒らしていた化け狐だ。この間とうとう捕まってな」
化け狐? そんな話、初めて聞いた……。
「もう二度と人間に逆らったりしないように、こうやって毎晩懲らしめてやってるんだ」
平然とそう言ってのける屋五郎さんに、今までとはまた違った不気味さを覚える。
「懲らしめるって……」
「狐と言えどもちゃんとマンコは有ったから、丁度良いだろう? 人間の役に立てて、奴も嬉しいんじゃないか?」
そう言うと屋五郎さんはもう話すことは無いという風に他所を向いてしまう。
ぼくが返事をできずにいると、伝八さんが間に割って入って、屋五郎さんに話しかける。
「狐マンコ、すげえ締り具合だな。何度注いでも飽きねえぜ」
「最近あいつもようやくちんぽの味を覚えてきたみたいだな」
「ああ、喜々としてしゃぶってきやがる」
「あはは、最初はあんなに嫌だとか何とか言ってたのにな」
そんな会話を聞きながらぼくはただ狐の子を見ていた。
疲れているようにも、けれど自分から腰を動かしているようにもどっちにも思える。
ただ、自慢だったろう黒髪が、精液で汚れてしまっているのがかわいそうだった。
幻のような狐の子をぼおっと眺めてると……。
「お前も、こいつとやってみるか?」
それはぼくに向けた声。突然呼ばれて咄嗟に顔を上げた。
「やってみる、って……」
「もちろん交尾だよ。お前もそろそろこいつで抱く練習をした方がいいんじゃないか?」
そう言って男がくい、とまるで物を扱うみたいに、女の子の顎を指で上げる。
「お前にはこいつがお似合いだよ」
あはははは……と笑い声が響き渡る。ぼくは誰に対して何をどう言ったらいいのか分からなかった。
「それじゃあ、……」
ただ心の奥底からは、手淫をしている時では決して感じない、強い衝動のようなものが湧き上がっていた。
自然な流れで服を脱いで、褌をほどいて、ゆっくりと女の子に近づいていく。
近くで見ても、女の子はやっぱりかわいらしい狐だった。
狐を見るのは初めてじゃないけれど、この子は普通の狐とは明らかに違って、ずっとずっとかわいい。
ふわふわの頬の毛がやわらかそう。しっぽも大きくて愛らしい。
表情もなんだか人間みたいだ。
……こんなに誰かのことを気になったりしたのは、人間の女の子に対してでも今までなかった。
……この子と、交尾がしたい。
だけど、挿れる前に自分に問いかけてみる。
――悪さをしたのなら、こうしてお仕置きをされていても、仕方がないのかな……。
穀物荒らしは本当に災難だったし……。
それなら、いいのかな。懲らしめるだけなら……。
ぼくは自分のあそこを握る。
けれど、既に勃ちかけていたそれは、触っても中々更に大きくなってはくれない。
普段ならもっと固くなるのに。おかしいな。
こんなにかわいい女の子と夜伽ができるのに……。
何回か、しこしこと手を前後に動かすとようやくあそこはそそり立ってくれた。
「じゃあ、……挿れるよ」
その声を聞くと、ごろん、と仰向けに寝っ転がった女の子が少し身じろぎして、目を閉じる。
よく見れば、もふもふのおなかの毛の間には、うっすらとピンク色の乳首が覗いていた。
狐って、おっぱいが六個もあるんだ……。
少し膨らんだ、とってもやわらかそうなそれを少しだけ眺めていると、ちんぽがまた大きくなった気がした。
……そろそろ、挿れよう。ちんぽの先っぽをなぞれば、ぬるりとした感触が走る。
体を重ねると、狐の子の体温が伝わってきて、暖かくて気持ちいい。
ぼくは自分の鼓動が大きくなるのを感じながら、女の子の膣の入り口にぴたりとちんぽをくっつけて……。
ぬぷぷ……と音を立てて、ゆっくりと、ちんぽが狐の女の子の膣内に入っていく。
意外とすんなりと。ふわふわのおなかの毛に撫でられてくすぐったい。
「うっ……」
挿れた瞬間、あまりの快感に目を閉じて、声を漏らしてしまった。
動かすたびにぎゅう、ぎゅうと膣が締め付けてきて、たまらない。
くすぐったいような、だけど強い刺激。腰がゆるんで、勝手にガクッときて、おかしくなっちゃいそうだった。
ゆっくりと腰を動かしてみれば、膣のひだが、にゅるにゅると舐めるようにちんぽに絡みついてくる。なんて、なんて気持ちいいんだろう……!
「はあっ、はあっ……!」
ぼくは狐の子の膣にちんぽを出し入れするのを繰り返す。体は熱くなっていき、息は荒くなる。
「あっ、うっ、おちんちんっ……」
女の子が時折小さく喘ぐ。だけど、表情を見るに、どうやらそれほど痛くはないみたいだ。
良かった、と安心していると……、体の底から、急に何かこみ上げてきて。
すぐにそれは我慢できないほどに強くなって。
も、もう、出てしまいそうだ。
「ごめんっ、もう、出しちゃうね……!」
そう宣言すると、顔を真っ赤にして喘いでいた狐の子が、こっちを見た。
「ううっ……で、出る……!」
駆け上ってくる絶頂に、ぼくは目を閉じる。
…………。
ぼくは自分のちんぽを狐の子からそっと引き抜き、声をかけた。
「……大丈夫……?」
馬鹿な質問だと自分でも思う。
「――」
はあ、はあ……と荒く息をつく女の子が、今、何かを言いかけた気がしたけれど――。
「大丈夫、そいつは頑丈にできてるから、ちょっとやそっとじゃダメにならねえよ」
粗野な声にかき消されてそれは聞こえなかった。
そうこうしている内に、女の子の首には首輪がはめられ、太い鎖が繋がれる。
両手を縛っていた縄は解かれたけれど、その代わりとしての首輪は、頑丈そうな鉄でできていた。
全員が外に出ると、蔵の分厚い扉は閉ざされ、大きな錠がいくつもかけられる。
狐の子は床に伏せ、涙を流しているようだった……。
村に帰る途中で、列の最後尾を俯いて歩いていたぼくは誰かに訊く。
「あの。……狐の女の子は、いつ……許されるんですか?」
「は? 許す?」
返ってくるのは、嘲笑の混じった声。
「お前本気で言ってるのか? 考えてもみろよ。あんな性悪狐、逃がすわけねえだろ」
「あいつには、もっともっと頑張ったら必ず許してやる、っていつも言ってるけどな」
「それを信じちゃってるみたいでさあ、そんな訳ないのに」
「やっぱそこんとこ狐だから馬鹿なんだよ」
あはははは……と笑い声が森に響き渡って、鳥や虫の音はかき消される。
ぼくもいつしか列を離れて、あの蔵まで戻っていた。
天井ぐらいの高さにあった窓は背が届かないので、足元ほどの低い位置にある小さな格子窓から中を覗くと、狐の子はくったりとして、こちらに背を向けて眠ってしまっているようだった。
起こしちゃうのは悪いな……なんて考えてると。
「最後に……わらわと交わった奴じゃな」
狐の子はゆっくりと体を起こして、振り返ってこっちを見た。
ちゃりん、と、鎖が地面とこすれる音。強い眼差しで見つめられて、どくん、と心臓が跳ねる。
「いや、その……」
不意に、交尾の時の、狐の子と目が合った瞬間を思い出す。すがるような儚い表情だった。
……もう遅いけれど、だけど狐の子に言わなきゃいけない……。
「……ごめん。さっきの……痛かった?」
狐の子が痛いんじゃないかって心配になったなら、そのままするべきじゃなかった。どんなに痛くなさそうにしていたって、固くなったちんぽを狭い膣に入れるんだから、女の子の方はやっぱり痛いに決まってるのに……。
「……ああ。そんなのとっくに慣れとるわ」
吐き捨てるように狐の子が言う。闇を湛えた目に見つめられ、たじろいでしまう。
けれど狐の子はそのままぼくを無視でもなく、長くない鎖の限界いっぱいまで格子窓に近寄って、腰を下ろした。
「……わたしは、災難など、起こしていない」
狐の子が呟く。凛とした、高い声。だけど同時に……弱ささえも感じてしまう。
「やってないと、いうのに……!」
訴える狐の子を見て、確信した。
狐の子は、嘘をついてなんかいない。
人のものを盗んだりなんかする人じゃない。
初めて出会った人にこんなことを思うのは不思議だし、それは直観だったけれど……。
きっと、間違っていない。
無実の罪でこんな暗いところに閉じ込められて、その上毎晩、沢山の人に交尾され続けるなんて……。
……ぼくは、なんてことをしてしまったんだろう。
狐の子は嘘をついていないって思うなら、どうして矛盾するようなことを。
みんなに流されて、例え狐の子のことが好きだったとしても、自分の勝手で挿れるなんて……。
「ごめんなさい……!」
ぼくはとにかく謝らなきゃいけない。何よりも先に。
「……別に、いいんじゃよ。気に病むな」
狐の子は表情を変えずに言う。
「あやつらに言わせれば、悪いのはわたしらしいからな」
さらりと狐の子はそう言ってのける。だけどその表情は、悲しみを湛えている。
「これは、お仕置き、なんじゃろ?」
お仕置き。確かに、そういう体面だけど……。
「……で、でも」
さっきみんなが言っていたことを口走りそうになり、慌てて口をつぐむ。
こんなことを言っても、この子を傷つけるだけだ。
「………察しておるわ。ここから出れんことなんて、そんなの、とっくに」
けれどぼくが言い掛けたことを、狐の子はすぐに読んでしまったみたいだった。
その表情は疲れ切っているように見える。
それを見ているだけで、胸が苦しくて息がおぼつかなくなっていく。
……好きだ、狐の子のこと。
だけど、ぼくは狐の子をただ傷つけてるだけなんじゃないか?
交尾した後から謝ったり、分かり切っている嫌なことを、わざわざ伝えてしまったり。
自分が嫌になってきて、狐の子の顔をまっすぐ見れなくなってしまう。
「……」
ぼくが言葉を見つけられないでいると……。
「のう」
「う、うん」
反対に、狐の子が声を掛けてきたので、驚いてすぐ顔を上げる。
「おぬし、自分の行いをまだ気にしておるのなら……」
再び語りだす狐の子。
心なしか、さっきよりも、声や表情から、弱さのようなものが薄らいでいる気がする……。
「その代わりとして、良かったら、一つ、わたしの願いを聞いてはくれんか?」
願い。
「もちろんだよ」
ぼくが協力できることなら、何でも。自分がしてしまったことの、お詫びを何とかしてしたかった。
それに、もうこれ以上この子の辛そうな顔を見るのが嫌だった。何でもする。
「ふふ、おぬしはせっかちじゃな。まだ、わたしは何にも言っておらんぞ?」
くすくすと、可笑しそうに狐の子が、口元に手を当てて笑う。
それは、初めて見る、狐の子の笑った顔。小さな牙が見える。
とっても魅力的で、まるで化かされちゃったみたいで……。
少し安心して、女の子と一緒に笑う。
ふう、と一息ついて、今度は女の子がじいっとぼくのことを見つめてきた。
途端に顔が熱くなってきて、緊張して。何故か恥ずかしくなってくる。
こんなことは初めてだ……。
のぼせてしまいそうになっていると、狐の子がそっと口を開いた。
「では、お願いじゃ」
ぼくはすぐに顔を上げる。
狐の子は表情を崩して、けれどまたすぐに、こほん、と咳ばらいをして真剣な表情に戻り――。
「――どうか、わたしのことを殺して欲しい」
狐の子の瞳に、輝きが宿っていた。