このSSは硬梨菜氏が小説家になろうにおいて連載している、「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」の二次創作であり、タイトルの通りです。

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そんな初夜もあったのでしょう。

大学生になった。

 

ぶっちゃけると、あんまり旅行に惹かれるものはない。

自分は趣味第一だし、自分の連れ合いは趣味に没頭している自分を眺めることが趣味だと曰うので、自分たちの関係は良好だ。

だから、別に旅行が嫌いというわけではないけれど、その時間があるならゲームやっていたい。っていうのが正直なところだし、無理にそっちに時間を割いてまで。という思いもある。

 

ただ今回は、風の噂でオールドゲーム(当然クソゲーと名高い)のパッケージ版の在庫が、遠い地のゲームショップで眠っていると聞きつけたのだ。

ちなみに情報提供元は、実家を離れてからもなんだかんだで連絡を取り合っている岩巻さんだ。

 

「玲さん、今度の休日は遠出するけど、玲さんはどうする?」

 

趣味に没頭しても止められないというのは実にありがたい。

いや、そもそもうちの家族は互いの趣味には不干渉がモットーなので、ありがたいと感じる以前に当たり前だったわけだけど。

 

とは言え、世間では勝手に断捨離して離婚だのトラブルだのの話題を時たま耳にすることもなきにしもあらずだが、自分の家族を思うとゾッとしない。

 

少なくとも、手を出してはいけないラインは弁えているし、関係修復が不可能な線をどうして越えようと思うのか....

多分人生のチュートリアルをスキップしちゃったんだろう。

少なくとも自分の人生では接点を持つことのない人種だ。

 

とは言え、付き合っている相手をほったらかしにして好き勝手遊び歩く男性が、世間一般からどう評されるかという常識ぐらいは俺もインストール済みだ。

 

うちの両親は、最初はその辺りをほったらかしにしていて、児相案件になったのは今では笑い草だ。

その教訓は今の自分にちゃんと生かされているので安心して趣味に没頭していて欲しい。

 

「わかりました。えっと、どこに?ですか?」

 

花嫁修行もしていたとのことで家事周りは一通り自分でできてしまう玲さん

 

省力化しつつ自分で出来なくもないけど色々"削って"しまう自分。

 

どこかの魚類に聞いてみると、そこはマネーパワーで解決だよ。とブルジョワなことを言っていたので10先で"わからせ"ようとした。

4−6で負けたわクソが。

 

しかし、湧いてでた源泉のことを考えると色々逃避したくなる記憶もあるけれど、今の自分にはそこそこ充実したキャッシュもあって、少なくとも生活の質で言えばかなり豊かな部類になるとは思う。

 

キャッシュにものを言わせてしまえば、ちょっと割増分の手間賃を払うだけでそれをデリバリーなりお使いなりしてもらうこともできるけれど、浪漫嗜好の自分からすると、買えるのであればそれは自分の手で受け取りに行きたいと思うのが正直なところだ。

 

そうして告げた目的地は、今なお残る旧世代の新幹線で一時間ほどいけばつく距離だ。

 

「あの…その…えっと…ですね」

 

「?」

 

「私も同行したいのですが!!」

 

「いいの?」

 

暗に、自分の趣味を満たすためだけだよ?と、言葉の裏に含ませても、そこは問題ないと玲さんが返す。

 

コクコクと頷く彼女は、ただですね…と、手元のパンフレットをもじもじと出そうかだすまいか迷っているようなそぶりで指先で弄っている。

 

「それなら帰りに温泉旅行などいかがでしょう?」

 

「いいよ」

 

お互いの趣味こそ第一といえ、一般的なカップルなら欠かさないであろうコミュニケーションまで否定するつもりは毛頭ない。

 

両親を見て学んだのだ。

 

息抜きのリズムにいい感じに家事とか家族間コミュニケーションをこなすことで趣味への没頭がより深いものになると。

 

さながらデイリーミッションを最適化するみたいに。

 

幸い、自分で旅程を組んでいたところだと、帰りはやや強行軍になりそうだし、現地の移動をどうしようかと迷っていたのもある。

 

「チケットとかは、私の方で…て、手配しておきますので!で!」

 

「いいの?助かるよ」

 

と、善意に甘えられる時は甘えておこうと思う。

 

それが、数日前の話で、目的のゲームを入手した自分は、帰宅したのちをクソゲー集中期間と定め、その英気を養おうと、意気揚々と玲さんが予約してくれた温泉街へとたどり着いたのだった。

 

 

◆

 

 

 

聞けば楽郎くんのお父さんの趣味は釣りだという。

いつぞや、というか、初めて自宅に招いた時には、祖父の疑似餌を手に談笑していたけれど、普段から目にする機会があるからか、自然と詳しくなったらしい。

 

よく魚を釣ってくるということもあって、魚の味には少々舌が慣れているというか、違いがわかる程度には食べ慣れているみたいだ。

 

現に今住んでいる下宿にも、時折、魚が郵送で送られてくる。

私が捌けない訳ではないけれど、その時は楽郎くんが綺麗に料理してくれるので、割と心待ちにしていたりする。

 

そんな、私たちの前に運ばれてきたのは懐石料理。

 

純和風の客間に綺麗に調和した料理に舌鼓を打つ。

「いつもいただく魚とはまた違いますね」

 

「あっ、やっぱりわかる?親父のも美味しいんだけど、こういうところのちゃんと料理された魚もまた上品でいいね」

 

彼は知らない。

釣りたての魚を活け締めにしたものの鮮度がどれほど貴重なものかを。

彼は知らない。

それと変わらぬものを出す宿がどれほど珍しいかを。

 

彼の家の表現方法に則れば、趣味:陽務楽郎である私は、普段の浪費は本当に慎ましいものだ。

なんて言ったって、生活費を除けば彼と同じゲームを買うぐらいで、あとは生活環境の質向上への投資ばかり。

そんな懐事情もあって、趣味貯金が随分と溜まっていて、こんな時だからと随分と高価な宿所に予約を入れたのは、今ばかりは自分だけの秘密だ。

 

 

 

口に含むばかりの酒精を胃に流したあとは、浴場に向かい身を清めて。

 

私が先だろうか。それとも楽郎くんが先だろうか。

人気ないロビーに1人、珈琲牛乳を自販機で買う。

 

そういえば、とちょうど二つ目を買ったところで、楽郎くんがやってくる。

「先に来てたんだ」

「今きたところですよ」

 

と、いつぞやの逢瀬を思い出させるようなやりとりをそれとなく交わす。

 

「どっちがいいですか」

と私が、差し出したのは珈琲牛乳と、追加で買ったバナナ味。

 

同じ光景を思い出したのか、それとも。

クスッと笑いあって、ビンのふちをカツンとぶつけ合う。

 

コクリと喉を鳴らして部屋に戻ると、二枚の布団が、綺麗にくっつけて一つになっていた。

 

 

 

ふと、ゴクン。と生唾を飲んだ。

 

「れ、玲さん?」

 

「早めに寝ようか」

と、そそくさと布団に向かう楽郎くんを、背中からそうっと抱きとめる。

「んおっ?」

つい、色々消してしまっていた。足音とか。

 

「チェックアウトも遅いですし、ちょっと夜更かししませんか?」

 

どくん、どくん。と、心臓の音が耳の奥で反響しているような気がする。

 

携帯の振動よりもよっぽど、聞こえてしまいそうな大きさ。

浴衣越しに、果たしてこの振動が伝わるかどうか。いや、気付いて欲しくない。

でも、ちょっとは、気づいてくれたら。

そんな自己矛盾と、ターンを終えた後の空白と。

 

くるりとこちらに向かい合った楽郎くんは、いいよ。と、自分の耳元で小さくささやいた。

 

 

◆

 

 

とすんと、背中から布団に転がり落ちる。

 

恥ずかしいからと消した室内灯に変わって、天窓から差し込む月明かりだけが、ほのかに周囲を照らしている。

彼から、私の表情がどれだけ見えているかわからないけれど、きっとこの、赤らめた頬の色は気づかれないはずだ。

薄暗さが色を消して、うかがい知れるのは陰影だけ。

 

そうっと、彼の指先が唇に触れる。

キスするよ、と言わんばかりの予備動作。

つぅっと、そっと触れる指先。けれどそれは今ばかりは向かいあった目と目に意識が奪われて。

 

一瞬の空白、あるいはそれは刹那の見切り。

そして私と彼の唇は、その距離を零にした。

 

ついばむように、確かめるように。そうっと始まった唇越しの応酬は、少しずつリズムが早まるジャムセッションのように、少しづつ様相を変えていく。

 

正直、私に余裕はない。

 

上の姉のせいで、幾分か耳年増になってしまったかもしれないけど、実際の行為を前にして、意識を保っているのが精一杯だ。

そんな私の様子を察してか、彼はそこまでがっついてこない。

 

自制してくれているのか、それとも彼の掌の上で私が転がされているのか。

 

彼の手が、私を抱き寄せるように肩に触れる。

 

つぷ、と音を立てて離れた唇。

「力を抜いて」

 

「ふぁい」

 

溶けた声があまりに自分のものじゃなくて、どこか夢見心地に近い。

 

次は、少し違うキス。

 

唇をはむように、そして、舌でふちを撫でられる。

 

ただそれだけなのに、体が跳ねる。

 

ただ、受け身に、彼から愛情を受け取っているだけなのに、火傷するように熱い。

 

唇を通して伝わってくる熱が、自分の中で居場所を探しているみたいに、体のあちこちが火照りだす。

 

じわっとした熱は、胸の奥、頭の奥、お腹の下。

水面に波紋が広がるようにじんわりと。

部屋に音が響くようにじんわりと。

あるいは、振動が表面を走るように。

 

熱が、熱が、少しづつ具体的な形をもって私の中に潜り込んでくる。

 

「ぷは」

 

とても静かな、愛情の応酬。

返せたのは、ほんの一手か二手、受け取るばかりの愛は、どこか申し訳なくて、でも、きっと彼なら、チャート通りとか考えてそうだな。と思ってしまって、クスリと笑みが漏れる。

 

触るよ。と、浴衣の隙間に彼の手が触れる。浴衣の縁を越えてすでに彼の手は私の胸元に触れている。

 

また、暖かい。

 

変わらないはずの体温。なのにこんなにも暖かい。

 

どうぞ、と、自分も彼の胸元に手を伸ばす。

 

少しでも伝わればいい。

 

と思えば彼も、手が暖かい、と、空いた手で私の手のひらを愛撫する。

 

時々つなぐようになった手。

なのに今は、キスのときみたいな気持ち良さが、なぜか自分の手のひらで弾けて、体の中心部に向かって響いてくる。

 

 

 

「あっ….」

 

漏れた嬌声はあまりに恥ずかしくて、見られることがないとわかっていても、真っ赤に染まっているだろう顔を隠したくなる。

 

でも、彼の手は、それを私に許してくれない。

 

じゃあ、触るよ。

 

風呂上がりの時点で、私は既に下着を着ていない。

するっと潜り込んだ彼の手が、私の胸の頂きに伸びる。

 

 

「ふっ…くぅっ….」

 

嬌声はなんとか噛み殺した。

 

でも、その反応だけで、私がどれだけ感じているか、きっと彼には丸わかりで、探るように蠢いていた彼の手が、私の弱いところを着実に責め立てるように変わっていく。

 

いちばんたまらないのは、触れるか触れないかのフェザータッチ。

 

きっと、もっと刺激がほしいと体が求めるようになるんだろう。

 

小さな刺激すら、ちゃんと感じようと体が切り替わっていく。

 

そのあとにやってくる、少し強めの刺激。

 

自分で反応よく作り変えた後の自分の体に、その刺激は過大入力で、その刺激は胸の先で止まることなく、脳を快楽で焼き尽くさんばかりに、水流となって、洪水となって、自分の中に押し寄せてくる。

 

頭上で、布団のシーツを握りしめて、ぎゅっと閉じた目。

なのに視界がパチパチと眩しくて。

 

その…1人で、致していたときとは、全く違う。

 

ふわっと、ぎゅっと。

 

ほのかに軽く、けれどどこかズシリと。

 

ふわっと飛んでいるようで、あるいは布団に押し付けられているようで。

 

自分の体の支配権を手放してしまったかのような虚脱感。

 

絶頂は、未体験というわけではない。

 

この感覚を、全く知らないわけではない。

 

けれど、これほどのものは始めてだ。

 

まだ、胸で、軽く達しただけなのに、日々の稽古を終えた後のような気だるさと、ゲームをログアウトした後のように動かない頭と。

 

「楽郎くんが……欲し、い。です」

 

もじ、とすり合わせた脚の付け根は、するりと滑らかにこすれあう。

 

知らぬ間に溢れ出ていた秘所の蜜。

 

また、もじ…と脚を所在なさげに動かせば、馬乗りになっている楽郎くんの体とこすれ合って、裾が肌蹴て戻らなくなる。

 

ねだるように、誤魔化すように、脚を動かせば、もはや浴衣の閉じたところは腰帯付近しかない。

 

急に恥ずかしくなって、顔を隠そうとすれば、すっとその手が止められて、また唇が重なりあう。

 

「玲さん、するよ」

 

「……」

 

返答は無言。

 

けれど、私を起こして、後ろから抱くように、膝の上に座らせる。

 

知る人がいれば、背面座位と呼ばれる形。

 

背後から再び胸に伸ばされる手、に私は嬌声をあげて、肯定の意を返した。

 

やっと。だろうか。ついに、だろうか。

 

「は….恥ずかしいから….み…見ないでください」

 

真っ赤に染めた顔は、彼に見られていない。

 

そもそも、私を後ろから抱く彼の視界にあるのは、私の後頭部ぐらいで、何かが見えているはずもない。

 

だから、私が口にした言葉は、ただのスパイス。

 

口だけの抵抗、あるいは、何にもならない意思表示。

 

「何も見えてないよ」

 

と、少し喜色の混じった声色で、彼が耳元で囁いた。

 

はむ、とついでに耳を啄ばまれた。

 

胸を優しく揉まれたときのような、じわっとした、ぞわっとした感触が、脳に近いところで弾けて、また頭の中がふわっと幸せ一色になる。

 

ほどなくしてつぅっと撫でられた、秘所の入り口。

 

壊れ物を扱うように、凝り固まったものを柔らかくほぐすように、彼の指が、私の秘所についに触れる。

 

もはや、潤滑剤は必要なかった。

 

探るように触れただけの彼の指を、つぷ、と中に受け入れる。

 

 

閉じようとした脚は、彼にがしりとホールドされて、動かない。

 

そもそも、秘所に触れられた時点で、足から力が抜けてしまって、私はすでにされるがままだ。

 

そのまま動かないように、と添えられた手が、内腿を撫でる。

 

彼がただ触れたそれすら、今の私には愛撫となって、彼の指が、手が、口が、体が、動くたびに私の肢体が敏感に反応する。

 

そして、やっと、ほぐされた入り口に、彼そのものが添えられる。

 

「来てください」

 

オーバーヒートした頭は、随分と素直に、自分の欲望を口にする。

 

スゥッと、ほぐされた私の秘所が抵抗なく、ゆっくりと、ゆっくりと彼の分身を受け入れていく。

 

楽郎くんの顔が見たくて、ねだるように顔を後ろに向ければ、待っていたと言わんばかりに、彼の唇と私のそれが重なり合う。

 

「全部入った、ね」

 

「はいっ….ちゃ…い。ました、ね。」

 

息も絶え絶えな私と、少し堪えるような彼の声と。

 

ぴく。と私の中ではねる。

 

今まで1人で触っていたときに、ほのかに気持ちよく感じていたところが、グイッと押されて、絞り出されるような快楽が、下腹部からじわっと広がって、また私は嬌声を上げる。

 

 

「うご、くよ?」

 

「きて、ください」

 

くた、と力が抜けて、体が前に倒れこむ。

 

折れていた膝が、ちょうど支えになって、お尻が上につきあがる。

 

つぷ。ぱつん。

と、後ろから突き上げられる。

秘所同士がぶつかり合って、お互いの健康的に引きしまった体同士が音を立てる。

 

「また…イキ….ます…!」

 

「俺も…このまま…」

 

 

とくんとはねた心臓の鼓動が、お互いの絶頂とシンクロして響きあう。

 

ぎゅっと抱きしめて、抱きしめられて、温もりを分かち合って、溶けた快楽の海でふわふわと漂うような、これ以上ない最上の悦楽に脳と頬が溶け落ちる。

 

くたり、と心地よい疲労感と、自分を抱き枕にまどろむ彼と、彼を掛け布団にしてまどろむ心地よさと。

 

まだ自分の中に残る彼の、ピクンとはねた衝撃に小さくまた絶頂しながら、ふわりと訪れた睡魔とともにそのまま夜を深めていった。

 

 

◆

 

 

寝起きに彼の顔が隣にあるという光景は、正直心臓に悪い。

 

ドクンと鼓動をはねさせて、そういえば昨日の夜は ….と未だ冷めやらぬ情事の熱がぶり返してスゥっと呼吸を止めながら、どうやって彼の腕の拘束から抜け出そうかと身じろぎすらできぬまま、遅めの目覚めを迎えている。

 

 

いつの間にか、お互いの寝間着はどこかに消えていて、もしかして掛け布団を取ってしまえば、朝の明るさのせいでお互いの肌が白日のもとに…..!!!!!!

 

と、どうにかこの状況から抜け出せないかと思案しても、思考は空回りして滑るばかり。

 

そもそも、今は必死に天井のシミを数えているけれど、天井以外のどこに目を向けても、何かしらが自分の視界に入らざるを得ないから、どうしたって詰んでいる。

 

「死….!!!!」

 

寝起きの第一声がそれだったが、私の悲鳴が目覚ましになったのか彼が未だ寝ぼけた目をこする。

 

「ん? ん….おはよ…玲さん」

 

神よ私を見捨てたのですか….

 

遠くに、グッと親指をサムズアップさせている長姉の顔を幻視したので、今度帰省したらどうしてくれようか….

 

そんなことを考えながら、必死に朝の挨拶を返した。

 

「お…おひゃよう誤射いまふ!!!」

 

 

 

 


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