「ところで、急な仕事の話なんだけど・・・」
デスクに向かって座っていた彼女が、椅子をくるりと回し向き合うように口を開く。
すらりとした足を斜めに組んでいる格好は色気もあり俺は好きだ。
ただ、俺が迷うのは彼女と雑談を交わしているときの足の組み方。
彼女が座っているのが事務用の椅子。俺が腰を下ろしているのがソファ。
視線の高さが全く違う。
目の前にあるのは彼女の膝。どうしても彼女のスカートの奥に見えるモノに目がいってしまう。
しかし、俺の視線に気づいた彼女がスカートの裾に手をやるものだから、余計に視線を少ししか覗かせていない太ももの奥に走らせてしまう。
ムクムク
俺は・・・
タグに官能小説となってはいますが、当てはまるか疑問ですけど暇つぶしに読んでいただければ幸いです。
章 始動
近頃、変な病気が流行し街行く人のほとんどがマスクをしている。
醜い顔をしている俺、名前は小川と言う。
サングラスとマスクが手放せず、夏でもマスクをして歩いているものだから、昔は常に奇異な目で見られていた。
しかし、最近ではみんながマスクをして歩くものだから、俺も大手を振って堂々と歩ける雰囲気になった。
病気のおかげでと言ったら語弊があるかもしれないが、俺のように大助かりしている人間もいる。
連絡をもらい、いつものサングラスにマスク姿で向かう先は、仕事を回してくれる金沢と言う女性が暮らしているマンション。
時間きっちりに訪問すればピンポーンを鳴らさなくとも、ドアノブを回すだけで部屋には入れてもらえる。
「小川です。失礼します」
「待ってたわ、さぁ上がって上がって」
室内の玄関わきに用意されているのは淡いピンク色の女性らしいスリッパが一足。
訪問する都度、用意されているのは一足。
なので、彼女を訪れるのは俺ひとりなのかなと勝手に思っている。
彼女がいるのは、玄関からすぐ見える正面に位置しているフローリングの部屋。高級そうなカーペットが敷いてある。
ここが彼女のデスク。主に電話を必要とする彼女なので、電話と小さなデスクがあれば十分みたいだ。
「いつもありがとうございます。金沢さんのおかげで、毎日何の不自由もなく暮らしていけています」
礼を言い、頭を下げれば案内された椅子に腰を下ろす。
「ところで、急な仕事の話なんだけど・・・」
デスクに向かって座っていた彼女が、椅子をくるりと回し向き合うように口を開く。
すらりとした足を斜めに組んでいる格好は色気もあり俺は好きだ。
ただ、俺が迷うのは彼女と雑談を交わしているときの足の組み方。
彼女が座っているのが事務用の椅子。俺が腰を下ろしているのがソファ。
視線の高さが全く違う。
目の前にあるのは彼女の膝。どうしても彼女のスカートの奥に見えるモノに目がいってしまう。
しかし、俺の視線に気づいた彼女がスカートの裾に手をやるものだから、余計に視線を少ししか覗かせていない太ももの奥に走らせてしまう。
だが、今は違う。
彼女がおもむろに口を開く。
「ホテルのボーイと偽り、ドアを開けてくれた奥さんを乱暴してほしいのよ。物陰から乱暴されている奥さんの姿を見て興奮を覚えると、飛び出してきたご主人と小川さんが交代するのよ」
「もし、旦那さん飛び出してこなかったら?」
気になるところを彼女に尋ねた。
「そのまま、乱暴を続けて奥さんを奪ってもいいらしいわよ・・・でもゴムは着けてよね」
ルージュが赤く引かれている彼女の唇が妖しく動いているように俺からは見える。
醜い顔のおかげで俺に回ってくる仕事のほとんどが強姦まがいの仕事か、稀だがボディ・ガード。
図体がデカくて、特徴的な顔立ちなので、危険を感じて誰も近づこうとは思わないらしい。そして、お客さんが言うのにはそこが俺の存在価値らしい。
依頼の内容を知った俺は彼女と細かい打ち合わせに入る。
明日の午後九時。現場はビジネスホテルの一室。旦那が隠れてみているのが、ベッドの脇にあるクローゼット。
俺の格好はホテルに怪しまれないくらいの普段着でいいらしい。
「あのう・・・夫婦のお年は?」
乱暴と言われてもご老人では・・・奥さんを襲えと言われても下半身の都合がある。いくらモテない俺でも拒絶反応くらいはある。
「そうよね・・・一番気になるわよね。四十代前半の人妻でなかなかのグラマーみたいよ」
頭の中で奥さんを想像する。ものは言いようでグラマーも幅広い。
魅力的なグラマーもいれば、ぶよぶよ、ポチャもいる。それでも、彼女の依頼を断れば次の依頼が無くなるおそれがある。
「はい、わかりました」
「引き受けてくれるのね。最終確認は取ってあるから、絶対にキャンセルはないわよ」
仕事の話が終われば、椅子から腰を上げた彼女がコーヒーを淹れてくれる。
(あ~俺もこんな嫁さんが欲しいなぁ・・・)
三十代前半の俺。すでに結婚していても可笑しくはない年。
裏稼業みたいなことをしているが、元職は転々としても一般の会社員だった。
鼻がやけにでかくブツブツがいっぱいある。しかも瞼がはれぼったいので、寝ているのか?起きているのか?他人には判別がつかないらしい。
顔にコンプレックスを持ち、選んだ職種のほとんどが内勤。事務職か、営業と言っても商品の受け入れをする倉庫係。
どこの会社に入社しても最初は口を聞いてくれるのだが、慣れてくると同僚たちが俺の顔を見たとたんにソッポをむき、露骨に顔の造形を批判するようになる。
退職してブラブラしているときに新聞の求人広告で知ったのがこの会社。
金沢と名乗る彼女がオーナーなのかは知らないが、分け隔てなく嫌な顔も見せずに対応してくれる彼女のおかげで現在の仕事を続けられている。
仕事は依頼がほとんどなので、安定した収入とはいかないが身分相応の暮らしはできている。
男としては最後まではいかなくても、それなりの満足も覚えられる。しかし、中途半端な仕事にフラストレーションも溜まる。
就職が決まり彼女からの呼び出しに応じマンションを訪ねた時だった。
「小川さん、初めての仕事。説明をするわね」
で、依頼された初仕事が痴漢行為だった。
痴漢行為と言っても、電車に乗り混雑に紛れて女性の身体を触るのではない。窓を開け放ち眠っている女性の身体を触るだけと、単純な依頼だと彼女は言う。
「はい、わかりました。その仕事をぜひお願いします」
就寝中の真似をしている女性への悪戯なら、手が後ろに回ることもなく簡単に出来そうだったので、初めての仕事ということもあり身体を乗り出し引き受けた。
「人目につかない格好でね」
と、言われた俺は夏だったので、黒の短パンに黒のティシャツを着て出かけた。
依頼主が寝ているのは二階建ての一階にあるリビングのソファ。
敷地に入る鉄の門も鍵がされていない。無断侵入者を装い、足音を消してリビングに行くには芝が敷かれている広い庭を抜けなければならない。
「あっ、痛い」
広い庭だから花壇もあれば夜目にはわからぬ木、花が植えられている。
何か分からないけど棘のような鋭いものが短パン姿の太ももに刺さったのだ。
痛みを感じるところを手で触ればヌルっとした血の感触が、それでも引き受けたからには依頼を遂行しなければならない。
チクチクする痛みをこらえて、女性が眠っている手はずになっているリビングにたどり着いた。
照明は仄かな明かりの蛍光灯。
困らぬ程度の明るさはあり、女性が眠っているソファも見えれば、彼女が羽織っているタオルケットも確認できる。
四つん這いで女性に近づきタオルケットに手を伸ばした時だった。
「う~ん・・・」
寝返りを打ち、タオルケットがフローリングの床に敷かれている絨毯の上に落ち、女性も薄目を開けたような気がした。
当然でも、女性が承知して気付いているのなら大胆に仕事が遂行できると思い、ドキドキしていた俺の胸も平常に落ち着いた。
打ち合わせ通りに眠っている女性の胸に手を伸ばす。
着ているのは半袖のパジャマ。胸元のバタンに手をかけ上のほうから二個だけ外すと、手を差し込むだけの隙間ができた。
下半身に目をやれば、男性が着ているようなパジャマのズボン。前開きには二個の大きなボタンが付いていた。
強姦なら女性の胸から触るのかな?それともダイレクトに下半身から触るのかなと、考え決断は俺流だった。
胸元の隙間から手を入れれば柔らかな感触が・・・。
「おっ!・・・」
初めての仕事。下着までの打ち合わせをしていない女性はノーブラ。
(触れるのか・・・)
仕事の遂行よりも、生身の女性を触れるという喜びと、期待で妙に興奮したのをよく覚えている。
(神は俺を見捨ててはいなかった)
神を信じていなかった俺がこの時ばかりは神に感謝を覚えた。
柔らかな胸に触れていると、手のひらから少しこぼれる乳房は好みだった。
(いいのかな?)
と、思いながらも理性より欲望が先走りする俺は女性の乳首に触れてみる。
「うぅ、・・・あああ」
寝返りの時に出る息使いに交じり軽い喘ぎを聞いたような気がした。
恋人、二人の合意のもとなら 感じているのか? と、聞けるのだが、設定上は眠っていることになっている。
唇で尖りを見せている乳首を舐めて、コリコリと噛んでみたいところだが、唇を女性の身体にあてる行為は禁じられている。したがってキスもダメだっ!。
乳首に思いを残しながらも女性が穿いているパジャマのズボンに手を伸ばす。
それでも、片方の手は女性の乳房を触っている。ずるく、二か所を同時に触ろうとしているのだ。
前開きについている大きなボタンなら、見ずに感覚だけで外すことも可能だ。
そこで、女性の胸を見ながらボタンを外していく。
(やっぱり・・・)
パンティを穿いている。
打ち合わせで下着のことまでは聞いていなくても、ノーブラだった女性。
もしやと、打ち合わせ未確認のパンティ。わがまま身勝手な期待を依頼主の下半身に持っていた。
だが、裏切られたのではなくあくまでも俺の希望。
「失礼・・・」
パジャマのズボンを腿まで下げて女性の内またに触れる。張りがある柔らかい感触は指でできた窪みも跳ね返しそうだ。
温かい感触を手のひらに楽しみながら、内ももをも撫でながらパンティのクロッチ部分に手を当てる。
得も言われぬ温もりと微かな湿り気。
パンティの上からだったら女性の股間に触れることも許されている。
暫く股間のふっくらと盛りあがっている感触を味わい、いよいよ本丸に指をあてていく。
パンティにできている縦スジに沿って数回指をこする。
硬く唇を結んでいる努力が感じ取れる彼女の表情。眉間の中央に寄せている皺の深さが我慢を表している。
(えっ!・・・本当にいいの?)
眠っているはずの彼女が首に腕をまわしてきた。
打ち合わせ時の会話。
「女性は眠っていても感じるモノなのよ」
言葉を続ける金沢女史。
「眠っている想定だから口は開けられないので、彼女が首に腕を回すと・・・それはゴーサインよ」
指先で陰部を触ることは許されているが、ヴァギナまでの挿入は許されていない。
パンティの脇から指を入れる俺。
直接に触れることが許されている女性の陰部。陰毛の奥に指を忍ばせそっと、陰部の淫裂に沿って指を動かす。
一気に溢れ出てくる女性の愛液。
ヌルっとしているから、強く淫裂に指を遊ばせようものなら、誤ってヴァギナに指先が吸い込まれそうになる。
「あ~ああああ~」
彼女が大きく甘い声で喘ぐ。
「あっ!アンタは誰?人を呼ぶわよ」
回していた腕を解き俺を押しぬける依頼主の女性。
俺は女性の横から離れ一目散で庭へ出て逃走する。運よく逃げるときは棘が太ももに刺さることは無かった。
仕事が終わりマンションを訪れた。
「ご苦労様・・」
報酬を頂き、無造作にポケットに入れ込む俺は恰好をつけた。
少し間をおいて口を開く金沢女史。
「これは依頼主からあなたへの特別報酬よ」
依頼主曰く、久しぶりに快感を味わえたらしい。
アパートへ帰った俺は部屋に入ると、慌てるようにしてポケットから報酬を出し、シワが寄っている札に息を吹きつけ、札を伸ばすと一枚一枚を畳の上に並べ丁寧に数えていた。
これが病みつきになり現在も仕事を回してもらっている。
章 依頼主に騙される快感
「失礼します」
新しい仕事を引き受けマンションを出た俺は、まっすぐに帰宅しベッドに寝そべる。この時が至福の時だ。
頭の中であれやこれやと状況を考え妄想に走る。
時にはこの妄想が役に立つときもある。
現場に赴き依頼を実行に移すとピタリと嵌る。ときもあれば、ただの妄想で終わるときもある。
当日の朝、俺は少し遅く起きて朝食と昼食を一緒に頂くと、言っても馴染みのファーストフード店で食事をとり、その後はサウナで時間をつぶす。
裸にならなければならないような事態になり、汗臭い匂いは依頼主に失礼だ。特に女性が相手ならばなおさらだ。
依頼の完了が深夜になる恐れがあるときは、サウナでゆっくり時間をつぶしたらそのままサウナで早めの夕食を摂り現場に赴く。
今夜の現場は俺が住んでいるアパートからほど近いビジネスホテル。
「さぁ八時、そろそろだな」
食事を済ませサウナを出た俺は、いったん自宅に戻りいつものところに財布をしまうと、ドアにカギをかける。
不要なものを現場には持ち込まない主義だ、ドアの鍵も隠す場所を決めている。
ポケットにあるのは、凶器代わりにと提供を受けたボールペンが一本と、もしもの時のためにと、ドラッグストアの駐車場に設置されている自販機で購入した避妊具。
今回の依頼のように、お客さんの都合によっては避妊具を必要とするときもある。
現場のビジネスホテルについた俺は、フロントに出向く。
「小川ですけど・・・」
「お持ちされているそうですので・・・お部屋へどうぞ」
ホテルの許可をもらい、落ち着いた足取りで依頼主の部屋へと向かう。
目立った行動を起こすとホテルから怪しまれ、宿泊客の許可があっても入室を断られるときもある。
トン、トン
「ホテルの者ですが・・・ご依頼のモノをお持ちしました」
カチャ
室内から解錠された。
「お疲れ様・・・」
ブラウスにスカート姿の奥さんが顔をのぞかせる。
「おいっ!コラッ、静かにしろ」
顔をのぞかせた奥さんに凶器を突きつけ、室内に乱入すると直ぐに後ろ手でドアを施錠する。
素顔の奇異な顔を見ただけで奥さんは恐怖で固まってしまった。
「すいません・・・お金なら上げますので何もしないでください」
言うのがやっとみたいだ。
唇と肩を震わせた奥さんが、ハンドバッグの中から財布を取り出し俺に渡す。
左手で受け取り凶器を握ったまま、財布の現金を確かめると、奥さんのつま先から頭のてっぺんまでも舐めるような視線で見る。
「奥さんなかなかいいカラダしてるじゃないか」
ニヤニヤと卑屈な笑みを浮かべながら言う。
「お金なら上げたでしょう。お願いだから乱暴だけはしないで」
「分かったよ、俺は喉が渇いているんだっ。水をくれっ!」
コップに水を入れて渡そうとした瞬間、奥さんに抱きついた。勿論、凶器はまだ握ったままだ。
キャー
部屋に響き渡る奥さんの声。
「奥さんよ、あんたが悪いんだぜ。俺を興奮させるような身体をしているからだよ」
奥さんの手を握り俺はズボンの膨らみに誘う。
「いやっ!私はそんな女じゃないわよ」
「つべこべ言わずにそこに寝ろよ」
ベッドに奥さんを倒す。
倒れた奥さんは足をバタバタさせる。
「奥さんパンティが丸見えだぜ」
穿いているスカートの裾に手がいったスキを見て奥さんに重なる。
「俺とキスしようよ」
「ダメよ・・・イヤよ」
首を振り、突き出した俺の唇から逃げようと、必死で首を振りもがく奥さん。
キスの御法度は承知の俺は恰好だけ。
「キスはしねえからよ、その自慢のオッパイを触らせてくれよ」
奥さんが着ているブラウスの上から乳房に手をのせる。
奥さんの反応を確かめるように、段階を踏みながら依頼を実行する。
服の上から奥さんの胸を揉めばふくよかな手触りが俺を襲う。
(あ~本当にやりたくなっちゃったなぁ)
ベッドの脇にあるクローゼットの方に視線をはしらせながら、俺は奥さんが着ているブラウスのボタンを一個ずつ、しかも丁寧に時間をかけて外していく。
ご主人が飛び出してくるための時間稼ぎ。
「お願いだから・・・乱暴はしないで」
言っている奥さんの眼は、興味と襲われる興奮で今は瞳を輝かせている。
ブラウスを奥さんの肩からはぎ取ってもクローゼットから出てこない旦那。
奥さんが胸に着けている真っ黒なブラジャー。しかもフロントホック、乱暴に触ればすぐにでもホックは外れ豊かな乳房があらわになるはずだ。
胸への悪戯を止め、スカートの上から腰を掌で撫でまわす俺。
「奥さん、手触りがいいのは胸だけかと思ったら、ケツもなかなかのもんだね」
大きなお尻を触りながら言葉をつづけた。
「ほらっ、奥さんもう一回、俺のアソコを触ってくれよ」
今度は口で言うだけだ。
「イヤよっ!私は主人の大きいペニスでも触ったことがないのよ。あなたのフニャフニャのペニスなんてまっぴらよ」
奥さんも旦那の興奮を誘うように言葉で挑発している。
「フニャフニャかどうか奥さんの手で試してみるんだな」
今度は奥さんの手を取り股間にあてがう。
(あっ!・・・)
本当に触ってきた奥さんは、驚いた視線で俺を見つめているようでは、想定外の大きさだったのでは。
(おい、おい・・・まさか!?)
本気で触られた俺は奥さん以上にビックリだ。
「さあて、奥さん自分でスカートを脱いで俺の眼を楽しませてくれよ」
今までの経験では、奥さんがスカートに手をかけると、旦那が飛び出してくるケースがほとんどだった。
そんな状況を想定してクローゼットを見るも反応がない。
(こりゃぁ、いきつくとこまで行かなければ・・・だめなのかなぁ)
そう思っている間に、奥さんはスカートに手をかけベッドの上で脱いでしまった。
上下お揃いの下着はブラックでコーディネートしている奥さん。
想定が狂えば、引き出しはそんなに多くはない。
焦りをみた俺は、奥さんのうなじに唇を這わせてしまった。
俺の意に反して見る見る間に上気させる奥さんの顔。
「奥さんすいませんが、旦那さんが出てくるまでもう少し辛抱してくださいね」
「いいえ、主人に構わずあなたの手順で私を襲ってください」
奥さんから勇気づけられる始末。
「では・・・失礼します」
上半身へのたゆまぬ愛撫をつづけながら、ブラジャーのフロントホックに手をかけた。
プッチン
乳房の重圧に負けはじけ飛ぶホック。
片手であらわになった乳房を揉みながら、今度は奥さんの耳たぶを甘噛みする俺の歯茎。
耳の穴も舌先を少し遊ばせペロリ。
「あ~いいわ」
つい、漏らす奥さんの喘ぎは演技っぽくない。
ふてくされても気分が乗って来た俺は、奥さんを仮定の彼女として捉え愛撫に没頭していく。
「奥さん・・・俺は・・・ドアを開けた時から・・・欲しくて」
戯言まで口にする俺は本気モードが欲しい。
とうと、ブラジャーまでも肩から脱がし、しこり始めた乳首に舌を置きコロコロと転がし始める始末。
「アナタ・・・少し噛んでください」
要求された俺は、耳たぶを柔らかく甘噛みしたように、尖り始めた乳首にも歯茎を当てカリ、コリ。
「はぁ~ああああ」
今度は喘ぎと認識できる甘い声を漏らす。
胸への愛撫をしていれば、遊ばせているもう一方の手を奥さんの下肢に置く。
グラマーな割には贅肉が付いていないふくらはぎの手触りは滑らかな肌。
少しずつ下肢に這わせている手を上げ、やっと太ももに到達できた。むっちりとした肉がついた太ももの感触は抜群だ。
太もも内側に手を運べば微かに伝わってくる湿り気。
確かめるように、奥さんの鼠径部にまでも指を伸ばしてみた、勿論パンティの上からだけど。
(おい、おい。・・・こんなに・・・こんなに・・・)
言いたくなるような濡れ方が指にわかる。
演技を通り越している濡れ方。
パンティにも手をかける
「いいですね・・・」
言えば小さく頷く奥さん。
パンティまでも・・・。奥さんの身体から剥けば生まれたままの姿。ベッドに寝ている奥さんはまるで大きな赤ん坊。
(ちょっと、旦那さんよ、出てくるなら早く出てきてくれよ)
音沙汰がなければ律することが難しくなりそうな俺。
「続けてください」
躊躇している俺にかけられた声。
踏ん切りがついた俺は、指を奥さんの蜜穴にそっと忍ばせていく。
「あ~・・・あ~」
腰をくねらせる奥さん。
(演技なら・・・ほどほどにお願いしますよ)
と、言いたくなるような切ない響きを持った喘ぎはまるで、俺は欲情へと誘っているようにも聞こえる。
「おなた・・・挿入されても・・・いいんですよ」
言われた俺は、堰が切れたように慌ただしくズボンを脱ぎ、避妊用のゴムをいきり立っているペニスに装着すると、奥さんの中心部に腰を沈めていく。
「出てこない主人が悪いのですから、・・・思いっきり激しく突きまくって下さい」
挿入の許しを得ていた俺は、日ごろのストレスを奥さんの肉襞にぶつけるようにして、蜜穴を擦り回す俺。
「あ~、いいわ。・・・もっと、もっと・・・ああああああああ・・・」
下から激しく腰を突き上げのたうち回る奥さんは絶品だった。
ベッドの軋む音が途絶えると、奥さんの身体から降りた俺は、奥さんに正座して裸のまま詫びる。
「構いませんのよ。むしろ、謝らなければいけないのは私・・・」
こう言って、奥さんは状況を説明してくれた。
「最初から主人はいないのよ」
聞くところによると、ビデオの視聴、奥さんとの前戯までは勃起しているらしいが、いざ挿入の段階になると萎えるらしい。
「それでねぇ、あなたの性交を録画してね・・・」
奥さんがハンガーを指差すので見れば、掛かっている奥さんのジャケットにある胸ポケットのなかにチカチカ光るものが・・・スマホで録画中だった。
俺は体のいいアダルト男優。
録画されている俺と奥さんとの絡みを見て、奥さんと旦那が興奮を覚えれば即に挿入らしい。
章 デート
翌日、金沢女史から連絡を受けた俺は意気消沈でマンションを訪ねる。
性交の了解をもらっていると言っても色々ある。危うくは今後の依頼が途絶える可能性だってある。
「小川です・・・」
「速く上がってよ」
金沢女史は満面の笑みを浮かべて迎えてくれた。
「昨日の依頼者から・・・」
言われドキっとして肩を縮こまらせる。
「小川さん、明日の夕方空いているかしら?」
突然のスケジュール確認。
「はぁ・・・空いてますけど」
依頼主から食事の誘いがあったらしい。
「一緒に誘われましょう」
誘われ、自前では行けないような高級レストラン。
(スーツでよかったなぁ)
周りを見ればスーツ姿の男性に、シックなドレスを優雅に着こなしている女性の胸元から覗いている乳房の谷間。
目のやり場に困り素知らぬ顔で俯く俺。
「おかげで久しぶりに興奮を覚えて楽しい夜を過ごしましたよ」
周りに声が届かないように細い声でのご主人。
「また、機会があったらお願いしたいんですけど・・・いかがでしょうか?」
妖艶な笑みを浮かべ語りかけてくる奥さん。
横に座っている金沢女史を見れば、依頼を楽しみに待っている彼女の笑顔。
ご主人。
「まぁ・・・とりあえず・・・再開を楽しみにカンパイしましょう」
掲げていたワイングラスに赤いルージュを引いた唇を寄せる金沢女史。
ワインが苦手な俺はカンパイした後のビールをゴクリ。
食事に呼ばれた俺と金沢女史は、遠慮なくアルコールを頂き上機嫌で依頼主と別れた。
「少し公園で休みませんか?酔い覚ましの公園へ」
金沢女史を・・・。
深夜の公園にいるのはホームレスか野良猫。暗いので顔を気にする必要なない。
「金沢さん、もう一軒僕に付き合ってもらえませんか?」
「やっと誘ってくれたのね。・・・行きましょう」
スーツのポケットからサングラスとマスクを取り出し、繁華街へと足を向ける。
美女と野獣のふたり、金沢女史を誘っておきながら洒落た店など知らぬ俺。
のこのことついていくのは彼女のなじみのバー。
「いらっしゃい・・・おやっ?よっちゃんが男性を連れてくるのは初めてじゃない」
俺でも知っている。のこのこついてきた男性を気遣う男は、カウンターのなかでシェーカーを振っている。
「小川さんテーブルに行きましょう」
目立たぬ、ホールの角においてあるテーブルに誘ってくれる彼女。
似合わぬ店に連れてきてもらった俺は、彼女と一緒のワインを口に。
ビールより甘い芳醇な香りが口いっぱいに広がる。
(あ~。これがワインかっ!過去、口にしたワインとは別格の味)
「金沢さんは明日、お休みですか?」
プライベートを尋ねるのは初めて。彼女の勤務スケジュールさせも全く知らない。
金沢女史に迷惑な恋心を抱いた俺なら小学生以来かもしれない。
俺の夢に登場してくれる金沢女史。夢を見るのも何年ぶりだろう?思い出せないほど遠い昔のこと。
近頃の俺は、仕事の用事で彼女のマンションを訪ねるのに、やけに服装が気になる。
壁に吊るしていたシャツに首を通し、ヨレヨレのズボンに足を突っ込む。
(こんな顔じゃ・・・誰も・・・)
気にせず着ていた服。
今はクローゼットを開き、クリーニングから上げってきたズボンとシャツで訪問するようになった。
「小川さんの夢をききたいなぁ・・・」
首を斜めに傾けて尋ねる彼女の姿は大人の色気を感じさせる。
夢と尋ねられ語れる夢など持ち合わせていない俺が口にしたのは・・・。
「俺、夢なんてありません。唯一あるとしたら、女性と結婚して幸せな家庭を築ければ・・・それが一番の夢ですよ」
本心なのかスラスラ言った後で恥ずかしさを覚え下を向いてしまった。
「そうよね・・・夢とか大きなことを語っても、最終的には幸せな家庭が一番よね」
彼女の言葉に癒される続ける俺。本当に淡い恋心なのかも?
甘いひと時は時間の経過も早い。
バーを出て肩を並べて歩きながら「疲れたね」タクシーを止め乗車すると、金沢女史の手を握ったことは覚えているがそれ以降の記憶がない。
目を覚ませば俺のアパートで寝ていた。
完
最後まで読んでいただきありがとうございました。
宜しければ、感想・ご鞭撻を頂ければ嬉しいです。