早朝。ほとんどの社会人はこの時間に起きて準備してから出勤する時間帯だ。
社会人なりたてで会社ではまだまだ下っ端な僕も、最初こそ目覚まし時計に頼って起きていたがそれを繰り返しているうちに、この時間になると自然と眠りから覚めて起きるようになっていた。
「もう朝か……ふああ」
だからといって、眠気さっぱりに目を覚ますかと言えばまた別の話だが。ぶっちゃけ寝足りないし、このまま二度寝したいくらいだ。
それでも僕は気合いでベッドから降りて立ち上がると、背筋を伸ばして少しでも意識をはっきりさせようとする。……二度寝なんてしたら、あの子に迷惑かけてしまうからな。
僕は部屋を出てリビングへと繋がっているフローリングの廊下を歩く。リビングのドアの向こうから料理を作る音が廊下まで聞こえていた。
僕はドアを開けてリビングに入ると、台所にいた小柄な少女がこちらに振りかえり、すぐに声をかけてきた。
「兄さん、おはようございます。もうすぐご飯できるので待っててくださいね」
「おはようコハルちゃん。ご飯作ってくれるのは嬉しいんだけど、いつも早く起きて作るの大変じゃない? 別に無理して作らなくてもいいんだよ」
「無理なんてしてませんよ。それに私が朝ごはん作らないと兄さんは味気ない食パンを食べるか、食べずに出かけるかのどちらかですからね。社会人なのに、ちゃんと朝ごはんは食べないと駄目ですよ」
「ははは……ごめん」
僕は苦笑いで返事しながら席に着いた。
少女は手際よく動きながら料理を作っている。焼き魚の香ばしい匂いが僕のところまで漂ってきた。
少女の名前はコハルちゃん。
彼女は、僕とともに長らく母子家庭生活を送ってきた母さんが見つけた再婚相手の娘で、つまり彼女は僕の義妹ということになる。
肩より下まで伸ばした黒い髪が綺麗な女の子で、今も彼女が台所で動く度にロングの黒髪が小さな波をうって揺れていた。
体格はかなり小柄で、来年から大学一年生になるはずなのに彼女いわく、それを周りに話すと「え!?」と驚かれてしまうくらいだ。身長はたぶん150cmもないと思う。
最初も僕は小柄な見た目から判断した結果、年齢を間違えてしまい、彼女から怒られたことがあった。
「おまたせしました。朝ごはんができましたよ」
テーブルに並べられたのは白いご飯に胃に優しそうな匂いがただよう味噌汁、色とりどりの野菜と綺麗な形の卵焼き、そして焼きたての白身魚だった。
朝ごはんらしくシンプルだが、僕からすればこんな朝早くからよく和洋折衷に色々作れるなと思う。
僕の場合、朝だと面倒に感じて食パン一枚で食事を済ませてしまう。よくて食パンをトーストしてバターを塗るくらいが、朝に出せる僕の限界だ。
僕はいただきますと手を合わせてから、初めに味噌汁を一口すする。
「あれ、いつもとちょっと味が違う……?」
「分かります? ちょっとお味噌を変えてみたんですよ。兄さん的には前のと今のとどっちがいいですか?」
そうだな……僕的にはどっちも美味しい。でもそれは言い方を変えればどっちの味噌汁でもいいや、ということになる。
気遣い上手な彼女のことだ。飽きてしまわないように少しでも味に工夫しようとしているのだろう。つまり、そこを考慮して僕が言うべき答えは……。
「うん、今の味噌汁の方が美味しいかな」
「……それって本当ですか?」
「え」
いつもならここで嬉しそうに微笑むコハルちゃんが、今回は不満げにしていた。そして疑うような目付きで僕を見て頬を膨らませていた。
「兄さんと暮らすようになってから私気づいたんです。兄さんって相手のことを思って言葉を返す時って、視線を下にしてしばらく黙ったままになるんだなって。相手を傷つけないようにって慎重になりすぎて、考え込んでいるのが分かりやすいんです」
た……たしかに言われてみればそうだ。僕は慎重になりすぎて言葉を選んでいる癖があるようだ。それがバレないならまだしも、彼女の言う通り、その時の僕はしばらく黙ったままになる。さっきもそうだった。
「兄さん、怒ったりしませんから正直に言ってください。前のお味噌汁と今のお味噌汁。どっちの方が美味しかったですか?」
「ええと、僕的にはどっちも美味しかったかな。どっちの味噌汁が出てきても嬉しいというか、正直に言うとどっちでもいいというか……」
「どっちでもいい。つまり、兄さんからしたら私のお味噌汁は『なんか今日は味違うけど大して問題ないし別に不味なければどうでもいいや』ってくらいのものなんですね」
「ええ!? コハルちゃん、それは違うって」
そっぽを向いて目を合わせてくれないコハルちゃん。どっちでもいいとは言ったが、別にどうでもいいとは思っていない。
コハルちゃんの損ねてしまった機嫌を僕はどうすればいいのか焦っていると、彼女の見えない口元からくすくすと小さな笑い声が聞こえてくる。
すると、コハルちゃんはイタズラっけのある笑みをしながら僕を見た。
「ふふ、冗談ですよ兄さん。味噌汁くらいで不機嫌になるわけないじゃないですか」
「な、なんだ。朝からびっくりしたよ」
「ごめんなさい。最近、兄さんとお喋りできる時間が少ない気がして、こうやってお喋りできるのも朝ごはんの時くらいですから。兄さんとの今の時間が楽しくってつい」
嬉しそうに言うコハルちゃんだが、一瞬だけ寂しそうな声音になったのを僕は聞き逃さなかった。
現在両親は海外出張しており、この家には僕とコハルちゃんの二人しかいない。僕も今の会社の仕事が忙しくて、退社する頃には夕方をむかえている。そして、家に帰ったあとは仕事疲れで早く寝てしまっていた。今は世間的に蔓延している病気のせいで学校は休校中だし、結果的にコハルちゃんは一人の時間の方が多かった。
コハルちゃんはいい子で、不在の両親と仕事で忙しい僕に代わって、ご飯を作ってくれたり家の掃除をしてくれたりしている。
よく僕のことを心配してくれるし、逆に僕に心配かけまいとして弱音もあまり吐かない。本当、僕より年下なのに立派な女の子だと思う。
……でも実際は、口にしていないだけでコハルちゃんも一人の時間を寂しく思っているのだろう。
「ごめんよコハルちゃん。僕がもっと素早く仕事ができればいいんだけど……」
「兄さんは悪くないです。そう、会社が悪いんですよ。いくらなんでも人手が欲しいからって、私と兄さんの時間まで奪うだなんて。本当ならクレームのひとつでもしたいくらいです。まあ私は大人なのでそんなことはしませんが」
「ははは、さすがにそれは会社も対応に困るからね」
世間には自分の子どもを可愛がりすぎて、学校や会社に対して攻撃的になる親もいるらしいけど、もし妹という立ち位置から文句を言われたら会社も驚くほかない。あるいは、微笑ましいと笑われるかも。まあ、コハルちゃん自身が言っている通り、彼女は人に迷惑かけるような人柄じゃないのでそんなことは起きないだろう。
「兄さん今日はどのくらいの時間に帰ってきますか? 昨日兄さんも楽しみにしていたゲームを買ったので、よかったら二人で遊びたいんですが」
おー、それは嬉しい報告だ。モンスターを倒しながらダンジョンを攻略するやつで、多人数プレイにも対応のゲームだ。今は一緒にゲームして遊んでくれるコハルちゃんがいるから、ぜひ二人でやりたいと思っていたゲームでもある。……あ、でもたしか今日は。
「うっ……ごめんね。今日は会社の飲み会があって、いつ帰れるかはまだ分からないんだ」
「そ、そうですか……」
しゅんとして肩を落とすコハルちゃん。
コハルちゃんが寂しそうにしていたのをさっき見たばかりなのに本当にタイミングが悪い。でも、下っ端の僕が会社の飲み会を断る選択肢など用意されていない。
「でもほら明日は休みだし、明日なら一緒にゲームできるよ」
言うと、コハルちゃんの目が輝く。もしこのシーンを漫画の一コマに例えるとしたら、彼女の周りにはいくつもの花のマークと嬉しさを表現した薄桃色のふわふわとした空気が描かれているだろう。
「それなら良かったです! 明日楽しみにしてますね! 絶対に約束ですよ!」
「うん、約束だ。……と、そろそろ会社に行かないと。コハルちゃん、今日もごちそうさまでした」
約束をし、ご飯を食べ終わる頃には、ちょうどいつも家を出る時間を時計が示していた。
僕は準備をしてから玄関で靴を履く。必要なものもちゃんと持ってるし……よし、忘れ物もないな。
「兄さん、待って」
見届けようと、玄関で待ってくれていたコハルちゃんに声をかけられる。
「髪にゴミがついてますよ。私が取ってあげますから、頭下げてください」
おっと、一応鏡で身だしなみを確認したんだけどな。自分でも気づかなかったのに、コハルちゃんの方が気がつくなんて本当に細かいところまで気配りができる
そんなことを思いながら僕を頭を下げる。……すると、コハルちゃんが近づけてきたのは手ではなく顔だった。
「いってらしゃい、兄さん」
ちゅっと可愛らしい音をたてながら、僕の頬に温かくて柔らかな唇が触れる。コハルちゃんは顔を離すと、ちょっと恥ずかしそうにして僕を見送った。
僕と彼女には義兄妹という関係以外に、もう一つの関係がある。
そのもう一つとは、両親にも秘密の関係────僕とコハルちゃんは恋人どうしということだった。
■
会社の仕事が終わった飲み会。華々しい乾杯の掛け声とともにそれは始まり、一時間も経たないうちに既に何人かの社員は顔を真っ赤にして酔っていて、実に楽しそうにしていた。
そして僕はというと……うん、楽しくないというわけじゃないけど、あまり酒が進まないでいる。
一応飲んではいるんだけど、それよりも僕の頭にコハルちゃんの寂しそうな顔が浮かんでしまい、酒を飲むスピードがだいぶゆっくりになっていた
そうしているうちに僕を他所に、いつの間にか皆で二次会にハシゴしようという話がまとまっていた。
……うーん、事前にコハルちゃんにいつ帰れるか分からないとは言ってあるけど、遅すぎると彼女も心配するよな。いくら明日が休みだからといって、飲み過ぎて二日酔いになって明日ゲームに付き合えませんでした、というのだけは避けたい。
軽く酔いが回り、緊張も解けてきた僕は思い切って上司に先に帰ってもいいか聞いてみた。理由はシンプルに、家で妹が待っているからだと。
すると、上司も酒に酔って上機嫌だったからか「それなら仕方ない」と言ってくれたので、僕はこの飲み会が終わり次第帰ることにした。あまり期待していなかったけど、言ってみるもんだな。
そして飲み会が終わり、皆で店の外へ。
僕は酒が回った組と少し離れたところでコハルちゃんに電話をかけた。
外はもう暗いが、予定より少し早めに帰れそうだ。それを彼女に報告すると、嬉しそうな声が返ってきた。
『本当ですか! それなら酔い醒ましにお水用意しておきますね。お風呂はどうしますか?』
「お風呂はいいかな。もうちょっとだけ酔ってるし、シャワーにするよ」
『分かりました。私、兄さんの帰り待ってますね!』
正直、二次会を断ったからといっていつもより帰りが遅くなったわけじゃないし、何ならいつもより少し遅いほうなのに……それでもコハルちゃんが喜んでくれたなら良かった。
僕も舞い上がっているコハルちゃんの声を聞いて、早く帰ってあげないと思い、電話を切ろうとする──と、それを中断させるかのように、会社の先輩の女性が僕に横から抱きついてきた
「えー後輩くん! もう帰っちゃうの、これからが楽しいのにー!」
「ちょっ、先輩やめてください。もう十分に楽しそうじゃないですか!」
「これからもっと楽しくなるんだよー! 後輩くんがいなくなったら、私寂しくて死んじゃうー!」
うへえ、完全にだる絡みだ。酒の勢いに任せて体重かけてきてるし、重いんだが。というか酒臭い、臭すぎて頭痛がしてくる。
「先輩べつにそういうキャラじゃないでしょ! ちゃんと上司にも許可取ったんですから離してください! どこ押し付けてんですか!」
「むー、そんな連れないこという後輩くんにはこうだ! えいっ」
「うわっ!? ちょっ、どこ押し付けてっ!?」
「んー、どこだろうね! どこかわかんない。分かんないから私が後輩くんにどこを押し付けて何故困ってるのか教えてー」
胸だよ胸、と僕は心の中でボヤく。
う、うざいー……。一応先輩だから助けられたこともあるけど、今なら雑に扱ってもいい気がする。いいよね。よし決めた。
とりあえず腕をぶんぶんと振って引っ付く先輩を振りほどこうとする。が、なかなか離れない。ええい、臭い、うざい、暑い、離れろっ!
「先輩、本当にやめてくださいって!」
「やめてっどういうことよー。本当は押し付けられて嬉しいくせにー、ほれほれ!」
『──兄さん、今どこを誰にどうやって押し付けられてるのですか?』
あ。第三者の声を聞いたところで、僕はまだ電話を切っていなかったことに気がついた。画面の向こう側は言うまでもなく、コハルちゃんである。
あまりよくないやり取りを一番聞かれてはいけない人物に、筒抜けになってしまっていた……。
『兄さん、電話越しじゃ状況を把握できないので、帰ってきたらちゃんと話してくださいね』
夜の冷たい空気にコハルちゃんの冷たい声音が響く。空気がさらに冷たくなった気がした。
や、やばいっ、声音からしてこれは怒っている。
これ以上事態の悪化を避けるためにも、まずはこの先輩から逃げなければ!
「お、もしかして今話してるのって妹さん? さては嫉妬かぁ? 後輩くんってば両手に花じゃーん! 妹さんは電話越しだけど」
『なっ、煽っているのですか!! いいですか、兄さんに変なことしたらタダではおきませんよ! あなたこそ社会人なのにやっていいことと悪いことの区別が──』
いつもは大人しいコハルちゃんだが、どうやら煽りには弱いほうらしい。
これ以上ややこしくなるのはごめんなので僕は電話を切ることにした。今頃コハルちゃんは電話が切れたことに気づかず、端末越しに先輩に怒っているのかもしれない。
「とにかく! 僕はお先に失礼します! 皆さんお疲れ様でしたーーー!」
僕は先輩を無理やり振りほどいて、その場から逃げるように立ち去ったのであった。
少々早足で、家に到着。……が、さっきのようなことがあったばかりのため僕は玄関の前に立ちつくしていた。
家の中で怒っているコハルちゃんがいると思うと、なんだか家全体が重々しい空気に包まれているかのように感じた。家に入るだけなのにすごく抵抗がある。ま、まさか玄関に鍵かけたりとかされてないよな?
ひ、ひとまず深呼吸して気持ちを落ち着かせよう。
「……すぅ、はぁぁ……」
よし。僕は覚悟を決めると、ドアノブを捻って鍵がかかっているか確かめる。すると、ドアはあっさりと開き、僕は無事に家に入ることができた。
あよ、よかった。さすがに締め出されたりはしてなかったか。
これでコハルちゃんの機嫌も良ければもう何も心配いらないんだけど、いつもならドアを開けた時点でコハルちゃんが出迎えてくれてたんだよなあ。今回はそれが無いし嫌な予感がする。
も、もしかしたら僕が帰ってきたことに気づいてないだけってこともあるし、声かけないとだよな。
「コハルちゃん、ただいまーっ!」
………………。
…………。
……。
……しーん。
あれぇ、へ、返事がないぞ、僕は一人暮らしじゃないのにおかしいな。何ならちょっと気合い入れすぎて声が大きかったくらいなのに、コハルちゃんに聞こえないのなんてことあるのかなー? ……もしかして無視された?
こ、ここはめげずにもう一回言うとしよう。
「た、ただいまー……」
今度は逆に声が小さすぎた。もし無視されている可能性を考えたら、自然と声が小さくなってしまった。
そしてついに二回目も応答がなかったため僕は通路に足を進めていく。自分の足音がやけにはっきりと耳に聞こえてきて、逆にコハルちゃんの足音は一切聞こえなかった。
リビングのほうは……お、明かりがついてるな。
大して長くもない通路なので、すぐにリビング前のドアにたどり着く。電気がついてるしコハルちゃんがいるとすればここだろう。
僕はゆっくりと開けると、部屋の様子を確かめようとして────ガバッと、リビングに足を踏みいれた瞬間、コハルちゃんが真正面から抱きついてきた。
「コハルちゃん!?」
コハルちゃんが小柄だったおかげで大した反動もなく、僕は彼女を受けとめることができた。
「……兄さん、おかえりなさい」
「た、ただいま」
「……一つ質問があります。さっきの電話で、私と兄さんの電話を邪魔してきた女性の人と、兄さんはどういう関係なんですか?」
やはり、コハルちゃんはそのことを気にしていたらしい。
「コハルちゃん、誤解だよ。いや誤解させたことも謝るけど、あの人はただの先輩なんだ」
「じゃあなんで嫌らしいことをしてたんですか」
「そ、それも誤解で先輩が無理やり抱きついできたんだよ。僕もやめてほしかったんだけど、なかなか言うこと聞いてくれなくて」
「そうですか。でも、その割には兄さん嬉しそうにでしたね」
う、嬉しそう? 焦りはしたけど、さすがに嬉しいとは思ってないぞ。なんか先輩の一部分が柔らかいのを感じただけで、嬉しく思ったりは……。
「それも誤解だって言うんですか? だったらなぜ女性の先輩には抱きつかれて動揺していたのに、私に抱きつかれている今は冷静なんですか……?」
あ、それはけっこう質問されると痛い。い、いやそれでも僕の中ではコハルちゃんが一番なわけで、あれくらいで先輩に気持ちが傾くほど僕は軽薄な男じゃない。……が、その説明はコハルちゃんのコンプレックスである小さな体型に触れてしまうような気がして、僕は言いよどむ。
「わ、私だって兄さんを喜ばせることくらいできますから……兄さん、こっちにきてください」
コハルちゃんがなにか呟いたような気がしたがよく聞こえなかった。僕は半ば無理やりコハルちゃんに手を引っ張られて、彼女の後ろを着いていく。
着いた先はコハルちゃんの自室で、僕はそこに入れられる。
「こ、コハルちゃん……?」
い、一体どうする気なのだろう。
そう思っていると、急にコハルちゃんが僕の首元に手を伸ばして服を掴んでくる。そしてそのまま僕は顔を下に向けるようにして引っ張り寄せられると、コハルちゃんがその隙をついて僕と唇を重ねてきた。
しかも、今までに一度もしたことも無い深いキスで、コハルちゃんは僕と唇が重なるとすぐに舌を口内に侵入させて、僕の舌を絡めとってきた。
「兄さん、んふっ……れるるっ、ちゅるっ、んんっ……」
口内をかき回すように舌先を動かしてきて、二人の唾液がびちゃびちゃと音をたてながら混ざり合う。
こんな濃厚なキスは初めてだったが、舌先が擦れ合う感触が心地よくて、僕もいつの間にかコハルちゃんの舌を求めてキスをしていた。
粘膜が擦れて混ざり合う快楽が痺れとともに口内にじわじわと広まっていき、あまりにも気持ちよすぎて脳が蕩けそうになる。
僕とコハルちゃんは積極的に舌を動かしながら互いの口内を舐めとり、荒い息をしながら貪るような口付けを繰り返していく。
ちゅるっ、ちゅぷっ、れろっ、れろろっ、ちゅっ……ちゅぅ、ちゅぱっ
互いの唇と舌を激しく混じり合わせ、次第に大きくなっていくキス音が室内に響きわたる。やがて熱くなった唇を離すころには、僕とコハルちゃんの舌先の間に銀色の糸が繋がれていた。
「はぁ、はぁ……んんっ、兄さん、にいさぁん……」
コハルちゃんの呼吸は荒くなっており、腰より下をガクガク震わせて倒れそうになっているところを僕は抱きとめた。
「コハルちゃん、急にどうしてこんなこと……」
「だって……兄さんとは恋人どうしですが、こんなふうに本当に恋人らしいことはしたことなかったじゃないですか。まだもう少し先かなって私も考えていましたが、今日のような兄さんにちょっかいかけてくる女性がいると思うと、兄さんを取られるんじゃないかって不安になって……」
「コハルちゃん……」
「兄さんが優しいのも知っています。私に手を出さなかったのは私を思ってのことですよね。でも、私、そのままなのも嫌なんです。
兄さん。兄さんは、そういう関係に至るのは嫌ですか……?」
年下の女の子にここまで言わせておいて、冷静に考えて答えを出すようではきっと駄目なのだろう。ゆっくりと考えて相手を傷つけないよう選択肢を選ぶのは大事だが、それでは全く進展しない。
僕はコハルちゃんの潤った瞳を見て、本能的に彼女の背中に腕を回すと、部屋の角にあるベッドへと連れていく。
「に、にいさん……。やっとその気になってくれたんですね。私、嬉しいです」
僕はコハルちゃんをゆっくりとベッドの上に寝かせると、彼女は嬉しさと緊張の混じった声音をもらす。それに僕は代わりにキスで答えた。
「んっ、兄さんとのキス……温かくて気持ちいい。それにちょっぴりお酒の味がします」
「コハルちゃん、一応言っておくけど、ここまでくるともう我慢出来ないかもしれないから」
「ううん、我慢なんてしなくていいですよ。私、兄さんにならどんなことされてもいいですから。兄さん、きて……」
切なそうな静かな声で、だけど嬉しそうに呟くコハルちゃん。
僕はコハルちゃんの顔に手を伸ばると、キメ細かい白くて健康的な頬を撫でる。「んっ」と少しくすぐったそうにくぐもった声を出すコハルちゃんだが、ゆっくりと瞳を閉じて穏やかに受け入れた。
そして次にコハルちゃんの艶のある長い髪を撫でるように触れながら、僕は彼女の首筋にキスをしていく。
「んぁっ……兄さん」
そのまま少しずつ後退しながら首筋を何度も舐め取り、僕は服の裾に手をかけ上に向かって脱がしていき上半身を露出させる。
小柄なコハルちゃんは胸の成長も乏しく、慎ましやかなそれは無地のスポーツブラに覆い隠されていた。だがよく見てみると、ブラの内側からほんのりと膨れ上がっているのが分かった。
「兄さん……そんなにじろじろ見られたら恥ずかしいです」
と言われても、ここからもっと恥ずかしいことをするわけだが。
僕はコハルちゃんの背中とベッドの隙間に手を潜らせて、ブラのホックを手探りで外す。ブラを取ると、膨らみが乏しい胸の上についた桜色の蕾が姿をあらわした。
僕は成長途上の膨らみに手を伸ばし、手のひらで乳首を捏ねながら胸全体をむにむにと揉みしだく。そうすると、控えめだが柔らかい感触が伝わってきて、僕は本能のままにその感触を求めて手のひらを胸に擦るようにこねる。
「あっ、兄さん……私の胸小さいですから、そんなに揉んでも気持ちよくないですよ」
「そんなことないよ。コハルちゃんの胸、気持ちよくて今すごく興奮してる」
返事しながら胸の感触を堪能していると、コハルちゃんが足をピクピクさせていることに気づく。
僕はコハルちゃんの下半身に手を近づけ、服の中に手を突っ込んで下着越しに秘部の割れ目に触れてみた。すると、わずかだが温かみのあるねっちょりとした感触が指に感じた。
「へえ、コハルちゃんも興奮してるんだね」
「わ、分かっててもそういうことは言わないでください! 兄さんの変態……っ」
珍しく僕を罵倒してくるコハルちゃん。だが今更そんなこと言われても気にするわけもなく、僕はコハルちゃんの下の服と同時に下着も脱がしていく。
そしてついに全裸になるコハルちゃん。彼女は一糸まとわぬまま綺麗な肌を全て露出し、ベッドで寝たまま僕を見つめ頬を紅色に染めていた。
僕は秘部に指をそえると、コハルちゃんの目を見て言った。
「コハルちゃん、指入れるから痛かったら言ってね」
「は、はい……っ」
頬に熱を秘めたまま、緊張した面持ちで頷くコハルちゃん。
なるべく怖がらせないようにと僕は指で秘部の表面をゆっくりと解しつつまずは慣れさせる。
「ひゃあっ、あんっ、そこ触られると、なんか変な感じがします……んんっ」
コハルちゃんは艶めいた声を漏らしながら、ガクガクと肩を震わせる。瞳はうっすら濡れており、もうそろそろいいだろうと判断した僕は、指を裂け目に侵入させ、きつく閉じた膣壁の隙間をこじ開けるようにして奥へと押し進めていく。
僕の指が根本までコハルちゃんの膣内に侵入すると、周りから膣壁が押し寄せてきて指をぎゅっと締め付けてくる。膣の内部はぐっしょりと濡れて温かくなっており、僕は膣肉に埋もれたしまった指をゆっくりと動かして、膣内をほぐしつつ刺激を与える。
「あ、やあっ、兄さんの指がっ、私の中で動いてるっ……ひゃあっ、兄さん、そんなに動かさないで、変な声でちゃうから、あんっ……だ、だめぇ……っ!」
コハルちゃんは膣内から与えられる快感に背筋を震わせ、左手の甲を口元に添え、右手でシワができるくるいにベッドのシーツをギュッと掴んでいた。
コハルちゃんの聴いたことない女の淫らな声に、僕は彼女を傷つけたくないからと必死に保ってきた理性をあっさりと破壊され、さらに強く興奮してしまう。
本能が欲情の沼に沈んでいく僕は、考えるよりも先にコハルちゃんの控えめな胸に口付けてむしゃぶりつく。舌で乳首を舐めまわし、ころころと転がしたりしてコハルちゃんの反応を愉しむ。
「にいっ、さんっ……私、からだがゾクゾクってしちゃって、おかしくなってますっ、んぅっ、はぁぁ、あっ、やああぁ……っ」
ぐちゅぐちゅっと嫌らしい音を鳴らしながら膣内を指でかき乱していると、膣肉が急激に温度を上げて多量の愛液を分泌させた。愛液は指を濡らすだけじゃなく、秘部から漏れ出てきて真っ白なベッドシーツにシミを作った。
コハルちゃんはベッドの上で身を何度もよじらせたおかげで、黒くて長い髪が咲いた花のようにあたりに散らばっている。ぜぇぜえっと息も荒く、今は呼吸を整えるので精一杯なようだった。
「はぁ、ふう……。に、兄さんに指で膣内をぐちゃぐちゃにされるの、すごく気持ちよかったです。今度は私が兄さんを気持ちよくさせてあげますね」
呼吸が整うと、ベッドに肩肘をつけて起き上がろうとするコハルちゃん。それでもまだ本調子という様子ではなかったので、僕は背中に腕を回して上半身を起き上がらせる。その時に僕とコハルちゃんの顔が自然と近距離になり、お互いに唇を近づけて軽いキスをする。
「んむっ、ちゅ、ちゅぅ……。さあ、今度は兄さんが気持ちよくなる番ですからベッドへ寝てください。あ、あと服を脱いでもらってもいいですか」
僕は言われた通りに服を脱いでコハルちゃんと同じ全裸になる。愚息はすっかり大きくなっており、コハルちゃんはそれを見てちょっとびっくりしている様子だった。
「こ、これが男の人のおちんちん……こんなに大きくなるんですね、びっくりしました。それに兄さんの身体、ちょっとごつごつしてます」
まあ一応、これでも男だからね。
僕はベッドに横になると、コハルちゃんは僕の腰の横に座ってきて肉棒に手を添えてくる。
「えーと……たしかこうすれば、男の人は気持ちよくなるはずなんですが……」
慣れないことだからか、コハルちゃんは肉棒に添えた手を、割れ物でも扱うかのようにゆっくりと動かして、輪っかを作るようにして肉棒を握ってくる。
そのまま肉棒を握った手を上下にシュッシュっと動かして刺激を与えてきた。
「よいしょっ、えいしょ……そうだ。兄さんがさっき私にしてたように、私も同じ方法で兄さんをいじめてあげますね」
実に楽しそうに言うコハルちゃん。攻め手に回っているからか、いつものコハルちゃんの笑顔とはどこか違って見えた。
僕がしたように? そう思っていると、コハルちゃんは肉棒を握った手はそのままにして顔を僕の胸元に埋めるように近づけてきた。そこからさらにコハルちゃんは胸の真ん中をぺろっと舐めてきて、突然の新たな快感に僕は思わず背筋をビクッと震わせた。
なるほど、こういうことか。たしかに上半身も下半身も攻められると、気持ちよすぎてあまり余裕もなくなる。
しかしそこでコハルちゃんがやめるはずもなく、彼女は手を何度も上下してきて肉棒を擦り上げて快楽を与えてくる。
そして眼前でも、コハルちゃんは愛おしそうに目を細めながらちろっと出した舌で僕の乳首を舐めているのが見えた。
「んっ、ちゅっ、れるっ……兄さん、どうですか。れるっ、ちゅぱっ、ちゅぅ……」
上半身と下半身から与えられる快楽。
何も考えずにこの同時にくる快楽を受け入れていると、いつの間にか自我まで吹っ飛んでしまいそうだった。
僕は少しでも自我を保つべく、目の前で乳首を舐めたり吸ったりしてくるコハルちゃんの頭を撫でてやる。手のひらに触れた黒くて艶のある髪はちょっと冷たくて、興奮して体温が上がっていた僕にはちょうどよく感じた。僕は何度も黒髪をすくいあげるように触れていると、コハルちゃんが顔を上げてこちらを見た。
「兄さん、なんだか余裕ですね。もしかしてあまり気持ちよくないです?」
「そんなことない、とても気持ちいいよ。僕がコハルちゃんの髪を触りたかっただけだから」
「そんなに私の髪の感触が気になります?︎︎ それなら髪を使って、兄さんをもっと気持ちよくしてあげますね」
コハルちゃんは自身の黒色の長い髪を手繰り寄せると、黒髪で僕の肉棒を優しく包み込むように絡ませてくる。
肉棒が艶のある黒髪に包まれたことで、僕はまた違った心地良さを感じ取る。そこから更にコハルちゃんが手のひらで肉棒を包み込み、手を上下させ追い打ちをかけてきた。
うっ、コハルの柔らかな手の感触と艶のある滑らかな髪の感触が同時に肉棒を襲ってきて、これはなかなか……。コハルちゃんと一所懸命に手を上下して肉棒を扱いてくるので、休む暇なく快感が流れ込んでくる。
頭の中がだんだん熱くなってきて、腰の奥からも煮え滾ったものが渦巻いて込み上げてくる。このまま果ててもいいが、しかし今の僕はコハルちゃんとともにもっと大きな快楽を共有したいという欲望があった。
「コハルちゃんもうそろそろだから……今度はまたコハルちゃんが横になってくれる?」
「は、はい。わかりました……」
僕の意図を察してくれたようで、コハルちゃんは手の動きをやめて黒髪から肉棒を開放される。彼女は大人しくベッドの上にふたたび寝転ぶが、表情には緊張の色がにじんでいた。
「もし痛かったりしたら言ってね? 僕もなるべくゆっくりするから」
返事はない。が、コハルちゃんは代わりに静かに頷いて両足を開いた。
僕はその間に腰を進めていき、肉棒を秘部へと近づける。性器どうしが軽く触れ合うとくちゅっという音がして、僕はそのまま膣内へと肉棒を押し進めていく。
「ひゃあっ、あっ……んぅ」
コハルちゃんが苦しそうな声を上げると同時に、膣肉が肉棒の全体にまとわりつくようにぎゅうぎゅうと押し寄せてきて如何に彼女の膣が狭いかが分かる。それでも僕は秘肉を押し返しながら窮屈な膣内の奥深くへと肉棒を挿入させていく。正直この時点で僕は果てそうになっていたが、それでも何とか気合で持ちこたえていた。
そして膜のようなものを突き破ってさらに押し進めると、肉棒の先端が膣奥にぶつかり、膣の割れ目からは処女血が線を描くように流れ落ちてきた。
コハルちゃんは痛みに表情を歪めながらも、僕の方を見て口を開いた。
「はぁっ、んっ……にいさん、き、気持ちいいですか?」
「うん、コハルちゃんの膣内、狭すぎてめちゃくちゃ気持ちいいよ」
こう話している最中も、膣内で秘肉が蠢いて肉棒が強く締め付けてきてものすごい刺激を与えてくる。
あまりにも快楽の刺激が強すぎて、思わず腰の無意識に動きそうになるが、コハルちゃんが痛そうにしているのを見て僕は膣肉に攻め立てられるままの一物を静止させる。
なぜ何もしないのか? とでも言いたげにコハルちゃんが不安げな視線を向けてきた。
「に、兄さん……?」
「大丈夫だよ、コハルちゃんの痛みが引くまで待つから。無理して動かないでね」
僕の言葉にコハルちゃんはコクリと頷く。
そしてじっと待っているうちに膣肉がさらに強く肉棒を締め付けてきて、コハルちゃんも少しだけ楽になったのか呼吸も安定してきていた。
もうそろそろ動いても大丈夫だろうか? 僕はためしに腰を前後させて肉棒でコハルちゃんの奥を突いてみる。
「んんっ……やっ、今はもうそんなに痛くないです。むしろ奥をぐいってされるの、気持ちよかったです。もう一度、動いてもらえませんか?」
僕の勘は当たったらしく、コハルちゃんは艶っぽく濡れた瞳でこちらを熱のこもった視線を送ってきた。もはや今の彼女には先程の痛そうな表情はどこにもなかった。
それが分かると、肉棒を締め上げて快楽を与えてくる膣肉に対抗しようと僕も腰を動かし、肉棒を膣奥へ叩きつける。肉棒が膣のひだに擦れる感覚と膣肉の強い締めつけによって快感を得ると、僕は本能を叩き起こされた獣のように、何度も肉棒を膣内に前後させて快楽を貪っていく。
ずぷっ、ずぷぷっ、ぐちゅっ、ぱんっ、ぱんばんっ、ぱぁんっ、ぱんっ
「あ、ああんっ、やああ、熱いっ、いいっ、いいです、これぇぇ……やあっ、あんっ、はぁんっ、んんっ」
腰を叩きつけるたびに肌と肌がぶつかって乾いた音が鳴り響き、目をトロンとさせて快楽に溺れていくコハルちゃんが桃色の声を上げる。
あの普段は大人しいコハルちゃんが欲情にまみれた嬌声を上げている。その喘ぎ声を聴いた僕はさらに興奮し、コハルちゃんの控えめに揺れる胸に手を伸ばして揉み揉みと揉んで感触を堪能する。
コハルちゃんの膣肉から次第に愛液が分泌され滑りが増すと、肉棒の挿入のスピードが上がり、二人の腰がぶつかり合う音の感覚がだんだん短くなる。
素早いリズミカルな感覚で腰を前後させていると、快楽を受けたことにより僕が今まで押さえ込んでいた熱のようなものが腰の奥から着実に込み上がってきていた。
「にいさんっ、私、あなたのことが大好きですっ! もっと奥まで、にいさんにめちゃくちゃにされたいですっ、わたしのこと、頭おかしくなるくらいにめちゃくちゃにしてぇっ、やああっ、あっ、ああんっ!」
部屋の中でコハルちゃんの遠慮のない喘ぎ声が響き、肉棒で膣奥を突き上げるとさらに強い嬌声が響いた。
彼女もそろそろ限界が近いのだろう。その証拠にコハルちゃんは口が緩んで半開き状態になっており、口元から唾液が何度も漏れ出てきて黒髪にまでかかっていた。膣内もさっきよりも強く肉棒にまとわりついてきて、まるで吸いつかれているような感覚だった。
僕はラストスパートへと持ち込むべく、コハルちゃんの腰の後ろに両手を回して抱き上げると、性器が繋がったままで僕の身体の上に彼女の全身を乗せ、僕は膣奥を突き上げる勢いで一物を激しく何度も挿入する。コハルちゃんも離れないようにと僕の背中に両手を回して抱きつき、膣が突き上げられるたびに長い黒髪が宙に舞い上がった。
「はあっ、もうだめですっ、にいさんっ、このまま私と一緒にっ、最後まで気持ちよく……んううっ、あぁっ、にいさんっ、にぃさ……にぃさあぁぁっ、あぁんんっ!」
腰の奥から熱がすごい勢いで押し上がってくる。僕はその勢いに乗ってコハルちゃんの一番深いところを突き上げた瞬間、熱が肉棒を通り抜け、そして膣内で激しく弾けた。
どびゅっ、びゅくっ、びゅくびゅくっ、どぷどぷっ、どぷっ
根本まで挿入された一物が膣の奥深くで、これでもかというほどの大量の精液を注ぎ込んでただえさえ狭い膣内を満たしていく。僕と同時に絶頂したコハルちゃんも、僕の背中にぎゅうっと抱きついたまま身体を震わせながら、膣を収縮させて肉棒から精液を搾り取ってきた。
射精の快感に浸りきった僕も絶頂したばかりのコハルちゃんも体力がすっかり空っぽになってしまい、二人でしばらく静かに抱き合ったまま時間を過ごしたのだった。
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事後、僕たち二人は裸のままでベッドで寝ながら寄り添いあっていた。
何も深いことは考えず、隣に寄り添っているコハルちゃんの体温を感じながら天井をじっと見つめると、コハルちゃんがふと呟くように言った。
「……正直、兄さんが私でちゃんとエッチな気分になってくれるか不安でした。だって兄さん、胸が大きい女性が好きそうでしたから。電話の時も女性の先輩にデレデレしてましたし」
「で、デレデレはしてないよ。あれはちょっとびっくりしただけだから」
「む、誤魔化しましたね。まあ兄さんが私に興奮してくれましたから、私は胸が大きい先輩よりも魅力的だということが証明できたからいいですけど……一応言っておきますけど、兄さんは私の恋人ですから他の女性にデレデレしたりしないでくださいね」
「もちろん。僕の恋人はコハルちゃんだけだし、浮気なんてしないよ」
そう言うと、コハルちゃんが僕の腕をぎゅっとして抱きついてくる。そして顔を埋めたまま彼女は言った。
「浮気なんて絶対にさせないです。……兄さんは私だけのものですから。もし浮気したら、兄さんを生きたまま棺桶に入れて私も一緒に入ります。そしてそのまま海深くまで沈めますから」
ひっ……! 浮気なんてするつもりはないけど、浮気以前にコハルちゃんに勘違いされるだけでただでは済まなさそうだ。……まあ今回コハルちゃんを不安にさせたのも、僕にも多少の責任があるわけだし、これからはコハルちゃんに悲しい思いをさせないように気をつけないと。
「兄さん、これからもずっと一緒ですよ……」
そう言いながら、少ししてコハルちゃんの寝息が聴こえてきた。慣れてないことをして疲れが溜まったのだろう。
僕はコハルちゃんの頭を優しく撫でてから、目を閉じる。
色々あったが、おかげでコハルちゃんとより深い関係を築くことができたと思う。
ちょっと闇が見えた気もしたけど……うん、そんなところも彼女の魅力だろう。
「……兄さんは私のものです。……兄さんの頭から一生私が離れないくらい、たくさんエッチなことしてあげますね……」
……魅力なはず、だ。