お題は「晩霞」(http://www11.plala.or.jp/harutake/banka/banka_top.html)より。
pixivより転載
こういう関係になったのは、死んで英霊になり、サーヴァントとして使役されるようになってからから。より正確に言うとカルデアに来てからだ。
「おい斎藤。こっち向け」
「……はいはい、副長」
ベッドの上。顔を背けていたが、それも無駄で顎を掴まれる。無理矢理顔を合わせられる。鋭い目が、じっと僕を見ていた。その間にも片手は慣れた調子で僕の服を剥いていく。それに抵抗もしたくなった。
「ちょっと副長、服ぐらい自分で脱げますって」
「お前の目を見ながら脱がせてぇんだよ」
「我が儘ですね~~もぉ、ちゃんと目は見てますから脱ぎますよ……」
と、口では言ったものの、見つめられながら脱ぐのは恥ずかしい。事に及ぶのは既に10回を超えていたが、土方の目に見られるのは落ち着かなかった。苛烈な精神性が目に宿っている。その目に燃やし尽くされそうだった。
それでもなんとか下穿きを脱ぎ終えたところで、まだワイシャツは着たままだったがそのまま押し倒された。噛みつくような口づけ。そう言えばあの頃は口吸いと言ったっけ……などと懐古しているうちに、腰をなぞられ、胸の尖りに吸い付かれる。胸筋はある方だが女人のそれとは比ぶべくもない。おっぱい星人の土方は、それでも何が面白いのか吸い付いてくる。この頃はすっかり敏感になってしまい小さく声を上げてしまう。ベッドの上で、腕で顔を隠していると、「おい。少し冷たくなるぞ」と何でもない調子で宣言される。一瞬何のことかわからなかったが、直ぐに思い出す。これは潤滑油を使うときの宣言だ。慌てて体を起こそうとする。
「ちょっと、ちゃんと掌でかき混ぜて温くしてから使ってくださいって、僕何度も」
「使えば温くなるだろ。ほら、入れるぞ」
「――っ……」
言われるがまま、股座を開かれる。そして、たっぷりと油が僕の後孔に宛がわれた。ぬるぬると、冷たい感触が慣れない。しかし同時に、期待してしまっている。このナカに這入り込んでくるものを。
指が1本、入る。2本、3本。その度にかき回されたり指が開かれたりして、声を抑える。10回も経るとすっかり自身のイいところは把握されてしまって(ただでさえ頭のいい人が相手なので)、情けない声を出さないように必死だった。いっそ舌を噛みたいが座に還る理由が閨事なんて御免被る。なのでひたすら歯を食いしばって、後孔が慣らされるのを待った。あとはこの人にねちっこい愛撫や口づけをされながら達して気持ちよくなるだけ――そう思った自身を侮るように、自身の体が持ち上げられた。
「へ?」
「ちょっと待ってろ。……これでいいな」
後孔から潤滑油が流れ出ている。これはシーツを汚しているだろう。そう思いながらも見ていると、土方は自身の前を寛げていた。出ているのは、土方の、そそり立つ凶悪な肉棒で。
固まる僕に対し、土方は事もなげに言った。
「よし、斎藤。今日は乗っかれ」
「乗っかれって」
「騎乗位、ってやつだな。斎藤、跨って、俺のコレを入れろ」
「入れろって」
「そのままだ」
「……いや、その、ちょっと待ってください」
僕は尻込みする。
今までやってこなかった体位と、いつの間に土方はこんなに興奮するほどびんびんに硬くなっていたのかということと。
何より気になることがある。
「あー、やっぱ、その、騎乗位ってやつはちょっと遠慮して……いつも通り正常位で行きましょ」
「なんでだ」
「あー、だって、その」
あの激しい目に見つめられて、思わず目を逸らす。言うのは少しばかり恥ずかしかった。
「……僕の方が体重重いでしょ……副長潰れちゃいますよ……」
事実である。
身長は土方の方がずっと高いが、身が詰まっているのは自分の方だ。最中はあまり気にしたことがなかったが、薄着をしているときの土方の肉付きの薄さに心配になることが多々あった。英霊は最盛期の体で顕現するものだから、つまりあの肉付きの薄い身体が最盛期のわけで……
と、ごちゃごちゃ考えていたのがまずかったらしい。腕を引っ張られた。
「わっ」
「そんな下らねぇこと考えてたのか」
「下らなくは」
「いいか、斎藤」
その双眸には、狂気が宿っていた。
「俺が新撰組だ。新撰組は、不滅だ。だから、俺も不滅だ」
その言葉に、胸に去来した感情は。
(あぁ、こんなものを奪う勇気なんてない)
……とりあえず、笑っておいた。
「ふふ、なんですかその三段論法」
「何が可笑しい」
「いえ。で、騎乗位はまた今度で」
「今ヤるぞ」
「えぇ……っていうかこんな話してても全然ビンビンしてる副長の副長すごいですね……しょうがない、僕も腹を括りますよ」
言いながら、まだ潤滑油で湿った後孔を、土方の先端に宛がう。
そして体重のまま、それを体内に滑り込ませた。
「――っあっ……」
「きついな、斎藤」
「あ、動かないで副長、あっ」
ぎちぎちと詰まる後孔。土方がたっぷりと潤滑油を使ってくれたが、それでも彼のそれはたっぷりと詰まっていた。体勢が落ち着いたところで、土方の腰に手を添えて尻を上げる。引き抜ける亀頭ぎりぎりまで抜いて、再び自分のナカに納める。そこでイいところに当たり、がくがくと腰が揺れた。それでも動きが止まらず、自分で腰を揺らしてしまう。もっと、もっと欲しい。ぎゅうぎゅうと絞めると、ふと、腰を掴んでいた手に土方の手が添えられた。そして彼の半身が起こされる。体勢が崩れそうになったが、それを支えたのが土方の両手だった。
「斎藤」
土方は珍しく笑っていた。肉食獣の笑みだった。
「お前ばっかよがってんじゃねぇ」
「――だって僕が抜き差ししてたとき、副長だって気持ちよさそうでしたよ」
そう、僕は見逃さなかった。自分が上下左右に腰を振っていたとき、土方が堪えるような顔をしていたことを。
すると土方は笑った。
「生意気言うようになったな。ま、重いだけはある」
「余計なひと言でしたね……」
「――ここからは俺が気持ちよくしてやるから、まぁ精々我慢せずに喘いでろ」
そう言って、気が付けば対面座位になっていた自身の腰を、土方は掴んだ。
そこからはもうよく憶えていない。がつがつと奥を突かれ、あられもなく声を上げてしまったことだけは憶えている。思い出したくもないが、「としぞうさん」「すき」「おしたいしてます」とか言った気がする。記憶にないからきっと言ってない。きっと。きっとだ。
そうして3度果てたのち、蒲団に包まる自身に、土方は言った。
「お前が奪わなかったから、俺は俺でいられたんだ。有難うな」
それはきっと、夢見心地の曖昧な言葉に違いない。僕はそう思うことにした。
了