本編後。夏休みの初日、皆で勉強合宿した後で、景と乙羽とるみ子は3人だけのお泊り会を行う。そして、突然に一つの布団で寝たいと提案された。困惑する景は二人に押し切られ、布団の下で起きた事は何もなかったことにすると囁かれて触りあいを始めてしまう。魅力的な二人にどんどん引き込まれ、お触りはエスカレートしていき……

1 / 1
面白かったです、デスマッチラブコメ。ていうか、知ってます? デスマッチラブコメ。レイジングループの人が書いたラブコメ……と見せかけた伝奇ものです。やった事無い人はまあとにかくやってみてください。なぜならこのSSはエンディング後の話だからです。ネタバレしまくっているので注意です。
でもやった人も大体忘れてるんじゃないかと思って最低限の説明とかが入ったものになっています。なんだったら未読でもこれを読んでちらっと出てくる要素に心惹かれたら買ってみてください。

pixivにも投稿しています。


同意と、契約と

「あーー、疲れた。今日はもうこんなもんでいいだろ」

 亜須賀……平木場亜須賀が腕を真上に伸ばしつつそう言った。

 ここは乙羽……白詰乙羽の自宅マンションだ。乙羽は一人暮らしなので、こうして僕たちが集まるたまり場にするにはとても都合がよろしく、何度となく使わせてもらっている。

「んだねー。うわ、もう6時だ。外が青空だから全然気づかなかった」

 肩に手をやり首をコキコキさせるという、ちょっと親父くさい仕草で体をほぐす詩乃歌さん……九段詩乃歌。

 さっきから僕らが何をやっているのかと言えば、なんと夏休みの宿題だ。今は夏休みだから当たり前なんだけど。とか言いつつ、僕にとっては全然当たり前じゃなかった。何せまだ7月だ。なんと今日から夏休みだというのに皆で顔を突き合わせて勉強会をしている。我ながら凄すぎる。

 例年であれば家でウダウダ寝転がって、たまにどっかブラブラ散歩して、でなんとなく過ぎていく夏休みも、友達と遊ぶという目標があれば御覧の通りという訳。

 ……なんてことを考えて、意識を逸らす。夏休みだけあって、皆薄着だ。詩乃歌さんのけっこうある胸が、腕をぐるぐるして肩をほぐす度に柔らかくたわむのに目を奪われまいと、立ち上がろうとする気配のする方に視線をめぐらした。

「とりあえず、コーヒーでも淹れるわ。ちょい休憩したら解散にしましょ」

 テーブルに手をついて乙羽が立ち上がる。家主である乙羽はこうやって休憩時間に良く飲み物をくれている。……家自体は良い所に住んでいるけど、さほど裕福ではないから親の仕送りに手を付けないようにしている、なんて言っていた子に負担させるのもどうなのかという事で、渋る乙羽を説き伏せてお茶やお菓子の類は割り勘という事にしているが、これもかなりの条件闘争があった。まず割り勘を飲ませるまでもごねたし、乙羽の分を少なくしようとする僕たちとブチブチ言い続ける乙羽という訳の分からない構図の後、亜須賀が毎月の光熱水道費の提出を乙羽に申し出て、僕らとつるむようになってからどれだけ増えたかを算出する事でようやく決着がついたのだ。

 ちなみにコーヒーなのは、美弥さん……東護美弥の差し入れにケーキが多いからだ。ケーキにはコーヒー、というるみ子……津野るみ子の意見が発端だそうだ。コンビニお菓子で量を確保しようぜ、という僕と亜須賀の意見は黙殺されて久しい。そもそも僕はケーキには紅茶のイメージがあるけどそれは本当にどうでも良いのでさておくとして、乙羽が以前からコーヒー党だったかは知らないが、そういう友達との思い出由来のものを好んでくれているのはなんとなく嬉しかった。……言ってみて、どこから目線の何様なのか自分で良く分からないけど、乙羽とはお互いを深く知って大変な事を乗り越えて来た仲なんだし、これくらいは良いだろうと思いなおした。

「それでは、私はケーキを皆に配る事にするわ」

 後を追うようにるみ子が立ち上がる。……もう結構経つけど、心の中でも呼び捨てにするのに慣れてない。

 ……デスマッチラブコメが終局し、異世界転移した僕を二人が追いかけてきて、異世界で両手に花のドタバタ旅を一月くらいやって何とか帰ってきたら、こっちの世界では一晩の出来事だった……というあまりにテンプレな展開を越えて僕たちは今、ここにいる。

 散々苦労したのに、異世界から帰ってくるためにまたひそかさねの儀で式鬼を憑依された僕だけど、今度の願いは『3年後に必ず答えを聞かせる』であり、タブーは『彼女達を失望させる』事だ。前回とは比較にならないほど軽い。事の軽重ではなく、僕にとってのやりたい事とやりたくない事とピッタリ重なっているからだ。本当はこういう風に利用すべき儀式だったんだろうなと思う。

「……これから毎日のようにここで勉強会を開くのだから、差し入れにケーキは高カロリーが過ぎるのではないか? 俺は構わんが」

 女子にとっては、と言外に含ませつつ、隆斗……有栖隆斗が言った。彼もかなり色々あったけど、今もこうして僕たちと学校に通っている。美弥さんもだけど、相当頑張ってこの状況を維持したのだろうなと思うと感謝してもし足りない位だ。

「うっ、それは一理ある……せっかく海行こうとしてるんだし、弛んだ腹はみせらんねーからなー」

 詩乃歌さんが引きつった笑みを浮かべた。……でもこのメンツの女子って、乙羽は暴力振るうという運動してるしるみ子は色々な稽古とか、詩乃歌さんは空手やってるしで、まず弛んでる人が居ないんだよね。僕? 金銭的な理由で食事量がそもそも少ないので太った事はないです……あと美弥さんも、日常的に命の危機を潜り抜けてるのでなんか色々筋肉とかついてるんじゃないかな。以前僕が美弥さんの身体でばるんばるんおっぱい揺らしながら走った時だってそこまですぐ息が上がったりしなかったし。

「えー? 詩乃歌ちゃんが一番引き締まってるよ?」

「そう言うお主もその爆乳以外は引っ込んでるみたいだねぇー」

 勉強が終わってテンションが上がっているのか、エロ女子二人がエロ絡みを始めた。……が、必死にそっぽを向いて台所のほうに行った二人……のほうにある壁を見る。僕は高校3年をかけて乙羽とるみ子の二人と仲を深めて、その上で答えを告げなければならない身。あまり他の女子に目移りするとデスマッチラブコメでもないのに殺されかねない。主に乙羽に。

 亜須賀は勝手知ったる乙羽の家とばかり寝転がって美弥さんのおっぱいが揉まれるのを鑑賞しているし、隆斗は我関せずとばかり持ってきた小説……カバーが掛けられているが恐らく難波さんに持たされたBL……を読み始める。てんでバラバラだけど、居心地がいい。そんな最高の空間で、クッションに頭を預けて寝ころんだ。

 

 

「んじゃ、また明日ー」

 少しだべった後、皆がぞろぞろと帰って行く。……僕とるみ子以外。

「けーくん、最近調子に乗ってるみたいだけど、おとちゃんを傷物にしたら殺すからね」

 むっとした膨れ顔でそう言う美弥さんに、

「そんな事しないってば!」

 と返すのもそろそろ恒例になってきた。他の皆も、

「爆発しろ、以前のように」

「馬鹿馬鹿しい」

「避妊はしなよ? 高校中退とか、だめだかんね」

 と生暖かい言葉をぶっかけてくれる。……いや、自分でもちょっとこれはどうかなって思うんだよ。お年頃の男女で、保護者のいない家でお泊りとか。ヤバいでしょ。でも鈴さんに相談したら、

『景ちゃんにとっては、幼いころからの縁で一緒に困難を乗り越えてっていう二度とない位の良縁なわけでしょ? 鈴さんとしちゃ、最大限応援したげたいんだよねん。……勿論、不純性交友を推奨してるわけじゃないよ? でも高校3年にもなれば男子は2~3割、女子でも2割弱は経験するっていう統計もあるわけで、まあその。……避妊具を買うお金がない時は正直に言ってね。出したげるから』

 とか言われた。ぐっ、と胸の前で両こぶしを握る仕草が完全に小学生のソレで、僕は居たたまれなさすぎてもう一度異世界に消えたくなったけど、当然今まで一度だって使った事はない。少なくとも答えを告げる時までは使う予定なんか、無い。

「心配しないで、と言っておくわ。私もこのポシェットにちゃんとひに」

「あー! あー!」

 るみ子ももってんのかよ! 僕と亜須賀だけが顔色を変えて耳をふさいでいるが、皆は何事もなかったかのように帰っていった。

 ドアが静かにしまったのを見届けてから、るみ子はくす、と笑って僕の手を取った。

「さあ、今日も楽しいお泊り会よ。今日は私たち二人の番だから、寛いで待っていて頂戴」

 ニッコリと、花の咲くような笑顔に目を奪われる。るみ子は、以前よりずっと自然に笑うようになった。それに加えて、とても積極的になった。僕と乙羽とるみ子、3人お互いに呼び捨てで呼び合うようになったのも彼女の攻勢の結果だ。

 今もさらっと僕の手を握って来て、さっき勉強をしていたダイニングまでのほんの短い距離を歩くだけで顔が赤くなってしまう。

「あーっ! またあんたそんな事して! 景! 景! 私も、ほらっ!」

 部屋に着いた僕たちを見るなり柳眉を逆立てて駆け寄って来て、「んっ」という感じで手を差し出してくる乙羽。4月時点なら病気を疑うレベルの可愛い行動だが、これが今の乙羽だ。ちょっと前なら

「ゴラア私も混ぜろや死ねっ!!」

 で僕の肝臓に拳がめり込んでいる所だった。……いくら乙羽のすべてを受け容れてこの奇妙な三角関係を望んだ僕とは言え、乙羽は諸事情あってマジで人を……特に僕を殴り殺しかねない力を持っているので、この殴り癖ばかりは直したいと思って居たのだが、これもるみ子の策が解決した。

『乙羽が殴った後、わたしは景の手を取って身を寄せ合うわ。これは勝ったわね答えを聴くのが今から待ち遠しいわうふふ』

『がっ……! ぐっ……!』

 ギリギリ、と歯を食いしばって赤い瞳から人を貫き殺せる位の眼光を僕に向けたが、その日から乙羽は僕をあんまり殴らなくなった。ツッコミの時は容赦なく来るけど、ちょっとした照れ隠しくらいでブレンバスターを食らう事はなくなった。……改めて意味不明な暴力だったな……これは好意に気づけなかったの僕やっぱ無罪だな……とか冷静になってみて思うけど、とにかく二人の努力の結果、乙羽の可愛さもマシマシで僕の鼻の下も伸びっぱなしだ。

「はい。おいで、乙羽」

「えへへっ」

 パタパタと寄って来て、手を握……らずに、差し出した腕に抱き着いてくる。何だこの可愛い生物。

「むっ」

 即座にるみ子も対抗して手から腕への抱き着きへ移行。

 と言うかですね、二人とも夏の薄着でそんな事をするのは、やっぱり良くないと思うんだ。僕の精神衛生上。

 今日の服装は、るみ子がお馴染みの白のワンピース。むしろ今がシーズンで4月に着てたの寒くなかった? という位に文句なしにしっくりくる。滝行とかこなしちゃう系巫女である彼女は寒さに耐性があるのかもしれない。

 対して乙羽はガーリーな感じのカットソー? を着ている。タンクトップの肩紐の外側がひらひらした袖になってる奴だ。下はデニムのホットパンツで、肌の露出が多くて目に眩しい。今も腕に抱き着いた乙羽の鎖骨から胸元にかけての美しい肌に視線が吸い寄せられて……

「乙羽、さっさと夕食を作らないと遅くなってしまうわ」

「おっふぅ!?」

 ぐい、と僕の腕をひき、明確に胸を押し付けてくる。むにゅりと柔らかく潰れるその甘やかな感触は僕の脳髄を瞬時に蕩かした。

「ちっ……! おっぱいか……やはり乳の大きさが戦闘力なのか……!」

 にぎぎ、と歯をむき出しにして悔しがったが、るみ子が離れた事で殺気を抑えて

「行くわよ」

「ええ」

 と並んで台所に行ってしまった。

 お泊りの時は、食事当番を決めている。一食事に誰か一人が抜けるだけだが。これも二人きりの時間を取ろうというるみ子の提案、だったのだが……レシピさえ見ればちゃんと作れる乙羽が3人の中でダントツに料理上手であったため、僕とるみ子が当番の時はモタモタしてると乙羽が心配して後ろから覗きこんでくるという、今の所は乙羽に軍配が上がる結果となっている。

 何にせよ、今日の僕は美少女二人の手料理をありがたく頂く立場だ。テレビをBGMにして何事か言葉を交わしながら料理する仲の良さそうな二人の背中を見るという役得を満喫するのだった。

 その日の夕食はマーボー茄子と中華っぽいスープだった。ペロリと平らげて片づけをした後、乙羽が持っていたコンシューマのゲーム機で遊ぶ。貧乏神を擦り付け合う二人を後目に僕は特急カードを使って目的地に到着し、物件を買いあさり、突出したところで二人が結託して貧乏神を押し付けられ、さらにそれがキングと化したせいで最終順位はビリになるのだった。

 夜も更け、まだ起きて居たがる乙羽を連れて寝室へ。風呂を浴びてそれぞれパジャマに着替えた姿が可愛らしい。特に変哲の無い長そで長ズボンのそれは、乙羽が淡い赤、るみ子はついになるような淡い青だ。当然ながらさっきまでの服より肌面積は激減しているはずなのだけど、むしろ無防備感は上がっていて面と向かっているとなんだか照れてしまう。

 この後はもう、乙羽の部屋の床に布団を敷いて寝るだけだ……と思って布団をクローゼットから出そうとすると、乙羽がドアを開けた。電気を付けると、既に部屋の真ん中に布団が敷いてある。

「ねえ、景」

「ん?」

「今日は……今日から……一緒に寝たい」

「……今までも、お泊りの時は一緒に寝てたよね?」

 ちりり、と。久々に、デスマッチラブコメ以来ぶり位に、首の後ろの毛が逆立つような危機感を覚える。今僕はどんな提案を受けた……?

「そうじゃなくて、さ。だから……ああもう、分かれよ!」

「わ、分かんない」

「目ぇ逸らすな! それ分かってんだろ!」

「乙羽が何を考えてんのかはわかんないよ!」

「それは勿論、えっちな衝動が抑えられないという事だわ」

「「!?」」

 僕が叫び返したのに乙羽が一瞬怯み、無音になったタイミングを完璧に見計らってるみ子が割って入った。

「私も乙羽も、健康な若い女の子だもの。好きな男の子に触れたいと思って日々悶々としているのよ」

 冷静な口調と、表情で……頬を赤くしつつ、るみ子はきっぱりと言い放った。

「かっ、勘違いしないでよね! い、いきなり最後までとか、そんなんじゃないんだから!」

 乙羽の何に対してツンなのか分からないツンデレ文脈が炸裂し、僕は完全に黙ってしまう。これ言われる僕のほうが恥ずかしいだろ……いやそんな事はないか。多分。花も恥じらう年頃の女の子がここまで言わせてしまった事を反省すべき……なのか?

「い、いや、でも……それは絶対まずいよ」

「何がまずいと言うのかしら」

「だから、その、まだ恋人じゃない男女がさあ……」

「私たちは気が早いから、この2人のうちどちらか1人が恋人になるものと思い込んでいるわ。今はいわば試用期間。だったら特に問題を感じないわ」

「いやいやいや……!」

「勿論、請願は『答えを聞かせる』だから、例えば景が大きな胸に惹かれて美弥さんを選ぶという可能性だって大いにある事は承知しているわ。景がそのつもりであるのなら、断るのも道理ね」

「ずっる……! その言い方はずる過ぎる……!」

 断ったら自分たち以外を選ぼうとしているとみなす、受けたら同時に手を出して不誠実、というジレンマに板挟みになった僕に乙羽が追い打ちをかける。

「狡くても何でも、私たちは景とベタベタしたいの! ……ダメ?」

 いじらしくも僕の袖を握って上目遣いの涙目でおねだりされる。

 可愛い。この可愛さはもはや暴力。勿論本物の暴力とは月とスッポン位に違うが、僕の行動を強力に捻じ曲げるという点では共通している。観念して頷くしかなかった。

 

 

 提案しておいて、先に布団に入って真ん中に陣取った僕を二人が枕元に立って見下ろすという光景がしばし続いた。諦めてくれるというのなら(正直ちょっと残念だけど)ありがたいという思いで黙っていると、ついに乙羽が動いた。

「お、お邪魔します……」

 そっと跪いて、ぺらっと布団をめくりあげて、そろそろと身体を僕の右側に滑り込ませてくる。夏なのでかなり薄い布団だが、心臓の鼓動が早すぎて体温は既に高い。掛け布団が無くても汗をかいてしまいそうだ。そして、乙羽が僕の身体に、触れる。

「はふ……けい、けいぃ……」

 なんか懐かしい感じのテンションだ。……ああ、デスマッチラブコメで劣情が暴走した時にそっくりなんだなあ。

 とか必死に冷静なふりをするが、冷静でいられるわけはない。薄いパジャマ越しに腕に抱き着かれた感触はさっきまでの比ではなく熱く、柔らかい。乏しい乙羽の胸でさえ、僕の腕を両側から挟み込む感触が伝わってくる位だ。さらに、腕だけではない。さっそく脚が絡んできている。乙羽の細いおみ足が、愛おしげにこちらの両脚の間に上から侵入してきている。かつてない至近距離に、耳鳴りがするほど緊張し……興奮している。

「乙羽ばかり幸せそうで狡いわ。では、私も……」

 そう言いつつ、こちらもおっかなびっくりと言う感じの緩慢な動作で布団の中に入ってくる。

「あっ、ああ……!」

 まるで、熱い風呂に入った時のように。僕の腕にギュッと抱き着いたるみ子は、陶然と艶っぽい吐息を漏らして緩んだ顔を僕に向けてくる。そのまま、そっとリモコンを操作して電気を消してしまう。

「あっあっあっ」

 やばい。乙羽の時は半周位しか密着を感じなかったけど……僕の腕は、視力検査の時のCの字位に殆ど全周を胸に包み込まれていた。

 決して味わってはならぬ禁断の果実を口にしたような甘美さ。やばい。やばい。やばい。

「むうぅ……」

 明らかにるみ子のおっぱいを押し付けられた時のほうが反応が大きい事に嫉妬しているのだろう、乙羽がほんの少し身体をゆすって、胸……乳房の部分を頑張ってこすり付けるようにしてくる。いや君も十分可愛いから! そんな事されたら無い無いと思っていた乙羽のおっぱいがどれほどあるかがとても良く分かってしまって……本当に、ヤバい。

 ていうか、もう手遅れだ。

 僕は完全に勃起してしまっていた。

「あっ、あのさ、やっぱこれ止めない? ほら、今は真夏だし、ふ、二人とも熱いよね?」

 何とか逃げの一手を打つものの、

「良いって別に、熱くても」

「そうね。景の熱を感じられるのがむしろ嬉しいわ」

 さらっと流される。

「でも二人とも既に額に汗かいてるじゃん!? 健康に良くないんじゃないかなあ!?」

 指一本動かせないが往生際悪く抵抗していると、乙羽が一瞬身体を離した。もしかして話が通じたのか!?

「大丈夫、大丈夫だよ、景。私たちで興奮してくれてるの、嬉しい」

 慈愛の微笑みを浮かべて、もう一度身体をおしつけてくる。先ほどと少し違うのは、腕の一点にくすぐったい感覚がある事。なんだろう、コリっとしたものが、押し付けられているような……

「っ!」

 一瞬の後理解した僕の頭が、今度こそ沸騰した。こ、これ……ち、ち、乳首……! 乙羽の、硬くなった乳首の感触なのか……!

「私も、こんなに……しちゃってるから。あの……あれだ……景が嫌じゃなかったら、下の方だって、触って確かめても、良いんだよ……?」

 さすがに顔を真っ赤にして、ぽそぽそと呟く乙羽。

「そ、そっ、そんな、事……」

「ご、ごめんね。やっぱ、ばっちいよね……」

 だから卑怯! その物言いと切なげな顔は卑怯!

「いやいや、そこ触るのはさすがに一線を完璧に超えちゃってるでしょ……!」

「それはどういう事かしら?」

 ここまで黙っていたるみ子が突如割って入った。

「え? いや、だから、仮に将来恋人になる人であっても、今そうでないんだからその、直接の接触とかは」

「あなたの親である鈴さんと、私の親は避妊具を持たせたわ。すなわち一線とは妊娠をして社会生活に支障をきたす事であると考えられるわね」

「ぐっ、いやでも、そう、僕が納得いかないんだよ、二人に不誠実だから」

「私たちはあんたともっとヌルヌルのベタベタになりたいの。納得いかないの。はい2対1で景の負けー」

「理不尽!?」

「……では、こうしましょう」

 それは、あまりに滑らかに。最初から段取りがあったとしか思えない的確さで差し出された。

「私たちは、あくまで添い寝をするだけ。それだけなの」

「えっ……いや、現時点で相当アレなんだけど」

「何の事かしら? 布団の下だから私には見えないわね」

 まさか! ここで、よりによってこんな時に『ジンクス』の考え方を出すのか!?

 『ジンクス』。こんな馬鹿げた場面で解説する事でもないから手短に言うと、虚空に爆発を起こす、人格を入れ替える、幻覚を見せる……などなどの超能力だ。これらは特定の生育で歪んだ人格である『魔性』を根源とし、それを使う人、使われる人があり得ると『同意』する事でこの世に発現することを許される能力。例えば密室に人が2人いたとして、1人が『こいつが魔法で宙に浮いた使ったんだ』と証言したら、少なくとも2人の間でだけは口裏合わせが成立する。その他の誰も信じなかったとしても。本当に、魔法を使ったとしても。口裏を合わせればどんなトリックも成立する……と、美弥さんが最初にジンクスを教えてくれた時に言った事を思い出す。

 だからってこれは、本当にただの口裏合わせじゃないか!

「そんな無茶な……!」

「無茶? 私たちは添い寝をしているだけだわ。高校生としては相当慎ましやかな接触よ」

「そうね。我ながらいい子ちゃんだわー」

 白々しい。乙羽の乳首から頭が離れない。じゃあこれは何か? 実は乳首でも何でもなく、ボタンだとか、そう言い張るわけか。

「景、あなたは一線と言うけれど、実際にはその遥か手前で私たちは踏みとどまっているの。だから……」

 そこで、僕のパジャマの袖がまくり上げられる。肘を越えた所で、遅まきながら気づく。

 ひやり、としていた。意外にも。そう、それは、汗が乾いた気化熱か、脂肪が多い事で血液から体温が伝えられていないのか、身体の芯よりはひやりとして、しかし、とっても柔らかくて、さらさらとした肌触りがくすぐったくて、一番奥、谷の奥深くはじっとりと汗ばむほどに熱くなっているそれは。

「ちょっ、ちょっ、ちょっ、るみ、子……!」

 生乳。だった。るみ子はすでに、パジャマをはだけてシャツを上げているというのか。

「何を言っているのかしら。これはホラ、腕の脂肪をそれらしくくっつけているだけよ」

 絶対嘘だ。でも確かに、布団に遮られて見えない、その向こうでの出来事だった。

「ほら、私も乙羽のように乳首を当ててあげる」

「ひゃうっ」

 思わず女の子みたいな声が出てしまった。肘より少し上の辺りをコリコリしたものが撫でるように這っていく。もう股間はガチガチに硬くなって、先走りすら出ている状態だ。

「景だけに、恥ずかしい想いはさせないから」

 乙羽がそう言って、僕の下腹部に手を当てる。そして、逆側の手は乙羽に抱きしめられていた腕を、柔らかな布、ゴムと素肌の間へと導いていく。

「おっ、おっ、乙羽、落ち着こう、その先は、冗談じゃ、」

「私は、本気」

 僕を見つめる乙羽の瞳は、不安に揺れている。激情を抑え込むような涙に潤んでいる。けれど、暴走のような不安定さは、無かった。

 僕は、無駄を悟った。こんなの、抵抗できるわけない。嫌なら今すぐ二人を引きはがして起き上がれるだろう。でもそんな事は、出来ない。

 美少女の、股間だ。それもそんじょそこらの美少女じゃない、10年来暴力を振るわれて、彼女の絶対見せたくないものを直視し、僕の一番醜い部分を見せつけて、その上で好き合えた、緑色の美しい髪と赤い瞳を持つあり得ない美貌の、成熟しきらない青い蕾のような少女だ。

 そんなの、めちゃめちゃ触りたいに決まってる。触った時、どんな風に彼女の顔が快楽に歪むのか、気にならない奴は人間じゃない。

 くっ、と指先に力がこもり、ついに乙羽の下腹部とパジャマのゴムが作る結界を突破して、さらにはその下のパンツの下に……潜り、こんだ。絶対に触れてはならぬ女の子の秘密の場所に、僕は分け入っている。

 指先が、震える。

「あっ……♥ まだ、早いよ。景」 

 早くも乙羽の瞳は劣情に蕩けているようだった。甘やかな囁き声は、明らかに『行為中』の相手に対する睦言で。

 それゆえに僕の劣情をこれ以上なく増長した。

 ……もちろん愛撫のためにバイブレーションさせたんじゃないけど。それを乙羽が望んでいるというのが、彼女の一番敏感な部分を擦って気持ちよくさせる事の許可が出た事が、あまりにも巨大な勲章に思えておののいてしまう。

「手首、返して欲しいな」

 一瞬意味が分からなかった。僕の手首って乙羽のものだっけ。んなわきゃない。そうじゃなくて、自然体で内側になっている手のひらを、手首を180度回転させて……乙羽の、こ、こ、股間に指が、入るようにって……

 やばい。鼻血が出そうだ。かつてのデスマッチラブコメで酷使したせいで粘膜が弱っているのだろうか。だがここまで来て鼻血で雰囲気をぶち壊すわけにはいかない。もともと嫌がっていたことも棚に上げてそう思った。

 この先を、やれるところまで、許される事すべて、やりたくて我慢できない。生殺しなんて耐えられない。

 そして。

 ついに。

 しっとりと指先にまで湿度が伝わってくるような乙羽のパンツの中を踏破し、あくまでつるりと卵肌の感触しか返ってこない無毛の地を越えて。

 そこに、到達した。

 やわらか、かった。あまりにも。

 胸の柔らかさとはまた別物の、まるで体組織が崩れてしまっているのではないかと不安になるほどのぶにゅりとした柔らかさ。

「っ……!」

 乙羽が、息を呑む。それと同時に、弾かれるように顔をあげた。と言っても僕とは目線が合わない。反射的に顎が上がってしまったんだろう。その顔は……

 笑顔、だった。砂漠にオアシスを見たような、求めて求めて、求めづつけたものが今与えらた様な、はっきりくっきりとした笑み。そこに、性的な興奮が混じっていて……

(気持ち、良かった、のか)

 あの。

 あの乙羽を。釘抜重殺を。この僕が、股間を弄って、気持ちよくしたのか。

 なにか、夢のようだった。悪夢ではないが、いい夢なのかも判じかねる、それはそう、異界に……『地獄』に迷い込んだかのような、決定的な感触。

 やっぱり、一線はここにあった。きっと。僕はもう二度と、乙羽のこの表情を忘れられない。男に触れられ、女の悦びを得る表情。好き、愛してる、という言葉が純粋に心と心の事を問題にしていた時は、もう終わってしまった。そう、思った。

 思って、けど、やっぱり乙羽の悦ぶ顔は魅力的過ぎて、忘れられないのだ。

 もっともっと、見たい。

 ずるずると、乙羽の閉じた脚の間に僕の指が侵入する。細い太ももが形作る三角形の空間を、僕は悠々と進み……ぴとり、と中指一本分を股間にくっつけた。

「あふっ……♥」

 たったそれだけで、乙羽は面白いように身もだえする。今度こそ僕と合わせられた視線の先には、暗闇の中で月明りに爛々と輝くような赤の瞳。どこか卑屈に媚びるような笑みの形に口を歪めて、餌をねだってよだれを垂らす寸前の犬みたいに無言で僕を見つめている。

 催促されている、という無言の訴えを正確にくみ取って、中指を沈み込ませる。きっと、ぴったりと閉じた一本筋なのだろうその割れ目の内側は、火傷しそうに熱かった。すでに、潤んでいた。くちゅり、と音が聞こえたのは……きっと錯覚だろう。そんなに激しい動きじゃない。乙羽はもう言葉もなく、はぁ、はぁと荒い息をついて僕の腕に震えながらしがみついている。

 そんなに激しい刺激のはずはないから、きっと僕と同じ……触り、触られるという行為自体に極度の興奮を覚えているんだろう。と、そんな事を考えた所で、ぎゅっと反対側の腕が胸に強く挟まれた。

「私を、忘れないで」

 ……すっかりと忘れてた。胸の谷間に押し付けられた腕には、るみ子の心臓がものすごい早鐘をうっているのがしっかりと伝わってくる。ずっと黙ってたのは、僕と一緒に乙羽の痴態に見入っていたからなのかもしれない。

「もう下は全部脱いだから、後は景が触るだけよ」

 早い! 乙羽なんてまだ一枚も脱いでないぞ。どっちが大胆でどっちが奥手なんだ、これは。逸れそうになる思考を何とか引き戻し、布団の下の腕を伸ばしてるみ子に触る。

 ぺたりと手のひらで無造作に触った場所に、ちょりちょりとした茂みを感じた。

「あっ……♥」

 生えてる、のか。こんなにも。

 剛毛とかではないと思うが、しっかりと……生えそろっている。なんなら僕より本数が多そうな気配だ。嫌とかではなく……そう、大人と言う感じがする。体格もそうだが、るみ子の身体はもう立派な女性のようだった。くすぐったい感触を手のひらに覚えつつ、デルタゾーンに滑り込ませる。

「あんっ♥」

 躊躇の無さから動作が早くなってしまったか、刺激が強いみたいだった。るみ子の、鼻にかかったような甘ったるい声が耳朶を打つ。

 天真爛漫な気性に産まれて、家を継ぐための巫女として厳しく育てられ、クールな仮面を被る事になった彼女が。僕とした遠い日の約束をずっと心待ちにしてくれていた彼女が。それらすべてを脱ぎ捨てて、むき出しの性欲に酔っている。

 デスマッチラブコメの時ですら見た事のない、蕩けた表情。記憶を無くしてた時の天真爛漫な笑みをベースに、根っこを劣情に置き換えてしまったような……男の目を奪ってやまない表情を浮かべて、るみ子は笑った。

「もっと、触って……お願い……♥」

 そう口に出したことすら、お互いにとって媚毒として働いているかのようだった。僕の指は言われるがままに、るみ子の股間を往復していく。そこは乙羽以上に、潤んでいた。粘質な熱い水分があっという間に指に絡み、ベタベタと手のひらまで汚していくのをはっきりと知覚する。

「はんっ♥ あっ、うあっ♥」

 るみ子の嬌声は、べっとりと媚を含んでいて……耳の奥まで染み込んで甘い感触を残していくかのようだった。ていうか、声自体が結構大きい。いつの間にか、るみ子の股間をまさぐる手の周りに感じていた体温が半分になっている。今の僕の手は太ももに挟まれていなくて、ちらっと見た布団はるみ子の足元を頂点に大きく膨らんでいる。

 気持ちよくて、脚を開いてしまっているのか。エ……エロすぎる……

 僕が思わず生唾を呑んだとき。

「わ、私も、もっといっぱい弄ってよ」

 パンツとパジャマという二重の布の下にあった僕の右手が、一気に解放された。乙羽が脱ぎ去ったのだ。左手でるみ子を啼かせながら、右手も同じく動かし始める。

「んくっ、うんぅ……♥」

 押し殺すような、しかしはっきりと僕の耳に届いてくる、乙羽の善がり声。それと同時に、暖かいものが下腹部に触れる。それはごそごそと僕の服をまさぐり、ボタンをはずしていった。えっ、と思ったのもつかの間、テントを作って隙間になっていた場所から乙羽の小さな手が入り込む。

「うああっ」

 手汗をかいたせいだろうか、少しひやりとした手が、僕のチンコを掴んだとき、堪えられずに声が出てしまった。さっきまでの二人の気持ちが良く分かる。好きな人にこんな事してもらったら、舞い上がってしまうに決まってる。

「わあ……すっご……これが、けいの……お、おちん、ちん……」

 乙羽の可愛らしい唇から卑猥な言葉が紡がれ、生唾を呑んだ。次の瞬間、今までテントを張っていたパジャマのズボンが唐突に消失する。さらにもう一つ、乙羽よりは大きな手がぺたりと優しくチンコの根本あたりを掴んだ。

「まあ、硬い……熱くて、火傷してしまいそう……」

 僕もまたズボンを剥がれ、るみ子にもチンコを掴まれていた。

 もう、訳が分からない。左手と右手は別々の女の子のおまんこを弄り、その女の子たちに同時にチンコを弄られている。不誠実がどうのとか、どこ行ったんだ。

 これは、愛ではない。愛とは、一生を共にするという決断を下した相手に使うものだ。僕はそう定義している。

 けれど、彼女たちが愛しい人なのは否定のしようもなく……そんな相手と性欲を通じ合わせるのがこんなにも気持ちいいのは、それは生き物として当たり前なのかもしれない、とぼんやり思った。

 思いながら、全員の手は止まることなく動き続けている。

「あんっ♥ はああっ♥ んああっ♥」

「んっ♥ は、くっ♥ ふうぅ♥」

 乙羽の部屋中に響き渡るような、解放的なるみ子の嬌声。

 僕の耳だけに届けるように小さい、蠱惑的な乙羽の嬌声。

 ぬるん、ぬるんと、僕の我慢汁で手のひらをベタベタにして扱いてくれている二人の掌。その動きは拙く、連携も何もなくバラバラに動いていて、むしろ射精を遠のかせているが、むしろそれが良かった。今この一時を、もっと長く続けたい。今の僕はそう思っていたから。

 時折、上の方をしごいている乙羽の手が亀頭を掠め、それが僕の射精の限界を試してくる。次にやられたらもう、決壊してしまうだろう。そしてその時は案外すぐにやってきた。

「うううっ!」

 びゅく、びゅくと。布団の下で射精してしまった。いつの間にか胸元までシャツはめくられていて、腹の上に自分の精液の熱い感触がはっきりと伝わってくる。あまり気分のいいものではない。

 しかし二人にとっては違ったようだった。乙羽はにやぁ、とこれまでと打って変わった嗜虐的な笑みを浮かべて

「ね、ね、イッちゃった? しゃ、射精、したの? 私の手で?」

 ……恥ずかしい。好きな女の子に射精に導かれて、それを確認されるのがこんなに恥ずかしいものだとは思わなかった。僕はそんな事は人には……いや、絶対乙羽にはしてやろう。可愛い顔が見れるに違いないから。そう考えると少し気が軽くなった。

「うん。イッた。乙羽とるみ子の手、すっごく気持ちよかった」

 射精で緩んだ頭で、すらすらと答えていた。

 ぱああ、と満面の笑みを浮かべる乙羽。いつもと似たような表情を赤い顔に浮かべながら固まり、まだシコシコと根本をしごいているるみ子。なんだか急激に疲れが噴き出して、もう寝てしまいたくなっていた。そりゃあ、ここまで心臓バックバクで居続けたんだもんな。体力の消耗も普通じゃないだろう。二人も楽しんでくれたみたいだし、もうお開きで……

 と思った瞬間、乙羽が見えなくなった。乙羽のおまんこを弄っていた僕の手からも離れる。

「え、乙羽?」

 ぬるっ、と腹にくすぐったい感触があった。

「うひゃっ、ちょ、乙羽?」

 これは……舌? もしかして僕の精液を舐めとってるのか!? ちろちろと、火傷しそうに熱く感じる乙羽の舌は、へその辺りから段々したに這っていき……あっという間に股間にたどり着いて……

「うああっ!」

 今度こそ、衝撃に叫んでしまった。

「け、景? どうか、しましたか?」

 そういうるみ子にも、分かってないはずがない。僕のチンコを握ってる彼女には。

 乙羽が、僕のチンコを咥えた事が分かったはずだ。

 手とは比にならない熱感が、亀頭を直接舌で撫でまわされる、強すぎる刺激が、僕の脳みそをたたき起こす。それと同時に、勃起もあっという間に回復していく。熱くて、ぬるぬるして、ザラザラした感触に、脳裏に火花が散った。布団の下で、乙羽がどんな顔で僕のチンコを咥えているのか、全く想像もつかない。想像してしまったら乙羽に対する僕のイメージが木っ端みじんになってしまいそうだった。それほどに、手コキとは比較にならない積極性と淫らさが伝わってくる動きだ。

 ごそごそと右隣の布団が大きく蠢き、ついには僕の首元にかかっていた布団が持ち上がった。

「え」

 暗くて、何が起こったのか理解するのが送れた。今この部屋は、中途半端に閉められたカーテンの隙間から漏れる月明りだけが光源だ。薄ぼんやりとしているが、目を凝らせばほんの少し見える。一瞬、乙羽が僕の胸の上から顔を出したのかと思った。想像してみるとちょっと可愛いが、違った。だってまだ、僕のチンコは乙羽の唇で、舌でもみくちゃにされていて、ちゅぱ、じゅるるっ、という下品な水音さえ聞こえている。

 それは、たぶん白かった。そして、つるんと丸い。前触れもなく見たら、もしかしたらのっぺらぼうだと思ったかもしれない。でも乙羽の顔より大分幅が広いから、そんな勘違いはさすがにしなかった。そして、匂い。むっとむせかえるような、甘酸っぱい……と言うには酸っぱいに傾いた匂いだ。でも不思議と不快な感じはしなくて、僕は鼻をひくひくさせてその匂いを嗅いでいた

 生唾を呑む。そして、そろそろと頭だけ持ち上げて、それに顔を近づけていく。まるで、愛しい人とキスをする時みたいに。縦に切れ目のような、他より色が濃い部分がある。そこに、唇を、付けた。

「うんんっ♥」

 布団の中からくぐもった声が聞こえた。僕が乙羽のおまんこを舐めたからだ。僕の前に恥ずかしげもなく曝されたお尻と、無防備なおまんこ。そこに口を付けて……いわゆるシックスナインを、乙羽としてしまった。指の時でなんとなく理解していた乙羽の気持ちのいい所を、優しく舐め上げていく。

「ん゛っ♥ んん゛ーーっ♥」

 びくっ、びくっ、と僕の舌の動きに合わせて全身を痙攣させ、フェラの動きが緩慢になった。もっともっと舐めてあげようと、口の中に流れ込んでくる酸っぱい愛液を飲み込んだとき、またも左隣が動いた。

「くぅ、乙羽、大胆過ぎるんじゃないかしら……」

 さすがにあっけに取られていたのだろう、るみ子が遅まきながら追随する事にしたようだ。

「いやあ、さすがにこれは躊躇うのも分かるよ。無理はしない方が……んほぉ!?」

 雑談モードに入りかけた僕を、股間の感触が遮った。乙羽の行動が大胆過ぎると評した僕の言動がお気に召さなかったらしい。もしかしたら勢いでやり過ぎた事に、布団の下では涙目で赤面していたりするかもしれない。まあ布団の下の事は詮索しないのが一応の取り決めだ。思い切り顔突っ込んでるし、めくれて丸見えになってるけど……下は下だ。

「い、い、行きますっ!」

 かなり気合を入れて、るみ子が布団にダイブする。それと同時に乙羽を押しのけるようにして僕の身体をまたぎ、二つの尻が眼前に晒される事となった。とんでもないアングルだ。枕元にあるであろうリモコンで、部屋の電気を付けたい衝動に駆られる。乙羽の一本筋も、るみ子のほんの少し花開いたようなシルエットのおまんこも、この目に焼き付けてしまいたい。が、それこそどちらかを恋人にした後のお楽しみだろう。

 僕のチンコに左右から押し付けられる唇、暗い部屋の布団の下という真の闇の向こうから注がれる熱視線に動かされるように、僕は両手を二つの蜜を讃えた花に伸ばした。

 ふう、ふう、と荒い息だけが、四つん這いになったお尻の奥から聞こえてくる。彼女達の顔は幸か不幸か見えないが、むっちりと強く押し付けられた唇が、荒く竿に当たる鼻息が、少女が決して浮かべてはならない卑猥な表情を想像させる。その想像に胸を高鳴らせながら、まるでピアノでも弾くように優しく、二者二様の軟肉をこねくり始めた。

「うんんっ♥ んむっ♥」

「ふぅんっ♥ んっふ♥」

 さっきははっきり見分けがついた二人の嬌声が、布団と闇とチンコに遮られて判別がつかなくなる。まるで暗闇の中では一体の別個の生き物がうごめいているような、一心不乱の動きで唇が上下し、僕に奉仕してくる。滴るほどに愛液を漏らし、今やすっかり出来上がった二つのおまんこの、穴……膣を探る。ほどなく見つかったが、なんと乙羽のは穴が小さすぎて中指では入りそうになかった。るみ子のほうは、ごく浅く……第一関節くらいまでを遊ぶように弄んでやると、尻全体を跳ねさせて悦んでくれた。

「んーーっ♥ んっ、うんんーーーっ♥」

 激しくして声が大きくなった方がるみ子なのだろう。次は乙羽にもしてあげたいけど……じっくりと、膣口は勿論別のいい場所がないかと周りを探ってみると、

「ん゛っ♥♥♥」

 突然、乙羽は尻をガクンと跳ねさせ、僕の指が離れた。

「そっか、乙羽はクリトリスが好きなんだな」

「ちょ、おまっ!」

 直接なワードをぽつりとつぶやくと、動揺したのか久しぶりに人語を話して乙羽が唇を離した。その隙に、るみ子の唇が亀頭を覆い……僕のチンコは、二人目の少女の舌の味を覚えた。

「あっ、るみ子、私も、私もしゃぶりたかったのにっ」

 むずがるような可愛い口調が聞こえてくるが、それとは別に僕は宣言する。

「乙羽もいっぱい気持ちよくしてあげるからね」

「え、やっ、それはっ」

 はむっ、と勃起した乙羽のクリトリスを口に含む。興奮で大きく勃起したクリトリスを、あくまで優しく……唾液の海に浸してそっと舌で触れてやる。

「はきゅっ♥♥」

 それだけでガクンと乙羽の尻が揺れるが、なんとか薄い尻を掴んで固定し、引き続き細心の注意を払って、乙羽の頭を撫でる時のようにそっと舐めまわしていく。

「んっ♥ けいっ♥ けいぃ♥ とけりゅ♥ あたまっ、おかしくなりゅ♥」

 どんどんおかしく、可愛くなって欲しいと願いを込めて、皮の上から大きなストロークで舐めまわす。それと同時に、ようやく慣れてきた手つきでるみ子のおまんこへの刺激も激しくし、指でクリトリスをそっと抑えてやった。

「んああっ♥ け、景、そこはっ♥ ダメ、ダメですっ♥ 私も、続け、られなっ♥」

 久しぶりにチンコがフリーになった。けれど、今の僕には2人の女の子を気持ちよくすること自体がたまらなく楽しく、責めが止まることはない。

「いっく♥ っく、イク♥ もう、っイッ、くぅぅぅ♥」

「ああ、もう、耐えられませんっ♥ すごいのが、なにか、すごいのが、っあああーっ♥」

 2人はこんな時も仲良く、同時に全身を一際激しく痙攣させた。

「はーーっ、はーーっ♥」

「ふーーっ、んふーーっ♥」

 布団の中からは、雌の獣のような荒い息遣いが聞こえてくる。少しの時間をおいて復活した彼女たちは、無言で僕のチンコに再度しゃぶりつき……僕は射精感に抗わず、恐らく乙羽の口の中に、2発目の射精を放った。

 どく、どく、どく。鈴さんと自室も持たずに暮らしていた僕には縁のない、完全に遠慮のない射精。しかも受け止めてくれるのは乙羽の口。暖かくもくすぐったい、乙羽の唇が作るリングに導かれるように、気が遠くなるような大量の精液が湧き上がってくる。

「ん゛っ、んぐっ、ごくんっ♥」

 生々しい、えづくような声。無音の暗闇に響く嚥下の音。乙羽が僕の精液を飲んでくれているという倒錯的な喜びと、

(よく精液なんて飲めるな……いや僕も愛液飲んでるけど……)

 という冷静な部分が入り混じり、夢の中を漂っているような心地よさを味わう。ちゅぷ、と音がして乙羽が口を離すと、今度はるみ子が亀頭を咥えて、

「ぢゅーっ♥ じゅぱっ♥」

 と残りの精液を吸い出してくれる。

 それもすべて終わると、身体中をものすごい倦怠感が襲った。滅茶苦茶出てたもんな……1分間位射精し続けた気がする。だるい……眠い……

 首を無理やり上げていた体勢から、枕にぽすっと頭を預けた。目の前に突き出されていた尻が引っ込んでいき、布団の中でごそごそと蠢いている。

 突然、僕のズボンが『グイィっ!』と引っ張り上げられ、

「わわっ!?」

 と抜けた声を出すが、返事はない。そう言えば股間丸出しだったな、と改めてズボンを上げ、シャツも元に戻してパジャマを着なおす。色んな体液でドロドロベトベトしていて不快だけど、もう直す気力もない。眠い。瞼が閉じかけていると両脇から布団が持ち上がり、

「ぷはっ」

「ふぅっ」

 2人が暗闇の中に立っていた。

「ん? どうかしたの?」

 キョロキョロと左右を見て僕が呟くと、

「何がって事はないんだけどさ、なんか喉がイガイガするからうがいしてくるわ」

「私も、っけほ、少しお水を飲みたい気分なので」

「あ……はい。僕もう、眠い……おやすみ……」

「ん。……おやすみ、景」

「おやすみなさい」

 苦笑したような二つの声に送られて、すとんと意識は暗闇に落ちていった。

 

 

 翌朝の目覚めは最悪だった。

「なんかすごいヌルヌルカピカピする……」

「あんたが後始末もせず寝るからだわよ」

「昨晩は、ええ、寝汗が凄い夜でしたからね」

 ギリギリなことを言い放つ乙羽と、しれっと顔を背けて……でも隠しようもなく赤面してとぼける、るみ子。

「ねえ、その、やっといてアレだけど、昨晩の事は……あそこまでやる必要、あったのかなって」

「あによ? なんか文句あんのかゴラ」

 乙羽の眼光にもイマイチ覇気がない。朝一だからか、……思い出して、しまっているのか。

「必要なら、あったわ」

 コーヒーを飲みながら、るみ子がきっぱりと言い放つ。

「いつか恋人になった時、あなたに触れられてどんな反応を示すのか。判断するにはとても有意義な情報だと思うわ」

「……あれでしょ、欧米では、身体の相性も大事とか言われてるらしいわよ」

「欧米か! いやでも、ここ日本……」

「私西洋の血が濃いからアリでしょ」

「わ、和魂洋才……」

 言葉に詰まった。確かに、ずっと付き合っていくような相手ならそういう観点もある、だろう。けど……

「結局どっちも全然別の魅力にあふれてて、ますます決め辛くなっただけでは……」

「それは知んないわよ。あんたが何とかなさい」

「期待、していますから」

「ううう……」

 にやっ、と乙羽が笑う。それはきっと昨日、僕が勃起していると言わせたときの笑みとそっくりだと直感し、心臓が強く脈打つ。

「確かに昨日1回じゃあ、そうかもね。もっともっと、回数を重ねなきゃ良しあしなんて分からないわよね?」

「それは重要な観点ね。もっともっと、些細な差が分かる位になってもらわないと。景が答えを出すのを、私たちは出来る限り支援するわ」

「えええっ!?」

 いつの間にか、るみ子までも同じ笑みを浮かべ、変な悲鳴を上げてしまった僕を見て、2人で顔を見合わせて噴き出した。

 

 

 ラブコメはいつの間にやらエロコメに転じてしまいそうだけれど。

 僕たちの闘争と青春は、今日も明日も続いていく。

 

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。