黄錦龍が転移した先は廃墟の中の広場だった。
戦う気の無い彼はその場で座り込んで【楽器演奏】を始める。
戦場でわざわざ音を出しているために、何人かが罠や伏兵を警戒しながら偵察に近づいてくる。
そして何も無いことを確認すると共に互いの存在に気づき、にらみ合いが始まった。
数秒後、突然一人の大剣使いが飛び出して黄錦龍に斬りかかる。
「まどろっこしいっ!武器以外初期から変えてないボーナスキャラは俺が貰う!」
その攻撃は無防備な黄錦龍に直撃したが、【博愛精神】によってダメージが無効化され適応されることはなかった。
「はぁっ!?初期装備の
そう動揺した瞬間、矢が頭部に突き刺さる。
振り向いて、狙撃手を探すが既に遅く、怒涛の追撃によって、粒子になり消えていった。
そして廃墟は黄錦龍を釣り餌にした、狙撃や不意打ちビルドの狩り場になった。
黄錦龍の音色に引き寄せられたプレイヤーを、彼に気を取られた隙を狙い、得点を稼ぐ弓使いや短剣使い。
だがしばらくして、彼の存在を利用していたプレイヤーたちに異変が生じる。
攻撃を受けた様子はないのに、次々に粒子になり消えていくプレイヤーたち。
死に戻る前に異変に気づいた廃墟唯一の魔法使いは、自身のステータスを確認して、思わず声をあげる。
「状態、協力強制-奏?ステータスが大幅に上昇する代わりにMPが持続的に減少し、MP0になると死に戻りだぁ!?」
そして、奏でるという字で原因を予測し、増えたAGIで急いで走り去った。
廃墟は再び黄錦龍1人になり、1人で納得する。
「んむうむ、
どちらも死亡に代わりは無かったが、この世界ではHPが命の代わりだと理解していた黄錦龍だけは争いの仲裁をしたつもりでいた。
こうして、被ダメージを無効化する理不尽が動き出した。
マップをふらふら歩きながら、戦闘中のプレイヤーを止めて回る彼は効果範囲に潜伏中のプレイヤーを巻き込むことで結果として上位を狙えるペースでポイントを稼いでいた。
パネルを開いて確認していれば、TOP10に入っていることを知れただろう。
そうしていると、派手な音と共に大正軍服の男性プレイヤー、アマカッスが現れた。
「なんだ、その様子だとお前も試練を越えていたのか!」
手にしているのは銃のようだが、銃口は天に向いていた。
ヒロインよりラスボスの印象が強すぎる(゚∀。)y─┛~~