3日後、
パーティーメンバーには、カルラ、ユキンコと表示されている。
中華系の顔立ちをした和装のプレイヤー、ユキンコは彼に問いかける。
「冒険は順調だと言ってましたが、ステータスを聞いていいですか」
その問いに、
「どうみてもマトモなプレイングはしていないだろう」
侍風の少女が言葉を挟む。
「よせよせ、そんなに褒めるな。照れるじゃないか」
そう返答をしつつ、
黄錦龍
Lv6
HP 40/40
MP 16/16
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 50】
【DEX 70】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手【見習いの竪琴】
左手【見習いの竪琴】
足 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】
スキル
【楽器演奏】【酒場演奏】【管弦楽】【博愛精神】【インディーズ】【楽器の心得Ⅲ】【ポーション中毒無効】【無法者の秩序】
「やはりな!そのレベル帯だと、いくつか装備欄空いているプレイヤーはいるが、武器しか更新してないではないか!」
「武器とステータスを更新していて、フィールドで使えるスキルを持っているあたり進歩を感じます。レベルも上がってるんですよ」
「おか......ユキンコ、一度日本に帰ってこないか?こいつへのハードルが幼児でも躓かないレベルまで下がってるぞ」
二人、娘の雪麗と孫の石神静乃が彼のステータスについて言い合う中、
「どうした、何を争っている?争いは辛いだけだろう。共に遊ぶために補助スキルも持ったぞ、お前たちの望む冒険に行けば良いだろう」
ハードルの下がりきった娘と不毛さに諦めた孫は、彼を連れて草原で連携の確認をするためにフィールドに出た。
しかし、すぐにカルラが彼に突っ込む。
「攻撃をしろ、攻撃を。MMOをなんだと思ってる」
「誰も不幸にならないとは知っているが、傷つけられるのは苦しいだろう?」
「レベルは上がっているんだから、一度ぐらい倒しているだろう?そのときの感じで良いんだ」
「んぅ?フィールドには何度も出ているが一度も攻撃はしていないが......、お前がそういうのなら攻撃していたのかもしれんな」
「まあまあ。死に戻らないだけ良いでしょう」
「それも意味が分からん、こいつに攻撃が当たってもHPが減ってないんだが。ここは邯鄲や現実じゃないんだぞ」
「見たことのないスキルがいくつかありますし、それの効果でしょう。
マナー違反ですが、スキル詳細を聞いてもいいですか?」
「善哉善哉、好きにしろ」
そういって、ステータスをメールで送った。
【管弦楽】
管楽器または弦楽器での【楽器演奏】が自身の一番高いステータスにも効果を発揮するようになる。
取得条件
特定カテゴリーの楽器を他の楽器演奏の効果範囲内で50回演奏する。
【博愛精神】
自身の受けるあらゆるダメージを無効化しヘイトを軽減する。
攻撃スキルと通常攻撃が使用できなくなる。
戦闘フィールドからいつでも離脱できる。
取得条件
一切攻撃せずに100回死に戻りする。
【インディーズ】
【楽器演奏】の効果範囲内のプレイヤーがモンスターを倒したとき、そのLVの1%の経験値を得る。
取得条件
PTを組まずに【楽器演奏】を200回行う。
【ポーション中毒無効】
ポーション中毒の効果を無効化する。
取得条件
中毒状態で24時間経過し、かつ戦闘を30回行っている。
「お前らしいスキルではあるが......運営は何を考えて、実装したんだ」
「俺のことが好きなのだろうよ」
「あの神座所有者がか?いや、四四八さんもピンポイントなスキルを取得したらしいし、邯鄲事件をモチーフにしている可能性はあるか」
余りにもおあつらえ向きなスキルに疑問を持つも、黄錦龍の起こした事件を参考にしている可能性に至った。
「なら、他の二人にもあるかもしれませんね。この構成なら、私とカルラが戦える場所ならどこにでも行けそうです」
「待ってくれ。回復型魔法使いのユキンコに、攻撃能力皆無の楽器使いと言うことは、長剣使いの私が攻守共に受け持たなければならないのでは?」
「私は攻撃魔法持ってますよ」
「ユキンコは悪くないが、パーティにはバランスというものが有って......。四四八さん、誘っていいか?」
ヘイトが低く壁にできない無敵バッファー、回復能力重視のヒーラー、全てのステータスを多少はあげているものの回避アタッカーというちぐはぐな構成に少しは役得が欲しくなるカルラ。
結果として、ユキンコと四四八の反対で3人でボスの出ない採取クエストを受けることになり、森に向かう。
黄錦龍は娘たちに勧められ、このクエストに便利なスキル『採取』を購入している。
「森の薬草を20本でしたね」
「ここのモンスターは草原よりは強いが厄介なのは毒ぐらいだ。私がモンスターを引き受けるから、2人で採取してほしい」
モンスターの方へ向かうカルラに【楽器演奏】をかけ、黄錦龍は採取を始める。
森の薬草はわからないが、薬効のあるものは何となくわかるので、段々と数を増やしていく蜂に刺されていることに気付くことなく、見つけ次第摘んでいく。
しばらくたって、カルラが迎えに行くと、彼は十数匹の蜂を引き連れていた。
「おい。そこを動くな、黄錦龍。トレインはやめろ、ユキンコが死ぬぞ」
言われた通りに止まると、彼は凪払うような斬撃を蜂諸とも受ける。
「どうかしたか?言っていた薬草は18本拾っていたな」
カルラに護衛されていたユキンコが遅れてやってくる。
「こちらに6本あるので、達成ですね」
そして3人は町に帰り、薬草を納品して報酬を受け取った。
「疲れた......。次があれば、絶対に四四八さんか大盾を入れる」
この世界の運営は神座勢でゲームバランスは女神の懐の深さと戦闘狂たちが主な原因だと良い(゚∀。)y─┛~~