訳あってTS転生してしまった少年がいた。今世での彼は、吉祥院梓沙というモデル顔負けの美少女である。彼ーー梓沙は、クリスマスの臨時バイトで出会った少女二ツ宮凛の抱える秘密に気づいてしまいうのだった……。

※この小説は、拙作『TS憑依して美少女になったので、エッチな日常を満喫する。』の番外編ですが、お読みになっていらっしゃらない方でも楽しめます。
※この小説は読者リクエスト作品です。

↓連載版のリンクです。
https://syosetu.org/?mode=write_novel_submit_view&nid=232759

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あけましておめでとうございます。クリスマスSSとして投稿するつもりでしたが、予定よりも長くなってしまい投稿が遅れました。



第1話

 12月24日、クリスマス・イブ。西高東低の気圧配置により、ここ東京では空気は乾燥して今年は雪は降っていない。クリスマスということで各商店は歳末セールと合わせて賑わい、駅前では陽気な喧騒が満ちている。

 

 都心から西へ少し離れたとある街の駅前の商店街。他の商店よりも一際増して賑わっている店があった。『Lumiere(ルミエール)』。この店──ケーキ屋さんの名前だ。個人経営のお店で、そのふんわりとしたスポンジとしつこくない甘さのケーキの美味しさはここら一帯では結構有名だったりする。

 

 今年は例年のクリスマスの時期よりも明らかにお客さんの数が多い。勿論、この店のケーキは人気だが、どうやら今年に限ってはそれだけが理由のわけではない。

 

「いらっしゃいませー」

 

 この店の制服を着て後ろ髪をお団子ヘアにして、ケーキやシュークリームの入ったガラスケースの後ろに立っている少女。頭には普段の制服の帽子ではなく、白いぽんぽんのついたサンタクロースの赤い帽子を被っている。整った顔立ちをした彼女は、甘く澄み透った声を張り上げて、ひっきりなしに来店するお客さんの対応をしていた。

 

「ありがとうございましたー」

 

 ケーキの入った箱を手提げの紙袋に入れて渡す。お客さんの目を見てニコッと笑うことも忘れない。紙袋を受け取る男性のお客さんのみならず、後ろに並んでいる女性客達まで頬を紅潮させて彼女のことを見つめていた。これは当然の状況と言えよう。彼女は、どんなアイドルやモデルだってしっぽを巻いて逃げ出すほど可愛いのだ。

 

 どうやらこの盛況ぶりは彼女の存在が大きいようだった。

 

 彼女はクリスマス時期限定3日ポッキリの時給2500円のアルバイトでここで働いている。ではなぜお客さんが増えたのか。

 その答えはSNSにあった。中でもTwitter。複数人が「めっちゃ可愛い子がアルバイトでいる」とツイートしたことにより、その情報は瞬く間に加速度的に拡散したのだ。

 現代の情報拡散能力、恐るべし、である。

 

 けれどネットに疎い彼女が、自分の影響でお客さんがこんなにも多くなっているなんて知る由もなかった。「クリスマスだからこんなに多いのかー」などと当の本人は呑気に考えている。

 

 少しだけ彼女の出で立ちの話をしよう。彼女が、「僕」として覚醒したのは7ヶ月と半月前のこと。ゴールデンウィーク明けの時であった。つまり、彼は憑依転生したのだ。

「女の子になれたら人生楽なのに」そんなふうに考えていた何の変哲もない男子高校生であった彼は、通り魔殺人で死んだ後になぜか念願叶って美少女になれたわけである。

「彼女」としての名前は、吉祥院梓沙(あずさ)。高校1年生。両親はともに勤務医で、中3の弟と中2の妹がいる、そんな家庭に育った少女だ。

 

 性交渉とは一切無縁だった彼女は、「彼」が憑依したことで、転生後複数人の男女と肉体関係を持つようになってしまった。まあ、いろいろあったのだ。ある程度は多めに見てやってほしい。TS少女の恋愛対象は女の子だったとしても、女の子本来の肉欲には逆らえないのだ……。それが人間という生き物なのである。

 

 ◇

 

 24日の夕方になって用意していた商品は全て完売した。3日間の仕事も終わりを迎えて吉祥院梓沙は達成感を得ていた。生まれて初めて自分でお金を稼いだ喜びもある。

 食品を扱う仕事のためにお団子にして纏めていた髪を解くと、パイプ椅子に腰掛ける。

 クリスマスの臨時バイトで雇われていたのは、梓沙だけではない。

 店の奥のテーブルで梓沙の向かいに座っているのは、彼女の他に雇われたもう1人の少女だった。

 

 ──ウェーブのかかった明るめの茶髪。童顔ではあるが、品が良く大人っぽい服に身を包んでいる。

 

(いいところのお嬢さんぽいけれど、なんでバイトなんかしてるんだろう。今日が話せる最後の日だから話しかけてみようかな)

 

 2人の少女はケーキ屋の店長の女性に挨拶を終えた後、コートを着て外に出る。

 そのまま駅の方へと向かっていこうとする茶髪の少女を梓沙は肩をトンと叩いて呼び止めた。今が話しかけられる最後のチャンスだと思ったのだ。

 

「ねえ、ちょっといい?」

 

「えっ、なにっ?」

 

 少女は肩をビクンと震わせ、驚いた様子を見せる。目を丸くしてびっくりしているところも可愛い、そう梓沙は思った。実際に、身長158センチの梓沙よりも数センチほど背の低い彼女の仕草は、小動物のようで可愛いものだった。

 

「まだ私たち話してなかったでしょ? このバイトで出会ったのも何かの縁かなって」

 

「そ、そう……。私も少し貴方のこと気になっていたのよ。話しかけられなかったけれどね……」

 

 少女は足を止めて手に持っていたBluetoothイヤホンをケースに収めた。

 

「私は吉祥院梓沙よ。今、高校1年生なの」

 

「あら、同学年じゃない。私は、二ツ宮凛よ。よろしくね」

 

 そう言って少女──凛は、梓沙に向かって微笑む。凛の清楚だけどカジュアルな感じは、男の子が一番好きな雰囲気かもしれない。鏡の中の自分や妹などで美少女にはすっかり慣れたつもりになっていた梓沙だったが、思わずドキリとしてしまう。

 

「駅に行くよね?」

「ええ」

 

 梓沙と凛は2人で並んで歩き出す。バイトであったことなど、今まで話せなかった分を取り戻すかのようにして語り合った。

 

「どうして凛ちゃんはバイトしようと思ったの?」

「ま、賄(まかな)いでケーキが食べられると思ったのよ……」

 

 甘いものが好きなことを凛は恥ずかしがっていた。別に恥ずかしいことではないと梓沙は思う。彼女がバイトをしようと思ったきっかけも、凛と全く同じだったのだ……。

 他にも、凛は、梓沙のことを最初に見た時芸能人かと思ったと言った。梓沙はそれ程までに可愛いのだ。

 

 仲良く話していた2人だが、5分程で駅に着いてしまう。昨日まではただの商店街としか感じられなかった道も、今日はとても短く感じられた。まだ少ししか話せていないが、お互いに波長が合っている気がしたのだ。

 

(やった。もっと話してられる)

 

 えへへ、と同じ下り列車に乗ることがわかった梓沙は素直に喜んだ。前世のときよりも女の子に対して邪な気持ちを向けることの少なくなった彼女は、今は下心などない純粋な感情だけを抱えていた。

 

 そう、まだこの時までは……。

 

 事件はこの後起こった。

 

 ◇

 

『お下がりくださーい、電車がホームへ入ってきています。黄色い線の内側までお下がりくださーい』

 

 ホームは大勢の人でごった返し、雑多なざわめきで満ちていた。頭上のスピーカーから聞こえてくる注意喚起のアナウンスの爆音が2人の耳をびりびりとつんざく。

 クリスマス・イブということでカップルの姿がちらほらと見受けられたが、大多数の人はサラリーマンのようだった。クリスマスにも関わらず働く社会人の皆様、日々お疲れ様、といったとこである。

 

「人多いね」

「うん」

 

 ホームに滑り込んで来た電車に梓沙と凛は、人混みに流されるようにして乗り込む。あまりの人の多さに苦笑いして2人で顔を合わせた。

 

 梓沙と凛が押し流されたのは反対のドアのところ。そのままの体勢だったものだから面と向かう姿勢になっていた。先程仲良くなったばかりの2人としては、同性同士とは言えども、これだけ密着するとなると少々照れくさく感じていた。

 お互いの毛穴が見えそうなほどの距離なのだ。もっとも、肌の綺麗な梓沙と凛には目視できるようは毛穴などないのだが。

 

 凛が梓沙をドアに向かって押し潰す体勢で電車に揺られていると、しばらくして梓沙は下腹部に違和感を感じた。

 最初は肩掛け鞄の金具だと思った。でも違うとすぐに気づく。下腹部にあたる「何か」は、金具なんかよりも大きくて熱を帯びていた。それが何なのかはわからなかったが、ドアの開閉によりあまり暖房の効いていない車内においては、カイロのようで暖かく心地よく感じた。

 

 ◇

 

「ねえ、さっきから顔色悪いけれど、大丈夫?」

 

 電車に乗ってからほとんど喋らなくなり、顔色がどんどん悪くなっていく凛を見兼ねて梓沙は声をかけた。満員電車だから喋らないのは別におかしいことではないかもしれないが、明らかに血の気が引いた顔をしている凛を見て心配になったのだ。

 

「大丈夫……。気にしないで」

 

 凛は、体調が悪いことをあまり訊いてほしくなさそうにするばかりだった。梓沙は凛のことが心配だったが、本人が大丈夫というならそれを信じようと思い、閉口した。

 

 ◇

 

(もうすぐ僕の降りる駅だ……。凛ちゃん、具合悪そうだけど1人で帰れるのかな)

 

 次の駅が梓沙の最寄り駅。未だに電車は満員電車だ。梓沙は、顔色の悪い凛に無闇に話しかけるわけにもいかず、乗車してからは殆ど話せていない。せっかく仲良くなれたので名残惜しいが、どうやらここでお別れのようだった。

 

「……どこの駅で降りるの?」

 

 不意に凛から話しかけられる。

 

「次で降りるよ」

「あ、私もそうよ」

 

(一緒の駅なんだ。じゃあ降りてからも話せるかな)

 

 凛も梓沙と同じ駅で降りるのだと判明する。それなりに大きな駅なので、そう珍しいことではないのかもしれない。

 

 ドアが開く。

 

 本当に何気ない気持ち、だった。

 

 降りる際に、身体の前に少しスペースができた。だから腰の辺りに当たっていた「何か」を触った。いや、触ったというより、握った。

 なんでそんなことをしたのかは、わからない。興味本位だったのか、温もりを求めてなのか、それとも別の理由なのか。

 

 握ったソレは──かつての僕が有していて、結局生物としての役目を果たせなかった相(・)棒(・)のように、熱く、固かった。

 

 

 ──なぜ、女の子である凛ちゃんにソレが付いているんだろう? 

 

 ◆

 

 私は、二ツ宮凛。私立高校に通う高校1年生よ。家はわりと裕福な方だし、友達にも恵まれている。

 そんな私には、誰にも言えない秘密を抱えていた。

 

 最初の異変は中学1年生のとき、だった。それは、オナニーを知ったのと同じとき。

 

 なんとなく自分の股に手を当てて擦った私は、オナニーを知ってしまった。快感を覚えた私は、それから毎日寝る前に自分を慰めるようになったの。触るだけで気持ちよくなれるのよ、しょうがないよね? 当時ピュアだった私は、クリトリスなんて言葉は知らなかったけれど、日々オナニーに励んでいたわ。

 

 

 だけど、私のハッピーオナニーライフも長続きしなかった。日々オナニーをするにつれて、私のクリトリスが大きくなっていったの。当たり前? いいえ、違うわ。オナニーして勃起している間だけじゃないのよ。

 

 オナニーを知ってしまう前の私のクリちゃんは、通常時で5ミリ程だったのに、中一の冬の頃には、通常時で1,5センチ、勃起時で3センチ程になってしまっていた。クリちゃんが日に日に肥大化していく現実から目を背けていた、その結果だと思う。

 

 何かの病気なんじゃないか、そう判断した私は今から三年前のクリスマスの頃に病院に行くことを決心したの。両親には恥ずかしくてとてもじゃないけれど言えなかったから、1人で行くしかなかった。病気に関して詳しいわけでもなかった私は、婦人科でも美容外科でもなく、近所の内科を訪ねたの。

 

 その日は、院内に看護師さんが少なく、診察室には私と40歳くらいの男性医の2人きりだった。

 

 相手はお医者さんだから大丈夫、そう思って恥ずかしいのを我慢しておまんこを見せたわ。そいつは、今から思い返すと悔しいけれど、触診と称して私のクリちゃんを撫で回してきた。

 

 穴が空くほど観察してくる羞恥を耐え、クリちゃんへの刺激に声を押し殺した末、何らかの病気ではないと判断が下された。

 

 今から思えば、その医者は最初っから原因なんてきっとわからなかったのよ。純粋な中学1年の少女のクリトリスは弄られ、おっさんのその日のオカズにされたに違いないわ。

 

 肥大化を止めるためにオナ禁しよう、そうその時の私は思い立ったが、1週間も続かなかった。一応病気じゃないって診断されたから大丈夫、と自分に言い聞かせるようにしてそれからもオナニーは続けたわ。

 

 それから3年。私のクリトリスは、通常時7センチ、勃起時15センチという既に男性のペニスの平均サイズを上回るサイズになってしまった。幸いなことに、今年の春あたりでクリトリスの肥大化は止まってくれた。

 

 だけど私の日常生活は、昔のようにはもう戻らないの。ショーツから常にポロンとクリちゃんは顔を覗かせているし、ナプキンだって付けられなくてタンポンを使っている。体育の前も、みんなと同じ更衣室で着替えるわけにはいかず、1人だけトイレで着替える。

 

 クラスメイト達は、私のことを同性の前でも着替えるのを恥ずかしがる初心なお嬢様だと思ってる。

 でも実際の私は、エッチなことだって知ってるし、毎日オナニーだってしてる。私のような子を淫乱っていうのかもしれない。

 

 笑っちゃうでしょ? こんなクリちゃんのデカい女の子、やっぱり変だよね。

 

 ◆

 

 驚愕の色を顔に浮かべた梓沙を見て、凛は悲しそうに微笑んで、電車から転がり出るようにして降りていく。「3日間ありがとう、じゃあね」梓沙には、その表情がそう言っているような気がしてならなかった。

 

「待って!」

 

 梓沙は追いかけた。せっかく仲良くなれたのにこんな中途半端な関係で終わるのは嫌だった。

 

(せっかく仲良くなれたのに……! 本当は凛ちゃんが男でしたなんてオチでもいい、凛ちゃんとはもう友達なんだっ!)

 

 頭をからっぽにして道路を駆ける。冬の空は暗く、明かりは街路灯と家々から溢れる光だけ。

 

 はぁはぁと自分の荒い呼吸がうるさいほどに耳につく。周りの音なんてほとんど聞こえやしなかった。

 TS転生してから体力が元の体よりも落ちたことをこれほどまでに恨めしく思ったのは初めてだ。

 

 もう限界──梓沙の頭に『諦め』という考えがちらついた時、凛が音をあげた。

 

 

「はぁはぁ、私の負けよ……」

 

 凛は、急停止すると、道路脇に座りこむ。いきなり走るのをやるのは心臓によくないと思った梓沙は、凛の周りを幾度か旋回してから隣に腰を下ろした。

 

「凛ちゃん、私──」

 

「待って。私の秘密に気づいちゃった……?」

 

 凛は、梓沙の言葉は遮られる。唇をふるふると震わせて梓沙の瞳を見つめる凛は、捨てられた子猫のようだった。

 

(凛ちゃんが男だって僕は気にしないよ。女の子よりも可愛い男の子なんてむしろご褒美だよ)

 

 梓沙の弟の柊斗は中性的な顔立ちをしたシスコンの美少年であり、紆余曲折の末に梓沙と柊斗は、前述の通りの肉体関係を持ったうちの1人となっている。元男の梓沙だが、可愛い男の子なら十分にストライクゾーンなのだ。

 

「……うん」

 

 なるべく凛の気を落とさないように声のトーンを落として梓沙は答えた。

 

「そう……。やっぱりバレちゃってたのね」

 

 凛の表情が陰る。唇を噛む凛の目じりに、涙がこぼれない程度に滲み出しているのを梓沙は見た。

 それからパンと手を叩いて自らを鼓舞するようにしながら凛は立ち上がる。

 

「はぁ……こんなところで話すのもあれだし、近くの公園に行くわよ」

 

 

 気丈に振舞おうとする凛の姿は、とても辛そうに見えた。

 

 ◇

 

 公園のベンチに2人で腰を下ろす。凛は周囲を見回してから大きく息を吸った。

 

「……私ね、身体付きがみんなと違うのよ」

 

「うん?」

 

 梓沙は小首をかしげる。男の子にソレが付いているのは当たり前のことだからだ。

 梓沙の中では、電車でのハプニングにより、凛が男の娘であることは確定している。ゆえに凛の発言に違和感を覚えるのは当然のことだった。

 

「な、何よその反応」

 

「え、いや、凛ちゃん……くん? って男の子なんじゃ……」

 

「はぁ?」

 

 電車を降りてからずっと泣きそうだった凛が、呆れたような顔で梓沙の顔を見る。凛の顔には、少し笑みが戻っていた。

 

「ふふっ、あなた可愛い顔して結構失礼なこと言うのね」

 

「ご、ごめん……」

 

「ま、いいわ。私は女の子よ。私のお股の……アレについてはバレちゃってるみたいだから、あなたには特別に話すわ」

 

 

 ◇

 

 

 

「……というわけなのよ。どう? クリちゃんのデカい女の子って気持ち悪いわよね」

 

 凛は梓沙に自分の陰核が大きくなってしまった話をする。オナニーをしたせいでこうなっちゃったのだと言って恥ずかしそうに頬を紅く染める凛の姿は、梓沙の庇護欲を煽った。

 だが、梓沙が凛に抱いた感情は庇護欲にとどまらない。凛が説明に相槌をうって聞いていた梓沙は、あることに気づいてしまったのだ。

 

 ──凛ちゃんは、いわゆる『ふたなりちゃん』なのではないか、と。

 

 カッと見開いた梓沙の目には、情欲の色が宿っていた。外見はモデルのような梓沙だが、頭の中身は男子高校生に近い。つまりは、頭の中が残念なほどにピンク色なのだ。

 

「変じゃないし、気持ち悪くなんかないよ!」

 

「そ、そう。ならいいけど……」

 

 語気を強める梓沙に気圧されたように頷く。

 未知なる『ふたなり』への梓沙の興味はとどまることを知らない。

 

「凛ちゃん……少し、ほんの少しだけでいいから凛ちゃんのクリちゃん、服の上からでいいから触らせてくれない……? ほ、ほら、後学のためよ。何事も経験だって言うし……?」

 

「え……」

 

 凛は驚きはしたものの、凛の目にも、梓沙が自分のクリちゃんに興味津々なのは明らかだった。クリクリの目を輝かせて、自分への股間をチラ見しながらおねだりする梓沙の様子は微笑ましく、可愛らしい。

 さらには、凛が、可愛い女の子ならイケる口、であったことが追い討ちをかけた。二ツ宮凛は、バイ・セクシャルなのだ。電車でクリちゃんが勃起してしまったのもそのせいである。

 

 ゆえに凛は許してしまう。

 

「いいよ、少しだけね」

 

 ◇

 

「ひゃうっ」

 

 梓沙の手がキュロットの上からクリトリスを撫でると、凛が可愛らしい声をあげる。好みの女の子からのタッチに期待してしまっていた凛のクリちゃんは硬くなり始めており、梓沙の手に硬さと熱でその存在を主張していた。

 

「少しだけ」と自分から言ったのにも関わらず、梓沙は撫でるのを辞めることはない。しかし凛も、「ここまでだ」などと静止をかける無粋な真似をするようなことはなかった。2人の望み、利害関係は一致していたのだ。

 

 キュロットの上から微かにわかる怒張したクリトリスの起伏を確かめるようにして指を這わせる。

 

(うわぁ、すごいなぁ。男の子のちんちんより大きいじゃん。凛ちゃんの身体エロ過ぎだよ)

 

 梓沙は、ふたなりちゃんのクリちゃんを触れた感動に打ち震える。美少女とクソでかクリトリスは、本来ミスマッチなものだが、早くも梓沙はその二者の間に足し算の美学を感じ始めていた。

 

 お触りを凛が止めさせないのをいいことに梓沙は調子に乗り出した。

 キュロットの裾から手を入れてモソモソと動かし、太腿を黒タイツの上から撫で回す。

 

「あっ、梓沙ちゃん!」

 

「ごめんね、手が滑っちゃったみたい」

 

 まさかキュロットの下に手を入れてくるとは思っていなかった凛は、困惑する。それもそのはず。服の上からのお触りなら女の子同士のじゃれあいで済まされるが、今まさに梓沙がやってきていることは、その範疇を超えているのだ。

 これ以上身体を許したら、せっかく友達になれたこの関係を壊してしまうかもしれない。だけどもっと触って欲しい。「こんな今後人生で二度とないであろうチャンスを逃しちゃだめだ! 」というクリちゃんの叫びが、凛に聞こえてくるようだった。

 

 そんな凛の葛藤はいざ知らず、梓沙は凛の顔を見てべろを少し出して、てへぺろっとする。

 ペースは完全に梓沙が握っていた。

 

「っ……!」

 

 とうとう梓沙の手がクリちゃんに達し、クリちゃんはタイツの上から擦られる。ショーツから飛び出た勃起状態の巨大な陰核は、40デニールの黒タイツの下で窮屈そうに身を屈めていた。

 

(熱い……! クリちゃんって、ちんちんの何倍も感度がいいのにこんなにタイツで擦れてたらヤバイくらい気持ちいいんじゃないの!? う、羨ましいよ……)

 

 梓沙の考えは的を得ていた。諸説あるが、一説には陰核の感度は男性器のそれの約10倍程あるという。さらには凛の場合、常人よりも陰核の表面積が圧倒的に大きいということが拍車をかけてかけていた。

 

「凛ちゃん、可愛いよ」

「ふぁ、んっ! ありがとう……。梓沙ちゃんも、可愛い、よっ……」

 

 梓沙は凛の陰核をまさぐり、凛はそれに喘ぐ。

 

 数分それを続ける頃には、2人のショーツの中はぐちょぐちょになって気持ち悪いほど愛液で濡れてしまっていた。

 

(凛ちゃん、こんなに僕に興奮してくれてる……!)

 

 キュロットの膨らみばかり見つめていた梓沙は、顔を上げて凛の表情を見ると、一瞬理性が飛ぶかと思う程にクラリと来た。

 バイト中ではツンと気の強そうに見えた凛は、目を細めて口は半開きになっており、苦しそうに湿った白い息を吐き出す。完全に快楽に蕩けるメスの顔だ。

 

 凛にペニスを突っ込んで鳴かせてやりたいと思った梓沙だったが、残念なことにTSした今となっては突っ込むモノがない。女の子になってからの生活に満足していた彼女は、ペニスをなくしてしまったことを口惜しく思った。

 

「ほんっとに可愛いよっ!」

 

 梓沙は巨大クリちゃんを握ったまま、もう片方の腕を背中に回して凛に抱きつき、ぷるんとした唇にむしゃぶりつく。同性からの突然のキスに、凛も満更でもなさそうにして舌を絡めた。

 ただ舌を絡め合うそれだけの行為がここまで気持ちイイものだとは知らなかった凛は、ファーストキスを梓沙に貰ってもらえた幸せで、花びらに包まれたような心地良さを感じていた。

 夜の公園に、濃厚な大人のキスをする2人の少女の影が長く伸びて落ちる。もしここに百合豚がふらりと現れようものなら、ものの数秒で尊死してしまうであろうそんな光景。ひどく官能的である。

 

 

 ──このエロい身体付きをした少女を自分のものにしたい、そんな欲望が梓沙の中で芽生えた。

 

 

 ◆

 

「ねえ、ほんとにここ入るの……?」

「うん……。少しくらいなら帰るの遅くなってもいいでしょ?」

「ま、まあね」

 

 目の前の建物を見て不安がる凛と、少し照れながら入ろうと誘う梓沙。凛がビクビクとしているのも無理もない。2人の前に建つ建物は、ラブホテルだからだ。

 

「じゃあ、入ろっか」

「う、うん……!」

 

 覚悟を決めてフロントにおっかなびっくり足を踏み入れる凛。一方、何度かラブホテルに入ったことのある梓沙はというと、慣れた手つきでタッチパネルで部屋を選んで鍵を受け取ると凛の腕に自分の腕を絡めて部屋に向かう。

 公園から歩いて数分のホテルに来た2人だが、2人ともまだイけてないので欲求不満だった。特に梓沙は、凛のクリちゃんを愛撫するだけで自分のクリちゃんを弄れてないがために、先程からずっとお腹がキューンとしている。今すぐにでも膣に指を突っ込んでぐちゃぐちゃにオナニーをしたいほどだ。

 

 

 ──ガチャン

 

 凛を先に部屋に入れた梓沙は、後ろ手にドアを閉めて鍵をかけた。

 

 ──これでもう他人に見られることを気にしなくていい。

 

「凛ちゃん!」

 

 コートを床に脱ぎ捨て、凛をベッドに押し倒す。理性で必死に押さえ込んでいた梓沙の性欲がここにきて爆発したのだ。

 

「んっ……♡ 凛ちゃん……大人のキス、するからねっ♡」

 

 凛の了解など待たずに梓沙は舌で凛の唇をこじ開けて口の中に潜り込ませる。唾液を混ぜ合うようなねっとりとした濃厚なキス──2人の可憐な少女には似つかわしくないものだ──を卑猥な音を立てながら舌粘膜をくっつけ合う。ベッドの上で覆い被さるようにして梓沙は小柄な凛の口腔内を味わった。

 

「んむっ……♡ はんっ……、ぷはっ」

 

 鼻呼吸をすることも忘れてキスをしていた梓沙が息が続かなくなって唇を離すと、だらり、と2人の間を銀色の唾液の橋がかかる。口元の唾液を指先で拭う黒髪の少女の姿は、実際の歳以上に大人びたものだ。少なくとも高校一年生には見えまい。

 

 凛が顔をあげ、上気して潤んだ目で梓沙の顔を見つめる。

 

「ねえ、こういう所に来たら、まずはお風呂なんじゃないの?」

「うん、そうだけど……我慢できなくって。えへへ。それにお風呂なんて入ってたら帰るの遅くなっちゃうでしょ?」

「まあ、たしかに……ね」

 

「それに……ほら」

 

 梓沙は下腹部に押し付けられた、凛のソレを軽く握る。

 ソレ──怒張したクソでかクリちゃんは、既に硬さを増して熱を帯びている。梓沙のみならず、凛の身体もエッチの準備が万端だった。

 

「凛のココはこんなに期待しちゃってるよ……?」

 

 ツン、と凛のふっくらとした頬っぺをつつく。男の子なら1回は言ってみたいセリフであろうセリフであろう。ドヤ顔をする梓沙は、女の子であるにも関わらず、決めゼリフがさまになっていた。

 

「そ、それは……しょうがないじゃん……」

「あーっ! もう可愛いすぎる! それじゃあ、いただきます!」

 

 梓沙は、凛の履いていたキュロットとタイツを引っ張るようにして乱雑に脱がせた。

 

 ──ぽろり

 

「うほおっ!」

 

 梓沙は雄叫びをあげた。

 梓沙が見たのは、赤く充血した少々グロテスクな凛のクリちゃんが薄ピンクのショーツの横から飛び出している、犯罪臭がするような光景。男の子のペニスよりも凶悪なブツが首をもたげる様は、壮観の一言に尽きた。

 

 そして、凛の大事なところを頼りなく隠していたそのショーツも梓沙によって剥ぎ取られてふわりと宙を舞う。

 凛の陰部の全貌が明らかになった。梓沙は、凛のクリちゃんの大きさから男の子のペニスを想像して、凛は陰毛が濃いのだろうと決めつけていたが、そうではなかったらしい。梓沙自身の陰毛よりもずっと薄く、立派な陰核とのギャップによって、クソでかクリちゃんの卑猥さが引き立てられていた。

 

「クリちゃん舐めるよ」

「え、え、何言ってるの!? 汚いよ!」

 

 凛の足の方側から這い寄った梓沙は、 足を押さえつけてクリちゃんに口を寄せる。クンニいう行為を知らない凛は動揺して少し暴れるが、足の上に梓沙が乗っているために抵抗などほぼできない。

 

「ふぁっん!? なにこれぇ……」

 

 梓沙がクリちゃんを咥えると、暴力的な快楽に凛は襲われる。普段の扱きあげるようなオナニーとは全然違った。柔らかくヌルヌルしていて温かい粘膜に包まれたクリちゃんは、今までに感じたことの無い種類の気持ちよさに悲鳴をあげる。自分の汚いところを咥えてじゅっぽじゅっぽと口全体を使って刺激を与えてくる美少女の姿を見ながら、凛は性器を舐めるこの行為に酔いしれた。

 

 梓沙は何度か凛をイかせると、クンニをやめた。

 

「凛ちゃん、今度はお互いに舐め舐めしよ? もう、私、我慢できないから……気持ちよくして」

「ふぇ……?」

 

 快楽の海に溺れていた凛は、梓沙の声で引き戻される。凛が梓沙の言っていることを完全に理解出来ているようには思えなかったが、それでも梓沙はパンツとショーツをポイと脱いで凛の顔の上にまたがった。

 

「うわぁ、梓沙ちゃんのおまんこ……。梓沙ちゃん、私よりおけ毛ふさふさだね……」

「ちょっ……えへへ……」

 

「凛ちゃん凛ちゃん、ここのクリちゃんとビラビラのところを舐めてね?」

 

 ──くぱぁっ……

 

 梓沙は凛の顔の前で股を開くと、ピンク色のクリちゃんと膣穴を見せつけた。梓沙が指で膣穴を押し拡げると、ねちょねちょとした愛液が穴の入口のところで糸を引く。凛は初めて至近距離で見る二次性徴を迎えたおまんこごくっと喉を鳴らし、魅入ってしまう。凛のよりも遥かに小さな赤ちゃんサイズのクリちゃん──普通のクリちゃんを見るのは三年半ぶりだ──がヒクヒクとひくついている様子が、凛の目には可愛らしく映った。

 

 ……ぺろり

 

「その調子、その調子。上手いよ」

 

 梓沙は、凛の顔に自分のまんこを押し付けるようにして小陰唇と陰核を舐めさせる。梓沙が時折舐め方のアドバイスをするおかげか、ものの数分のうちに梓沙が満足するレベルまで、凛のクンニは上達した。

 

「んふぅ……れろっ……あずさちゃん、きもてぃひひ?」

「うん。さいこうっ、んっ♡」

 

 凛に負けずと、梓沙も凛のクリちゃんを咥える。いわゆる、シックスナインの体勢。2人の少女は、どちらが多くイかせられるかを競うようにして舐め合った。

 剥けたクリトリスの皮の内側に溜まった垢をこそげ落とすように舐めたり、時には舌を尖らせて膣の中を挿れるような動きで舐め回したり。己の舌と唾液だけを武器に互いの性器を弄り、感じさせ合う。凛のお嬢様らしい振る舞いをしていた面影はもはや見られず、獣のように互いを求め合った。2人は、まんこの隅々まで味わい尽くす。

 

 ──グッチュグッチュグッチュ

 

「んっ、イ、イくっ♡」

「わたひもっ! はあ゛っ……あ゛っ……♡」

 

 梓沙と凛は、特大の絶頂を迎えたことで痙攣を起こした。足をピーンと伸ばして時折ビクッビクンッと腰が跳ねる。

 ぷはあっと2人は互いのクリちゃんから口を離した。

 

「きもちかった……」

「うん……すごかったね……」

 

「私ね、まだやってみたかったことあるの。女の子同士でしかできないことだよ。どう、やってみよ?」

「う、うん。やってみる」

 

 梓沙の提案に頷く凛。クンニという極上の快楽を与えてくれる性技を教えて貰ったことで、凛は、今度はどんな気持ちいことを教えてくれるのだろうと内心わくわくだった。

 

 ここにきてようやく全身の服を脱いで一糸纏わぬ生まれたままの姿になった2人は、クイーンサイズのベッドに寝そべった。

 

「こことここを……こうやって擦り合わせて……」

 

 ──くちゅり

 

 梓沙が言う通りの姿勢を凛がとると、2人の陰核が触れ合う。

 そう、梓沙がしようとしているのは、『貝合わせ』と一般的に呼ばれる性技だ。女性同士が互いの陰核を擦り付けあい、愛液を交換しあいながら快楽を得るものである。体位は正常位と松葉崩しの2種類あるが、今回梓沙が選んだのは、よりお互いの身体を感じ合うことができる正常位。

 

 ──ぐにぐにっ ぐにぐにっ

 

「ひゃうぅ……これっ、けっこうきもちいっ、かもっ……なにこれ……!」

「うんっ、気持ちいいでしょ」

「ほ、ほんとに、気持ち、いい……あぁぁ、う、うぅっ」

 

「凛ちゃんっ! もっとよくなって!」

「はぁ……はあぅ、うんっ」

 

 梓沙と凛は荒い吐息で喘ぐ。特に、凛の乱れようときたら凄いものだ。クリちゃんが大きいからか、人一倍感じやすい凛は、性器を擦り付けるだけの快楽で頭がどうかしそうな程だった。

 

 2人の少女の女性器から溢れる愛液がローションの役割を果たし、その上で性感により硬くなっているクリトリスが擦り合うことで、ビリビリと脊髄に電流が流れるような快感が梓沙と凛に流れる。

 貝合わせという性技は、男女間性行為のような結合は無いため、エクスタシーへの時間は互いの協力と思慕に左右されるものなのだが、2人の相性は抜群だった。何度もイカせあったことで、お互いの腰振りは完ぺきに息の合ったものとなっていた。

 

 ──ぴちゃぴちゃっ

 

「ひっ……いっ……あっ……あっ……やぁぁ……」

 

 時折バードキスを混ぜながら腰を降っていると、梓沙が妙にか細い声を出し始めた。

 

「梓沙ちゃんどうしたの? なんで震えてるのー?」

 

 貝合わせを始めてから数度イった凛と違い、貝合わせで初の絶頂を迎えようとする梓沙。声からその前兆を感じとった凛は、少しいじわるをする。

 

「やっ、待って、今、だめ。だめっ、あっ、うあ゛っ……ストップぅ……」

 

「だーめ。私、止めないからね? もっと気持ちよくなーれ♡」

 

 ──クチュックチュッ

 

「イっちゃえ、私みたいにたくさんイって♡」

 

「やっ、あ゛っ、イク゛ぅぅ……」

 

 凛が梓沙の子供クリちゃんに向かって自分の大人クリちゃんを擦り付けると、梓沙は腰をビクンと跳ね上げた。

 梓沙は完全に絶頂していた。ぐたりとベッドに体重を預け、痙攣している。かなり長い痙攣だった。

 

「…………はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

「梓沙ちゃん、大丈夫?」

 

「うん……、凛ちゃんはよく、はぁっ、平気だね……」

 

「あはは、私、イき過ぎてイきなれちゃったかも」

 

 肩で息をする梓沙と、ころころと笑う凛。2人の秘所からはだらしなく愛液が垂れているのは共通していることだが、梓沙の方がイき疲れているのは明らかだった。いくら梓沙が普段からエッチをしているとは言えど、クソでかクリちゃんの感度に慣れている凛に、スタミナ面では軍配があがる。

 ペースは、徐々に凛のものとなりつつあった。

 

「あっ、いいこと考えちゃった」

「え……? なあに? 」

 

 ぽん、と手を叩いて凛は嬉しそうな顔をする。どうやら何かいいことを考えついたようだ。

 

「梓沙ちゃんって処女?」

「え、いや……違う、けどぉ……」

 

「そっか、ならシてもいいよね!」

「え、な、なに!?」

 

 梓沙は、恥ずかしがりながらも、非処女であることを凛に告げた。凛が何をしようとしているのか梓沙にはわからない。それでも、凛が何かイイことをしようとしていることだけはわかった。

 

(僕が非処女かどうかって何に関係するんだろう? )

 

「ねね、梓沙ちゃん。靴下履いてみてくれないかしら」

 

 ソックスを身につけたプレイを凛は望んでいるようだった。梓沙は凛の指示通りに散乱していた靴下を拾って身につける。すらりとした流麗な曲線を描く梓沙の身体は、だいぶ大人の身体に近づいていてメリハリがある。そんな彼女が裸にニーソックスだけを身につけるものだから、16歳の少女とは思えないほどの色気を放っていてた。2次元のイラストから飛び出てきた少女だと評する人もいるかもしれない。しかし、陰部に生えた黒々とした陰毛が、梓沙が現実に存在する少女だということを如実に表していた。

 凛は「うーん」と考え込むような仕草を見せると、立ち上がって鞄を漁る。

 

「これ、バイトで貰ってきたやつよ。かぶってみて?」

 

 ──サンタさんの帽子。

 

 凛が渡してきたのは、今日までかぶってたサンタさんの帽子だった。

 

(バイトでかぶってたやつだ。そうだ、今日でクリスマスが終わるから貰ってきたんだった)

 

「う、うん。私も持ってるから自分のかぶるね。それは凛ちゃんがかぶってよ」

 

 梓沙と凛は帽子をかぶった。ニーソとサンタさん帽子の梓沙と、全裸にサンタさん帽子の凛。

 頬を紅潮させながらベッドの上で2人は向き合う。

 

「梓沙ちゃん、おいで」

「うんっ……!」

 

 2人の少女は抱き合った。暖房は付いているとは言えど、今は寒い冬。お互いの温もりを確かめ合うようにして背中を擦る。そして、2人の唇は近づいていき……舌を絡め合う。互いに愛しむような長い長い口付け。

 ひとしきりディープキスを楽しむと、凛が宣言した。

 

「梓沙ちゃん、挿れるよ」

「……っ!」

 

 梓沙は息を飲んだ。凛がしようとしていたことをようやく理解する。

 凛がしようとしているのは、擬似セックス。凛のクソでかクリちゃんを梓沙の膣に挿れるのだろう。処女かどうか確認してくれたのは凛の優しさゆえなのかもしれない。

 要するに今日のメインディッシュなのだ。これからすることがわかって梓沙の気分が高まる。それもそのはず。もうディナータイムの終わりかと思っていたところにデザートが届いた気分、と言ったらわかりやすいだろうか。

 

(あんなに大きなクリちゃんをおまんこに入れたら、僕どうなっちゃうんだろう。ああ、楽しみ♡)

 

 梓沙がこれからすることに期待して喜びの溜息を漏らすと、熱いものが梓沙の陰唇にふれる。凛のクリちゃんだ。

 

 ──ずぶずぶっ

 

 梓沙の中に凛の怒張したクリトリスがゆっくりと侵入してくる。優しく挿入され、梓沙の口からは甘い吐息が漏れた。

 

(す、すごい……! クリちゃんなのに本物のおちんぽみたいだよ)

 

 様子を見ながら少しずつ挿れた凛のクリトリスが、子宮の奥にコツンと達する。

 膣の中の温かさから、お腹の辺りまで凛のクリちゃんが入っているのを梓沙は感じ取った。身体の内側から満たされるような幸福感に悦びで身体を震わせる。

 

「梓沙ちゃん、私たち、繋がっちゃったね」

「うん……あったかくて、気持ちいいよ」

「私もだよ。ゆっくり挿れたのにヒダに擦れる度に、頭おかしくなるくらい気持ちいもん……」

 

 凛は初セックスの快楽で恍惚とした表情を浮かべた。そして、ゆっくりと凛のクリトリスが抜かれて──

 

 ──バチュン! 

 

「ふお゛ぉぉぉんっ!」

「あ゛んっ♡」

 

 一気に突かれた。

 梓沙の膣の何十ものヒダと凛のクリちゃんが一瞬のうちに擦り合わさり、敏感になった2人の性感帯を刺激したのだ。頭が真っ白になるような快楽が2人の神経を駆け上がった。

 凛はスローセックスではなく、快楽を貪るようなセックスを選択したようだった。

 

「あ゛、梓沙ちゃんっ、やばっ、ぎもぢぃぃっ♡」

 

 ──バチュンバチュン

 

 凛は梓沙に向かって自分の腰を繰り返し打ちつける。その度に肌と肌がぶつかり合う高い音が鳴った。

 

「ん゛っ、2人でっ、気持ちよく、なろっ♡」

 

「うんっ……はあっ、んっ♡」

(凛ちゃんっ、激しすぎぃ……)

 

 凛の視界には梓沙の艶かしい裸体が映る。

 しっかりと括れたウエストと、M字開脚しているスラリとした脚。身体は全体的に健康的な肌色が上気して桜色に染まっている。凛が腰を振る度に梓沙のDカップおっぱいがたぷんたぷんと揺れた。

 サンタさん帽子をかぶった少女は、ブンブンと帽子を前後に揺らしながら、凛の腰打ちに為す術なくただただ喘ぎ声をあげて受け容れている。

 

 今この場の主導権を握っていることで満たされる征服欲、一部着衣した少女とセックスしていることで得られる背徳感。凛の興奮は天井知らずに爆上がりだ。梓沙のみならず彼女自身も何度もイっていたが、それでもお構い無しにイき過ぎてガクガクと痙攣する腰を打ちつける。

 

 ──パンッパンッ

 

「イってるぅ、イってるからぁ! 止まってぇ!」

 

「そんなのっ、私も、だよぉ! ぎもぢいっ、やめられない、よ!」

 

 照明を落としたホテルの一室では、1つのベットの上で2人の少女が一つに繋がっている。

 ベット脇の間接照明の薄明かりが、梓沙と凛のまぐわる様子を影絵のように映し出していた。

 

 凛がクリちゃんを抜き差しする度に頭の中でピンク色の火花が散った。もう脳がショートしてしまいそうだった。

 

「はあぁぁ……、あ……」

 

 余りの快感と興奮で、後ろ手にベッドについていた両腕からカクッと力が抜け、梓沙は仰向けに倒れてしまう。

 

「梓沙ちゃん……イくぅ!!」

 

 凛が絶頂を宣言し、ベッドに横たわる小さなサンタさんに向かって一段と深くクリちゃんを突き刺した。

 

 腰がビクンと跳ね、梓沙はベッドのシーツをぎゅうっと掴んだ。口から嬌声が溢れ出る。梓沙は度重なる中イキで蕩けきっていた。

 快楽の虜になっているのはもちろん梓沙だけではない。プシャップシャッと潮を断続的に秘所から噴水のように噴き出させている凛にお嬢様の面影は、ない。

 

 2人は想いを伝え合う。

 

「凛ちゃん……好きだよ」

「私も……。これからもたまに会って、しよ?」

 

「ん……ちゅ……」

 

 梓沙と凛は、改めて唇を重ねた。

 

「もう、梓沙ちゃんが可愛い過ぎるのよ。そのせいで私の性欲が治まらないみたいだわ。もっといくわよ?」

「…………うん」

 

 性欲がある程度落ち着いたからか、元の口調に戻った凛の言葉に梓沙は本当に嬉しそうな笑顔で頷いた。

 

 それから2人は、2時間の利用時間めいいっぱいまでお互いの身体中がべちゃべちゃになる有様なるまで愛し合い続けた。

 自分のクリトリスが抱える秘密を隠そうとしていた凛とその悩みを受け入れてエッチにまで漕ぎ着けた梓沙。2人の少女がここまで親密な関係になれたのは、互いの歩み寄りによる賜物のおかげであろうが、それだけではなく、この『クリスマス・イブ』という日があったからであろう。今日この日が無ければ、2人は出会うことすらなかったのだから。

 

 

 

 吉祥院梓沙と二ツ宮凛、2人が出会う機会をくれたサンタさんに感謝を込めて。

 

 

 ──メリー・クリトリス

 

 

 Fin

 




読了ありがとうございます。よろしければ評価等して頂ければ嬉しいです。

【連載版を読んで下さっている方へ】今回初めて三人称視点で書きましたが、読みやすさについてご意見お伺いします。

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