カフェテリア
ウィーン、ウィーン。 腹筋が六つに割れた
左右の後頭部にある長い耳を動かす180cm以上の
長身をほこる濃紺モビルスーツ的ナニか。
たぶん、これが匂坂郁紀
郁紀の身にふりかかった途方もない災い。
タンクローリーの横転事故。巻き込まれた
匂坂家の車は原形を留めていなかった。
郁紀の父母の遺体は、どちらかの判別さえ
難しい有様だった。
彼自身もまた、一時は生存を絶望視されていた。
彼が今こうして退院し、社会生活に
復帰しているのは奇跡以外の何物でもない。
体が『EX-ARM』というSF漫画に登場する
最新鋭SAクラス専用用ボディの“オーガ IGNIS=TYPE02EX”みたくなったことを除けば。
『今日モ診療ナンダ。モウ時間ダカラ
行クヨ』瑶は診療というよりメンテナンスだと
考えている。この人型ロボット──カクカクな
動きする相手が、一週間前に告白した郁紀なのか。
もはやそれすらも親友の
彼女である
彼女の想いも含めて迷走したまま、冬を
迎えようとしている。
郁紀が肩車する少女との関係について
触れるべきか迷いながら。
病院
T大医学部に勤務する丹保凉子医師は
変わった患者、匂坂郁紀と背後で
サンバを踊る少女も巻き込み問診していく。
凉子:貴女はなぜ踊り続けているの?
コゼット:雨を浄化してる。
丹保先生ならわかるでしょ。あのネバネバした
絵の具みたいな青い雨。あれに触れたり
うっかり取り込んだら……
凉子:君には
外で降り注ぐ雨が。
郁紀:僕もうっすら、そう見えます。
何なんですかアレは。
凉子:恐怖失い、究極の恐怖を求めて
無表情かつ眼孔全開で
おこなう“時計仕掛けのオレンジ”主人公、
アレックスみたくなる症候群を媒介する雨──
としか表現しようがない。
コゼット:恐怖依存症は
『ドラゴン・ヘッド』後半に出てくる
“恐怖を取り除く成分”含む
非常食を喰った生存者のほうが近いかもね。
ちなみに郁紀の生肉まみれた世界の元は、
搬送されたときにやられたマイクロマシン
硬膜下血腫の除去が原因だよ。
郁紀:そうなのか。
凉子:さらっと、とんでもない事実を……
匂坂くん、今の本当か。
郁紀:はい。彼女から渡された
謎の錠剤を服用してからマシにはなりましたが、
意識を取り戻した一週間前から
ぎょろり、と頭頂部にある孔がグチャグチャと蠢き、
吐き気を催すような臭気と言葉めいた異音を同時に
吐き出す声で語りかけてくる血走った
目玉の肉塊に見えてました。
さらに病院の廊下は豚の臓物をぶちまけて
四方を塗りたくったかのような光景に──
凉子:それはすまない。君を
孤独のなかで置き去りにして……
コゼット:謝ってもすみませんよ。
この雨とマイクロマシンの関連性。ミイラ化した
奥涯雅彦教授、どれか知ってることありますか。
凉子:私の口から答えられるとでも?
コゼット:いや、思いません。
ただボクらと同じく
ついて調査してるのはわかりました。
凉子:宇宙の外側に潜む連中……
君はどこまで認知している。
コゼット:その件も含め、
奥涯教授のミイラ化してる場所で詳しく話します。
加速度的に狂気と文章(コピペしてない部分)の
クソさが際立ってます。