直接的かつ下品な表現のお好きな方、どぞー。
「あ、川上さん、ちょっといいかな。」
朝のミーティング後、昨日の仕事のまとめ作業を完了させ、誰もいない喫煙室でフレーバーミストの煙をふうと吐き出したわたしに声をかけたのは、第二課のごく普通の人、沢田さんじゃありませんか。
「ハイ、何でしょうか。」
今日の納品の遅れについての確認かな?
ウルトラミントの心地よいフレーバーをひと吸いして、返事を待つ・・・
「沢田さんが暴発したので全力でガン見します。」
ぶは、っご、ごほっ・・・!!!
ミントのミストが、鼻と口と耳と目頭から一気に出たわっ!!!
「えと、沢田さん…?」
「フツ面男子の極振りスキルは絶倫でした。」
「転生したのでちんちん育てて巨根目指します。」
「いろはにほへと、ちんヌル男。」
ごくごく普通の人は、指折り、指折り、怪しげな言葉を吐く。
「あ、あは、は、何ですか、それ、セクハラですよ!!」
乾いた笑いしか出ない。でもがんばって、会話をつなぐ。だんまりは危険だ!!!
「川上さん、【マジエロス】でしょう。白状しなさい。」
「ちょっと何言ってんだかわかんないです。」
「おつかれーっす!!あれ、沢田さん、タバコ吸うようになったの?」
絶妙のタイミングで部長が乱入してキタ――(゜∀゜)――!!!!
天の助け、これは午後のおやつの時のお茶は、いいお茶っ葉を使って差し上げねばなりません!!!
「いえ、ちょっと川上さんに用事があったので、のぞいただけです。」
「じゃ、わたしはこれで。」
フレーバーミストをポーチにしまいこむと、そそくさとわたしは退散した。
背中でなにやら言っている声が聞こえるような気がするが、聞こえない、聞こえない、わたしの耳は、パンの耳。
あ、今日のお昼は焼きたてパンにしよう!
……………………
わたし、
八時出勤、五時退社。彼氏はいなくて、一人暮らし。
砂を噛むような生活をしてそうだとのことで、砂噛み女子として名を馳せている。
ええ、そうですね、毎日真面目に会社に行って、仕事して、まっすぐ家に帰って、お風呂入って寝る。
派手に遊びまわることもしなければ、飲み会も最低限しか出ない。はた目には、味気ないつまんない生活送ってそうに見えるでしょう!見えるでしょう!!!
何をおっしゃるうさぎさん。
めっちゃ充実してますけど!!!
社内ではいつも、へらへらとなんとなく怪しげな微笑みを浮かべて、もめ事を軽くスルー。
誰とも揉めたりしない、人当たりはまあいい方の、人畜無害で通ってる、川上さんの頭の中は妄想だらけなんですよっ!!
朝IDカードを差し込むところから、私の妄想ライフは始まる。
『くッ!!一思いに、刺せ、差し込めよっ!!!奥までだっ!!!』
ピッ!
『!!!いい…カード、だった、ぜ…また、明日も、頼む、ぜ…はあ、はあ…』
ピーとエラー音が出ようもんなら、
『今日のお前、差し込みが甘いぜ…?これじゃ、イカせてやれんなぁ…』
日々違うバージョンで、入社チェックの砦を、いかがわしくコーディネートしておりますが何か問題でも。妄想百戦錬磨の私の前で、機械だとか建物だとか、そんなちんけな現実は通用しません。
どこのどなたでも、確実にエロ
もちろん、社内のヒューマンはすべて攻略済み。
女子男子若年老年を問わず、まんべんなく妄想化しております、はい。
性愛ならば、すべて受け入れておりますとも。
ハーレクインも、TLも、BLも、TSも、オメガバースも、なんでもよろしくてよ!!!
雑食暴食エロマスターを自負しております、バッチコーイ!!
ぶっちゃけ、汁が出たらなんでもエロい!あ、出なくてもいけるか!!わたしの妄想は、底がなく、器がでかい。
そんなわたしの、最近のひそかな楽しみ。
それはですね、小説投稿、なんですよ!!
ちょっと前にあった新入社員歓迎飲み会で、たまたま隣に着席した沢田さんが、小説家希望だって聞いたときから、始まったんですよ、
小説書いて発表できるサイトに登録してるから、よかったら見てねって言われたんですよ!
文字を読むのは、子供のころから大好きで、学生時代、毎週図書館に通っては手あたり次第に読んでたんだよね。
児童文学よりはティーン小説だとか、小説がいっぱい載ってる雑誌が好きで、ちょっと辛口のSF短編なんかドはまりして…。
アルバイトを始めたころくらいから、文字に触れる時間が格段に減って、妄想の世界の扉が開いたんだけど。
5年くらい前?かな?
最近流行りの転生もの小説に出会って、ハマって、ネット小説サイトの虜になりましたー(≧▽≦)/ヒャッホウ!
全年齢版も、成人向けも、すべからくおいしく読ませていただいておりますとも!!!
今ではめっちゃコアなユーザーになっちゃいましたーテヘ。
そんなわけで、沢田さんの登録してる投稿サイト、めっちゃ見てました。
沢田さんのPN、秒でお気に入り登録して、完全読破したよ!!
まじめな純文学だったんだけど、エロ小説の閲覧記録に挟まれちゃっててなんかこう、申し訳ない感が半端ない。
感想もしっかり送ったし、新作も楽しみにしてたりする。
で。
ずっと読み専だったんだけど、身近な人が小説書いてるって知って、なんか、自分の中の常識?思い込み?そういうのが、ぱぁっって拡散したんだよね。
え、わたしも、書いて、いいんじゃね?
妄想をためにため込んだわたしの暴走は、衰えることを知らなかったのであります。全っ然ネタ切れする気配すらないんですがーッ!!
毎日、毎日、妄想小説を書いて、投稿し続け、早半年。
わたしに小説を書くきっかけをくれた大恩人沢田さんは、妄想に出てくるキャラとしては抜群の出現率を誇る。
ごく普通の人。クセもない。
だからこそ食が進むといいますか。ああ、筆の間違いですね、食いすぎちゃったから間違えちゃった。
次から次へと、いかがわしいシチュエーションが沸いて出てですね、もうそれこそ琵琶湖並みに溜まっちゃってですね。8本くらいは沢田さんで書いたという、この事実。見つかっちゃったのは、まだ半分!!
しかしここにきてですよ。
大喜びで妄想の道を突き進むわたしの前に、
人畜無害だしと高を括ってたら、
純文学の期待の星、
やべえ、どうしよう。
ネットにどっぷり浸かっているわたしの脳内言葉遣いは、実に荒い。
現実では、お淑やかに、慎ましく、大和撫子を装っているんですけれどもね。
ここは脳内妄想会議だ!!
『もう認めちゃえよ!!』
『いやそれはキケンだ、どう転ぶかわからない。』
『いきなり監禁されるかもしれん!!』
『普通を装って究極の性癖の持ち主やも知れぬ。』
『絶倫で三日間つながりっぱなしとか勘弁!』
『逆にこっちが監禁して強制尿道オナニーで開発しちゃおうぜ!』
『いいねえ~』
だめだこりゃ。
脳内会議はエロ妄想化が激しくて話にならん!!
焼き立てパンを食堂で一人、もしゃもしゃと食べながら策を練っていたら、斜め前方から沢田さんがやってきた。ほうほう、あなたは社食にしたんですね、海鮮あんかけ定食ですね、ピチピチの海鮮に熱い思いのたけをたっぷりかけて、くたっとなってる海鮮の皆さんを、お口いっぱいに頬張って…
「ここいいですか。」
「どうぞ。」
大丈夫。脳内妄想は一滴も漏れ出してなどいない。
にこやかにお返事させていただく。
「有給申請用紙が残り一枚になってたんで、あとでコピーお願いしてもいいですか?」
「了解しました。」
あ、なんだ、普通に会話できる。
さっきのやり取りは幻だったのね、よかったよかった。
「今日終業後、ちょっとお茶しませんか?」
「…はい?」
残念ながら現実だった模様です。
「断りませんよね。というか、断らせませんよ?」
「…。」
ちょっと待て、貴方、ごく普通の人でしょう…。
なんでこんなに眼光鋭い感じで人の目を射抜きますか。
昨日、専務の枯チンで子種タンク空になるまでイカされ続けて半死半生だったくせに!!
もしや!先週、エロフの逆ハーで強制勃起させられて種付けマシンとして開花して神にまで成り上がったせい?
くそう、こんなに偉そうな感じになるならもっと調教しとけばよかった!!
やばい、妄想が通常の現実思考に干渉し始めている!!
なんて返事したら良いのでしょうか、答え、答えを、エロ神様、プリーーーズ!!!
~エロの申し子、川上葉月よ…腹を、腹をくくるのです~
わたしの中に、たしかに存在するであろうエロ神様が、お言葉をくださった。たぶん。
「じゃあ、五時半に、駅前のパンダ珈琲で。」
「わかりました。」
腹をくくったわたしは、普通に了承した。
沢田さんはいつの間にやらあんかけ定食をきれいに平らげ、さっそうと食器返却口へ消えていった。
わたしも一つだけ残っていたミニクロワッサンをポイと口の中に入れ、食堂を後にした。
……………………
五時の終業後、さっさと着替えを済ませてパンダ珈琲に入ったわたしは、優雅にお茶を飲んでいた。
さて、どう攻めるかな。
攻めた方がいいのかな。
沢田さんは受けだもんなあ。
でも狂人化して無双した時はすごかったからなあ。
基本、わたしは常にエロ発想に基づき、妄想をしている。
まあ、なるようにしかならないよね、はづタン、ガンバ!
「お待たせしました。」
普通の人、キター!
「いえ。」
沢田さんはレモンスカッシュを注文している。
ああ、この人コーヒー苦手なんだよね。
いつもおやつの時間の飲み物に困るんだよねえ。
緑茶、ほうじ茶、麦茶、ハーブティ、そりゃもう色々出しましたとも。
「それで、確認なんですけども。」
レモンスカッシュを一口飲んで、ごく普通の人、切り出してキター!
「…書いてるんですよね?」
あ、そっか、公の場で、「マジエロス」発言はまずいか。
「何をですか?」
せっかくだからじらしプレイ突入だ!!
「っ!喫煙室で話したやつですよ!。」
「何か話しましたか?覚えてないんですけど!」
煽りプレイも追加ー!
「…僕のこと、モデルにしたの、なんでなんですか…?」
喫煙室での会話のことはしらを切りとおすに違いないと踏んだのか、別の方向で攻めてキター!
「…。」
「無言ですか…。僕、自分がおもちゃにされてるみたいで悲しかった、です…。」
「おもちゃになんか、して、いません。」
まあ、これくらいで、認めてやるか。
潔さとノリの良さがわたしのチャームポイントなのだ!
「!でも、あんな状況を、僕が、甘んじて受け入れるとか…」
「逆です。むしろ、沢田さんを素晴らしい魅力あふれる人だと認識しているからこそなんです!」
そう、貴方は無尽蔵にあふれ出すわたしの煩悩を満たせる、数少ないオールマイティーキャラとして唯一無二の存在なのです!!!
「!!!魅力的…?」
「ギャップ萌えです。」
「川上さんは、魅力的だと思う人に対して、あそこまで攻撃的な表現をするんですか!!!」
攻撃的ってどのことを言ってるんだろう?
ちんこもぐもぐ?ちんこびしびし?ちんこごしごし?ちんこびくんびくん?
聖穴開通?拡張工事?完全封鎖?強制妊娠?公開出産?異種間性交…いったいどれなんだ。
あー、もう、めんどくさい。
「ちょっとぐらいちんちん貸してもらってもいいじゃないですか…。」
カフェの前の席の人(落ち着いたオジサマ風)がびくっと肩をすくめる。
隣の席の女子は、手が滑ってメープルシロップと生クリームの揺蕩うお皿のすぐ横に、スマホを落下させている。
「ちょ…っ!!ななナニ言ってんの!!…あかん!!これあかんやつや!!」
普段の普通の人っぷりからは信じられないくらい焦っている様子の沢田さんは、頭を抱えている。
なにその関西弁、なかなかに似合ってなくて…ぷっ…くくく…っ!!
妄想が湧き出してくるじゃありませんか!!!
よし、新ネタゲットだぜ!!!
「そうだ、カラオケ、カラオケ行きましょう!!あそこなら何話しても外に被害が及ぶことはないですから!!」
沢田さんはグイっとレモンスカッシュを飲み干し、私の手をつかんで席を立った。
……………………
お会計を済ませて、わたしと沢田さんは三軒隣のカラオケボックスに移動した。
お茶代はごちそうしてもらってしまった。今度エロい社食、おごってあげないと。
「ここなら遠慮なく、お話しできますね!!!」
心なしか、力強い口調のご様子ですが、気のせいでしょうか。
「川上さん、あなたはね、僕の純情を踏みにじったんですよ、わかってます?」
「踏みにじってなんかいませんよ。」
そう、踏みにじるなんてとんでもない!
「沢田さんがいなければ、この素晴らしき妄想の世界は、世に放たれなかったのです。」
「解き放たれてはだめな世界なんじゃないんですか!!!」
いやいや、これでもブクマ、結構いただいてるんですよ!!
「感謝の念しかございません、ありがとうございます!!」
「こっちは嫌悪感が半端ないんですけど!!!」
あ、何気にひどいこと言う。
「同じ文字書き同士、分かり合える部分もあるでしょう?文字がね、浮かんでくるんですよ、書いてくれって。素晴らしいシチュエーションが浮かんできたら、文字化するのが文字書きの宿命です!!」
思わず語ってしまいました、てへー。
「…何が砂噛み女子だ!!めっちゃ充実した妄想炸裂生活してるんじゃん!!!」
あんただって人のこと砂噛み認定したりしてひどいやつだな!!
「読んだんですね、読みましたね…?どれ読みました?」
充実した妄想生活と断定してくるあたり、毎日更新があるのをチェックされてるに違いない。
「全部だよっ!!!あんたが初投稿した日から昨日まで、投稿したやつ全部見たんだよっ!!!」
「うわぁ・・・ありがとうございます~!!」
地味にうれしくなって、破顔した。
「ッ良い笑顔しないでください!!あんたね、俺のイメージを穢したんですよ、わかってます?!どうしてくれるんです!!!どう責任取ってくれるんですかっ!!!」
人畜無害のごく普通の人沢田さんが、わたしを脅迫する日がこようとは。
怒りのあまり、敬語とタメ口が使い分けできなくなっててウケる。
ヤバイ、このままでは逆切れした普通の人が狂人化して無双パターンに突入?
毎日、無難に微笑んで大丈夫ですよって言ってくれる、フォロー上手な、ごく普通の人は…この世から異世界へと転移してしまったに違いない!!!
「わたしの知ってる沢田さんは自分の事、俺なんていったりしないもん!!」
完全にパニクった私は、脳内妄想と現実の境目が分からなくなった。
「わーん!!!このまま奴隷契約結んで朝まで輪姦パーティーですか!!まんこが擦り切れるまでちんちん擦りまくりですか!!裂けた膣から流れ出る鮮血を潤滑油代わりに更なるザーメン祭りですか!!ポルチオ突破で子宮内直接射精連発でボテバラですか!!でもでも、最後は愛を確かめ合ってだいしゅきホールドで失神させちゃったり?フフフ…」
「…ちょっとこの人何言ってんの…?」
完全ドン引き状態の沢田さんが半笑いでこちらをうかがっている。
「たぶん、今後のわたしの身に降りかかるであろう危険についての考察です。」
「頭おかしい、腐りきってる、膿んでるよ!!!ちょっと!!誰かー!!!抗生物質持ってきてー!!!」
両手でメガホンを作って、入り口ドアに向かって雄たけびをあげる沢田さんに、心から萌えた。
「…もうこうなったらあんたに現実を見せつけてやる!!ちょっと付き合え!!!」
「やーん、強引なのがお好きなんですね、わかります。」
「黙ってついて来い!!!」
……………………
沢田さんは普段の温厚っぷりが嘘のように荒々しくわたしの手を取り、駅前のラブホテルに連れ込んだ。
「もしや、貞操の危機ってやつですか、うーん、困りましたね…ふふふ」
「全然困ってねえじゃねーかっ!!!」
やばい、おもしろさが危機感を上回っている。
「純文学の道を志す俺の清らかな心に、おかしな妄想の世界観を植え付けた罪は重い!!」
沢田さんはもっともらしいことを言って、上着を脱ぎ棄て、ベッドに座った。
わたしもその横に腰を下ろす。
おかしいな、全然甘い空気が流れてこない。
「心が震えるような感動作品を書こうと意気込んだ俺のこの熱い魂のやり場のなさっ…どうしてくれよう…!!」
「性感帯が震えあがるような官能作品に出会えたんだからいいじゃん…。」
「馬鹿ッ!!なんてこと言ってくれるんだ!!俺の純真を返せっ!!!」
「純真って…そんな年でもないでしょ…。」
「俺はまだ25だぞ!!!うら若き好青年に腐った煩悩の闇を見せた罪はでかい!!!」
「え。そんなに若かったんだ、そりゃ、ごめん。でもまあ、別に童貞ってわけでもないんでしょ?」
「…。」
なんで無言になる!!
え、そうなの?
…またネタ、湧いちゃうじゃん!!!ヒャッホウ!!!
ほほの緩んだ私を見て、すかさず沢田さんが突っ込む。
「また!!いま!!いかがわしい妄想を繰り広げたな!!!」
あ、バレてるwww
「そんな失礼なあんたに、今から、現実を見せてやる!!」
大きめのモニターの電源を入れ画面いっぱいにアダルト動画が映し出された。
≪あぁあああん、ッはあああー、イッちゃうよぅ、イッちゃうよう、イク、イクっ!!≫
ド定番の、演技先行ロリボイスが響き渡る。
あ、この娘、ハーフハイジニーナだ。わたしとおそろい、おそろい。
妄想癖が根付いているので、現実の映像では、ピクリとも動揺しない自分がここにいる。
「現実の!25歳の、リアルなオナニーを見ろ!!!」
少しも躊躇することなく、沢田さんはズボンを下ろし、ちんちんを露出した。
アダルト動画の画面を見ながら、リズミカルに気持ちのよいであろう所を刺激している。
ふーん、こんな感じでオナるんだ、普通だなあ…。
ごく普通の沢田さんは、オナニーも普通だった。
ひとしきりシコシコやって、育て上げたペニスから、やっと、うっ…と一言呟いて、出たのは一滴。
たらっと、申し訳程度に、スプーンいっぱいくらい。
「…ええ~…。」
これが、性愛の果てに限界まで溜め込んで、一気に放出された、欲望の極雫…?
明らかに落胆するわたしの様子を見て、沢田さんが汗ばんだ顔でにらみを利かせる。
やだ、これ、何のプレイ?
「あんた思いっきり失礼なこと考えてるだろ!!現実を見たかっ!!どうだっ!!」
こっちの世界の沢田さんは淡白すぎるー!!!
「あたり一面、白い沼に変えるくらい放出していいはずなのにー!!!」
あ、しまった、心の中のつぶやきが、駄々洩れだった。
「そんな人間おらんわっ!!!」
手早く処理をし、手を洗って身なりを整えつつ、しっかり突っ込んでくる。
「頭ン中どうなってるわけ?!」
ボスンとベッドに腰かけ、テレビを消しながら淡泊な人が話しかけてきた。
「川上さんの頭の中は、官能成分が9割、残りは優しさで占められています。」
「やさしさのかけらも見当たらないんですけど!!むしろひどい!!俺めっちゃ穢されてるし!!!」
「わたしのやさしさ…それは、いかなる性癖も、広い心で認め、受け入れ、表現し、昇華するところにあります。」
そう、例えば糞尿塗りたくりスペルマ和えだの、拡張系のなれの果てだの、枯れ切った体に再び潤いを与えるだの…。
「ねえねえ、ちんちんの中にちんこ入れちゃう動画って見たことある?」
ちなみにわたしの中では、ペニス≧陰茎>おちんぽ>ちんちん>ちんこの表現規定が固定されております。
「ねえよっ!!!なんでそんなキワモノばっかり…。」
洗いたての手のひらで顔を覆った沢田さんに、そっと寄り添い…。
「見せてあげる!!これこれ!!」
秒でスマホを奪われた。動画画面が消された。
くっ!ここは唇を奪うとこなんじゃないんですかっ!!
…ないですね、はい。
休憩時間はまだ一時間ほど残っている。
わたしたちは、かぶっていた猫をすべて脱ぎ、本能のまま本音を語り合う事になった。
わたしたちは今、会社の同僚ではない。
文字書きの、同志だ!!ただしまじめなのと、エロいの。
「そもそも、何がきっかけでマジエロスを見つけたの?」
「どうあがいてもエロくならない極上ボディのエロフを何とかしてください」
どうにかしてエロい展開にもっていきたい主人公が、すべて軽くスルーされてしまうコメディだ。
ああ、ヘタレ(沢田さん)に、エロいシチュエーションてんこ盛りにしたところでぜんぜん手が出せなかろうと考えてノリノリで書いた短編だ。あまりにもヘタレすぎて、全然エロくならないので全年齢版に載せたら、運営さんからギリアウトですとか言われて三日で成人向けページに転載になったんだよ。
…あの三日間で、見つかったのかっ!!
「アレは、地味に、めっちゃ、おもしろかったんだよ…。」
なんと、感想も送ってくれていた模様。全然気が付かなかった。
続編が読みたいと思ったけど、いつまでたってもド変態ワールド炸裂で、新作ばかり投稿しているマジエロスに怒りを覚えたそうだ。で、片っ端から作品を読んで、自分がモデルなんじゃね?と思うことが頻発し、いてもたってもいられず、登場人物から推理し、わたしを割り出したと。
しまった、砂噛み女のワードがヒントになってたー。
「地味なくせに性欲に貪欲で、一生懸命頑張る主人公が本当にいとおしくてさ。」
「ああ、あれ、沢田さんがモデル…「はぁ!?あれもかっ!!!そんなに俺はっ!!!ヘタレなのかっ!!イメージ!!俺の、イメージっ!!!はッ!!…もしかしてあれもっ!俺がモデルとかっ…?!」」
なにやらぶつぶつ言っていた沢田さんが、立ち上がって、こちらを振り返り、わたしを鋭いまなざしで見つめる。
「わかった。きめた。」
いやな予感しかしない。
「ああ、そろそろお時間ですね、退室準備をせねば。」
動き出したわたしに、沢田さんが宣言した。
「あれだけの表現力と書字スピード、クオリティ、世界観の広さ!!あんたは、全年齢版を書け!!書くんだ!!書かせる事にする!!」
沢田さんに全バレしたので、腹をくくった結果…。
鬼のようなマネージャーがついてしまいました、というお話。