むかーし、むかーし。おとぎの世界で天明の大飢饉が起きました。
昼間であろうと暗闇は続く
屍が累々と横たわり、人などを殺して
肉を貪り食らう時代。
なぜ、生きるのか。
どうして争うのか。
各地に散らばる
わずかな希望を掲げ、ひたすら進み続ける。
「兄さま──」
「大丈夫だ。後で行くから、おまえは先に
「早くしろーっ!!!! 飢人どもが押し寄せてんだ!!」
「穂積」
「兄さま……」
赤い瞳を震わせるオレの妹(実質的に)
穂積を回転気球へのせ、飛び立つのを
見守った。だが、たまたま飛んできた砲弾が当たり
妹が乗る回転気球は炎をふきながら墜落した。
「穂積ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!!!!!!!!!!」
「ジョニー、逃げるぞ」
オレの友(ダチ)である金太郎に促され
情けなく妹の死に目すら、確認できず
爆撃が降りそそぐ最中で逃げちまった。
あれから……数ヶ月。
◆
「ガハハハハ」
オレは
「うげへへへへっ~」
二輪異馬鉄(ハーレーダビットソン)にまたがり
乾き切った道を突き進む。
オレの友、金太郎、子分二人のたご作とうお吉を
引き連れ今日も野営してる連中を襲った。
「ゲハハハハハ!!!!!!」
「何がおもしれぇんだ」
「誰だっ!?」
とりあえず発砲。両脇にぶら下げた
キンバー ゴールドコンバットIIが火を噴いたぜ。
「テメェら何人いやがる」
「数字の計算もできねーのかよ」
「二人」
「てめーの目は節穴か」
「三人」
「へへへっ、残念。四人いるぜ」
なんでヤケに格好つけてんだよ。
「うわっ……」
「今のなんだ?」
「アレか。しつこく追い回すからああしてやった」
猟師どもが言ってる『アレ』が何なのか
気になり、確認へ向かう。そこには晒し首のまま
呻いてる飢人が横へ並んでいた。
「こいつはヒデぇ……」弾のムダだとは思うが
居てもたっても居られず、黄泉の国へ送った。
「なんであんなマネしやがった~」
「だから、言ったろ。しつこいから
ああっしてやったって」
「そっか──」
オレは返事を返したヤツの頭を吹っ飛ばした。
そこから瞬く間に立ち上がろうとしやがるヤツを
金太郎たちが、蜂の巣に。オレは最後の一人の
後頭部を撃ち抜く。
「うるさいなぁ……」金太郎の背後から
幼い娘みたいな透明な声が聞こえ、愛用の
ナイツアーマライトLMG(軽機関銃)A1を向けた。
オレは度肝ぬき、腰を抜かす。穂積だ。
いやっ……ありえない。あんな燃えさかる
回転気球のなかで生きてる人間がいるわけっ
いやいやいやいやいやいやいやいや。
「オマエ、穂積か」意を決して少女に確認。
だが「えっ? 違うよ。あたしは“無名”だよ」
あっさり否定された。
ショックすぎるが……それよりも。
「あのとんがり頭のおにーちゃんアブナイ」
無名の言葉とともに、
「ギャー!!!!」
「うお吉!?」
子分のうお吉が銃弾が人間の体を切り裂く音と
いっしょに倒れた。クソ──
「ギャー」
「おい、たご作までやられちまった!」
まずいぞ、このままだとなぶり殺しにされちまう。
「~♪」
「おい! 無名!!」
もしかして目が見えてねーのか?
ケブラーヘルメット被った偽装用のドーランを
塗った顔、濃淡二色の灰色する迷彩服と
ボディアーマに
M4A1カービン〈Mk.18 Mod.0〉構える連中へ
近づいていく。困惑した表情うかべる
メリケン野郎の首を「GO TO HELL~」軽い口調で
大型マチェットを抜き、首を撥ね飛ばす。
バターを切るような滑らかさで刃を振り、
こちらへ来た部隊の半数を斬り捨てる。
「Fuck!」最後の一人はオレが射殺。
「あんがと」刃金から切刃がノコギリ状、
平と鎬に指入れ穴がある独特のマチェットを
杖代わりに歩いてきた。
オレが手をひきながら、思う。
コイツを安全な場所へ連れて行きたい。
数奇な縁だ。だからこそ、無名を護りたいと
そう決意を固めた。
一瞬で死ぬたご作とうお吉。