間が空いてすみません。
同人入稿による虚脱から、直後の気温上昇でバテてました。
――8日目:黒竜山脈、腐肉峡谷の温泉拠点
さんざんアレコレした風呂上り。
みんなで夕食を食べてるわけだけど。
「うまいのう! うまいのう!」
クラウディアがナイフみたいな爪に、ぷすぷす肉指して食ってる。
よく顔切らないなーって思って見てると、頬に明らかに刺さる力でも通ってない。傷もできない。本人の体にはダメージ通らないらしい。当人の体には無効化的なものがあるのか? 自傷無効だとしたら、あのスケルトンが脆いのに攻撃力は高そうだったのも納得なんだけど。
「あんまりバクバク食わないでほしいっす」
と、全員でクラウディアの不思議な食事を眺めていた中、ミナ様が冷たく言った。
「そうだな。あまり食うな、クラウディア」
「キミ、魔物の体だから食事不要だろうに」
そうそう。よく考えたら、魔物って食事しなくていいじゃん!
「あの城塞でメシが手に入るとは思えないっすからね」
「保存食もとっくに塵になっているだろうし、ワインも蒸発しきっているだろうな」
「せめて、補給の目途が立ってからにしてくださいよ」
「む。奴隷風情にはわかるまいが、これほど香辛料の効いた燻製肉、王族とてそうそう食えぬのだぞ!」
お前も奴隷じゃねーか。
「三百年前じゃ、香辛料の生産はまだほとんどなかったんだっけ。確かに、クラウディアにとって贅沢な食事なんだろうけどねぇ」
「だからって食い尽くされちゃ困るっすよ」
「狩りも困難な上に、調味料もほとんどないからな」
「うぐぐ、しかし、魔物の体とて味はわかるのだぞ! 一人だけ食わせぬなど酷いではないか!」
確かに保存食ってイメージしてたより、食えるものばっかだと思うけどさ。
水はシオン様が魔術で出せるけど、食料には限りがある。
ミナ様はそれなりの量を持ってきてるらしいし、シオン様といた連中……この体の元夫らの食料を回収してるとはいえ。追加を手に入れられる機会がいつになるかわからない以上、抑えてほしい。
食料不足になった時、食事を抜かれるのは間違いなく私なんだから。
「王女様の道楽のために、重い保存食持ってきてるわけじゃねーっすよ」
「食糧を出す術はボクも使えないしねぇ。塩なら必需品としてなんとかなるんだけど」
そういえば、この世界は普通にそれなりの料理なんだよな。
保存食ってもコショウっぽいの普通に使われてるし。ソーセージもいろいろ入ってる。
さすがに21世紀の日本に比べれば貧しいけど……食事が栄養補給作業って感じじゃない。それなりに味を工夫してるのはわかる。特にリアル中世について詳しいわけじゃないけど、コショウとかがやたら高かったってのはよく聞く話だ。
クラウディアがいた三百年前から、この世界の文化や技術はそれなりに発展してるってわけか。
うーん異世界転生モノだと、現代知識使って無双が定番らしいが……。
現代知識って言われてもな。
よく使われるらしい料理知識も、特にあるわけじゃない。
独身の男料理だから……味噌なしで味噌汁も豚汁も作れんし、ルーなしじゃカレーは作れん。インスタント以外のラーメンを自作したことなんてないし、お菓子作りもしたことない! 料理漫画を描いたこともない!
それに仮に作れても、この顔ぶれの中で扱いが変わると思えない。
とりあえず食糧を食い尽くされないよう、オヤツで気を引こう。
「じゃあ、私の分の干し果物を少しあげますから、こっちで今日は我慢してください」
「干し果物だと? 余は香辛料と肉を楽しんでおるのだぞ」
「シオン様にさっきのをハメてもらうよう、お願いしてもいいんですが」
「ちょ、ちょうど違う味を楽しみたかったところぞ!」
うーん、わかりやすい。
「その爪で取ると私がケガをしてしまいます、口を開けてくださいませ」
「うむ、くるしゅうないぞ!」
無防備に口開けやがって……ヒナ鳥か!
指先凶器がなければ別のものをぶちこんでやるところだけど、あの手で突き飛ばされたらズタズタになること間違いない。
素直で良い子なアルマちゃんは、黄色い干し果物をクラウディアの口に入れてやる。
南国フルーツなイメージなんだけど、この世界なぜか干しマンゴーがあるんだよな。
「いかがですか?」
「んむ……んむ……」
もっちゃもっちゃと、口いっぱいにほおばって食べてる。
目は真剣そのもの。
というか、この子と会ってから初めて見る真剣な目では?
「んむ……んっ……んむ……あま……あま……あみゃ……あみゃい」
ちょっ、大丈夫なのコレ?
目からハイライト消えてるよ!?
極限まで表情、ゆるんでるよ!?
ひらたく言ったらアヘ顔だよ!?
今まで、何の気なしに食べてたんだけど、実は変なクスリだったりしない!?
「三百年前って砂糖もなかったっすか?」
「なくはない……はずだけど、ほぼなかっただろうねぇ」
砂糖だよね。
うん、よかった。
あの果肉に浮かんでる白い粉がヤバイやつかと思った。
「あみゃぁぁぁぁぁ!!」
「変な声を出すな」
「魔物は甘いものに弱いんですか?」
「いや単にびっくりしてるだけさ。三百年もたてば世の中って、変わるからねぇ」
おおう……砂糖を初めて食べた人間って、こんな反応見せるのか。
「あみゃ……うみゃ……あみゃ……」
いや、普通はここまでいかないだろ。
ロリが言ったらかわいいかもしれんが、外見がエロ熟女サキュバスだとアヘってるようにしか見えん。
「……いや、やっぱりサキュバスは舌の感覚が普通と違うのかもしれないねぇ」
「確かに、チンポつっこまれてる時と同じ反応してるっす」
ほらね。
「アルマは特に舌で反応しないというのにな」
「そっすね。クリとか乳首とか奥とかの方が、反応するっす」
「なんで私まで飛び火するんですか!」
「貴様もその霊魂は魔物だろうが」
「やたら感じまくるのは魔物の特徴っぽいっすからね」
「うぐぐ」
初手でもっと恥じらい重視にして、アヘ顔は奥の手にすべきだったか……!
だってルーネ様のふたなりチンポ気持ちよかったし!
・
・
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そのまま夜にまたコトに及ぶ……わけじゃなく、今日はさすがにみんなお疲れで。
魔物のクラウディアを放置するのは危険だからと、交代で見張ることになり。
甲冑着てたルーネ様と、それなりに魔法使ったシオン様が先に寝たわけですが。
「魔物って寝ないんじゃありませんでしたっけ」
クラウディア、普通に寝てる。
寝てるっていうか、仮死状態かな。寝息とかないし。
ていうか当然みたいな顔して寝やがったぞ、こいつ。
ミナ様と二人じゃ、戦力的に不安だなぁとか思ってたのがバカみたいじゃねーか。
「起きてられるよりマシっすよ」
確かに。
起きてたら、すごいうるさそう。
というか。
「目が覚めたら三百年後で、家族は死んでて、知らない連中に捕まって犯されて。よくここまで悲観せずに、取り乱さず寝てられますね……」
「アルマちゃんも似たトコあるけど、方向性がぜんぜん違うっすからねぇ」
「えっ、私って本当にこれと似てるんですか」
ジョーク的なものじゃなかったの?
またアヘ顔が似てるって話?
「二人とも頭が悪くって、後先ぜんぜん考えてなくって、羞恥心皆無っすからねー」
「う……そ、それは確かに」
ひ、否定できねぇー!
二人して、騙されて奴隷になってるしな!
「けど、あの王女様は明日が今日よりよくなるって信じてて。生き延びたら、幸せになれるーって疑ってないっすよね」
「…………」
なんか表情がすっと落ちたのが自分でわかった。
何?
ミナ様、説教モードなん?
「アルマちゃんはそれがホントの顔っすよね。夢もキボーもない。欲しいものすらない。明日なんて来なければいいのにって顔」
「そうですね」
横に座ってたミナ様が、顔を覗き込んでくる。
なんか表情が落っこちたみたいに、戻ってこない。
もうちょっと愛想よくしたいのにな。
「フツーなら不貞腐れたり否定したりするのに、あっさり受け入れるっすねー。お嬢様と階段を飛び降りても、心境の変化とかなかったすか?」
「ないですよ」
「……それを意地張らず自然体で言えるのは、すごいって言えばすごいっすけどねー」
んー、と考え込むように俯いたミナ様が、いきなり振り向きざまに覆いかぶさってきた。
手にはいつの間にかナイフ。
首元に突きつけられてる。
うん。
予想外じゃないし。
今のミナ様は、あの怖い言い方もしてない。
ていうか、後頭部打たないように頭の下に手置いてくれてるし。
刃物持ってるけど、要は押し倒されただけだ。
わかってきたけど、ミナ様のこれは要するに壁ドンみたいな口説きプレイなんだよな。
「ナイフがなくても、本当に突然だったら悲鳴あげちゃいますよ」
「ありゃりゃ。読まれてたっすか」
「ミナ様が私のこと知ってるくらいには、私だってミナ様のこと知ってますよ」
「……へぇ、本当に?」
顔を近づけて、上から睨むようにしてくる。吐く息が絡まり合う距離。
けど、やっぱり。
いつもほど怖くない。
「はい。だってミナ様、得にならなかったら殺さないし……恨みを買うようなこともしないでしょ?」
「じゃ、あたしが欲しいモノって、わかるっすか?」
「私の体ですよね?」
「正解ー。けど、わかってるなら、あたしの気持ちも考えてほしーっす」
「?」
なんか問題あるのかな。
「アルマちゃんはすげー声だすし、信じらんないくらいイキまくるし、なんか触るといつも濡れてて、女同士でも喜んで股ひらく淫乱で、バカなのに貴族っぽくて育ちよくて、いろいろ最高なんすけど」
「それって、褒めてるんですか」
「あたしには都合いいトコだから、誉め言葉っすよ」
「はぁ」
ホントかよ。
「だからこそ、そんな大好きなアルマちゃんの体を、アルマちゃん自身くだらないものみたく扱わないでほしーっす」
「そんなことないですよ。それなりに気に入ってますし」
「だったら、あのバカほどじゃなくても……プライドを持ってほしーっすけどね」
「はぁ」
プライドって言われてもなぁ。そういうのは自己愛強い人だけ持つもんじゃないかなぁ。持ってても自分が傷つく以外、なんの役に立つのかわからん。
「アルマちゃんってマンコに触っても抵抗しないし、キスしてもいやがるそぶりしないし、クンニだって喜んでするじゃないっすか。クンニの最中に小便しても、飲んじゃうし」
「はぁ」
理想の肉便器じゃん。
「最初の日はやたら怯えてたのに、最近は何しても悦ぶばっかしで」
「はぁ」
「もっと嫌がったり怯えてくれた方が興奮するっす」
「すごくどうでもいい話でしたね」
なんかいい話っぽい出だしだったけど、くっころプレイしたいだけじゃん。
え? この押し倒された状態で抵抗して見せろってこと?
さすがに、イメージプレイはちょっとなぁ。
演技力に自信ないし、急に始めてもしらけるだろ。
「わりと真剣に話したつもりっすけど……」
「いや、ナイフ押し付けたってダメですよ。この場でそんなことしても、ルーネ様にうるさいって怒られるだけですし」
せめて二人だけの時にしてほしい。
「今夜は随分と、かわいくねーっすねぇ」
そのまま、ナイフが鞘に戻される。
手元ぜんぜん見ずに、流れるように戻すところを見ると、ミナ様ふつーに戦闘強いんだろな。
ただ、まあ。
なんというか。
唇を尖らせた、不満げな顔を見せられると。
「でも、ミナ様はかわいいですね」
「……は?」
首すじのナイフもなくなったし。
下から軽く抱きしめて、頭を撫でる。
抵抗せず、ミナ様が顔をおっぱいに埋めてきた。
「ミナ様はかわいいですよ」
「…………」
おっぱいが熱い。
さすがに恋愛経験皆無の身でも、この反応はわかるぞ。
一時的とはいえ、ナデポに覚醒してるかもしれんな。
「かわいい、かわいい」
「…………」
「かわいいミナ様は、私に何したっていいんですよ」
「…………ん」
あ、顔上げた。
目はちょっと潤んでるけど、やっぱ性欲中心なんだな。
「じゃあ、さっきの温泉の続きっす」
「はい♡」
このあと、めちゃくちゃセックスした。
・
・
・
「あ、あの、交代を……」
「交代っすよ。あたしもそろそろ寝るっす」
さんざん、ミナ様とした後でルーネ様とシオン様を起こしたわけだけど。
「奴はずっと寝てたのか?」
「ぜんぜん起きねーっすよ」
「子供みたいな寝方してますよね」
徹夜明けでもないクセに、12時間くらい普通に寝そう。
「……明日は、クラウディアからいろいろ情報を聞き出すよ。遅くまで寝てもいいからね」
「さすがに寝すぎるつもりはねーっすよ」
「いや、アルマちゃんに言ってるんだよ」
「え? あの、私も寝たいんですけど……今もいろいろして疲れましたし……」
「眠れるなら眠ってもいいけどね」
「えっ? えっ?」
やだコワイ!
ミナ様と違って怖いよ、シオン様!
最初は普通にしてくれたし、あの魔物チンポも悪ふざけって感じだったのに!
NTR趣味が高じてヤバイ領域に入ってない!?
「とりあえず服脱いでくれないかな」
「あ、あの。ルーネ様」
「その気になったら混じってやるから、勝手にしていろ」
「み、ミナ様?」
「おやすみー」
うわあああ、助けてよおおおおお!
「やっぱり、またあの女の匂いばっかりつけて……」
「ちょ、シオン様脱ぎます! 脱ぎますから顔突っ込まないで!」
このあと、眠らせてって懇願しながら全身しゃぶり尽くされ、途中からルーネ様にも犯された……。
クラウディアは朝まで普通に寝てた……サキュバスなら二人の相手くらいしろよ!
アルマちゃんはマヨネーズの作り方も知りません。
さしてマヨラーじゃない人は、一人暮らしだとマヨネーズ買わないし……作者自身ググるまで、マヨネーズの材料と言えば卵と牛乳だろうとか思ってました。ドレッシングなら自作できるんすけどね……。アルマちゃんの料理知識は、グーグルなしの作者の知識に準拠します!
サキュバスについて詳細説明。
●高位魔物(魔物)
ほぼ全てが美しい女性の姿をしている。
高い知性を持っており、会話こそできないが狡猾な行動をとる上、平均的な魔術師以上の魔術行使が可能。
魔術によって下級魔物の作成もできるため、多数の魔物を率いる指揮官となる場合が多い。この「魔術によって短時間で魔物を作成できる」ことが、高位魔物に分類される基準である。
一体の高位魔物を放置すれば、膨大な魔物の軍団が生まれる場合も多い。
魔術で人間に変身し、都市に入り込む例も多い。これら高位魔物の潜入を避けるため、都市部では混雑時以外には面識のない者同士でも声掛けによる挨拶が一般化している。
たいていの魔物は精神衝動によって自滅的とも言える行動をとるが、高位魔物は自らの精神を凍結させて休眠状態に入る能力を持つ。
●サキュバス(魔物)
高位魔物の中では、最も出現例の多い存在。
美しい女性の姿をしているが、目立つ角、黒い眼球、尖った耳、異様な色彩の肌、尻尾、そして鋭いナイフ状の鉤爪と化した指を持つ。角や尻尾、体色は個体差が大きい。
魔術を使った長距離攻撃や妨害を得意とする。近距離でも素早い反応、高い耐久力を持ち、そのナイフ状の指は決して侮れぬ武器となる。もっとも甲冑に身を固めて接近できれば、十分に討伐可能。
個体によって傾向は異なるが、美しい男女を性的に貪る例が多々知られる。人家に忍び込んで襲った例もあり、俗に淫魔と称される原因でもある。襲われた人間が無事な場合もあれば、そのまま殺害される場合もあり、個体による性格差も大きい。