コレにて完結。
【前話のあらすじ】
アーミヤとドクターはセックスをした。
ぴちゅっ、くちゅっ、ぬむちゅっ……
軟体のなにかが股間を這いずり包み込むムズ痒い感触。
刺激に反応してドクターが閉じていた目を開ければ、長耳をぴょこぴょこと揺らしながら、ペニスを唇の奥へとゆったり咥え込むアーミヤの顔が最初に視界に入った。
「ふぁっ、どくふぁぁ、おふぁよぉございましゅ♡♡♡」
「いきなりフェラしながら喋ってんじゃねぇぞ……」
マズい。
ガッツリ寝落ちている間に、先手を奪われた。
吐精を促す激しい口淫ではなく、血流を増進しサオの硬度を高めることを目的としているのだろう、アーミヤはねっとり唾液を絡めて舌で撫で付けながら、やわやわと玉袋を揉みしだいてくる。彼女も半端に体が火照ったまま寝落ちていたし、この後は男に跨って搾り取る腹づもりだろうか。
「いや…待て待て待てっ…………いま、何時だっ?!」
ふと、気づく。窓から差し込む日差しが既に高い。
慌ててPRTSで確かめれば、現在は午後12時37分。
『正午までに2人揃って顔を出せ。たっぷり詳細を聞かせてもらうぞ』
ケルシーに求められた出頭時刻を大幅に過ぎていた。
「ヤ、ヤバイっ!! アーミヤ、終わりだ終わりっ!! チンポしゃぶってる場合じゃねえっ!!!!」
「ああ、ケルシー先生との約束の時間ですか、それならもう今更というか、先生の現在の位置情報からすると――」
ペニスをちゅるんと引き抜いた少女の唇が言葉を紡ぎ始めた、その時。
「ドクター、それにアーミヤ!!! 居るんだろう、開けろ!!!」
幹部向け私室の分厚いドアすらも貫き轟く、ケルシーの大音声。
「――すぐそこにいらっしゃいますね」
「なんてこった……」
そして、呆然とした隙を突かれた。
アーミヤはドクターの腕にインプラントされたPRTSデバイスに触れると、ロドス最上位者権限でその操作を奪い取り、ニューラルネット経由でドアのロックを開け、「先生、どうぞお入り下さい」ケルシーの入室を通話で促した。その決断的な行動は、止めるヒマなど無かった。
「まったく!! 君たちは!!! こんな時間までいったい、な、に、を…………」
たちまち駆け込んできたケルシーは、しかし室内の惨状を目にして絶句した。
空気を満たす生々しいまでの性の匂い、ベッドのシーツは乱れに乱れ、濡れに濡れ、行為の激しさを物語る……そして、未だ裸体で睦み合い男の股間に顔を埋め続ける少女の姿。
「何って、ナニをヤってんだよ……」
もう、どうにでもなれ。
諦念から、くだらぬ駄洒落が思わずドクターの口をつく。
完全にやられた。手遅れだ。何をするつもりか知らないが、ドクターがぐうすか寝ている間に、アーミヤは次の仕込みを終えていたようだ。それも今度はケルシーを巻き込む形で。
「何度連絡してもアーミヤの権限でふたりともの通話が拒絶されるし、いい加減…腹に据えかねて呼びに来たが……まさか、まだ真っ最中だったとはな……待っててやるから、とっとと服を着ろ………」
思わぬ光景に色を失ったケルシーは、顔を覆ってドクター達から目を逸らし、一時的に退室しようとしたが、その背中をアーミヤが呼び止める。
「待って下さい、ケルシー先生。今しか出来ないお話があるんです」
「今? この状況で? ふざけているのか、アーミヤ?」
「いいえ、本気です。たびたび医療部の複数のスタッフから私の方へクレームが入っています――発情期に入ったケルシー先生がイライラしすぎてて手に負えない、と。ふとした弾みに失言を漏らしたり、監視するかのように無意味にフロアをうろついたり、ご本人の決済書類なども集中を欠いてミスが多いと……先生のニオイからすると、今週もずっとそうでしたよね?」
アーミヤが鼻をぴくぴくと動かすジェスチャーをすると、ケルシーはあからさまに恥じ入った様子で目を伏せた。
「……それは、悪かった。正直、自覚もある……今後は
「許可できません。すでに健康を損ないかねない量を飲んでおられるのは調査済みです」
「しかし他に方法が……」
「いえ、確実な方法を用意しました」
そしてアーミヤはドクターの肩を背中側から抱いて無理やりケルシーの方へと振り向かせ、
「今、この場で、ドクターとケルシー先生がエッチしちゃえば良いんです」
そそり勃つ、ドクターのイチモツをシゴいて強調する。
ケルシーは唐突に視界に入ったチンポを食い入るように見つめて頬染め、やがて雑念を捨て去るかのように、ぶんぶんと頭を振るった。
「よかったぁ、ケルシー先生にも興味を持っていただけたようで。ドクターのちんちんおっきくさせて待ってたかいが有りました♡」
「お、大人をからかうなっ……!! それに、その男は、君のものだ、もう私のでは……」
「『もう私のでは』? なるほど、先ほどドクターにも確認を取りましたが、ケルシー先生の認識上でもお二人は過去にお付き合いされていたと言う事でよろしいですね?」
ケルシーはハッとなった様に口元を押さえてしばらく自身の失言を悔いていたが、やがてはほそぼそと言葉をつなぎ始める。
「ドクターとは付き合ってなど……いない。どうしようもなく性的衝動に耐えきれなくなった時、満たし合う……身体、だけの……だいたい、この男は、私以外とも、関係を……」
「ああ、やっぱり……3年前はおふたりの関係を知らなかったとは言え、先生からすれば私も結局はドクターをつまみ食いしてた女のひとりでしょうから、あんまり偉そうなことは言えませんが……
「なっ、ななななっ、何いきなり言い出すんだアーミヤっ?!! しねえよ? 浮気とかっ?!」
唐突に矛先を向けられたドクターの声が思わず裏返る。
記憶にないことで詰め寄られるとは余りに理不尽だが――胸中にじわりと広がる罪悪感。思わずアーミヤのリングを見るがアーツは働いていない。つまり、頭が覚えていなくとも、
「ええ、ドクターの性格上、恐らくご自身から手を出すことはないでしょうね……ですが、昨晩の私ぐらい切羽詰まってる女性が寝所に押しかけてきたら? 私と違って"子供だから"という縛りがない成人だったら? ……きっと
「い、いやっ、そんな、誰でもって事は、ないと、おもう、たぶん……」
みるみる語尾が薄れ、声が細くなっていくのを実感する。そんなモン断りきれる男などそうは居まいと思うが、それを正直に口に出すのは浮気性を認めるも同然だ。
「……それに昨晩のドクターは、明らかに
「ひとりひとり誠実に付き合った結果、身についた経験かもしれないだろ?!!」
過去の記憶はないが、状況証拠としては確かにそうなのだろう。
苦しい言い訳なのは解っているが、ココで言葉を止めては――
「……9人だ。知りうる限り、3年前のドクターは、私とアーミヤを含めて9人の
――だが、吐き捨てるようなケルシーの独白が決定打だった。
「痛いッ!! 痛いっ!! 急に背中ツネってんじゃねえぞアーミヤ!!!」
「交際人数は覚悟してましたが…流石に……男性とも関係してるのは完全に想定外でしたよ……?」
「それは今、僕が一番ショック受けてんだよ!! 男とか、えぇ…マジかよ……」
小なりとはいえ、アーミヤが感情に任せて他者に暴力を振るうのは結構な異常事態である。こりゃ相当キレてるなと言い訳の材料を探していると、ケルシーまでもがドクターに鋭い眼光を向けて牽制してくる。
「アーミヤの推測どおりだ……ドクターはな、最初こそ交尾の出し惜しみはするが、結局のところ求められたら誰だって
ケルシーはしばらく肩をいからせ震えていたが、記憶を言語化する過程で感情を整理したのだろう、その表情は過去を懐かしむ様ですらあった。だがアーミヤは自身の怒りと同調してくれない事に不服を覚えたか、トゲのある声で反論する。
「でも、私はドクターが不特定多数の相手と関係を持つのなんてイヤです。なぜなら私がイヤだからです」
「理由になってねえぞ……」
「昨晩は”賢しい”と何度も怒られましたので、子供らしく感情論でモノを言ったまでです」
「都合のいいときだけ子供ぶりやがって……」
ドクターとアーミヤ、ふたりの滑稽なやり取りを目にしたケルシーは軽く口元をほころばせかけたが……続くアーミヤのセリフがその表情をそのまま凍りつかせた。
「なので、私とケルシー先生、ふたりでドクターを独占しませんか?」
ドクターもまた、あまりの発言に動きを止める中、アーミヤだけが喋り続ける。
「私とケルシー先生、ふたりの管理者権限を合わせれば、ロドス本艦ほぼすべての場所に耳目が届きます。ドクターに言い寄る方が現れても、事前に察知することが可能になるでしょう。ロドス外部における作戦行動でも、私達のいずれかがドクターの傍らに付くことで、目を光らせることができるでしょう」
アーミヤの歯に衣着せぬ物言いに、ドクターは流石に口を差し挟む。
「人を勝手に景品扱いしてんじゃねぇよ……だいたい、昨日のアーミヤはケルシーへの対抗意識バリバリだっただろうが……」
「ええ、状況的に、先生が一番の恋のライバルであることに違いはありませんでしたから……ですが、あのとき私は『今夜ばかりは』と言いました。夜が明けたら協力を申し出るつもりがあったと言う事です」
しばらく自失していたケルシーだったが、ナメられていると感じたのだろう、やがては眉を吊り上げてアーミヤと視線を真っ直ぐに合わせ、アーミヤもまたそれを正面から堂々と受け止めた。
「『記憶を失ったドクター』と初めて寝たのは自分だという既成事実を作り、アドバンテージを得た上でなら、その交渉が可能になると思ったか? ……私もずいぶんと軽く見られたものだ」
「交渉に至る経緯はその通りです、不快を覚えたのなら謝罪します、申し訳有りません……ですが、ケルシー先生のことを軽んじてなどいません」
「なに?」
「3年前の私はケルシー先生から、ドクターをお借りしていた形になりますし、それが少なからず先生の心を乱していたのも確かでしょう……なので今回は、スタートラインを同じにした上で改めて、私と先生いずれかを選んで頂くというのはどうかと思って……」
「ドクターに群がる他の女どもを排除した上で、か」
「言葉を選ばず言うならそうなります……ロドスや龍門のような人種混合地域の
「ははっ! 長命種は貞操観念まで化石同然と思ったか!」
「いっ、いえっ、そういう意味では……」
「ははははっ!! いいや、あってるぞ、アーミヤ! 正解だから困ってる! 私だって、つがいの男はできれば独占したいし、それが無理なら契約下にある特定少数の関係に留めて欲しい! バースコントロールも大昔に比べればずいぶん容易になったが、だからって、コレと決めた男以外に私の身体を許してなるものか、ははははははははっ!!!」
ケルシーの呵呵と続いた大笑はやがて、くつくつと喉奥で響く卑屈な自嘲となり、遂には弱々しいため息となった。
「……はぁ、こんな小娘に腹の底まで見抜かれていたとはな……認めるよ、今の申し出に一瞬とはいえ心揺らいでしまったのも、ドクターに未練があるのも事実だからな……永く、ながく生きて、色々と擦り切れたつもりだったが……こんな所だけはいつまでも
「あの、でしたらケルシー先生……」
「いいや、断る……次にこんな事があったらとは心に決めていたんだ、今度こそ、今度こそ私は……卵巣を摘出する。それでこんな屈辱や茶番とも、もう永久におさらばだ」
「な、な、なに言い出すんですかぁっ! そんな事したら子供が産めなくなるばかりか、ホルモンバランスだってっ……!」
完全に想定外の答えだったのだろう、アーミヤは激しく狼狽しているが、その姿を眺めていると不思議とドクターの頭が冴えていく。
『次にこんな事があったら』
そうだ、前にもこんな事があった。
「……思い出した。ケルシーさァ、スケベの最中にテンパるといつも言い出すんだよ『もう卵巣摘出するーっ!』って。それで、なだめてすかして種付けしてやったら『せーし…中出し気持ちよかったぁ…幸せぇ……』ってスッゲぇエロい声でころっと満足して……あっ、あっ、あっ、悪かった! 悪かったって!! 泣くなって! だから泣くなってケルシーっ!!」
ぷるぷる、と。
唐突に過去の痴態をバラされたケルシーは、頭上の猫耳までが朱に染まるほどに赤面し、直立不動でぷるぷると震えていた。唇はだだをこねた幼女の様に引き結ばれ、目尻には大粒の涙が浮かんでぽろぽろと零れ落ち――だが、その瞳が徐々に殺気に満ちていく。
「わかった。もういい。ドクターも、アーミヤも、最初から共謀して私を貶めて、嘲笑うつもりだったんだな? きっとそうだな? そうに違いない」
ケルシーの声は恐ろしいほど冷え冷えと響き、その体表ではアーツ発動の前駆光が黄白色に輝き始めた。
「あっ、ヤバイっヤバイヤバイっ…………アーミヤっ! ちょっと耳貸せっ!!」
ドクターは兎の長耳をひっつかみ、耳孔にごにょごにょと指示を流し込む。
「……えっ、可哀想ですよ、そんなっ!」
「良いからやれ! ケツは持ってやる!」
ケルシーは虚空を仰いでぶつぶつと呟きつづけていたが、遂にドクターとアーミヤを三白眼になるまで見開いた瞳で睨みすえ、彼女の忠実なしもべを
「交渉は決裂だ。コレ以上は物理的な折檻と躾が必要とみなす……Mon3tr!!」
だが、静寂が。
静寂だけがしばらく続き、ケルシーの脊柱を断ち割り現れるはずだった使役獣はついにその姿を見せることもなく、
「……あっ? あっ、あ…あ゛あっ……なんだ、コレはっ……?」
ケルシーは頭を抱えてもがくと、そのままべシャリと体勢が崩れて両膝が、続けて尻が床へと落ちた。
「……ドクター、助言に感謝します。ケルシー先生の気位の高さを見誤っていました」
「はぁ~あ、結局は片棒担いじまった……なぁ、アーミヤさぁ…自分が今やってる事がハナっから外道働きだって自覚はあるんだな?」
「ええ、通常の倫理観からは外れた行いでしょうね……でも、荒療治ですが今の私とケルシー先生にとっては必要かと」
「……ったく、ロドスのトップ2人がそろいもそろってサカって使い物にならん状態だったとはな……まあいい、それが解ってんなら、そこに転がってる猫一匹、自分の手できっちりメスに堕としてココまでつれてこい」
「……わかりました、ドクター」
そしてアーミヤの起伏の小さい裸体がベッドから降りて、床でへたりこむケルシーへと近づいていく。
ぽたり、ぽたりと。
股から淫臭ただよう飛沫を垂れ落としつつ。
「……うあ゛っ…ぐうっ……何が、どうなって………でてこい、Mon3tr!!」
「結果としてこんな形になってしまって、ごめんなさい……あの、どんなに頑張っても今は
アーミヤは道化がおどけるように両手を広げ―― 十指に輝くリングを見せつける。
アーツが強制中断した反動もあり、身体の自由を失っていたケルシーはその輝きを苦悶の表情でただ見つめ、やがて瞳に理解の光が点った。
「ああ……まさかっ……!」
「ええ、先程から私の感情をケルシー先生の精神に移植しています、えっと、その……ドクターへの想いというか、愛情というか……」
「ぐ、うぅっ……な、なるほどな、コレが……雌コータスの性欲か! くは、っ……頭蓋に濡れ雑巾でも詰めこまれた気分…だっ……!」
「もぉ、せっかくボカしたのにっ……でも、普段のケルシー先生でしたら、こんな雑な精神攻撃なんなく防いでおられたでしょうね。発情期で集中を欠いておられる何よりの証拠かと」
「く、そっ……来るなっ…私に近寄るなっ……アーミヤぁっ……!」
「すみません、悪い子ですね、私、今……ゾクゾクしちゃってます♡」
淫臭の源であるアーミヤの裸体が一歩を踏み出し近寄るたびに、ケルシーの肉体はびくりと震えて汗がにじむと共に香ばしいフェロモンが発生し、その匂いが彼女自身を更に狂わせ発情を深めていく。
「えへへぇ……すっごく恥ずかしいんですけど、子宮に種付けしてもらったドクターのせーえきが逆流して、大変なことになっちゃってます♡ ほら、みてください、ケルシー先生……」
アーミヤが床に崩れ落ちたケルシーの前に立って見下ろし、行為の形跡が生々しく残ったワレメをまさぐれば、膣奥に閉じ込められていた大量の精液がボタボタと流れ落ち、今までとは比べ物にならない臭気があたりに広がった。
「発情期で、好きなヒトの事で頭が一杯で、そのヒトのせーえきのニオイまで嗅がされちゃったら……ふふっ、いくらケルシー先生でもこうなっちゃうんですねぇ……♡」
「やめろっ、アーミヤっ、そんなものっ、みせるなっ……」
アーミヤが膣口に指を挿し入れ、精液がたっぷりと絡んだ指先をケルシーの眼前でひらひらと振るうと、言葉とは裏腹に眼球が真剣なまでにその動きを追いかけ、鼻孔はすん、すん、と震えて性のニオイを肺の奥底にまで吸い込んでいた。
「はい、あ~んしてください♡」
「なにがっ、あ~んだっ……嫌だっ、やめろっ、たのむ、からぁっ……」
もはやケルシー自身の意志を無視して朱に染まった唇がぱっくりと開き、滑った舌がぞろりと伸びて口外へと突き出した。アーミヤの手から糸引き垂れた精液が1滴だけ舌粘膜に触れ――雌猫が堕ちる瞬間は、見惚れるほどに鮮やかだった。
「ああぁっ、うぁっ……♡ せーしっ…せーしがっ……おいしいっ……♡ くそっ、情けないっ、こんなものを旨いと感じてしまう、じぶんが、なさけないっ……」
瞳はぐるりと白目をむきかけ、はっ、はっ、はっ、と荒い呼吸を吐き出すその口元からはよだれが次々に垂れ落ち、ほぼほぼ理性を失ったケルシーが、もっと欲しいと白く汚れた指先に食らいつきかけた、その時――
「あげませんっ♡」
アーミヤは素早く指を引き戻すと、自分でパクっと咥えてこびり付いた粘液を舐め取った。見せつけるように唇から引き抜かれた唾液塗れの指からは、すでにリングの光が失せている。ここまで堕ちた雌猫に、もはやアーツを介した洗脳は不必要。
「うん、美味しいですっ♡」
「そ、そんなっ……」
「あれれぇ? そんなにガッカリしてどうしたんですかケルシー先生? 嫌だったんじゃないんですか?」
この世の終わりを迎えたかのごとく落胆していたケルシーだったが、ぐるぐると動いていた瞳がやがて地表に零れ落ちていた精液だまりを見つめ、やがて意を決したように這いつくばると、床に顔を近づけ舌を伸ばし――
「こらっ、床に落ちたもの食べちゃ駄目でしょう?」
アーミヤが白い猫耳をツンツンと引っ張ってそのまま顔を上に向かせると、二度もお預けを食らったケルシーは今にも泣き出しそうな声で、
「だ、だって……」
「だってじゃないです……せーえき欲しかったら、ちゃぁんとドクターにお願いして、おちんちんから直接飲ませてもらいましょうねぇ?」
「せーし、欲しいけどっ、ドクターはもうアーミヤのもの、だしっ……」
「……こんなになっても、まだそこ引っかかりますか、手強いですね……じゃあ、こう言う事にしましょう」
アーミヤは小さな子供に語りかけるように自らもかがみ込んでケルシーと目線を合わせると、不安げに揺れる猫耳へとそっと囁きかける。
「とりあえず、性的パートナーの共有ではなく、私からの貸与という形にしましょう。なので、いますぐ
理性と獣欲の間を往復しながらケルシーの表情が様々な感情に揺らめき、やがてどこかで折り合いをつけたか、ブレていた瞳の焦点が定まった。
「は、は、は、は……まいった、降伏だ……私の唯一の上役が言うことだ、聞くしか無いな……」
欲望や感情を押し付けて駄目なら、知性に訴えかけてもっともらしい理由を作ってやる。適切とは言えないが、我慢を重ねて迷走していたケルシーの思考にバイパスを通すにはそれで十分だった。
「じゃあ、行きましょうか」
アーミヤが手を取ると、ケルシーは無言で頷き立ち上がり、床にはねっとりとした愛液の小さな水溜りが残された。ケルシーのふらつく身体をアーミヤは支えつつ歩み、遂には熱っぽく仕上がった雌猫の肢体をドクターの前に差し出した。
「おまたせしましたドクター。では、こわーいこわーいロドスの黒幕さんが、かわいいかわいい
「ホンっと、アーミヤは欲望に忠実だよな……
「でしたら、端末お借りできます? 可能な限りおふたりの分まで仕事を進めておきますので」
「ああ、悪いな、頼む……って、そのまま座るな!! ああもう椅子まで汚しやがってっ……」
「とっくにドロドロですよ。昨晩はこの上で
アーミヤがデスクへ向かい、一人残されたケルシーはしばらく居心地悪そうに立ちすくんでいたが、やがて自らドクターの膝上に腰掛け、ゆったりと身体を預けた。既にぐっしょりと濡れた下着が男の太ももへ張り付き、粘りつく。
「……勘違いするな。こんなのは発情期の気の迷いだ……
「それも毎回言ってたよな、ケルシー」
「君こそ変わらん。なんにも変わらん。どうせ今回もまた悪役を引き受けて、何もかも引っ被るつもりだろう」
「知らんな……まあ、舌出せケルシー。ベロチュー大好きだったろ?」
罵り合いながらも、磁石の異極が結びつくようにドクターとケルシーは激しく口づける。もとより肩口の大きく開いたケルシーのワンピースは、その
キーボードを高速でぶっ叩いていたアーミヤは、その光景を横目で見やりながら満足げに、言う。
「よかった。私、おふたりには仲良くして欲しいなって、ずっと思ってたんです」