※この作品はR-18です。

黒の少年と白の少女   作:ムマ・N

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初めましての方は初めまして。
いつも見てくれてる方はありがとうございます。
ムマ・Nです。
色々触発されたため昔書いた奴を掘り出してきて少し今風に手直ししました。
これはプロローグですが、多分続きは投稿しないんじゃないかな?
一応続きもありますが、プロット見たら大分無理がある内容だったので。
R18ですが、エロシーンはそんな長くないです。
それと独自設定や独自解釈があります。
それでも宜しければどうぞ。


黒と白の出会い

「っ……」

 

それはただの散歩であったはずだった。

夜行性である猫の特徴による何となく実行した散歩。

遠野の家を出て適当に街中を散策し帰ってくる。

ただそれだけの散歩のはずだったのだ。

だが今、黒猫は何者かに追われていた。

見た目には普通の人間とは変わらない連中。

だが見た目にはただの黒猫である自分を目に付け執拗に追ってきている時点で普通の存在とは言えなかった。

 

「ガァァァァ!!」

 

しかも人間のような連中は獣のような叫び声を上げ四つん這いになり追いかけてくる。

そのスピードは速く、黒猫が普通の人間では普通通れないような道を使っているから逃げられているようなものだった。

 

「…………」

 

何度目か分からない連中の追撃を壁の隙間から逃げることで退けた黒猫は小さく息を吐いた。

獣のような行動とは違い連中の頭は意外にも良い。

黒猫が上手く大きな通りに逃げ出そうとすると、そこにも既に連中がおり、この路地裏から黒猫を出さないように上手く立ち回ってきているのである。

そのせいかもう黒猫は、もう長い間この追いかけっこをやらされていた。

 

「ガァ!」

 

「っ!」

 

まただ。

少ししか息を付く暇もなく黒猫は連中に補足されていた。

またも黒猫は仕方なく走り出す。

だがこれは先ほどから繰り返していることで解決策には繋がっていなかった。

上手く路地から抜け出すか、こいつらを倒さないことには状況を打開出来ないのだ。

しかし先ほどのように待ち伏せされていては路地から抜け出すのは困難である。

だが、だからと言ってこの無数にいると思われる連中を一人で倒すのも無理があった。

 

「っ……」

 

何とかまた隙間を使い逃げ切る。

だが黒猫の体にはだいぶ疲労が襲っていた。

包囲網を狭めるように逃げ切ってから補足されるまでの時間が短くなってきているのだ。

その疲労のためだろうか、黒猫が背後に現れた影に気付かなかったのは。

 

「!?」

 

急に持ち上げられた黒猫の体。

ギリギリまで気付かなかったことを悔いながらもその手から逃れるべく黒猫は暴れた。

だがその手は今までの連中の手ではなかった。

 

「ほら暴れるなって。 危ないぞ? 今この辺は変な連中がうろついてるからな」

 

「……!」

 

黒猫を持ち上げたのは先ほどの連中とは全く違う少年のものであった。

全身が真っ黒な変わった少年であった。

だが現在の状況を考えれば安心出来る状態ではなかった。

少年が敵でないにしても連中は確かにいる。

ならば一緒にいれば少年にも危害が及ぶのだ。

 

「だから暴れるなって。 俺と一緒にいれば大丈夫だから」

 

どうやら黒猫を普通の猫と勘違いしているようで少年は苦笑しながらも黒猫を離そうとはしなかった。

意思が伝わることもないので状況を知らせることも出来ない。

そして最悪の事態が起こった。

 

「ぐるる……」

 

「……集まってきたか」

 

黒猫を追ってきた連中がここまで来てしまったのだ。

軽く数えるだけでも十数人はいる。

黒猫一人で対処するには辛い量であり、無論この少年を守りながら等到底無理であった。

だが黒猫の心配とは裏腹に少年は笑っていた。

まるで始めからここに集まってくるのを待っていたかのように。

 

「正直うざったいんだよなお前ら。 人がやぁぁぁっと! あいつらから追われずに睡眠を楽しもうと思ったら近くで騒ぎ出しやがって」

 

連中はあからさまに人ではないような殺気を出して少年を囲んでいる。

それは一般人であったなら確実に恐怖を感じるはずのことであった。

だがむしろ少年は苛立っているようなことを言い出す。

 

「まぁ恨むならわざわざ俺が寝てるとこでやったことを、恨んでくれ」

 

言いながら少年は片手で黒猫を抱きなおし、もう片方の空いた手を上に掲げる。

それは降伏の印ではない。

まるで伴奏者がタクトを振り上げる時のような優雅さがあった。

 

「お前達と俺は圧倒的に相性が悪いみただね。 死者は肉へと還るがいい」

 

「ガ……ァァァァァァァァアアアッッッ!!?」

 

その瞬間、黒猫の前で信じられないことが起こった。

黒猫の目の前でずっと追ってきた連中の体が崩れ始めたのだ。

少年は手を上に掲げているだけ。

だが連中はまるでその威光に触れることが叶わないように崩れ落ちていった。

見る見る内に連中はただの肉塊に成れ果てていき、最後には一人残らず崩れ落ちてしまった。

 

「……さぁ終わったよ。 怖かっただろう? もう大丈夫」

 

全てが終わると少年は何事もなかったかのように呆然とする黒猫の頭を軽く撫で地面へと下ろした。

その顔には今起こったことなど何事でもないといったような笑顔であった。

 

「…………」

 

「一人で家には帰れるよね? 俺ももう行かなきゃならないからさ……ここでお別れ。 じゃあね」

 

黒猫は地面に下ろされるも未だに驚きが抜けてないらしく呆然と少年を見ていた。

だが少年はそんな黒猫の頭をもう一度軽く撫でると、笑顔のまま別れを告げた。

そして黒猫に背を向け、そのまま闇の中へと消えていった。

 

「…………」

 

その間もずっとずっと黒猫は少年の背後を見ていた。

まるで夢魔である自分が一瞬の夢を何者かによって見せられていたかのように──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この出会い、この夜起こったことがこの三咲町に新たな事件を起こすことになるとは、この時の黒猫にも思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……やっと一息付けたな」

 

いつもは明るい街中でも闇が深まれば黒く染まる。

その黒く染まった路地裏に一つの影があった。

闇に紛れるかのように立つ一つの影。

黒き髪は闇の中に溶け込み、その瞳もまた闇の中に溶け込めるようにしているかのような黒い瞳。

衣服すらも黒いローブのようなものを羽織っているため、完全に闇に溶け込んでいる。

しかし闇に紛れるような雰囲気と違い、その影は非常に幼い見た目をしていた。

歳は15くらい、いや顔立ちから見るともう少し若いかもしれない。

その背丈もそれほど大きくなく、150ほどしかあるようには見えなかった。

少年と呼ぶに相応しい見た目だ。

 

「しつこいったらありゃしないぜ……ったく」

 

だが少年の持つ謎の威厳のようなものは、年相応とは感じられなかった。

その表情からもどこか年のいった大人のようなものを感じられていた。

彼の名前はアクラ・ノームーン。

この街、三咲町に少し前にやってきた男である。

 

「はぁ……」

 

アクラはとある理由から身を隠さないといけない立場であった。

それがわざわざ自分から居場所を大々的に発表するような真似をしてしまい、今現在も追われていた。

逃げる方法がないわけではないが、出来れば避けたい方法しか残っていないのだ。

 

「でもまぁ……もう手がないか」

 

アクラの持つ逃げられる方法。

普通の人間ならば絶対に不可能なこと。

そうアクラが普通の人間だったならば、逃げることは不可能であったはずなのだ。

そしてそれを実行するため、集中するかのようにアクラを目を閉じた。

 

「……良し。 居たぞ」

 

「見つけたぞ異端者……」

 

アクラが何か呟いた途端、彼を追っていたものもアクラを発見した。

しかしそれに気付いていないはずはないのにアクラは目を閉じたままであった。

だが、それはアクラが諦めたのではない。

その証拠にアクラは笑っていた。

今来たモノを嘲笑うかのように。

 

「サヨナラだよ代行者さん。 きみじゃ俺は追えない」

 

「なっ!? 待ちなさい淫魔王アクラ!」

 

アクラが目を開くと同時にアクラの体が虚空へと消え去った。

淫魔の王とまで呼ばれるようになったアクラにだけ許される力。

それによってアクラはこの場から去っていったのだ。

追跡者が追えない世界へと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ全く、仕事熱心なのは結構なことだけど、俺のことは追わないで頂きたいよ」

 

あの場から消え去ったアクラは全く違う場所にいた。

淫魔とは夢魔の一種でもあり、他人の夢に入り込む力を持っている。

そんな淫魔の中でもアクラの入り込む力は強力で、離れた位置の夢の空間に入り込むことが出来た。

故に追跡者はアクラがどこの誰の夢に入り込んだか分からず追跡が不能なのだ。

ただしアクラ自身も長距離をやるとどんな相手の夢に入り込んだかは分からない。

だからやりたくなかったのだ。

 

「さて……ここはと。 おぉ……」

 

ここでやっとアクラは今いる空間に目を向けた。

そして思わず声を出していた。

夢の世界というものは不思議な空間が多いものだが、その中でも今回は格別であった。

一面の銀世界だったのだ。

見渡す限りに広がる汚れなき雪、空は夜空になっており、大きな月が浮かぶだけであった。

そして本来夢の世界というものは安定しないが、この世界はとても安定しておりその雪原が崩れることはなかっあ。

 

「この空間は、誰かが作ったのか?」

 

そう思えるほどこの夢の世界は綺麗であった。

誰か力のあるものがこの空間を作った。

それ以外考えられない程に。

確かに能力の高い夢魔ならばこういった空間を作ることも可能ではある。

だがそんな能力の高い夢魔がこんな街にいることがアクラにとっては信じられなかった。

 

「偶然にしちゃ出来すぎだし……まさかハメられた? いやでもな……俺はランダムに選んだはずだし、罠のはずが……」

 

能力の高い夢魔の作った空間にこの街に来たばかりのアクラを封印する。

そんか可能性も考えたが、それはまず有り得ない。

追手にこそ見つかったが、アレらはこういった形の罠を使うことはない。

そうすれば異端者とされてしまうからだ。

そしてアクラが考えている間に、この空間を作った本人が姿を現す。

 

「誰……? 今日はお茶会も開いてないし、招かざるお客様はお帰り願えるかしら?」

 

「っ……?」

 

可憐さや優雅さを感じさせる声はアクラの背後から響いてきた。

その声に目線を向けると、そこには白いコートのようなものを羽織った少女が立っていた。

身長こそアクラより低いが銀色の髪に白い服、瞳は赤く、その表情からは自信が見て取れる。

歳はアクラよりも若く、そして背も130ちょっとしかないだろう。

しかしどこか人間離れした美しさを持った少女であった。

そんな少女を見たアクラの思考は軽く停止していた。

 

「ここは貴方のような無粋な侵入者のための場所ではないの。 お帰り願えないなら、追い出させて貰うわよ?」

 

「…………」

 

思考が停止していて話しを聞いてないように見えるアクラに、少女は少しだけ苛立った様子を見せながらも静かに語りかける。

そこにはハッキリとした敵意があったが、アクラはそれを感じる余裕すらなかった。

ただ呆然として白く雪のような少女を凝視していた。

 

「このっ!?」

 

「……美しい」

 

好い加減にしろとばかりに少女が何かをしようとしたのか、腕を振り上げた。

しかしその瞬間アクラは少女の目の前に立ち、その腕を掴んでいた。

そしてどこか呆けたような声で小さく呟いていた。

少女に聞かせるための声の音量ではない。

ただただ思わず呟いてしまったかのような声だ。

 

「なっ……こいつ」

 

アクラがただものではない。

それが分かったのか、少女の表情が歪んだ。

しかもアクラの力が強いのか、少女が腕を動かしてもアクラの手を離れはしなかった。

 

「好い加減に離しなさ……いっ!?」

 

「俺のモノになってくれ」

 

少女には氷を作り出す力がある。

それを使い空いていたもう片方の腕で氷を生み出していたのだが、急にアクラが少女の背中に手を回し思い切り抱き寄せてきた。

アクラも小さいが、流石に少女の方が身長が低いため、少女の体が軽く浮き上がり足がつかなくなる。

そしてあまりに急なことだったため、少女は驚き氷を生み出し損なっていた。

 

「すぐには受けいられないかもしれないけど安心して? 俺の力を使えばあっという間だから」

 

驚きで少女が一瞬思考を固めてしまったその瞬間であった。

その瞬間少女の負けは確定していた。

いやむしろ少女はアクラに声をかけず不意打ちをするか、声をかけたとしても思考を停止している間に攻撃してしまうべきだったのだ。

アクラは淫魔王と呼ばれるだけの淫魔なのだから。

 

「動かないでね。 口だけは自由にさせてあげるけど……」

 

「う……これは……暗示……!?」

 

暗示。

淫魔の持つ能力の一つで瞳を合わした者の体を支配する一種の催眠術のようなものである。

アクラは少女と瞳を合わせ、強力な暗示を少女にかけたのだ。

少女が全く体を動かすことが出来ないように。

その暗示はとても強力で本当に少女はその口以外は全く動かせない状態になっていた。

指の一本すら動かせはしない。

 

「俺はアクラ。 一応淫魔だよ。 分かってるとは思うけどね……きみの名前は?」

 

「ふん……貴方みたいな下賎な淫魔に……答えるわけが」

 

「だよねぇ。 だから身体に聞かせて貰うよ」

 

鼻で笑うかのように言う少女にアクラはどこか怪しげな笑みを浮かべていた。

先ほどまでのアクラの表情にはなかった淫魔の妖絶さが伺える。

 

「下賎な淫魔に弄ばれるくらいなら……」

 

「自殺は許さないよ。 まぁ出来るわけないけど」

 

「な……ん!?」

 

少女の取る行動が分かっていたのか、あらかじめアクラは少女に自殺をしないよう暗示をかけていた。

事実流石にこの程度で自殺をするつもりは少女もなかったが、アクラの言葉に戸惑ってしまった。

その隙にアクラは少女の無防備な口に自らの唇を重ねた。

動けないため少女は抵抗も出来ずにアクラを受け入れるしかない。

 

「んん!?」

 

しかもアクラは少女が抵抗出来ないのを良いことに少女の舌にその舌を絡めつかせ始めた。

口だけは自由にしてくれているため、少女は舌を動かし逃げようとするがアクラの舌はまるで蛇のように少女の舌を絡め取り巻きつかせてくる。

そして絡めてくる舌からと口からアクラの唾液が少女の口内へと送られ始めていた。

 

(くっ……淫魔の唾液は強力な媚薬。 飲むわけには……)

 

少女にはアクラの正体が淫魔であることには気付いていた。

夢魔である自分に効果があるほど強力な暗示は淫魔の中でも上級の淫魔しか使えない能力である。

それから正体を見破ったのだが、見破るのが少々遅かった。

この強力な暗示を打破るには相当の集中が必要だが、アクラが淫魔である以上そちらに集中するわけにはいかなかった。

どんな人外でも狂うほど、強力な媚薬を淫魔であるはずのアクラは持っているのだ。

それは淫魔の唾液や精液等に含まれており、キスをされてる今、その唾液を飲んでしまえば、例え抵抗すらまともに出来なくなるのは分かりきったことであった。

 

「んぐ! ごふ! ごぼっ!」

 

必死に少女が口だけで抵抗してアクラの唾液を飲まないようにする。

どうやら噛むことすら暗示によって封じられているようで、少女は口の端からアクラの唾液を涎のように流すしか抵抗出来なかった。

だがそれもあくまで解決策にはならず、少しづつだがアクラの唾液に含まれた媚薬の成分は少女の口内から吸収されていた。

 

(まず……体が……)

 

それを証明するように少女の体は少しづつ熱を帯び始めていた。

その証拠に少女がアクラの唾液を吐き出す仕草も遅くなっていく。

しかもアクラはただ唾液を送るだけではなく、少女の逃げる舌を絡め取り、舐めてきているのだ。

淫魔であるアクラにはテクニックも勿論備わっている。

そのせいか少女の体はいつしか暗示の束縛なしでもまともに力が入らず、アクラに体を預けてしまっていた。

 

「ふふ……そろそろ本気でいくよ」

 

「んん!? んぐ、んぐ……」

 

小さくそう呟くとアクラの舌が少女の舌を激しく舐め回してきた。

その動きに体を震わせ反応してしまった少女は、思わず溜めてしまっていたアクラの唾液を飲んでしまっていた。

こうなるともう少女に抵抗の余地は存在しなかった。

 

「んぁ!♡ んんんんんんん!!♡」

 

今まではなんとか耐えられたアクラの舌による攻め。

しかしアクラの媚薬を直接受けてしまった少女の体はもう耐えてはくれなかった。

アクラの舌が少女の舌に触れるだけで少女の体は電撃が走ったかのように跳ね、強い快楽を得てしまっていた。

暗示の効果とは違う無意識の範囲のため動いてしまっているが、もはや暗示は必要なかった。

その強力な快楽は少女から抵抗する力のほとんど奪ってしまっていた。

 

「美味しいよ、きみの唾液……俺のももっと味わって」

 

「ん♡ や、やめ、んん♡ああっ!!♡」

 

ぬチゅルっブちュるチゅッ!ヅちヌるュぶチゅっ!

 

抵抗を許されない状態で、容赦なく少女の口内を舐め回す。

その舌が頬の内側に触れ、舌に触れ、舌の裏側に触れ、どこに触れても少女は強い快楽を感じてしまっていた。

少しだけ口を離された時に出た無意識の内の静止の声も無視し、まるで楽しむかのように少女の口内を味わっていた。

しかも容赦のないことに少女の口内に唾液を流し続け、もはや吐き出す力もない少女の喉を次々と唾液が流れていった。

その度に少女の体は甘美なる媚薬に毒されてしまっていた。

そして少女が最も恐れていた事態が刻一刻と近づいていた。

 

「あ、んん!♡ んんんんんああぁぁぁぁぁッッ!!♡♡♡」

 

ビクッ!ビクッビクン!

 

少女の舌を絡め取り、そのまま強く吸い上げた途端それは訪れた。

頭の中で何かが弾け、目の前が真っ白になるような感覚。

少女はアクラとの口付けだけで、絶頂してしまったのだ。

強い強い絶頂に晒され、少女のプライドはズダズダにされ、身体は屈服したかのように言う事を聞かなくなってしまった。

 

「ふふ……気持ち良かった?」

 

「はぁ……はぁ……♡」

 

アクラに口を離されても少女は何も出来ず、荒くなった息を吐いていただけであった。

その吐息もどこか官能の熱さがある。

暗示によって抵抗も出来ずに絶頂させられ、プライドもズダズダに引き裂かれた少女は無意識の内に瞳に小さく涙を浮かべてしまうほどだった。

 

「答えられないほど良かった? ふふっ」

 

「はぁはぁ……絶対……殺してやる……」

 

だが身体とは違い少女はまだ屈してはなかった。

ただの負け惜しみに近かったが、それを言えただけでも少女は凄かった。

アクラに襲われた少女は基本的に二通りの対応しか取らない。

許しを請うか、完全に堕ちてしまい求めるか。

そのどちらでもない反応に少なからずアクラは少なからず驚いていた。

だがまだこの段階ではこの反応を取るものもいたからか、更に笑みを深め少女に笑いかけてくる。

 

「どこまで言えるか……楽しみだよ」

 

「何度でも言って……なっ!?」

 

挑発的なアクラの態度が癪に触ったのか、少女がまた口から毒を吐こうとしたがそれは驚きの声で止められた。

少女の意思とは関係なく、動かないはずの腕が動き出し、少女が纏う衣服を脱ぎ始めたのだ。

それがアクラの暗示の仕業だと気付くのにそれほどの時間は必要としなかった。

 

「くっ……このっ!」

 

「ほらしっかり逆らってみなよ。 そうしないともっと恥ずかしくなっちゃうよ?」

 

抵抗出来ないのが分かっているのか、アクラは少女の必死の抵抗を嘲笑うかのように見ていた。

アクラの思惑通り、少女の抵抗も空しく、少女の腕は少女の意思を無視して自らの肌を晒すため服を脱ぎ切ってしまう。

先ほどの行為のため、平たく幼い胸の中で硬く尖り主張してしまっている乳首も、遠目から見てもなんとなく分かるくらい濡れてしまっている、毛の一つもない秘部も全く隠せてはいない。

アクラはわざわざ少女の服を脱がせ終わると、また両手を動かせないように暗示をかけたのだ。

 

「っ……」

 

先ほど口付けで絶頂されただけでも少女にとって屈辱だったにも関わらず、アクラにわざわざ見せつけるような格好をさせられている。

その恥辱に耐えるため、少女は歯を食いしばり精一杯瞳を閉じていた。

その頬は怒りのためか、羞恥のためか、真っ赤に染まっていた。

 

「綺麗な肌だねぇ……」

 

「っぅ……く……♡」

 

アクラが感想を言いながらも少女の腰の辺りを手の平で撫でる。

声を出さないことがせめてもの抵抗になると考えたのか、少女は歯を食いしばりそれに耐えていた。

だが媚薬の毒素により敏感になった体は軽く撫でられるだけでも快楽を感じてしまうらしく、一撫で一撫でに少女は体を震わせていた。

その快楽の証明のように少女の秘部から一滴の愛液零れ落ちた。

 

「あれ? もうこんなに濡れちゃってる……ならもう準備はいらないかなぁ」

 

「う……うぅ……」

 

濡れているのをわざわざ指摘され羞恥も限界なのか、少女は小さく涙を零した。

だがアクラは秘部を凝視していてその涙に気付くことはない。

そしてその凝視する視線は少女にも感じられ、更に羞恥を深めさせていった。

しかもアクラは更なる絶望をわざわざ口で告げる。

もう既に少女は暗示が深くかかっており、念じるだけでも構わないというのに。

 

「自分で挿入(い)れるんだ。 俺のをね」

 

「なっ! え……」

 

少女は一瞬アクラが何を言っているのか分からなかった。

だがアクラは黒いローブをずらし、その下の衣服もずらし中からその顔に似合わないほど巨大かつ醜悪な肉棒を取り出した。

それを見て、少女の顔が恐怖に歪む。

 

「そ、そんなの無理っ! いやぁ!」

 

それは少女が始めて上げた本格的な悲鳴であった。

少女の身体は非常に幼い。

そんな少女にとってアクラの肉棒はあからさまにサイズオーバーであり、強い恐怖を与えるには十分であった。

だがアクラの暗示を深く受けた少女の身体は少女の悲鳴を聞いてはくれなかった。

 

「無理……あ、が……」

 

ズブ、ズブブブブ

 

少女の身体は待ち構えるように座っているアクラに座るように動いていった。

そしてそこに聳え立つのは、巨大なアクラの肉棒。

そこに座るようにされては、少女はもうまともな言葉を発することすら出来なかった。

少女の秘所は限界まで広げられ、肉棒に無理矢理抉じ開けられていき、それは少女にとって苦しみしか生まなかった。

少女にとって処女という概念はない。

しかしそれでも苦しみを生むほどアクラの肉棒は凶悪な凶器であった。

だが、暗示を受けた身体は止まらず少女の中へと強引に肉棒を咥え込ましていく。

 

「ひっ!? ああぁぁああぁぁぁ!」

 

「やっぱり全部は無理か。 でも、頑張ったね」

 

肉棒が半分ほど入った所でそれ以上は限界と判断したのか、少女の体が身体やっと止まってくれた。

だが少女の膣内は肉棒に埋め尽くされ、少女の呼吸を困難なものとしていた。

 

「ぬい……てぇ……こんなの……死ん……じゃう……」

 

それは必死な少女の懇願であった。

アクラと正面から向き合い自ら肉棒を受けることになったが、少女は泣き言を言いはしなかった。

アクラに頼むことだけはしなかった。

そうすれば自分が戻れないことが分かっていたから。

この恐怖に支配されるが怖かったから。

だが少女のそんな願いも空しくアクラは始めからずっと変わらぬ笑顔を浮かべた。

それは少女にとって絶望を意味するものであった。

 

「大丈夫だよ。 夢魔であるきみがそれくらいで死ぬもんか」

 

「あ……あ……あぁぁぁあああああ!!?♡♡♡」

 

アクラは少女にそう言い腰を軽く引き、容赦なく突き上げ始めた。

それだけで少女の膣内の一番奥、子宮口まで突き上げられた。

しかし少女を襲ったのは入れた時の苦しみのような苦痛ではなかった。

甘美なまでの快楽であったのだ。

むしろ一突きでいきなり絶頂まで押し上げられ、少女は抵抗するまでもなく二度目の絶頂を迎えていた。

 

「やぁ!?♡ そ、んな突かないでぇ!♡ 壊れちゃう……壊れちゃうぅぅぅぅぁぁ!!♡♡♡」

 

「凄い締め付けだね。 もうずっとイッてるんだ……」

 

ぐっちゅグッちゅグッちゅぐっちゅ!

 

アクラの言葉通り、突かれる度に少女は絶頂していた。

いやもはや絶頂から逃れることが出来ず、絶頂(イキ)っぱなしになっていた。

膣内からは愛液が止め処もなく溢れ出し、グチュグチュと卑猥な音を鳴らしている。

とても先ほどまで挿入に苦しんでいたとは思えない状況であった。

 

「そろそろ出してあげる。 俺が精液をあげるのは……凄く珍しいんだよ。 ふふっ」

 

「いや……いやいやいやいやいやぁぁぁぁぁ!!♡♡♡」

 

どプぶゅうっブゅくっドぷブゅくっ、どくっドくっぶゅううぅぅぅっ、ブュっぶゅるるっ!!

 

無邪気な笑みを浮かべながらも、射精を宣言するアクラに少女は恥じを捨て泣き叫んだ。

だがそんな少女を嘲笑うかのように、アクラの肉棒から大量のザーメンが放たれた。

その勢いは凄まじく、また少女は一気に絶頂に達する。

 

「ぁ……ぁぁ……♡」

 

その絶頂がトドメだったかのように少女の意識が薄れていく。

最後に少女が目にしたのは、何故か非常に焦った様子の目の前のアクラの顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にごめんなさい!」

 

「……はぁ?」

 

少女がまた意識を取り戻した時、アクラは少女の前で土下座していた。

少女の体が脱がしてしまった服もいつの間にか着せられており、目を覚ましたばかりの少女には状況が全く理解出来なかった。

ただ分かっているのは、目の前のアクラが先ほどと全く違う態度を取っているというだけである。

 

「俺はまだ淫魔として未熟で……その……淫魔の血が制御出来ないっていうか……」

 

少女が状況の整理が出来ていない間にもアクラは土下座を止め、しどろみどろになりながら説明をしていた。

その顔は本当に反省の色が見え、本心で謝っているのは良く分かった。

そもそも先ほどまで暗示で動かせなかった体も動かせるようになっており、敵対心がないのが見て取れる。

 

「それできみを見たらいつの間にか我を失ってて……その……」

 

「はぁ……何なの、あんたは」

 

尚も謝ろうとするアクラを見て、やっと状況が整理出来始めたのか、少女が小さく溜め息を吐いた。

その言葉にアクラがキョットンとした表情になる。

 

「何開放してるのよ。 あの状況ならわざとじゃなくたって吸い殺すことだって出来たでしょ? しかもそもそも淫魔が襲って謝るなんて……」

 

「え、あの、その、怒ってないの?」

 

「怒ってるわよ!」

 

「ぅぅ……」

 

「はぁ……」

 

何故か飽きれたように溜め息を吐いている少女にアクラは戸惑っていた。

しかもそれを問いかけても少女は怒って、また飽きれるだけで答えてはくれなかった。

その態度もまたアクラの戸惑いを深めていた。

これまでにアクラに犯され、こんな態度を取った女はいない。

だから、どうしたら良いのかアクラには分からないのだ。

しかしどうしたら良いのか分からないのは実は少女も一緒であった。

 

(どうするべきなのかしら……はぁ殺す気が失せた……)

 

先ほどまでのアクラであったなら自分を自由にした途端に殺すつもりであった。

だが実際は現在のような困った状況になっている。

アクラを殺したいかと言われれば、それはそうなのだが、彼のあまりにも情けないと言えば情けない態度に完全に毒気を抜かれていた。

ただ散々好き勝手されたのは腹立たしいくらいで、それで殺すまでいくほど今の少女は血気盛んな性格ではなかった。

 

「……ちょっと来なさい」

 

「……? うん」

 

少し考えた後に少女はアクラを手招きした。

そんな少女に何の警戒心もなくアクラは近づき、まるで子供かのような表情をしている。

それを見ながら、少女は小さく笑うとあまり力が入っていないビンタをアクラの頬に放った。

正確には力が入れられないだけだが。

 

「っ!? あ、あのえっと……」

 

「今はちょっと疲れてるからこれで済ましてあげるわ……次やったら容赦しないから」

 

アクラはビンタを痛がってるというよりも驚きに声を上げていた。

正気なのならば少女はアクラを殺したいぐらい憎んでいるか、または怒りを持っているはずだ。

そう思っていたアクラにはかなり意外な一撃だったのだ。

 

「……きみ」

 

「レンよ。 その子供を呼ぶような呼び方は止めて」

 

アクラが理由を聞こうとすると、口に指を突きつけて少女、レンが先に言葉をかけた。

その態度にもまたアクラは唖然としたように止まるしかなかった。

実際アクラの淫魔としての力は物凄く強い。

だから実際アクラがこうやって謝っても、既に快楽に堕ちた女は聞いてくれず、色狂いになってしまっているのが、いつもだった。

だが、今回は全く違った。

レンの態度は今までにアクラが見たこともないものであったのだ。

それはレンも夢魔だから産んだ結果かもしれない。

だが、知らない態度だ。

それに気付いた途端、急にアクラの中である感情が生まれた。

先ほどまでの獲物としての興味ではない。

ただ純粋にアクラという存在がレンという変わった少女に興味を持ったのだ。

 

「ねぇレン。 一応まだ怒ってはいるんだよね?」

 

「……当たり前じゃない」

 

急に今までの困った表情から明るい表情になった、アクラにレンは少しだけ戸惑ったように目線を背けた。

先ほどと立場が逆転したのだ。

 

「じゃあ俺がレンのために何かしてあげる」

 

「はぁ……? いきなり何を……」

 

「俺、レンのこと気に入っちゃった。 だから一緒にいるって決めたってこと」

 

「気に入ったって……」

 

レンがついていけない中で、アクラは物凄い上機嫌で微笑んでいた。

先ほどまでのどこか妖絶さを含んだ笑いではなく、子供っぽさを含んだ笑いだ。

 

「私はあんたを」

 

「アクラって呼んで。 他人行儀みたいで嫌だよ」

 

「ぐ……ア、アクラのことを私は認めないし、一緒にいることなんてごめんよ」

 

自分が言ったことをそのまま返され言葉に詰まりながらも、ハッキリとした拒絶の言葉をレンは口にした。

だが、レンのそんな言葉も今のアクラには無意味なようであった。

 

「そんなこと言わないでさぁ……レンが望むならさっきよりももっと気持ち良くしてあげるよ?」

 

「っぅぅぅ!!?? ま、またやったら容赦しないって言ったでしょ!?」

 

妙に馴れ馴れしくアクラはレンの背後に回って抱きしめた。

しかもわざわざ思い出したくないことまで言われ、レンの顔は怒りと恥ずかしさで真っ赤になっていた。

しかしそんな怒りの言葉もどこか迫力がない。

 

「迷惑はかけないからさ……一緒にいよう?」

 

そしてそこまでどこかふざけていた様子であったアクラが急に真面目な声を出した。

アクラの顔は背後にあるためレンからは確認出来なかったが、本当に真面目な表情をしていた。

そして顔が見えなくとも声色からレンは察し戸惑いを感じる。

何故そこまで真剣に自分と一緒に居たいのか?

それがハッキリとは分からないのだ。

 

「……なら私の使い魔になりなさい。 それなら一緒に居てあげても……」

 

「それは嫌だなぁ」

 

「なっ!?」

 

そこまで居たい理由は分からない。

だが、そこまで居たいというなら考えてやろう。

そんなレンなりの精一杯の優しさを見せてあげたというのにアクラの答えは酷かった。

さっきの真面目な声色ではなく、またおふざけモードになっている。

 

「レンが使い魔になってくれるなら喜んで、だけど、俺が使い魔になるのは嫌だねぇ」

 

「わ、私が使い魔? ふざけんじゃないわよ! なんであんたなんかの……」

 

「え〜でも俺の方がレンより強いし。 あときちんとアクラって呼んでよ〜」

 

「さっきのは油断しただけよ! 今度はきちんと……」

 

「あっそうか! 今からレンを使い魔になるって言うまで犯せば……」

 

「わー!? 待ちなさい待って待って!! さっきも言ったけどやったら容赦しな」

 

「今ならレンの体弄り放題だよ〜?」

 

「う……は、離しなさい! 離して〜!?」

 

アクラがからかい、それにレンが反応し、またアクラがからかう。

それははたから見れば二人が長年の付き合いかと思うほど仲良く見えた。

そしてひとしきりからかい終わったのか、またアクラが落ち着いた表情をした。

 

「まぁ……今は良いじゃん。 協力者ってことでさ」

 

「……分かったわよ。 まぁ確かに今は困った状況になってるし、手は多いほうが助かるわ」

 

アクラから出た妥協案にこれ以上からかわれたくなかったのか、レンはすぐに乗った。

少しだけいじけたような表情だが、表情と違い言葉そのものは正直なものだった。

 

「困った状況?」

 

「えぇまぁね。 あんた……いやアクラはこの町で今変な噂が流れているのは知ってる?」

 

アクラの疑問にすぐにレンは頷き、問いかけ返した。

アクラのじっと見ている視線を感じるため、仕方なく名前を呼びなおしている。

 

「俺は昨日この町に来たばっかりだからなぁ」

 

「知らないと。 この町ではね。 今、「もう一人の自分に会うと殺される」って噂が流れてるのよ」

 

「「もう一人の自分に会うと殺される」って……所謂ドッペルゲンガーみたいなもん?」

 

「詳細は分からないわ。 分かっているのは実際ソレが起こっていて、しかもその犯人として私が疑われてるってこと」

 

「レンが疑われてる?」

 

「もう一人の自分に会うと殺される」という噂。

それその物も勿論気になるものではあったが、アクラにとってはもっと気になることがあった。

何故夢魔であるはずのレンが疑われるのか?

夢魔にはもう一人の自分を作り出すという現象を起こす能力がないわけではないが、怪異というものは種類が沢山ある。

そこでピンポイントにレンが疑われる理由がアクラには分からなかった。

 

「まぁ私はちょっと前に事件を起こしててね。 上手く消滅までは免れたけど、埋葬教会とかに目を付けられてるわけ」

 

「へぇ……レンも埋葬教会に目を付けられているんだ」

 

「そうよ。 まぁあいつらなんて……って私も?」

 

埋葬教会の連中なんて大したことがない。

そう言おうとしたレンであったが、引っかかることがあった。

アクラは今レンもと言ったのだ。

つまり自分も埋葬教会に狙われているということであった。

 

「うん。 淫魔王アクラなんて言われて、俺も世界的に指名手配中」

 

「淫魔王アクラって……何したらそうなるのよ」

 

「理由のほとんどは俺の淫魔の力が暴走……まぁさっきのみたいになったのが原因だよ。 俺自身は王なんて呼ばれるような凄い奴じゃないし……むしろ未熟なんだから」

 

「まぁ襲った相手に謝るようなヘタレな奴が王なんて名乗れるはずないわよねぇ」

 

「うぅ……そこは言わないでよ」

 

先ほどの仕返しとばかりにレンはからかうような笑みを浮かべていた。

実際痛い所なのか、アクラは少し落ち込むように肩を落とした。

 

「ま、まぁ俺のことは良いじゃん。 つまりレンはその「もう一人の自分に会うと殺される」っていう異変の犯人だと思われてるってわけでしょ?」

 

「……まぁそういうことよ。 でもそんな適当に殺しを楽しむほど捻じ曲がってるつもりもないわ」

 

話を誤魔化されたが、実際言ってることは正しいためレンはそれ以上からかうことはしなかった。

根本的な所がレンは真面目なのかもしれない。

そして殺人犯扱いされてることに侮蔑を覚える辺り、プライドも高いようだ。

 

「そうだろうねぇ。 だってレンは優しいし」

 

「っ!?」

 

「それに可愛くって、いたたた……」

 

「こ、の、口が……この口がそういう言葉を吐くのかしら?」

 

「いたい、いたい〜ごめんごめん〜」

 

アクラに言われたことが恥ずかしかったのか、レンは顔を赤くしたままアクラの方を向き頬を引っ張ってきた。

実際それほど力は入れていないためか、アクラは痛がるような素振りはあまり見せない。

とりあえず話を進めるために謝っているようにしか見えなかった。

 

「全く……」

 

「……んでレンは犯人を捕まえて自分の潔白を証明したいんだね?」

 

「……まぁあいつらがどう思おうと良いんだけどね。 ただ私に罪を擦り付けたことを犯人に後悔させてやりたいだけ」

 

少し迷ってるような口振り。

その口振りから、なんとなくだがアクラはレンの本心を悟っていた。

レンとアクラの付き合いは短いが、アクラは長いこと人と触れ合ってきたため、多少慣れているのだ。

 

(どう思おうと構わないけど、犯人を捕まえるのに理由があるってことかな? ふふっ……素直じゃないんだから)

 

「……何? 何かおかしいわけ?」

 

「ううん。 おかしくないよ」

 

レンのどことなく素直じゃない部分を微笑ましく思ったのか、アクラが小さく笑っていた。

それに目敏く気付くも、アクラが答えないため不振に思いながらもレンはそれ以上指摘しなかった。

 

「分かった協力するよ。 その怪異の犯人を捕まえて、レンの潔白を証明する」

 

「だから潔白は……はぁもう良いわよそれで」

 

自分の潔白の問題ではない。

それをもう一度言おうとしたレンだったが、相手が相手なだけにすぐに溜め息を吐き諦めた。

この短時間でアクラはレンが苦手とするタイプなのは良く分かったのだ。

 

「とりあえず当面は昼間の内に情報集め。 あいつらが良く動く夜はこの空間に引き篭もるで良い?」

 

「そうね……それが良いと思う」

 

「んじゃこの空間を強化しなきゃ。 誰にも入って来れないようにプロテクトをかけたり……」

 

「は……? ちょっと待って。 アクラ、私の空間に干渉出来るの?」

 

この雪原の空間はレンが作り出したものである。

故にこの空間の制御件はレンにあるはずであり、他人が干渉出来るものであるはずがなかった。

 

「うん。 今はまだ俺の方が夢魔としての実力も高いみたい。 それにレンが協力してくれるなら、この空間を結構安全な所に出来るはずだよ?」

 

「う……分かったわよ。 確かに拠点は必要だし……」

 

自分の方が実力が高い。

この言葉が気にはなったが、アクラの言うことは確かに正論であるためレンは渋々提案を受け入れた。

その後アクラとレンの共同作業によってこの空間の強化が始まった。

アクラやレンが認めたものしか入れないようにするプロテクトの作成。

レンだけではなく、アクラによっても空間を弄れるようにする力。

他にも細かい所などを弄ったが、大きな強化はこの二点であった。

プロテクトの作成は勿論この強化で最も重要な点であった。

プロテクトが働けばこの空間は誰にも侵入を許さない。

このプロテクトは空間そのものと直結しており、無理矢理プロテクトを破るのはこの空間を破壊するくらいの力が必要であり、そう簡単には無理なものとなっていた。

むしろ強引に破壊すれば確実にアクラやレンに気付かれるであろう。

一種の警報装置にもなっているのだ。

 

「ふぅ……これで大体……ってあれ?」

 

一通りの強化が終わった所でアクラはふとレンの声が聞こえていないことに気付いた。

そして抱きしめたままだったレンを見ると。

 

「あ……」

 

「すぅ……すぅ……」

 

レンは眠っていた。

いくら元気に振舞っていてもアクラにあれだけ犯され、絶頂させられまくっては疲れていて当然であった。

 

「……ごめんねレン。 本当にごめん」

 

眠っているレンの頭を優しく撫でてやりながらアクラは小さな声で謝った。

レンの負担は本当に大きかった。

それが分かってはいたが、こうやって目の当たりにするとやはり罪悪感が芽生えるのだ。

確かにアクラの力は暴走しレンを犯した。

だが、それは所詮言い訳に過ぎず、更に言えばアクラの望みでもあったわけなのである。

それが分かっているからこそアクラはこうしてレンに謝っていた。

悔やんでも悔やみ切れないほどに。

 

「レンを守るから……レンを悲しませないから……」

 

ただの悔やみではない。

どこか執着にも似た真剣な口振り。

それが次々とアクラの口から漏れていた。

レンにではなく、自分に言い聞かせているようでもあった。

 

「だから……一緒にいようね……レン」

 

これは誓い。

これは契約。

アクラにとってこの瞬間、レンとの契約が行われたのと同じ気持ちであった。

だから、必ず──

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