これはそういう愛のお話。
きっかけなんて些細なことだった。
いずれそれを意識するのは、男女という関係において至極当然なことであり、それが親しい者同士ならより強くなる。
特に思春期真っ盛りな男女という者は、どんなに『友情』という関係なんだと意識しても、ふと思えば自分が抱く感情が本当に『友情』なのか『愛情』なんて区別も付くはずもない。
「ア、アニー……ッ♡ なんか、あたまが……しびれてくるぅ……♡」
それが性別もあべこべな人となれば尚更だ。
色々諸事情があり、元は男性であった黒髪の少女『レン』は、訳もわからないまま青髪の少女である『アニー・バース』に抵抗することもなく、なすがままにその肛門をシリコン製の黒い棒状の物で蹂躙されていた。
「んっ……♡ それが『イク』ってことだよ♡ でも大丈夫……お尻でイクことは男らしいことだから……レンちゃんは遠慮なくイッていいんだよっ♡」
「どこがぁ♡ 男らしい……んだっ♡」
二人の少女の嬌声混じりの会話が暗がりの部屋で響く。
犯す側に回るアニーという少女は、男女の性行為のようにレンという少女の背中に身を重ねており、腰に卑しく取り付けられた作り物の男性器である『ペニパン』で、その初々しく健康的なピンク色の肛門を「クチュ、ブチュ」と艶めかしくも下品な音を立てながら出し入れする。
肛門を犯されるという未知の快楽に、レンは身を委ねて気持ち良くなるものの、意識だけは抗うように声を押し殺す。
それが却って少女の鈴のように綺麗で可愛らしい声が洩らす「あっ♡」という溢れ出た快楽が、アニーを高揚させて次なる快楽へと教えようと、その黒髪を撫でながら上半身を弄った。
「ひゃぅ……!♡ そこは……ら、らめぇ……♡」
「くすぐったいよね、乳首……♡ でも男でも乳首はあるんだから……気持ち良くなっても大丈夫♡」
アニーはレンの黒髪に隠れていた乳輪を指でなぞり、その突起した乳首を親指と中指で優しく挟み込んだ。
途端、レンの脳に何とも言えない感覚が伝わる。気持ちいいような、くすぐったいような……そんな未知の刺激にレンは、今もなお犯し続ける肛門の異物を感じながら混乱してしまう。
「レンちゃん……乳首って、ゲームみたいに乱暴に弄るのとは違うんだよ♡ こーやって緩急をつけてコネたり……♡」
「んんっ……!♡」
「その周りを撫でるだけで、血行が回って背筋がピリピリするでしょ♡」
「あっ……♡」
「それにこうして爪を立てて刺激すると……♡」
「〜〜っ!!」
止まることなく、しかし単調ではない快楽の波は、レンの身体を脳天から足先まで落雷で貫いたような刺激を与えた。
視界も思考もグチャグチャになって、腰が浮いて言うことを聞かない。喉が酸素を求めて喘ぎ続け、そんなどうしようもない快楽にレンは混乱混じりの幸福を感じていた。
それは『絶頂』だ。生まれて初めて射精以外で味わう、脳内を甘く溶かす魅惑の性的刺激。その一瞬にして抗い難い気持ちよさに、レンは思わず我慢が効かずに尿を垂れ流し、2人が交わる白いベッドのシーツを黄色く染めた。
「あはっ♡ レンちゃん、お漏らししちゃった♡ レンちゃんって本当エッチだね♡ もっと、もっと気持ち良くしてあげる♡」
だが、それは乳首で達しただけだ。しかも歯止めが効かない他者による前戯であり、レンの気持ちとは関係なく快楽は昇り続ける。既に脳天を満たした快楽はそれ以上満たしようがない。
なら、もう溢れるしかない。絶頂の連続だ。
未だに止めない乳首弄りに、合わせるようにアニーの腰使いも激しさを増していき、肛門を出し入れする棒状のシリコンは「ズチュ、ブチュ」と広がり続ける肛門から漏れる音を下品に仕立ててく。
「アニィ♡ あにぃ♡」
「なぁに♡」
レンはもう快楽の波に流されるしかなく、その呼ぶ声には意味などない。絶頂の連続による気持ち良さをどういう形であれ声に出さないと、溢れ続ける快楽が体内を満たして壊れてしまいそうなのだ。
「イクッ……!♡♡♡」
「うん、うん♡ 一緒に行こうね……っ!♡♡♡」
そこにいるのはもう少女ではなく、本能を剥き出しにして生産性などない性欲を貪るだけの卑しい『女』の姿しかなかった。
レンの瞳は色気を宿して潤み、紅潮した頬を少しでも冷ませようと舌から涎を垂れ流しながら口を大開きしている。
かたやアニーは嗜虐的な笑みを浮かべ、善がるレンの霰もない姿に身体の芯から高揚してしまう。
「「オッ♡ イク゛ッ♡♡♡」」
そして2人は果てた。
1人は守りたい人に犯されるという一方的な蹂躙による肉体的な要因によるもので。
1人は愛する人を犯すという背徳的な行為による精神的な要因によるもので。
「あ……♡ あ、あぃ……♡」
薄れゆく意識の中でレンが舌も呼吸もままならずに名前を呼び、応えるようにアニーは愛しそうにレンの髪を撫でながら言った。
「全部レンちゃんがエッチなのがいけないんだよ……♡」
どうして精神的には男女の性行為とはいえ、肉体的には女性同士の2人がただ快楽のために交わったのか。
それは、数日前に起きたある出来事がきっかけだった。
…………
……
「ここがレンちゃんが住んでいた部屋かぁ」
「意外と埃とか溜まってないんだなぁ……。それにゴキブリとかも見当たらない」
その日、レンとアニーはSIDの業務として情報保護した人間の身辺整理を行う作業を行なっていた。
もちろん、その保護した人間というのはアニーを助け出してくれたレンにも適応されており、相応の時期が来たので、レンが元々住んでいた住居の荷物を整理することになったのだ。
SIDに入ってから色々なことがあった。南極でバイジュウを保護したり、新豊州で『天国の門』を利用した暴動があったり、マサダブルクではそれこそ色々と紆余曲折があった。
どれも濃密だったはずなのに、時間としては半年ほどしか経っていない。故に今までレンの身辺整理については、時間の都合が付かないことや、本人の特殊性もあり、元々居住していた場所に『ロス・ゴールド』について何かしら手がかりが残されているかもしれないという可能性があって今まで後回しにされていた。
だが先日、長く続いた調査の末に『特になし』ということになり、本格的に何かしらの価値を持たないことを決定づけた。いつまでも保存しておくのも労力がいるので、今日限りで調査は終了ということになった。
つまりはレン……正確に言うならレンになる前の『男子高校生』だった者を『行方不明』という形で処理して、その住居から痕跡を無くすためにも荷物を全て撤去することになったのだ。
「うわぁ……。マリルから聞いていたけど、パソコンの中にはアダルトなゲームデータが……」
「ちょっとちょっと! それは男性の性事情に関するものだから……」
「分かってるって。私はレンちゃんのこと理解してるから。女の子の身体に興味を持つなんて年頃の男子なら普通…………」
——妹ハーレム。〜お兄ちゃんとセックスするわけないんだから!〜
——LOVE♡OVER 禁断の兄妹エッチ
——ブラコンじゃないもん! 〜天邪鬼なメスガキ妹を絶対分からせてやる〜
「……レンちゃん、さいてー」
「俺悪くないよねっ!? 止めたよねっ!?」
連なるアダルトゲームのタイトルを見て、アニーは心の底からレンに軽蔑を覚えた。しかしそれは興味を失ったというわけではなく、おっかなびっくりな手つきで画面をスクロールさせて購入履歴を見ていく。
しかしタイトルが変わっても、その趣旨が変わることはない。必ず『妹』や『妹系』といった物が次々と並び、アニーは徐々に男子高校生の生々しい性事情に思わず頬を赤く染めた。
「だって普通こういうのって、その…………アレでしょう!? なんかこう……幼馴染との純愛系とかじゃないの!?」
「古いよっ!? 2000年代前半くらいだよ、そのブーム!?」
「でもでもっ! それでも妹系なんて……っ!」
アニーには理解できなかった。妹などいないレンが、そういう妹系を好む理由が。
それが男が夢見る理想の妹という幻影を追い求めてることだと理解するのは後日の話であり、また関係ないので割愛させていただく。
ともかくアニーには理解できなかった。レンが持つ性癖というものが。
「まさか……イルカちゃんやスクルドのこともそういう目で……っ!!」
「誤解ですっ! 現実と二次元は混同しないでくださいっ!」
「じゃあ、これ何っ!?」
アニーは画面のある商品に指を指す。
その商品名を見て、レンは顔を真っ赤にして思考が恥ずかしさという熱で止まってしまう。
「通販サイトの『ぷにあな』って……そのロリ系の……小さい子のアレでしょ!?」
そう——。
それは俗に言う『オナホール』または『オナホ』という男性器の性処理に使われる物だったのだ。
「いや、その……。その……あの……ええっと……ちょっと、知らないかなぁ〜〜?」
「でも、ここにあるよねっ!」
そう言ってアニーは部屋の隅から、乾燥したバスタオルで包んでいた幼女の下半身を模したシリコン状の物体——『ぷにあな』こと『オナホール』を取り出し、混乱するレンの前に突きつけた。
「わー! わー! 長い間放置してたから緑色のアレが垂れてるーーッ!!」
「うわぁ、本当だ!? 何これっ!?」
「触るな! 二重の意味で触るなっ!」
アニーは知らない。その緑色の正体は、男性が射精した際に出る精子がオナホ内部に洗った後にも残っていて、時間が経過したことでオナホの油分と腐敗した精子が混ざり合ったことによる変色ということは。だって保険の教科書には基本載ってないもん。
「本当……エッチな子だよ……レンちゃん……。こんな特殊な感じも好むなんて……」
「それは誤解だけど、男ならみんな性癖に夢を持ってるんだよっ! それに、そういうアニーだってアレじゃないか! なんで『ぷにあな』がロリオナホだって知ってるんだよっ!!」
「えっ!? だって……」
「商品名からは分からないからな! 購入画面の画像も表面の商品名だけだから内容わからないからな! 見れば分かるなんて言わせないぞ!」
「ええっと……その……」
一転したレンからの問い詰めに、アニーは言葉を濁して狼狽える。先ほどまでレンを執拗に問い詰めていた自分のことを棚に上げながら、どうにかして逃げ切る手段がないかと思考を巡らせる。
「逃げるなよ、俺だってこうしてカミングアウトしてるんだからなっ! こうして購入履歴とか赤裸々にされてるんだからなっ!?」
いつもと違ってマジギレ寸前で、可愛らしさを帯びた照れからではなく、怒りでレンの顔が真っ赤に染まる。それを見てアニーは逆ギレ同然で吠えた。
「わ、私だって興味あるもん! 女の子だって……そのセックスとかオナニーに興味あるもんっ!」
「はぁっ!?」
「だからその……こういうこと……」
アニーはレンのアカウント画面からログアウトし、再度ログイン画面でレンではない誰かのアカウント情報とパスワードを入力して、誰かのアカウントを表示させた。
そのアカウント名は『アニー・バース』——。
自分自身の購入履歴をレンに見せているのだ。
そのうち一つをアニーは指を刺す。それはお値段にして約5000円。概要欄には『バイブ』だの『リモコン付き』だの『保温機能』など説明だけ見ればマッサージ機かと錯覚するそれは、確実に男性器を模したシリコン製の物であり、俗に言う『ディルド』と呼ばれる物であった。
「全長20cm……」
レンは知っている。その大きさが男性器としてかなりあることを。何せ当の本人が男性時に勃起したサイズが、新豊州の平均とほぼ同じ物なのだ。
だからこそ概要欄の『20cm』という暴力的な数値に混乱する。いったい目の当たりすれば、どれほどの大きさなんだろうかと。
「私だってスポーツとかで解消しようとするけどさ……。どうしてもしたい時とかあるんだよ……。週に二回くらい……」
「どうしてもって……」
いきなりの生々しいアニーの性事情にレンは何とも言えない気持ちは湧き出て、心臓にガソリンでも注がれたようにドクンドクンと鼓動を早くさせる。
「だって……私、レンちゃんのこと好きなんだもん!」
「…………へ!?」
突然すぎるカミングアウトにレンは一瞬思考が停止した。大胆な告白は女の子の特権とも言うが、些か急過ぎてドラマチックでもロマンチックでもない。そんな不可思議な状況にレンは二重の意味で思考を止めてしまう。
「愛情か友情かなんて全然分からないけど……私好きなんだよ、レンちゃんのこと」
「……な、な〜〜んだ! それはきっと友情だよ! ほら、俺は男だけど、見た目はやっぱりどうしても女の子だろう!? それで距離感を見誤ってるだけだって!」
「でもレンちゃんを見てると性的な意味で興奮するだもん……。レンちゃんが寝てる時に、私がオナニーしてること知ってる?」
女の子の口から改めて『オナニー』という単語が出てきて、レンの衝撃は続く。それはどうしようもないほどに背徳的で、どうしようもないほどに蠱惑的で、思考回路を焼き切ってもおかしくないほどにどうしようもなく衝撃は絶え間なく襲いかかる。
「な、何故に俺のどこに興奮するんでしょうか?」
「だってレンちゃん無防備すぎるもん! 寝るときは下着がはだけて臍もパンツも丸見え! ちょっと開いてる唇が潤っていて、どれくらいキスしたいかと思ったか……」
あまりにも煩悩塗れの願望を恥ずかしそうに語るアニーを見て、レンの胸の鼓動は早くなる。それはありとあらゆる感情がグチャグチャになったなんとも名状し難い気持ちだった。
アニーが俺を? 俺をそういう目で?
でも、俺は今女の子で……でも俺は男の子で……。
「…………ちょっと滅茶苦茶だったけど、これが私の気持ち。嘘偽りのない本音……こんな女の子、レンちゃんはどう思う?」
混乱だけがレンの脳内を埋め尽くす。
アニーの言葉は入ってくるのに、それを脳内で整理しようと働いてくれない。形はどうあれ年頃の少女が一世一代の告白をしてるというのに、レンには返す言葉が思いつかない。
「…………ごめん。ちょっと答えにくい」
結果、出たのは『保留』という最も男らしくない腰も肝っ玉も引いた情けない言葉だった。
「…………こっちもごめん。答えにくい質問させちゃって」
去り際、アニーの寂しそうな横顔を見てレンは初めて感じた。
——ああ、俺はなんて事を言ってしまったのだろうと。
…………
……
「はぁ……レンちゃんがまさかここまでヘタレだなんて……」
レンとアニーが暮らす高級マンションのただ広い一室にて、身辺整理を終えて帰宅していたアニーは溜息を吐いて、レンに悪態をつきながらも同時に強要していた我儘な自分に嫌悪していた。
なんで自分はあそこまで言ってしまったのだろうと。
年頃の男の子なら理解があると言っていたのに、現実的に目をしたら思わず口にしてしまった。
そんなアニーの目の前には流れのまま持って帰ってきてしまった元凶である『オナホール』が、少女の部屋にはあまりにも似つかわしくないインテリアとなって机の上を占拠していた。
「……オナホールかぁ」
正直女の子には基本的に無縁な物だ。物好きな女性はペニパンを付けて事前練習として購入することもあるとアニーは聞いたことあるが、生憎とアニーの性的対象は紛れもなく男性だ。
そんな性癖がないアニーからすれば、現物の『オナホール』は未知に満ち満ちた一品だった。
「…………ちょっとくらい、いいよね?」
未知は興味へと密接に関わり、その興味はアニーの好奇心を刺激して観察という行為を取らせる。
うら若き女子高生が、女性の鼠蹊部を模した物を見るという絵面は側から見れば猟奇的ではあるが、アニーからすればそんなことは些細な事である。
弾力はかなりしっかりしている。温もりはないが張りはあり、たしかに少女の肌付きに近いとは言えた。
だが問題は文字通り『中』だ。その中を使うのが使用方法である以上、ここを確認しないと何もわからない。
アニーは垂れ出る腐敗して変色した油分と精液を徹底的に洗い流すと、念のために薄手のビニール手袋を付けて、その少女の鼠蹊部を模した股部分の割れ目へと指を入れた。
「…………柔らかいし、何このウネリ……。私ここまで……」
指から伝わるオナホの感触は嫌に生々しくも中毒的で、アニーは恥ずかしながらも自分のと比べてしまう。
——ちゅるん。ちゅぽん。にゅぷん。
「……結構クセになりそうな弾力」
思わず性的な意味など関係なく、その感触をアニーは楽しむ。
それは小学生時代、100円ガチャで出たスライムで遊んでる時の感覚に近く、手触りだけで面白いという不思議な物だった。
「この中でレンちゃんの……。ううん、レンちゃんが男の子してた時のおチンチンが……」
意識してしまうと、どうしても想像してしまう。自分を『因果の狭間』という孤独な空間から助けてくれたレンの男性器のサイズを。
指を深く入れてオナホの形状を調べてみる。奥手ながらも性に興味深々なアニーは、そのオナホが『形状記憶』という情報は頭にあり、そのままではないが、レンが男の子だった時の男性器の大きさがある程度の分かることは知っている。
一本、二本、三本——。
中指周辺の指が纏めて付け根の部分まで入り切り、それ以上は広げないと入らないところで、アニーは指を引き抜いて大体の太さと長さを目にした。
「……レンちゃん、ちっちゃいんだ」
手元にある端末でアニーは男性の平均的な大きさを見てみるが、その全てが平均値よりやや下回っていた。
とはいっても性経験がないアニーからすれば、興味を持ってる人物の男性器のサイズを人知れず知ってしまうという、変態的で背徳的な行為に背筋に熱が籠るのを感じる。
「……………………絶対気持ちいいんだろうなぁ」
アニーは処女だ。それどころか彼氏がいた事もない。
なにせ『魔女』になる前は、女子プロ野球を目指して毎日部活に明け暮れた快活な学生であり、将来は女子プロ確実と言われた逸材だ。そこに彼氏といった下世話な事が入ることなんて噂レベルでさえなかった。
しかし、それでもアニーは夢見る乙女であり、花咲く女子高生なのだ。人並みには彼氏が欲しいとは思ったことはあるし、人並みには性行為にも興味はあった。
だから指を自分の女性器へと添えて確認してしまう。いったいどれほどの長さがあり、自分の中をどれほど満たしてくれるのかと。
「んっ……」
——足りない。全然物足りない。
それがアニーの嘘偽りない心情だった。
「……それはレンちゃんも一緒だよね」
アニーは再び『オナホール』に指を入れて、嫉妬心でもぶつけるように乱雑に指で掻き乱した。指先に伝わるオナホールの独特の形状は、女性でも気持ちいいと思える感触しかない。
それを直に知ってアニーは少しだけ理解してしまう。男性がオナニーの方が気持ち良いという意見も多い意味を。確かに下手な女性と交わるくらいなら、こうして物言わぬ作り物相手に好き勝手に動いた方が気持ちいいだろうし満足もするに決まっている。私だって、指先よりもディルドの方が気持ち良いと思うし、それが電動式で自分の都合よく動くとより気持ち良い。きっと男性と交わるよりも。
「……っ」
どうしてか、泣きたくなるほどに惨めな気持ちになる。
自分の友情か愛情かも曖昧だが、心を掴んで離さないレンに対する気持ちは嘘じゃないのに、こんな作り物に心から負けを認めて、お前の気持ちは作り物未満だと突き付けられたように錯覚してしまう。
——私のアソコだって、レンちゃんを気持ちよくすることはできない。
——未経験だから、レンちゃんを満足するための技術もない。
アニーの内に嫉妬心が煮え滾って、思わず『オナホール』を無駄だと知りながらも執拗に叩いた。
パチン! パチン! と虚無感が漂う音が室内に木霊する。やがて虚しさに気づいたアニーは、とりあえず細かくしてから処分しようとオナホールにハサミを入れようとした時——。
「……あれ、ぷにあなって——」
再度オナホールのある部分の形状を見てアニーは固まった。
そしてアニーは思いもよらぬことに気付いて、マリルや愛衣よりも嗜虐的で蠱惑的な笑みを浮かべた。
そっか——。
だったら別の形で『男の子の気持ちよさ』を知ってもらおう——。
それなら私とだけ味わえる快楽をレンちゃんに教えてあげられると——。
…………
……
「はぁ……。しばらくアニーと話してないな……」
数日後、レンは根性なしの自分に自己嫌悪しながら自室でゲームに明け暮れる。
先日のいざこざからアニーとの間はギクシャクしてしまい、口数も少なくなってしまった。もちろん両者共に悪いところがあるのだから素直に謝って両成敗すれば万事解決ではあるのだが、そこはお年頃。
レンは相手にも非がある以上、自分から謝りに行くのは妙に癪に触って謝ることができず、そんな空気が日を重ねるごとに濃くなってタイミングを失い現在に至る。
何か、何かキッカケが欲しい。そうすれば素直に謝ることができるのに。そう考えながらレンはアニーの顔を思い浮かべた。
「…………全長20cm」
レンは思わず意識してしまう。アニーが告白した普段使用しているディルドの大きさに。
レンだって元は男の子ということもあって、自分のペニスのサイズを一度測ったことがある。まあ男性としては多少情けない結果ではあったが、それでも20cmというのは平均値からすれば一回りは大きい。
「アニーはいつも……あのサイズを……」
想像してしまうと、思春期特有の桃色脳味噌ではディルドの大きさを振り払うことは難しい。数字では理解しても、実際に見るとどれぐらいの大きさになるのか。
「…………どうなんだろう」
レンは気になって定規を見て、その具体的な長さを目で見てみる。
勉強用の定規は15cmしかなく、残った部分をレンは指先を伸ばして超過分を合わせる。
1cm、2cm……としたところで指の先端は臍に触れた。
「……臍まで届くのっ!? てか手の長さよりもデカいッ!?」
合計18cmほどで臍に到達したことにレンは驚きを隠せなかった。
レンだって子供ではない。女性の子宮がどこにあり、どのようになっていて、赤ちゃんを産むときに臍の尾が繋がることは知っている。臍より下部分に子宮があるのだから、この長さでは完全に届いて貫きかねないほどに長いことに戦慄してしまう。
「こ、怖っ……。絶対痛いじゃんか……」
あまりの大きさに想像してしまったレンは下腹と尻が縮みこませて恐怖する。そんなのが自分の中に入ったら、痛くて気絶してしまうんじゃないかと。
その時レンはあることに気づき、即座に頭を振り払って思考を整える。
なんで『入れられたこと』を想像しているのだ。それも『自分の女性器』にだ。自分は男なのだ、万が一でも自分が男性と交尾することはありえない。
だけど一度思い浮かべた淫乱な妄想は止まらない。
自分よりも遥かに大きいペニス。想像するだけで生唾を飲んでしまい、それは雄としての敗北か、雌としての服従かよく分からない背徳感をレンに抱かせる。
「でも実際……アニーは入れてるわけだし……。入れたらその……き、きも……」
——気持ちいいのかな?
と声に出さずにレンは内心興味を持ってしまう。そして想像してしまう。自分の秘部に男性器が入り、普段自分がオナホールにしているようにペニスが女性器を蹂躙し、その動きに合わせて性を貪る自分の卑しい姿を。艶やかな嬌声を上げながら、頬を紅潮させて喘ぐ自分の姿を。
——想像したら、何とも言えない疼きをレンは股下から感じた。
レンは無意識に全身鏡に映る、既に何ヶ月と付き合った女の子の自分へと目移りしてしまう。
鏡には休みの部屋着ということもあって白シャツ、白ショーツだけを身に纏う黒髪の美少女がいた。しかしそこにはレンが見慣れたはずの女の子としての顔はない。ショーツを僅かに濡らし、無意識に秘部へと指を伸ばしている卑しい『女』の姿があったのだ。
——犯されたい。
そう、どうしようもなく疼く自分がいることに、その時初めてレンは気づいた。
「…………いやいや! 俺は男だぞ。いくら今は女の子でも、そんなホモみたいな真似……」
既のところで冷静になったレンは、即座に指を伸ばすのやめる。だが過剰に膨らんだ好奇心だけは止まらない、止められない。
濡れたショーツを変えるために脱ぐが、レンからすればそれは今まで見たことがない姿でしかない。性的興奮で濡れて蒸れる自分の女性器。どうしようもない疼きがレンの思考を侵し、鏡の前で下半身を露出させる痴女へと仕立て上げる。
——入れたい。入れてみたい。
——犯されて、善がり狂いたい。
「——レンちゃん。もしかして女の子の秘密に興味あったりする?」
「ひゃ、ひゃい!!?」
その時、後ろから声が聞こえてレンは上擦った声を上げながら振り返る。
そこには意中の人物であるアニーがいた。だが、その顔つきは普段レンが知っている少女の顔ではなかった。
自分と同じように『女』として艶やかに息を溢すアニー。動作の一つ一つが艶かしく、レンは思わず目の前にいる人物が本当にアニーなのかと勘ぐりながらも興奮から生唾を呑んでたじろいでしまう。
「い、いやいや! 興味ない! 全然全く!」
「ふ〜〜ん♡」
アニーの声は妖艶で、吐息一つでレンの本能を擽る。こちらの心中などお見通しだと言わんばかりに、アニーは視線をレンの鼠蹊部へと下げて不敵に笑った。
「でも、ここは濡らしてるよね?」
そう言ってアニーはレンを逃さないように左腕で上半身を抑え、その右腕でレンの鼠蹊部を撫で始めた。蛇が獲物を狙うように、肌を這って秘部へと向かう。
スッと、肌を伝う細指のこそばゆさにレンは思わず声を漏らしてしまう。生娘のような細くて高い声。それは情欲を駆り立てる声であり、アニーの指先はそれに反応して、より指の動きを機敏にさせた。
レンは「んっ」と怖がりながらも期待してしまう。
自分の濡れに濡れた秘部に指を入れられる。アニーの細指が自分の秘部を、レンのまんこをトロトロに解きほぐしてくれると。
期待と高揚感は止まらずに溢れ、レンの肌身を熱くさせ、より愛液を滴らせる。一滴、また一滴と雨にでも濡れたかのように張りの良い太腿へと滴り落ちていく。
——もう少し、もう少しでイケる。
レンは今までの抵抗はいずかに消え、訪れる絶頂に身構えて待つ。
それは『男』としての本能的な抵抗か、あるいは『女』としての本能的な受容なのか。それはレン自身にも分からない。
——ただ、この快楽を受け入れたい。そう思うだけ。
「……でも、してあげな〜〜い♡」
「ふぇっ……?」
だが、既のところでアニーは秘部から指を離して前戯を止めた。
レンは絶頂寸前のところだったせいで、下半身のすべてに力が入らずにペタンと虚ながらも艶やかな目を浮かべながら、女の子座りで自らの愛液で湿った絨毯へと腰を置く。
——なんで。もう少しでイケそうだったのに。
「だってレンちゃん、男の子だもんね〜〜♡ おまんこグチュグチュにして、みっともなく『女の子』としてイキたくないよね〜〜♡」
「あっ……そ、そうだよ! 俺は男だ!」
アニーの言葉で僅かに自意識を取り戻したレンは、今更どの口が言っているのかと思うことを口にする。
それを聞いてアニーは満足そうに「そうだよね〜〜」と楽しく言うと——。
「だ•か•ら♡ レンちゃんには男の子としての快楽を教えてあげる♡」
アニーは何処かからある物を取り出した。
それは先ほどまでレンが妄想していた『20cm』のディルドだ。既にローション特有の光沢が帯びていて、否が応でもそれが今何に使われるのかレンは分かってしまう。
——犯す気だ。
——アニーはあのディルドで自分のまんこを犯してくれるんだ。
実際に目の当たりにして、その逞しさにレンは思わず雌としての興奮を隠しきれずに息を漏らしてしまう。長さもそうだが、なによりも『太さ』と『亀頭』が作り物だと分かっても、男性としての敗北を感じてしまうほどに凛々しいのだ。
女性器を隙間なく埋めるどころか、ディルド専用にするんじゃないかと思うほどに丸太みたいな怪物的太さ。亀頭は入れたら、絶対に孕ませると言わんばかりに膨らんでいて、偽物であるはずなのにレンはその逞しさに子宮が疼くのを理解してしまった。
「そ、それって女の子用のじゃあ……」
期待と狼狽えを交えながらもレンはディルドに魅入られて視線を釘付けにしてしまう。先端がアニーの手の動きを敏感に察知して右へ左へブラブラすると、オヤツを待つ犬のようにレンの首も連動して動く。
「使い方一つだよ〜〜♡ これを〜〜、こうや……って!!」
「ぉお!?♡♡♡」
そう言ってアニーはレンの股部——の後ろ部分である『肛門』へとディルドを押し込んだ。
「レンちゃんのお尻の穴に入れるんだよ〜〜♡」
「ひっ……♡ いたいっ……♡」
ミチミチと普段出すところであるはずの肛門に異物が入れられる。ズブ、ズブっと、アニーが少しずつ一突き入れる度に冷たくも愛してしまうそうな偽物の魔羅が腸内へと近づいていく。
そんな未知の感触にレンは恐怖と興奮が入り混じり、身体中の神経を機敏に反応させる。
背筋も絶え間なく電流が襲うような衝撃が駆け巡り、二つの思考が入り混じってレンの全てを混乱させ、新しい世界へと導く。
——痛い(気持ちいいっ♡)
——抜いて(抜かないでっ♡)
——イキたくない(イカせてっ♡)
「ふ〜〜ん……前から薄々思ってたけど、レンちゃんって真性のMなんだ♡」
「あぅ♡ ち、違う♡」
「違わないよ♡ 初めてなのに、こんなキツくて痛そうなのに、レンちゃんのおまんこは愛液を垂れ流して興奮してるんだもん♡」
「ち、違うぅんっ♡ こ、これは、その……」
「Mだよ、M。超ドM。だって……ね!」
「オ゛ォ♡♡♡」
ディルドがレンの肛門をさらに抉り、腸内にまで到達して犯す。腸内を混入する異物感。身体が本能的に捻りだろうとするのに、精神は受け入れたくて堪らない。ディルドに無理矢理肛門を犯されて、侵されて、今だけは玩具の玩具になりたいと懇願してしまうほどに。
しかし、それ以上に思考を惚けさせる脳内麻薬がレンを満たす。
気持ちいい——。気持ちいい、と——。ただ感じてしまう。それもただ気持ちいいわけじゃない。
男なのに肛門を、ケツ穴を翻して情けないラッパ音が出る様にみっともなく、たかがディルドに屈服してしまいそうな『背徳感』が『敗北感』が気持ちいいと感じてしまっているのだ。
「こんなに乱暴にやってるのに感じてるんだよ? これをMって言わずになんて言うのかな?」
アニーはさらにリズミカルに動かす。レンの意思など鑑みず、ただオモチャを扱うかのように自分勝手に。
気持ちいい——♡ 気持ちいいっ——♡
痛いはずなのに、レンの脳内はその感情一つに染まり、重なっていく。肛門が犯されるたびに、愛液を滴らし、レンの『男』としての意識が出ていくのが理解してしまう。止めように止めらない。もう『男』とか『女』とかどうでもいい。ただ気持ちよくなりたいと一心に求める。
もうそこには『発情した獣』でしかいなかった。本能に善がり狂う卑しい獣。それは今のレンの嘘偽りない姿だった。
そんなレンを——アニーは逃しはしない。
今の自分から逃避しようとする『男』としてのレンを。
「レンちゃ〜〜ん♡ 前に話したよね〜〜♡」
「あっ♡ んっ♡ なっ、にをっ♡」
「靴のヒールの話〜〜♡ ルイ14世が背を高く見せるために『男』なのにヒール履いてたんだよ〜〜♡」
「あっ……っ♡」
やたら『男』という部分を強調させることでレンの『男』としての部分を逃しはしない。
自分は男なのに、どうして肛門を犯されるだけでこんな『女』みたいに善がってしまうんだと。掠れゆく意識でレンはそう感じてしまう。
「それと同じでアナル感じちゃうのは『男の子』として当然♡ だからイッていいんだよ、お・と・こ・の・こ♡ として〜〜♡」
これまた『男の子』という部分を刺激して、レンの自意識を強制的に奮い立たせる。『獣』としてイクことは許さない。絶対に『男の子』として、しっかりと肛門を犯される魅力を知ってもらわないといけない。
「イッて……♡ いい……♡ 男として……♡♡♡」
「そう♡ 男の子としてイケるんだよ〜ー♡ 身体は女の子なのにね〜〜♡」
それがアニーができる『女の子』となってしまったレンにできる、唯一の性的な愛情表現——。
肛門での性行為は男女共通で味わえる。もちろん男性であれば『前立腺』が刺激され、女性であれば『ボルチオ』と細かい違いはあるが、どちらにせよ性感帯として刺激し、絶頂を迎えるということは可能。
しかしレンは知らない。男として肛門でイクことは俗に言う『メスイキ』ということを。
肛門でイッてしまえば、男性として普通の快楽には戻ることはできないほどの快楽が襲い、それはある意味において『男性にある女性的思考』を不可逆的に受け入れることになることを。
あまりの背徳感にアニーの興も乗りに乗ってしまう。
レンの肛門の具合は初めてと思えないほど順調で、予め肛門の拡張でもしてたか、本当に生まれつき犯されるためにあるんじゃないかと、思ってしまうほどに。
——これだったら、私の『コレ』も無駄にならない。
そう確信して、アニーは自分のスカートへと手をかけた。
「これ以上はダ〜〜メ♡ 私も一緒に気持ちよくなりたいし♡」
アニーは自らのスカートを外すと、そこには女性にあってはならない『ペニス』があった。
正確にはペニスを模した作り物——俗に言う『ペニパン』という物であり、その大きさは先ほどのディルドと同じだが太さが一回り違う。さっきのが丸太というなら、アニーの股間にぶら下がるペニパンは筋肉が張った二の腕なのだ。
ミチミチと張り上がっていて艶も格別だ。作り物なのにどんな男性よりも雄々しいイチモツに、レンは花に誘われるミツバチのように吸い付いて匂いを嗅いでしまう。
「スゥ〜〜……♡♡♡ ハァァ〜〜……♡♡♡」
「犬みたいに発情しちゃって♡ レンちゃんってエッチだよね♡」
アニーの声は耳には届かない。レンの五感はすべて匂いに惹かれているからだ。
シリコン特有のゴム臭さ。それに交わるアニーの染み込んだ爽やかながらも濃厚な汗臭さ。あまりの香ばしさにウットリと目を細めてレンは何度も何度も深呼吸してしまう。
今ならソヤの気持ちはわかってしまう。匂いで機敏に反応してしまうそのわけが。
こんな濃厚な匂いを一度でも理解してしまえば、もう普通の匂いなんてどうでもいい。タバコやドギツイ香水なんて、この魅惑の匂いと比べたら遥かに淡白でつまらなさすぎる。
「な、何する気だよ…………♡♡♡」
「分かってるくせに♡」
もうレンは心の奥底では受け入れていた。
その証として口でも既に期待を隠しきれていないというのに、未だに秘部からは愛液を垂らし、四つん這いで腰を浮かせて肛門をアニーに向けるという服従行為を無意識的に行なってしまうほどに。
「ねぇ、レンちゃん♡ 私に全部任せて——」
レンの肛門にペニパンの先端を今か今かと挿入を焦らしながら、アニーは既に聴覚さえも性感帯となっているレンの耳に愛撫をするように囁いた。
「一緒に、イこっ♡」
……
…………
「あにぃ♡ あにぃ♡」
「どうしたの、レンちゃん♡」
こうして最初の性交が始まったのだ。
レンは口だけで抵抗することもなくアニーの動きに享楽を味わい尽くし、そんな淫乱なレンをアニーは愛した。その果てに2人は達したのだ。
だがアニーはまだ満足するには至っていない。強欲で貪欲な性欲が湯水の如く溢れ出し続ける。
まだ——。まだ足りない——。
レンちゃんをまだ弄りたいと——。
そのアニーの期待に応えるように、レンは果てて虚になった瞳に輝きを灯し、力なく腰を浮かせて言った。
「もっと犯してくれぇ♡ どっちでもいいから俺の疼きを止めてくれぇ♡」
レンは自分から下半身を見せびらかし、下手な娼婦のように肛門も秘部も自らの両手で広げて媚びる。
肛門からは薄赤色に染まったローションが爛れ落ち、秘部からは寂しそうに涎のような愛液が溢れ、偽物の男性器を旦那様として受け入れようとヒクヒクと誘う。
それをレン自身は気づいていない。どちらに挿入されようとも自分が『男』としての関係性としては下の下であることを。野生的に見れば、それはもう完全服従の証であることを。
それだけレンはアニーとの性行為に夢中になってくれている。アニーとの性行為を悦んでいてくれている。
それがアニーの嗜虐心を高揚させる。自分がレンに求められているというだけで逝ってしまいそうになるほどに幸福感が溢れ出てくる。
もっと、もっと悦んで欲しい。愉しんで欲しい。
けれどそれ以上にアニー自身が求めている。レンの身体をこの身で味わいたい。いくらディルドをレンが楽しんでるとはいえ、こんな偽物ではやはりまだ足りない。肉体的にも精神的にも、もっと確かな繋がりをアニーは欲している。
本当だったら、私がレンちゃんのオチンコをしゃぶったり、挿れたり、舐めたりして満足させてあげたいのに————。
——チュゥ……チュゥウウ……♡
「ひゃぅ♡ アニー♡ そ、そこは吸うとこじゃ……♡」
そう思うと自然にアニーは口をレンの秘部へと向けていた。女性器の中でも最も性感帯として機敏であるという突起物。男性でいう『陰茎』や『チンコ』と入れ替わるように存在する『クリトリス』へと。
言わば女性版の『陰茎』——。
それをアニーはレンの男性器と思いながら、その豆粒のように小さい性感帯を勿体ぶるように深く舐め回し、吸い付き、甘噛みをする。まるで赤ちゃんが母乳を求めるかのように。
「〜〜〜〜ッ♡♡♡」
レンは声にもならない呻きを上げて善がる。我慢してるのに、尿と愛液はそれでも溢れてアニーの顔を汚してしまう。匂いは染みつき、衣服も湿っていく。
だけどそれさえもアニーには愛しい。アニーからすれば、それは自分がレンの物にされているという証でもあるからだ。犬のマーキングにも近い物であり、この身体に混ざり合う匂いこそがアニーにとっての繋がりを強く意識させてくれる。
レンをMと言っておきながら、自分も同等の被虐体質だ——。
そう自覚しながら、今だけはこの愛液を、尿を、レンの精液だと思いながらアニーは口にする。どんなに汚れていても喉が通る。劈く臭いが喉を通り、異物感が喉と胃が拒否して「ケプッ♡」と軽いゲップとなって漏らす。その背徳感すらアニーを絶頂させる一因となる。
レンの愛液がそのままアニーの体内を巡っているのではないかと思うくらいに、アニーの秘部から愛液が溢れていく。下半身の力は無くなり、アニーもレンも床へと倒れ伏しながら、貪欲にクリトリスを舐めてしまう。それしか脳が覚えていないんじゃないかと錯覚するほどに一心に尽くす。
——ジュルッ♡ チュルッ♡ チュププッ♡
「ハァ……ッ♡ ンン……ッ♡♡♡ お尻にぃ♡ アニーの、指がっ……♡♡♡」
アニーの奉仕は止まらない。
口はレンのクリトリスを弄り続け、右手はレンの肛門を侵し、左手は自分自身の秘部へと向けてオナニーを始めていた。
もはや邪魔なペニパンは無意識のうちに外し、入れ替わって現れた小さなペニスのように突起するクリトリスをアニーは夢中で慰める。
四肢から伝わる卑猥な音と感触が、アニーとレンを一つにする。
指先から伝わる淫乱な体温と脈が、アニーとレンを繋げてくれる。
——もっと、もっと一緒になりたい。
「レンちゃんも少しくらい女の子を悦ばせるくらいにはなろっ♡ 私のオマンコ舐めていいから♡」
「ぁ♡ 俺の顔にアニーのがキタぁ♡」
アニーは自分がレンの秘部へと顔を向けるの同様に、レンに向かって自分の秘部を押し付ける。それは一般的に『二つ巴』と呼ばれる物であり、互いの性器を口や手で愛撫するための体位だ。
会話せずともレンにはアニーの意図は分かる。愛しく勃つアニーのクリトリスをレンは舐め回す。唾液と愛液が入り混じって、口に入れるたびに「ネチュ、クチュ♡」と卑しく音を奏でる。
だがレンの音も同様に卑猥な物だ。行為そのものに慣れ始めたアニーがクリトリスを舐めると「グチュ、ブチュ♡」と太ましく音が響く。
「「〜〜〜〜っ!!♡♡♡」」
程なくして二人は絶頂した。愛液を噴出させて二人が混じり合う床を濡らしていく。
絶え間なく頂く、と書いて絶頂だ。
二人は無尽蔵に溢れる性欲に任せて何度も何度も混じり合う。
「ハァ……♡ ハァ……♡」
「ッ……♡ んっ……♡」
ディープキスをしながら互いの手でクリトリスや秘部を弄ったりした。そのまま手ではなく互いのクリトリスをぶつけ合うことで達したりもした。
「あっ♡ んっ♡ もっと乱暴に動いていいよっ♡」
「しゅごい♡ 偽物なのに、射精してるみたいに気持ちいいっ♡♡♡」
ある時はレンがペニパンを付けて、アニーの肛門や女性器を犯した。時には双頭となったディルドも持ち出し、互いの肛門同士を犯しあったりもした。
「ひゃうっ……♡ なんで臍が気持ちいいのぉ♡」
「子宮頸部には臍に繋がった部分があってぇ♡ それも性感帯の一種なんだよ♡ 『ポルチオ』って聞いたことあるでしょ♡」
新たな性感帯を開発するために様々な部位を愛撫した。臍を撫でたり押したり、あるいは首筋や耳を噛み合ったりもした。
「ね、ねぇ?♡ 本当にバレない?♡♡♡ こんな変態みたいなことして……♡♡♡」
「バレないって♡ イルカ達は一度寝たら中々起きないから♡」
休憩がてらペニパンで肛門を犯しながら、リビングまで『手押し車』の体位で移動して口移しで水を飲みあったりした。軽食を作る時も乳輪や腋を舐めあったりもした。
「んっ♡ んんっ♡ レンちゃん……強く噛んでっ……♡♡♡」
「おっぱいおいちいっ♡ もっと♡ もっとっ♡」
母性を求めて母乳など出るはずのない乳輪を赤子のように貪りあった。
「見て見て♡ レンちゃん♡ 私のオマンコ♡ レンちゃんと違うでしょ♡♡♡」
「うんっ♡ すごい蒸れてて……♡ すごぉく、良い匂い……♡」
趣向を変えてオナニーの見せ合いもした。
レンにとっては初めての女性としての自慰行為。誰かの見られてることもあって、その絶頂は男の時よりも何十倍も轟き、イってもなお指が止まらずに動き、終いには自ら淫乱に腰を落としてディルドで抉られて広がる肛門をアニーに見せつけてもいた。
「アニー……入れてもいいんだよ……?♡」
「ダメ♡ それはまだダメ♡」
それでもアニーは最後までレンの『女性器』を犯すことだけはしなかった。犯してしまったら最後、レンが『男』に戻れなくなるような予感があったから。
私はレンちゃんが好き。だからこそレンちゃん自身が思っている『男に戻りたい』という部分に触れるのが怖い。
もしもレンちゃんのオマンコを犯したら——。
もしかしたらレンちゃんが『男』に戻れなくなるんじゃないかって。
「もう……いいんだ♡ アニーは『俺』のことが好き♡ 俺もアニーのことが好き♡ 『男』だからとか『女』だからとかじゃなくて……♡ 『俺』が好きだから、好きでいてくれる♡」
「だから」と言って、レンは自分の両手で女性器の口を手を添え——。
「俺の……『処女』をもらってください♡♡♡」
恋人にあげる結婚指輪のように————。
自分の女性器をアニーに見せつけ————。
「ハァッ……♡ ハァッ♡」
アニーはペニパンを、レンの女性器へと躊躇なく挿入した。指輪が薬指に嵌められるの同様、偽物のペニスがレンの女性器を嵌める。
それが二人にとってに好意の最大限の表しだった。
世の中には色々な愛がある。もちろん良い愛や悪い愛、どちらも含んでだ。
「痛いだろうけど……♡ 我慢してね……♡」
「だいじょうぶ♡ 俺はMだから♡ 痛い方が気持ちいいし、幸せなんだっ♡♡♡」
本物の男性器とか関係ない。本物の性別とか関係ない。そんなの二人にとって瑣末なことなのだから。本物とか偽物とか、男とか女とかどうでもいい。愛の形は人それぞれなのだから。
アニーはレンを愛している。
レンはアニーを愛している。
それだけが本物以上に本物——『真実』なのだ。
それを証明してくれるなら、別に偽物の男性器であろうと、性別があべこべとか小さなことでしかないのだ。
「もぉう♡ 何度目か分からないけどぉ♡ 一緒にイこうッ♡♡♡」
「んっ♡♡♡ んっっ♡♡♡」
深い口づけをしてアニーはレンの秘部を犯し尽くす。
快楽が昇る。悦楽が昇る。享楽が昇る。歓楽が昇る。
足先が脳天まで満ちる。溢れる。絶頂には既に達している。
だからこそ欲するは絶頂の先——。それがもう少しで味わえる。
——ジュル♡ ジュルル♡♡♡
——パンッ♡ パンッッ♡♡♡
二人の口づけと交尾はより深くなる。
愛はより重く、より深く。絶頂の先の寸前。
二人は性行為は続く。卑猥な音だけを響かせながら。
そして——その時はきた。
「「ッ〜〜♡♡♡♡♡」」
声はもう必要ない。心で分かった。
二人は同時に絶頂の頂点に達してイッた。
レンの愛液が処女膜を破られた血と混じって溢れる。
痛い、痛くて仕方がない。それでも、この痛さと幸福こそがレンにとってアニーに対しての愛を形にした物だった。
もう誰もレンの処女は奪えない。アニーが犯して頂いた。
それはレンがアニーに何の替えも貰えない物を差し出したということ。
アニーだけの、レンの処女——。
自分が『男』としても『女』としてもアニーが好きであることを証明するために捧げた。
「ハァー……♡ ァー……♡ 気持ち……良かったね♡♡♡」
「フゥー……♡ フゥー……♡♡♡」
もう、レンちゃんが『男』とか『女』とかどうでもいい。
ただただ愛してる。
アニーは一人の『人間』として、レンを心の底から愛している。
レンは一人の『人間』として、アニーを心の底から愛している。
——それが分かっただけで十分なのだから。
——これ以上は強欲が過ぎるかも。
「……な〜〜んてね♡ まだ続けるよね、レンちゃん♡」
「うん♡ もっとぉ、アニィとセックスしたい♡」
それでも花の女子高生の情欲は止まらない。
二人は再び性を貪り合おうという時——。
『お姉ちゃ〜〜ん。朝ごはんまだ〜〜?』
『まだーーっ!?』
——純粋無垢な子供達の声が届いてきた。
「えっ♡♡!!? あっ!?♡ うんっ!! 今行くから待っててっ!!」
「ちょっと部屋汚いから入らないでねっ!?」
『『わかった〜〜!』』
時刻は朝方も朝方——。午前7時過ぎ——。
リビングから子供たちの声が聞こえて、ようやくレンとアニーは自分達がどれほどの時間を愛に費やしたのかを瞬時に理解した。
2人にとって妹分であり、娘みたいに可愛いイルカとシンチェンに今の生々しい醜態を見せることはできない。
レンとアニーは初めてのはずなのに、まるで熟年夫婦特有の無言の手際で部屋中に散乱したオモチャから匂いの染み付いた衣服、下着を手早く片付け、クローゼットから新しい下着と肌着を取り出して着替える。
「はい、アニー! これ使って!」
幸いにもレンが制汗シートを常備していたことで、2人は互いの身体を隈なく拭くことで匂いと汚れを取ることはできた。
そして胸はともかくとして、2人とも似たり寄ったりの身長と安産体型のためアニーはレンの下着とあり触れた白シャツを着て、何事もなかったかのように誤魔化しておく。
「あー……その……」
「いや……うん……」
2人の間に気まずい雰囲気が流れる。
時間も子供達のことも忘れてしまうほどに夢中で性行為を一晩掛けて繰り返していた。
改めて身体を見ると、二人ともシャツ越しでも分かるくらいには乳首が勃っていて「まだ続けたい」と主張している。
だけど夜の時間はもう終わり。今日も今日にて日常があり、学校がある。寝坊をしたら保護者に怒られてしまう。
——だから名残惜しいけど今日はここまで。
「今更なんだけどさ……その……改めて言うんだけど……」
レンは言葉を少々曇らせながら口にする。
それは気恥ずかしさから来るものだが、決して伝えたくないという否定の意思ではない。むしろ伝えたいからこそ、確かに言葉にしようと苦労しているのだ。
「——好きだよ、アニーのこと」
「…………うんっ」
二人は口づけをする。
今度は性欲に任せず、愛を確か合うように長く長く深い口づけを。
「レンちゃん。私は処女膜がないって知ったら幻滅する?」
「ううん。膜だけでしょ。運動とかで破れることってくらい聞いたことある」
レンだって性知識に乏しいというわけじゃない。男性の事情に詳しいように、女性の事情についてもある程度は知っている。女の子になってから相応に日数は経過しているのだから。
「そっか……。じゃあ、今度する時は私の本当の『処女』をあげるね♪」
「うん……!」
二人はより深く口づけしあう。
衣服越しに肌と肌を触れ合わせ、突起した乳首が互いの乳首と捏ねくり合う。
その気持ちよさに——。どちらとも愛液を滴らせた。
「……どうしよう、またシたくなってきちゃった♡」
「……じゃあ、一度だけしよっか♡」
「……………………うんっ♡♡♡」
こうして二人は再びセックスを始めた。
身体は女同士の非生産的な性行為。だからこそ遠慮なく快楽を貪り会える。立ちあったまま身体同士をくっつけ、互いの指で秘部を刺激を与え、舌を絡ませて弄り合う。
「「イクッ……!♡♡♡」」
そして二人はまたイッた。せっかく着替えた衣服は再び匂いと汚れを染み付いてしまう。それでも二人の愛は止まらない。
結局そのあと三回は混じり合い、朝食は出来合いの物になってしまい、二人は学校に遅れることになったとさ。
めでたし、めでたし。
「若いっていいなぁ〜〜♪」
なお保護者兼SID長官である我らのマリル様には、今回のことについてすべて筒抜けであった。
これで本当におしまい。
緑色のお嬢様「私は?」