頭が重たい。思考が回らない。博麗神社の宴会で、飲み過ぎたときによく似ていた。小人なだけあって、ほんのちょっとの酒で酔い潰れてしまうのだ。
「ううん……?」
溜息を吐きながら、のっそり起き上がる。あたりを見回す。知らない虫かごだ。向こう側に見える景色も、やはり見覚えがなかった。
「やぁ、おはよう、少名針妙丸ちゃん」
「うわっ!」
突然の声に、腰が浮く。中年男が、網の向こうから覗き込んでいる。
一目で分かる肥満体だ。余りまくった肉が瞼を押し下げて垂れ目になっている。団子鼻を黒ずんだ毛穴が苺のごとく飾っている。鼻筋に浮かんだイボは、ガマガエルを連想させる。たらこ唇は乾燥しており、乾いた皮膚が張り付いていた。
ぱっと見に、不快感を覚える相貌だ。針妙丸からすると、怪獣にすら思えた。やたら胡散臭いし、見ていて自然と警戒心が湧く面構えだった。
「いや、あなた誰? あとここどこ?」
「ここはおじさんの職場だよ。針妙丸ちゃんには、おじさんのお仕事を手伝ってもらいたくってねぇ」
言って、男は恵比寿顔を浮かべた。笑顔は通常、好意を示すために用いられる表情だ。ところが彼の顔は、鳥肌が立つほど気色が悪かった。逆さ三日月型に歪められた目の奥から送られる、舐め回す視線のせいだ。へばりつくような猫撫で声が助長していた。
「手伝い……なんで私が。お断りだし、帰るから、ここから出して」
「それは困るなあ。せっかく高いカネ出して、君を攫ってきたんだ。せいぜい役立ってもらわないとね?」
「は?」
攫った?
どうりで、見覚えのない場所にいるわけだ。目の前の男の胡散臭さにも納得がいった。人攫いとしての本性がにじみ出ていたのだろう。
「ふざけないでよ。小人だからって油断してるんじゃない? あんたなんか、どうにでもなるんだから」
奪われたのか、針も小槌も椀も見当たらない。とはいえ自分は小人の末裔で、巫女や魔法使いともビシバシやりあったのだ。チャチな虫かごを破壊して、ふつうの人間一人シバく程度は、わけもなかった。
弾幕ごっこの構えをとる。男は口端を吊り上げ、気色の悪い笑みをみせる。
「おっと、こわいこわい。お座りだ」
「あ? ……は?」
お座り、と彼が口にするなり、脚から力が抜ける。膝がカクンと折れ、立っていられずへたり込んだ。
「いやいや、針妙丸ちゃん……。おじさんもねぇ、君にかなわないことぐらい、よく理解してるよ。だから当然、対策もするに決まってるよねぇ?」
そんなことにも気付かないの? と、嘲弄の意思を隠そうともしない声色で詰ってくる。立ち上がろうとするも、腰から下は操り糸を切ったかのようにピクリともしなかった。
「さぁて、じゃあおじさんに続けて言ってごらん。『少名針妙丸は騙されて催眠にかけられたお間抜け小人です。今日からおじさまの催眠おまんこペットとして誠心誠意尽くします』。はい」
「少名針妙丸は騙されて催眠にかけられたお間抜け小人です。今日からおじさまの催眠おまんこペットとして誠心誠意尽くします」
男が並べたてたのは、こっ恥ずかしく馬鹿馬鹿しい台詞だった。耳が腐りそうな言葉の数々を、自らが口にしたとなれば、驚愕するのは当然だった。
「え? は……? なんで」
「おやおや。まだ状況が分からないのかな。小人だけあって脳ミソも小さいみたいだね? 自分がどうしてここに来たか、思い出してごらんよ」
罵倒に反抗し、ぎっと睨み付けつつも、曖昧な記憶をたどる。意識が途切れる直前、蚤の市を訪れていた。縫い物をするために、布を探していたのだ。
布は不作だったが、人形用のイヤリングを見つけた。大抵の装飾品が着けられない針妙丸にとっては、ありがたい逸品だ。店主に声をかけ、試着して――。
「アレか……!」
取り付けた瞬間から、記憶が喪われている。何かのマジックアイテムだったに違いなかった。
「いやあ。アレにかかってる呪いは、相当強力だったんだけどね? 人形サイズだから使い道がなかったんだけど、まさかお間抜け小人が引っかかるとはねぇ! 棚からぼた餅ってのはこのことだよ、まったく」
げらげらと、悪意にまみれた耳障りな声で男は笑う。ぎりぎりと奥歯を噛みしめるが、まるで意に介した様子もなかった。
「ま、そういうことだから。針妙丸ちゃんにはこの見世物小屋で、ショーをやってもらうよ、いいね?」
「はい、もちろんです! 頑張ります」
ふざけるんじゃないよこの馬鹿たれ。と、言おうとしたにもかかわらず、喉から飛び出したのは弾んだ返事だった。驚くとともに、吐き気を覚える。
見世物にしていただける。合意なしに、己の姿でカネ稼ぎしていただける。イヤリングの呪いか、喜びがこみ上げていた。そんなことがあってたまるかと、首を振る。
「いいねぇ、良い返事だ……さて、じゃあステージに行こうか? 逃がさないから覚悟しておいてね?」
「はいっ、もちろんです」
言うなり男は、虫かごを片手にかかえ、どこかへ向かう。こちらに対し何の配慮もない運び方だった。足場がぐらぐら揺れ、二三回こける。
酔いそうになりながら、周囲をうかがう。男は見世物小屋と言っていたが、今移動しているのはバックヤードらしい。ゴミやガラクタが、乱雑に置かれている。隅には檻が放置され、得体の知れない獣がこちらを見つめていた。
「君もこの中の一つになるんだよ。嬉しいねぇ?」
「嬉しいです。光栄です、ありがとうございます」
口を閉じようとするも、押さえる腕よりもよほど強固な力で顎は動いた。
しばし進んだ後、ステージに出る。設けられた演台へ、虫籠がガタンと乱暴に置かれる。体が軽く浮き上がった。
尻餅をつき、痛みに腰を撫でていると、籠の蓋が開かれる。
「さぁ、出てくるんだ」
「はぁい」
普段なら絶対に上げない、甘ったるい媚びた声で返事をする。言われるまま外に出ると、ぎらつくスポットライトが目を刺す。思わず顔をしかめた。
二三度まばたきし、周囲の様子をうかがう。ホールには数十近い客が詰めていた。ほとんどが男だった。どこか下卑た歓声が浴びせられる。
ステージ真下に、河童製らしきカメラが設置されている。振り返れば、ステージ後ろの大スクリーンに、自らの姿が映し出されていた。なるほど、後ろのほうの客にも、小人である自分がよく見えるようにする工夫か。
「紳士淑女の皆様、ようこそお集まりいただきました。本日のメインショーを執り行わせていただきます!」
男が高らかに宣言すれば、客がワッと湧き上がる。ピィィッ、と指笛を鳴らす者まで出てくる。
人をオモチャにして楽しいのか、こいつらは――と、小さく舌打ちする。途端、不遜な態度を咎めるがごとく、イヤリングが薄暗く発光する。不自然なほどの喜びに、心が満たされていく。相反する感情に戸惑う針妙丸をよそに、男は司会を続ける。
「本日の主演はこちら! 催眠洗脳イヤリングを自分から着けて肉人形に成り下がった、お間抜け小人の少名針妙丸! 小人姫の人生終了公開肉オナホレイプショーを執り行います!」
「……ハァ!?」
人生終了公開肉オナホレイプショー。
耳に入れるだけで怖気が走る言葉だった。その主演を自分がするなど、到底受け入れられるはずもない。
思わず、男を凝視する。対する男は、当たり前だろう? とばかりの表情を浮かべていた。
「おいおい、まさかケースにでも入れて大事に展示してもらえるとでも思ってた? そんなの面白みも何もないだろう。フリークスショーってのは刺激的でないとねぇ?」
男の目には、獲物を嬲る嗜虐の喜びが浮かんでいた。もっと幼く、弱かったころ、野良猫に襲われたときのことを思い出す。どうにか逃げ出したが、ボコボコにされた。あのとき向けられた目と同じだ。
恐怖に喉が引きつる。と同時に、自らの貞操をメタメタにしてもらえることへの喜びがこみ上げていた。気が狂ってしまいそうだ。イヤリングが、薄紫の妖しげな光を放っていた。
「では、本日のメインキャストである針妙丸ちゃんに自己紹介してもらいましょう!」
男が告げると、再び歓声が響いた。下品な野次が飛ばされる。無数の好色な視線を感じた。
「みなさん初めまして、催眠洗脳お間抜け小人アイドルの少名針妙丸です。今日はこのおじさまにハメ潰していただいて、人生を終わらせて肉オナホとして生まれ変わらせていただくところを、たっぷりご覧下さい!」
そのうちの一文字だって口にするのが憚られる言葉を、つらつらと並べ立てる。止めようとするも、口はまるで意思に従おうとしなかった。
「じゃあまずは、わたしのやらしいカラダを公開しちゃいます!」
自らが吐いた台詞にぎょっとする。動転している間にも、手がひとりでに動く。やはり、止められず、しゅるしゅると帯が解かれる。衆人環視の下で、あっという間に素肌を晒すこととなった。
まじまじと観察するには本人が小さすぎるものの、針妙丸の顔立ちはかなり整っている。ぱっちりした瞳や柔らかな頬に、どこかあどけなさを残しつつも、成熟した女性としての色香も漂わせている。小人の末裔に相応しい美少女だった。
体つきは、幼さを保つ顔とは裏腹に、かなりグラマラスだった。服を着ているぶんにはスレンダーにすら見えるのにだ。相当、着痩せしていた。そもそも身体のラインが出ないように着付けていたが故だった。
とはいえ、まったく不自然ではない。むしろ、肉体の自然な美しさを感じさせる。何にも憚らぬ、天真爛漫なボディといえた。
白くなだらかな首や肩は、えも言われぬ可愛らしさを誇る。鎖骨の窪みがフェティッシュで、見ていると思わず口づけたくなるほどだ。
そんな魅惑の領域よりも目を惹くのは、乳房だろう。晒しを解いた瞬間、ぷるんっ! と弾けるほどの巨乳だった。体格に比してかなりたわわな双丘――否、双山は、カップにしてFほどもある。
弾力と柔らかさを兼ね備えており、呼吸をしているだけでも、ふるんふるんと小さく震えるほどだ。瑞々しい肌によって象られており、まさしく極上のバストといえた。
わあわあと、ホール内に野次が響く。男たちは目を血走らせ、スクリーンに大写しとなった彼女の両乳を見つめていた。
人の身体を、一体なんだと思っているのか。怒りに震える。同時に、こんなに沢山の人に見てもらえるなんてという、感謝と喜悦がこみ上げてもきた。
「あはぁっ! もっと見てぇっ!」
自ら科を作り、両腕で乳房を寄せる。額に入れて飾っておきたいほどの美乳でそれをすると、いっそ暴力的ですらあった。
わがままな肉鞠の先端部へと、カメラはズームアップする。乳輪は薄紅色で、輪郭はぼんやりと、肌色からグラデーションをなしている。
「あはんっ、あん、あぁん……」
乳首に指先を這わせ、ぴんっぴんっと弾く。ぴりぴりと痺れる甘い感覚に、乳頭は充血を始める。
何十という視線を注がれながらの自慰行為だ。やはり止められなかった。呪いが進行しているのか、もはや爪先から頭頂まで、一切自らの思い通りにならない。泣きたくなるが、こぼれるのは涙ではなく、甘く媚びた吐息だった。
「あん、あは、あぁ……」
男共に見せつけるかのごとく、腰はくねる。ほんのりとくびれつつも、適切な量の脂肪を纏った、健やかなる腹部だ。くりっと窪んだ臍が、なんともチャーミングだった。
「んふふ――こっちも見てぇ……」
その場に、腰を下ろす。中腰で、股を大きく広げる。いわゆる蹲踞の姿勢だ。下半身を強調するように、やや前方に突き出した。
骨盤はゆったり広がり、安産型の三角州を形成している。Yゾーンでは、陰毛がふんわりと生え揃っており、よく整えられていた。几帳面な性格が表れている。
女としてもっとも大切な部位、秘裂を、カメラに向けて見せつける。スクリーンに映った裂け目はすっと通った一本筋だ。性経験の薄さを物語っている。
「これが催眠オナホ小人・少名針妙丸のぉ、未使用ぴちぴちおまんこでーす」
甘ったるい声とともに、両手で膣口を割り開く。誰にも見せたことのない、秘めやかなる肉洞を、何十もの視線のもとに晒す。ひんやりした空気が流れ込み、肉襞は小さくヒクつく。奥の奥まで見られているのを、恥じているふうにも見えた。
最奥部では、肉色の薄膜が鎮座している。彼女が「未使用」であると物語っていた。
「見えますか? 司会のおじさまのおチンポをブチ込んでブチ破ってもらって、二度と閉じないガバガバオナホ穴にしてもらうマゾおまんこです」
うぉおおお、と、男たちは露骨に興奮する。彼女のような美少女の、未通穴を生で見られる機会など、滅多にない。瞳は血走り、ホール内は熱狂に包まれていた。
「いい挨拶じゃないか。それじゃあまずは、チンポに奉仕してみようか」
「うわっぷ」
司会の男により、頭上からべちゃりと冷たい汁が浴びせられる。ネバついてヌルつき、身体にまとわりついてくる。ボトル一本ぶんのローションをかけられれば、アッという間に全身どろどろだ。
「あはぁん、ヌルヌルぅ」
スポットライトの光を反射し、全身ぬらぬらと輝いていた。小さな掌で塗り込んでいく。柔らかなFカップがむにゅん、むにゅんと形を変える様は、それだけで素晴らしい「ズリネタ」たり得る。都合の良いオナペットとしての有様を晒していた。
「いいねぇ、そんな針妙丸ちゃんに、コレを見せてあげよう」
「わぁあ……!」
男が下服をおろす。現れたのは、えげつなく反り返る勃起だった。えげつない大業物だ。三十センチほどにもなろうか。まして針妙丸から見れば、もはや怪物にも等しかった。
亀頭は力強く張り出し、カリ首に沿って埋め込まれた真珠が自己主張している。どれほどの女をほじくり倒してきたのか、肉幹は淫水焼けして黒ずんでいる。表面を這い回る血管は、畑で丸々と太ったミミズを思わせる。根元の茂みは黒々と生い茂り、ぶら下がった玉袋にはずっしりした重量感がある。
一目見て女殺しの凶器とわかる、禍々しさすら感じる肉槍だった。漏れたのは、満点の星空を眺めたかのごとき溜息だ。こんなモノを見られて嬉しいといわんばかりの態度だ。
「あはぁ……すっごぉい」
ふらふらと、何も言われずとも近づいていく。潤滑油で足元が滑り、すっころびそうになる。どうにかこうにか、雄々しきモノに辿り着いた。
己の背丈ほどもある怒張だ。これに貫かれ、オナホにしていただくのだと思うと、嬉しくてしかたない。そんなわけはないと自らに言い聞かせるも、浮かび上がる感情を否定できなかった。
怖気が走る思いを抱きながらも、身体の動きを止められない。ムワムワとおぞましい雄フェロモンをまき散らすイチモツに、ぎゅうと抱きついた。そのまま、ローションでヌルつく身体を擦りつけていく。
「あは、あっ、あぁん……」
文字通り全身で、ペニスに奉仕する。小人姫の豊満なるボディを、男根を悦ばせるための道具にする。
弾力を備えた柔らかな乳房が、むにゅんむにゅんと形を変える。這い回る血管に乳首がひっかかり、ピリつく快感を与えてくる。次第に乳頭は勃起し、はしたない姿を晒していく。
「へへ、甘い声出してるぜぇ」
「清純そうなツラして、痴女だな痴女」
ステージ下から、嘲る囁きが聞こえてくる。自分はそんなのじゃない、と思うも、まったく何もできないでいた。
「あんッ、あんッ、あっあっ」
下半身を前方に突き出し、大きく広げた股間を、擦りつける。ローション素股だ。サイズ感が違いすぎて、そう呼んでいいか怪しいが。
自慰すらろくにしたことのない裂け目に男根臭が染みついていく。クリトリスが擦れて、ビリビリと痺れる刺激となって伝わってくる。かくっ、かくっと、みっともなく腰を揺らめかす。最低最悪のオナニーだった。死にたくなってくる。ぴゅうぴゅうと、観客たちは指笛を鳴らして囃し立ててくる。
「あはぁ、すっごい匂い……」
顔が、亀頭のあたりへ近づいていく。待って待って嫌だと、必死に顔をそむけようもするほど、イヤリングが強く発光する。彼女の肉体を強く支配し、精神をも侵蝕する。湧いてくる法悦に、頭がおかしくなりそうだ。
すんすんと、カリ首あたりの臭気を嗅ぐ。吐き気がする強烈な蛋白臭に、あの妖怪寺の入道にブン殴られたときのような衝撃が走る。だというのに、覚えるのは胸の高鳴りだった。
「んちゅッ」
埋め込まれた真珠に口づける。接吻したなど、一度だってしたことがない。ファーストキスをペニスに捧げたのだと気づき、絶望すら抱いた。
「ちゅっ、ちゅっちゅっ、れろれろれろ、んふぅん……」
打ちひしがれる当人の心をよそに、身体はなおも動き続ける。カリ首のラインに沿って、恭しく口づけを繰り返す。舌を這わせ、れろれろと舐め回す。
「んぶふぅっ、れろっ、んちゅっ、あはああぁあ……ッ」
尿道口に、顔ごと埋める。キッスを繰り返し、舌を差し込んで舐め回せば、先走りが滲んでくる。うっすらと生臭いそれを、美酒であるかのごとく啜る。ほう、と漏れた吐息は、上等な酒を口にしたときのようだった。
「おッ、おッ、おッ、出るぞォ~……! おうッ!」
しばらくそうして肌を擦りつけ、接吻を繰り返していると、肉棒が根元から先端にかけて膨れ始める。どくん、どくんと、力強く脈打っているのが分かる。期待からぎゅうと抱きつけば、男は欲望を解放した。
「んあはっ、んぶぅッ、あっあっ、ああああ……ッ」
陰茎の根元で、陰嚢がぎゅぅっと萎み上がる。尿道を通じ濁液がこみ上げ、砲弾のごとく放たれていく。
濃厚極まる汚濁が、ぶちまけられていく。体格の小ささゆえ、全身で受け止めることになる。顔面に至っては、スペルマパックとでも呼ぶべき状況になっている。鼻孔が塞がって、呼吸すらできないほどだ。
射精が終わるころには、文字通り爪先から頭頂まで、スペルマまみれになっていた。悪い夢を見ているに違いないと、自らに言い聞かせる。現実逃避しなければ、精神を保っていられなかった。
「あはッ、あっ、あぁ……」
漏れるのは、うっとりとした、恍惚の溜息だ。白い指が、身体にへばり付く汚汁を、自らの肌に塗り込んでいく。えげつない臭気が、皮膚細胞一つ一つにいたるまで刷り込まれていく。
「あんッ、あんッ、あんっ、きもちいいっ……」
ぬちゅぬちゅと、細指が淫裂をなぞる。人差し指を差し込んで、ほとんど異物の入ったことがない肉洞をこね回す。猛臭放つ白濁を、ローション代わりに塗り込めていく。
「んちゅぅ、んふぅ、んっんっ……おいし……っ」
もう片手は、全身からすくい取ったスペルマを、しきりに口に運んでいる。ちゅっちゅっと、爪の隙間まで丁寧に舐め、精虫の一匹に至るまでじっくりと噛みつぶし、味わっていた。
見知らぬ他人の精液を口にする。しばらくすれば消化吸収され、自らの肉体の一部を構成することになる。鳥肌が立つ、では済まない。吐き気を覚える。と同時に、下半身の疼きがこみ上げていた。じゅくじゅくと、股から熱い潤いが滴っている。
「紳士淑女の皆様、お待たせいたしました。ではこれより、少名針妙丸の人生終了公開肉オナホレイプショーを執り行います!」
「あはっ、終わらせてぇ、針妙丸のお間抜け処女おまんこブチ抜いて、小人オナホに造り替えちゃってぇッ」
くねくねと腰をくねらせ、濡れる秘唇を観客に見せつけながら媚びた声をあげる。スクリーンには、白濁にまみれたヴァギナが大写しになっている。観客席の興奮は最高潮に達しており、卑猥な野次が飛び交った。
「アッ」
腰をむんずと掴まれ、持ち上げられる。こうなるともう、肉体の自由を取り戻せたとしても逃げられない。最悪の形で純潔を奪われ、メチャクチャにされるのだ――覚えるのは恐怖と、マゾヒスティックな官能だった。
「そぉら、今からおじさんのデカチンポが針妙丸ちゃんを台無しにするからねぇ? 良かったねぇ? 泣いて感謝するといいよバカ小人が」
「あんッ、あっあっ、はやく、はやくブチこんで、人生おわらせてぇ……っ」
小さな裂け目に、雄の王とでも称すべきイチモツの先端が押し当てられる。どう考えてもミスマッチだ。腹が引き裂けて破れてしまってもおかしくない。
そうでなくても、今から行われるのは紛れもないレイプ、強姦だ。にもかかわらず、こぼれるのは今すぐ貫いてほしいという懇願だった。ほとんど自由にならない腰をそれでもくねらせ、膣口を亀頭に擦りつけている。
雄茎は先ほど射精したばかりにもかかわらず、ギンギンといきり立っている。火傷しそうなほどの、ギラついた熱が伝わってきた。
「そぉら、一二の三でぶち破るぞぉ、おらイチッ!」
「はい、はやくっ、はやくぅ、はやッ、あぉおおおおおおおおッ!」
不意を打って腰が突き出され、反対に身体は押し下げられる。どぢゅんッ、と、嫌な音が響いた。
めりめりと、体内から音が聞こえる。肉槍が狭穴を強引に押し広げ、体内に入り込んでいる。亀頭が、純潔の証たる薄膜にぶつかった。なんの遠慮も、躊躇うことすらなく、ぶち破った。
己の貞操が永遠に喪われたと悟る。が、悲しむ余裕などなかった。打ち込まれた肉棒はあまりにも力強く、意識がトぶほどの衝撃を打ち込んできた。
「あがぁ……――ッ!」
最奥部まで男根が到達する。が、それでも止まらなかった。男の剛直を納めるには、針妙丸のヴァギナはあまりにも狭く、短すぎたのだ。子宮を押し潰しながら、なおも腰が突き出される。
「うッ、ぐッ」
内側から押し上げられた腹に、ぼこりとペニスのシルエットが浮かび上がる。まさしく、オナホール同然の扱いだった。もはや、声も出なかった。
「ひっぎ、ィ、がッ」
激痛が全身を貫く。目は見開かれ、全身の筋肉は痙攣する。ガクッ、ガクッと、手足が跳ねていた。
同時に、神経が灼けるほどの快楽が脳ミソに押し寄せてもいた。イヤリングによって刷り込まれた淫らなる自我が、こんな状況においてすらエクスタシーを見出していたのだ。人生を滅茶苦茶にされる法悦で、目尻から涙がこぼれ落ちた。
「そぉら、こんなモンじゃ終わらないぞぉ」
「っひッ! あッ、がッ、あぁぁああッ! いぎッ、ッ、あああああああ!」
もはやセックスでもレイプでもない。拷問だ。が、男はそれでも、満足していなかった。交尾とは、雄が射精するまで終わらないのが相場だからだ。
腰が引かれ、突き出される。野太い肉幹が、純潔穴を容赦なく拡張する。カリ首に埋め込まれた真珠が、ゴリゴリと肉洞を抉る。無慈悲なストロークが打ち込まれるたび、ドゴッドゴッと腹が膨れ上がる。
「ッがぁッ、ぁ、っぐ、ぅひぃッ! がッ、あぐぅうう!」
獣よりもやかましく喚きたてる。が、男の手が、ピストンが緩むことはない。宣言通り、針妙丸を肉オナホとして扱っているのだ。オナホール――無機物に対して、同情を抱く道理はなかった。
「ひぃッ、ひぃッ、あぅッ、うぐぅうッ、あぁあああッ」
「そぉら、もっと笑顔を見せないか。お客さんが見てるんだから」
それどころか、涙をボロボロ零し苦悶の呻きを漏らす彼女に、叱咤する始末だった。頭がおかしいのかと思う。こんなに苦しいのに、笑顔など、浮かべられるわけがなかった。イヤリングの呪いにも流石に無理らしく、顔をくしゃくしゃにして泣き叫ぶ。
「ゆるッ、ゆるさないぃッ、絶対、ぜったいにぃいッ」
己の貞操を奪い、踏み躙った怨敵を、睨み付ける。あれほどままならなかったのに、不思議と口の自由がきいた。自らの身長にも等しいペニスとの交尾というえげつなく巨大な衝撃が、奇しくも呪いに対するカウンターとなっていた。
「おっと? まだそんな生意気な口をきけるのか。……オイ、アレもってこい!」
意外だという声とともに、男がステージ裏に呼びかける。駆け寄ってきた黒子から、注射器を受け取る。
「永遠亭特製のお薬だ。大人しく見世物になってりゃよかったものを、変に反抗するからこんなものまで使われることになるんだよ」
「アッ、やだ、嫌、アッ!」
暴れるなとばかりに、身体を力強く握りしめられる。針が腕に突き立てられ、薬液が注ぎ込まれていく。
「ひッ、ぃッ、あぁああッ、熱い、あついぃいッ!」
「おーおー、情けなく喚いて、うるさいなまったく!」
「ひぃいッ!」
全身が燃え上がるようだった。汗腺という汗腺が開き、ぶわぶわと汗が浮かぶ。男は意にも介さず、腰を突き上げた。どぢゅんッ! とえげつない音が響く。
「アッ、あああ……ッ!」
どくどくと、心臓が脈動するう。目を見開き、身悶える。
そうしている内に、肉体に変化が生じる。まず変化したのが乳房だ。もともとたわわだったFカップが膨れ上がっていく。二回りほども大きくなり、Hカップに至る。もはや爆乳と称するべきだ。見るからにずっしりとして、圧倒的な重量感が伝わってくる。
遅れて、身体の他の部位も造り替えられていく。腰はキュッとくびれ、骨盤は広がり、ムチムチとした肉付きになっていく。ヒップに至っては、何を着ても収まらないほどのサイズ感となっていた。
「は、ッ、何、これ」
愕然とする。下品で、雄に媚びた、セックスのためにあるかのごとき体つきだった。だが、造り替えられた己の肉体を悲しむ時間すら与えられない。
「ひぃいッ、――あぁあああッ!?」
男が腰を突き上げる。突き入れられたペニスに、再びぼこりと腹が膨れ上がる。Hカップの爆乳が、ぶるんッ! と弾むと同時に、新たな変化が生じた。
「ひッ、アッ、あぁあああッ!?」
硬く凝る乳首から、濃厚な母乳が噴き出した。堰を切ったかのごとくびゅくびゅくと溢れだし、甘い香りをあたりにまき散らす。射精でもしているかのごとき勢いだった。
「さぁ、今までの自分にさよならするんだ」
「ひぃいッ? ああぁッ、ああああッ」
びゅくびゅくと母乳を排泄するたび、己が塗りつぶされていく。イヤリングが紫色に発光し、人格を書き換えていく。あれほど喚いていた針妙丸というのに、発光が収まったときには、すっかり静かになっていた。
「さぁて、針妙丸ちゃん、きみは何かな?」
「はいっ、私は催眠にかけられて見世物にされて、変態肉体改造されて悦んでる、人格上書き洗脳済み淫乱お間抜けオナホ小人ですっ。どうかお便女小人の針妙丸のキツキツ性処理穴で、ずっぽりズポズポおチンポ様を扱いてください。お金玉に溜まった濃厚ザーメンをたっぷりびゅるびゅるしてくださいっ」
恭しく、敬礼すらしながら答える。ステージ下の観客へ、ピースしてみせる。お間抜けと自らを称するが、股穴にペニスを突っ込まれながら返事するのだから、本当に間抜けな状況だった。
先ほどまでの彼女なら、口では自らを貶めながらも、内心では嫌悪していただろう。けれども今は、言葉と心が一致している。イヤリングの催眠の呪いはすっかり全身に回り、少名針妙丸の人格を完全に上書きしていた。
「よく言えました。お礼にチンポをあげよう、そらッ!」
「あっはぁぁあんっ! おチンポきたぁああッ!」
どぢゅんッ! とえげつない音が響く。大きくM字におっ広げられた股へ、反り返る雄棒が突き入れられた。
「はひぃん、おチンポ、おチンポいい、もっとぉ、もっとズポズポしてぇんっ」
ゴスッゴスッと、子宮ごと突き上げられ、腹が膨れ上がる。正気を失った言葉を垂れ流しながら、腰をくねくねと躍らせる。乳房がぷるんぷるんと――否、ばるんっ、ばるんっと跳ね回っている。母乳をまき散らす様は、噴水を思わせる。
「そぉら、そろそろ中に出すぞぉ、お客さんに挨拶しろぉ」
「あはっ、観客の皆さん、今から私のオナホおまんこの雑魚子宮に、ご主人様の濃厚こってりギトギトザーメン注いでもらいますぅっ。私が妊娠するとこ見て、あはぁッ、ズリネタにしてぇッ!」
体内で肉棒が膨張している。ストロークは激しくなり、腹を内側から破らんばかりだ。
退廃的な言葉を並べ立てる間にも、どぢゅどぢゅと音が響き、肉穴をほじくり倒していく。カメラがそれを大写しにし、スクリーン上にでかでかと映す。観客たちのボルテージも、最高潮に達していた。
「そおら、出すぞ出すぞ出すぞ――おッ、おおおおッ!」
「アハッ、あっあっあっイく、イく、イクイクイクぅうううぅッ――あぁああああッ!」
どぢゅんッ! と、もっとも深く男根が突き出される。と同時に、ペニスがはち切れた。陰嚢がぎゅぅっと収縮し、溜め込んできた濃厚種汁を吐き出していく。先ほどまで純潔だった雌穴に、オナホールとしての刻印を刻みつけていく。
小人の子宮と膣穴は、中年男の精液を受け止めるには到底容積が足りない。大きくおっ広げられた肉穴から、白濁が逆流する。滅多に見られない光景に、観客たちから歓声があがった。
針妙丸も絶頂を迎えた。視界が真っ白に染まり、脳天で快楽信号がバチバチとスパークする。ひときわ高い声を上げ、生まれ変わった悦びを歌いあげながら、背筋を反り返らせる。全身ががくがくと痙攣し、生まれ変わった乳房やヒップが弾んだ。
「おッ、ひ、ッ、あぉッ、おッ、ぉひ、ありがとうございましたぁ……」
意識が薄れていく。それでも、初めてのレイプで膣内射精していただけたことへの感謝は忘れなかった。
「……はっ」
気付けばペニスは引抜かれ、演台の上に転がされていた。ステージ裏から黒子が近づいてくる。その手にあるのは、針妙丸愛用の椀だ。――持ちたくなくて仕方ない、とばかりに指先だけで保持している。
「さあ、初めてのオナホレイプで汗をかいたろう、お風呂に入るといい」
「はい、ありがとうございま――えっ」
男への感謝は、途中で遮られた。椀の中に注がれているものを見て、仰天したからだ。
湯ではなかった。猛臭を放つ、白濁した粘液――スペルマだ。何人分かも分からない汚濁で、椀が満たされていた。
「あはッ……」
打ち出の小槌や針ほどではないが、椀も相応に貴重な品だ。それを、精液まみれにするだなんて。空いた口が塞がらないとはこのことだ。なんて――なんて、素敵なのか。心の底から、感謝を覚えた。
「あ、っはッ、あぁああッ……」
爪先からそっと浸かる。おぞましい生暖かさと、気色の悪い感触に、どうしようもない官能を覚える。嬉しさのあまり、小便を漏らしてしまいそうだった。
膝が、腿が、下腹が、乳房が、沈んでいく。小人でなければ決してできない、それにしたって相当な手間のかかる贅沢だった。自分ごとき駄目オナホのために、親切にもほどがある。
「んはッ、んふぅッ、ぶくぶくぶくぶく――んふぅうう……!」
頭まで浸かり、胃袋がたぷたぷになるほど、ごくごくと飲み干していく。指で全身に塗りたくっていく。全身に精液の匂いが染みついてとれなくなるのを感じながら、いつまでも変態的な入浴を楽しみ続けた。
***
「さぁて、針妙丸ちゃん。準備はいいかな?」
「はぁい、もちろんでぇす」
舞台裏で、最愛の中年男が訪ねてくる。すっかり慣れた、媚びた声で返事をする。見世物小屋でオナホ小人として働き始めて、半年ほどが経っていた。何人もの男に使われ抜いた肉体は、仮に元の人格を取り戻したとしても後戻りできないほどにまで開発されていた。
「よし、じゃあ行こうか」
「いひぃッ!」
男がリードを引けば、それだけで軽く絶頂する。繋がった先は首輪ではない。勃起したまま戻らなくなった、彼女のクリトリスに結わえられていた。引っ張られた刺激だけでアクメするまでに、彼女の調教は進んでいた。
ステージ上に上がれば、スポットライトが当てられる。かつてからずっと増えた常連観客たちの好色な視線が浴びせられる。この半年で、すっかり慣れていた。
いつもと違うのは格好だ。かつて着ていた和服ではないし、ステージ上での正装――全裸――でもない。
纏っているのはウェディングドレスだが、普通のデザインではない。布地は極めて薄く、肌が半ば透けている。乳房は大きく露出しており、ムチついた尻も丸見えだった。今も、とろとろと蜜を溢れさせる秘唇を、全て曝け出している。
何より変わったのは、腹部だろう。何度も何度も何度も見世物オナホールとして交尾を繰り返し、種を植え付けられてきた。当然、孕んでいる。大きく膨れた腹は、
いずれにせよ、婚姻という神聖な契約を結ぶ際の衣装としては、あまりにも不適切に思える。しかし実際には、ベストとすらいえた。何せ今から執り行われるのは、見世物の一環――オナホ小人の少名針妙丸と、ペニスの結婚式だった。
すっかり勃起したクリトリスをリードで引かれ、雌汁を垂れ流しながら、特設の祭壇まで歩む。神父役の男が、手元のハリボテの聖書を見ながら告げる。
「汝、健やかなる時も病めるときも、チンポに尽くし、穴で奉仕し、精を注がれアクメ散らかすことを誓いますか?」
「はぁい、誓います」
尋ねられるまでもないことだった。
あの人生終了公開肉オナホレイプショーの日から、自分はそのためだけに生きているのだから。
「んふふ――……んちゅッ、んちゅっ、んちゅっ」
愛するご主人様のペニスが差し出される。唇を近づけ、誓いのキスをする。打ち合わせでは一度で良いと言われていたが、とんでもない。むせ返るほどの濃厚な匂いを嗅げば、何度だって口づけたくなるに決まっていた。股から汁が止まらないでいる。
「よぉし、じゃあ早速、ハネムーンレイプといこうじゃないか。腹の中のガキが潰れるぐらい愛してあげよう」
「はぁい、ご主人様、きてッ、あはッ、あッ――」
いつものように、胴を鷲づかみにされる。股を開かされ、肉穴に勃起した一物を押し当てられる。
「あっひッ、ひぃいいいいいいいいいッ!」
腰が突き出される。愛を誓い合う強姦が始まり、彼女の意識は快楽に蕩けていった。