※この作品はR-18です。

「大和の愛から逃げ続けたらどうなるのか?」   作:なおちー

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大和に別れ話をしたらどうなるのか?

「ただいま」

 

「あなた、こんな時間まで何をしていたの」

 

 

提督が帰ったのは朝方だった。まだ起きていた大和がリビングで

仁王立ちをしているが、提督は大和の横を無言で通り過ぎ、

風呂場で軽くシャワーを浴びてから着替えをした。

 

「ちょっと、あなた」

 

髪をドライヤーで乾かしていると、背後から大和の殺気を感じる。

今までの提督だったら、恐怖で足がすくんでしまい、

振り返ることもできなかっただろう。だが、今は違う。

 

 

「俺は疲れてるんだ。明日にしてくれないか」

 

「もう日付が変わってますけど」

 

「うるさい」

 

「はい……?」

 

「おまえは細かいことでいちいちうるさいんだよ!!」

 

 

提督は、両手を握りしめながら獣のごとく吠えた。

 

いわく、俺のことを詮索するのを止めろ。

 

朝帰りしたからなんだ。

 

それがそんなに悪いことなのか。

 

ちゃんと家には帰ってるじゃないか。

 

おまえに俺の行動を制限する権利があるのか。

 

最後まで言い終わる前に大和に平手打ちされ、提督は沈黙した。

 

 

「言いたいことはそれだけですか?」

 

「もう一つ言わせてくれ。おまえとはもう終わりにしようと思う」

 

「……別れたいって言いたいんですか?」

 

「この用紙を見ろ」

 

リコン(カッコカリ)である。提督が最終兵器として

大切にしまっておいたものだ。大和が見れば当然激怒するだろうから、

これなら、というタイミングになるまで出さないことにしていた。

 

 

「俺はお前と結婚したのは間違いだったと思っている」

 

あまりにも決定的な言葉だった。

 

大和は目を閉じ、ゆっくりと提督の言葉を飲み込んだ。

そしてキッと目を見開き、低い声で言った。

 

 

「浮気相手は……加賀さんですか」

 

「おまえっ!! なぜそれを」

 

「私が提督が誰と過ごしていたかを知らないとでも思ったんですか?」

 

どこかにスパイでもいたか。まさか青葉に協力を……?

提督は大いに焦るが、ばれてるなら

今さらどうしようもない。いっそ逆切れすることにした。

 

「ああ!! お前の言うとおりだよ!!

 俺は加賀と寝ちまった!! ああ、加賀の体は最高だったぜ!!

 お前みたいな無駄に大柄な女と違って抱き心地もいいし!!

 傷ついた俺を癒すために膝枕をしてくれてな!!」

 

 

大和が腹パンの姿勢をしたので、提督はキツネザル

(マダガスカル島に生息)のように飛びのいて回避した。

 

 

「私だけじゃなく、可愛い娘を置いて、他所の女と寝て朝帰りして

 口から出る言葉がそれですか。提督がこんなに恥知らずな人だとは

 知りませんでしたよ。とうぜん覚悟はできているんですよね?」

 

「おおっ!! 覚悟ならできてるよ!!

 ただし!! 殴るんだったら、俺の言い分を

 最後まで聞いてから殴れよ、このクソ戦艦が!! 」

 

提督、中々の迫力である。

 

「俺はおまえにはもう女としての魅力を感じなくなってしまったんだ!!

 おまえは俺にとって、ただの恐妻だ!! 

 俺は加賀の体を抱いた時、改めて女は良いモノだと知った!! 

 加賀なら、こんなダメな俺を受け入れてくれるんだ!!」

 

大和の対空機関銃が斉射を始める。

提督はやはりキツネザルのような俊敏さで全弾を回避することに成功。

 

この男、やはりただ者ではない。

 

 

「パパたちー。ドスンドスンうるさいよ」

 

「こらっ大和。あなたはまだ寝てないとダメでしょ」

 

 

娘が起きてきてしまった。パジャマ姿で眠そうに

目をこすっており、実に愛らしい。

 

大和の娘の名は母親と同じく「大和」である。

まぎらわしいこと、このうえない。

 

 

娘の無邪気な姿を見た瞬間、提督は涙が止まらなくなった。

娘に罪はない。そう。娘に罪はないのだ。

ただ自分が情けないだけで、そのせいで娘にまで迷惑をかけて……。

 

 

あの時どうしてこんな女に指輪を渡してしまったんだ。

想像の中で、昔の自分を一万回はぶん殴っている。

 

 

(可愛い娘を連れて、どこかへ逃亡できたら……)

 

提督はそう思った。

 

結局この日の喧嘩はこれで終わった。

 

大和はおしっこがしたいと言う子供をトイレに連れて行った。

提督は妻が子供を寝かしつけるまで、夫婦のベッドに横になった。

イライラするためか、なかなか寝付けない。

 

大和の対空機関銃でハチの巣になった天井や壁の修理費のことが

頭をかすめる。やがて寝室に来た大和が、提督の背中越しに

抱き着いてきて「さっきはごめんなさい」と熱い吐息を吹きかけるが

提督はこの女に感じるものは何もない。

 

(加賀のおっぱいに吸い付きたい)

 

提督の頭の中は加賀のことでいっぱいだ。

 

試しにスマホでアズールレーン版の加賀を検索してみたら

こっちもすごい美人でびっくりした。だが提督は艦これの世界に

生きているのでこっちの加賀でも十分満足している。

 

 

「ねえ、あなた。仲直りしましょうよ」

 

大和が足を絡めてくる。提督より背が高いため、太ももの弾力は

半端ではなく、並の男ならイチコロになるだろう。

だが提督はこの艦娘と結婚してもう三年以上は経過する。

 

「眠いんだよ。寝させてくれよ」

 

「じゃあキスして。いつも娘には寝る前にキスする癖に。

 たまには私にもしてよ。キスしてくれたら私も寝ますから」

 

「おまえ、前もそんなこと言って遅くまで寝させてくれなかったじゃないか」

 

「今日は本当です。本当に本当です。ね、いいでしょ。キスだけなら」

 

提督はベッドの上で寝返りを打ち、大和の方を向いた。

見たくもない顔をこちらに引き寄せて、そっとキスをしてあげた。

大和は舌を絡めてきたので、なかなかキスが終わらない。

 

一生懸命にメロンのような胸を押し付けてくるので、

さすがに興奮しないわけでもないが、わざと加賀のエッチな顔を

思い浮かべて何も感じないようにする。

 

提督が嫌そうにしているのを知ってしまった大和は、

これで終わりにする。明らかに欲求不満で発情した感を

全身に出してはいるが、旦那の方にその気がないなら我慢するしかない。

 

「あなた、愛しているわ」

 

提督は大和と反対側の方を向き、わざとらしく寝息を立てていた。

 

 

その次の日から、大和はすっかり従順な良い女に変貌した。

正確には結婚前に戻ったと言った方がいいか。

 

どんな心境の変化があったのか。

 

もう提督にメールの催促をすることもなく、帰りが遅くなっても

浮気を疑うこともしない。提督が夜の10時過ぎに帰っても

玄関で三つ指をついて待っているというありさまだ。

 

大和にだって、苦労はたくさんあった。

 

結婚して人気者の提督を自分のものにした悦び以上に、

他の娘に奪われるんじゃないかという不安が勝るようになる。

 

特にスキンシップの過剰な金剛が、馴れ馴れしくも提督と腕を組んだり、

加賀がわざとらしく机の物を取るふりをしながら胸を押し付けたり、

榛名が恋する乙女の目で遠くから提督を見つめる時は、

どうしようもなく不安だった。

 

大和は提督に暴言をたくさん吐かれて、大和はいちいちその内容を覚えていた。

大和は直情的なので暴力に走りやすいが、提督はその分口が達者だった。

まるで男女が逆転したかのような夫婦関係である。

 

提督からの暴言で特に大和の心を傷つけたのが、

 

「でかいだけの女」

「沖縄戦の海上特攻に使われたくせに」

「資源の無駄使い」

「榛名の方が有能だし、かわいい」

 

特に最後のは余計だった。

 

大和の榛名への劣等感は強かった。

確かに大和の方がはるかにスペックが高いが、実際の戦争では

高速戦艦で実用性の高い榛名の方が活躍したからだ。

 

金剛4姉妹の中で戦争最終盤まで生き残ったこともあり、

太平洋戦争を通じて最も活躍した船の一隻に数えられるほどだ。

 

おまけにあの容姿だ。提督は、はっきり榛名をかわいいと言った。

その一言が、どれだけ妻を傷つけているのかもしれずに。

だが大和は、たとえ提督の心が別の艦娘に向けられていたとしても、

それでも提督のことを愛していた。

 

 

 

「そろそろ娘の幼稚園のことを考えませんと」

 

「もうそんな時期になるのか」

 

休日、何気なく公園のベンチに座っている時だった。

 

娘は砂場で元気に遊んでいる。季節は2月で真冬の寒さなのに、

子供は元気なものだ。今日が晴天でなかったら、

提督は一日中家にこもって読書でもしたかったところだ。

 

「大和が四歳になったら幼稚園に入れさせるって言ったのは、

 あなたじゃないですか」

 

「そうだったかもな。すまん。最近仕事の事ばかりで、

 家のことは二の次になっていた。お前の言うとおりだな。

 これからは家のことも真剣に考えないと」

 

 

娘には遊び相手がいた。

 

ベージュ色のダッフルロングコートに身を包んだ女性。

よほど寒がりなのか、手袋と耳当てをしている。

ショートの髪の毛をサイドでまとめいる。

 

「わーい。滑り台。楽しい―」

 

「よしよし。あなたは素直で可愛らしい子ね」

 

その人は提督の良く知っている艦娘だった。

 

大和の表情が険しくなる。

 

 

「ちょっと加賀さん」

 

「はい」

 

「うちの娘と何をしているですか?」

 

「……? 見ての通り滑り台で遊んであげてるのですが」

 

 

大和の眉間にしわが寄る。

 

 

「余計なことはしなくて結構です」

 

「そうでしょうか」

 

 

ここで、加賀はちらりと提督を見た。

 

提督はこの瞬間、加賀のあまりにも美しい瞳に吸い込まれてしまった。

提督は従順になった妻のことを少しだけ見直し、

加賀のことを忘れようかとさえ思っていたが、それは間違いだった。

 

加賀は、どこまでも綺麗だった。

満月を二つに割ったかのように美しかった。

 

あのコートを脱がせて、またベッドの上に押し倒したら

どんな顔をするのだろうか。思わず鼻血が出そうになる。

 

「大和ッ。加賀も親切でやったことなんだから、

 そんな言い方をするのは良くないぞ?」

 

「そうですね。ごめんなさい」

 

とは言ったものの、大和の拳がそうは言っていない。

 

握りしめた拳。爪がめり込んで血が出ている。

おまけに鼻息も荒い。

 

本当なら、加賀に46センチ主砲を発射したいのだ。

それなのに彼女が我慢している理由はこれだ。

 

『姉さんは怒りっぽい性格を直した方がいい

 そうじゃないと、何時か本当に提督に離婚されちゃうぞ?』

 

武蔵からのアドバイスだ。提督が留守の間に

たびたび妹を家に呼んでは、夫に関する愚痴を聞いてもらっていた。

 

武蔵の意見としては、今後提督のすることに一切口を出さず、

従順な妻を演じてみてはどうか、ということだった。

 

確かにこれは成功した。提督は以前なら断るのに夜の営みを

してくれるようになったし、いつもより家に早く帰るようになった。

 

大和は、男とは不思議な生き物なんだなと思った。

束縛すればするほど逃げていくのに、束縛を止めたら

逆に向こうからやってくるようになる。

 

きっと妹のアドバイスは正しかったのだと信じていた。

加賀と公園で会うまでは。

 

 

「提督は」

 

 

加賀がゴミを見るような瞳で言う。

 

 

「まだその女と家族ごっこを続けているんですね」

 

 

パァンと空気のはじける音がした。

 

 

大和が無意識のうちに加賀の頬を叩いたのだ。

 

加賀は一瞬だけ鬼人のごとき殺気を大和に放つが、

提督の前なので涼しげな表情に戻す。

 

一方で提督は鋭い瞳で妻をにらんだ。

 

しまった、と言いたげな大和は、小刻みに震えている。

今のは仕方なかったのだ。加賀の方から喧嘩を売って来たのだ。

お願いだから嫌いにならないでと瞳に込めて。

 

 

「ママたち、喧嘩しちゃダメー。いたいの、ダーメ、ダメなのー」

 

 

娘が泣いている。

 

子供は親の不仲を本能で察することができる。

実は夫婦喧嘩を見せることは、子供の心の成長にとっても

最も害であることがどこかの学会(忘れた)で証明されているのだ。

 

加賀はしゃがみ、娘の頭をなでた。

ハンカチで涙を拭いてあげる。

自分の頬は真っ赤に染まっていると言うのに、

人様の子供を優先する姿に、提督は思わず勃起した。

 

 

その日の夜だった。

 

(ああ、加賀とやりたい。加賀の裸が見たい。

 加賀の脱ぎたてのパンツを頭にかぶりたい)

 

提督は仕事用の携帯をチラチラと見ていた。

この携帯には、横須賀にいる全ての艦娘の番号が登録してある。

 

『私に連絡したくなったら、何時でも呼んでくれて構わないわ』

 

加賀にはそう言われた。プライベート用の携帯は当然家族以外の

名前の登録は許可されてない。これは嫉妬深い大和でなくとも

当然の処置だろう。なお、連合艦隊が存在するこの時代に

なぜ携帯があるのかについては深く考えないことにする。

 

21時を過ぎるが、まだ執務は終わってない。

 

執務室には当日秘書官の瑞鳳がいる。

もう帰っていいと言うのに、最後まで一緒に残ってくれている。

提督は判を押し終わった書類の整理をしてくれていた。

 

彼女が棚のファイルを取ろうと、

提督に都合よく背中を向けていたのでお尻をなでる。

 

 

「きゃっ!! て、提督。仕事中なのにそんなことしたらダメだよ」

 

「あ、ああっ。すまん。つい仕事のストレスが溜まって、ムラムラしちゃって」

 

「そういうことは、奥さんとやるんでしょ。

 提督は大和さんのことを心から愛してるんですから」

 

「……別に愛してなんて」

 

「ん? 声が小さくてよく聞こえなかったんだけど」

 

「いや。なんでもない。さあ、早く終わらせちまおうぜ!!」

 

仕事を終えて鎮守府を出たのは22時過ぎだった。

こんなに時間がかかるとは思ってなかった。

実は昼間に調子に乗って昼寝をし過ぎたせいなのだが。

 

「雪……か」

 

南関東ではめったに積雪がないが、今日は特別な日だったようだ。

提督は住み込みではなく自宅に帰る派のため、

ここから歩いて帰らないといけない。

 

最悪なことに傘はない。提督帽をしっかりとかぶれば

少しはましになるかと考え、玄関から一歩外へ踏み出すと、

 

「提督。お疲れ様」

 

「加賀……」

 

愛する少女が、外で待っていてくれた。

 

「最近あなたが連絡をくれないから、

 あなたのことが恋しくなってしまって」

 

 

その次の瞬間には、提督は加賀を抱きしめていた。

 

 

「加賀、今夜はお前を抱きたいんだ。抱いてもいいか?」

 

「ええ。いいわ。あなたの好きにしてくれていいのよ」

 

 

加賀が外で待っていたのは、他の艦娘に見られないようにするためだ。

もちろん、そのまま空母の寮に戻るわけになど行かず、

二人は夜の街を歩いてホテルで一晩を明かすことにした。

 

「あっあっあっ……すごいっ……提督のモノが……私の奥までっ……」

 

「ほーら。どうだ加賀? 気持ちいか? どんどん突いちゃうぞ」

 

「あっあんっあんっ……キモちいっ。頭がおかしくなっちゃうぅうっ!!」

 

「はぁはぁ。おまえは……もう俺のものだ。俺だけを……見ていればいいんだ!!」

 

「はいっ……私は提督のものですからっ……提督だけの艦娘ですっ……

  ああああっ!! で、出てる。提督の熱い液体が……注がれてる……」

 

提督が棒を引き抜くと、加賀の秘所から白濁液が漏れてくる。

乱暴にもんだ乳房、玉汗をかいた加賀の顔。汗ばんだ前髪が張り付いてる。

 

「て、提督。もっとください。私はまだイッってないんです」

 

「ああ。もちろん。だが俺は今イッったばかりだ。指でしてあげるよ」

 

 

提督が二本の指を膣の中に一気に入れると、

「ああああっ!!」びくんと加賀の身体が波を打つ。

 

加賀にのしかかり、乳首に吸い付きながら

アソコに入れた指をピストンさせる。

加賀は一瞬だけ足をぴんと伸ばした後、すぐに脱力した。

加賀の粘り気のある愛液が、提督の手の平にまでかかっていた。

 

 

「はぁはぁ……」

 

加賀は体中が敏感になっていて、

電気にしびれたかのように小刻みに震えている。

 

試しにと、提督が彼女の割れ目をそっとなめてみると

 

「ひゃああ!!」と過剰なくらいの反応を見せてくれる。

 

提督がそこを押し開いて中身がよく見えるようにすると、

愛液がキラキラと輝いていた。加賀が恥ずかしそうに手でそこを

隠そうとするが、提督の手で優しくはじかれる。

 

ぷっくりとしたクリトリスを中心に提督の舌で刺激してやると、

加賀は「んん」と言いながら身体をよじる。

左手でシーツをギュッとつかんでいた。

妻の大和とは全然違う反応だった。

 

大和も感じやすい体質だったとは思うが、加賀の方が感じた時の声が大きい。

普段の冷静な感じとの違いもあり、さらに興奮させる。

 

 

「さーて。もう一回戦。いってみようか」

 

「えっ。まだやるの。もう二回もイッたのに」

 

「俺が満足するまでやるんだよ」

 

「そ、そんなっ。あああっ……んんっ……ああっ。はげしいっ……」

 

 

提督のモノが奥まで挿入されるたびに、加賀はベッドの上で乱れた。

彼女が抵抗できないように両手首をしっかりと掴み、ピストンを続ける。

 

 

「ていとく……愛してるわっ……」

 

「はぁはぁ。俺もだよ……加賀。お前のことを……世界で一番愛してるっ」

 

 

三度目の射精。

 

加賀の中にたっぷりと注いでから、肉棒を引き抜く。

加賀はたくさん喘いだので疲れてぐったりとしていた。

暑いと言ってエアコンの設定温度を少し下げた。

 

加賀が腕枕してほしいと言うので、その通りにしてあげた。

ふたりで一つの枕に顔をうずめ、向かい合う。

 

 

「提督があんなに出してくれたから、妊娠していても

 おかしくないわ。ねえ。もし私が本当に妊娠していたら

 どうする? あの女と別れてくれるのかしら」

 

「ああ。それはもちろ……」

 

その時であった。

携帯の着信音が鳴った。電話でなくメールだ。

 

こんな時にと提督がいら立つが、一度だけじゃなくて

何度もメールが送られてくる。提督はいっそ電源を切ろうと思ったが、

加賀が内容を確認した方がいいと言うので、スマホを手に取る。

 

「娘の画像か……」

 

大和は、夫の浮気を察していたのだろう。

 

わざとらしく愛らしい娘の画像を連続で送信してきた。

一番効果があったのは、『パパ大好き』とクレヨンで書かれた似顔絵だった。

自分はなんて馬鹿なことをしているのだろうと、嗚咽する。

 

そこで加賀が横から

 

「提督は、今まであの女にされたことを忘れたの?」

 

と言う。加賀の顔は、今までに見せたことないほどに歪んでいた。

 

「あなたはもう私と身体の関係を持ってしまったのよ。

 今さらあの女と元通りの関係に戻れると思っているの? 

 そんな都合の良い話は存在しないわ。あなたには選択肢がある。

 私と結婚するか、それともあの女と一緒に暮らすか。

 私はあなたを苦しめたりなんてしない。誓うわ」

 

提督は、あまりの恐ろしさに加賀の瞳を見ることができなかった。

加賀の瞳は、伝説の一航戦が敵を打ち滅ぼす時のそれだった。

 

もしここで提督が冗談でも大和を選ぶなどと言おうものなら、

文字通り殺されてもおかしくはない。

加賀も今まで抑えてはいたのだろうが、提督への愛は重い。そして深い。

 

結婚のその先にあるのは、束縛。ただそれだけ。

 

加賀を選んだところで、結局は同じ結末になるのだと。

ならば、すでに娘まで生んでいる大和との生活を続けた方が健全だ。

 

「ていとくっ!!!!」

 

奇声を発した加賀。提督の心臓が凍り付く。

 

「この期に及んでまだ悩んでいるのね。あんなにも情熱的に

 私の体を抱いてくれたのに、それなのにあなたは、まだ悩んでいる。

 あの女のところに戻ろうか悩んでいる。信じられないわ。

 こうなったら、実力行使しかないわね」

 

「う、うわああああっ!!」

 

恐慌状態になった提督は加賀をベッドに押し倒すが、

逆に押し倒されて身動きが取れなくなった。

所詮は人間。空母の腕力に適うわけがない。

 

「そんなにおびえなくていいのよ。

 私は大和と違って乱暴するつもりはないわ。

 ただ、あなたにこの書類にサインをしてもらいたいのよ」

 

婚姻届けだった。市役所に提出するタイプの。

 

それに加えて加賀は、結婚指輪(カッコカリ)も要求してきた。

もちろん提督らプレゼントしてほしいと。

提督の方から自分の指にはめてもらいたいと。

そして大和と別れる旨を今すぐメールで送信するようにと。

 

以上のことを実行しなかった場合、非常に不幸な結末になると脅してきた。

間違いなく暴力をふるうことだろうと、提督がそう思ったのが顔に出たのか、

 

「いいえ。誤解よ。私はあなたを裸のままベッドに縛り付けて

 雪空の元、一晩中放置してあげようと思ったのよ」

 

「わ、わかった。今この瞬間から君は俺の妻となった。

 大和のことは過去のことだと忘れちまおう」

 

どうにか加賀を納得させた。最後に誓いのキスまでしてから別れた。

家に帰ると例のごとく朝になっていた。

 

そして物語は、第一話の冒頭のシーンへと戻るのだ。

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