※この作品はR-18です。

「大和の愛から逃げ続けたらどうなるのか?」   作:なおちー

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翔鶴を発見した。提督は発狂した(最終話)

提督には、行く当てなどなかった。

 

それは榛名も鹿島も同じだ。

 

数日前に病院を出て行ったのなら、

そんなに遠くまで行ってないだろう。

だが、ここは住み慣れた神奈川県ではなく滋賀県だ。

 

土地勘もなく知り合いもなく、

どうやって翔鶴の行方を探せばいいのか。

 

 

鹿島は、翔鶴がうらやましいと思った。

 

提督に探してもらえる。

彼がこんなにも顔を真っ赤にして怒って、

翔鶴に逢えなくてイライラしている。

 

提督に見てもらえる。

提督に振り向いてもらえる。愛してもらえる。

鹿島がどれだけ彼を愛していても、

彼から心からの愛をもらったことは一度もなかった。

 

与えるだけで、返してもらえない。

 

 

提督は病院を出てすぐ先のコンビニまで走り、

ペットボトルの飲み物を買って一気に飲み干した。

ミルクティーだった。榛名は黙って彼の様子を見守っている。

下手なことを言ったらまた引っぱたかれると思ったからだ。

 

提督は駐車場の一角にしゃがみこみ、頭を抱え悩でいる。

 

鹿島はこう思った。

きっとこの人は、世界の果てまでも翔鶴を探しに行くのだ。

ふいに鹿島の心に鬼が宿る。

 

45口径12インチ連装砲を、提督へ向けた。

 

 

「……何の真似だ?」

 

「本当のことを話そうと思いまして」

 

「本当のことだと?」

 

「はい。翔鶴さんは逃げられるわけがないんです」

 

「なぜだ」

 

「だって、翔鶴さんは足を複雑骨折しているはずですから」

 

 

鹿島は無表情のままこう言った。

 

 

「私が翔鶴さんに嫉妬して、足を主砲で打ってしまったんです。

 そしたら翔鶴さんの足の骨が見えてしまいました。

 たぶん中の肉が、ぐちゃぐちゃになって複雑骨折した結果、

 肉の隙間から骨が見えてしま……」

 

全部言い終わる前に、提督が鹿島の首を締めあげていた。

鹿島はつま先が宙に浮いている。

鍛え上げられた提督の腕には筋肉の筋が浮かんでいる。

 

 

「もう……死んじまえよ。おまえ」

 

「ていと……くさま……」

 

「死ねよ。なあ。死んじまえよ。お前みたいな奴はよぉ……」

 

 

鹿島は提督の凶悪な手にそっと触れるが、抵抗らしい抵抗はしない。

 

榛名は、さすがにまずいと思ったので提督を払いのけた。

 

解放された鹿島は地面に転がり、大きく息を吸っている。

提督は、今度は榛名に襲い掛かった。

 

「ひぃぃ!?」

 

榛名は格闘戦に優れるため提督の首絞めを簡単に回避した。

提督も戦闘力は高い。榛名の髪の毛をつかむと、顔にビンタをした。

一度や二度ではない。彼女の顔の原型を変えるつもりで

力いっぱい殴ってやった。

 

「お前も翔鶴を傷つけたんだろ。同罪だよ。

 俺はお前たち二人がずっと許せなかったんだよ。

 なあ榛名。俺はずっとお前らに騙されてたんだな。

 翔鶴は全然無事じゃなかったんだな。なあ!!」

 

提督は榛名を蹴飛ばした。

榛名も抵抗はせずされるがままだった。

 

やがてコンビニから店員が飛び出て来て、今すぐ警察を呼ぶと

騒ぎ出してしまう。お客たちも提督を遠巻きにして

噂話をしたり、スマホで写真を撮っていた。

 

「てめえら!! 勝手に人を撮ってんじゃねえぞ!!

 見世物じゃねえんだ!! ぶっ殺すぞ、てめえ!!」

 

海軍提督の気合いの入った怒号に、野次馬共は早々に散った。

 

提督は家に戻ることにした。

こんなところに居ても翔鶴の居場所が分かるわけがない。

そもそも病院の看護師の話と矛盾するではないか。

 

鹿島の話を信じるなら、手術で両足を切断されているだろう。

足の不自由な(というか、ないだろう)翔鶴がどうやって

わずか数週間のうちに働きに出る(と看護師が言っていた)ことが

できるのか。そんな発想になるのか。すべてが不可解だ。

 

一体誰が嘘をついているのか。

そもそも本当のことなどあるのか。

 

やはり翔鶴は初めから死んでいて、あの病院に行ったのは

提督とは全く関係ない、別人のお見舞いのためだったのか。

 

提督はやはり鹿島を殺したいと思ったが、とりあえずは我慢だ。

 

「お願いします。嫌いにならないで下さい」

 

「申し訳ありませんでした。反省してます」

 

鹿島と榛名は並んで土下座をしている。

提督に暴行されたことよりも、嫌われることの方が恐ろしいらしい。

人前だと言うのにボロボロと涙を流して、本当に哀れなものだった。

 

 

「ん……?」

 

 

野次馬の中に、一人だけ帰らない者がいた。

背の高い若い女だ。その女の正体は瑞鶴だった。

 

 

「久しぶりだね。提督さん」

 

「ず、ずいか……」

 

 

幽霊ではなく、本当にこの娘は生きている。

理屈ではない。感覚で分かってしまうのだ。

 

提督は瑞鶴を抱きしめ、泣くに泣いた。

瑞鶴の方はなぜか冷静で、提督の背中を

ぽんぽんと叩き落ち着かせていた。

 

「あのさ。そろそろ聞かないの?

 私がどうして生き返ったとか」

 

「俺にとっては、どうでもいいんだ。

 瑞鶴は今こうして生きている。

 それだけで俺は十分すぎるほど幸せだ」

 

 

彼らが恋人同士のように抱き合っているので、

鹿島がじっとその様子を観察していた。嫉妬のこもった視線で。

榛名は瑞鶴を邪魔者だと認定し、遠慮なく主砲を瑞鶴に向けてしまう。

 

それに対し、瑞鶴はにらみつけた。

 

それだけで榛名は、動けなくなった。

自分は動けなくても、口で命令することはできる。

 

撃て。今すぐあいつを撃て。そう主砲の妖精に命じる。

だが、なぜか動いてくれないのだ。理由は分からない。

たぶん榛名と同じだ。

あの空母には、絶対に勝てないことを知っていたのだ。

 

瑞鶴は提督に「少しそのままで待ってて。すぐ終わるから」

とにっこりと言い、すぐに鬼の形相となって榛名に近づいた。

 

榛名は恐怖のあまり後ずさるが、瑞鶴の迫力に負けて

何もできない。瑞鶴は、榛名の主砲や副砲の先端部分を、

怪力で握りつぶしてしまう。次に鹿島の砲も同じようにした。

 

瑞鶴は髪留めを外した。

長い癖のある髪の毛が、ふわりと肩の上へおりる。

髪の毛を、少しだけうっとおしそうに肩の後ろへ手でなびかせる。

 

 

提督は、その仕草に神々しい美しさを感じた。

 

瑞鶴にとっては意味のないことだったに違いない。

だが、提督は瑞鶴の正体が単なる艦娘ではなく、

神の使いではないかと思い始めていた。

 

 

「提督さん。翔鶴ねえが死んでいる場所、教えてあげるよ」

 

瑞鶴はそう言った。

 

提督は頷き、着いて行った。瑞鶴は恐ろしいくらいに真顔だった。

やはり死んでいるのかとは、口にはできる雰囲気ではなかった。

 

榛名と鹿島も恐縮しながら後を着けた。

 

 

翔鶴の死体は、例のスーパーから少し離れた場所にある林の中にあった。

鹿島は嘘をついたのだ。翔鶴が死んでいることを知っていた。

 

だが、鹿島がとどめを刺さしたわけではない。

翔鶴に直接的な暴行をしたのは榛名だ。

鹿島はただ、翔鶴を駐車場に放置しただけだ。

 

翔鶴は自力で動こうとしたが体が言うことを聞かず、

そのまま眠り、朝を迎える前に息絶えた。そして彼女の遺体は

なぜか林の中にあった。誰が移動させたのか。真相は分からない。

 

とにかく彼女は死んだのだ。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああぁああぁぁぁぁぁぁっ」

 

 

提督は、吠えた。

 

5分もそうしていた。

 

怒りが、悲しみが、せつなさが、爆発してしまった。

 

あの翔鶴が、大切な妻が、自分と仲良しごっこで同居していた

榛名と鹿島によって殺されていたのだ。そうとも知らず、

鹿島の口車に乗り、ただれた生活を送りながら、翔鶴との再会を夢見ていた。

 

「うぅぅぅっ……うぁぁっ……うぅぅっ……こ、殺してやるぞぉ……」

 

「提督さん……。私だって鹿島たちを殺したい。でもそんなことを

 したって、死んだ人が生き返るわけじゃないよ」

 

「だ、だがな……」

 

「聞いて。私だって病んでしまった翔鶴ねえに殺されたんだよ。

 あの裁判の時の事、覚えてるでしょ? 執務室で爆撃機を飛ばされて……。

 私は翔鶴ねえだって、まともな人じゃなかったと思ってるよ。 

 だから殺されても仕方なかったのかもしれない。

 でも私は悲しいよ。大好きだったお姉ちゃんが、

 こんなにも変わり果てた姿になって」

 

翔鶴の死体は、腐敗した様子もなく綺麗だった。

榛名の砲撃によって全身が焼けただれてはいたが、顔は穏やかだ。

死体になっても彼女の生まれ持った美しさまでは損なわれていない。

 

艦娘は海で沈んで死ぬものだとされている。

地上で死んだのは彼女がおそらく初めてだろう。

 

 

「提督さんが聞いてくれなかったから、自分で説明するよ。

 お姉ちゃんは死ぬ時に、ひとつだけ神様にお願いをしていたんだよ。

 神様に一度チャンスを頂いたのに、無駄にしてしまった。

 だから私は再び死にます。

 でも妹の瑞鶴をどうか生き返らせてあげてください。

 私が叶えられなかった夢を、

 私の大切な妹に叶えさせてあげてください」

 

「そ、そんなことが本当に……?

 だが確かに神様の力に不可能はない……。

 お前も契約をしたのか……」

 

「うん。私も神様に会ったよ。

 もう一度しっかり生きなさいって言われた」

 

「瑞鶴……」

 

「提督さん……。好きだよ。大好き」

 

「俺もお前のこと、好きだよ。瑞鶴」

 

 

二人は熱い接吻を交わした。

榛名と鹿島は、いい加減に諦めたのか、その場を静かに立ち去った。

どこに行ったのか。あの空き家か。それとも……。

提督にとっては、もう赤の他人のことなど気にもならない。

 

「ああ……お前の髪の匂い、確かに翔鶴と同じ匂いがするよ……」

 

「そんなに鼻を近づけないで。くすぐったいよ」

 

「瑞鶴……お前はやっぱり翔鶴の妹なんだな……」

 

 

瑞鶴は姉の遺体を土に埋めてあげようと言った。

提督は首を横に振る。

 

「ちょうどいいじゃないか」

 

「なにが?」

 

「俺も一緒に埋まるよ」

 

「へ……? まさか」

 

「俺も一緒に死ぬんだよ」

 

「……本気で言ってる?」

 

「少し順番が狂ってしまったが、結果は同じ事だ。

 さっき告白したばかりなのに悪いな瑞鶴。

 俺は今すぐここで……」

 

提督が隠し持っていたナイフを、瑞鶴が素早い動作で奪い取る。

 

「なんで死のうとしてるのよ!!」

 

「おまえこそ、なぜ止める?」

 

「死んじゃだめだよ!!」

 

「うるせえ!! 俺は死にたいんだよ!!」

 

ふたりは激しい口論をした。

 

感情に任せるがままに怒鳴り続けていたが、

やがて頭が冷静になると、なぜこんなくだらないことで

怒っていたのかと、最初に提督が冷静になった。

彼が楽しそうに笑い出すと、瑞鶴もつられて笑った。

 

 

「すまん瑞鶴。やっぱり死ぬなんて馬鹿らしいな」

 

「分かってくれてよかった」

 

「これからどこに行こうか?」

 

「今夜は街のホテルに泊まろうよ。

 ここから街までタクシーで移動しようか」

 

スーパーの近くに地方の駅があって、そこにタクシー乗り場があった。

ふたりは夕飯の時間頃にはホテルにチェックインした。

安いビジネスホテルだったが、

贅沢したい気分じゃないのでちょうどいい。

 

ベッドはダブルベッドだったから、

自然と二人が一緒になって寝ることになる。

 

瑞鶴はホテルに入った瞬間、我慢できなくなて

提督にしがみつき、キスをした。

 

「ん~~~~提督ぅ……ずっと逢いたかったよぉ……」

 

瑞鶴は10分も提督に抱き着き、キスを繰り返した。

 

提督はついに辛抱たまらなくなり、瑞鶴の服をそっと脱がそうと、

まず背中に手を回した。その時に気づいてしまった。

 

(ああ、なんて細い体だ。姉とは全然違うんだな……)

 

当たり前のことだが、瑞鶴には翔鶴のような腰のくびれがなく、

胸のボリュームも弾力も比べ物にならない。中には子供らしい体系の

方が好きな人もいるだろうが、提督は大の巨乳好きだ。

 

決して瑞鶴のことが嫌いではない。

だが、提督は今日の昼間に妻の死体を見たばかりで気持ちの整理がついてない。

いくら翔鶴の実の妹が目の前にいるとしても、どうしても姉との違いが

頭に浮かんでしまい、行為に集中できない。

 

「どうしたの? 早く触ってよ」

 

「あ、ああ。ぼっーとしちゃったよ。ごめんな?」

 

提督が瑞鶴の正面でしゃがみ、瑞鶴のスカートをまくって

パンツを足首まで一気におろした。立っている瑞鶴は顔を真っ赤にして、

ついアソコを手で隠そうとしてしまうが、提督の手で払いのけられる。

 

「舐めるぞ?」

 

「うん……」

 

まだシャワーを浴びてない瑞鶴の恥毛に提督の鼻が

くっつき、秘所の割れ目の部分を舌でなぞる。

 

「やっ……くすぐったいっ」

 

「舐める前から、もうこんなにトロトロじゃないか」

 

やはり姉妹だからか、味が少しだけ翔鶴に似ている。

瑞鶴は足をしっかりと開いて、提督の愛撫に耐えている。

たまに足が小刻みに震え、立っているのが辛そうになるが、

提督に我慢しなさいと言われたので、目をつむって耐える。

 

「あぁ!!」

 

提督の指が一気に挿入された。下から上に突き上げるように、

瑞鶴の膣の中に侵入したのだ。ゆっくりと出したり入れたりを繰り返す。

愛液が流れ出してきて、中で水音を奏でる。

瑞鶴はさすがに体に力が入らなくなってぺたりと座り込んでしまう。

 

それでも提督の責めは止まらない。

瑞鶴の華奢な体を片腕で抱きしめ、空いている方の手で瑞鶴のアソコを

優しく撫でては、また一気に中に突っ込んでしまう。

膣の内側をぐりぐりとまさぐると、さらに液体のエッチな音が激しくなる。

 

「あ……だ……ダメぇ……イッちゃう………ああぁぁぁ!!」

 

腰を少し浮かせてから、脱力した。

瑞鶴から噴き出した愛液が、床をびしょびしょに濡らしていた。

あまりにも気持ちよかったせいか、涙目になっている。

 

提督は瑞鶴を抱き寄せてキスをした。瑞鶴は苦しいから少し待って、

と言うが、どんどん唇を奪ってしまう。あまりにも乱暴なキスだった。

瑞鶴は息ができなくなって顔を背ける。すると提督が瑞鶴の腰をつかんで

引き寄せて、ペニスを挿入してしまう。

 

 

「あっあっあっ……はげしすぎっ……あっあっ……だめっ……」

 

 

髪を振り乱しながら乱れる瑞鶴。妻の忘れ形見にすら思える。

提督のアソコの硬度がさらに増す。一発目を発射するのはすぐだった。

 

 

「はぁはぁ。疲れたぁ」

 

と言って瑞鶴がペットボトルを飲んでいる姿がまた無性に愛らしかったので、

提督は彼女に襲い掛かってベッドに押し倒して、すぐに二回戦を始めてしまう。

 

「ちょ……さっきイったばかりでしょ!! あぁっ……やぁん。

 胸を乱暴に愛撫しないでぇ……あぁ…いやぁぁあ!! ああん!!」

 

提督が腰を前後に振ると、瑞鶴も乱れる。

提督が覆いかぶさり、瑞鶴とキスをしながらも、腰の動きは止まらない。

 

瑞鶴は涙目になりながら提督の唇を受け止める。

下の方の口も、提督の欲望のままに犯されていた。

それでよかった。瑞鶴はこの人の悲しみを早く忘れさせてあげたかった。

同時に自分自身も二度と姉に逢えないせつなさから解放されたかった。

 

この二人は、依存しあっているのだ。

ある意味、理想的な関係なのかもしれない。

 

 

提督は最終的に3回も瑞鶴の中に出してしまった。

心から気持ちいと思えるセックスだった。

彼女とするのは今日が初めてだったが、相性がいいのかもしれない。

 

 

寝る時になって、提督は瑞鶴が手錠などをしてこないことに気づいた。

 

「私は提督さんのことが大好き。結婚したいくらいに好き。

 でも束縛はしないから、捨てたくなったら捨ててくれていいよ。

 私はお姉ちゃんを愛しているけど、

 お姉ちゃんと同じ過ちを犯して死ぬつもりはないから」

 

「心配しなくても、俺はお前のこと愛しているよ」

 

「ありがとう」

 

「……仮にだが。もしひとりになったら、どうするつもりなんだ?」

 

「んー。たぶん社会で普通に働くと思う」

 

「艦娘じゃなくて、普通の女性として生きていくのか?」

 

「そうだよ。戦うだけが人生じゃないって提督が教えてくれたじゃない。

 たぶん私も容姿はそんなに悪い方じゃないと思うから、

 そのうち素敵な男性が見つかるかもしれないし……。

 か、家庭とか、持ってみたいと思うじゃない?」

 

そう語る瑞鶴の横顔は、どこかさみしそうだった。

 

「できるんだったら、ずっと提督さんと一緒に居たいよ。

 でも誰を選ぶかは提督さん次第でしょ。

 鎮守府には提督さんを待っている艦娘がたくさんいるんだから、

 私が独占しちゃうのは、なんだか悪いような気がしちゃって」

 

「結婚しようか」

 

「え!? 今なんて言ったの?」

 

「結婚しようぜ。俺はお前のお姉ちゃんを失っちまったからフリーだ。

 一人でいるのもさみしいし、お前さえ良ければ結婚してくれないか」

 

「ほ……本当で私でいいの?」

 

「愛してるよ瑞鶴。俺とお前が結ばれるのは、たぶん

 神様の運命の導きによるものなんだ。俺は自分の

 運命と決められたことには従うよ。なあ頼むよ。

 俺と結婚してくれないか。そして俺の子供を産んでくれ」

 

「はい。喜んでお受けします……あなた」

 

 

その時、提督は確かに見た。

 

瑞鶴の背後に、翔鶴の霊が現れたことを。

 

光り輝く翔鶴の霊は、女神のように微笑んでいた。

神も霊もまた、二人のことを祝福してくれているのだ。

おそらく世界そのものが、提督と瑞鶴のことを祝福してくれている。

 

 

それから提督夫妻は、京都の都市部に移り住み、

ふたりでアルバイトの適当な仕事を見つけて貯金を貯めた。

嫌ですぐ辞めてしまう仕事もあったが、長続きする仕事もあった。

 

さらに月日が流れ、海外に移住した。

場所はシンガポール。マレー半島の最南端。

英語圏の国で物価が高いが、二人は慣れない異国の地で住むことを選んだ。

シンガポールでは中国系の民族が7割を占めるので東アジア人なら目立つことはない。

 

追手の艦娘達も、まずここまでは来れないだろう。

京都に働いている時でさえ見つからなかったのだから

 

現地で英語を覚え、夫婦揃って観光地のお店の

店員として働く中、一年半ほどして妻の瑞鶴が身ごもる。

瑞鶴にそっくりな女の子が生まれたので名前を「翔鶴」と名付けた。

 

1歳半になった翔鶴は、提督達のことを「お父様」「お母様」と呼んだ。

利発的な娘で、親が教えてないことまで自分で進んで覚えた。

学校での成績も抜群に良く、英語を自在に操り日本語にも堪能な娘として育った。

 

娘をかわいがった夫婦は、母親の正体が艦娘だとは教えてあげなかった。

平和な世界で生きる娘にはそんなこと関係ないからだ。

 

提督は45歳を過ぎると急に体を悪くし、その翌年に亡くなった。

医者に見せても病名が分からず、謎の変死と呼ばれてしまう。

 

横須賀に残してしまった妻達の怨念のせいだと瑞鶴は思い、ゾッとした。

 

提督は、死にゆく最後の瞬間に娘に言い残したことがある。

 

「今だから言うが、俺はかつて軍属だった。

 東の島国を守るために命を懸けて戦ったことがある。

 お前は絶対に軍隊には関わるんじゃないぞ。

 もし敵が襲ってきたら、とにかく逃げろ。絶対に戦うな。

 それはお前の仕事じゃないからだ。他の誰かの仕事だ。

 だから……お前は……せめてお前は……」

 

10歳にも満たない娘には何のことかわかなかったが、

父の遺言なのでその言葉に従った。

 

娘が成人する直前に、瑞鶴も夫の後を追うように亡くなった。

彼女の死因もよく分からなかった。ただ朝起きたら心臓が止まっていたからだ。

 

娘は家にこもり、泣く日々が続いた。

神に対し呪いの言葉さえ吐いたことがある。

 

それから数か月がたち、親の死の悲しみから

立ち直った娘は、もう娘ではなくなっていた。

 

彼女はやがて職場で知り合った男性と結婚し、男子をもうけた。

子の名前に「てーとく」と名付け、愛情をたっぷり注いで育てた。

 

 

こうして、提督と瑞鶴の残した遺伝子は、そのあとも末永く受け継がれていった。

 

 

                                 終わり。

 

 

 

 

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