▼流れ的には前に書いたモブエペと一緒ですね 救いはありません リドルみたいにプライドの高い少年がぐちゃぐちゃにされるのが読みたい方はどうぞ
pixivより転載
開けてはいけない扉が、開く音がした。
「え? 僕と付き合いたい……?」
そんなことを言ってきたのは、リドルとはあまり交流のない他寮生だった。たぶん1年生だと彼は思った。自寮の1年生ですらあまり接しない者もいるので、他の寮の生徒となれば言わずもがなだった。
純朴そうな生徒だ。気が弱そうにすら見える。そんな彼が、なけなしの勇気を振り絞った――という様子で、リドルに告白してきた。所謂愛の告白というやつだろう、とリドルは半ば他人事のように思う。顔色が赤いを通り越して蒼褪めているのが何やら気の毒だった。
リドルは彼より小柄なその少年の勇気に報いたい、と思った。それは彼が寮長という人の上に立つ立場から由来される義務感のようなものでもあった。性別の垣根を超えて来たその少年の勇気を讃えたい、と思ったのだ。
それが致命的な間違いであると、リドルはこのときはわからなかった。
リドルは少年の肩に手を置いた。
「僕で良ければ、そうだね……とりあえず、1週間お付き合いしてみようか」
「……あ」
少年は、なぜか絶望したような顔をした。その理由がわからなかったが、少年はすぐに「有難うございます」と小さな声で言った。やはり、顔色は冴えなかった。
そしてリドルはと言えば、なぜか頭のどこかで警戒音のようなものが聞こえていた。理由がわからず、あるいは思い出せず――彼はこのことを(告白されたことは勿論)、誰にも言わなかった。
それから1週間、リドルはその少年と「お付き合い」をした。
リドルは寮長としての仕事を熟しつつ、できるだけ少年との時間を作った。少年はずっと顔色が悪かったが、それでも少しだけ笑顔を見せてくれた――その度に、まるで罪悪感を覚えたように笑顔を引っ込めたけども。
「●●?」
「――いいえ、いえ、何でもないんです」
その理由を問う度に、少年は頭を振った。
その理由を思い知らされたのは、1週間後。少年との「お付き合い」の最後の日だった。どうにも自身は同性愛の才能はないらしい、とリドルは悟っていたのでそのときにこの「お付き合い」の延長はできない、と告げるつもりだった。大事を取って部活も休んだし寮長としての仕事もこの日は空けた。もしかしたら泣かれるかも知れない、そのときはどんなに時間がかかっても慰めないと。そう思ってのことだった。
その日、少年は様子がおかしかった。顔色は最早ないも同然。けれど強張った様子で、放課後。リドルを呼び出した彼は、「お話はわかっています」と彼から先に言ってきた。少年はリドルを見上げながら、彼の手を取った。冷たい手だった。
「ただ、大事な話だから、もっと静かな場所に行きませんか」
「構わないけど……」
これからお付き合いを断るつもりだったから、罪悪感が先に立って少年の要望に応えてしまう。そしてゆっくり、ゆっくりと引っ張られていったが――だんだんと、本当に学園の敷地内でも人気のないところへと連れていかれて不安がよぎる。あの警戒音が聞こえてくる。
「君、どこまで僕を連れていくつもりだい?」
「もうすぐ、もうすぐですから」
少年は懇願するような声で言う。けれど振り返らない。ただ、リドルの手を引っ張った。こうも大人しい相手では強く出られない。そう思いながらついていった。
辿り着いたのは、今は使われていない倉庫だった。赤錆だらけの扉。そこを、少年は開いた。
「こちらにどうぞ」
「……こんなところで話すのかい?」
リドルは思った。最初、少年に告白されたときはもう少し人気のあるところだった。けれど今は本当にまるで人気がない。ゴーストすら見かけなかった。リドルが戸惑っていると、少年は焦れた様子で「ここで話すんです」と彼の手を掴んで引っ張り込んだ。
中は明り取りの小さな窓ぐらいしかない。埃っぽかった。使われていない跳び箱やマットなどが目についた。リドルがきょろきょろと辺りを見回しながら、明かりを灯そうとマジカルペンを取り出したところで、少年が倉庫の扉を閉めた。
そのときだった。
「ごめんなさい、リドルさん」
そう言って、少年はリドルの手からマジカルペンを引っ手繰った。
「よし、よくやった!」
――刹那、魔力の波動を感じる。これは結界魔法だ。それも3年生や4年生がはじめて使えるような、高度な防音魔法。内側からの音は漏らさず外側からの音は聞こえる、使いようによってはいくらでも悪用できる魔法。
それが今まさに「悪用」されようとしていた。
気が付くと、リドルと少年の周りには複数の生徒がいた。体格の良い者たちばかりで、いくらか見た顔がある。上級生と1年生が混ざっているようだった。共通しているのは嗜虐的な、獰猛そうな表情。これはどうしたことか、少なくとも良いことは待ち構えてはいまい。そう考えながらも、少年からマジカルペンを取り返そうと振り返る。
少年はいなかった。否、いたにはいた。ただし、少年はマジカルペンをおずおずと、取り囲んできた輩のひとりに渡している。
「あの……奪ってきました。これで、あの、もうお金を渡さなくていいんですよね……?」
その言葉で、少年の事情はあらかた察した。察してしまった。思わず睨み付けると、少年は首を竦めて怯えた。
「ごめんなさい、リドルさんごめんなさい。こうしないと僕、僕……もう……」
「もうお前に用はねぇよ。ただこの結界魔法の都合があるから、お前は『終わる』までそこの隅で立ってろよ。あぁ、何なら『見て』てもいいぜ? お前、本当にローズハートのこと好きだったんだろ?」
「……」
「●●、」
黙り込んだ少年の名を呼んだところで、リドルは腕を掴まれた。痛いほどのその力で振り解けない。リドルはけたたましく頭の中で鳴り響く警戒音を聞きながらも「離せ」と言う。腕を掴んできた男は「威勢のいいこって」とせせら笑う。リドルは腕を振り払おうとしながら言った。
「僕に暴力をふるうつもりかい? 集団で?」
「おっ、わかってるじゃねぇか。お前、自分が憎まれてるってわかってんだな。お前がいつも首席だから、お前が馬術部で活躍するから、お前が他寮生にも時にユニーク魔法をかけてくるから……いろいろあるよなァ」
そう言いながら男は口の端を釣り上げた。ほかの男たちもそうだった。それに、背筋が寒くなる。
その笑みは、「欲情」と呼ばれるものだった。
「ただ、暴力は暴力でも、上に『性的』ってのがつくやつなんだよなァ」
そう言って、男は空いた手を伸ばしてきた。
リドルの赤いベストのボタンが、いとも容易く全て飛んだ。
蒼褪める。それは奇しくも、自身に「告白」してきた少年とちょうど同じ顔色だった。
「やっ……やめろ!」
「おいお前ら抑えろ」
「スマホ回してるか? しっかり撮れよ」
黴臭いマットの上に引き倒された。力の限り暴れるが、体格の良い、恐らく運動部の男たちの前には抵抗してないも同然だった。ベストの下のカッターシャツのボタンもはじけ飛ぶ。リボンタイが解かれ首にかけられ、靴を脱がされベルトを外され、下履きごとスラックスを脱がされる。その過程でリドル自身がぽろりと姿を現した。それを見て男たちが嘲う。
「おっと、ハーツラビュルの女王陛下はチンポにも冠を被せてるんですね!」
「かわいいおちんちんでちゅね~~エレメンタリースクールのガキみてぇ」
「写真撮れ撮れ」
パシャパシャと、フラッシュと同時にリドルの尊厳が破壊されていく。足を閉じて隠したいのに男たちが足を押さえて大股を開かせる。M字開脚だ。何回も何回も写真を撮られ、「やめろ」と叫ぶ声は嘲笑で応えられた。
不意にフラッシュが止むと、男のひとりが開脚させられたリドルの前に座る。そして、リドル自身を手で握った。無遠慮なそれに「ひっ」と喉から声が上がる。男たちが嗤う。
「おっ、良い反応。そんな良い子なリドルくんにはご褒美をあげましょうね~」
「な、なにする」
「皮をかぶってるチンポが可哀想だから剥いてシコシコしてやるよ」
そう言って、男はリドル自身の皮を指で剥いた。未知の感覚にリドルの息が一瞬詰まる。
否、未知ではない。リドルは自分自身を扱ったことがない。にも拘らず、リドルは「これ」を知っていた。
(どこで?)
回想に浸りかけた思考は、リドル自身を扱かれはじめたことで一瞬で霧散した。桃色のリドル自身が日に焼けた分厚い手に扱かれる。そんな乱暴な扱いでも、リドル自身は反応してしまう。それは反射のようなものでリドルを責められるものではなかったが、リドルはこれが自身の不出来な部分だと感じた。抵抗をしようとするが、寄せてくる快楽の波に攫われそうになる。腕と脚を掴まれたまま、リドル自身はどんどん大きく膨らんでいった。先走りがマットの上にしたたり落ちる。
「これが体は正直ってやつか。ローズハートもそうなんだな!」
「くっ……」
がくがくと体が揺れる。限界が近かった。同時に警戒音は最早災害レベルの音を鳴らす。
そして気付く。もう、警戒に値するどころか今まさに危機的状況だ。にも関わらず音は聞こえてくる。これは、つまり。
まだ、なにか、ある。
「おっ、結構大きくなったな。これならミドルスクール生ぐらいはあるんじゃねぇの」
「ま、射精したら元の皮被りに戻るけどな!」
「くそっ……! ――あ、あっ、あっ」
堪らず声が漏れる。いよいよ手コキは佳境に入っていた。がくがくと腰が揺れる。スマートフォンのカメラが向いているのも忘れ、リドルは喘いだ。
「も、だめ……!」
堪らず精を吐き出した――刹那、思い出す。それは開けてはいけない記憶の扉。魔法で封じ込められていた、幼少期の記憶。想い出というにはあまりに陰惨なそれ。
リドルは幼かった。まだ母もそこまで束縛してこなかった頃だった。リドルは外を出歩ていた。そこで親しくなった男がいた。いつも丘の上でトランペットを吹いているおじさんだった。彼と親しくなった。
その後の記憶があいまいで――憶えているのは。
丘の上の東屋の物陰。抵抗しようとしてビンタをされて押し倒されたことも憶えている。そして暴かれた身体、暴かれた幼いリドル自身、そして貫かれた身体――
思い出した。すべて。
「――うわあ!」
「うわっなんだ」
より一層強く暴れそうになったのを、しかしさらに強い力で抑え込まれる。その間に男はリドルの両足を抱え込むと、リドルの胸の尖りに軽く噛り付く。リドルの体が仰け反った。それでもリドルは「嫌だ」「やめて」と力なく抵抗する。
「もうやめて、おじさん、もうやめて」
「おじさん? 誰がだよ。俺らは立派な高校生、若者だぜ」
「錯乱してるんだろ。その間に愉しもうぜ」
「そうだな。おい、ローション用意しろよ。あれがねぇと突っ込みにくいからな」
そう言って男は掌に潤滑油を垂らすと、体を仰向けに転がされたリドルの後孔に押し当てる。ぐいぐいと指先が無遠慮につき込んでいく。1本、2本、3本。かき回され、リドルの「イイトコロ」を的確に押し当てた。あとはスムーズだ――リドルの体は急に解放された。手足が離される。しかし完全に封じ込めを解かれたわけではない。男はリドルの背後に回ると、腰を突き上げて息を切らす彼の、リボンタイで首を引っ張った。ぐぇ、と蛙を弾きつぶすような声がした。それに構わず男は、リドルの後孔に、取り出した自身の先端を宛がう。
ずぶり、と音を立ててリドルの「ナカ」にそれが侵入してきた。
「おっ、おっ……!」
「はは、気持ちいいだろ? これぐらいの窒息プレイなら死にゃしないだろ。ほら、もっと締め付けろよ」
「がっ、あっ……」
息がうまくできない。それでも既に形作りはじめていたリドル自身は、男自身を強く締め付けていた。それに、男はピストンを繰り返す。最後に一際リドルが後孔を締め付けたところで、男はリドルのタイを強く締め上げた。屠殺で絞殺される鶏のように、声が上がる。
「あ。――!」
リドルは果てた。
1度マットの上に転がって、倉庫の隅で縮こまる少年を見る。彼には、文句がつけなかった。
すべては己の不始末――そう思いながらも、動画を撮られ、写真を収められたリドルの未来は暗雲が立ち込めていた。
あとから話を聞いたところによると、リドルはやはり幼い頃に性的暴行を受けたのだという。母親の過保護を通り越した過干渉はそこに端を発したのだろうが、閑話休題。問題がある。
「リドルく~ん、今日空いてるよね? だったらまた『遊ぼうよ』」
そう言ってなれなれしく近寄ってくる男たちを無視できなくなったことが最大の懸案事項だと、リドルは思うのだった。
ただ気になるのは、少年のかなしげな顔。
End.