手際よくゴムを付けたゆかりさんはさっさとベッドの中央へ四つん這いで進むと、タオルをはだけてお尻をこちらに突き出してきた。
蝋燭のチラチラ揺らめく灯りが時折尻たぶの峡谷に差し込んで、秘裂の陰影を浮かび上がらせる。
明瞭な影があるからこそ肌の白さが引き立ち、割れ目から僅かに覗く小陰唇の赤もより煽情的に見えた。
先ほどの凹みかけた気持ちはどこへやら、思わず生唾が喉を鳴らして滑り落ち、それを引き金に自分もベッドへと乗って彼女に手を伸ばす。
「んっ……」
腰と尻の境界へ手が触れると、肋骨の浮いた背中が小さく震えた。
(やっぱ……全体的にゆかりさんの方がスレンダーというか、色々薄いんだな……)
今度はびっくりさせないようにとゆっくりと手の位置を上にずらしながら、改めて確かめる。
尻は薄い脂肪の向こうに筋肉の張りを感じるし、腰なんかモデル顔負けの美しい双曲線だ。
そうでありながら不健康な細さはまるでなく、うっすら浮いた肩甲骨の先からは健康的な筋肉の膨らみを伴った細腕がすらりと伸びている。
秘裂を覆う大陰唇もどことなくシャープで引き締まっていて、入れずとも締まりがいい事が分かるほどだ。
「どうしました? ……あぁ、前戯は不要です。そこは練習する必要ないですから、シャワーを浴びながら少し準備をして来ましたから」
頼りない蝋燭のものとはいえ、光の下で彼女の躰を見るのは初めてで、思わずまじまじと眺めてしまっていたらしい。首を捻ってこちらを向いたゆかりさんは、ひとり納得したようにそう付け加えた。
「準備してって……」
オナニーでもしたのだろうか? けれど秘所は風呂上がりのうっすらとした湿り気は帯びているものの、受け入れ準備が整っているようには見えない。
「ローションを膣に入れてきていますから、少し馴染ませてもらえば充分です。それと勘違いしないように言っておきますけど、オナニーはしてませんので」
こちらは思わず妄想に頬が熱くなってしまったというのに、ゆかりさんは淡々と事務的に説明して顔を戻した。
今まではオナニーの事をこっちから突っ込んだ時でも恥かしがってたのに、自分で言うのはセーフというか。
(それとも、それも含めて全部演技だった、とか――?)
だとすれば、と僅かにうすら寒いものが背筋を伝った。根元で縛られていなければ、肉棒も少ししぼんでいたかもしれない。
勝手な想像だ、と頭を振って気持ちを切り替える。
「いくぞ……」
肉槍へと右手を添えて割れ目へ沈め、多少粘着感があることに安堵しながら狙いを定めた。
「どうぞ」
気負うことない気楽な返事に、本当に大丈夫なのかと迷いながらも腰を押し込んで。
きゅうぅぅッ――!! 肉槍を一気に搾り上げられる。
「くぁっ……!? おっ、ぁ……っ!」
思わず情けない声を上げたのは自分の方だった。
(何だっコレ――っ?! キツっ、擦れっ……)
今までの経験から、ゆかりさんの膣が狭くてきつい事は分かっていた。いや、分かっている筈だった。
予想以上のキツさに、ただただ奥歯を噛みしめ耐えるしかない。
――厳しくなることは覚悟しておいてくださいね?
(とは確かに言ってたけど、態度だけじゃ無いのかよ……っ!)
入り口を押し通るのにいつもより少しばかり力がいるとは思っていたが、内部はそれ以上の圧迫感だ。
万力で全方向から圧迫されているような、あるいは噛み千切ろうとするような締め付け。もはや痛い寸前の圧力は、さっさと精を吐き出させようとする攻撃的な快感を与えてくる。
セックスをしているというより、搾精されていると言った方がいいくらいだ。
「どうしました? まだ全部入ってませんよ?」
「分かって……るッ……!」
ゆかりさんはこちらを振り向くでもなく気楽に言ってくるが、こっちは答えるので精一杯。
少し動かないだけで、型を取るみたくギチギチに締め付けてくる肉洞に負けじと腰を押し出して。
ぞりぞりっ――
つぷつぷと硬めの小さな肉粒が、無数に逸物を擦りまわす。
「おほぉっ……! ぁおぉ……っ」
さっきより情けない声が出た。
「ふふっ、弟くんったらセイウチみたいですね?」
そんなゆかりさんの言葉が、煽りを意味している事すら分からないほどの快感。
所謂数の子天井と言う奴なのだろうか。けれど、彼女の膣襞は天井だけなどという生易しい物ではない。側壁から床までまんべんなく、充血してぷりぷりの肉襞が襲ってくるのだ。
亀頭の先端はもちろん、エラの裏側から尿道、竿……全てが隈なく刺激される。しかもそれを恐ろしいまでにきつい締め付けでペニスに押し付けてくるのだから堪らない。
意識の白んだ頭に、ふと昔見た鮫皮おろしが過る。比喩ではなく、まさにゆかりさんの中はそれだ。違うのは磨り下ろすのが、ワサビではなく男の精と理性という事。
小さ目の肉粒が肉棒に食い込んで、削り取られる。神経まで剥き出しにされて、それを擦られているのではないかとすら思えてならない。
「うぐぁっ……!」
と、腰は止まっている筈なのに再び肉竿へ暴力的な快感が走る。
「ほらほら、腰が止まっちゃってますよ? 今日の課題以前に、セックスの仕方から復習でもしますか?」
肩越しにゆかりさんが意地の悪い笑みを向け、お尻を左右に小さく揺らしていた。
ただでさえきつい締め付けが腰の捻りで更に絞り上げられ、ざりざりとペニスの両側を磨り下ろす。引き抜いた時には逸物が半分くらいの太さになっているんじゃないか、そう心配になってしまう程の刺激で視界が白む。
「待っ――! 動くっ、自分で……っ!」
昔の機械翻訳みたいに下手糞な日本語で喘ぎながら、ゆかりさんの腰を掴みなおして動きを止めた。
「ぐぅっ……!」
呻きながらも、何とか押し込んだ雄槍を肉鞘から引き抜く。
ぷちぷちぷちっ――無数の数の子が細かく肉茎へ纏わりつく。
「はっ、はっ……っおぉっ……!」
暴発の危機感を覚えて中ほどまで抜いた所で妥協し突き返した。
ざりざりざりっ――数の子は鑢となって粘膜を削った。
女性の外見、性格、嗜好が異なるように、膣の感触も違うんだぜ、とは女好きと噂される友人の言だったか。
(にしたって……全然違いすぎるだろっ……)
今まで手加減していた、という事を差し引いても彼女の蜜壺は、これまで唯一知っていたそれとはまるで別物だった。
今まで膣と言うのはもっと優しく絡みついて、蕩ける様なぬめりで歓待して、締め付けだって甘えるような、精液をおねだりするような、気持ちいいけど同時にどこか安心感を感じる様な物だと思っていたのに。
目の前で意地悪な笑みを浮かべる彼女のそこは、まるで容赦がない。
「締め付けるからさっさと射精してください」と言わんばかりに容赦なく締め付け、刺激が多い方が効率的と言わんばかりに擦り上げる、まるで仕事のように。快感も過ぎれば拷問になる、とはこの事か。
「もう、また止まって……そんなんじゃ、本番でいざゴム外したとき大変ですよ?」
そうだ。言われて結合部に視線を落とし、コンドームをしていた事を今更思い出す。生でやっていたら、とうの昔に果てていたかもしれない。
あるいは、根元を結ばれていなければ既にもう……。
「だって、こんなに普段は……くぅっ、締め付けられたり……しな、い……っ」
「へぇ……そうなんですか。でも、それなら忍耐力を鍛えるには丁度いいですね」
「くはっ……おっ……!!」
こちらが動かないことに業を煮やしたのか、ゆかりさんはこちらを振り返ったまま顔をベッドへ沈め、更に腰を持ちあげて自分でゆっくりと動かし始めた。
「ところでさっきの言い方だと、あかりちゃんとする時はゴム着けてないんですか?」
「っ――!?」
意識してあかりの事を考えないようにしていたのに、快感を擦り込みながらゆかりさんは日常会話のテンションでそんな事を突然聞いてくる。
途端に先ほどまであかりとゆかりさんのナカを比べてしまっていたことが意識され、罪悪感が湧き上がり――
「もう、腰が動かせないならせめて口くらい動かしてくださいよ」
――下半身から刻み込まれる圧倒的な快感に飲まれて、それすらも興奮を燃え上がらせる薪へと変えられてしまう。
「使ってない……っ、使ってないからっ……止めっ……!」
「それならゴムありセックスくらい余裕ですよね?」
パンッ! 紙袋が破裂したような音と共に、腰を強めに打ち付けられた。
「ほぐぉっ――!」
意識が一瞬飛んで、それが絶頂だったと後から気づく。気付けなかった理由は言うまでもなく、射精が出来なかったから。
先ほどまでただの飾り程度と感じていた蝶々結びの縛めは、張り詰めた海綿体によって今や拷問具へと変貌していた。
「あっ、おっ……がぁっ……?!」
沸き立つような射精感にビクビク尿道が脈打っているのに、精液一滴出てこない。イってるはずなのにイけないという矛盾した事態に腰がバグって海綿体に血液を送りまくっている。とうに快感は張り詰めた痛みへと変化していた。
「とっ、取って……! これじゃ、出せな……っ」
とっくに彼女の腰から手は離れていて、自分で戒めを解こうとしているのだが、陰茎が戦慄くせいでリボンの先も震えて、同じく震える指先ではまともに捕まえられない。
身体を動かすという基本的なことすらできないくらい、脳は快感と苦痛に侵されていた。
だから、ゆかりさんのほっそりした指が伸びてきた瞬間、安堵のため息が漏れてしまったのも仕方がないだろう。こうなっている元凶が彼女であるという事すら思い出せなかったのだから。
「何言ってるんです、これで漸く準備が整ったんじゃないですか」
「あ、ぉあ……?」
意味が分からず震えすら止まったその隙をつくように、伸びてきた白い手がトン、とお腹を押した。大した力ではない筈なのに、あっけなくバランスを崩してベッドへと倒される。
未だ精を吐き出そうと脈動するペニスを容赦なく絞り擦られながら。
「――ぁ……っ!」
「ふふっ、弟くんったら、男の子なのに女の子の声みたい」
意識が薄れていて、最後の空気を求める喘ぎ以外、自分がどんな声をあげたのかは分からない。
ただ、眼前で妖艶に、悪戯っぽく口の端を歪める彼女の表情から察するしかなかった。
アメジストの瞳を蝋燭の炎で輝かせる隣人は、もうボイスロイドではない。
「淫魔、だ――っ」
自分から練習を、と頼んでおいて酷い話だが、ゆかりさんの搾精器のような膣内は、余裕たっぷりの表情は、蝋燭の橙に照らされて上気して見える肌は、やはりそうとしか思えなくて。
けれど、それを聞いたゆかりさんは少し驚いただけですぐおかしそうに噴き出した。
「うふふっ、弟くんったら酷いですよ、淫魔だなんて♪ 私はあかりちゃんと違って元セクサロイド、って訳でも無いですし……あ、勿論あかりちゃんが淫魔だなんていうつもりはありませんよ? あの子はどちらかというと天使……いや、人ですからね」
「嘘だろ……っ?!」
「嘘じゃないですよ、あかりちゃんがいい子なのは知ってますから」
違う、そっちじゃない。
「ゆかりさんのっ、事だよ」
「私? ああ、私が元セクサロイドじゃ無いって所ですか」
ゆかりさんは四つん這いでこちらに近づいてきながら、余裕たっぷりの笑みを浮かべる。
「信じられないって顔してますけど、本当ですよ」
「じゃあ、何をぉおぉぉ――っ!?」
漸く射精感を伴わない絶頂が収まって来ていた肉竿へ、ねっとりとした熱が纏わりついた。
いつの間にか、腰を挟み込むようにゆかりさんが膝立ちしている。亀頭を包んだ熱は、彼女の膣から零れ落ちたローションの塊だったらしい。粘性の銀橋がいやらしくテラテラ輝きながら性器同士を繋いでいた。
「別にそんな事、どうだっていいじゃないですか。興奮を冷まそうとしたかったんでしょうけど、それじゃあ時間稼ぎにもなりませんよ――っと」
ぢゅぷぷぷっ――!
「おごぉっ……!」
落ち着きかけていた竿の性感が再び励起させられる。
「本当はさっきの状態で、私の反応を観察しながら自分で腰を振ってほしかったんですけどね。今日は難しそうなので少しだけサービスです♪」
言い終わると同時、ゆかりさんは両手を胸板に、体重を乗せると腰を持ち上げた。
肉粒のブラシが神経をゴシゴシと磨いて、電流となった快感が幾条も腰の奥で爆ぜる。
「っひ――っ!」
思わず頭が跳ね上がる。が、天井が見えたのは一瞬で、すぐに紫色の髪が視界の下から割り込んできた。
「ダメですよ、腰を振るのはやってあげてるんですから。もっとしっかり相手の反応を見ないと」
前のめりになっているせいか、顔の距離が近い。鼻先同士がぶつかりそうな距離で、しかし決して触れないようにしながらゆかりさんはリズムよく腰を振り始めた。
(んなこと言ったって――!)
抗議は声にならなかった。
「んおぁっ、うっ、おぉ……っ!」
代わりに口から出るのは、彼女の腰に合わせて喉から洩れる動物じみた鳴き声だけ。
「ほらほら、目は閉じない。頑張れ♪ 頑張れ♪」
まさか、『がんばれ♡がんばれ♡』がこんなに辛い物だったなんて……!
いや、そうじゃない。ちゃんと射精さえ出来ていればここまで辛くは無い筈なのに。
「そうそう、ちょっと目つきは悪いですけどよく見てくださいね」
睨まれている事を意に介した様子もなく、彼女はにっこりと悪魔の笑みを浮かべて腰を弾ませ続ける。
逸物に加えて抵抗までも尻に敷かれているという屈辱感に、だが怒りは湧かない。パン、パン、パンッ――軽快なリズムで繰り返される腰上のうさぎ跳びの度、真っ白な快感が思考を押し流し、すかさずリボンに締め付けられた陰茎が痛みの赤で塗りたくる。悦楽と苦痛、それ以外を感じる余裕など、とうに無くなってしまっていた。
ゆかりさん自身が身体を動かしているからだろうか。血流の良くなった膣襞の肉粒は先ほどより一層固くしこって、容赦なく肉槍を磨り下ろしてくる。主導権は完全に握られていた。
射精してしまいそうというこちらの事情などお構いなしに、規則正しく出し入れが繰り返される。
一度屈して既に限界だった肉棒は、あっという間に二度目の敗北を喫した。
「あぐぉっ――おぅっ、ぉっ、あぅぉっ……」
「んぅっ……」
びゅぐっ! 幻の精液が尿道を押し広げ、虚しい快感が激しく海綿体の中を暴れまわる。
真っ白から暗転した視界をゆっくり開けると、目の前はうっすら滲んでいた。
それでも、ぼやけた視界の中でも、はっきりと紫の瞳が並んだ三日月を形作っている事だけは分かってしまった。
「どうですか? 苦しいですか? 辛いですか? ……それとも、もう首を振る元気もありませんか?」
腰の上に座ったゆかりさんの声は、もう隠す気すらないほどに愉し気で、けれどその発言通りだった。
首は横にも縦にも少しも動かない。元気が無いからと言うよりも、外への行き場を失った快感が神経をズタズタに焼き切ってしまった感じだった。その証拠に、喉はもう言葉どころか母音一つ作れない。
紫の悪魔もその事を理解したのだろう。赤い唇が長細く横に引き延ばされる。
無力感と脱力感に自然と目蓋が閉じて。暗闇の中、自分の酸素を求める荒い喘ぎと、彼女の整った吐息だけが、淫靡な香りと共に頭の中へ響いた。
「……残念ですが、これじゃあ練習になりませんね。今日だけじゃなくて多分、これからも無理でしょう」
微塵も残念そうじゃない声が頭上から降りそそぐ。にやりと薄く開かれた口が幻視された。
「ふむ、そうですね……こうなっては仕方ありませんから射精させてあげましょうか?」
嘘だ、罠があるに違いない――僅かに残った理性がそう警告するも、身体はそんな口約束だけでビクビク随喜に震える。情けなくて、動くようになった腕で目蓋を覆う。
「んっ――仕方ないですよ。気持ちいいのに出せないなんて、やっぱり不自然なんですから」
裏返したように寄り添う優しい声が如何にも嘘くさい。けれど、意外にも。
「だから、一つだけ約束してくれたらコレを解いてあげます」
続いてしゅるり、と布の擦れる音が響き、思わず目を見開いて結合部を凝視した。
真っ白な指が、体液を吸ってテラテラと輝くリボンの蝶々を両手でしっかりと捕まえていて、見せつける様に結び目をゆっくりと引っ張り解いていく。
期待に、カッと血が沸き立つ。が、すぐにその光景はゆかりさんの顔に、そして髪に隠されてしまった。
そのまま彼女は巻き付くように口を耳元へと寄せる。
「簡単なことです、もうこれ以上セックスの事で私を頼らない。それだけ約束できるなら、最後の記念にきもちよーく射精させてあげます」
蠱惑的なまでに甘い声色に、鼓膜を通して脳をくすぐられる。
「首を縦に振るだけ。一言肯定するだけです。そうしたら、今溜まってる分だけじゃなくて、足りなかったらもう一回でも二回でも、追加でびゅーってするのも考えてあげちゃいましょう」
それだけ。それだけで……。
「ぁっ……」
喉が小さく音を発したのを聞いて、ゆかりさんが耳元から離れた。
「わっ、わかっ……」
優し気な裏で勝ち誇ったような笑みも、気さくなように見せて小馬鹿にして小首を傾げられているのも、そんなものどうでも良い。ただ「わかった」と口にさえ出来れば――そんな衝動を後押しするように、ゆかりさんは口にした。
「では、改めて聞きますよ? 今後セックスで何かあっても私を頼らない事。また何か問題があっても大丈夫です。ちゃんと話し合えばきっと解決できます。さっきも言いましたけど、あかりちゃんはいい子ですから」
あかり――?
最後の一言で、瞬間意識を覆っていた靄が晴れ渡る。
(そうだ……別に今の目的は俺が気持ちよくなることじゃないだろうが……っ!)
ここ数日の記憶がフラッシュバックする。
最後まで区切りをつけることが出来るようにはなった。お互いちゃんとイっている。
けれど、事後のあかりの表情にはどこか影があるような気がして、それが不安で。
ここで諦めたら、もう二度と以前のようにはいかないなら――
「――断わる」
「はい、よく出来まし――は?」
ゆかりさんは呆然と顎を落としていた。
いつものどことなく演技感が漂う表情とは違う素の表情。一矢報いたような気分に冷静さが戻ってくると、反撃の糸口が見える。
さっきは苦しくて気づかなかったけど、ゆかりさんだって肉槍が痙攣するたびに小さく喘いでいたし、輝きを増した目は潤んでいるからに他ならない。
逸物の根元を結ぶ蝶結びを濡らす粘着質の液体は太腿から尻まで垂れて、最初から入れていたローションの分だけとは思えない濡れっぷりだった。しかも自分は先走りすら出せないのだから、何なのかは明らかだ。
と、自分に言い聞かせるように確認している最中――ばちゅん! と派手な水音交じりの打擲音が響く。
「ぐぅうぅっ――!?」
強く腰同士を叩きつけられた。そう分かったのは一拍遅れてからだった。
見上げたゆかりさんの目は、刃物のように鋭く細められている。
「そうですか、ではせいぜい頑張ってください。ああ、いつでも降参は受け入れますからご安心を――っ!」
(`・ω・´)ワレワレノギョウカイデハ、ゴホウビデス