リトライを選択しつつも、内心はあかりに全面同意である。
というか自分も生殺しになりそうなこんなプレイ、思いつきもしなかった。
イチャイチャしながら腰を振らずに挿れっぱなしにする、疑似的なスローセックス。それがゆかりさんの考えた秘策であった。
確かに今日も起こされてひとっ走りさせられたせいで、腰を動かせるほどの体力が残っていないのは事実だ。挿れてそのまま過ごすだけでお互い気持ちよくなれるなら、それに越したことは無い。
けれど自信満々に提案してきたゆかりさんには悪いけれど「挿れただけで動かないなんて……本当に気持ちいいのか?」という疑念は消えず、こうしてゲームをしながらというのを提案してみたのだが。
(思ったよりクるな、これ……!)
朝食を食べ終え、ゲームを始めてから早三時間。その間ずっと、膝上に抱えたあかりの蜜壺に浸かりっぱなしだった肉槍は、ゆるやかな快感を与えられっ放しだった。
温めの温泉に入ったら出たくなくなるような感覚――とでも言えばいいだろうか。摩擦熱に頼らずともあかりの膣はぬっとりぬくぬくで心地よく、しかも恐ろしいことにそれが当たり前になりつつある。
あかりはキャラクターの操作に合わせて体が動いてしまうタイプなのだが、当然その度に腰が浮いて、根元がほんの少し抜けかけてしまう。たったそれだけで絶望感が過るほど、肉棒はもうすっかりあかりの中が気に入ってしまっていた。
思いっきり腰を動かすのも気持ちいいけど、それとは別ベクトルの……人を駄目にするタイプの気持ち良さ。もしかしてあかりの愛液には何かヤバいモノでも混じっているのでは、と怖くなってしまうくらいの依存性。
しかも接触しているのは性器だけでない。
より密着できるよう、あかりも自分もお互い下は何も履いていなかった。寒くないよう座布団代わりに敷いた布団の上へと下半身裸で重なり、その上からバスタオルをかけただけの状態。
愛液とカウパーがドロリと零れて太腿を伝い、バスタオルの中をいやらしい香りで蒸す。その熱で汗ばんだあかりの脚がむっちりと脚に吸い付いて、時折切なげにぴくぴく震えるのが肌へダイレクトに伝わった。
上は流石に着ているものの、それだってあかりは寝間着代わりのワイシャツに、自分は薄い長袖一枚だけ。興奮でびっちょり汗ばんだ布地は、ブラに支えられない乳肉の重みでたわんで張り詰め、肌色とその先端で膨らむ桜の蕾を透かしている。最早服ではなく、ただエロさを煽るだけの小道具でしかない。
途中からは口にこそしないものの、お互いゲームに集中しどころではなかった。
あかりは膝に抱えられた中、唯一自由な足指でおねだりするように脛を引っ掻いてくるし、操作に合わせて体が動いてしまうことを自覚してからは、わざとらしい程操作に比して体の動きが大きくなっている。
自分だって提案した手前平静を装ってはいたが、最初はあかりを抱きかかえるようにしてコントローラーを持っていたのに、いつの間にやらコントローラーを持つ振りをしてあかりへ抱き着いていて、手段と目的が逆転してしまっていた。
「んぁっ……うぅっ……」
悩ましく悶える声にモニターから膝上へ意識を戻すと、あかりは手を小さく震わせながらも、まだ何とかコントローラーを握りしめていた。
「大丈夫、か……?」
「んぅ、大丈夫、じゃなっ……もう頭、まわんないよぉ……!」
そう言うと同時に、あかりの火照った身体が胸板へと押し付けられる。
こちらも既に身体へ力が入らず、不意打ちだったこともあり、布団へ斜めに押し倒されてしまった。
「おっ……くぅ……っ」
倒れた弾みで亀頭と最奥がこつん、とぶつかり、芯から痺れるような快感が頭へ足先へと広がっていく。
一瞬快感に視界が白く染められたのは自分だけではないようで、あかりもぎゅうっとコントローラーを胸へ押し沈めて戦慄きを押し殺す。接合部からおもらししたみたいにとぷとぷとぷっ、と生温かい液体があふれ出した。
「んっ、んぅっ……お布団、また汚しちゃうっ……」
けれど、それでもあかりは温かくて底なしの悦楽に抗い、蕩けた瞳でモニターを睨みつける。
指も不随意に跳ねて、画面内のキャラクターもさっきから無駄な移動が目立つ。が、驚いたことにステージはもう折り返し地点辺りまで差しかかっているのに、あかりは未だ一回もダウンしていない。
「あかりっ……すごいじゃん、か……!」
「だって、だって……ここ、クリアできたらって……ッ!」
頬へ快感の涙を伝わせながらも、あかりは必死にコントローラーへ噛り付く。
その場しのぎに提案した条件なんだからそんな律儀に守らなくても……とも思うが、あかりにはそうだと思い至る余裕すらないのかもしれない。
しかもそんな純粋で子供っぽい一生懸命さのすぐ下、バスタオルの裏では、抑えきれない女の欲望が逸って、我慢できないというようにぐりぐり腰を押し付けてきているのだ。凄まじいギャップに、黒い欲望が燻る。
(可愛くて、エロくて……ごめんなあかり、意地悪で)
愛しくて、助けてあげたくて、でももっと困った顔も見てみたい。それに今日はあかりが求めているような、腰を激しく振るセックスは出来そうもないのも事実だからと言い訳をしつつ、ステージクリアを放棄して、腕の中へと意識を割く。
脇の下から前へ通した腕をきゅっ、と内側に寄せると、ブラに守られていない柔毬が、押し付けられた前腕の形に合わせて変形する。
「は、ぁっ……おにいさん、腕、当たって……んんっ」
「――悪い、ちょっとコントローラー持つ手が滑りそうで」
「そ、それじゃあ……仕方ない、ですよね」
唇を引き結んで耐えるあかりは既に自分の事でいっぱいいっぱいだ。こちらがボタンをわざとらしい位大袈裟に押している事にも気付けない。
カチッ、カチャッ、という機械質な音に合わせて、柔らかなぬくもりが腕の間で波打つように揺らされる。
「っ……あっ……ふー、ふーっ……」
その度に甘ったるい熱気が小鼻を膨らませて吐き出され、じんわりと汗が白い肌を濡らす。たぷんとした乳房越しにも分かるほど心臓の鼓動が跳ねた。
だが、一番顕著な反応を示していたのは熱源に一番近い身体の奥。自身の熱で溶け落ちてしまうんじゃないかと思うほどに火照った粘蜜洞。
(あかりのココ、元々すっごい柔らかいのに、更に蕩けて……ッ)
熱々のローション溜まりへ入れているんじゃないかという錯覚すら覚えるほど、時間をかけてじっくり熟成された媚肉は緩んで解けて、半ば液体のようになっていた。そのくせ少しでも身悶えすれば、出て行くのを引き留める様に、細かい襞の一つ一つが絡みついてくるのだ。
ミミズ……いや、スライム触手千匹?
滅茶苦茶語呂は悪いが、強いて表現しようとするならそう言う他ない。
効率的にごりゅごりゅと搾り取ってくるようなゆかりさんに対し、徹底的に優しく甘えてくるみたいな――
(――いや、馬鹿かお前は。あかりとしてる時にゆかりさんのこと思い出すとか……)
最低な比較に、苦いものが舌の奥へと広がりかけて。けれど俯いた所で鼻孔に満たされた甘い香りに、悔恨は残らず押し流されてしまった。
「ひゃんっ!? そんな、嗅いじゃっ……あっ、あぅぅっ……」
甘い香りの源はあかりの髪。三つ編みの根元に当たる、うなじ付近の大きな一房。
嗅いだ事で生まれた空気の流れにくすぐられたあかりが、むずがゆそうな悲鳴と共に、背筋を小さく戦慄かせた。
「っ……くぉっ……」
戦慄きは体の深部で増幅され、蜜壺を細かく震わせる。結合部の温度は限界を越えて高まり、熱だけで意識が白みそうになって、
「あっ……!」
不意に聞こえた絶望の悲鳴に、飛びかけた意識を引き戻された。
何か拙かっただろうかと聞こうとした所で、モニターが目に入って理解する。
「あー……。ゲームオーバー、なっちゃったな……」
気付けばあかりだけでなく自分の手も小さく痙攣して、コントローラーは二つとも床へと滑り落ちてしまっていた。
あかりが、酷く悲し気な目でこちらを見上げる。
「がんばっ、たのにぃ……」
「そうだよな、途中までいい感じ、だったのにな……ッ」
そう言いながら頭を撫でつつ抱きしめると、あかりは頬を擦り寄せて耳元へと囁いた。
「やっぱり、これじゃ、駄目……?」
ぞくぞくぞくっ、と鼓膜から脳をくすぐられる。
もう秘策とかどうでもいい。ただ思うがままに抱きたいという衝動が全身を駆け巡る――が、そう決断するには些か遅すぎた。
(っ……くっそ、もう今から腰動かせって言われても無理だろ、これ……っ!)
あかりの戦慄きは肉茎を通して伝播し、いつの間にかこちらの腰をも震わせてその筋力を奪っていたらしい。気付かぬ内に腰が抜けた状態になってしまっていた。
「――――ちょっと今は、な」
案の定あかりの目が、悲しさと切なさに細められる。
……止めてくれ、辛いのはこっちだって同じなんだ。
何とか話題を逸らし、腰を振れるようになるまでの時間稼ぎを……そう思って少しでも冷静に考えようと、彼女から少し身体を離すため、後ろへ突いた手が何かにぶつかった。
「あぁ、そうだ。多分今のままだと難しいから、少しお昼でも食べて休憩しないか?」
「そんな……でも、あっ……」
一瞬反論しようとしたあかりだったが、時刻はとっくにいつものお昼時を過ぎてしまっていて、思い出したようにお腹がくー、と鳴る。
「うぅ……分かりました。じゃあ、簡単ですけどおかず作りましょうか?」
半ば渋々と言った感じではあったものの、そう言って立ち上がろうとしたあかりの手を握り止めた。
「大丈夫、マキさんのところでお弁当用意してるから」
「えっ? いつの間に……って、そう言えば今朝はゆかりおねえちゃんと走った帰り、袋持ってたアレだね。どこに置いてるの? 私取ってくるよ?」
ご飯へと意識が向いて少し落ち着きを取り戻し、そう笑むあかりに笑み返す。
「大丈夫、もうここに用意してるから」
そう言って、卓袱台の下に用意しておいたビニール袋をあかりの前へと置いた。