肉槍はそそり立ち、先端をうっすらと新たに分泌された体液が濡らしていた。体を洗えていなかったことも相まって、濃厚な性臭が立ち上る。
「それは……仕方ないだろ、あんなもん見せられたら」
相手が自分とは言え、ハメ撮りの主役は美人なゆかりさんなのだ。
しかも当事者であるがゆえに、さっきヤったばかりの感覚と、その時見えなかった表情とが結びつけられて、興奮を煽ってくる。勃起しないなど出来る筈もなかった。
ゆかりさんはそんな半身を弄ぶように、斜めに浮かせた股下で上下に数度擦り上げると、
「まあ最初から立っている方が、都合はいいですけどね――ッ!」
「あッ、待ッ――くぅううぅ……ッ!」
鈴口がにちゅりと火照った粘液に触れた次の瞬間、止める間もなく一気に熱が肉竿全体へと広がった。
「んぅっ、待ちませんよ? こうやって、んっ、気持ちよくなってる時でも、しっかり観察出来るかっていうのが大事なんですからぁ……!」
「そうじゃ、なくて……ゴム、してな……ッ、おぁッ!」
まさかとは思ったが、腰を持ちあげられて膣口から覗いた根元に、やはり薄膜は付けられていない。
「あー……そういえばそうでした」
だがこちらが焦って抜こうとするのに対して、ゆかりさんは至ってのんびり普段通りに。
「まあ元々は洗うのが面倒だって理由でしたからね。もう挿れちゃったら今更ですし、今日はいいことにしましょう」
ゆかりさんは脛でベッドに体重を預けると、仰け反る様に手を後ろへ突いて上体を支え、たん、たん、たんっ、と跳ね始める。
「いやそんな――ッ!? くぉっ、キツ……ヤバ……っ」
午前中だってつけていたのに、どうして今更――そう考えようとするけれど、ゆかりさんの中はそんな余裕を与えてくれない。
規則的に弾む腰の内側では、キツい締め付けで小さな肉粒がざらざらとペニスを擦り上げる。尤も、午前と午後で大きくその構造が変わったり、締め付けが強くなったりはしていないはずだ。
変わったのはゴムの存在、十分の一ミリもない薄膜が無くなっただけ。それなのに叩きつけられる快感は、先ほどまでと段違いだった。
彼女の繊細で緻密な膣襞が、往復の度に直接ペニスへ喰い込む。
押し付けられた数の子粒が、亀頭へ、傘裏へ、幹肉へと押し付けられて、絡んで、擦れる。
膜が無い分余裕があるはずなのに、締め付けすら普段よりキツい気がする。
(生とゴムありってこんなに違うのかよ……!)
思えばあかりとはずっと今まで避妊具なしでしかセックスしたことがなかった。避妊具のありなしなんて考えたことも無かったツケが、まさかこんな形で回ってくるなんて。
予想以上の高波に達してしまいそうになったのを歯噛みして耐えたところで、ゆかりさんがニッ、と悪戯っぽく笑んだのが目に入った。
「んっ、はっ……はぁっ、いつもより余裕が無い感じですね」
「くッ、仕方ない、だろ……っ、生で、ゆかりさんとは……初めて、なんだか……らっ!」
「へぇ……弟くんもそんなに違うんですね。いつもより余裕なくて、んぅっ、とっても可愛い顔してますよ?」
ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、ゆかりさんは片手で頭を撫でようとしてくる。その手ををなんとか仰け反って躱した。
「っ! うるせ……っ!」
しかし、結局身体ごと前傾させて迫ってくるゆかりさんの魔手からは逃れられず。頭を胸へと抱きかかえられ、髪を撫でられてしまう。
「いいじゃないですか、弟くんの方が年下なのは事実なんですから。可愛いですよ、弟くん♪」
「くそっ……」
逃がさないようにときつく押し付けられた彼女の胸は、慎ましくもしっかりと女性らしい柔らかさがあった。あかりの胸で慣れていなければ、これだけであっさり理性が流されていたかもしれない。
(これは揶揄われてるだけ、これは揶揄われてるだけ……ッ!)
なだらかな丘陵に吸い付きたい衝動を抑えて頭の中で繰り返すうちに、何とか理性が冷却されてきた。
落ち着いたことで、相変わらず「可愛い」と、頭を撫でてくるゆかりさんの小さな変化に気づく。
(あれ? もしかしてゆかりさん、撫でる度に感じてる……?)
ただ揶揄われているだけだと思っていたのだが、ゆかりさんが手を頭に乗せる度、下の口は小さく震えて複雑な蠢動で絡みついてくる。
その動きは断言できないものの、どこか甘えてきているように優し気で。
(いや、これも揶揄ってるだけか? でも……)
「――さ、これでちょっとは落ち着いたでしょうし、また映像の方に集中してくださいね?」
「あ、あぁ……」
ゆかりさんの体温が離れて、そんな思考は中断されてしまう。
心ここに在らずの状態で言われるがまま画面へ意識を向けると、画面の中の彼女がこっちへニヤリと笑った気がした。
『んぁっ、あぁぁ……っ! 弟くんのおちんぽ、気持ちいいですよっ……』
「――ッ!」
まるであらかじめ画面向こうの自分へと向けられていたように、煽情的な表情でゆかりさんは淫語を口にする。
出来る限り平静を保ったつもりだったが、呼ばれた愚息自身はビクっと跳ねてしまった。
「あれ? 今私、動いてなかった筈ですけど、どうかしました?」
もしかしたら気付かれていないんじゃないか、と期待してみたものの。ゆかりさんは分かってますよと言わんばかりに、身体を押し付けたままゆったりと腰を上下させ始めた。
こっちが答えないでいると、ゆかりさんは返事を急かすように腰の動きを速める。
「ふふっ、前から思ってましたけど、んっ、やっぱり弟くんって、女の子がエッチな言葉言うの、結構好きですよねっ?」
「そんな、事は――男なら、はぁっ、ゆかりさんみたいに可愛い子にエロい事言われたら、そうなるだろ……」
ビクビクッ、と蜜壺が嗜虐的に締め上げられた。
「あはっ、別に変に我慢しなくたって良いじゃないですかっ。折角なら好きな呼ばれ方も、ふぁっ、調べてみましょうか……」
「調べるって……何を……ッ」
「こうするんですよ……はふっ」
そう言って、ゆかりさんは耳元へと唇を寄せてきた。それだけでも鼓膜を濡れた吐息でくすぐられて頭が茹りそうなのに、更にひそひそ声が耳道へと反響する。
「弟くんはー、コレ、どう呼ばれるのが好きなんですか? ちんちん? ちんこ? それとも、ちんぽ?」
吐息をたっぷり含んだ囁き声が肉棒の名前をいやらしく呼ぶ度、ゾクゾクとした快感が耳から脳へ、脳から腰へと広がった。呼ばれた相棒が、その度に戦慄いて自己主張してしまう。
声だけで手玉に取られてしまう自分の様子にくすっ、とゆかりさんが笑ったのが聞こえたが、反撃する余裕すらない。
「……それとも女性器の時みたいに、『お』をつけた方がもっと興奮しますか? ……ちんぽ……おちんぽ、あっ……ふふっ、やっぱり」
羞恥で顔が焼け落ちそうだった。自分でも最後の呼び方の時、一際露骨に反応してしまったのが分かってしまうからこそ猶更だ。
「じゃあ今度からこの子のことはちゃんと『弟くんのおちんぽ』って呼んであげないとですね。――弟くんのおちんぽ、初めて何もつけずにゆかりさんのおまんこに入っちゃいましたけど、具合はどうですか?」
「くそっ……ふッ、断固、黙秘する――ッ!!」
「えー、そうなんですか? 残念……でも、おちんぽは気持ちいいって、んッ、ドクドク白状しちゃってますけどね」
せめてもの抵抗は無節操な馬鹿息子にあっさり踏みにじられてしまう。無様に射精することだけは避けられたが、その分先走りが蛇口をひねったように勢いよく溢れ出していた。
「はぁっ……本当、凄い量……んくっ、これ射精じゃ、無いんですよね……っ?」
ゆかりさんは最奥への感触を確かめるように、お腹の上へ手を添える。
「当たり前、だろ……これくらいで、ッ、射精してたまるかよ……!」
「ふふっ、そうじゃないと、はっ、困ります……ぅん、でも、改めてやっぱり太いっ、ですね……!」
ゆかりさんはそこで少し苦し気に眉を垂らした。
三人とも意見が一致してしまった以上、やっぱり太くなってしまった感があるのは気のせいでないのだろう。
「そこはゆかりさんのせいでもあるんだからな? ……ただ、無理そうなら早めに言ってくれよ? 痕に残るような事にはしたくないから」
「ふふっ、大丈夫ですよ。これくらい余裕です。ただちょっと、見栄えが悪くないかな、と」
「見栄えが悪いって何が……って」
一瞬逸物の事かと思って肝が冷えかけたが、どうやらそうではないらしい。ゆかりさんがお腹へ乗せていた手を躊躇するように横へずらすと、股間から臍へかけていつもより膨らんでいるように見える。
これはまさか……
「……太った?」
「……張っ倒しますよ?」
ゆかりさんから表情がスッと消える。いかん、これは結構怒ってらっしゃるのでは……となると。
ありえないだろうと思いつつも、ゆかりさんの腰を掴んでゆっくり肉槍を抜いてみる。お腹の膨らみが上から徐々に解消されていく。
今度は逆に奥まで恐々突き入れると、お腹が再び僅かに膨らんだ。
腹ボコ。それはエロ漫画や同人誌などでしか存在しない、所謂二次元の産物だと思っていたのだが。
「おぉ……リアルでなるんだ……」
尤も漫画みたいに形が浮き出たり、「ぐへへお前のここまで俺のモンが入ってやがるんだぜ」レベルに派手なものではない。よく見れば、ほんとうにうっすらと膨らんで、戻る、ただそれだけ。
だがそれだけの小さな変化が、自分の逸物が確かに目の前の女の中に入っているのだと目に見えることが、全身を感動に似た興奮で包む。
夢中でゆっくり出し入れを繰り返し、目の前の現実を確かめていると、コツンと額を軽く小突かれる。ジト目のゆかりさんが頬を染めていた。
「……ちょっと、そんなにまじまじ見られると流石に恥かしいんですが」
「ああ、いや……悪い、つい」
とはいえ入れている間は自然と膨らんでしまう訳で。つい視線が引き寄せられて、雄の本能が頬を綻ばせる。
「そんなにゆかりさんが太っているの見たいんですか……。確かにそういった嗜好があるとも聞いたことはありますが……それとももしかして、ゆかりさんのみっともない姿をそんなにあざ笑いたいんですか」
「いやそうじゃなくて……」
経験豊富そうなのに知らないのか、と疑問が過るも、少し考えてみれば、いかに経験豊富と言えど、二次元の性癖なんて知らなくて当然かと結論付ける。残念なことにゆかりさんの部屋には漫画の類なんかもまるで無いし。
「もういいです。弟くんがじっくり見る余裕なんて無くしてあげますから!」
結局訂正するより先に、ゆかりさんの方が動き始めてしまった。
再び身体を逸らして後ろ手に体重を支え、結合部を見せつけるような上下動が再開される。
「うぉっ……くっ、いきなり……飛ばしてきたッ、な……!」
「ほらっ、んッ……そうそう、弟くんはッ、くふっ……そうやって我慢してる顔の方が、可愛い、あんッ、ですからぁ……!」
ぱぢゅっ、ぱんっ、ぢゅぱんっ――膣内から溢れたカウパーのせいか、肉同士のぶつかる打擲音に水っぽい音が混じっていた。淫靡な響きが部屋に木霊すのも構わず、ゆかりさんは口の端を愉しそうに歪めて更にペースを上げる。
「あッ、びくびくするのが、大きくなりましたね……ふふッ、弟くんを先にイかせちゃえば、余裕も……んっ、無くなりますかね……っ?」
下の口も宣言通りにイかせようとしているのか、激しい抽送にも関わらず締め付けはますますキツくなり、容赦なく数の子ヒダが肉槍の神経を磨き擦った。雄の精を求めて媚びるというより、枯れるまで搾り取ろうという締め付け。
その中でも入り口は一際キツく窄まり、侵入を阻んでいるかのようだ。肉付きの薄い土手の見た目もあって、未成熟な青い蕾を犯している錯覚すら覚えてしまう。
現に首から下だけ見れば、薄い胸と相まってストライクゾーンが低めに拡張されかねない光景が広がっていた。
尤もその顔は大人びていて、表情だって年端の行かない少女には想像すらできない淫靡な色香を纏っていいて……そのギャップがまた心臓を力強く脈打たせる。
「もぅ……ッ、また、おなかとか、おっぱい、ばっか見てっ……! すぐイかせてあげるんですから……ッ」
だがこちらだって、いつまでも一方的にやられっぱなしでただ搾り取られるだけ、という訳にはいかない。成り行きとは言え、ゆかりさんとはもう何回もしているのだ。観察力を鍛えるというのなら、今まで観察した事が正しいのか試すことも必要だろう。
「そう簡単にッ、イかせられるかよ……!」