灯台下暗し、とでもいうべきか。
長い捜索の末、レイが二人を見つけたのは、トゥインクルウィッシュのギルドハウスだった。
「ユイ!ヒヨリ!無事だったか!」
連絡が途絶えて久しい仲間をようやく見つけた安堵から、レイは素直に顔をほころばせて二人に駆け寄る。
「・・・・・・!」
ユイも顔を上げて、再会を喜ぶように頬をほころばせ・・・・・・たと思いきや、唇を噛んで俯いてしまう。レイには事情がわからない。ただその様は、ひどく辛そうだった。
一方、ヒヨリは本当に嬉しそうだった。嬉しそうに目を細めて、唇は弧を描き、少しだけ上気した頬を緩ませて出迎える。その時、ふとした違和感がレイを襲った。
(おかしい・・・・・・)
嬉しいのは自分も同じだ。だが、隣のユイとの温度差のせいでそう見えるのかもしれないが、ヒヨリのそれは少しだけ度が過ぎていた。
ニコニコニコニコ。ヒヨリ、どうしたというんだ?何がそんなにうれしいんだ?
これではまるで・・・・・・喜び以外の感情を、全て失ってしまったみたいじゃないか。
「迎えにきたよ、レイさん」
「?・・・・・・迎えにきたも何も、ここが私達のギルドハウスじゃないか」
ヒヨリの“迎え”という言葉に、レイは困惑を露わにし、その不気味さに少しだけ警戒心を抱く。
ぶぉんっ!
だから、突然突き出されたヒヨリの拳を、なんとか紙一重で躱すことができた。
「っ!・・・・・・ヒヨリ!何故だッ!」
バックステップを踏みながら剣を抜き放ち、ニコニコ笑いながら拳を振るうヒヨリの攻撃を捌く。
(どうしてこんなことに?!だが、今は・・・・・・!)
間合いの外へと逃げ延びたレイは、ヒヨリが距離が詰めてくるタイミングに合わせて剣を振るった。
ぷしゃあっ、と血の華が咲く。
「な・・・・・・っ?!」
避けると見込んで、あくまで脅しのつもりだった。だが、ヒヨリは構わず身体を捻じ込んで、その拳を振るう。鍔でヒヨリの拳を受け止めると、押されながらユイに声をかける。
「ユイ、二人でヒヨリを取り押さえよう!・・・・・・ユイ?」
「・・・・・・なさい」
声が小さすぎて、全部は聞き取れなかった。様子がおかしいのはヒヨリだけではないことを知った。
ユイはただひたすら、杖を両手で握りしめたまま泣いていた。
この状況に心を痛めているのか?ユイはヒヨリがこうなってしまった原因について心当たりがあるのか?
たとえそうだとしても、今はこの場を切り抜けるのが先だ。だが、どうする?
(ヒヨリと本気で“殺し合い”をするなんて、考えた事もなかった。迷いを抱えた私は、ヒヨリに敵うのか?)
レイの一番のミスは、敵わないと知りながら、その場から逃げ出さなかったことだった。ユイの事が気がかりで、今のヒヨリと共に放置することはどうしてもできなかったのだ。
振るう刃が真空波を生み出し、めちゃくちゃに暴れ狂ってはギルドハウスを破壊していく。それでもヒヨリの攻撃は一向に怯まない。
(物怖じしなさすぎる・・・・・・まるで狂戦士じゃないか!)
真空波がヒヨリの頬を浅く切り裂く。同じだけ、レイの精神が削り取られる。流れ出た血を舌を伸ばしてぺろりと舐めて、ヒヨリは瞳に剣呑な輝きを宿す。
「えいっ」
最後はやや、間の抜けた声だった。ヒヨリの攻撃を捌き切れず、本気で反撃もすることができなかったレイは、みぞおちに強烈な一撃を受けた。
「・・・・・・ぐ、ぅッ、ああああっ!」
成す術もなく地面を転がったレイは、壁に身体を強打させ、意識を薄れさせていく。
「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい、レイちゃん、ヒヨリちゃん・・・・・」
最後に聞こえてきたユイの嗚咽。その意味を気にしながら、レイの意識は闇に堕ちていった。
「・・・・・・っ、ゆいっ?!」
目を覚ました瞬間起き上がろうとして、身体が麻痺して動かないことに気付く。
同時に、自分を包む世界に強い違和感を覚えた。今、レイが置かれている場所は大空洞といっても差支えない場所だ。だが見た目以上に、広大な印象を受ける。視界の端にちらりと、盗賊らしき男が映る。その身体の巨大さに、レイは息を飲む。あんな種族を、私は知らない。ここは私の知るアストライア大陸ではないのか?
その答えを、レイはすぐに知ることになった。
「レイちゃん、連れてきたよっ」
馴染み深い少女の声・・・・・・の、はずなのに、なぜかその声は、自分がよく知るモノよりずっと幼かった。
声の方へ目を向ける。そこにいたのは6歳相当に身体が縮んだヒヨリだった。そのせいだろうか、いつもの状態では目立たなかった下腹部が、胎内に宿った新しい命に押し上げられて、ぷっくりと膨らんでいた。
「にゃんっ♪」
おいしそうに、愛おしそうに、嬉しそうに、小さくなったヒヨリは巨漢の亀頭を口に含む。
舌先で愛撫し、吸いつき、亀頭部分だけを柔らかな刺激を与えながらピストンする。
「むぐ・・・・・・っ」
と、ある瞬間、ヒヨリの頬が膨らむ。口内に出された精液をごくんと飲み込み、ヒヨリは目をきらきらと輝かせた。
「そんな・・・・・・ひより・・・・・・」
愕然と、レイは顔を青ざめさせ、ようやく自分の声の違和感に気づく。その正体にも、直ぐに思い至った。
視線を彷徨わせ、立てかけてある剣を見つける。そこに映っていたレイの身体も、ヒヨリと同じく縮んでいた。
「えへへっ、うまくできたでしょっ?ご褒美、ほしいなぁ・・・・・・♪」
犬のように地面に手をついてしゃがみ、これまた犬が餌を乞うように舌を出して懇願する。巨漢はそれに応えて、手にした瓶から錠剤を取り出し、ヒヨリの口の中に放り込む。
「ごくんっ・・・・・・」
と飲み下したヒヨリは、“ご褒美”の少なさに不満を覚え、巨漢を見上げた。
「こんだけ?あたしがレイちゃん連れてきたんだし、もうちょっと・・・・・・」
「最近お前、調子にのってないか?誰がご主人様か、その身体にもう一度教え込んでやろうか?」
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
しゅんと項垂れたヒヨリは、薬の中毒症状に胸を押さえ、過呼吸に陥りながら静かに泣き出した。巨漢はヒヨリを放って、今度は無言で立ちつくし、俯いたままのユイに歩み寄る。
(ヒヨリは明らかに正気じゃない・・・・・・・だがユイ。何故だ?どうして悪を前にして、何も抵抗するそぶりを見せない?)
「ほら、ユイ。大切な元お仲間に見せてやれよ。その服の下が今、どうなっているのかをな」
「・・・・・・っ」
そう命じられたユイは、目を逸らして自らスカートの裾をたくし上げる。
その下にあったのは――――――
「・・・・・・!!」
下着をつけていない、むき出しの下腹部から太ももにかけてびっしりと書かれた“正”の文字。そして、
透明な液体が滴る、無毛の桃色の媚肉が覗く縦スジ。その真上に“妊娠中”のラクガキ。
「みないで・・・・・・れいちゃん、みないでぇ・・・・・・っ」
巨漢はにやりと笑って、ユイの縦スジを上下に擦り、人差し指を中に挿入した。
くちゅっ
と、愛液が音を立てて小さく弾けた。
強く閉じたユイの瞼が、力を込めすぎで震える。
巨漢は親指でクリトリスを擦りながら、人差し指を抜き差しする。どんどんどんどん溢れる愛液は巨漢の手を濡らすばかりでなく、床に零れ落ち、水たまりを形成していく。
「あ、あぁ、ぁ・・・・・・っ」
ユイは自分ではどうにもできない苦悩から、悲痛な面持ちで大粒の涙を零す。
ユイは卑怯にも、されるがままでいることによって、自分は被害者だと、あたかも服従していないかのように装っていた。
事実、
本当に、
本気で、
ユイは嫌がっていた。
「っ、っ、っ・・・・・・」
唇を噛んで声を押し殺すユイは、それでも漏れ出そうな喘ぎに苦しみ、耐えていた。が、中の弱い壁を擦られると、ついには、呆然とレイが見つめる前で、
ぴゅっ
膨れ上がる性感が限界に達した証として、ユイは惨めに潮を吹いた。
「ぁ・・・・・・・・・・・・あ、ぁ、いやあぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・っ!」
ごめんなさいと、罪悪感に打ちひしがれたユイは、顔を手で覆って泣き崩れた。
一度決壊した堤防はもう戻らない。断続的に噴き出す潮は、巨漢の足元に降りかかり、濡らしていく。
心と身体が絶望的に、残酷なまでに、乖離してしまっていた。
ヒヨリのように堕ちてしまえば、まだ楽だった。正気を保ったままのユイは、だからこそ強い苦しみの中にいた。
「ぜんぶ、おまえたちのせいか・・・・・・ひよりがかわってしまったのも、ゆいがこのうえなくつらそうなのも・・・・・・!」
レイにしては珍しく、本気の殺意を滲ませた。だが所詮は幼子の怒気だ。取り合ったりせず、巨漢は余裕を崩さず言った。
「二人は既にこの通りだ。で、オマエはどう調教してやろうか考えたんだが・・・・・・」
ユイの中から指を引き抜いた巨漢は、ユイのスカートにこびりついた愛液を擦りつけて拭った。
「さすがはかの有名な貴族の娘。気が強そうだ。だから“装置”に任せようと思う」
巨漢が歩いた先には、横開きの蓋がついた巨大な釜があった。その扉を軽く叩き、レイに向き直る。
「これはとある貴族から強奪した調教装置でな。純潔を奪わぬまま心を折り、“ごめんなさい”と服従させることができる代物だ。これの中にお前を入れて・・・・・・まずは一日程度、様子を見ようと思う」
「わたしはそんなものにはくっしない!どんないたみだってたえぬいてみせる!」
巨漢は片手でレイの身体を持ち上げ、釜の入り口へと運ぶと、
「明日にも同じ事が言えるかな?」
乱雑に、その身体を中へ放り込んだ。
地面は柔らかく、投げられた衝撃はそれほどでもなかった。
レイは尻餅をついたまま、ゆっくりと装置の中を見渡す。一面が人肉のような桃色で、透明な粘液で濡れていた。するとその肉壁から複数の触手が伸び、レイの四肢にまとわりつき、拘束した。
「いったいなにがはじまるんだ・・・・・・?」
内心の恐怖を押さえ、気力を振り絞るレイ。と、伸びた触手のうち一本が、透明な粘液を吐き出しては、幼くなったレイの、未発達の乳房にかかった。
「・・・・・・っ、そういう、ことか・・・・・・!」
びりりと、胸の頂からじんわりと熱が沸き起こっては、全身に広がってゆく。それだけでレイは、この調教装置の本質を悟った。
(人の神経を、快楽を与え続ける事で焼き切って服従させると、そういうことか。悪趣味な・・・・・・!)
だがこの時点で、レイはまだわかっていなかった。
レイにだって、密かに自慰行為の経験はある。でもそれは、一度達すればやめてしまう程度の簡素なものだ。そんなものよりよほど強い快楽を、一日中、絶え間なく与え続ける。そんな拷問を続けられた人間の、堕ちる末路がどんなものかを。
触手は手始めに、両の乳房の外側から内側へと、螺旋を描きながら巻き付いていく。
「はぁ、はぁ、くっ・・・・・・!」
レイは頬を紅潮させ、荒い息をつきながら、胸で得るだけの快楽に身悶える。全長に際限のない触手は、胸に甘い刺激を与えながら、這う場所を増やし続けた。肩、胴周り、下腹部、足の裏、脛、太もも・・・・・・しかし、肝心の膣へ侵入してくる様子は、今のところない。
(これなら、なんとか耐えられる。一日耐えて、隙を伺おう・・・・・・もしかしたら、他の仲間達が気づいてくれるかもしれない)
純潔を奪わぬまま、と巨漢は言っていた。なら出来る事も限られる。こんな刺激が繰り返されるだけなら、と楽観する。そんな希望的観測は、すぐに打ち砕かれた。
「・・・・・・っ?!な、なんだ・・・・・・っ?!」
触手に巻き付かれたレイの身体に、若干の圧迫が加わる。それが意味するところは、強く擦られる、ということだ。
しゅるしゅる・・・・・・と、胸を這う触手が粘液と交わって音を立て、胸の頂に達しようとした途端だった。
「・・・・・・っ!!!!!!」
それは、言ってしまえば油断だった。
速度と圧迫を加えた触手が乳首を擦り上げた瞬間、呆気なく・・・・・・あまりに呆気なく、レイはイってしまった。
「な・・・・・・ぇ・・・・・・?」
突然の絶頂に、レイは一瞬、自分の身体に何が起きたのか理解できなかった。“自分がそんな簡単に快楽に屈するはずがない”という絶対の自信が、状況の理解を拒んでいた。
しかし状況は待ってはくれない。動きを止めない触手が、もう一度快楽を迫り上げていく。
「ぁ・・・・・・やだ・・・・・・」
幼女化しても気高き心を保ち続けたレイは、ここに至りはじめて弱々しい声を吐いた。脳裏に蘇るのは、先ほどのユイの姿だ。羞恥に苦しみ、罪悪感に苛まれて、耐えて耐えて耐えて、それでも一度決壊した心は脆く、何度も何度も繰り返し潮を噴き続けた。
「いやだ・・・・・・いやだ・・・・・・!イキたくない!イキたくない!」
イってしまったという事実が、レイの自尊心を傷つけていく。返事はない。誰も答えてくれない。聞こえていないのか。無視されているのか。興味がないのか。それとも全部聞こえていて、その上で嘲笑っているのか。
一日と言っていた。はじまってまだ5分と経っていない。耐えられるのか。明日になっても、まだ私は意志を保ち続けていられるだろうか。
イキ続けて、そのうち快楽に溺れてしまうのかと、レイは恐れた。だが結末は、そんな単純なものではない。
「っ、っ、やっ・・・・・・はな、せ・・・・・・っ!」
腕を引っ張り、触手を振りほどこうとする。しかし鎖とはまた別の、柔軟性に富んだ拘束からは逃れられない。
自分がイってしまったという事実に唖然として、レイは失念していた。これはまだ様子見に過ぎない。何故ならそう、責められているのは、まだ胸のみなのだ。
「・・・・・・!!」
腰に巻き付いた触手で、ようやくレイはその事実を思い出し、思わず自分のアソコを見る。ぴっちり閉じた割れ目に触手は興味がないのか、腰より下にはやはり見向きもしない。
だが割れ目の直上。触手を伝う媚毒作用の粘液が、まるでレイの恐怖心を煽るかのように、ゆっくり、ゆっくりと、雫となって分離しようとしていた。
「やめろ・・・・・・」
ドクドクドクドク。心臓が暴れまわる。やめろ。やめろ。やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろ。
そして、ついに、
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!!!!」
ぴちゃっ
ドクンッ!!!!!!!!!
たった一滴の粘液が割れ目を直撃したと同時に、心臓が胸を突き破って飛び出しそうになった。
じんわり、どころではない。なんだこれは。なんだなんだなんだ。こんな強烈な熱を、あとどれだけの時間、あとどれだけの量を、浴び続けろというんだ。
「こんな、こんなの、ぜったい、ぜったい、たえられる、わけ、が・・・・・・」
悔しさに涙が滲む。高潔な魔族の女剣士は、自分が耐えられないであろう確信を抱いてしまった。こうしてレイの心は、はじまって10分足らずで、容易く折れてしまった。
「う・・・・・・うぅ・・・・・・あぁ・・・・・・あぁぁぁぁっ!!!ごめん、ごめん、ごめん、すまない、ひより、ゆい・・・・・・・!」
ただの幼子のように泣きじゃくり、救えなかった仲間に対する懺悔を繰り返す。
調教装置の扉がもう一度開かれるまで、あと23時間51分だった。
やはりあれは、ただの様子見だった。
太ももに巻き付いた触手は鼠径部へと到達し、クリトリスに辿りついてから、責めは更に苛烈さを増した。
何度も何度も絶頂を繰り返し、幾度も意識を手放しながら、いつ終わるともしれない責め苦に翻弄されていった。
「・・・・・・・・・・・・」
調教装置の扉が開く。永遠に続くかと思われた時間は、ようやく終わりを迎えた。
全身粘液まみれでびくんびくんと痙攣を繰り返すレイは、虚ろな目つきで目の前にいる人物を見上げた。
「れいさん、おつかれさま!」
薬漬けによりすっかり人格が変わり果てたヒヨリは、しかし以前と変わらぬ人懐っこさでレイを出迎えた。
「ぁ・・・・・・」
頬を伝い落ちる雫は、止められなかった。
何も変わっていない。救われてなんていない。そう、わかってはいるけれど、仲間の姿を目にして、レイはやっと自分が外に出られた事を実感できた。
「ごめんね、れいちゃん。つらかったよね。なにもしてあげられなくて、ほんとうにごめんね・・・・・・」
優しいユイは心を痛めて、レイを小さな胸に抱きしめて泣いた。
「ぅ・・・・・・あぁぁぁぁ・・・・・・っ!」
その心遣いに、レイもまた声を上げて泣いた。
互いに抱きしめて泣きあう二人に、唯一笑顔のヒヨリが大きく手を広げて、二人まとめてむぎゅりと抱いた。
歪み果ててしまったトゥインクルウィッシュ。それでも、3人の絆の強さは変わらなかった。
(まだだ・・・・・・)
そんな二人に抱かれて、レイは改めて思う。
(私が折れてしまったら、誰が二人を救うんだ・・・・・・けど)
けど、だ。
いくら幼女化していようと、痛みだけならレイが屈する事はなかった。しかし女の身体に対する強制的な快楽の投与は、尊厳に対する凌辱としてはあまりに効果的過ぎた。理解させられた。自分は、この男達には敵わない宿命を背負って生きているのだと。
「おーおー、ひでぇ有様だなぁ」
「・・・・・・?!」
巨漢の呆れた声に、媚毒まみれのレイの身体は恐怖に打ち震える。抱擁を解いた二人が距離を取ると、ガタガタと震える自らの身体を両手で抱きしめ、レイは怯えた目で巨漢を見上げる。
「まだ調教レベル1だぞ。堕ちるの、いくらなんでも早すぎねぇか?」
「・・・・・・っ、もう、ゆるして・・・・・・ください・・・・・・っ・・・・・・あなたたちに、したがいます・・・・・・みも、こころも、ささげて・・・・・・っ、れいぞくすることを、ちかいます・・・・・・っ」
嗚咽を漏らしながら、レイは許しを乞う。内心で、今は記憶を失ってしまった“彼”の姿を想いながら。
(今は従おう・・・・・・きっと彼なら、必ず記憶を取り戻し、助けにきてくれるはずだ・・・・・・)
「・・・・・・」
巨漢は胡乱げな目でレイを見下していた。痙攣の収まらない身体を必死に抑えながら、レイは巨漢の言葉を待つ。
「迷ったな。悔しいとか、思っているだろう?」
巨漢は鋭い瞳でレイの腹心を見透かした。一瞬にして顔から血の気が引いたレイの手首を、巨漢が掴む。
「や・・・・・・っ」
レイは首をいやいやと振って、必死に抵抗しようとする。もうあの中には戻りたくない。あれがまだレベル1だって?あれ以上の辱めを受けたら、本当に神経が焼き切れて死んでしまう。
しかしどれだけの力を込めて抵抗しようとも、掴まれた手首ごと身体を持ち上げられてしまうと、何も関係がなかった。
「今度はレベル2だ。次はどんな風に変わり果てるかねぇ」
「やだっ、やだっ、ゆるしてっ、おねがいっ!」
「次はいつになるかわからねぇが・・・・・・生きていたら、また会おうぜ」
わざと期間を定めず、無慈悲に、再度調教装置の中へと・・・・・・小さな身体を、放り込んだ。
尻餅をついたレイは数瞬呆然として、すぐに恐怖に駆られて必死に声を張り上げる。
「まって、まって、やめて、やだっ、だしてっ、ここからっ、だしてっ!」
だが、必至に懇願するレイの言葉は虚しく、調教装置の扉は閉じられていった。
「ぁ・・・・・・」
調教装置の扉が目の前で閉じられる。レイの心を、絶望が埋め尽くしてゆく。
こうなってしまっては、自分の声は外には届かない。あの巨漢の気が済むまで、許されるまで、繰り返し限界を超える快楽を身体に打ち込まれるのを、ただ泣きわめきながら、苦しみ続けるしかない。
「やぁ・・・・・・っ」
狼狽えながら視線を右往左往させるレイの四肢だけでなく、今度は首すらも触手が絡めとっていく。強い力でレイのふとももを押し開くと、割れ目がかすかに開き、桃色の媚肉からじんわりと蜜が滲む。まるでこれからセックスしますとでも言いたげな見てくれを恥ずかしがるだけの心は、既にレイには存在しなかった。
すると、肉壁からレベル2の“本体”が生えてくる。それは今、自分を絡めとっているものよりもずいぶんと細い触手だ。直径5ミリ程度の、“挿入しても処女膜が破れない”程度の。
「やめて・・・・・・ゆるして・・・・・・っ」
聡いレイは、それが何のためのものかすぐに理解した。
レベル2の本体は、今度こそまっすぐにレイの膣を目指してきた。そして存外にゆっくりと、あくまで傷をつけないよう、侵入してくる。異物感はなかった。そういった作りなのだろう。
(やだ・・・・・・)
内面すらも、恐怖に埋め尽くされていく。耐える事すら不可能であることは、もはや確定しているのだ。
「・・・・・・」
それから10秒、20秒と、静かに時間が流れた。
「・・・・・・?」
おかしい、とレイは感じた。拘束されてはいるものの、絡みついた触手の動きすら止まっている。
このまま何事もなく、時間だけが過ぎていくのか。そんなはずはない。レベル2とは、いったい――――――
「ぁ・・・・・・・・・・・・」
異変は、突然だった。
「が、ぁ、ぁ、あぁぁぁぁぁ・・・・・・っ!」
膣内に沸き起こった強烈な疼きに、成す術もなくレイは悶絶する。
刺激はない。絶頂もない。ただ感度だけが極限まで高められていく。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ・・・・・・」
物欲しそうにピクピクと、大洪水を形作るレイのあそこ。しかし、それ以上の動きはない。
「はは・・・・・・っ、あはははは・・・・・・っ」
レベル2の正体をようやく理解し、レイは渇いた笑いを漏らす。
レベル1は媚毒を用いて強制的に引き上げた感度による、イキ地獄だった。ある意味それは、神経を焼くという意味で、痛みに近い感覚だった。対して、レベル2は完全に拘束してからの、媚毒の点滴だったのだ。
けっして相手がイカさず、疼きだけを長時間与え続ける。レベル1とは真逆の調教。
「・・・・・・っ」
最初はレベル1を終えた直後の疲れもあり、その時ほどの問題はなかった。だがこの装置に密かに埋め込まれたリジェネの作用で回復してきたレイの身体は、次第に疼きに耐えられなくなっていく。
「・・・・・・っ、っ、っ」
びくん、びくん、びくん。あれほど苛烈だったレベル1の責めが、今はどうしようもなく恋しかった。
声は届かないとわかっているから、何も言わないと決めていた。だが、喘ぎ声を抑える気もなかった。外聞を気にしなくていいのは、救いだった。
「・・・・・・っ、っ、っ、っ!、っ!」
だからレイは、
完全に固定されていて、そのうえで、
取れる限りのありとあらゆる手段を用いて、イこうとしていた。
あそこに手は伸ばせない。胸もいじれない。足は動かしようもない。腰を動かして触手に擦りつける、なんて芸当は、もちろんできそうもない。何ができる?あと、何ができるんだ?何か、できることはないのか?自由に動かせるものなんて、あとは口ぐらいしかない。でも、それだけは・・・・・・、でも、でも、でも・・・・・・
あそこにはもう堕ちたくない。ここにいるのも耐えられない。どっちを選んでも生き地獄には変わりない。出してと言っても、出してもらえなかった。なら、もっと惨めに変わり果てればいいのか。
「イカせて・・・・・・っ」
そう、できることと言えば、懇願することぐらいだった。
「イかせてくださいおねがいします。れいぞくします。ふくじゅうします。どれいになります。いっしょうぺっとでかまいません。なんでもいうことおききします。だから、だから、おねがいですから・・・・・・っ」
折るだけじゃ、足りなかった。
最後まで残っていた仲間を想う心が、がらがらと、音を立てて、砂のように崩れていく。
「イカせてください・・・・・・っ!!!」
それでも、レイの最後の懇願は、
「―――――――」
無慈悲にも――――――届かなかった。
「う・・・・・・」
いったい、いったい、どれだけくるしめれば、きがすむんだろう。
無駄だとわかっていても、零れる涙は止まらない。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・っ!!!!」
すすり泣きはやがて、大号泣へと変わっていった。
次に扉が開いた時は仲間はいなくて、盗賊団の巨漢をはじめとした多数の部下が待ち構えていた。
排出され、膝をついたレイは、自分に影を落としている巨漢を見上げる。
「ぁ・・・・・・」
巨漢は葉巻タバコの煙を口から吐き出し、静かにレイを見下ろした。それだけでレイの身体は、たとえようもないほど強い恐怖に囚われ、震えだした。
調教装置のレベル1は強制的に快楽を与え、尊厳を破壊した。
そしてレベル2は疼きを満たせない苦しみを長時間与え続け、懇願すらも無視されて、心を徹底的に破壊された。
既に一度目の時に心は折れてしまっている。なのにそれを理解してもらえず、調教装置に放り込まれた。
頭が真っ白になる。どうしたら許される。どうすれば信じてもらえる。どうすれば気を引ける。どうすれば。どうすれば。
出来る事はすべてやろう。必死に考えよう。媚びよう。捧げよう。隷属しよう。堕落しよう。知り合い全てを引き渡してでも、自分だけは助けてもらおう。
レイは正座し、俯き、三つ指をついて深々と頭をさげた。
「ご・・・・・・ごめん、なさい・・・・・・」
「誠意が足りないな。地べたに額を擦りつけて謝るんだよ」
言われた通りに、下げていた頭をもっと落とし、額を地面に擦りつける
「ごめんなさい・・・・・・ゆるしてください・・・・・・あたまがおかしくなっちゃう・・・・・・ごしょうですから、もう、あのなかには・・・・・・」
「なら一つ、テストをしてやろう。調教装置からの卒業試験だ。なに、ずっと簡単なテストだ」
顔を上げたレイは、巨漢が指し示した方向へ視線をやる。そこにいたのは、全裸でふとんに横たわる部下の一人だ。痛々しくも、両腕に包帯を巻いていた。
「やつはお前の攻撃を受け、両腕に傷を負った。今からお前には、あの男に自らの純潔を捧げ、精液を搾り取ってもらう。それができなきゃ、もう一度調教装置行きだ。だが今度は、本当に出すのを忘れちまうかもしれねぇなぁ」
脅すように、巨漢は言う。だがそれは、無用な心配だった。
(そっか・・・・・・)
巨漢の言葉が心に染み渡り、レイは感涙に咽び泣く。
(もう、いいんだ。ゆるされるんだ。おもうぞんぶん、こしをふってもいいんだ)
その事を想像するだけで、レイのあそこはどうしようもなく淫らに、愛液をほとばしらせる。
純潔なんて、もはや自分にはどうでもいい。妊娠したってかまうものか。今まで我慢させられた分、たくさん気持ちよくなろう。
四つん這いで部下の下へと赴いたレイはゆっくりと跨った。そして小さな小さなその穴を、両手の指で押し広げ、勃起して天を衝くイチモツの尿道口に押し付ける。そして、
ばちゅんっ
「~~~~~~っ!!」
躊躇いなく純潔を捧げ、奥まで呑み込んだレイは、それだけで激しい絶頂の波に飲まれていた。びくんっ!びくんっ!と、大きく痙攣し、愛液をだくだくと溢れさせるレイのあそこは、それだけで男にピストン以上の刺激をもたらした。結果、
びゅ~~~~~っ!
挿入しただけで、男は射精してしまった。それでも勃起が収まらない男に、レイは更に刺激を与えようと腰を浮かし、沈みこませる。
ぶりゅっ
滲み出た愛液が弾け、空気と混ざりあって下品な音を立てる。レイは、またしても絶頂に達してしまった。
「も、もういい!限界だ!うあっ」
たった3度のピストンで、3回の射精を全部子宮で受けると、部下の男はぐったりとしてしまった。レイの絶頂も3度目だが、まだ満足はしていなかった。
「ぇ・・・・・・おわ、り・・・・・・?」
まだだ。まだぜんぜんまんぞくできてない。もっとしたい!せっくすしたい!
なのに、どうして・・・・・・
「あんまりだ・・・・・・こんなの、あんまりだよぅ・・・・・・」
終わりという事実がレイを打ちのめした。涙を流しかけたところで、頭上に落ちた陰にハッと顔をあげる。
「合格だ」
巨漢はレイの頭に手を当て、乱雑に撫でた。レイは気持ちよさそうに目を細めた。
巨漢もイチモツを露出していた。先ほどの部下よりも、ずっと大きなものだ。常人のモノよりはるかに巨大なそれに、レイは愛おしげにキスをする。
「おねがいします。わたしのなかに、あなたさまのざーめんをたくさんめぐんでください」
「誓え。これからは外では俺達の手足となって剣を振るい、ここでは俺達に尽くす性奴隷として隷属すると」
「はい、ちかいます。ころせというなら、だれでもころします。うばえというなら、だれからもうばいます。ほかにもどれいがひつようでしたら、こころあたりはいっぱいあります。びしょくでんのみんな、しぇふぃ、つむぎをはじめとしたかるみな、されんでぃあのこどもたち、りとるりりかる、かぉんのじゅうじん・・・・・・」
「いい子だ」
ひとしきりの調教結果に満足すると、巨漢も同じく寝そべって自分のモノを天に向けた。
「いつもは押さえつけてヤッてばかりいたからな。たまには女の方から腰を振ってもらうのもいいものだろう」
「ありがとうございます」
レイは感謝を伝えると、巨漢に跨り、喜々として腰を落とす。
「・・・・・・っ」
じゅぶっ、と音を立てて、レイは巨漢のモノを体内に受け入れる。あまりの大きさに、少しだけレイは苦しそうに息を詰まらせた。
「ご、ごめん、なさい・・・・・・からだ、ちいさくて、ぜんぶ、のみこめなくて・・・・・・っ」
「いや、十分だ。そのまま望むように、腰を振ってみろ」
「では・・・・・・しつれいします、ね」
腰を浮かせ、沈ませ、レイはそのたびに絶頂を繰り返していく。問題は絶頂を繰り返しているせいで、ピストン自体が遅々としていることだ。
しびれをきらした巨漢がレイの腰を掴み、一息に落とす。
「あんっ!」
突然の衝撃に、レイは大きく喘いだ。巨漢はそれからも、あくまで自分のペースで、レイに絶頂を与えていく
「あぁ、あぁ、あぁぁぁぁぁっ・・・・・・こわれ、る・・・・・・っ、こわれひゃう・・・・・・っ!」
「俺のこれは特別製でな。精を生成する速度が射精の速度を超えるから、無限に中に出し続けられる。俺に犯されて、孕まねぇ女なんざいねぇ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ、んっ、んっ、んっ、ぁんっ!だしてっ、だしてっ!あなたさまのせいえきっ、いっぱいいっぱいっ、だしてっ、はらませてっ」
「よし、イクぞっ!!」
びゅるるるる~~~~~~~!!!!
これまで以上に大量の精液を受け、レイはあまりの快楽に恍惚とした。
「はぁ~~~~~~・・・・・・っ」
しかし――――――
さしもの快楽を貪るレイも、巨漢の射精力にはかなわなかった。
何十回と射精を受けた結果、妊婦のようにお腹を膨らませ、ぐったりするレイの姿があった。
「あ、ぁ、ぁ・・・・・・」
巨漢のモノを飲み込んだまま、レイは疲れ果てていた。
腰が立たない。立ち上がれない。
ふと疑問に思う。状況に翻弄されるばかりで、長い間忘れていた。
なんだったっけ。どうしてわたしは、こんなことをしているんだっけ。
あぁ、そうだった。わたしは・・・・・・まけたんだった。
なかまをまもれず、ちょうきょうそうちにつながれて、こころがこわれて、からだはかいらくをむさぼり、どれいとしていきていくことを、じぶんからちかったんだった。
意識を白濁とさせたレイ。その周囲を部下達が囲み、一斉に拍手を送った。
「妊娠、おめでとう」