理由なんて、そんなもの。
結局は、そんなもの。
可愛いから、で十分です。
愛するって、そんな程度で良いんです。
部活の為に無理を言って居候させて貰っている身として、私は常に結果を出し続けなければならない。
猪股家の面々は揃って好い人だから、そこまで求めはしないかも知れないけれど。
でも私としては、まるで家族のように優しくして貰っている事について「理由」が欲しい。無償の愛なんて都合の良いものに甘えられるほど、私は素直で気立ての良い子ではないから。
我ながらひねくれた育ち方をしたものだと思うけど、どうにも落ち着かない。結果を出す見返りに生活を保証して貰っている、くらいがちょうど良い。
だから、私は恋愛なんかしていられない。そんな暇があったら、少しでも技量を伸ばさなければ。
そう思うのに。ああ、そう思うのに。
なぜ大喜くんは、あんなにも可愛いのだろうか。
猪股家の息子さん、大喜くん。私の一つ下で、バドミントン部。そして、とても可愛い。
まあ、オトコノコではある。鍵がない上に壁が薄い部屋にいるから、あれこれ聞こえてくるし。でもそれさえ可愛い。
私を好きらしいけど、手を出す勇気なんか無いのが可愛い。ガサツで雑把で女子力低い私は、あれこれと隙だらけなんだけど。下着が無くなる事も、何か粘液を付けられる事もない。でも部屋でシてる時に私の名前呼んだりはするから、一応そういう事はしたいんだろうな。
大喜くんの中では、私はどんな先輩なんだろう。スゴい肉食系だったりして。
しかし大喜くんとそういう関係になると、もう私居候からお嫁さんになっちゃうかもしれない。それはそれで良いんだけど。でも、大喜くんは納得するだろうか。いざとなったら力尽くかなー……。
いやいや、そうはいかない。私はバスケの為に日本に残ったんだ、嫁入り先が欲しい訳じゃない。
こうやって日々悶々としつつ、それでも結果は出さなければならない。大喜くんの可愛さだけが癒しだ。
インターハイに備え、部活は21時まで延長中。その後だから帰宅は22時を越えることもある。
それでも嫌な顔一つせず「インターハイの為だから」と毎日優しく出迎えてくれる由紀子さん、正直感謝しかない。晩御飯もちゃんと用意してくださるし。こんな母親になりたいものだけど、私の母はここまで人間できてないからなあ。あのガサツさが遺伝して、こんなワンパクでたくましい子ができているわけだし。
居候三杯目にはそっと出し、なんて言うけど私はその辺を悩むほど繊細でもない。と言うか、食べないと死んでしまう。朝練昼練延長部活、そして勉強までしなければいけないんだから。
そしてお風呂を頂き、部屋へと上がって一応勉強もして。ベッドに横たわると、欲求のせめぎあいが起こる。即ち、眠気と色気の対立だ。
欲望は汗にしろ、なんて言うけど。実際身体を酷使すると、もうムラムラ来て仕方ない。闘争心は性欲を駆り立てるわけで、更に薄い壁一枚向こうには可愛い大喜くんがいる。ああ、シたい。
でも、だ。眠いもんは眠い。朝は早いし夜は遅いし、私はスゴく眠い。男の子みたいに起きて五分で出掛けられるわけじゃない、一応私だってそれなりに身支度はいる。それを差っ引くと、とにかく早く寝たい気持ちもある。
……隣からも何の物音もしないし、今日はもう寝てしまおうかな。
大喜くんがシてる音を聞いちゃうとこっちもシなきゃ治まらないけど、そうでないなら何とかなりそうだし。
スマホのアラームをセットして、壁の向こうに小さく「おやすみなさい」を呟いて。
私は眼を瞑り、入眠姿勢を取る。さあ、明日も部活だ。
それは、違和感と言うには小さすぎた。虫の知らせ、とでも言うのだろうか。
ふと眼を開けたその時、ドアノブに僅かな気配を感じたのだ。
あれが、あと数秒後に動く。何故かそう確信する。
そしてその確信は、思った通り現実となった。
ゆっくりとドアノブが動き、小さな音と共にドアが薄く開いた瞬間、私は眼を閉じ布団に潜り込む。
誰なのか、はすぐに分かった。と言うか一人しかいない。
大喜くん、だ。大喜くんが、入ってきたのだ。
夜這いという行為が存在するのは知っているし、そういうのを好む物好きもいると聞く。
寝たフリをしながらも耳を攲てていると、気配と足音が少しずつ近付いてくるのがわかる。
いやしかしこれは、どうなんだろう。私の初めては、こんな事故みたいな形になってしまうんだろうか。
まあ、相手が大喜くんなら構わないっちゃ構わないけど。この場合私は被害者だし、咎められる謂れはない。
ただ、だ。大喜くんにそういう経験があるとは思えないし、そもそも私だってオトコノコ相手の経験は無い。ソロプレイ専門でやってきたんだし。絶対失敗して、気まずい思いをする気がするのだけれど。
……入れる場所が分からないとかでオロオロする大喜くんも、可愛いかもしれないけどさ。
そんなことをつらつらと考えながら寝たフリを続けていると、不意に足首に外気を感じた。布団が捲られている、ということ。荒い息遣いも聞こえてきて、大喜くんの興奮が伝わってくる。
これは、覚悟を決めるべきだ。勇気をふりしぼった可愛い大喜くんを、先輩として受け入れよう。そうだそうだ、私は悪くない。だって被害者だもん。むしろ責任とらせて、お嫁入りしちゃおうかな。
いやいや、決意がどんどん鈍っているぞ私。しっかりしろ、眠気で錯乱してないか私。
起きてしまうべきだろう。可愛い後輩に過ちを犯させる、見下げ果てた先輩になってはいけない。そう理性は言うのだが、身体は金縛りのように動かない。
動かないなら、仕方がないか。仕方ない、仕方ないさ。
そう、仕方ないから覚悟しましょう。固く眼を閉じ、来るべき瞬間を待とう。
と、考えたにも関わらず。
足に感じたのは手の温もりではなく、掛け布団の質感。
少しずつ離れていく気配。
え。まさか。
――これで、帰る気か。ここまで近づいておきながら、逃げる気なのか。そんなのは。
許せない。
布団を跳ね上げ、すでに背中を向けていた大喜くんの首根っこを捕まえてベッドに組み倒す。
時間を考えるとあまり音を立てたくないが、ここは力尽くでいかないとダメだ。
私が起きているとは思わなかったのか、大喜くんは呆然としている。
「大喜くーん、何してるのかなー?」
手足を押さえ込んだまま、闇の中でも表情がわかるほど顔を近づけ。可能な限り穏やかに、そう穏やかに語りかけた。……つもりだったのだけど。
「先、輩……っ、ごめ、んなさっい、俺……」
大喜くんの瞳は見る間に潤み、その声は嗚咽にまみれていく。本気で泣いている、泣き顔も可愛いとか何この子天使なの?
いやだから、そうではなく。
夜の夜中に、男子をベッドに組み倒して泣かせて。なんだこれは。何の因果かはたまた祟りか、本懐を遂げられそうで遂げられない感じ。
大喜くんは泣きながら謝り続けているけれど、その下の方。脚の間には、確かな膨らみが自己主張している。そういう目的で来た、というのは一目瞭然だ。普段はここまで盛り上がってないと思うし。……まじまじと見ることはないから、その辺は曖昧だけど。
「ね、大喜くん。怒らないから、ちゃんと話そう?」
出来る限り優しく、小さな子に語りかけるように。
あんまり泣かれても、正直困るし。
大喜くんはそれでも暫くはグスグスと泣いていたけど、やがて落ち着いてきたのか小さく声を漏らし始めた。
「俺……、先輩が、好き……です。だから、でも……我慢できなくて……その……」
ああ、うん。私を好きなのは知ってるけどね。でも、初めて聞いた顔をしておこう。言葉にしてくれて嬉しいし。
大喜くんを引き起こし、そして。そっと、抱き締めてあげる。
見た目よりもがっしりした身体、熱い肌。伝わってくる、激しい鼓動。ああ、可愛い。
「大丈夫だよ、それは恥ずかしいことじゃないからね」
むしろ夜這いを歓迎しようとした、私の方が恥ずかしいし。言わないけどさ、うん。
「大喜くんは、私を好きになってくれたんだよね。好きになったなら、そういうことをしたくなるのが普通なんだよ」
頭を撫でてあげながら、大喜くんに微笑みかける。私だって、したいからね。やっぱり言わないけど。
大喜くんの瞳からは、また大粒の涙がこぼれ落ちていく。そうだよね、辛かったよね。隣に好きな相手がいても指一本触れられないなんて、生殺しだもんね。
今日こうやって来てしまうまで、どれほど我慢し続けたんだろう。私は自分で思う以上に雑だから、色々と大変だったろうな。義理もあるからって待ちに徹したのは、さすがに悪かったか。こっちからグイグイ行くべきだったのかも知れない。
――居候としての矜持より、大切なものがある。人を泣かせてまで守るべきものなんて、そうは無いんだ。
壁に背を預けてベッドに座る私、その脚の間に収まった大喜くん。後ろから抱き締めて、身体を押し付けていく。
そして、手をゆっくりと身体に沿って下ろしていって。待ちかねて震える、大喜くんのオトコノコへと指を這わせる。
大喜くんはいつも、こういう状況を想像しながらシているらしい。やっぱり受け身なんだな、そして私は肉食系のイメージらしい。良いけどさ、でも私本物は触るのも見るのも初めてなんだけどね。ビッチ扱いされてる気がして、なんかモヤモヤする。
力加減が良く分からないけど、とりあえずはそっと握ってみる。確か、男の子はこういう感じで触るって渚が言ってたような言ってなかったような。
身体の一部とは思えないほどに硬くて、そして熱い。オトコノコって、こんな風になるのか。大喜くんはこれを鎮めたくて、毎日シているんだ。
そのまま上下に軽く手を動かしていくと、大喜くんの口からは可愛い喘ぎが溢れ始めた。
「大喜くん、どう? 気持ちいいかな?」
次第に大喜くんのオトコノコからは透明なねばつく液が出始めて、私の手を汚していく。……男の子も濡れるんだ、知らなかった。精液……ではないよね、あれ白いらしいし。
でもしごく手がグチュグチュとねばっこい音になっていくのは、なんだか面白い。もっと激しくしたら、もっと濡れるかな。そう期待ながら、手を加速させていくと。
「あ、……っ、出ま……すっ」
手の中で、大喜くんのオトコノコがドクンと脈打った。
え、と思う暇すらないまま、ビクビクと震えながら白い粘液――精液が吐き出されていく。それも、私の布団の上に。ひええ、借り物なのに。
出終わったみたいだから手を離し、布団に散った精液をウェットティッシュで拭っていく。落ちるかなー……。まあいいか、大喜くんが悪いんだし。
「もー、出しすぎだよ」
まあ当の大喜くんは、射精して幸せそうな顔をしているけど。まったく可愛いったら。もっと幸せな顔にしてあげたくなるじゃないの。
そう言えば、と前に渚が話していた事を思い出す。男の子が絶対堕ちる、必殺技があるって教えてくれた事を。あの子もとんでもないコミュ力ビッチだから、参考にして良いか怪しいけど。
でもま、モノは試しだ。上を脱いで、大喜くんに手招きする。
「ちょっと、こっちおいで」
ベッドの縁に座らせて、その間に膝立ちで入る私。さっきとは逆、といえば逆か。まあ良いけど。
そのまま――大喜くんのオトコノコを、胸で挟み込む。大した大きさでもない私だけど、とりあえず手で横から押さえればホールドは出来ますので。
手で触れたときよりも、その硬さはダイレクトに伝わってくる。そしてその熱気と、匂いも。頭がクラクラしそうな、牡の存在感。
このまま動いて、オトコノコを擦りあげるのが効くんだとか。もっと大きければ全部収まるのかもしれないけど、私がやるとオトコノコの先がぴょこぴょこ顔を覗かせてくる。なんか、可愛い。
身体を揺さぶりながら、喘ぐ大喜くんを見上げる。普段とは違う視点も、なかなか新鮮だ。
私の胸は、見る間にドロドロに汚れていく。さっきよりずっと、濡れ方が激しい。そんなに気持ちいいんだろうか、ちょっとイメージしにくいんだけど。
まあ、良いか。大喜くんが感じてくれているなら、それでいい。
そのまま暫し、擦り続けて。不意に大喜くんが、ビクンと震えたのが分かった。これは、多分来る。そう予想した、その直後。
「うぁ、あ、あー……」
呻くような声と共に、再び精液が放たれた。今度は私の真正面だから、その様子が良く見える。
小さな口を震わせながら頑張って精液を放つその姿は、やっぱり大喜くんの一部という感じがする。
健気で、可愛い。……私の顔を直撃しなければ、もっと良いんだけど。
口元に飛んだのを舐めてみるけど、美味しくはない。でも、大喜くんのだから平気だ。
「あ……ごめん、な……さ、いぃ……」
私の顔にかけちゃって叱られると思ったのか、また大喜くんが泣きそうな顔になる。……なんでここまで怖がられてるだろう。
いや、そうじゃないか。大喜くんが恐れているのは、叱られる事じゃない。
だから、言ってあげよう。
「大丈夫だよ。私は大喜くんを、嫌いになったりしないからね」
好きな人に、嫌われたくない。きっとそれが、大喜くんの本心。
だから私も、ちゃんと言わないといけないんだ。
「私も、大喜くんが好き。好きだから、全部受け止めたい」
立場も何もかも、忘れよう。これ以上、大喜くんを泣かせないように。自己満足の理屈で、余計な義務感を背負わずに。
ただ、真っ直ぐに。
初めてだし上手くいかないかもしれないけど、と一応言って。そのまま、大喜くんを抱き締めながらベッドに倒れ込む。
ベッドの軋む音と、二人分の吐息。濡れた肉の立てる、湿った音。無言のまま、ただ肌を合わせあう。
大喜くんのオトコノコを、私のそこへと導いていく。普段はあまり中を弄らないし、こんなのが本当に入るとも思えない。でも、きっと大丈夫。だって、私達だから。
「ん、こう……かな?」
何度も手探りで試しながら、少しの間格闘して。ようやくオトコノコの先が、私の中へ入ってきた。
お腹の中が裂けていくような痛みと、内臓が押し拡げられる圧迫感。お世辞にも、気持ちいいとは言えない。
でも、それでも。繋がっている大喜くんの温もりが、心地いい。愛しい。心が叫んでいる、この人が好きだと。
その気持ちが、痛みも苦しみも遠くへと流し去っていく。
大喜くんも、そうなんだろうか。まあ男の子は構造が違うから、そうはならないかな。でも良いや、表情を見る限りじゃ気持ち良さそうだし。
ゆっくり、ゆっくり。身体を動かしていく。さっきの手や胸と同じように、オトコノコを私の中で擦るイメージ。……大分難しいけど。て言うか見えもしないし普段使わない場所だし無理なんじゃないかなー、とも思う。
それでも頑張ってはみる、可愛い大喜くんの為に。
そうやっていると、段々と私も疼きが強まっていく。どこをどう弄ったかじゃなくて、大喜くんを想うだけで身体が燃えていくのが分かる。こうなってくると、私も気持ちいい。愛がなければ大したこと無い、というのは本当なんだな。愛してるから、それだけで一大事だ。
気が付けば、身体が止まらない。全身を隈無く使って、大喜くんを愛する。大喜くんに、愛される。気が狂いそうな程、愛が止まらない。
頭の芯が燃え尽きていく、終わらない絶頂感。血管の中まで愛に満たされているような、規格外の快感。
それは大喜くんもきっと同じだ。それを示すように、お腹の奥が脈打つ。
「ぅあ、……っ」
大喜くんの射精を、身体の奥深くで感じた。暖かい鼓動が私を満たし、隅々まで染み透っていく。
トクントクンと私のなかに精液を注いでいく、大喜くんのオトコノコ。その拍動を感じながら、ギュッと大喜くんを抱き締め続ける。
「大好きだよ、大喜くん。大好きだよ……」
大喜くんは、また泣いて。泣いて、でも嬉しそうに。私を抱き締め返してくれた。ああ、可愛い。幸せだ。こんなにも幸せで、良いんだろうか。
良いに決まっている。愛しているんだから。
長い長い抱擁の中、意識が蕩けていく。大喜くんも大喜くんで、失神したように動かない。
いやこのまま寝てしまうと、明日がとんでもないことになる。夜中だしシャワーは無理だけど、せめて後始末してから寝ないと大変だ。そうは思えど、手足はもう力が入らずベッドに屈している。
ああ、まあ仕方ない。動けないなら、仕方ない。学校は多少遅刻する覚悟をしよう。後一連のあれこれについては、明日改めて考えよう。それでいい。
大好きな可愛い大喜くんを抱き締めて、私は目を閉じる。幸せの余韻に浸りながら。
翌朝は勿論、大惨事だった。
二人揃ってドロッドロ、しかも朝練どころか完全に寝坊。心配して起こしに来てくれた由紀子さんに、まずは土下座。こんなふしだらな事態になったのを謝罪し、どうにか赦していただけた後に急いで身支度を整えて。どうにかこうにか学校に着く頃には、もう三時限目のチャイムが鳴っていた。
「大遅刻だねー……」
「大遅刻ですねー……」
昇降口で、顔を見合せてしばし笑いあう私たち。笑っている場合じゃないけどね。
笑っている場合じゃないけど、でも楽しくて。一緒にいるから、楽しくて。
一頻り笑ってから、お互い自分の教室へ向かおうとしたその時。
そう言えば、と私は大喜くんをつかんで立ち止まる。
「ねえ、大喜くん。キスしていいかな」
大喜くんは、ちょっと驚いた顔をしたけれど。
「はい、千夏先輩」
可愛く笑って、目を閉じた。ああ、可愛いなあ。大喜くん、愛してるよ。
誰もいない昇降口で、顔を寄せあってキスをする。
これが幸せでなくて、なんだろうか。
それから暫くが経って。
私は今日も、部活に励んでいる。一心に打ち込む「理由」があるから。
大喜くんに、私を見ていてほしい。好きになって良かった、と思って貰える最高の私でいたい。
他の誰のためでもなく、私はたった一人のために頑張っている。
……もしかしたら、そこにもう一人加わるかもしれないけど。
引退してからが良いんだけど、こればっかりは授かり物だからね。
こうしてこうすりゃこうなるものと、知りつつこうしてこうなったんだけどさ。
さて、どうしようかな。
色々と悩みながら、私は進んでいく。
止まること無く、全力で。
今回は闇堕ちも逆レイプもしてません。
前回やったので。