Skebでリクエストいただきました。ありがとうございました。
夜は妖怪の時間だ。したがって、里の人々は、外の基準だと信じがたいほど早寝だ。まだ午後九時を回った頃だが、家々に明かりはなかった。
酒場すら閉まる時間帯なので、通りに人影はない。そんななか、里在住でもない早苗がほっつき歩いているのは、かなり不審だ。夜回りに見つかれば、間違いなく尋問を受ける羽目になるだろう。
普段と異なる様子なのも、怪しさに拍車をかける。快活、天真爛漫、あるいは傍若無人っぷりがなりを潜めている。代わりにどこか、色街の女を思わせる淫靡さがある。年頃の娘が醸し出すには、いささか不適切な雰囲気だった。
いつもの衣装をしっかり着込むほか、化粧っ気も漂わせている。ほんのりと朱の差した頬や、リップグロスによって瑞々しく輝く薄桃色の唇が印象的だ。昼間、もっと人通りのあるときであれば、すれ違う者を男女問わず振り向かせていたろう。
ふいに立ち止まり、周囲を見回す。ありもしない人目をはばかっていた。月明かりを縫って、横道へ滑り込む。さながら、コソ泥の振る舞いだった。
狭い路地だ。表道と比べれば、土は踏み固められておらず、凸凹している。苔むした左右の塀と地面の境目から、雑草がちょろちょろと姿を覗かせていた。土の湿りけを帯びた、埃っぽい匂いがする。りいりいと、遠くで虫の鳴く音が聞こえる。
塀に月明が遮られ、かなり暗い。万が一、近くを誰かが通りがかっても、まず気付かないだろう。にもかかわらず、入念に当たりを見渡す。万引き初犯の直前を思わせる挙動不審さだった。
たっぷり一分ほどかけて、誰の気配もしないと確かめる。出し抜けに、上衣に手をかける。ボタンを外し、思い切りくつろげた。
内に隠されていた肌が曝け出される。きめ細かで瑕疵ひとつない、十代の瑞々しい肌だ。青白い光を浴びて、きらきらと輝いている。
普段は目立たない淡い色合いで、コケティッシュなデザインのブラを好む。反対に、今夜着けているのは、オフブラックの総レースの一品だった。あしらわれたフリルが、アダルティな印象を与える。
たわわな乳肉はFカップにもなる。外にいたころから、同級生達の視線を集めまくっていた。無理もない。寄せられた谷間はかなり深く、見るからに柔らかだ。肌の滑らかさもあいまって、息を呑むほどの美乳だった。
「はぁあッ……」
そんな宝物を、こともあろうに屋外で晒している。誰も見ていないのはしつこいほど確認したが、それでも心臓が早鐘を打っていた。ゾクゾクッと、恐怖に根ざしたスリルが駆け抜ける。漏れるのは、艶めかしい吐息だ。
大胆ですまない行動に出ながら、彼女はまだ満足していない。乳房を支える下着に手をかけ、グイッと引き上げた。戒めから解き放たれた肉が、ぷるんッ! と弾む。弾力を感じる動きは、まさしく女子高生のバストと呼ぶに相応しい。
露わになった二山は、つんと上向いた半球形を描いている。若々しいクーパー靱帯に、しっかり吊り上げられているのだ。まさにおっぱいと称するにふさわしい、魅力的な曲線だった。
ほんのり盛り上がった乳輪は、たわわな乳肉のボリュームと比べれば控えめだ。薄紅梅色で淡いのも助長する。一方で先端は、早くも充血しはじめており、存在感を示しつつあった。屋外で授乳器官を露出した現状に、何を見出しているか、端的に示している。
「アッ、あはぁあ……っ」
ふいに、夜風が吹き抜ける。無数の小さな羽箒に愛撫されているようで、ぞくりと身を震わせる。
「は、ぁ」
どっ、どっと、心臓の鼓動が耳の裏側から響いている。拍動のたび乳房が震えそうなくらいだ。暗さゆえわかりにくいが、頬は興奮と羞恥ですっかり紅潮していた。
とんでもないことをしているのは理解している。が、我慢がきかなかった。手は無意識のうちに、自らの豊山へ伸びる。乳頭を、白い指先が弄び始めた。
「ふッ、あ、んっ、く、ぅんっ」
そっとつまみ、緩やかに転がす。甘く痺れる快感が、じわじわと広がっていく。本来なら、屋外で生じるべきでない感覚がだ。そのギャップが、彼女をさらに昂ぶらせる。
乳頭自慰は、だんだんと激しさを増す。キュッキュッとつねりながら、乳肉ごと引っ張る。最近また大きくなり、一つ上のカップに片脚を突っ込みかけている柔肉は、刺激にあわせて柔軟に形を変える。
「あっ、んっ、はぁッ、アッ、あぁんっ……」
今くらいの法悦なら、声を押し殺すのはさほど難しくない。誰かに見つかれば問題になるのは間違いないのだから、嬌声を絞れるのなら絞るべきだ。
が、早苗はそうしなかった。むしろ積極的に、甘い声を漏らす。ばれたらどうしようというスリルと、いっそバレてみたいという破滅的な好奇心が、胸の内でせめぎ合っていた。
「あはっ」
次第に、上だけでは我慢ができなくなる。コバルトブルーのスカートをたくし上げていく。ほんのり色づいた膝、ムチムチとした着痩せする太腿が、月光のもとに曝されていく。そうしてとうとう、誰にも秘めておくべきデリケート・ゾーンがあらわになった。
身体的には成熟しており、骨盤がよく広がっている。やわらかな下半身を守るのは、ブラと同じくアダルティな気配を漂わせるレースタンガだ。華のデザインがあしらわれたそれは、明らかに普段使い用ではない。いわゆる勝負下着としての用途を意図されている。
ふだんの陽気な、あるいはちゃらんぽらんな早苗には不釣り合いだが、今の彼女にはお似合いだった。下品でない程度に、大人の色香を漂わせている。
「あは……ッんっ」
曝け出された股の間へと指が伸びていく。クロッチ越しに、三角州へと触れる。さらさらとした、心地よいレースの感触が伝わる。じんっと、大切なところから官能が上ってくる。
ゆっくりと擦り始める。すりっ、すりっと、布を擦る音が聞こえる。遠くから聞こえる虫の音と、はからずもデュエットを奏でる。
「あんっ、はッ、あっ、あぁ」
くにくにと、中指が秘唇をこねる。膝は大きく割り開かれ、がに股の姿勢だ。腰は前方に突き出されていた。浅ましくいやらしい姿だ。股座からこみ上げる快感が、はしたないポーズをおのずと取らせていた。
「ンッ、はっ、あっ」
膝がカクつきはじめる。秘部から伝わる快感信号が、筋肉を震わせているのだ。古ぼけた塀に、背中を預ける。
珍しいことだった。相応の時間を幻想郷で過ごしたとはいえ、早苗は現代っ子だ。染みついた衛生観念が、こうした不潔に見える壁に触れることを、普段は忌避させていた。
「アッ、はぁん、あぁ……ッ」
声の色気が増していく。いつもの姿からは想像つかない、悩ましげな甘声だ。布を擦る音が、次第に汁気を帯びつつあった。何の汁かなどと、考えるまでもない。
体奥から分泌される蜜が、クロッチを湿らせていく。ぬちっ、くちっと、粘っこい水音が宵闇に響く。とても屋外で繰り広げられているとは思えない、淫らなるオナニーシーンだった。
もっとこの背徳的性感を味わいたい。場もわきまえず、貪欲なことを考える。が、指の動きは止まる。
そろそろ切り上げ時だと、己の内から声がしていた。メインディッシュが待っているのだから我慢せよと告げている。抗えぬ声だった。
衣装を正し、身だしなみを整える。腹の奥で、甘い疼きがとろ火となって燃え続けている。
向かう先は我が家、守矢神社――ではない。甘い疼きを抱えたまま、ふらふらと、路地の奥へと歩き始めた。
元から、こうした露出行為を愉しんでいたわけではない。むしろ、始めたのはごく最近だったし、平和的な理由ではなかった。
きっかけは、里から相談された幽霊騒ぎだった。外の世界では眉唾な話も、人里では獣害くらいありがちな話だ。楽な仕事だと、意気揚々と退治しに向かった。
思いもよらなかったのは、相手が想像以上に強力だったこと。舐め腐って手ぶらで向かい、あっさり返り討ちにあった。相手が取り憑くタイプの、色情霊の群体だったのも想定外だった。動けなくなった早苗は、彼ら彼女らに憑依されてしまった。
祓えもせぬまま、あれこれ囁かれる。淫らな言葉、下品な表現が朝から晩まで聞こえてくる。耳元でブツブツ言われるだけなら鬱陶しいだけで済むが、あいにく怨霊の言葉は精神に影響する。早苗の場合、異様なまでに性欲が強まった。
昼夜を問わず、頭の中に、口に出すのもはばかられる変態的行為が浮かぶ。身体が疼き、股が熱く爛れる。狂ってしまいそうなほどの欲情の炎に炙られ続ければ、ろくに眠れない。頭が回らなくなり、まともな判断ができなくなる。
意思の力で抑えるには、無理があった。欲望に抗えず、淫らな妄想をしはじめる。なおも足りぬと自慰をしはじめ、だんだんと回数も増えていった。
一度逆らえなくなれば、あとは坂を転げ落ちるようなものだ。己が身に巣くう悪霊の声を、自ら受け入れ始めた。囁かれるまま、行為はエスカレートしていった。
露出を愉しみ始めたのは、このころだ。夜な夜な、己の身体を曝す愉しみに浸り始めた。自室、廊下、神社の境内。人里でのプレイも、実のところ三度目だ。人家に忍び込み、庭石に"マーキング"したときなど、最高に興奮した。ついお土産に、濡れた下着を残してきてしまった。
が、まだ足りない。己に巣くう霊どもは、満足するまで囁くのをやめない。
今までの露出行為をスリリングだと思うかたわら、つまらないとも感じていた。誰も観客がいないなら、部屋に籠もって自慰するのと何が違う? 誰かに見てほしい、見られて濡らすいやらしい女を犯してほしい。押し倒し組み伏せ、硬くおっ勃った逞しいモノで己をホジって、人間から牝豚に堕としてほしい――。狂った妄想が、思考を支配していた。
女として、神職として、あってはならない事態だ。考えるだけでおぞましい。にもかかわらず、薄暗くマゾヒスティックな悦びを、その想像に見出していた。
もちろん自分も、まともな状態であれば、こんなことは考えない。今は取り憑かれているから仕方ないのだ。正面から戦って勝てないほど強力な霊なのだから、抗えぬのも無理はない。
ふらふらと路地の隙間を縫いながら、ぼんやりと考える。犯してくれる人のもとへ行けと、色情霊の命じるまま足を運ぶ。
下卑た男の餌食に自分からなろうとしているのは、はたして色欲霊の仕業なのか。それとも単に自分がそう感じているだけなのか。実のところ、分からなくなりつつあった。彼らを祓わねばとすら、もはやほとんど考えていなかった。
足取りはおぼつかない。甘くうずく欲望が、膝をカクつかせる。歩いた後に、ぽつぽつと女汁の染みができていた。最悪のヘンゼルとグレーテルだ。
進めば進むほど、景色が貧相に、粗末になる。ごみごみとしはじめる。地面に、乾いた嘔吐物の染みが残っている。いつから放置されているかも分からないゴミ袋が詰まれ、ゴキブリと鼠が群がっている。腐敗したゴミと、苔やカビの臭いが鼻孔をつく。
見目が悪くなっていくのも当然だ。彷徨を経て、いわゆるスラム、貧民窟と呼ばれる地域に入っていた。迷い込んだわけではなく、しっかりと意図をもってだ。
どうせ貞操を奪ってもらうなら、最悪な形のほうがよい。幻想郷でも底辺に位置する浮浪者へ媚び、花を散らされる――いや、散らしてもらうなんて素晴らしいじゃないかと、色情霊が告げていた。
そのうち路地を抜け、広場に出る。言葉では「広」というが、狭っ苦しい印象だ。丸太や布切れでどうにか組み立てたあばら屋が乱立している。得体のしれないガラクタがあちこちに転がっていた。
空気はどんよりと淀んでいる。風通しのなさもだが、雰囲気の悪さが手伝った。暗がりから、ちらほらと悪意の籠もった視線を投げかけられている。
なにせ早苗は悪目立ちしまくっている。そもそも貧民窟は、脛に傷持つ者や食い詰め者の集まり。里においても排他的な地域だ。こんな深夜にズカズカやって来たよそ者を、歓迎するわけもない。嫌な目を向けるのも当然だ。
とはいえ、彼らは短期的思考の持ち主だ。目の前にエサをぶら下げられれば飛びつく。上等なおべべを纏った、輝く美貌の少女が自分たちのねぐらに迷い込んできたのだ。舌なめずりして、チャンスを狙い始める。
「あはッ……」
望んでいたとおりの展開だ。色欲の籠もった目が浴びせられているのを感じる。
襲われたら何をされてしまうのか。ひんむかれて、期待にぴぃんと硬くなる乳首を見られたら。濡れそぼつ下着を、うずうずとヒクつく股穴を見られたら。
身の危険を前に、感じるのはどうにもならない性的興奮だ。以前ならば絶対に抱かなかった。憑依されたあとですら、ついこの間までどうにか否定していた。今では、むしろ甘美な疼きだと感じている。
周囲を軽く見回し、居並ぶあばら屋の一軒に目をつける。丸太をむりやり組み合わせた、今にも崩れそうな小屋と呼ぶのもはばかられるボロ屋だ。
「うふふ、……ごめんくださぁい」
扉代わりの布きれを捲った瞬間、強い臭気が押し寄せる。アンモニアにアルコール、汗と垢の臭いが嗅覚を揺らす。思わず顔をしかめる。頭を金槌で殴られたような衝撃だった。
広々とした過ごしやすい内装――なわけもない。二畳ほどで、腐りかけのスノコの上に、煎餅布団がでんと敷かれている。全体的に黄ばみ、カビの浮かぶ、得体の知れないシミだらけの万年床だ。空の酒瓶や煙草ガラ、ガラクタが後生大事にとっておかれ、周囲に散乱していた。
「あぁ、なんだお前、何の用だ、えぇ?」
そのど真ん中で寝そべっていた人影が、のっそりと起き上がり誰何してくる。目脂の浮かんだ金壺眼はギョロついており、狷介さを宿している。猜疑心の籠もった異様な視線を向けてくる。声はアルコールで枯れていた。
「フホッ」
現れたのがドのつく美少女と気付いたようで、鼻孔を膨らませる。口元を奇妙に歪ませている。目に、隠しようもないギラついた獣欲が浮かんだ。
一目で、最悪だと分かる中年男だ。心許ない毛髪が、ゴワゴワと固まっている。頬は痩せこけ、ヒゲがゴワついていた。身に纏うボロは擦り切れる直前で、黒ずんだ肌が覗いている。腹は地獄の餓鬼のごとく突き出していた。身動ぎするたび、目に染みる汚臭が押し寄せてきた。
品性下劣、どこからどう見ても、最底辺の輩だ。早苗に――色情霊に言わせれば、だからこそ"当たり"だ。
今から、彼に頼み込んで、陵辱される。いや、してもらう。わずかなりともまともなら、決して望まないことだ。病的な興奮が、全身を満たしている。あはぁ、と漏れた吐息は、蕩けるほどに熱かった。
「突然お訪ねしまして申し訳ありません。じつは折り入って、お願いがありまして。物々交換してほしいんです」
「はぁあ?」
心底理解できないとばかりの声が返ってきた。当たり前だ。貧民窟の浮浪者が、交換するに値するものを持っているわけがない。
もっとも、それは彼の価値観における話だ。早苗にとっては、色情霊にとっては、宝の山とすらいえた。
「はい。貴方の着ているその下着を、パンツをくれませんか?」
「は? あ? パンツぅ? お嬢ちゃん、人が寝てるとこにズカズカ入ってきて、わけわからんこと抜かすなよ。こんな場所であんまり悪ふざけしてると、いたずらされても知らんぞ」
いたずら、と口にする瞬間、男は目尻を垂れ下げた。具体的な行為を想像したのだろう。うっすら濁った黒目に、欲望の色が浮かんでいた。
「そうおっしゃらず。私は本気です。ああ、下着をくださるなら、お礼としてこちらを差し上げますから」
にべもない態度だった男も、差し上げるという言葉には反応する。風邪と借金以外なら、何でもありがたがって受け取るのが彼らだ。
男の視線を浴びながら、スカートをたくし上げる。ふわっ……と、華やかな香りが漂った。地獄じみた汚臭空間を浄化する、少女の香だ。
白いふくらはぎから色づいた膝、柔らかな太腿。もっちりとした肌からなる脚があらわになる。
そして、隠されるべき三角州。恥丘はぐっしょりと湿っており、トロついた蜜を分泌している。総レースのタンガでは吸水量が足りず、太腿にまで透明な筋をつくり滴っていた。
「おなじ価値のもの同士で交換するのが、いちばん角が立ちませんよね? お返しに、私のショーツを差し上げますね」
「は……は? え? お?」
男は呆けた顔を浮かべていた。自分が何を言われたか、目の前の少女が何をしているか、分からないといわんばかりだ。
「あら? どうしました? 本物かどうか疑われてます? どうぞ、近くでご覧になって、お確かめになってくださいね」
相変わらず、男はぼんやりしていた。目の前に転がってきた幸運が、信じられないらしい。無理もなかった。今までの人生、まったくツいていなかったから、貧民窟で過ごす羽目になっているのだ。
「ぉッ……ほ、ぉおお~……」
とはいえ、それは理性の話だ。本能レベルでは、己のすべきことを理解している。つまり、突如としてあらわれた瑞々しき下半身を、網膜に焼き付けるのだ。
ずりずりと這いよってくる。鼻息がかかるほどの距離まで近づいてくる。目をくわと見開き、十代少女の秘部を凝視してくる。鼻孔がヒクついているのは、スカートの内側に籠もっていた少女の淫臭を、嗅ぎまくっているからだ。
「あっはッ……」
小さく、恍惚の吐息が漏れる。見られていると感じると、たまらなかった。己の貞操と引き換えの官能は、脳味噌がヒリつく興奮をもたらしてくれる。
「どうですか? 物々交換、してくださいますか?」
「あ? あぁ、そうだなぁ……へへっ、そりゃあいい話だな……」
先ほどまでの噛みつくような声色は鳴りを潜めていた。短絡的な考え方しかできない彼らが、具体的な利益を目の前にぶら下げられたのだ。食いつくに決まっていた。
また、彼らに謙虚さなど欠片もない。すぐ調子に乗るのだ。今も例外ではなかった。差し出されているのは、美少女の下着という、いくら積んでも手に入らない逸品。格安レートでの取引を提示されてなお、さらに要求を上乗せする。
「いや、詐欺とかが怖いからな。まずはそっちから差し出してもらおうか。ああ、すり替えられても困るから、今この場で、俺の目の前で脱げよ?」
「ふふ、ええ。もちろんです。取引は信用からですもんね」
はっきり言って、すでに下着どころか全財産せしめてもいいくらいの利益――良いものを見たという思い出――は与えている。にもかかわらず、おごり高ぶった物言いだった。早苗に、色情霊にしてみれば、良い傾向といえた。このまま王様くらいの傲慢さを得て、ちり紙のように己の貞操を散らしてほしかった。
タンガの脇に指を通す。ゆっくりと下ろしていく。ただ脱ぐのではなく、見せつける脱衣だ。即席のストリップショーだった。
「はぁん……」
クロッチが恥部から離れる。たっぷり含んだ淫蜜が糸を引く。外気に触れた恥丘から、ひんやりした感触が伝わる。ぞくっと、腰を震わせる。
上体を倒しながら、ショーツを下ろしていく。右、左の順で、レッグホールから脚を抜く。そうしてとうとう、秘部の守護が喪われた。
一連の動作のあいだ、男は目を見開き続けていた。黄ばんだ白目が血走りまくろうとも、おかまいなしだ。目の前の光景を、コンマ一秒たりとも見逃すまいとしていた。
「ああ、トリックじゃなく、本当に脱いだか気になりますよね? どうぞご覧になってくださいね」
「おう、気が利くな。へッへ、おら早くしろよ」
髭だらけの顎をしゃくってくる。命じられるまま、隠すものなき下半身を曝す。
露わになった秘唇は、よく解れて花開いていた。むわっ……と、とても少女と思えぬアダルトスメルを漂わせている。しっかり整えられた三角州の縮れ毛は、朝露に濡れたかのごとくテラついている。
「ぉっほ、こりゃすごい、へへッ、へへッ」
ほんの数センチほどの距離で凝視してくる。はっはっと、生臭い呼吸を繰り返している。涎を滴らせんばかりだった。
「おい、中も見せてみろ、中も」
「はぁい、どうぞ、しっかりご覧になってくださいね」
中という言葉の意味するところを、早苗はきちんと理解していた。恥丘に指をかけ、左右に割り開く。にちっ……と小さな音が鳴る。恋人にのみ許されるべき肉の洞窟が、最底辺の浮浪者の前に曝け出された。
「むッほッ!」
若干裏返った、奇妙な声が飛び出した。当然だ。コーラルピンクの純なる粘膜。テラテラ輝く淫汁に、蠢動する襞。人里いちの富豪ですら見られない光景を、目の当たりにしているのだ。
なにより、隘路の置くに存在していたものが、彼の心を強く捕らえた。道半ばで目線を遮る、三日月状に穴の開いた薄膜。すなわち、処女膜だ。
「っほ、おッほ。こんなコトしといてオボコかよ、お嬢ちゃん」
「はい……私、とってもやらしいんですけど、まだ処女なんです。おちんちんでズポズポしてもらったことなくて、とっても寂しいんです……あはっ」
だから、貫いてくれる都合のよい人はいないだろうか。そんなニュアンスを孕んだ視線を送る。
「そうかぁ、そうかぁ。そりゃいかんなぁ、へへ、へへ……」
「ねぇ、それより。取引の続き、しませんか?」
ヘドロ臭い涎を垂らす男に、媚びた声で催促する。一瞬、何のことかという表情を見せた。酒と煙草にやられた頭では、ほんの数分前のことすら覚えていられない。
「おお、へヘッ、俺の下着か。んじゃぁ、こっちも信用のために、脱ぐとこ見せてやるとするか」
「あは、はい、見せてください」
今度は男が立ち上がり、早苗が座り込む。いつから敷かれているか分からない万年床は、地面から登ってきた水分で湿っている。なんとなくネバついている感じがした。たっぷり染みこんだ皮脂や垢のせいだろう。
「ホレ、よぉく見とけよぉ」
下着下着というが、彼のはブリーフやボクサー、褌といった上等な代物ではない。そこらでくすねた布切れを腰に巻き付けただけだ。脱ぐのも一瞬だった。雑な結び目を解くだけで良いのだから。
「あはぁ……ッ」
男の下半身が露わになる。えげつない光景が広がった。
伸び放題の陰毛は、得体の知れない汚れでゴワついている。乾いて固まっており、饐えた臭気を漂わせている。
ギンギンといきりたつイチモツはドス黒い。もともと汚れの溜まりやすい部位だが、ろくに行水もできない暮らしゆえ酷いありさまになっていた。どどめ色の亀頭に、薄ら白いものが被さっている。恥垢だ。
カリ首あたりは特にひどく、ペースト状になった垢がびっちりこびりついていた。竿部も同様だ。反り返った柄にべっとりと纏わり付き、腐臭すら漂わせていた。
「ほぉれ、もっと近くで見ろぉ?」
「あは、いいんですか、嬉しぃ……ッかは」
有無を言わさぬ口調で勧められるまま、顔を近づけていく。うっとりした声と裏腹に、横隔膜はせり上がり、嘔吐反応を示す。目を刺す臭気を嗅ぐだけで、お前コレはヤバいぞと生理機能が訴え始めていた。
「あぁッ、あはぁ、これすごッ、ォエッっ、臭っ、おちんぽくっさぁッ……!」
本当に、臭くてたまらない。垢と尿と汗を煮詰めた激臭だ。涙が滲み、何度も嘔吐く。
にもかかわらず、声は恍惚を示していた。これを望んでいたのだと、取り憑いた色情霊が騒ぐ。生理反応と欲望がせめぎ合っていた。
「あぁん、ダメ。もう我慢できないッ……」
煎餅布団の上で、大きく開脚する。こうなると、スカートは隠蔽の役にたたない。誰からも秘められるべき聖域が、汚臭塗れる空間で曝け出される。
白い指が、股間へ伸びていく。とろとろと蜜を滴らす穴に触れる。尺取虫が這うような動きで、擦り上げていく。
「はぁんッ、あん、あぁ、はぁあッ!」
ヌチャヌチャと音が響く。先の、路地裏における露出自慰とは比較にならない快感が駆け抜ける。身体が燃えているかのようだった。上がる嬌声は、少女のそれとはとても思えぬ淫らさを孕んでいる。
が、早苗はなおも満足していない。譲ってもらった宝物を、乱暴に引っ掴む。ただの麻布のはずなのに、手のひらから伝わるのはネトついた感触だった。
先ほどまで浮浪者の股座に巻き付けられていた布を、いつから洗っていないか分からないソレを、口から鼻にかけて押し当てる。そのまま、深く息を吸い込んだ。
「ッ――!」
視界がぼやけた。涙がぼろぼろと溢れていた。汚臭が、瞳の粘膜まで突き刺していた。
肺に流れ込む強烈極まるガスで、意識が飛びかける。陰茎と排泄物の臭気を何日も醸造して出来上がったそれは、もはや毒に等しかった。横隔膜が何度もせり上がる。
「んふぅうッ、ふぅッ、んっふッ、んううぅうッ」
そんなものを嗅いで、早苗は興奮していた。目尻は垂れ下がり、顔面は蕩けている。布に塞がれた鼻が、フゴフゴと蠢いている。薬をキメた中毒患者の表情に似ていた。すっかりトリップしている。
指の動きは激しくなる。クチャッ、ヂュクッと、花弁を嬲りたてる音が狭い室内に響く。へこっ、へこッと腰を振りたくっていた。
彼女に取り憑く変態色情霊にとって、浮浪者が着古した腰布は、オナニーの最高のおかずだった。なんて最低なんだろう、素晴らしすぎると、感動にうち震えてすらいる。
すさまじい衝撃にグラつく頭では、それが霊の囁きなのか自らの感想なのか見極められない。二つを混同することで、まともな人間なら誰もが忌避する状況を、むしろ好ましく感じるよう造り替えられていく。
「んっふッ、すぅうッ、むふぅッ、むふぅッ、んぅうう」
「おうおう、何やってんだ、とんでもねぇ変態だな? 嬢ちゃん」
黄ばんで欠けた歯を、黒ずむ歯茎まで剥き出しにして、男はニヤニヤと笑っている。向けられる視線は、質量をもっているのではと感じるほど粘っこい。白昼の表通りなら、他者に向けた時点で通報されるくらいの目つきだった。
己が公開オナニーをしているのだと自覚する。人前でなんてことをと、理性が非難してくる。それがいいんじゃないかと、色情霊が力強く断言する。
腐り果てた判断力では、どちらの主張を受け入れるべきか決めかねる。ただ、強く断定しているからには、やかましいくらいの欲望の叫びが正しいのだろう。
「おお~、メスくッせぇ。たまらんなぁ」
男は調子に乗り続けていた。早苗が差し出した下着を、イボの浮かぶ鼻先に押し当て、嗅ぎまくっている。お前がそうしているのだから、俺も構わんだろう、といわんばかりだ。
「んふぅうッ、んはッ、んぅうッ」
淫汁にまみれたショーツは、己のあさましさを象徴している。自らの恥を暴き立てられる感覚に震えながら、腰を跳ねさせ、指で己を嬲る。よがり身体を震わせるたび、形良いFカップバストがふるんふるんっと弾んでいた。
「んぢゅるぅ――」
最高の時間だった。が、我欲の巫女と揶揄すらされるのが早苗だ。この素晴らしい宝物を、もっともっと奥深くまで味わいたくなる。
形よいリップから舌を這わせる。汚れでネトつく腰布の、ちょうど股が当たっていたあたりを、舐め回し始める。舌を痺れさせる苦味とえぐみが押し寄せてくる。
生理機能が嘔吐感で抗議してくる。頭痛すらしてくる。さすがにヤバいぞと全力で訴えてくる。まるきり無視した。この思考が吹き飛ぶ恍惚に比べれば、まったくの些事だった。
「れろッ、れろれろれろぉッ」
リキッドグロスの麗しい唇が、よだれたっぷりの桃舌が、腰布を舐め回す。指の動きの激しくなることときたら際限を知らない。男を知らぬ裂け目に指先が叩き込まれ、ほじくっていた。
「へへ、たまらんなぁ、えぇ?」
繰り広げられる痴態をおかずに、男は己の一物を扱きたてていた。黄ばんだ恥垢にまみれた汚物をだ。ペースト状になった垢が、ぐちぐちと音を立てる。強烈極まる匂いを、室内にまき散らしている。まともな精神の持ち主なら、たちどころに胃袋の中身を戻してもおかしくない臭気をだ。
「んぅ~ん、ッンッ、んふぅ、んっんっ!」
早苗は真逆の反応をみせた。もっと見せて、もっと嗅がせてとばかりに、媚びた嬌声をあげる。グチュグチュグチュと、指は激しく己の処女穴を耕している。
雌蜜がまき散らされていく。スカートや布団に、濃厚なシミを作っていく。他の汚れと違うのは、芳しく淫らで、雄の欲望をかきたてる点だ。
「おうおう、俺の寝床を汚しやがってよ、何してくれてんだ」
「んぅうッ、ごめんなさい、ぢゅるっ、アッはっ」
「ごめんなさいってんなら、マンズリすんなっての、ペッ!」
「あはぁッ!」
男の顔が近づく。紫がかった唇が僅かに尖っており、キスされるのかと勘違いする。
実際、彼はもっと素敵なことを考えていた。プッと、少女の柔らかな頬へ唾を吐きかけてきたのだ。
痰混じりの、ヘドロじみた唾液だ。炎天下に外で放置した魚のような臭気を放っている。
十回洗顔しても、臭いがとれないだろう。こんな悪臭を垂れ流して、街角で布教したり、神事を行うのだ。あまりにも素晴らしくて、涙すら浮かんできた。
「んぅ~ッ、ンッ! んっはぁッ、ぢゅるるッ、んぅう」
部屋を汚すなと叱責する意味では、まったく逆効果だった。興奮は留まらない。股布を嗅ぎ、舐め回しながら、己の穴を嬲りたてる。すでに数度、軽い絶頂を迎えていた。
「おうおう、どうしようもねぇ変態女がよ。ほれ、そんなに汚ぇのが好きなら、どうせならこっち嗅げや」
「アッ……」
あんあんとやかましかった早苗が、不意に静かになる。目の前へ突き出されたモノに、意識を奪われたからだ。
べっとりと垢のへばり付く、腐臭すら漂わせるイチモツ。誰もが顔をしかめる汚物だが、色情霊にしてみればごちそうだ。口中に、涎が湧いてくる。
形の良い小鼻が、ひくっ、ひくっとヒクついていた。無遠慮なまでにまき散らされるペニス臭に、ツーンと腹奥が疼く。
「ほぉれほれ」
「あっ、あっ」
目と鼻の先で、肉魔羅が左右に揺らされる。さながらメトロノームだ。雌犬の視線が、亀頭を追いかける。
口の中から、涎が溢れてたまらなかった。梅干しを見て唾が湧くのと同じ、条件反射だった。
「あっ、は、おねがい、お願いします、おしゃぶり、おしゃぶりさせてくださいッ」
もう我慢ならなかった。口元から布切れを退け、男に懇願する。ジメジメと湿る、キノコすら生えてきそうな布団に、頭を擦りつける。
ほとんど土下座に近い姿勢だった。最低の男の、最悪なペニスを、額ずいてまで求める。惨めきわまる状況に、色情霊が喝采をあげる。
「おう、じゃあ代わりに何くれるって? チンポしゃぶりの代わりになるからには、たいそうイイモンなんだろうな?」
道を歩けば誰もが振り返る美少女が、媚びてフェラチオをねだってくる。男のロマンともいえるシチュエーションの主役に抜擢されておいて、男は不遜にも、まるで満足していなかった。
早苗にも、異論はなかった。下着などとは比べ物にならない、とっておきを用意している。きっと彼だって、断らないはずだった。
「私、ファーストキスまだです。あなたの硬くて逞しくて、くさくって汚い浮浪者おチンポに、唇の初めて、あげちゃいます」
告白と同時に、男から異様な雰囲気が漂った。病的なまでの興奮、支配欲が、男から立ち上っている。
「オホッ。そりゃそりゃ……。いいのかァ? せっかくのファーストキスを、チンポなんかにくれちまってよぉ。そういうのは、素敵な恋人とするもんじゃねぇのか、ええ?」
「もちろんいいです、むしろ、捧げさせてください。私の処女唇、あなたの素敵なギンギンおチンポで染めさせてください」
「そうまで言うなら、しょうがないな。特別だぞ?」
今さら嫌だと言っても逃がさんぞ――とばかりの声色だった。もちろん早苗に、色情霊に、逃げるつもりなどさらさらない。感謝を込めて、もう一度額を地に擦りつけた。
「あはぁッ、失礼いたします――」
あらためて、男根と相対する。無遠慮に汚臭をまき散らす、公害的存在とだ。
なんて素敵なのだろうと、瞳は蕩けている。見つめているだけで、腹の奥がツーンと疼いてくる。口内に粘っこい唾液があふれてたまらない。半開きの口から、早くも溢れてしまいそうだった。
「あっは」
ゆっくりと、唇を近づけていく。元女子高生の艶めく潤いリップと、まともに行水もできない浮浪者の陰茎。出会うべきでない二つが、ほんの数センチ、数ミリまで接近する。そしてとうとう、触れあった。
「ッぶえ」
他人のシモ。しかも、名も知らない醜男の、ろくに洗ってもいないシモだ。不潔をきわめたソレにベーゼを捧げた瞬間、横隔膜が跳ねる。胃から酸っぱいものがこみ上げてくる。
強烈な嘔気に襲われ、涙を滲ませながら、しかし心中は感動に満たされていた。なんて最悪なのだ、嬉しすぎると、色情霊が歓喜にうち震えている。思考回路がパァになるほどの幸福物質が、脳味噌を満たしていた。
「あっはッ、んちゅっ、むちゅッ、ぢゅるッ、ちゅっちゅ、んぅうんッ」
もう、彼女を止められるものはなかった。何度も何度も、キスを捧げていく。百年の恋人にもしない、濃厚な口づけだ。むちゅむちゅと、花盛りの少女が鳴らしてはならないリップノイズが響く。
「あっはッ。えぁあ」
むろん、それだけでは終わらない。大きく口を開く。顔を上向けて、桃色の口内粘膜を男に見せつける。ファーストキスをフェラチオの対価として差し出しているとはいえ、おまけをつけるくらいのサービス精神はあった。
「あもぉッ……ぐッ、ふ」
恥垢ペーストまみれのソレに、ぱくりとかぶりつく。とたん、目が見開かれた。口内に満ちるのは、垢や尿、汗を煮詰めた、おぞましいまでの汚臭。雑菌まみれの汚物が、舌を痺れさせてくる。
「んぢゅるぅッ、ぢゅくッ、ぢゅぷッ、んふぅッ、んぢゅるぅん」
だからこそたまらないと、色情霊は訴える。どうしようもない興奮に突き動かされ、ありえないモノに奉仕を始める。頭を前後させながら、最低の竿を唇で扱きたてていく。ぢゅるぢゅると、唾液の音が鳴っている。
口内では、舌が踊り回っていた。とても初めてのフェラチオとは思えない勢いで、肉茎に尽くしていく。たっぷりの涎をまぶして、乾きへばり付く老廃物をふやかしていく。ヌルンッ、ヌルンッと這いずり回って、こそぎ落としていく。
舌先が、歯に押しつけられる。そぎ取った垢を噛みつぶして、じっくりと楽しんでいた。何にもたとえられない、おぞましい味が襲い掛かってくる。ぐわんぐわんと、意識が揺さぶられていた。
「ンフーッ、ぢゅっぷ、ッ、んぐぽッ、ぢゅるうッ、んぢゅくッ、ぢゅぽッ、ぐぷぅッ」
こんなことをしていたら、一万回歯を磨いても味と臭いが落ちなくなるだろう。つまり、いつどこでもペニスを楽しめるわけだ。
荒い鼻息を漏らしなら、最低の口淫に没頭する。ぐぽッぐぽッと、下品音が鳴り響いている。
「んっふッ、ぉッ、んぅッ、ぉんッ、んぅッ」
股は大きく広げられ、指が牝穴をほじくっている。ぐっちょッ、ぐちょっと、どうしようもない音が聞こえてくる。飛び散る雌汁が、スカートや布団を好き放題に濡らしていく。
「コラァ、誰がマンズリしていいつった? あ?」
「んぽぁッ、あはッ、あぁんッ、あぁ、ごめんなさい……」
いやらしい雌犬の仕草を、男が見逃すわけもなかった。腰が引かれ、口内から陰茎が引き抜かれる。ぶぽんっと、吸い付いていた唇が音を立てる。
乙女の涎にまみれ、陰茎は本来あるべき姿を取り戻していた。ギラギラと欲望を煮えたぎらせ、不遜にも天を衝く、雄の象徴だ。
ぬりゅんッ、ぬりゅんっと、顔に押しつけられる。ベチベチと、両頬を交互にビンタされる。
皮膚細胞の一つ一つに、男根臭が染みついていく。歩くだけで牝豚臭を振りまく、どうしようもない女に造り替えられていく。嬉しくてたまらなかった。
「そぉら、ザーメン化粧だッ」
美少女の頬肉の柔らかさと弾力は、ペニスを絶頂へ導くには十分すぎた。肉竿が根元から膨らんでいく。期待に、熱い溜息がこぼれる。今すぐ、雄の欲望をぶちまけてほしくてたまらない。
「あっはぁああッ……!」
果たして、望み通りになった。イチモツが膨れ上がり、次の瞬間には炸裂する。ぶびゅッ、ぶびゅッと、鈴口から無遠慮に白濁がぶちまけられていく。下衆の種汁で、美貌が汚されていく。
色とは縁遠い日々で煮詰められた、濃厚極まる汚濁だ。溶岩と思うほど熱く、強烈な蛋白臭を放っている。女を狂わせ魅了する、最悪のリキッドだった。
「はぁあアッ……」
そんなえげつない汁を、「女の命」とまで称される顔面に浴びせられたのだ。牝豚にならずにはいられない。うら若き乙女が見せてはならない、だらしなく乱れた表情を浮かべ、変態的な官能に溺れる。漏れる吐息は、すっかり色に狂っていた。
ついっと、指先ですくい舐める。もちろん美味なわけはない。にもかかわらず、もっと欲しいと思うほどに魅力的だった。
「あぁ……とっても逞しくて、美味しいおチンポでした」
「へっ、い~い眺めだな? 一生そのままで過ごせよ、牝豚」
自らイチモツを扱き、尿道に留まっていた残り滓を鼻筋に垂らしながら、男は嘲笑する。一生このまま。本来ならとても認められないはずの命令が、今はたまらなく素敵に感じられた。
「あぁん、まだとっても元気……」
女日照りの激しい暮らしで、ただただ性欲を溜め続けてきたペニスが、一度や二度の射精で鎮まるわけもない。いまだにギンギンと反り返るソレに、舌なめずりする。全ての穴で味わいたくてたまらなかった。
「あの、よろしければ、今度はこちらにくださいませんか? 濡れ濡れトロトロで、とってもキモチイイですよ?」
己の欲望を、堪える必要などない。大きく股を開き、秘められるべき裂け目を曝す。指先で、秘貝を割り開くおまけつきだ。
陰唇は水揚げされたてのアワビのごとくヒクついている。蕩けたバターを連想させる、濃厚で芳醇な雌汁がトロリと滴り落ちる。にもかかわらず、肉洞の奥には純潔の膜が残されている。淫と純のアンビバレンツが、退廃的な魅力を生み出していた。ペニスを持つ限り、どんな男も惹きつけられずにはいられない。
「もちろん。まぁ、お前が何を出すか次第だけどな」
極上の美少女の生膣を貫き、処女膜をブチ破る。一万年かけて、人生を百回やり直したとて、得られるか分からない幸運だ。しかし男は、ふてぶてしくふんぞり返っていた。あろうことか、代価まで要求してくる。
明日をも知れぬ暮らしを送っているがゆえに、彼らはえげつないほど貪欲だ。何だって差し出す奴からは、何だって搾り取るに決まっていた。
「それはもちろん、私の純潔を、アッ!」
「馬鹿女が。んなもんセックスしたら自動的に破れるだろが。交渉になってねぇんだよ」
ベチッと音がした。いまだ滾る男根で、頬肉を張られたのだ。早苗からしたら、なによりの商品アピールだ。どんな売り文句より、欲しくてたまらなくなる。
「そうだなァ……お前の着てる、その上等なおべべ、一式寄こせ。ホントにチンポが欲しくてたまらねぇなら、できるよなァ?」
「それは……」
着替えは持ってきていない。帰るときに返してくれるほど、親切ではないだろう。つまり、素っ裸で帰れと言われているも同然だ。
「うふふっ……」
何を躊躇うことがあるかと、色情霊が騒ぎ始める。むしろ、大胆すぎる露出散歩の機会を与えられて、深い感謝すら覚えた。初性交の余韻に震えながら飛ぶ幻想郷の夜空は、きっととても素晴らしいに違いなかった。
「お? なんだ、スケベ汁垂らしやがって、ホレ!」
「アッ! はっ、あぁんっ、アッ、あっあっ!」
ジューシーな果汁が、淫貝からあふれ出る。血走った目で見つめている彼が、その様を見逃すわけもなかった。いやらしい姿を揶揄しながら、早苗の秘唇へ手を伸ばす。黒ずんだ手で、性器を弄び始める。
「あはっ、あぁんッ、いいッ、もっと、もっとクチョクチョしてぇっ」
浮浪者の指が、乙女の純穴を蹂躙する。グチュグチュと、口を濯ぐのに似た音が響く。
とめどなくあふれる蜜が、そこら中にまき散らされていく。どことなく濁っているのは、指先に付着した汚れが溶けて混ざっているからだ。他者の侵入を許してこなかった性穴が、雑菌まみれにされていく。
「あっはぁ、すごいテク、アッ! じょうず、アッ、いいッ、おまんこ気持ちいいですぅッ」
嫌がるでもなく、むしろ大股を広げて受け入れる。媚びた声で甘ったるくよがりながら、相手のテクを賞賛する。あらゆる男を興奮させ、嗜虐心を煽り立てる仕草だ。
実際のところ、彼の手つきに技術など欠片としてなかった。乱暴かつ独り善がりで、相手を気持ちよくしてあげようとは全く考えていない。自分が愉しむためだけの指使いだった。
だからこそよかったのだ。早苗に取り憑く変態色情霊が、マゾの悦びを歌いあげていた。己を女たらしめる部位をグズグズの黒ずみ穴に造り替えられて、嬉しくて仕方ないと訴えていた。
「おっと、あんまりイジりすぎると、このあとユルくなっちまうか」
「あんっ……」
指が引き抜かれる。雑にほじくられた穴は、くぱっ、くぱっと口を開閉する。磯巾着を思わせる。熱い涎をとろとろと滴らせ、ほかほかと湯気が立たんばかりの勢いだった。
「手マンぶん、『先払い』しちまった。てめぇがサッサと脱がねぇからだぞ、ペッ」
三たび、唾を吐きかけられた。この男の調子に乗ることときたら、際限がない。王様にでもなったかのごとき振る舞いだ。
本来ならこんな男、土下座されたって願い下げなのだ。なのに今は、こちらが無様に媚びてまで、純潔を奪ってくださいとねだっている。脳味噌が甘く痺れる感覚に酔いしれながら立ち上がる。下卑た視線の前で、自らの衣服に手をかける。
「あっはッ……」
上着もスカートもブラも、全て脱ぎ捨てて、うら若き肌を晒す。透き通る瑞々しい肌は、性的興奮で紅潮している。柔らかなFカップバストの先端はつんと尖り、早く嬲ってほしいと訴えている。くびれた腹周りと縦に窪む臍がなんともキュートだ。
下腹のトロつき具合については、あらためて説明するまでもなかった。今も、熟しきった花弁が、早く滅茶苦茶にしてほしいと訴えていた。
「へへ、とんでもねぇオカズだな」
じろじろと、無遠慮に見つめられている。精液を浴びせかけられているのではと錯覚するほど粘っこく、重たい。どうしようもない興奮に、腰が小さく、くねっくねっと躍っていた。
「オイ、何ぼけっとしてんだ。ハメてくれってんだろ? 四つん這いになれよ、犬みてぇなカッコをよぉ」
顎をしゃくってくる。しょうがねぇから見てやるか、とでも言わんばかりの態度だった。今の己は、そこまでしょうもない立場に堕ちているのだ。嬉しさに涙すらこぼしそうになりながら、言われるまま獣の姿勢をとる。
「あっはぁッ」
丸くぷりぷりとした尻肉を、ゆらゆら揺らしてアピールする。秘裂も肛門も丸見えだ。それでもまだ足りぬと、指先で裂け目を割り開く。視線でレイプされる悦びに、うっすら白濁した本気の汁があふれる。
「へ。ハメてもらえるなら何でもするって感じだな、雌犬がよぉ。よ……ッと」
片足首を掴まれ、持ち上げられる。ちょうど、マーキングする際の犬を思わせるポーズだ。
「ほれ、犬は犬らしくションベンしてみ? 出しやすくしてやるからよぉ」
「あっ、あっあッ、あぁッ……!」
ぷっくりと膨れたクリトリスに、指先で悪戯される。ビリビリ痺れる刺激に、焦がれた声が漏れる。
人前で排泄するなんて、どれほど惨めなことだろうか。だからこそ、やりたくてたまらなかった。
「アッ、は、あぁああぁん……」
尿道括約筋が緩められる。膀胱に溜まっていた尿が解き放たれる。ほかほかと湯気のあがる勢いで、しゃぁぁ……と、黄金水が飛ぶ。放物線を描き床を濡らしていった。
濃く、雌臭いシミが出来上がる。他人の家でとんでもない粗相だが、何ら問題はなかった。早苗が多少汚したところで、大して変わらないくらいには汚らしい部屋なのだから。
「ウハッ、おいおい! マジでやるとはなぁ。変態女が、そこまでしてハメてもらいたいか、あぁ?」
「はい、ハメハメしてほしいです、犬のカッコでおしっこしちゃうくらいッ、あっ、あはぁッ」
用を足したばかりの股を、お仕置きだとばかりにぴしゃぴしゃと叩かれる。排泄の解放感と性感に狂いながら、己のどうしようもなさをアピールする。
堕落し果てるのが、嬉しくてたまらなかった。同時に、初めての交尾への期待も高まっていく。このまま、ちり紙感覚でブチ破ってほしくてたまらない。
色情霊がそう訴えているのではない。彼らは不思議と、大人しくなっていた。というか、綺麗さっぱり消え失せていた。
満足して成仏したのか、はたまた早苗と同化したか。いずれにせよ言えるのは、いま己が抱いている望みは、己自身から生じたということ。
自分がどうしようもない変態に堕ちたのを自覚する。が、嘆きもしなければ、悲しみもしなかった。むしろ、やっと本当の己に出会えたのだと、嬉しくすら感じている。
「まァ、しょうがねぇな。そこまで言うならハメてやるか」
「あぁ……!」
内発的な動機だからこそ、いよいよ交尾していただけるとなったときの悦びもひとしおだった。感動の涙すら滲ませながら、淫裂を開き、どうぞココにブチ込んでくださいとアピールする。薄い肉膜が、破られる瞬間を今か今かと待ち望み、ヒクついていた。
「そぉら、入るぞぉ」
「あんっ、あぁ」
おぞましいモノが、下半身に押し当てられる。ゾクッ、と、全身が恍惚にうち震える。
先ほど射精したばかりだというのに、イチモツは全く萎える様子を見せていなかった。女とは縁遠い生活を、下手すれば十年単位で続けてきたのだ。溜めに溜まったスペルマが、一発二発で尽きるわけもなかった。
粘膜に触れた男根は熱く、硬い。触れただけで、コレは女を堕とすためにあるのだと理解させられる。もちろん、雌に成り果てた今の早苗が抗えるわけもない。ほんの少しの接触で、すっかり虜にされてしまった。
「あっ、あっ、あぁッ、あっ」
自ら、腰を揺らす。くねっ、くねっと、柳腰が踊るたび、秘唇に亀頭が擦りつけられていく。女の穴の入口に浮浪者臭が染みついていく。華やかなる花弁が、猫も跨いで通る、小汚いビラビラに造り替えられていく。
「おうおう、そんなに誘わなくても入れてやるっつうの。そらイくぞ、イくぞ――オラッ!」
「ぉッ、ひッ、あッ、あぁあああああッ!」
グッ、と力が込められる。来る、と思った次の瞬間。恐ろしく硬い雄棒が、股穴にねじ込まれた。
今まで誰の侵入も許してこなかった隘路が、メリメリメリと押し広げられていく。肉襞が捲り上げられ、蹂躙されていく。阻めるものはいない。純潔の膜ですらもだ。薄い粘膜組織ごときで、煮えたぎる鉄の棒をどうして止められようか。あっさりと破られ、ぶち破られた。
ぶぢり、と体内から嫌な音が聞こえた。特大の逆むけを思い切り引きちったような痛みもだ。痛みに、一瞬だけ顔が歪む。次の瞬間訪れたのは、思考が腐り果てるほどの快感だった。
こうして、早苗の純潔は永久に喪われた。己の初体験は、貧民窟の汚らしい襤褸小屋。ムードもへったくれもなく、名も知らない浮浪者に自ら媚びて捧げた。なんて素晴らしいのだろう。今日という日の思い出は、輪廻したって忘れないに違いない。
ずっぽりと、指では到底届かない奥まで、肉棒に埋め尽くされている。膣口で感じたあの恐ろしいくらいの熱が、ジクジクと内部から広がっている。浮浪者専用の変態穴として、生まれ変わらされていく。恍惚に、狂ってしまいそうだった。
「おゥッ、おっ、こりゃすげぇ、たまらんっ、ぉおっ、おお!」
「あっ! あぁ! っはひっ、あぉっ、あぁんっ、あっあっ、あぁん!」
男も、早苗のヴァギナがたいそうお気に召したようだった。うら若き乙女の処女膣でありながら、痛みに悦び、ヌルつく襞できゅうきゅうと絡みついてくるのだ。どんな男であれ、取り憑かれずにはいられない。まして、優に十年は女と無縁の生活を送ってきた浮浪者ともなれば、なおさらだった。
男が腰を振りたくる。黒ずんだ穢らわしい魔羅が、さきほどまで純だった膣を蹂躙する。ギンギンと苛立つ亀頭で穿ち、幹で押し広げていく。ヴァージンの残骸が、嬲りものにされていく。
ゴリゴリと、体内から音が聞こえる。狭穴が、ペニスの形に拡張されているのだ。無理矢理叩き起こされた神経が、脳味噌へ狂ったペースで快楽信号を送りつけてくる。目の裏がバチバチと白熱するのを感じながら、法悦に酔いしれる。
「あっはぁっ、アッ、あぁ、いい、ふっとい、ふっといのいい、おチンポいいっ!」
相手を気持ちよくしようなどと欠片も思っていない、独り善がりで雑なピストン。ただ自分が気持ちよく射精することしか考えておらず、乱暴に腰を打ち付けるばかり。
男のセックステクニックが底辺級であるのは、今日が初めてである早苗にも察せる。だからこそ、よかった。娼婦でも口にしない猥語を吐きながら、交尾快楽に溺れる。髪を振り乱し、乳房を震わせてよがる姿に、かつての清楚な面影などなかった。
「おい何やってんだ? せっかくお望み通りにハメてやってんだ、腰くらい振れっつうの!」
「あぁあっ!」
衣服とセックス。取引として持ちかけて成立したのだから、それ以上は求めすぎだ。もちろん、彼がそんな道理を受け入れるわけもなかった。どこまでも傲慢に、早苗を玩具として使う。
腰を打ち付けられるたび弾んでいたヒップに、黒ずんだ手のひらが叩き込まれる。ピシャァッと鋭い打擲音が響く。
音から分かるとおり、かなり本気の一撃だった。痛みが走り、早苗の喉から漏れるのは恍惚の声だった。掌の痕が残るくらいのスパンキングをくらって、マゾヒズムが刺激されたのだ。
「あっはっ、はひ、振ります、腰へこへこして、おチンポ気持ちよくしますぅっ、あっあっ! あぁんっ、あーっ!」
もちろん、尻をぶたれてきもちいい、で終わって良いわけもない。求められたとおり、腰を振りたくる。尻を弾ませ、視覚でも触覚でも彼を愉しませる。
「おっほ、そうだよ、やりゃあできるんじゃねぇかよ雌豚がよォ」
ぱんっ、ぱんっと、セックスサウンドがひときわ音量を増す。何度も下腹を打ち付けられ、早苗のヒップは猿のように真っ赤になっていた。
ぢゅぽっ、ぐちょっと、粘っこい音をたてて蜜がまき散らされる。陰茎はゾリゾリと肉襞をめくり返している。たっぷりこびりついていた恥垢が、裏側にまで染みついていく。ほんの数分前まで純だったクレヴァスは、もうすっかり、浮浪者専用のペニスケースに成り果てていた。
どれだけ洗っても、臭いなど取れはしない。道を歩けば、すれ違う人々は異臭に気付き、嫌な顔を浮かべるだろう。想像しただけで、蕩けてしまいそうだ。
「へへ、こんなのはどうだ……よっと!」
「アッ、んぅうっ!」
後ろから覆い被さられる。容赦なくのしかかってきた体重を支えられず、布団の上に突っ伏した。カビの浮かぶ、汗と皮脂の臭いが染みついた布団にだ。
浮浪者の体臭にまみれながら、穴を抉り抜かれる時間。自分も、貧民窟の一員に堕ちたかのごとく感じる。あまりにも素晴らしくて、嬉しくて、また小便を漏らしてしまいそうだった。
「んっはっ、あぁっ、はっへっ、あひっ、ひぃ」
「あ? なんだこんなのでも感じるのかよド変態。ならホレ、もっとよくしてやるよ!」
「っ――!」
頭から何かを被される。途端、五感を汚臭が満たした。先ほど交換してもらった、早苗の新たな宝物。彼の下着だ。
「ムグッ、んぉっ、んぐぅっ、んぅうっ、んふぅうううんっ!」
息を止めようとも流れ込んでくるほどの激臭は、性交快楽と合わさって、早苗を狂わせる。目を白黒させながら、逃れられない官能に狂っていく。
「ぉっ、お! 締まる締まるっ、おら、そろそろ出すぞ、どこに出してほしいんだ、えぇ?」
ストロークが、次第に速くなっていく。全体重を乗せた、重量級のピストンだ。牝穴が擦り切れそうなほどの勢いだった。実際そうなったとして、知ったことではないと言わんばかりだった。
「あはっ、中です、中っ、おまんこの中にびゅるびゅる出して、あなたのくっさいくっさい濃厚浮浪者精液、早苗のおまんこに無責任種付けしてくださいっ、中出しアクメさせてください、代わりに卵子、私の卵子あげちゃいますからぁっ!」
己のなすこと全てで美少女がよがり、自ら交尾を求め、挙げ句の果てには中出しまでねだってくる。夢のごときシチュエーションだ。が、男はやはり、うんとは言わなかった。目の前の雌畜相手には、どこまででも値をつり上げられると知っているからだ。
「そうは言うけどなぁ。ザーメンってのは貴重なモンだからなぁ。卵子あげるって言われても、ホントに孕めるか怪しいもんだな? カス掴まされたんじゃたまったもんじゃねぇよ」
「だいじょうぶです、孕めます、ぜったい孕みます、私どんなお精子だって百パーセント妊娠できます、あなたの強いお精子なら、絶対間違いないですからっ、あぁっ、あああっ……!」
健康的な男女が、タイミングを合わせて行為に及んだ場合でも、妊娠する確率は三十パーセント程度。百パーセントなどという奇跡、口が裂けても言えない――早苗以外には。
「そうかよ、そこまで言うんならしょうがねぇ、ブチまけてやるか、しょーもねぇ精子でカスみてぇなガキ孕むんだぞォ?」
「はいっ、きて、おザーメンきて、あっ、あっ、あぁ、はっ……!」
そういう理屈は、男にとってどうでも良かった。ただ目の前の変態に、無様を晒させ、己の劣等精子を求めさせたかっただけなのだから。
腰遣いがいよいよ乱暴になってくる。限界まで腰が引き抜かれ、突き出される。ごぢゅんっ! と、肉の潰れる音が体内から聞こえた。子を成すための聖域の入口、子宮口を、思い切り貫かれたのだ。
「ぉらッ、孕みながらイけ便女がッ!」
「アッ、くる、きてるっ、あっ、あへぁっ、あっは、あぁああああッ……!」
間髪を入れず、男根が炸裂した。ドッ、ドッと、力強く脈動を繰り返す。十年以上溜め込んで、もはや餅のごとくなったスペルマを、ぼびゅるぼびゅると解き放っていく。乙女の子宮を、えげつない白に染め上げていく。
詰め込まれた精子は、数にして億だろうか、兆だろうか。それら一匹一匹が、おぞましいくらいにビチビチと鞭毛を蠢かし、卵子に殺到していく。自分勝手に結合し、早苗の胎に根付いて、この世に誕生するため。
そうして生じる熱量は、他の何とも比較にならないほどだった。当然、絶頂せずにはいられない。ガクガクと全身の筋肉を痙攣させる。自慢のバストがぷるんぷるんと震える。
処理しきれなかった快楽信号が視神経に逆流する。目の裏で、バチバチと火花が弾けている。口から漏れるのは、白痴のごとき嬌声だ。まともな思考など、できるわけもなかった。ただただ快楽を貪る雌豚に成り果てている。
「あはッ」
ぷちゅんと、体内から音が聞こえた。何の音か、彼女には分かる。自らの、大事な大事な卵子が、下衆の劣等精子に貪られたのだ。受精しながらのアクメに、脳味噌は快楽物質で満たされていった。
「ぉおッ、ぉッ、締まるゥ~……ぉッ。ふぅううッ……」
額に汗を浮かべながら、男は射精の余韻を楽しんでいる。ぐりっ、ぐりっと、早苗の尻に腰を押しつけていた。
「へへ、そうだ。どうせなら名実ともに、便女にしてやるよ」
「え、何……アッ、あぁあッ……!」
男が腰を掴んでくる。次の瞬間、温かいものが体内に放たれ始めた。
精液ではない。あれほど熱くも、粘っこくもない。代わりに量が多く、おぞましい感覚をともなっている。たぷたぷと腹が重たくなる感覚に、その正体を悟った。
「あっ、アッ、私、わたしお便女にされてるッ、あはぁッ、ありがとうございます、ご利用ありがとうございますぅうッ」
膣内で放尿されている。女を女たらしめる、もっとも大切な穴を、ツンと匂う汚物で台無しにされている。浮浪者の小便器にされる悦びで、歓喜の涙すら浮かんできた。こんなことでも感じてしまえる、自らのどうしようもない変態っぷりが、嬉しくてたまらなかった。
「ぉッおッ、あぁ~出た出た……」
やがて、男は腰を引く。半萎えになったイチモツが引き抜かれていく。
「へへ。チンポ掃除機能つきのマンコとは、イイモン拾ったわ」
恥垢まみれだったはずのソレは、つるりとした、ペニス本来の姿を取り戻していた。大量の垢は、全て早苗の体内だ。実際、激しく穿たれて閉じなくなった肉穴は、鼻を刺す異臭を漂わせ始めていた。
ごぽごぽごぽ……と、緩みきった膣口から粘液が滴り落ちる。排水口を思わせる音だ。白・黄色・赤。精液、尿、そして破瓜血と愛液のブレンドジュースだった。東風谷早苗が女として終わったことを示す、何よりの証拠だった。
「はへッ、あへ、はひぃ……」
「おい何寝てんだ雌豚。ボケッとしてる暇ぁねぇぞ」
強烈すぎる絶頂から降りてこられず、いまだ忘我している早苗を、男は小汚い足で蹴りつけて叩き起こす。こんな変態女、手で触れたくもないと言わんばかりだった。
彼は小屋の入口を顎でしゃくる。虚ろな瞳を向ければ、無数の人影が並んでいた。
「あんなでけぇ声で喘ぐからよ。ここらの連中全員集まってきちまったぜ。お前がアンアン喘ぐから、どいつもこいつもチンポが勃っちまってしょうがねぇってよ」
「嗚呼……」
それは、なんて近所迷惑をしてしまったのだろう。お詫びをしなくてはならない。ふらつく脚でどうにか立ち上がり、身体を引きずるように外へ出る。
誰も彼も、ギラついた視線を早苗に向けている。自ら望んで浮浪者の便女に堕ちた変態女をだ。異様な雰囲気が立ちこめていた。何か一歩間違えば、暴動にまで発展しそうな勢いだ。
「輪姦してもらいてぇんだろ? じゃあ、代わりに何を差し出すんだ、てめぇは」
男が囁く。服も何もかも差し出して、早苗が持っているものといえば、あと一つしかなかった。
苔むした地べたに膝を突き、額を擦りつける。群衆の見ている前で、自らを終わらせにかかる。
「人権を……人としての私を差し出します。ですからどうか皆様、雌豚変態便女の私を使って、そのイライラしたおチンポをスッキリさせていってくださいませ、穴という穴の中身がはみ出るくらいまでレイプして、父親不明の子供を産ませ……ぁあああッ!」
言葉が最後まで紡がれることはなかった。男達が群がり、早苗に魔羅をねじ込んでいく。もはや誰に犯されているかも分からないまま、彼女はこれから始まる新しい生活に思いを馳せ、幸福に蕩けていった。