※この作品はR-18です。

レンちゃん調教日記   作:かにみそスープ


原作:魔女兵器
タグ:R-18 性転換 快楽堕ち 調教
なんか色々世界戦が分岐した結果、レンちゃんが性的な意味で墜ちてしまうエンディングを迎えるそうです。これはそういうお話。

1 / 1
レンちゃん調教日記

 これはあり得たかもしれない世界の話——。

 

 マサダブルクでの騒動。二酸化炭素の砂嵐がマサダブルクを襲い、それを覚醒したマサダの傭兵こと『エミリオ・スウィートライド』が魔法で練られた大剣で両断することで解決に導いた。

 

 その後はトントン拍子で話が進み、無事に今回の主役であるレンは事なきを得て新豊州へと帰還することができた。それは本来の物語を知っている者なら承知のことだろう。

 

 

 

 だが、もしもそこに不備があったら——?

 

 例えば砂嵐の『後処理』という物が予想以上に重かったとしたら——?

 

 そう。砂嵐を処理したことでマサダブルクの気候が変動。それによって航空や航海などの移動手段が不可能となり、強力な電波障害が起きて、ほとんど孤島にも近い状態になったら——?

 

 

 

 そして、その『責任』を支払うことになったら——?

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

『ほら、レンちゃん。SIDに繋がったぞ。心配かけたんだし、近況報告をしないとねぇ』

 

『んっ♡ じゅる♡ んっ……はぁ♡ 分かりましたぁ♡♡♡』

 

 

 

 これはマサダブルクの事件から半年後の話。SIDに差出元不明の一本の映像データが送られてきて、そのデータを閲覧したことで地獄を見ることになった。

 

 SIDの責任者であるマリルの目には信じられない光景を目にする。

 映像の中には、自分が大切に愛でていたレンがいた。確かに彼女は時としてちょっと度が過ぎた弄りをしたこともあったが、それでもレン自身の尊厳を貶めるようなことをすることは不可抗力以外では決してしなかった。

 しかし今映像にいるレンの顔や仕草はどうだ。その表情はマリルが知る年頃の男子と女子が入り混じった青臭い子供の顔ではなかった。女の顔で男性器を口で味わい尽くし、その手で陰茎を擦り、そこから吐き出される精液を喉で感じる卑しい女の顔があったのだ。

 

『マリルぅ♡ 見ての通り『私』は元気だよ♡ 旦那様にオマンコスマイルができるくらいにトロトロのメロメロにしてもらったの♡』

 

 

 

 ——誰だ? これは一体誰なんだ?

 

 驚愕と絶望しかない光景に、マリルには似つかわしくない冷や汗を溢す。

 

 

 

『旦那様にザーメンマーキングしてもらって幸せでぇ♡ マンコもアナルも旦那様専用のオナホになってるの♡ オッパイも乳首も旦那様好みに変えたんだぁ♡』

 

 カメラの前で堂々と使い込まれて黒くなった小陰唇を見せつけるレンの姿をマリルは知らない。

 女性器の奥の奥。子宮まで見通せるほどに膣を広げて唾液のように愛液を溢れさせるレンの姿をマリルは知らない。

 使い込まれて閉じることもままならない肛門から精液と糞が入り混じった物体を垂れ流して悦ぶレンの姿をマリルは知らない。

 

 それになんだ、あの下品に垂れた胸の大きさは。マリルの知るレンの胸の大きさはB程であり、決してあのような詰物でもしてるかのような大きく膨れてGカップ以上になってはいない。

 しかも醜悪さはまだ続く。突起した赤子の男性器のように膨れる乳首の先端には、小さな針で止める『ニップルピアス』が付けられており、その先には嬉々として変貌する前の自分自身の写真を載せている。まだ無垢だった頃のレンの満面の笑みが精液と愛液で濁った写真の奥に飾られていた。

 

 

 

『旦那様ぁ♡ 早くぅ♡ 焦らさないで早く入れてぇ♡』

 

 

 

 けれどもうレンがその笑顔を浮かべることはない。浮かべる笑顔は全て艶やかさに満ちた男性を下品に誘う汚い笑顔だけ。無垢なんて物はカケラもその顔にはない。

 レンは自身にグズグズに緩んだ女性器を地上で呼吸する魚のようにパカパカと指で開き、カメラの前であるにも関わらず腰を下品に振って男性を誘い、残った右手は自身の口へと近づけて、指を男性器へと見立てながら舌で味わい尽くして艶かしく媚びる。

 

 

 

『はいはい、レンちゃんの大好きなおチンポを入れてあげるから……ねっ!』

 

『んひぃ!?♡♡♡ んっ!?♡♡♡ あっ!?♡♡♡』

 

 

 

 マリルの目からでも分かるほどに雄としての威厳を誇る男性器をレンのグロテスクになった女性器へと難なく挿入される。

 レンの表情に痛みや屈辱なんて物はありはしない。ましてや無理背負いもない。ただただ快楽を一心に受け止める女の顔だけがマリルの目に映る。

 

 

 

『見てぇ♡ 旦那様のオチンポでぇ♡ レンが下品にイクところ、みんな見てぇ♡♡♡ オナホ扱いなのにイッちゃうマゾなレンを見てぇ♡♡♡』

 

 

 屈強な男に乱暴に抱かれてレンは喘ぐ。男の扱い方としてはレンに対する優しさなど微塵もなく、オナホール同然のように勝手気ままにされているというのに喘ぎ続ける。

 

 

 

『イク゛〜〜〜〜ッ♡♡★』

 

 

 

 間抜けヅラ全開で快楽を受けいれ、鼻水も涎も滴らせてレンは絶頂した。表情に理性なんてないのに、それでもまだ快楽を求めて腰だけは情けなく振り続け、男性のチンコを求めて無意識に媚び続けていた。

 

 

 

『オッ★ オ゛ッ♡ オオ゛ッ♡★♡』

 

 

 

 それを見てもう一度男性は挿入する。それを何度か繰り返し、やがてレンの女性器は見るに堪えないほど大きく広がって、どちらかが口なのか分からないほどに酸素を求めて呼吸をする。

 

 もう既にマリルの知るレンはそこにいない。レンはそこで満ち足りた日々を送っていることをマリルは知ってしまった。

 

 

 

『というわけでレンちゃんはマサダに亡命しました〜〜。あとそれとアニーって子もマサダに移住するからよろしくね〜〜』

 

『ち、違うぅ♡ 私だって頑張って耐えたのに、レンちゃんがぁ♡ 先に堕ちたから仕方なくなのぉ♡♡♡』

 

『素直に言わないと中出ししてあげないぞ〜〜』

 

『い、嫌だっ♡ 言います、白状しますっ♡ 本当は堕ちたくて仕方なかったのぉ♡♡♡ でもレンちゃんがキッカケをくれて今は性処理便器としてオマンコも悦んでるのぉ♡♡♡』

 

『よく言えました〜〜、ご褒美を上げないとね〜〜♡』

 

『はぁぁ〜〜♡★♡ ご主人様の濃厚ザーメンで子宮がキュンキュンすりゅ〜〜♡★♡♡★』

 

 

 

 側にいるアニーも同様だ。SIDの訓練で引き締まった身体をしていたアニーでさえお腹に贅肉をつけて情けなく男性器へと腰を振る淫らな女性へと様変わりしていた。

 レンと同じように都合のいいように弄られ、乳輪も乳首は遊び尽くされて黒ずんで肥大化し、脇や鼠蹊部には画面越しでも伝わるくらいに咽せ返るような汚らしい無駄毛を見せつける。

 

 

 

 どうして——。どうしてこうなってしまったんだ——。

 

 マリルの中では混乱しか生まない。彼女ではレンとアニーにこの二ヶ月、何があったのかを想像することができない。

 

 

 

 …………ここから先は1人の少女が『女』になるまで記録。

 レンはどのようにして無垢なる少女から、性を貪る淫らな女性へとなったのか。どのようにして純粋さは穢され堕ちたのか。

 

 これは、そういう一つの結末(エンディング)だ——。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「クソ……。どうしてこんなところにいるんだ……」

 

 レンは目を覚ますと、そこは冷たいコンクリートで囲われた無機質な部屋だった。

 視界の端にある小さなテーブルには電気ランタンと銀トレーに乗せられた食器が一式。それと簡易的に準備された寝心地の悪いベッドに、肌身を隠すぐらいしか役割の果たせない防寒性機能がないシーツが見える。毛布らしき物は一切なく、部屋の外を覗けるような小窓なんて物は見当たらない。見当るのは開くのかも怪しい出入り口らしき錆付いた四角の切れ込みだけだ。

 

 これでは絵に描いたような独房部屋も同然だ。とりあえず『監禁』されているということは寝起きの頭でも理解できるほどに危機的状況である。

 レンはどうにしかして抜け出せないかと部屋を散策しようと立ち上がろうとした時——。

 

「……っ!? なんだよ、この足枷は!?」

 

 そこで気づく。自分の足首に輪をかける存在に。

 鉄製の足輪が壁を根元にレンの動きを阻害する。動ける範囲としては出入り口らしき場所まで数歩届かない場所まで。これでは入ってきた監視員のどさくさに紛れることも困難だ。

 ならばとすぐにレンは鍵穴を見つけたが、生憎とサイズの合う鍵もなければ利用できそうな針金みたいな物もない。衣服を漁って何かないかと探るが解錠に役出せそうな物は一つもなかった。

 

「……ブラジャーがない」

 

 それどころか上下合わせて下着がなくなっていた。特にブラジャーには種類にもよるがワイヤー入りなのもあり、それを活かせば解錠できることをレンはSIDでの訓練で知っている。

 故にレンの中で焦りは急速に増大した。何せ自分を拘束してる相手は、そういう細かい部分さえも用意周到に警戒しているということなのだから。

 

「ようやく目を覚ましたか」

 

 どうにか他に方法がないかと画策する中、出入り口から見覚えのある武装をした成人男性が入ってきた。あれはエミリオ、ヴィラなどが所属していた傭兵部隊の共通武装だ。そのことからここはマサダブルクの管理下にある施設であることをレンはすぐさま理解した。

 

「これより尋問を始める。拷問になる前に素直に吐くんだな、女」

 

「尋問……? いったい俺に何を……?」

 

「一週間前、マサダで砂嵐が発生した。衛星の落下によって海水が打ち上げられ、その深海に蓄えられていた二酸化炭素を巻き込む形でな。第三学園都市の壊滅の危機となるほどだ」

 

 レンには何を言ってるか分からなかった。分かるのは、話からして自分は一週間近くも眠っていたことだけ。

 だから現実感が一切伝わらない。そんな天変地異があったことも、それによってマサダブルクが壊滅しそうになったことなんてこれぽっちも想像できなかった。

 

「それをエミリオが解決したまでは良かったんだが……砂嵐が霧散したことで気候が乱れてマサダで通信障害が発生。しかも衛星落下の影響で海流も変わり、デブリが漂う事情もあってマサダは陸空共に連絡も渡航もできない孤島状態になったんだよ」

 

「なんでそんなことに……」

 

「テメェがエミリオに手を貸したからだろうぉが!!」

 

「そ、そんなの知らない! 俺はエミリオと友達ってだけで……!」

 

「じゃあこれは何だよ!」

 

 そこで男性はレンに携帯端末で再生される動画を見せつけた。そこにはエミリオが髑髏を象った『大剣』を振り回して砂嵐を両断する映像ではあるが、その画面には眠るように横たわるレンの姿が見える。

 しかも少し巻き戻せばレンがエミリオに接触したことで謎の光を発生。エミリオが大剣を握るという、どう言い訳しても二人には何かしらの繋がりを思わせる映像が記録されていた。

 

「これは衛星映像からアーカイブした物だ。見ての通り、エミリオが大剣を出す直前にお前がエミリオに触れて何かしらしている。しかも遡れば同じことを一度したじゃないか」

 

 映像を遡り男性は軍事兵器『ハニーコム』を撃退するエミリオ、レン、そして白髪のツインテールと赤目の少女であるヴィラがレンの瞳に入ってきた。

 

「そ、それは……! あっちが襲いかかってきて……! それで仕方なく……!!」

 

「じゃあ、お前がエミリオに力を与えたってことで間違いねぇじゃねぇか!」

 

「偶然なんだ! 俺だってエミリオにそんな力が与えられるなんて微塵も……!!」

 

「嘘なんかついてんじゃねぇぞ。こっちはお前が居眠りしてる間に、調べられるだけお前の戸籍や身分を調べたんだ」

 

 そう言って男性は次々とレンの身分証明証をいくつか取り出した。それはリーベルステラ号やマサダブルクに潜入するためにSIDに用意してもらった偽装の身分だ。

 ある証明証には看護学生として課外授業するなどの旨などの事情を書いてあったり、ある証明証にはジャーナリストとして情報収集するなどの渡航許可と理由が明記されており、ひと目見れば事情が噛み合わないことが理解できる代物だ。

 

「何だよ、この身分偽装の数々は。こっちで問題起こす気満々じゃねぇか」

 

「そ、それは……!」

 

 理由や目的はどうあれ確かにレンは身分を偽装した密航者みたいなものだ。

 信用を得ることなんて到底無理な話であり、これ以上何を言おうとも無駄だということをレンは悟ってしまう。

 

「しかもエミリオは政治家の娘で、一度はオッドアイで迫害された身だ。今回の両断だって、この騒ぎに乗じたテロの先駆けだったんだろ」

 

 そんなわけがない。だがマサダでは身分の差で小規模なテロが繰り返される紛争的な国でもある。

 先入観が植え付けられている傭兵からすれば、今回のことだってそう見えるのは仕方がないのだ。

 

「だから事情を話してもらおうじゃないか。エミリオと共謀してマサダをこんな風にしてよ……目的はなんだ?」

 

「目的なんかない! ただ成り行きで……っ!」

 

「さっさと話せって言ってんだろ。じゃないと手痛い手段をとる」

 

「手痛い手段……!?」

 

「こんな風にな」

 

 瞬間、男性が端末を操作するとレンの身体から耐え難い痛みと衝撃が弾けるように伝わってきた。

 それは普段マリルから連絡が来るレンに内蔵されるスピーカーからの電流だ。だがマリルの連絡の時はちょっとくすぐったい位で、ここまでの激痛が来ることはない。

 

「あがっ……!? がががっ……!?」

 

 呂律も回らず呼吸もままならずに次の電流がレンに襲い掛かる。

 あまりのショックに今にも気絶してしまいそうで、レンの中で一瞬でそれは『恐怖』へと染まる。

 

 他人の手で自分の中が支配される感覚——。

 それはあまりにも生きた心地しない。生殺与奪の権を握られ、相手の指先一つで自分の命がいつ尽き果ててもおかしくない。そんな本能的な恐怖にレンは縛り付けられた。

 

「お前、胸に面白い物仕込んでるよな。発信機を兼ねた高機能スピーカーとかいう。面白いから身体検査の時にちょっと改造させてもらってな……電波をジャックして操作すれば、そいつを介して電流を流すことができるんだよ」

 

「っっ!!?」

 

 さらにもう一度押そうと男性が端末の操作する直前、地べたを這いずる物乞いのようにレンは男性の足にしがみつき、恐怖に染まった声色で懇願しはじめた。

 

「や、やめてくれ……! これ以上はもう……っ!!」

 

「ちっ……じゃあ話せ。エミリオと共謀して何をしようとしてるのかを」

 

「だ、だからそれは知らない……! それに俺じゃなくてエミリオに聞けばいいだろっ! エミリオだって同じことを言うはずだっ! それで俺たちが何も考えてないことくらい……!!」

 

「あぁ。エミリオには既に聞いたよ。けど壊れちまってな」

 

「壊れた……?」

 

 男性は「察しが悪いな」と言わんばかりにため息を長くつくと、汚らしい物を扱う手つきで端末を操作してレンへと見せつけた。

 

 

 

 …………

 ……

 

『ちんぽ〜〜☆ もっとちんぽちょうらい〜〜♡』

 

『だったら頼み方ってもんがあるよな?』

 

『はい、わかりましらぁ♡ エミリオちゃん踊りましゅ〜〜☆ ちんちんに媚びることしかできない求愛ダンスします〜〜♡♡♡』

 

 ……

 …………

 

 

 

「な、なんだよこれ……!?」

 

 レンは驚愕を口にするしかなかった。画面の中には知的で姉貴肌なエミリオとは思えないほど、間抜け面で贅肉の溜まった脚部をガニ股で見せびらかす醜女がいた。

 顔も身体も痣だらけで、肩や手首といった関節部には注射痕がいくつかもあり、しかも下手に刺されすぎたせいで青くなっている。

 

 そんな中でもエミリオと分かるのは特徴的なオッドアイのおかげだ。だけどその色違いの両目には神秘的な雰囲気などない。

 男を誘う夜の艶やかさと、男を惑わす昼の卑しさが宿った蠱惑的な輝きだけを見せつけていた。

 

『良い子ちゃんだね〜〜。その前にお薬あげようか〜〜』

 

『んぎぃっ♡♡♡ これこれ〜〜♡ もう頭の中チンポパラダイス♡ ちんぽ、ちんちんぽ〜〜☆ 早くオチンチンをマンコに挿れて〜〜♡♡♡』

 

 エミリオは口内に薄い黄色に染まった液体を含むと、理性なんて微塵も感じない本能剥き出しの性欲を指に乗せて、ヒレかと錯覚するほどに緩んでしまった自分の女性器を痛々しいほどに乱暴に弄って快楽を貪り始めた。

 

「エミリオの奴は薬物耐性が強くてな……。自白剤をいくら投与しても口を割らなかったんだよ。だから許容量を超えた薬物投与を何度か繰り返したら……ご覧の通りの有様だ。脳みそがイカれてセックス中毒になっちまった」

 

「これじゃ話も聞けないから、こうして性処理として生かしてるんだがな」と男性は動画に映るエミリオを汚物を見るように吐き捨てる。

 

『おまんこの準備完了で〜〜す☆ チンポケース濡れ濡れでエミリオもう限界ぃ♡♡♡』

 

「お、お願いだっ! これ以上エミリオに手を出さないでくれっ!」

 

 あまりにも見るに堪えない——。あんな頼り甲斐のあったエミリオが、ここまで醜態を晒すハメになってしまうなんて。

 どうしてこんなことになってしまったのか。レンは溢れて止まない涙と共に頭を下げて虚に考える。

 

 誰のせいかと言われれば誰のせいでもない。実際に衛星が落ちた余波がマサダを傷つけ、その責任を政府は執行しなければ国民が納得しないからこそ人柱を求めている。

 

 それが今レンとエミリオに問われている。言質が欲しくて無理矢理にでも吐き出させるために、こんな惨いことを行っているのだ。

 だが、二人とも詳細なんて何も知らない。砂嵐を両断を手伝った記憶なんてレンにはないし、エミリオだって訳も分からぬまま対処しただけ。お互いに答えのない平行線を辿ってるだけでしかない。

 

 それでも誰かが犠牲にしないと収まりがつかない鬱屈が溜まった状況——。そんな悲しい現状をレンは理解してしまった。

 

「手を出さないでくれ? 何の情報も提供できないお前に交渉に余地があると思うのか?」

 

「そ、それは……」

 

 レンの言葉は澱む。嘘でも認めればエミリオは確実に解放されるだろう。だけど、その代わりにレンがマサダの政府に処刑されるのは目に見えている。それにSIDが悪意を持って——つまりは『第五学園都市』がレンを送ったことにもなってしまう。

 そうなればもう学園都市同士の争いは目に見えている。国一つ潰しかねない砂嵐を自分で起こしたと認めてしまうのだ。それだけは決してしてはならない。

 

 だとすればどうすればいいか——。その先の言葉はとうに理解していて、それを口にしたら自分のアイデンティティである『男性』としての尊厳が地に落ちることを理解している。

 

 でも、それでエミリオがこれ以上傷つかないで済むなら——。

 でも、それで学園都市同士の闘争が抑えられるなら——。

 

 そんな尊厳なんて捨て去る覚悟くらい腹に決めることはできる。

 

「……俺が…………から……」

 

「ん? 声が小さいな?」

 

 男性は憎たらしくなるほど愉悦を感じる声を漏らす。

 レンの精一杯の気持ちで溢した小さな声をハッキリとさせるために。

 

「俺が……するから……。俺がエミリオの代わりに……お前たちの相手をするから……エミリオを解放してくれ……っ!!」

 

「おいおい、それが人に頼む態度か? 頼むなら行動でも示してもらおうか」

 

「……手で、奉仕します……」

 

 レンは渋々と消えいるような声で男性のジッパーを外し、パンツを下ろすと、そこから姿を見せる男性器に思わず「んっ」と驚きの声を漏らす。

 

 久しぶりに感じる男性器の温かさ。ただ触っているのは女の子になる前にあった自分自身のではなく他人の男性器だ。

 普通なら嫌悪感が勝るというのに、レンは思わず甘い吐息を漏らしてしまうほどに男性のソレに夢中になってしまう。

 

 何故なら自分とは明らかに違うのだ。

 サイズも形もレンが男の時よりも何倍も凛々しくて、自分のなんて玩具と言われても仕方ないほどに情けないことを本能で感じる。それでも勃起してないというのだから恐ろしい。明らかにレンが勃起したサイズより既に大きいというのに。

 

 太さとしてはレンの細腕と同じぐらいで、長さは規格外の中でも規格外だ。レンが愛飲している500mlの炭酸飲料の缶より長くて、生唾を呑んで凝視してしまうのは男として仕方ないほどだ。

 

 1回、2回、3回と手を前後させるたびに少しずつ男性器が大きくなっていく。より太く、より長く男性器はそそり立ち、やがてはレンの顔さえ超えて勃起する。

 その度に心臓の鼓動も大きく早くなり、呼応するようにレンの手つきは早くなって呼吸も荒くなる。

 

 同時に男性特有の汗臭さと、陰毛に残る尿の刺激臭が濃くなっていく。

 むせ返るような臭いだというのに、レンからすれば懐かしく堪らないチンカスの匂い。帰巣本能とでもいうべきか、安心感すら覚えて止まらずに夢中で男性器を扱き続ける。一切の迷いも躊躇いなどなく、ただただ夢中で扱き続ける。

 

「はっ、偽装身分の手厚さといい、やっぱ身体で手に入れたもんかよ。この売女がっ!!」

 

「んっっ!!?」

 

 その慣れた手つきが男性には癪に触ったのだろう。男性は半勃ちの男性器をレンの柔らかい手から振り解くと、無理やりレンの口内へと挿入し始めた。

 

「んっ……! んんっ……!」

 

「なに純情振ってんだよ。こうやって身体売って今の地位を手に入れたんだろうがっ!」

 

 嫌だと言うように涙目で訴えるレンの視線などお構いなしに、男は乱暴に腰を前後に動かしてレンの口内を犯す。

 あまりの太さに、一回動かすだけでもレンの口は顎でも外れかねないほど開かれて噛むという抵抗すらできない。

 あまりの長さに、一回動かすだけでも喉奥にまで到達して口呼吸も鼻呼吸もできずに酸素を求めて喉と肺が喘いで仕方がない。

 

 やがてそれが続くとレンの意識が朦朧としてくる。

 気持ち悪いとか、息苦しいとか全部が曖昧になっていく。感じるのは酸素を求めて頭痛を訴えると脳と、それでも味と形だけは認識する男性器だけ。

 

「オラっ、出すぞッ!!」

 

「んっ………っ! んんっ……!」

 

 そしてついにレンの口内に精液が出された。

 壊れた蛇口の様な止め処なく精液が溢れ、一部は涎と共に口から溢れてしまうほどの量だ。

 あまりの量に逆流も始めて鼻奥に絡みつき、それがそのまま上って鼻先からも精液が漏れ出てしまうほどで、レンは無意識に漏れ出た精液を手で掬ってしまう。

 

「んんっ……!! んっ……!」

 

「こんな状況でも精液は飲み込むのかよ……。こりゃ根からの淫乱だな」

 

 酸素を求めて激しくか細い呼吸をしながらレンは気絶した。

 自分の口内で吐き出された精液は全部飲み込み、鼻先から口先からもイカ臭さを拭うこともなくただ気絶した。

 

 だというのに、それでもレンが一番心に覚えたのは嫌悪感でも自殺願望でもない。ただ懐かしさを覚える『安心感』だけだった。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「……ここは?」

 

 深い眠りからレンは目を覚ますと、そこは先ほどとは違う牢屋の中だった。

 相変わらず足枷がついてるが、生活レベルは多少向上していて牢屋内には小さなトイレが設置されている。申し訳ない程度の配慮として排泄時に隠せるカーテンも設置されている。とはいってもそれぐらいだ。寝辛いベッドはそのままだし、ゆっくり腰を置いて休めるようなところもない。

 

 こんな状況で暫くはマサダの軍人相手に性的奉仕を行わなければならない。その事実にレンは絶望にも近い深い感情を抱え込み、溜め息でもついて地面を蹴らねばやっていられなかった。

 

「ほら、着替えだ。娼婦にはお似合いのな。今ここで着替えろよ」

 

「この野郎……!!」

 

 暫時経つと、先ほどレンを犯した軍人が鉄格子の向こうに姿を見せた。

 その手には言葉通りに着替えがあり、レンは汗臭くてイカ臭い衣服を渋々と脱ぎ捨てて、その裸体を男性に見られながら用意された服を身に纏う。

 

 だが、それは本当に衣服と言っていいのか疑うようなデザインだった。

 ロング丈の白生地のキャミソールで鼠径部までは確かに届いてはいる。だけど生地が薄くて肌色が透けてしまい、乳首や乳輪の赤みなんか目立って仕方がない。防寒性は著しく悪く、これでは実質裸も同然の代物だった。

 

「くそ……ほとんど丸見えじゃないか」

 

「じゃあ今度は飯を持ってくる。食い終わったら出番だぞ」

 

 そう言って男性はレンの牢屋から離れていった。

 レンは「飯ぐらいはまともにしろよな」とせめてもの抵抗として捨て台詞を吐くが、それを男は鼻で一笑して去っていく。これでは食事も期待できそうにない。

 

 再び深い溜息をつくと、レンは何をすることもないのでただ静かに天井を眺めていた。

 薄汚れて蜘蛛の巣さえも見える天井。長い間使われていなかったのが目に見えて分かり、衛生面でも不安は感じざる得ない。

 

 しかしそんな静寂の中で微かに呼吸音が聞こえた。レン以外の呼吸音だ。

 こんな劣悪な環境で閉じ込められるような人物なんか一人しかいない。レンはできる限り牢屋の鉄格子から上半身を出し、隣の牢屋にいるであろう人物へと声をかけた。

 

「エミッ! 無事か!?」

 

「…………レンちゃん?」

 

 その声は間違いなくエミリオで間違いなかった。だが声色には生気や覇気など微塵も感じられない。呂律も辛うじて回っているだけで、聞くだけで薬の後遺症によって意識が朦朧しているのがレンには分かってしまった。

 

「……ねぇ、どうして私から奪ったの?」

 

「え?」

 

 言ってる意味が分からない。エミリオの言ってることが何一つレンには理解できなかった。

 

「私から取り上げないでよ……。私はもうセックスしないと、マンコが疼いて仕方ないのに……」

 

「それは薬の影響なんだっ! だからしばらくすれば元のエミリオに戻るから……!! それまで耐えてくれっ!」

 

「そんなの嫌だ! もうチンポがない生活なんて耐えられない……。そうだ、チンポはどこ……セックスがしたいチンポが欲しいマンコが疼いてるの……」

 

 見るだけで自分が惨めになってしまうほどのエミリオの変わりっぷりに、レンは内心で後悔だけが募りに募っていく。

 どうしてもう少し自分は早く目覚めなかったのだろうと。そうすればエミリオの症状が深刻化する前に肩代わりできたかもしれないのに。エミリオがこんな醜態を見せることはなかったかもしれないのに。

 

「もう何でもいいから早く私の中に入れてよぉぉおおおお!!!」

 

 隣の牢屋から艶めかしく響くエミリオの自慰の音を聞きながら、レンは涙を流してしまう。

 どうしてこうなってしまったんだと。ただただ後悔することしかできなかった。

 

 

 

 ごめん、ごめん、エミリオ——。

 エミリオを守れなくてごめん——。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「んっ……っ……」

 

 レーションとサプリメントという必要最低限の栄養とカロリーで食事を終えると、レンは早急に呼び出されて男達への性的奉仕を開始することになった。

 口で味わった男性器の数は既に十数を超え、手でしごいた数も同様だ。せっかく着替えたのに身体中はもうイカ臭さと汗臭さに包まれ、喚起のない閉所ということもあって匂いは立ち込めて充満に自分から精液の匂いが漂ってしまう。

 

 それが自分が娼婦や売女、性奴隷と呼ばれる立場だということを嫌でも理解してしまう。嫌悪感は既に薄れており、意識的に押し殺してる感情が嫌に冷静で、レンは無意識に十人十色の男性器を観察してしまう。

 

 こうしてみてみると意外と形が違うことが分かる。

 色合いもそうだが、長さや太さどころか形状も違うことが分かった。それに匂いも多岐に渡り、見比べるとその違いは如実に分かる。

 

 基本的には亀頭と呼ばれる返しがついた形状ではあるが、スラッと棒状のように長いのか、それとも先端にかけて膨らんだコケシのように逞しいのか、それとも逆に根本だけ太くて塔みたいになってるのか。

 それに肌色と同じような色合いかと思えば、多少黒ずんでいたりと結構差がある。さらに言えば睾丸——つまりは精巣や金玉と呼ばれる部分も大きさが一回りも違えば、陰毛の生え方も個性的だ。産毛程度の薄い生え方もしてるのもいれば、沿って整えてる者、針のように剛毛な者、下腹部だけ生え揃ってる者から睾丸から尻までのラインまで剛毛な男と選り取り見取りだ。

 

 レンはそれを品定めでもするかのように見比べて観察してしまう。

 舌で男性器を味わい、劈く精液の匂いに吐き気を覚えながらも思ってしまうのは、目の前にいる男性器の感想や行為をする自分に対する嫌悪感でもなく、何故か最初に性行為をした男のことだった。

 

 

 

 

 

 アソコが一番大きかったのは、最初に犯したアイツのだったな——。

 それに、アイツのが一番綺麗で男臭くて——。太くて逞しくて——。

 

 自分から見ても羨ましいとか、そういう感性を無視して見惚れるほどだったな——。

 

 

 

 

 

「おいおい、こいつが本当にエミリオの代わりか? 淡々とフェラされても気持ち良くも何ともねぇのによぉ」

 

「仕方ないだろう。自分から頼んできたんだ。それにエミリオも締まりが悪くなったし、ちょうどいい替え時だろう」

 

「んな頼み聞く必要もねぇだろうが。大体代わりならもう一人いるしよぉ」

 

「……それもそうだな」

 

 代わりがもう一人いる。その言葉の意味にレンの中で嫌な予感が奔った。

 

「お、おい……もう一人って?」

 

「ああ。水色の髪を二つにした女のことだよ。入国申請のないガキも連れてる上に、お前とエミリオに親しく話してるところも目撃した。重要参考人として捕らえるのは当然だろう」

 

 それはアニーだ。間違いなくアニーのことだ。そして入国申請のないガキとはシンチェンのことだろう。レンは一瞬で察することができた。

 

「本当はガキも捕らえる予定だったが、忽然と姿を消して捜索しても行方知らずだ。あの女も知らねぇってしらばっくれるしよ……本当お前らは口が固くて仕方がない」

 

 シンチェンだけは行方知れず——。それを聞いてレンは少しホッとした。

 きっとシンチェンはマサダに入国する前の状態になってるに違いない。シンチェンを見るには彼女が眠っていると思われる『異質物』に触れなければ視界に入れることはできないし、仮に視界に入っても触れることはレン以外には決してできない。

 

 それをマサダの軍人達は知る由もない。

 だからこそどんな手でも使おうと、吐かせようと怒りを交えた血眼で探すに違いないとレンは確信してしまった。

 

「まあいざとなったら自白剤を使うだけだけどな。あの女、エミリオよりも頑固じゃないだろうし、すぐ口を破るだろう」

 

 男は懐から小瓶を取り出すと、レンに見せつけるように蓋を開けた。さらにはアニーの純朴に浮かべる笑顔が映った写真も取り出し、小瓶と並べてこれからどのような痴態を晒すのかと愉しそうに笑う。獲物を定めた狩人のように楽しくも残酷な笑みを浮かべて笑ったのだ。

 

「ま、待ってくれ! もっとちゃんとするから! アニーにも手を出さないでくれっ!!」

 

 エミリオに続いてアニーまであのような惨めで醜悪な卑しい女の姿を想像してしまったら、レンからすれば溜まったものじゃない。あの壁越しでも卑猥な音が響いて脳内に染みこむほど仕方ないというのに、そのような痴態をアニーがしたとしたら、とてもじゃないがレンは生きてる心地が沸いてこない。

 

 だが、今の自分には対抗すべき手段も、交渉しうる情報がないのも確かだ。どんなに口答えしたって、レンには軍人達がアニーを尋問という名の拷問をさせることを止めることはできない。

 

「じゃあもっと愉しくやれよ、この売女が! 股でも開きながら媚びることくらいはできるだろうがっ!」

 

「うっ……わ、わかりました……」

 

 ならもう心情に訴えかけて媚び諂うしかレンには手段がない。

 怒鳴り散らす軍人の声に、レンは怯えながらも準備を始める。薄生地のキャミソールを上げ、股部を露出させてまだ一度だって性行為をしたことがない穢れのない女性器を見せつけると、レンは軍人達に背中を見せて壁に左手をつき、震えながらも媚びた可愛らしい声で告げる。

 

「い、今からオナニーをしまぁーす……! み、皆さんのザーメンを濃くするために、一生懸命するから見てくださぁい……!」

 

 なんて屈辱的な光景なんだ。レンは涙目になり、羞恥心を押し殺して空いた右手で自慰行為を始める。下手なAVのようなわざとらしいセリフは、レンの男としてのプライドをこれでもかと打ち砕いていき、我慢しようとしても涙が溢れてしょうがない。

 

 しかし、それでもせめての抵抗ともいうべきか、男性器を見ないために壁に目にして自慰をするのはレンに残る男としての最後のプライドから来るものだ。目を合わせ、男性器を見ながら自慰行為をするなんて、まるで自分が心まで女になってしまうのを認めてしまうような気がしてならない。

 

 だからこうして背を向け、脳内では昔見たAV女優のオナニーと自分を重ねることで、少しでも自己を守ろうとする。今オナニーしてるのは『レンとしての自分』ではなく『レンという卑しい他人』だと自分を納得させながら一心不乱に自慰行為を続ける。

 

 レンだって別に『女』としてオナニーすること自体は初めてではない。

 ちょっとした興味本位とかで、お風呂に入ってる時やトイレで籠っている時に触ったことがある。時には大きくはないが形の整った胸を漫画やAVのように揉んで自慰行為に励もうとしたことも何回かある。

 

 しかし、それでも絶頂することは決してなかった。

 脇や足裏を擽られるのと一緒で、何度やってもむず痒さのほうが増して気持ちよくなることはなかった。それに常にマリルの監視されてプライベートなんてないことも脳裏にちらついて、自慰行為に集中することもなかった。

 

 だからこういうをしても気持ちよくなることなんて絶対ない——。誰かに見られている状態で自慰行為をしたって、視線などの意識が回って夢中になれないんだから。

 そう思っていたのに——。レンの中で確かな変化があることを自分自身で理解してしまう。

 

 

 

(けど、なんだ……? いつも以上に濡れてる……っ!?)

 

 

 

 だがそれがレンの中で背徳感を増幅させた。

 クチュ、クチュ——と自分の女性器から発せられる卑猥な音が響くたびに、シュッシュッと擦る音が聞こえてくる。その音は元々男であったレンにとって物珍しいわけでもない。男性がマスターベーションをする時の音であり、それが今自分を対象として行っている。自分の無防備な背面に向かって、あんな濃厚でドロドロな精液をかけようとしている。

 

 それを考えたら、レンの背筋に形容しがたい気持ちが奔った。同時に自慰をする自分の右手もペースを上げて、しまいには電流にも近い背筋の奔る気持ちに耐え切れずに誘うように腰を前後して自慰行為へと夢中になってしまう。

 

 

 

(なんで♡ しらない♡ こんなかんかくはじめて♡)

 

 

 

 レンは認めたくなかった。それは確かに『気持ちいい』という性的快楽に他ならない。だけど認めてしまったら、それは今の自分が『男に見られながら自慰行為する』という、本当に女になってしまった気がしてレンには怖かった。自分が自分でなくなってしまうような、そういう本能的な恐怖が纏わりついてしまうのだ。

 

 でも我慢できない。できるわけがない。

 昇り続ける快楽の波をどうにかして発散しなければ、背筋の感覚はこのまま脳髄にまで達して気持ち良すぎて死んでしまいそうだ。

 

 

 

 どうにか——どうにかして『絶頂』しなければならない。

 どうにか——どうにかして自分を保ったまま、この気持ちを解放しないといけない。

 

 

 

(ううん……♡ いまのおれは『おれ』じゃない……♡ 『レン』という卑しい『女』を演じてるんだ……♡)

 

 

 

 だから——だからイっても仕方ないんだ。これはそういう『演技』なんだから——。

 アニーやエミリオを守るためなんだから、イっても仕方ないんだ——。

 

 

 

「イクッ……♡♡♡」

 

 

 

 あまりにも見苦しい言い訳をしながらレンは絶頂した。背筋に膨れ上がった快楽は波は一気に身体全体へと解き放たれて、普段の何十倍もの気持ちいい感覚と浮遊感がレンの身体を巡りに巡る。

 噴き出す潮の解放感にレンは思わず幸福を味わってしまう。もっと、もっと気持ちよくなりたいという原初的欲求が身体の底から湧いて仕方がない。イってもイっても、まだまだイキたい。イキたりないと今までの鬱憤や性欲が止めどなく溢れてしまう。

 

 

 

「オッ♡ オォッ♡ オナニーとまらなぁい♡ 見られながらするの気持ちいぃ♡」

 

 

 

 でもいいじゃないか。その劣情に任せてしまっても。ここにいるのは『俺』じゃないんだから。『レン』という『卑しい女』なんだから淫らにイキ狂っても大丈夫なんだ。

 

 だからレンは指を止めるような躊躇も見せず、次第に大きく聞こえる男性器の摩擦音を思いながら自慰行為を続けてしまう。自分の背中に目掛けて放たれるであろう白濁で濃厚な液体を想像するだけで、指の奥の奥にある子宮が疼いて仕方がない。

 

 でもそれでも物足りない。一緒にイキたい——。

 そんな本能的な衝動に駆られて、レンは思考するよりも早く顔を振り向いた。

 

 そこには先ほどまで口で世話をしてた男性器の数々。先の勃起とはまた違った逞しさを誇っており、レンが相手していた時のが『精液を出して気持ちよくなりたい』と主張してるのであれば、今は『種付けをしたくてたまらない』と主張するように力強く野性的に躍動している。

 その野性的な臭いは記憶の奥深くまで染みついてしまうほど味わった物とはまた別の刺激臭が漂っており、背中越しで見るソレがレンの本能をさらに刺激してしまう。

 

 

 

 イケる——。一緒にイケる————。

 あんなにビンビンになってたら一緒にイケちゃう——。

 

 

 

「イクッ♡ もう一度イっちゃうぅ♡」 

 

 

 

 そしてレンはもう一度絶頂した。今度は何人かの軍人の精液が、レンの背中や尻に届いてるのを感じながら絶頂した。

 その快楽は先ほどと比べるのは烏滸がましいほどに濃厚だった。今度巡る身体の感覚は、下半身に脳ミソでついてるんじゃないかと錯覚するほどにダイレクトに快楽の波が届いてきた。呼吸をしようと口や鼻を動かすたびに、それ自体が性感帯となってさらなる快楽が身体を刺激してしまう。

 

 気持ちよくて仕方がない。まだまだ指は動き続ける。いや、動き続けてしまう。

 もうレンの理性なんかでは身体は止まらない。この火照りを何とかしない限りは止まらないことだけは理解してしまった。

 

 

 

「おい。まだ続けろよ。他にもお愉しみ中の奴はいるんだからな」

 

「ふ、ふぁい……♡ 何度だって、しまぁす……♡」

 

 

 

 その日、レンは合計で少なくとも七回は絶頂した。それ以上は多幸感によって意識が朦朧として何をしたか覚えていない。どのように体位でオナニーをしたのかも、どのように男に媚びを売ったセリフを言ったかなんて何も覚えていない。覚えていないんだ。

 

 

 

 だから——これはなかったことなんだ。

 

 

 

 男達のチンコにしゃぶりついて淫乱に踊ったり、肛門にも指を入れて自慰行為を始めたり、自分の乳首を撫でたり甘噛みして絶頂したり、興味本位で自分の性器に男性器を擦り合わせたりなんてした事は覚えてないんだ————。

 

 

 

 全部なかったことなんだ——。だからしょうがないんだ——。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「レンちゃん……大丈夫?」

 

「…………あにぃ?」

 

 そんな失神するような出来事が三日ほど続き、その日の奉仕活動を終えて目を覚ましたレンの前にはアニーの姿があった。

 もちろん二人は同じ牢屋の中にいるわけではない。数日経ったことで死んだように静かで小さな呼吸をするエミリオの牢屋との向かい側、つまりはレンからすれば斜め前の牢屋にアニーは囚われていた。

 

 服装は娼婦同然のレンとは違い、マサダに入国する時と同じものだ。着替えなど用意されてるわけもなく、所々泥だらけとなっているが外傷を負わされた感じは雰囲気からしても見て取れない。

 

 どうやら無事にアニーを守り切ることができた——。

 その無様にも等しい奉仕行動に意味があったと知り、レンは安堵の感情を沸きあがらせる。

 

「……うん、大丈夫だよ。アニーを守るためならこれぐらい……」

 

「そう、だよね……。なんか顔つきが変わってたから心配になって……」

 

「顔つきが変わった……? どんな風に?」

 

 アニーの言ってることが分からず、レンは思わず問いてしまう。

 自分からしても変わった部分はないと感じている。それは確かに女としての快楽は知ってしまったが、それはアニーやエミリオを守るために仕方なく行っていたことだ。

 その根っこは決して変わっていない。今でもアニーやエミリオを守るためにこうして奉仕活動を続けているんだ。いつか絶対にマリルが助けてくれる日まで耐えるために。

 

 だからそれまでの我慢なんだ。それまで奉仕活動を続けなければいけないんだ。

 

「なんていうのかな……。その……」

 

 だというのに、アニーから零れた言葉はレンの予想するような優しいものではなく、少し見限るようなどことなく冷たい雰囲気を交えた物だった。

 

「——自分に向けて、安心したような顔をしてた」

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

 なんだよ。自分に向けて安心したような顔って——。

 

 それがレンの中で言いようのないストレスとなって、翌日の自慰行為を阻害する要因となっていた。

 どんなに指を激しく動かしてイクことができない。肛門や乳首を刺激しても脳裏にアニーの言葉が過ってしまって、快楽を傍受することができない。

 

「なんか見飽きてきたよなぁ。単調だし、段々とイクまで時間が伸びて退屈で仕方がない」

 

 それはマサダの軍人達を満足させることができていないという意味を表してもいる。

 今のレンは娼婦や売女であり、見世物として男の情欲を駆り立てる卑しい女にならなければならない。そのためには何度だって絶頂もするし、何度だって自慰行為をすることを余儀なくされている。

 

 だけど男達を満足させることができなければ、その行為には丸々意味がない。レンには既に飽きられており、これでは情に訴えてアニーやエミリオを守ることができない。

 このままでは、またエミリオは薬づけにされてしまうし、レンと同等の情報しかない以上アニーが次の奉仕相手として選ばれてしまう。

 

 そうなればどうなる? きっとアニーは自分と同じように自慰行為を強要されるだろう。あるいはエミリオと同じように性行為まで発展してしまうだろう。そうなれば、またエミリオと同じ被害者を生んでしまう。

 

 それはダメだ——。それだけはダメだ——。

 アニーやエミリオを守るために、俺は————いや、レンという女はマサダに必要とされなければいけないんだ。

 

 俺だけに意識を向けてもらわないといけないんだ。

 俺だけが独り占めしないといけないんだ。

 こんな快楽は自分一人で受け止めないといけないんだ。

 誰にだって渡すわけにはいかないんだ。

 

 

 

 

 

 ——だから、アニーとエミリオの分まで受け止めなければならないんだ。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあ……♡ 俺のマンコを使ってもいいからぁ……♡ だからみんなには……♡」

 

 

 

 何度目か数えるのさえ億劫になるほど媚びついた声。元々メイド喫茶でバイトしていて抵抗感が薄らいでいたこともあり、もうレンの心境には男に媚びを売ることに対して違和感や屈辱なんて物はとうになくなっている。二人を守るためには仕方ないのだから、そんなものを抱いてる余裕さえもない。

 

 絶頂することはなくても、ここ数日間で何度も何度も弄り続け、今日も当然のようにオナニーをしていたことで既にレンの膣内は濡れて赤ん坊のようにだらしなく愛液を滴らせている。

 

 挿入の準備は既に終えている。今すぐにでもチンコが欲しくて、レンは堂々と濡れた股部をマサダの軍人——それも最初に自分を犯した男へと向けて、指で膣内を虐め続けて無意識に求愛行動を示す。

 

「……ふん、売女のくせに物好みするなんて良いご身分だなっ!!」

 

 すると男の性器が初めてレンに行動に勃起という反応を見せてくれた。それはレンの中ではたまらなく嬉しいような楽しいような、そんな享楽の波が押し寄せてくる。

 

 自分の求愛に応じてくれた。それは男がレンを欲しているという何よりの証。

 嬉しくて嬉しくてたまらない。自分が必要とされるということは、アニーやエミリオを守れるということなのだから。自分がセックスをするだけで二人を守れることができるんだ。それが嬉しくないはずがないだろう。

 

 

 

 だというのに——この内から湧いてくる背徳感は何なのだ。

 

 

 

 

「おらっ! なにいっちょ前に誘ってんだ、このビッチがッ! テメェみたいな女はこうされんのが丁度いいんだよ!!」

 

「い、いいっ♡ そこ良いっ♡ もっと奥に入れてぇ♡ メチャクチャにしてくれぇ♡」

 

 その背徳感がレンをさらに快楽の虜にしていく。挿入された途端、レンの脳内で何かが痺れて糸が解れるような感覚があった。

 瞬間、一気に身体中に感じたことのない快楽の衝撃が襲い掛かってきた。レンからすれば何て表現すればいいか全くわからない未知の快楽。一番近しいとすれば、物心がつく前に精通した時の不安、緊張、同時に解放感を感じるようなあの感覚——。それを何百倍にもしたような感覚が身体全体を襲い掛かる。

 

「あぁん! テメェ自分の立場分かってんのか!? 何勝手に一人でイッてんだ! お前は娼婦で、俺達が満足するまで相手しないといけないんだよっ!!」

 

「ご、ごめんなさぁい♡ 雑魚マンコでごめんなさぁい♡ オナホ以下の早漏マンコでごめんなさぁい♡♡♡」

 

 そうか——。これがチンポでイクってことなんだ——。それをレンは絶頂しながらも理解した。

 この身体の奥底から屈服したくて溜まらない従属感。不安、緊張とかのあらゆる物をすべて相手に委ねることで楽になりたい、気持ちよくなりたいという感覚。

 

 これが——セックスなんだ。この自分の気持ちを全部受け止めてくれるような安心感がセックスなんだ。

 

 なんて気持ちいいんだろう。身体的にも精神的にも、満ち足りていて仕方がない。いや満ち足りるどころが、溢れて止まらない。ずっとずっと快楽の衝撃がレンの脳内まで犯し尽くしてくる。

 何も考えられない。何も考えたくない。ただ一心にこの快楽を受け止めたい。他の考えなんて全部快楽を邪魔する不純物に過ぎない。

 

 

 

「おらぁ!! まず一発目だッ!!」

 

「オ゛ッ♡♡♡ オ゛オッ♡♡♡」

 

 

 

 ——だから本当の意味ではまだレンはイってない。屈してない。自分は『男』なんだ。男なんだからマンコにチンポを突っ込まれて、膣内に精液を満たされても絶頂するわけなんかない。

 

 ——これは『レン』という『卑しい女』が絶頂してるだけなんだから。

 

 

 

 そう自分にレンは何度も何度も絶頂し続けた。乳首を舐められ、唇は誰から構わず受け入れ、口と肛門と性器の同時挿入さえも受け入れて何度も交わった。

 その度に気絶もしたが、その時には胸の機械で電気ショックを与えられて覚醒して性行為を繰り返す。上も下も精液の臭いしか漂わないほどに交わい、その日の性行為が終わるのは数時間を超えた後のことだった。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「っ……んっ……♡」

 

 その日から、自分でも何かが外れることをレンは認識した。

 

 夜な夜な、アニーとエミリオが寝静まった段階で自慰行為に耽っていた。暖なんか微塵も取れないシーツを丸めて口に含むことで声を押し殺し、激しく指を中に入れるがどうしても物足りない。絶頂することができないまま十数分と指を動かし続ける。

 

 レンが頭の中で思い浮かべるのは、あの軍人の性器だけだ。雄としてあまりにも強烈で、想像するだけでも達していそうなほど強靭な長さと太さ。男として見ても羨ましくなるほどで、それを指で見立てようとしも到底不可能な話だ。

 

 故にレンの中で欲求不満が募る。指を一本から二本、そして三本と増やしても全然物足りない。両手の指を性器に当ててオナニーをしても決して求める快楽に届くことはない。

 

 

 

 何で——? 気持ちいいはずなのに、何でイケないの——?

 

 

 

 自分の中で芽生え育ちつつある女性的一面から目を背けるように、レンは一心不乱に指で自分の性器を掻き出し続ける。だが性欲で発散できず、むしろ溜まる一方だ。

 何とか絶頂したくてレンは朦朧と混濁が入り混じった脳で、牢屋に落ちていた廃材となって捨てられた蛇口サイズのパイプを男性器と見立てて挿入してみるが、それでも足りない。

 

 何せ動き方が分かってしまうのだ。機械などを使わない自慰行為という以上、どんな風に攻め立ててくるのか、どんなに意識を逸らそうとしても頭の片隅で理解してしまう。どんなに気持ちよくなっても、あの自分ではどうしようもできない押し寄せ続ける快楽の波に敵うことはない。

 それにパイプごときでは太さも長さもそうだが、何よりも『温かさ』を感じないのだ。血流が集まって熱気を纏ってさえも感じるような人肌の温かさ。それが何よりも足りなくてもどかしい思いを感じてしまう。

 

 

 

 どうしても————どうしてもチンポが欲しい。欲しく欲しくて溜まらない。

 

 ————もうチンコがない生活なんて耐えられない。

 

 

 

 そう考えた時、レンの中で一人の女性の顔が浮かび上がってきた。それは隣の牢屋で廃人のように虚ろになってるであろうエミリオに他ならない。

 彼女も薬の影響で欲求不満になって男性器の虜になっていた。レンと同じように毎日のように交尾をし続け、今のレンみたいにセックスがない生活なんて考えられないほどに犯し尽くされた。

 

 今ならレンはエミリオの気持ちが分かってしまう。

 こんなに気持ちよくて、こんなにも満ち足りた思いを手放すなんて惜しい。だからエミリオはレンに激怒したのだ。自分から極上の快楽を奪い取ってしまったから。

 

 

 

 ごめん、ごめん、エミリオ——。

 エミリオから、こんな気持ちいいことを取り上げてごめん——。

 

 ごめん、ごめん、エミリオ——。

 今はもう俺の物なんだ。俺だけの————。

 

 

 

「……っ! 違う、違うんだ……! 俺はそんな気は……っ!!」

 

 レンの中で強烈な罪悪感、不安、焦燥、それらすべてが入り混じった感情が爆ぜてきた。

 

 今——自分で何を思っていた。自分の心や理性とは裏腹に、本能が今とてつもない欲求を覚えていたことにレンは我が身ながらも恐怖を覚えてしまう。

 今すぐやめないといけない。こんな自慰行為をし続けていたら、いつか自分もエミリオと同じようにセックス狂いの廃人と化してしまいそうだ。そんな醜い姿になるなんて『男』として許せるわけがない。

 

 

 

「なのに……♡ なんで、とまらないんだよぉ……♡」

 

 

 

 それなのに止まらない。なぜかエミリオに申し訳なさを覚えた途端、指遣いは変わらないのに背中を劈く快楽は何倍にも膨れ上がって、レンの自慰行為を加速させる。

 

 止まってくれ。頼むから止まってくれ。なんで止まってくれないんだ。今の俺は軍人に媚びる『レン』という『女』じゃないはずなのに、どうして『俺』のまま絶頂したくて止まらないんだ。

 

 

 

「~~~~ッ♡♡♡」

 

 

 

 その背徳感を抱いたまま、レンは絶頂してしまった。

 今までのオナニーや、男と性交した時はまた違った感覚。今までのが血流と神経に熱気が伝わったようと絶頂したとすれば、今回のは背骨に氷柱でも刺されたかのような怖気があった。

 

 だけど、それが何とも言えない気持ち良さとなってレンの脳内を犯す。

 こんなオナニーなんか知らない。男でも味わったことないの未知の感覚に虜になってしまう。

 

「ごめん♡ ごめんね、エミリオ……♡」

 

 その日、レンは自分でもどこかが『壊れ始めてる』ことを認識した。そしてそれがとても後ろめたく、罪深いものだということも分かる。

 

 

 

 だけど——それが良い。それが溜まらなく気持ちいい——。

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

「っ……♡ ふぁ~~……♡ 今日もいっぱい出してもらってありがとうございます……♡」

 

「フェラも随分とノリノリになったもんだな。お前、こいつに盛ったのか?」

 

「するわけないだろう、こんな地味なやつに。元々そういう才能があったんだよ」

 

 後日、レンの行為はエスカレートしていった。

 いつも通りの性的奉仕を行うが、いつもよりもその嬌声は激しく男を誘うことしか考えていない『女』を超えた『雌』としての声を響かせていた。

 

 精液を水のように飲み込み、口に纏わりついた陰毛は米粒でも取るかのように指でなぞって口に含む。普段なら口にすることはない異物を取り組んだことは胃は大きく拒絶反応を示して、レンの純朴そうな顔からは想像もできないほどの中年男性のような汚らしいゲップを吐き出すと、もう男とか女とかのそういう小さい尊厳なんか知らないと言わんばかりに衣服の一部を破いて下半身を無防備に露出させた。

 

「ねぇ♡ 早くチンポを挿れてくれよぉ♡ 切なくてしかたないんだぁ♡」

 

 もう既にやり慣れてしまった求愛ダンスをレンは軍人達に見せつける。動きには迷いもなければ、淀みも無駄もなく、的確に男の情欲を煽る艶めかしいダンスを見せつけていき、思わず軍人達も股間にある自慢のソレを滾らせていく。

 

 だがそれまではどんなにレンが誘っても軍人達は挿入することはない。

 はち切れんばかりに勃起する男性器をただ自分の手で慰めて、虚空に向かって射精するばかりでレンの膣内で注がれることはなかった。

 

 

 

 なんでなの——? 俺に飽きちゃったの——?

 

 

 

 どこか、しかし確かに変貌しつつあるレンの中で不安が募った。

 

 それは果たして——。どういう『不安』なのか——。

 

 

 

「そういうわけにもいかないんだよ。実は水色のお友達から要望があってな」

 

「あにぃが……?」

 

「変わるお前を見ていて、居た堪れない気持ちになったから私に肩代わりしてほしいんだと。お前がエミリオと代わった時と同じようにな」

 

 

 

 アニーが俺の身代わりになっている——?

 

 

 

 それを聞いて、レンの中で危機感が募る。そして自分でも恐ろしいことにその危機感は『二つ』あり、問題は二つの危機感のうち、一つのほうが格段に大きかったことだった。

 

 小さいほうはアニーがエミリオみたいになってしまうということ。エミリオみたいに性によがり狂ってしまったら、そんな痛ましい姿を見ることができない。だがそんなのは表面上のお飾りに過ぎず、レンの中で肥大化している危機感のほうがレンにとって大事だった。

 

 もう一つは『自分が捨てられるんじゃないか』という危機感だ。それはアニーやエミリオを守れないという意味ではなく、自分そのものが軍人達の相手をされないんじゃないかという意味合いのほうが強い。

 

 もしもそうなったら、自分はどうやって雌の快楽を解消すればいい。

 半月近くも性に淫らに交わったせいで乳輪も乳首も健康的な赤っぽい桃色から、弄り慣らされた黒っぽい茶色になっている。女性器なんか何本も男性器を咥えたから皮でも捲れたかのように膣内まで見通せるほどに開きっぱなしだ。常に弄り続けなければ気が狂ってしまいそうなほどに愉しまれて、もう心も身体も戻れないほどに発情しきっている。

 

 そんな思いとモヤモヤを抱えたまま今後を過ごすことなんて--。

 セックスができない日々なんて--。そんな日々をレンは考えることができないほどに堕ちきってしまっていた。

 

 

 

「い、嫌だっ♡ 俺の相手をしてくれっ♡ 俺だけを見てくれよっ♡」

 

 

 

 もう恥とか男としてのプライドとかどうでもいい。自分が男だったという些細な事実なんていらない。

 そんなことをすべて捨て去ることで、女としての快楽、享楽、悦楽、すべてを与えてくれるなら喜んで差し出そう。

 

 だから頼むから『俺』自身は捨てないでくれ。俺の『男』としてすべては捨ててもいいから、俺だけは見ていてくれ。これ以上、俺から『俺』自身を奪わないでくれ。

 

 それはレンが男から女になった時から心の奥底でずっと燻っていた感情の発露でもある。

 女の子になってから毎日気が重い日が多くて仕方なかった。SIDによって自分の身が保障されたのはいいが、異質物での関連もあって監視の目はいつもあり、慣れない女子高にも通わされて気苦労のほうがいい日々だった。

 その中で色んな人達と出会って、色んな出来事があってレンは順応していった。それ自体は別に良かったが、同時にレンの中にいる『自分』を少しずつ削り落とされるような感覚があって仕方がなかった。

 

 女性の下着の付け方を覚え、女性としての振る舞いを覚え、女性としての肌や髪のケアを覚え、女性としての化粧も覚え、女性としては付き合わなきゃいけない生理の時期も覚え、それらを一つずつ覚えるたびに『男』だったという自覚がある『自分』というものが削られて行って、今本当に自分が自分なのかよく分からなくなることが多々あった。

 

 それでもレンは順応していった。順応していく自分そのものが『自分』だと刷り込ませることが今の今まで自分を守ってきた。だから軍人からの通告は順応するために変わる自分そのものが『必要ない』と言われたも同然であり、それは今までの自分の生き方を否定されることを意味していた。

 

 これ以上ないほどに変化して、それでも何とかして『自分』を保っていたのに、それさえも否定されたら自分はどうすればいい。もうSIDには戻れないほどに淫乱に変化していく自分を受け止めてくれるのがどこにいる。アニーでさえも変わってしまう自分を痛ましく思って身代わりなってくれていて、それはアニーが変わる自分を『必要ない』と遠回しに言っているに等しい。

 

 

 

「お願いしますっ♡ 俺のまんこに嵌めてください♡ 俺のことを捨てないください♡」

 

 

 

 そんな自分を受け止めてくれるなんて、もうここしかない。娼婦として性に淫らに狂うマサダの傭兵を相手にするしか自分を保つことができない。ここだけが変わり果てた自分を唯一解放できる場所になってしまったのだから。

 自分でもあまりにも醜い変化だということは理解している。だけど止めることはできない。もう戻ることを自分自身さえ望んでいないし、新豊州に戻ったところでマリルに蔑まされ、ラファエルにはゴミを見るように軽蔑するに違いない。もうここしか自分がいられる場所がないのだから、堕ちるのは仕方がないんだ。

 

 

 

 そう、仕方ないんだ——。

 

 自分が堕ちれば、マサダブルクの問題も発言に信憑性がないと有耶無耶にできる。

 自分が堕ちれば、SIDとの問題も有耶無耶になる。

 自分が堕ちれば、アニーもエミリオもこれ以上惨めな思いをすることはないはず。

 

 そこまで理由があるなら仕方ない——。堕ちても仕方ない——。

 

 

 

 

 

 そこまでの理由があるんだから、堕ちてもいいじゃないか——。

 

 

 

 

 

「もう建前とかどうでもいいから、俺に早くチンコをください♡ アニーを守るためなんだから早く入れてくれよぉ♡♡♡」

 

「ふっ……。なら、しょうがない……なっ!」

 

「オ゛ォッ!?♡ オオッ!?♡」

 

 

 

 憐れむような苦笑交じりに自分を最初に犯した軍人が、あの雄々しい男性器を挿入してくれた。

 セックス慣れした今の自分の女性器なら、男の雄々しいソレを挿れられたとしても気を失うことはない。しかしそれでも男の性器はレンの性器を自分だけの物にしようとミチミチと、そしてメリメリと、卑しい水音とレンの嬌声と共に膣内を強引に突き進んでいく。

 

 あまりにも太すぎて軍人の性器はレンの膣内で途中で止まることが多々ある。そうなる度に軍人は一呼吸を置いて、改めて腰を押し出して膣内を無理矢理にこじ開け、同時にレンの嬌声も徐々に大きく、聞きようによっては悲鳴にさえ聴こえるほどに喘ぎだす。

 

 その性行為でレンは理解した。自分自身でも理解できるほどに子宮が求めていることを。卵巣が卵子をこれでもかと分泌して、男性の精子を求めて仕方がないことを。

 一突きされれば嫌でも自分が雌だと理解させられる長くて太い性器。子宮の入り口さえ届いてこじ開ける力強さに、レンは今まで感じたこともない快楽が脳内に痺れ渡ってくる。

 

 それは男性であれば『前立腺』と呼び、女性であれば『Gスポット』と呼ばれる最も感じやすい部位を強引に刺激し続けてるからだ。しかも太すぎるせいで膣内は肛門とでも一体化でもしたのかと思うほどにギチギチに開かれ、その肉壁がさらに『Gスポット』だけでなく、肛門側に性感帯がある『裏Gスポット』や『ポルチオ』などと言ったあらゆる部位を同時に刺激して快楽を二重、三重へと刺激を増していく。

 

 今までの性交でも凄かったというのに、自慰行為でも甘美だったというのに、そんなのが全部お遊戯だと嘲笑うかのような刺激の濃密さだ。男の時にしてた男性器と呼ぶにも烏滸がましい短小のチンコでのオナニーなんて、それこそおままごとのような物であり、こんな快楽を知ってしまったら、もう戻りたいなんて気持ちさえもおかしくて笑ってしまう。

 

 

 

「はぁ~~♡♡♡ これいいっ♡♡♡ もっとついてくれっ♡♡♡」

 

「突いてくれ、じゃないだろ? 娼婦なら娼婦らしくもっと媚びろよ」

 

「ごめんなさいっ♡ わがままいってごめんなしゃい♡ あなたのせんようオナホになりますから♡ おれのはつじょうまんこをついてくださいっ♡♡♡」

 

「『俺』じゃないだろう? お前は俺の物になりたいんだろう? だったら俺好みになってくれないとなぁ」

 

 

 

 その言葉を聞いて——レンは何一つ動揺することはなかった。

 

 その程度のことを捨てるだけで

 

 そんなの——最初から思っていた。

 男の尊厳を捨てることなんて当に腹に決めている。今までエミリオをやアニーを守るためとか建前を言っていたが、この快楽を傍受できるなら『男』なんてくだらないプライドを捨てることなんて、その辺に落ちているゴミと同じようにできる。

 

 

 

「なるぅ♡ なりまぁす♡ あなたさまのオナホとして『わたし』のまんこをおつかいください♡」

 

 

 

 ああ——。心から降伏することがこんなに背徳的で幸せだったなんて知らなかった。

 誰かに自分のすべてを委ねることが、こんなにも安心できるなんて知らなかった。

 

 もう俺は——ううん、私はこの快楽を得るためだけに、この人に全てを委ねて添い遂げていいんだ。

 

 

 

「なら望みどおりにしてやるか……!」

 

「ン゛ッ♡ とどいてるぅ♡ しきゅうがあなたさまのぉ♡ ちんぽときすしてるぅ♡」

 

 

 

 本能が求めて仕方がない。身体が求めて仕方がない。精神が求めて仕方がない。欲している。男の精液を、女の快楽を。

 

 そして——。自分の身に宿るであろう『新たな命』を貪欲に。

 

 

 

「っ……! そろそろ出してやるぞ……!!」

 

「ハァ♡ おねがいしますっ♡ わたしのまんこにぃ♡ あなたのざーめんをみたしてくださぁい♡」

 

「出すぞッ!」

 

「オ゛ォッ♡♡♡ オォ゛♡♡♡」

 

 

 

 一瞬で今まで溜まっていた欲求は、絶頂によって満たしに満たされ、天にも昇るような気持ち良さがレンの脳内を侵しつくす。

 脳に快楽を受け止めきれず、身体全体で感じてしまう。子宮に満たされた濃厚な精液の味を。その精液に食いついて命を宿そうと卵巣が疼いて仕方がない。排出された卵子が精子と交わって、本当に小さな命を脈打つのをレンは本能で理解した。

 

 

 

 ああ——。完全に『女』だって理解させられちゃった——。

 

 

 

 幸せでしょうがない。子を宿すことが、快楽に満たされることがこんなにも幸せだったなんて知らなかった。

 ううん、知れてよかった。こんな気持ちいいことがあるだなんて誰も教えてくれなかった。貴方が、私に知らないことを教えてくれたんだ。

 

 

 

「……ンッ♡♡♡」

 

 

 

 レンは意識するよりも早く男に口づけを求めた。深い深い愛と欲を求める口づけを。

 男は少し時間を置くと、レンの要求に答えて口付けを交わしてくれる。深い口づけを長い時間をかけて交わしてくれた。

 

 

 

「……一回で終わらせるなんて言ってないからな。今度はアニーとかいう女の前で痴態を晒して報告してもらわないとな」

 

「わかりましたぁ……♡♡♡」

 

 

 

 …………

 ……

 

 

 

 そうしてレンは性の悦びに毎日明け暮れるようになった。

 男の趣味に合わせて胸は飛躍的に大きくした。SIDによって身体の中に入っている機械を利用し、胸周辺のリンパ腺などの諸々を刺激して急速的に大きくしたのだ。今ではマリルよりも豊満な胸となっており、妊娠もしたことで母乳も少なからず出るようになり、今では少し早く男に吸わせて絶頂するような性行為もしている。

 

「ン゛ンッ……♡ ハァ……♡♡♡ アニーの口まんこにぃ♡ せーえきぃ♡ くださぁい♡」

 

「うふふ……♡ アニーもすっかりセックスに嵌っちゃったね……♡」

 

「『レンちゃんを信じていたのに……っ!!』とか言っていたのにねぇ。女ってのは移ろいやすいもんだ」

 

「でもぉ♡ 私はこんな女と違って旦那様に一途ですよぉ♡」

 

「それぐらい分かってるって」

 

 思い返せばあの日に堕ちてアニーに報告した時、心の底から軽蔑したアニーの目は本当に背徳的で気持ち良かった。涙目を我慢しながら、威圧感を込めて強気に振る舞う彼女の姿を見て、レンは内心「強がっちゃって♡」と今までのレンなのか幻でもあったかのように嗜虐的な心でアニーのことを見つめていた。

 

 その後、アニーもセックスに気持ち良さを教えられて、今では傭兵達が使い回す精液便所だ。レン自身も時たまそうするが、レンを最初に犯してくれた男は傭兵でも階級が高いこともあって、基本はその男専用の女として交配していった。

 

 

 

「ふふっ……♡ 旦那様、今日はどうします? お尻でも、口でも、おっぱいでも私は大丈夫ですよ♡」

 

「なら口でしてもらおうか。お腹の子に触るかもしれないからな」

 

「旦那様は優しいですね……♡」

 

 

 

 そうしていく内にレンのお腹に宿った命は大きくなっていた。妊娠してから半月。一目で子を宿してるのが分かるほどにはお腹は膨らんでいた。

 

 卑しい少女は自分のお腹を撫でる。宿った命に『母』としての愛を一心に捧げながら。

 

 一つの結末は次の物語へと——。

 少女の『女』としての物語はこれからなのだ。

 

 

 

「今日もぉ♡ 私にぃ♡ 旦那様のオチンポをハメハメしてくださぁい♡」

 

 

 

 女は腹の赤子以上に愛を求め微笑む。

 自分をこんな身体にしてくださった最愛の旦那様に向けて——。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。