気を付けてお読み下さい。
赤茶色の土が広がるハゲ山にはある噂がある。
『あの山には化け物が住んでいる』と。
緑が茂る山の麓に住んでいる現代人達になぜかある噂だが、信じていない者が多く、特に問題視されていなかった。
そんな噂の事を全く知らない少女は、遊びの為に生かされる存在だった。
ある朝
東にある緑が茂る山々から太陽が覗こうとする彼は誰時。
西にあるハゲ山の丘、崖の上に立っている少女が段々と光が差し込み黄色く色付く空を見ながら呟く。
今から飛ぶよ。
と。
その少女には誰にでもあるような過去が無かった。
親や兄弟と一緒に遊ぶ。
幼稚園や保育園に行く。
友達を作り、誰かと一緒に遊んだり、勉強したりする。
小学校、中学校、高校……大学などに行く。
恋愛をする。
……そんな当たり前のような生活は全く送れていなかった。
生まれた時から外に出たことですら無かったのだった。
そんな少女が初めて自意識を持ち、記憶しているのは4歳の時からだった。
気がついた時には、体が痛かった。
誰かに叩かれ、大きな声で言われ、蹴られ、転がり、何かが口から出る。
誰かに髪を掴まれ、引っ張られ、熱いものが入ったお皿を投げられる。
誰かにお薬を塗られ、白いものを巻かれ、喋ってくれて、1日に1回だけおいしい物をくれる。
そのような毎日を繰り返す。
痛い。
なんで?
そうこぼし、今日も寝る。
気がついた時には、体のあちこちから血が付いてた。
誰かに殴られ、大声で騒がれ、蹴られ、転がり、血を吐く。
誰かに伸びた髪を掴まれ、引っ張られ、火がついた皿を投げられる。
誰かに薬を塗られ、包帯を巻かれ、言葉を教えてくれて、1日に1回だけパンをくれる。
そのような毎日を繰り返す。
痛い。
どうして?
そうこぼし、今日も眠りにつく。
気がついた時には、頭、首、胸、腹、腰、足に痣や切り傷、火傷があった。
母に殴られ、大声で罵られ、蹴りあげられ、宙に浮き、血反吐を吐く。
父に更に伸びた髪を掴まれ、引っ張りあげられて、火が付いたままの煙草が入った灰皿を投げつけられる。
兄に薬を塗られ、包帯を巻かれ、知ってるだけの勉強を教えてくれて、1日に1回だけ菓子パンをくれる。
そのような毎日を繰り返す。
痛いよ。
助けて。
そうこぼし、今晩も眠りにつく。
そんな毎日を繰り返す中、人間達が寝た後に親達は笑いながら次のやることを話し出す。
そして、夜が終わり、深夜がやって来る。
ある深夜、少女は8歳になっていた。
気がついた時には、体のあちこちが痛かった。
母に棒で殴られ、丸いものを投げられ、丸いものを蹴ってくる。
父に光るもので殴られ、蹴られ、笑ってくる。
兄に傷を痛い水で塗らされ、包帯を巻かれ、菓子パンを貰い、頭を叩かれる?
そのような毎日を繰り返す。
痛いよ。痛いよ。
助けてよ。
そうこぼし、見えない夢を見る。
気がついた時には、体から血がいっぱい出てた。
母にバットで殴られ、ボールを投げられ、蹴って当ててくる。
父に光るもので切られ、蹴り飛ばして、笑ってくる。
兄に傷を消毒され、包帯を巻かれ、菓子パンを貰い、頭を撫でられる。
そのような毎日を繰り返す。
痛いよ。
しんどいよ。
そうこぼし、真っ黒の世界に飛び込む。
気がついた時には、体は真っ赤だった。
母にバットで殴られ、野球の硬球を投げつけられ、サッカーボールを蹴って頭を狙って当ててくる。
父にカッターで切られ、切られた所を蹴りあげて、笑ってくる。
兄に傷を消毒され、包帯を巻かれ、菓子パンを貰い、頭を撫でながら泣いている。
そのような毎日を繰り返す。
泣いているの?
痛いの?
そうこぼし、暗い世界を行ったり来たりする。
そんな毎日を繰り返す中、人間達が寝た後に親達は笑いながら次のやることを話し出す。
そして、深夜が終わり、真夜中がやってくる。
ある真夜中、少女は12歳になっていた。
気がついた時には、体が腫れていた。
母に寝かされ、重いボールをお腹に落とされ、バットで腰を打たれ、笑ってくる。
父に何かを言われ、捕まえられ、服を脱がされ、気持ち悪い事をされる。
兄に体を洗われ、お腹を触わられ、泣きながら謝られる。
そのような毎日を繰り返す。
どうして?
お兄ちゃん?
そうこぼし、今晩も勝手に寝かされる。
気がついた時には、お腹がもっと腫れていた。
母に寝かされ、重い玉をお腹に落とされ、バットでお尻を打たれ、笑われる。
父に脅され、逃げても捕まえられ、服を脱がされ、お尻の辺りを気持ち悪くする。
兄に体を洗われ、お腹を擦られ、泣きながら謝られる。
そのような毎日を繰り返す。
お腹が動くの、どうして?
お兄ちゃん、泣かないで?
そうこぼし、今晩もまた勝手に寝かされる。
気がついた時には、お腹は小さくなっていた。
母に寝かされ、ボーリングの玉を落とされ、血の塊?をつまみ上げて、笑ってくる。
父に脅され、服を脱がされ、縛られ、股間が白くなる。
兄に体を洗われ、両手で抱かれ、号泣しながら謝られる。
そのような毎日を繰り返す。
お腹が小さくなっちゃった。
どうして?怖いよ。
そうこぼし、今晩も失神する。
そんな毎日が繰り返す中、人間の1人が化け物達と争い、食い殺される。そして、骨を緑が茂る山に捨て、笑いながら次にやることを話し出す。
そして、真夜中が終わり、未明がやってくる。
気がついた時には、兄がいなかった。
尋ねると、
母は知らない。
父も知らない。
どうしてか、分からないが、嫌だった。
後は、痛い。
後も、痛い。
その後は、痛いけど無い。
嫌なまま、闇に誘われる。
気がついた時には、まだ兄がいなかった。
尋ねると、
母は知らない。
父も知らない。
何故だか、分からないが、寂しかった。
後は、嫌。
後も、嫌。
その後は、嫌だけど何も無い?
寂しいまま、更に闇に誘われる。
気がついた時には、兄は帰ってこなかった。
尋ねると、
母は、死んだ。
父も、死んだ。
何故だか、分からないが、苦しかった。
後は、苦しい。
後も、苦しい。
その後も、苦しい、何も無い。
苦しいまま、闇に飲まれる。
そんな毎日が繰り返す中、1人になった人間はついに闇に飲まれる。
闇はその者を起こす。
飲み、食べ、笑う化け物達の後ろで、ひっそりと立つ闇の者。
闇は銀のナイフを与え、その者に使命を与える。
そして、化け物達が顔を赤らめ、いびきをかいて寝たのを見た、闇の者は使命を執行し、己を赤く染めあげる。
訳が分からないまま。
そして、未明は終わり、明け方がやってくる。
赤く染まった闇の者、隙間から差し込む光を見て、覗き込む。
眩しすぎる。
痛い。
体が痛い。
全身の傷、傷痕が痛くなる。頭がガンガン痛む。
でも、暖かい。
寒かった。
冷たかった。
でも、暖かかった。
兄がいた時だけが、暖かかった。
兄がいなくなって、寒かったのが、もっと冷たくなった。
……もっと暖めて、お兄ちゃん。
そうこぼし、重たい古びた扉を出せる力いっぱい出して、こじ開ける。
扉がゆっくりと開いた途端、初めて全身が暖かくなった。
目の前には赤茶色の床が広がっていた。
上を向くと、お空が黒だったり、紫だったり、赤かったり、黄色かった。
床はパラパラだった。粉だった。
でも、周りは、茶色の太い棒か細い棒ばかり。
暖かい……眩しい所、もっと暖かい所に行く。
黄色の空が近づく。
もう、歩けない。床が無い。下を見ると、黒かった。何かがあるがよく見えない。……先が尖っている?
でも、向こうを見ると、緑色がいっぱい。眩しいものが出てきそうな向こうには緑の何かがいっぱい。
……ねえ、お兄ちゃん。
暖かいね。
赤く染まった少女は、初めて泣き出す。気が付いてから初めて泣き出す。
嗚咽が出る。
目から熱い水が止まらない。
悲しくなんて……無いのに……ううん、分からない。悲しい……?寂しいよ……。苦しかったよ……。お兄ちゃん。……これが、涙なの?教えてよ……。
……そうだ、お兄ちゃん、どこ?
少女は泣きながら、崖際で兄を探す。
しかし、見つからない。
……ねえ、あの緑がいっぱいの所ならいるの?
それとも黄色いお空?
それぞれに指を差しながら空気に問う。
太陽が緑の茂る山から出ようとしている。
オレンジ色に染まった少女は黄色に染まった空を見つめる。
そして、呟く。
……ねえ、私もそっちに行くね。
お兄ちゃん。
……今から飛ぶよ。
そう言って、黄色に染まった少女は赤茶色の崖から飛んだ。
続きか別バージョンを書く気力やら何やらがあったら書くかもです。
今回のは不意に思い付いた事を書いてみただけですので、何か反応があったら動きます。