悪いホムンクルスとは思えなくて。
ハッピーエンドです。
これは人間としての弱さなのかと改めて実感したのは行為の後だった。
股間から絞り出された白濁の液で股間を濡らしたまま、うっとりと笑いかける妖艶な美女の笑顔にマルコーは呆れてしまった。
相手にではない、自分にだ。
「ドクター、素敵よ」
「お世辞か、一体、どういうつもりだ」
数日前、賢者の石を使って彼女を蘇らせた、気まぐれというよりも贖罪といってもよかった。
全てのホムンクルスが人に対して悪意や憎悪を抱いている訳ではないと知ったからだ。
ロイ・マスタングに殺されたという事を知った後、可哀想にと思ってしまう自分にマルコーは驚いた。
エンヴィーは明らかに人間を嫌悪、憎んでいた、だが、彼女はどうだろう、他のホムンクルスとは、どこか違うと思ってしまったのだ。
「どうして、生き返らせてくれたの、ドクター」
「実験だ、試してみたいこともあったからね」
そんな自分の答えを聞いて彼女は笑った、そして。
「お礼がしたいわ」
ベッドに潜りこんできたのだ、そんなつもりはない、ホムンクルス相手にと思ったが、体は反応してしまった。
自分の体に馬乗りになる、重みと白い滑らかな手の愛撫に股間は大きく膨らんだ。
本気で抵抗すれば拒絶することはできたはずだ、なのに、肉欲に負けてしまった、いや、溺れてしまったといってもいいだろう。
駄目だ、こんな事はと思いながらも、始まった生活。
「いつまで、ここにいるつもりだね」
「あら、邪魔なの、ここにいては」
一ヶ月、半年、自分のそばから離れない彼女の真意かわからない。
ベッドの中で自分の仲で擦り寄せてくる柔らかな体に欲望を感じ、覚えながらも手を出す事はしなかった。
誘ってくる彼女に負けてしまうことはあってもだ、心の中で言い訳をしながら過ごす夜は、いつまで続くのか。
だが、終わりは来る。
まったく、医者の不摂生よと呆れたようにラストは呟く、その笑顔にマルコーは内心ほっとした、ずっと自分のそばにいた彼女の顔をもう見ることはないと思うと嬉しくてほっとする、だが、反面。
「ねえっ、ドクター、寂しい」
「何を、馬鹿なことを」
自分の言葉に不満を覚えたのかもしれない、だから人間って、小さな呟きにマルコーは思わず笑いをもらした。
これがエンヴィー、あの少年なら悪態を、呪うような言葉を吐いただろう、だが、彼女には。
「最後に、いいかしら」
どうして、そんなことを、だが、返事もする気力もない、もうすぐ、医師が来るだろう、自分の体は実験に使ってくれて構わないと言ってある、心残りはない。
マルコーは目を閉じた。
自分の体を誰かが揺すっている、おい、眠らせてくれ、自分は死んだんだ、だが、目が覚めてしまった。
「ああ、やっと目が覚めたのね」
呆れた声には聞き覚えがあった、頭をそちらに向けると彼女がいた。
「ラスト、おまえさん、どうして」
すると彼女はわずかに肩を竦めて笑った。
「ほら、行きましょう、いつまで、ここにいるつもり」
「ここは、いや、死んだんだ、私は」
「ああ、それね、無しだから」
「どういうことだ」
あなたを生き返らせたの、賢者の石で、そう言われてマルコーは、あっという顔になった。
「手持ちの賢者の石は全部使い果たしたわ、だから、責任をとって欲しいの」
ぐいっと胸の谷間を見せつけるように近寄る彼女にマルコーは驚いた。
ホムンクルスの証である証、それがなかった。
立ち上がった自分の腕に白い腕が絡んでくる、幾度も重ねた夜と肌の柔らかさを思い出そうとした、だが。
耳元で囁かれてどきりとした。
「人間の体でセックスって、どんな感じなのかしら、これからは誘うのは、ねっ」
「なっっ、何を」
「ドクターって見かけとは反対ね、夜は」
マルコーは首を振った。
「駄目だ、他の男を捜したらどうだ、若い相手を、人間になったんだ、私は」
ところが即答された、駄目と、元の本質や思考、性格というものは根本的には変わらないのだと。
「人間という生き物が好きではないんだって、あたし、つくづく思ったわ」
だったら自分と何故、あんなことを、そして今、賢者の石で生き返らせるようなことをしたんだ。
そんな疑問が顔にでたのかもしれない。
立ち止まり、顔を寄せてくると頬に柔らかな唇が触れたが、次の瞬間、唇へと。
「これが生身のキスなのね」
ほんの少し乱れた息づかいと声に、彼女は興奮しているのかと錯覚さえしてしまう。
どういうつもりなんだと聞くと、笑いを返されるだけで言葉がない。
それがもどかしくさえあった。
「私の年を考えろ、どうせ、数年だ」
突き放すことができない自分の弱さを改めて実感してしまうが、ラストは不思議そうな顔でマルコーの顔をのぞきこんだ。
「容姿は無理だったけど、賢者の石を使ったのよ」
人間でしょう、不老不死、永遠の命なんて必要、あたしは欲しいとは思わないのと言われてマルコーは自分もだと心の中で呟いた。
石を使って人間になった彼女、そして生き返った自分。
自分を生き返らせたことら対する文句を言えばいいのか、それとも感謝すればいいのか、わからない。
そんな迷いを気づいているのかそうでないのか、笑いながら腕に力を込めてくる彼女が何かを囁くが、答える事はしなかった。
互いに口にはしない言葉の意味を知るのは、まだ先のことだった。
ハッピーエンドです。
エロの練習の為に突発的に書きました。