Dのいない世界で ~幼馴染の美少女を寝取り犯して復讐する話~ 作:月見ハク
原作:ドラえもん
タグ:R-18 中出し NTR レイプ ハーレム 幼馴染 恋愛 正常位 対面座位 ノスタルジー 処女喪失 親友
設定はハードですが、悲壮感のない、爽やかな語り口のお話です(多分)。
※内輪ネタ(?)頻出注意
テーブルの上に、食べかけのショートケーキ。
ソファーに座る俺は、おあずけを食らっている状態だ。
手を伸ばそうにも、股ぐらでフェラチオをしている女が邪魔で、身動きが取れない。
「んぶっ…じゅぶぶ、じゅぼ、ほひははん、ひもひい?」
「いや何言ってっか分かんねーよ」
「ぷぁっ、もう……気持ちいい? って聞いたの」
「いや全然。早くケーキ食いたい」
「……もう、相変わらず甘いもの好きよね」
黒髪ショートカットの美少女が、ケーキを皿ごと持って、俺の膝に乗っかってきた。
「なんじゃい」
「はい、ア~ン」
「いや、自分で食わせろよ」
少女の手からフォークを引ったくり、ケーキを口に運ぶ。
うん、美味い。
ケーキはこの少女の手作りだ。
高校にも行かず、甘党な俺のためにケーキ屋でバイトしている。
本人は和菓子職人になりたかったらしいが、俺が大の和菓子嫌いと知るや、あっさり夢を諦めやがった。
「ねぇ、ケーキ食べたら……しよ?」
少女が、たわわな胸を寄せてきた。
すでに臨戦体勢で、上半身を脱いでいる。桃色の乳首は、確かに美味しそうだ。
ガキの頃はぽっちゃりだったくせに、中学からダイエットして、気づけば小柄美少女だ。
痩せたのに、逆に乳は肥えやがった。
「いや、俺ブスに興味ないから」
「もぅっ、昔と違うよ! バイト先でもいっぱい告られるくらいには可愛くなったもん!」
「それ、すぐヤレると思われてるだけだろ」
「違うもん。初めての相手は、決めてるし……」
少女が俺の口に付いたクリームを舐め取る。
「ね、しよ。中に……出してもいいよ?」
「だから、俺、お前とはそういうことしないって言ってんじゃん」
「散々しゃぶらせといてよく言うよ! もしかして、ブス専?」
「もしそうならお前に惚れてるよ」
「ひどい~!」
ふと、視界に影がかかった。
振り返ると、大柄な男がソファーの後ろに仁王立ちしていた。
「仲が良さそうじゃねぇか……ぶべっ」
男の顔に、ケーキが衝突した。
「もう、お兄ちゃん! 勝手に入ってこないでよっ!」
男は顔にくっついたクリームとスポンジをゆっくり拭うと、ため息をついた。
「いやここ俺ん家で、ここ俺の部屋……」
「もう、お兄ちゃん最低! えっち!」
少女は怒りながら、部屋を出ていってしまった。
男はまたも大きなため息を付きながら、俺の対面のソファーに座った。
こいつは俺の幼馴染で通称「デブ」。ブスの兄貴だ。
高校を卒業してひとり暮らしをしていて、根無し草の俺はちょくちょく寝床にさせてもらっている。
「で、デブ、なんか用か?」
「あのなぁ……住まわしてタダメシ食わせてやってんのに、その呼び方は――」
「あ?」
「……いや、すまん」
昔は喧嘩負け知らずだったデブも、今となっては俺に頭が上がらない。
「で? こっち絡みなんだろ?」
そう言って、俺は手で注射器のジェスチャーをする。
「ああ、俺らのシマでDを捌いてたヤツラ、そのアタマの居場所が分かった」
「今日、襲撃するか?」
「お前さえよければ」
「俺はいつでも準備万端だよ」
デブはこう見えて、この辺りのガラの悪い連中を束ねている、まあボスみたいな存在だ。
おかげで半グレやヤクザも、このへんでアコギな商売はできない。
ただ、たまーに、こうしてドラッグ――通称「D」を撒いたりする輩が現れたりする。
そういうとき、俺の出番だ。
「場所は丘マンションだ」
「そうか。じゃ、早速いくか」
「あ、あー……俺の、妹とはその……もういいのか?」
「ああ、ブスとはヤんねえから」
「お前、人の妹をブスとか……あんなぁ、妹はお前に振り向いてもらおうと、一生懸命努力して綺麗になったんだぞ」
「分かってるよ」
「じゃあ少しくらい気持ちに応えてやったって……」
「悪いな。それは無理なんだ」
まったく。
こんな俺のどこがいいんだか。
どんなに冷たくしても、一途に気持ちをぶつけてくる。
普通だったら、有り難いシチュエーションなんだろうな。
俺は首につけたペンダントに触れる。
出動するときの、いつもの願掛けだ。
「さ、ぶっ潰しに行くか」
---
丘マンションは、近所の山を丸々コンクリート漬けにした、階段状のマンションだ。
この辺りのセレブが集まる、いけ好かない場所。
とはいえ最近は入居者の高齢化だの空室増加だの、いろいろ問題含みらしいが。
入口に近づく。当然のようにオートロックだ。
「んじゃ、登りますか」
「え、登るって、壁をか?」
デブが素っ頓狂な声を上げる。
「お前はデブな上に馬鹿か。ほら、あそこの斜面を登るんだよ」
コンクリートに埋もれていない、ほんの少し自然が残っている場所を指差す。
「いやでもよお、服が汚れちまうよ」
「だからてめーはデブなんだよ。ガキの頃はよく泥だらけで山登っただろ」
俺は斜面をよじ登り、木々の中を進む。
木の匂いが懐かしい。
階段状のマンションを横目に斜面を登る。
しばらく歩くと、お目当ての部屋が見えてきた。
「ここだな。よっと!」
俺は助走を付けて、部屋のベランダに突っ込んだ。
勢いで、窓ガラスにぶつかる。
「いってぇ」
すると部屋の中から、男たちの声がした。
なんだなんだと騒いでいる。
窓の鍵は……お、ラッキー、開いてる。
ガラガラと中に入ると、すでにエモノを持って構えている輩たちがいた。
「こんちわ~」
気軽に声をかける。
「てめぇ一人か!?」
「ああ、一人でできない喧嘩はするなってね」
そう言って笑いかけると、男達が襲いかかってきた。
しばらくして、デブがベランダをよじ登ってくる。
まったく。ほんと情けないヤツ。
部屋に入ってきたデブは、目を見開いた。
「おま……これ、一人で?」
「ああ」
部屋の中で、まともに口をきけるのは俺だけ。
他はほとんどが床に転がっている。
まあ、俺も体中傷だらけで、こうやって座っているのがやっとだ。
「相変わらず、お前は狂ってるよな……」
別に、俺は喧嘩が強いわけじゃない。
ただ、どんなに殴られても、蹴られても、勝つまで諦めないだけだ。
少しして、足に力が入るようになってきた。
部屋の隅では、デブが、主犯格を詰めている。
「――だから、俺も、人から言われて捌いてただけなんだって!」
「じゃあそいつの名前を言えやゴラァッ!」
まったく、威勢だけはいいデブだ。
でも多分、この感じは口を割らないな。
バラしたら殺される……そんな顔をしている。
「くそ、くそが……!」
主犯格の男が、懐に手を入れた。
俺は
「
男の手から銃を奪い、上着の内ポケットに仕舞った。
デブは、腰を抜かしていた。
---
俺たちは、マンションのエントランスから外に出た。
「おいデブ、そんなにガッカリすんなよ。もう奴ら、この町じゃ生きていけねえよ」
「でもよぉ、一番の悪党のしっぽすら掴めなかったんだぜ」
悪党か……。
俺たちも、人によっては悪党に見えるんじゃないか?
なんて言ったら、自分を「正義の味方」だと思っているデブは余計落ち込むだろうな。
デブの背中をポンポンと叩きながら歩いていると、後ろのほうで自動ドアが開く音がした。
ドアから出てきた人影を見て、俺は咄嗟にデブを引っ張り、マンション外の茂みに隠れた。
「お、おい、どうしたんだよ?」
「し、静かにしてろ」
エントランスから出てきたのは、一組の男女だ。
男のほうが、女の頬に手を添えている。
「おい、あれって……」
「ああ」
女は、俺らと昔なじみの美少女だ。
いや、「天使」と言ってもいいくらいのスーパー美少女だ。
男のほうも見知った顔。付き合いは薄かったが、昔遊んだこともある「優等生」。
優等生は、どうやらキスをしようとしているらしい。
天使は、それをやんわり拒んでいるように見える。
痺れをきらしたらしい優等生が、天使の肩を掴み――強引にキスをした。
「お、おい、その手、大丈夫か?」
デブが声をかけてくる。
俺は拳を握りしめ、そこから血が
---
デブをお家に帰した俺は、天使の後をつけていた。
頃合いを見て、声をかける。
「おーい」
パッと天使が振り向く。
俺の声に瞬時に反応したという感じだ。
「ああ、びっくりした……久しぶり」
「久しぶり。偶然だね」
「高校……ぶりかしら?」
天使はニコリと微笑んだ。
俺たちは別々の中学に進み、高校も離れ離れで、大学は――俺は行ってないし彼女がどこ大なのかも知らない。
高校の頃、小学校の同窓会で会って以来だ。
その時もびっくりするくらい可愛かったが……。
「なんか、すっげぇ綺麗になったな」
「もう、そんな冗談やめてよ」
そうやって恥ずかしがる仕草は、ガキの頃と変わってない。
俺はなんだか胸のあたりがぽかぽかして、泣きたくなった。
「ちょっとその手、どうしたの!?」
言うやいなや、天使が俺の手を包んで広げた。
「それにその顔、っていうか、体中傷だらけじゃない! ちょっとそこ座って。簡単な救急セットしかないけど」
公園のベンチに座らされ、天使の治療を受ける。
薬局に売ってるような消毒液を塗られ、絆創膏をペタペタと貼られた。
「あーうん、ゴメン。ちょっと転んじゃって」
「相変わらず、おっちょこちょいなんだから」
「ゴメン……」
顔中が絆創膏だらけになった頃に、天使が聞いてきた。
「まだこの町に、住んでるの?」
「ああ」
「どこ? 教えて」
「ゴメン、俺、根無し草なんだ」
「え、住む所ないの!?」
「あ~……なんか引っ越す度に泥棒に入られちゃってさ」
「もう、またそんな冗談言って!」
何となく気まずくなり、俺は話題を変えた。
「ところで、いつもそんな治療道具持ち歩いてんの?」
「ああ……これね。子どもの頃、誰かさんがいっつも転んだりケガするから、持ち歩くの癖になっちゃったの」
天使が、イタズラっ子のような表情を向けてくる。
俺は恥ずかしくなり、真っ赤になって俯いてしまった。
そこからは、ポツポツと近況報告をしたり、聞いたりして、彼女の家まで歩く。
子どもの頃と同じ家が、昔と変わらずそこにあった。
よくこの門の前まで、遊びに誘いに来たっけな。
「ねぇ、また会えるかしら?」
「うん、近々会えると思うよ」
「そう……良かった。もう、いなくなったりしないでね」
そんな顔されると、俺もいたたまれない。
うん、話題を変えよう。
「ところでさ、さっき、見ちゃったんだけど。あの優等生くんと付き合ってんの?」
「え、見てたの!? ……ど、どこから?」
「あー……」
しまったと思った。
すいぶん気まずい話題を振ってしまった。
「ぶっちゅ~ってしてるとこ」
「もうっ、あれはあの人が勝手に!」
「いつから付き合ってんの?」
「付き合ってない! 何回か誘われたけど、断ったわ」
「なんで?」
俺の頭にクエスチョンマークが浮かんでいたのだろう。
天使はムッとして、「もう知らない!」と言って、家に入っていった。
――と思ったら、出てきた。
ドアからヒョコッと顔だけ出して、こちらの様子を伺っている。
「……連絡先、教えてくれる?」
「ああ、もちろん」
俺は久しぶりに、本当に久しぶりに、心から笑った。
胸元のペンダントを握り、覚悟を決める。
この天使を、犯す。
---
高層マンションの最上階。
小学校の教室の何倍もありそうなリビングで、俺は優雅にソファーに腰掛けていた。
デブの家とは世界が違う。
テーブルの上に、何十枚という紙資料が置かれた。
「これで全部か?」
俺がそう言うと、対面に座る男――通称「ボンボン」がビクッと肩を震わせた。
「う、うん……探偵と興信所に依頼しまくったから、これが全部だよ」
「そうか」
資料には、天使と優等生の隠し撮り写真、プロフィールや互いの通話記録、LINEのやり取りなんかもあった。
天使は、高校を卒業した後、偏差値が低くも高くもない大学に入り、女子アナを目指してスクールに通っているらしい。芸能事務所に所属して、少ないながらもテレビの仕事もしていると。
子どもの頃は、看護師とか保育士になりたがっていたのにな。
「ね、ねぇ……」
優等生のほうは、ふむふむ……親父が警察官僚だったのか。高校卒業後はトップクラスの大学に通い、若くしてベンチャー企業も立ち上げていると。絵に書いたような優等生だな。
そんで、可愛い女子アナと結婚してってか?
ずいぶん出来すぎな話だ。
「ねぇってば!」
「んだよボンボン?」
「僕の声、聞こえてるでしょ!」
「……依頼料なら出せねえぞ」
「そんなのいらないよ。君、文無しでしょ?」
「チッ、すねかじり野郎が」
「そんな呼び方しないでよ、協力してあげてるでしょっ」
相変わらずキーキーうるさいヤツだ。
でもこいつもガキの頃からの付き合いだ。信頼できるヤツではある。デブと同じくらいには。
親が金持ちだから、俺の財布として使ってやっている。
まあ、事あるごとにタカっているとも言えるが。
「……もう一つ、協力して欲しいことがある」
「え、嫌だよ」
「殺すぞボンボン」
「ひっ」
やばい。つい威嚇してしまった。
人に物を頼む態度じゃないよな。
父と母が生きてたら……あの
「あーすまん。ボンボンさ、カラオケ店の経営任されてたよな?」
「ああ、あの空き地に建てたやつね。最近全然うまくいってないんだよね~。やっぱあの立地じゃダメなのかなぁ」
相変わらず聞いてないことまでベラベラうるさいヤツだ。
「そこ、一日貸し切りにできないか?」
「え、いいけど。何に使うの?」
「天使を犯す」
「ひっ」
元々色白のボンボンの顔が、サッと青ざめた。
---
休日の昼下がり。
俺は、天使の家のインターホンを押した。
「はーい」
家の中から、鈴を転がすような声がした。
ドアが開いて出てきた天使は、よそ行きの格好に身を包んでいた。
化粧をして、アクセサリーを付けた彼女は、控えめに言って、そこらのアイドルを凌駕する可憐さだった。
「どう……かな?」
恥じらいながら聞いてくる様子が、可愛すぎた。
「あー……今日は時間通りに出てきたね。てっきりお風呂にでも入ってるかと思ったよ」
「もう、いつの話よ!」
子どもの頃は、よくお母さんが出てきて「まだお風呂なのよ」と謝られたっけ。
俺たちは、近所の見慣れた道を歩いた。
「それにしても、カラオケに誘われるとは思ってなかったわ」
「俺たち、中学高校も、カラオケだけは行かなかったもんな」
「そうね、彼には悪いことしちゃったかな」
「いや、それはあのデブの自業自得だろ。ありゃ騒音なんてもんじゃねえよ。
昔話に花が咲く。
俺たちがガキの頃によく遊んだ空き地に、カラオケ店はあった。
店に入り、無人の受付を素通りする。
「あれ、店員さんは?」
「今日、貸し切りなんだ」
「え、どうして?」
「ちょっとしたサプライズがあってさ」
一番奥の、一番広い部屋に入る。
真正面に100インチの大型ディスプレイが設置されていて、その手前にハンディカメラがつながっている。
「ねぇ、これ何?」
さすがに彼女も、何か不穏なものを感じたのだろう。
「まあ、座って。飲み物何にする?」
「じゃあ、ホットミルクで……」
俺は内線で飲み物を頼む。
しばらくソファーに2人で座る。お互い無言だ。
少しして帽子を目深に被ったボンボンが、飲み物を持ってきた。
「さ、飲もう、乾杯!」
「あ、うん」
天使は、緊張しているのか、ごくごくとミルクを喉に流し込んだ。
「あのさ、ちょっと大事な話があって」
「な、何かしら」
「まあダメもとなんだけどさ、俺に抱かれてくれないかな」
「は……? 何の、冗談?」
「いや、ゴメン。冗談じゃ、ないんだ」
俺は、戸惑う天使に顔を近づける。
「や……ちょ、待って、待って! そんな突然……」
「ゴメン、もう時間がないんだよ」
「どういう、こと? ん、ちょ……」
彼女が手を突き出して、俺の接近を阻もうとする。
それを、優しく掴み、どかしていく。
「早くしないと、君はあの優等生野郎に、ヤられちゃう……かもしれない」
「何それ、私、断ったって……あ、いや、んむっ」
どんどん力が弱くなっていく天使を抱きしめ、形のいい唇に唇を重ねる。
「んむっ、んっ……あ、いや、んちゅっ、んんっ……」
彼女の吐息から、ほんのりウイスキーの香りがした。
資料にあった通り、彼女はお酒にとびきり弱い。
今も、無理やりベロチューされているというのに、ほとんど抵抗できないでいる。
優等生のネットの購入履歴には、見覚えのあるお酒の銘柄があった。Dと組み合わせると、危険なデートドラッグになる酒だ。
多分、優等生こそが、デブの言う一番の悪党に違いない。
「んむ……ぷぁ、ちょ、どう……して? あっ、いやんっ!」
天使の胸に手を伸ばし、優しくおっぱいを揉む。
ガキの頃、何度かお風呂を覗いてしまったことがある。
その記憶にあるよりも、はるかに豊かなふくらみが、手に伝わってくる。
「やだっ、えっち! あんっやめ、やめてってばぁ!」
問答無用で上着を剥がし、その下のシャツを脱がし、ピンク色のブラジャーも外す。
彼女が「いやぁ」とか「きゃあ」とか悲鳴を上げたので、キスで黙らせる。
その隙に、スカートに手をかけ、これも脱がす。最後にブラジャーと同じ色のパンティーを下ろすと、淫靡な逆三角形が現れた。
「うっ……ひどい、なんでこんなことするの……」
すっかり裸ポンポンにされ、涙を流す天使を見つめる。
ずっと、好きだった。
ガキの頃から、ずっと。
この子を手に入れるためなら、運命にだって抗うと、俺は
「好きだ。昔からずっと、好きだった」
「なによ……だからって、こんな酷いことするの?」
「それは、ゴメンよ」
「あなたのこと、見損なった」
「いいよ。でも他の男にくれてやるつもりは、ねーから」
「え……きゃっ、あ、あんっ」
俺は彼女に覆いかぶさると、乳房に吸い付いた。
力無く邪魔をしてくる細い腕を、優しく払いのける。
天使のおっぱいは柔らかく、なんだか落ち着く匂いがした。彼女の匂いだ。
口を限界まで広げて、そのふくらみをしゃぶる。
その中心でコリコリに固くなった乳首を舐めた。
「やあ、んっ……やめてぇ……!」
乳首を舌で転がしながら、大きさや硬さを確かめる。
今日の石鹸かボディソープか、少しフルーティーな味がした。
「あんっ…ちょ、すわないでぇ……ああんっ、もおぉっ」
「なぁ、ここ、すっげぇ濡れてる。もしかして、期待してた?」
「ああんっばか、えっち! ちがう……ちがうもん!」
チュプリと、濡れた秘所に指を浸すと、天使は罵倒と嬌声を上げ始めた。
「ばかぁ、あん、やぁっ……ばか、ばかぁ……」
「幻滅した?」
「も……きらい、だいっきらいっ……こんなこと、しなくたって、わたし……」
「ゴメン、挿れるよ」
いそいそとジーパンを脱ぎ、トランクスも脱ぎ捨てていた下半身を、ゆっくり埋めていく。
「ひゃ、ああんっ……やぁっ、やめ……」
ニュププッ……ニュプ……ズプッ……ズプン。
彼女の顔色を見ながら、時間を掛けて挿入する。
ゆうに一曲歌い終える位の時間を使って、奥まで突き入れた。
「うっ……ふ、う……く、ふぅ……ふ、んっ……」
処女を貫かれた痛みか、肉棒に侵入された異物感か、その両方か、彼女は苦しそうにうめいていた。
「ヤバい、
「あ……んっ、や、うごか、ないでぇ……」
「感じてる顔、むっちゃ可愛い。真っ赤になって耐えてる表情、むっちゃそそる。このままグチャグチャにしちゃいたい」
「うう……そんな、ジロジロ見ないで……恥ずかしい……あっ、ああんっ!」
彼女の
「きつい?」
「ん……だいじょうぶ……」
「じゃあ、もうちょい動くね」
ズッ……チュ、ズッチュ……ズッチュ……ズッチュ……。
ゆっくり腰をくねらせ、天使の膣をかき混ぜる。
肉棒で探るように、彼女の気持ちのいい場所を探す。
初めてでいきなり気持ちよく……なんて期待していない。ただ、なるべく、痛くないように。できるだけ、辛くないように。
「あっ……んっ、あんっ、あ、んんっ……」
次第に、彼女の声に嬌声が混じってきた気がする。
ゆっくり動いて、少し休ませる。
またゆっくり動いて、今度は少し早く、長く。
また止まって、休ませる。
休んでる間は、唇や頬、胸やその先端にキスをする。
そんな繰り返しが、どのくらい続いただろうか。
「あんっ、あ……やん、あっ、んんっ……あんっ、あんあんあんっ」
いつしか彼女は、快感を口に出していた。
「大好きだ。とても……」
「あん、あっ、わたしも、よ」
「へ?」
今、私もって言ったか?
俺の耳、ネズミに噛じられでもしたか?
「もうっ、なんで鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるのよ」
「いやだってよ……言っちゃなんだけど、俺今、君にヒドいことしてるワケで」
「まあ、ね。サイテーよ」
「あ、うん」
「でも、わたし知ってるから。あなたが本当は、いつも誰かの幸せを願ってるような人だって」
そいつは買いかぶりすぎだ。
もしかしたら、ガキの頃はそうだったかもしれない。
でも、
「馬鹿じゃねえの。俺は、そんなヤツじゃねーよ」
「うそ。私たち、何年の付き合いだと思ってるの? あなたのことは、よく知ってる」
「やめろよ。俺は、自分のことしか考えてない」
「うそ。今だって、私のこと、すごく優しく抱いてるじゃない」
あーあ。
煽ったのそっちだからな。
「君のせいだから」
「え?」
ズッチュ……パアンッ、ズチュ、ズチュ、ズチュ、ズチュ……。
「あっ、そんな、はげしく……ああんっ、やぁ、んんっ、だめっ、あんんっ!」
ズチュッ、ズチュッ、ズチュッ、ズチュッ。
自分が気持ちよくなるためだけに、腰を振る。
この
この娘の全部を犯したい。
「中に、出すから」
「え、や、ため、そとにっ」
「無理、出すよ」
「だめっ、だめっ、赤ちゃん、できちゃう、あ、あんっ」
「ああ、孕むまで、出すから」
「え、んんっ、そんなっ」
「結婚しよう」
その言葉を発した瞬間、俺の射精感がスパークした。
肛門の奥で渦巻いていた大量の精子が、濁流のように尿道を通り過ぎ、先端から爆発するように発射された。
ドビュルルルルッ、ドビュルルンッ、ドビュルルル、ドビュルル……!
「あっああんっ、なか、でて……る、あんっ、あ、あああっ――――!」
俺が押し寄せる快感に痙攣していると、彼女も全身をピンと張り詰め、ビクビクと震えた。
多分、一緒に絶頂した。
「ね、いっかい、抜いて……?」
「どうして?」
「体中、ベトベトで。シャワー浴びたいの」
「いや、ここシャワーないから」
相変わらず、風呂好きだな。
「そうなのね……」
「それに、言ったでしょ。孕むまで出すって」
「え?」
「今抜いたら、精子が漏れちゃうじゃん」
俺は、呆気に取られる彼女を抱きしめる。
そのまま、ぐいっと持ち上げて、対面座位の体勢で向かい合った。
彼女の可愛い顔越しに、大型ディスプレイを見る。
さて、始めるか。
テーブルの上のリモコンに手を伸ばし、スイッチを押す。
するとプルルルルルと着信音が、部屋に響く。
「え、これ、何?」
「言っただろ、サプライズがあるって」
やがて、「はい」という無愛想な声とともに、ディスプレイに優等生の顔が映し出された。
「よお優等生、久しぶり!」
俺がディスプレイに呼びかけると、優等生と、俺に引っ付いている天使から同時に「は?」という声が上がった。
画面の中の優等生の顔が、歪む。
「お前、生きてたのか。なんだそこは……いや待て、その背中のホクロ、お、お前、彼女に何をしている!?」
こいつ、背中のホクロで誰か分かるって、執着度はんぱねーな。
「ね、ねぇ、どういうこと? どうしてあの人が……」
天使が混乱してんじゃねーか。怖がらすなや、悪党が。
「ゴメンね。あのテーブルのカメラで、こっちの様子が分かるようにしてあるんだ。だから絶対振り向いちゃダメだよ」
「ちょ、何よそれ!」
「それはそうとさ、最近優等生からなんかプレゼント貰った?」
「え、うん……猫ちゃんのぬいぐるみ。部屋に飾ってあるけど」
やっぱりか。
中にカメラでも仕込んでんだろうな。ストーカーめ。
「おい、無視するな! そこはどこなんだ! 彼女から離れろっ!」
豹変した優等生、こえーな。というか、こっちが素か。
「おい優等生、悪いがこの娘は、俺がここで孕ませるから。そこでシコって見てろ」
「なんだとっ! おい、やめろっ――」
俺は、優等生の絶叫をBGMに、対面座位のまま腰を動かし始めた。
「やんっ、あっ、ちょっと! あの人が、みてる……んあぁっ、んんっ、やぁんっ!」
ズッチョズッチョと、彼女を跳ねさせる。
たまに白い安産型のお尻の割れ目を開き、結合部がカメラによく見えるようにする。
「お前、てめぇ、このカスゴミがぁ! いつもいつも、俺の未来の、邪魔をしやがってぇえええ!」
優等生が、唾を飛ばしてブチ切れている。
こっちはいいが、そっちは多分、自室だよな?
部屋で発狂してる息子。家族が心配するんじゃないか?
「また膣に出すからね。しっかり受け止めて」
「ああんっ、そんな、あっ、ああんっやぁんっ、んくぅっ!」
ズチョッ、ズチョッ、ズチョッ、ズチョッ。
彼女が浮いて、落ちて、その瞬間に肌と肉と液が混ざり合って、そんな音がして。
それを集音マイクが拾って。
優等生が髪を掻きむしっている。
「やめろ……やめてくれ……これじゃ、何のために、苦労して未来を変えたのかっ……全部、彼女を手に入れる未来を作るためだっていうのに……」
「やっぱてめぇか。どうして俺の家まで消した?」
「僕は、そこまで頼んでない……
「え、無理」
ズチョ、ズチョ、ズチョ、ズチョ、ズチョ。
「ああんっあん、あんあんあんっ、あんあんあんっ!」
こんな最高の膣に肉棒をしごかれて、最高の嬌声を耳元で聞かされて、やめるとか、無理だろ。
「頼む……僕と、彼女の未来を、奪わないでくれ……」
「最初に奪ったの、てめーだろ」
ズチョ、ズブンッ、ズブンッ、ズブンッ、ズブンッ!
彼女が落ちてくるタイミングで、思いきり腰を突き上げた。
反動でぶるんと、彼女の乳房が上下に揺れる。
「ひぁっ、ひゃあんっ、ああんっ! やだあぁ、きちゃうっ、ああ、ああんっ、ああああっ――――――!」
「ああ、出るっ! 孕め! うああああ!!」
ドビュルルルルルッ、ドビュルルルルッ、ドビュルルルルッ、ドビュルルッ、ドビュルルッ――!
頭が真っ白になる。
何も聞こえない、何も見えない。
ただ体中が快感に満たされて、震えが止まらない。
恍惚から、抜け出せない。
「ハァ……ハァ……けっこん、結婚しよう、結婚」
いつのまにか、口から呪文のように発せられていた。
俺の肩におでこを埋め、プルプルと震えている天使は、小さく、コクリと頷いた。
「僕は、何を見せられているんだ?」
画面から、全てを諦めたような声が響いてきた。
「あ、すまん、忘れてたわ」
「殺す」
「どうやって?」
「僕に、未来と連絡を取る手段が無いとでも?」
ガタガタガタと、テーブルが揺れ出した。
いや、部屋全体が揺れている。
あの時と一緒だ。
多分、何分後かの優等生が
『我々は時空刑事警察機構です。建物は完全に包囲されました。速やかに外に出てください』
どうやら、今度は大人数で来たらしい。
さて、じゃあ出頭しますか。
「あのさ、俺ちょっと行ってくるから。ここで待っててくれる?」
「え、何この声、何が起きてるの?」
「すぐ戻ってくるから、心配しないで」
俺は彼女を持ち上げ、肉棒を引き抜いた。
ヌプッと、膣口から子種たちが漏れ出てしまう。
が、仕方ない。
「くふふ……」
画面から気持ち悪い笑い声が聞こえてくる。
「僕の邪魔をするからだ。君もあのお友達と同じように、消えるがいいさ…ふふふふ、くっふふふ『ちょっとヒデトシさん!? さっきから誰と話してるの!?』……あ、かあさ――」
あ、切りやがった。
一人でククク笑いとか、黒歴史確定じゃね。
ガチャ、と音がして、ボンボンが部屋に入ってきた。
手にはおしぼりを20本くらい抱えている。
意外に気が効くヤツなんだよな。
「ゴメン、これで体でも拭いて待っててね」
「わかった待ってるわ」
うん、さすがの風呂好き。汚れを落とすことが何より優先される娘なのだ。
俺はボンボンと一緒に部屋を出た。
---
廊下を歩きながら、ボンボンが話しかけてきた。
「なあ、
「シッ、それ以上言うな。お前の記憶が残ってることは、
でも、なぜかこのボンボンは、その対象から漏れたらしい。
昔からボンボンは、ラッキーだったりアンラッキーだったりする。
「わ、わかった、言わないよっ」
「ああ、お前まで消されちまうかもしれないからな」
「ひっ」
---
カラオケ店の外に出ると、一斉にライトが当てられた。眩しくて何も見えない。
あの時もそうだった。
庭で草むしりをしていた時、突然まばゆい光に襲われて、
一瞬にして、家が消えた。
窓から飛び降りてきた親友は、俺にこのペンダントを託して、
拳から血が滴り落ちる。
俺の視線は、真正面にいるシルエットに固定されていた。
忘れもしない、
「やぁやぁ、こんな所にいたとはね。ずっと探していたんだよ」
「あ、こんにちわークソ野郎さん」
俺もにっこりと笑いかけた。
「失礼だねぇ。僕は時空刑事警察機構の特別捜査隊隊長という、立派な肩書きがあるんだよ。ぜめて隊長さんと呼んでくれ」
「隊長さん、今日は一人じゃないんだな」
光の中に、大勢の人影が見える。
時空警察とかいうのの隊員たちなのだろう。忙しなく動き回っている。
「これは
ここにもククク笑いをする奴がいたよ。
「何のことですかね?」
「しらばっくれるな、この歴史改ざん者が! いいか、お前には歴史の改ざん容疑と、指定違法薬物所持の容疑が掛けられている。まず『存在抹消』刑は逃れられないだろう!」
まるで他の隊員たちに聞かせるように、大声で張り上げている。
「あん? 歴史改ざんって何のことですかね?」
「くっふふ、しらを切ってもダメだよ。君たちは重大な歴史改ざんを犯した。君たちは未来の機器を不法使用して、本来結婚するはずじゃない娘と結ばれようとしたんだ。これが、未来にどのような影響を与えたか、分かるかい? どれだけの人の存在を、未来を奪ったか!」
長ゼリフ、乙。
そんじゃそろそろこっちのターンだ。頼んだぞ、ボンボン。
「あー分かりました分かりました。それで被害を受けた一人が、隊長さんってワケですね? あなたのお爺さんが、本来、あの娘と結ばれるはずだったと。それで、うちの家族や親友もろとも殺したと」
「あ、ああそうだ。私情がないと言えば嘘になるが、罪の重さは存在抹消刑に相当する。法は犯していない!」
「ふーん、そうですか」
「ど、どっちにしろ、お前はまたもあの娘と結ばれようとした、いや、今回はもう犯してしまったそうだね! これは重大な歴史改ざんだ!」
俺は、ペンダントを握りしめた。
力を貸してくれよ。
「うーん……俺が歴史改ざん者って言うんなら、隊長さんもじゃないですかね?」
「何を言っている? 僕が、だと?」
「ああ。だってお前、本当は地元の交番勤務のおまわりさんのはずじゃん」
「は? 何を言って――」
「だいたい本来、優等生は好きでもない女とお見合い結婚して、何人かガキ作って、奥さんに浮気されて、寂しい晩年を送るんだぜ?」
「デタラメを言うな!」
「お前自身は前の歴史の記憶は無いのかも知れないけど、ちゃんと知ってんだろ? おおかた優等生に聞きでもしてさ」
「そんな、証拠もなく適当なことを言うな!」
よし、なんか推理ドラマの証拠突きつけパートみたいな流れに持ってこれた。
あとはボンボンが手はず通りにやってくれれば、カッコいい感じになる。
俺は、さっと手を上げた。
「……」
逆光でよく見えないが、隊長さんやら、他の隊員たちの視線が集中しているのを感じる。
まったく、ボンボンはいつも、ここぞという時に
「おーいボンボン! あれ、あの優等生の声録音したやつ、流して~!」
ピー……ガガ……。
『あースピーカーテスト中、テスト中、どうぞー』
ボンボンのキーキー声がこだまする。
『オホン、じゃー流しまーす』
再び、ガガ……とスピーカーの雑音が響く。
『ザー……やめろ……やめてくれ……これじゃ、何のために、苦労して未来を変えたのかっ……全部、彼女を手に入れる未来を作るためだっていうのに……』
さっき録れたてほやほやの、優等生の独白が流れた。
「ほら、隊員さん達、聞きましたよね? 優等生――こいつの爺ちゃん、未来を変えた、未来を作るためってゲロってますぜ!」
「くっふふ……何を流すかと思えば……こんなもん、何の証拠にもならないさ! 曖昧な言葉で、第一、本人の意思かも分からない、脅されて言った可能性だってあるからなっ!」
まあ、そうだろうな。
でも、確実に、隊員さん達の中に、隊長さんへの不信感が生まれたはず……だといいな。
すると、逆光の中から、一人の男の影が出てきた。
「少なくとも、私は一考の価値はあると思いますがね」
「副隊長は黙っていてください」
隊長に、副隊長と言われたそのオッサンは、どうやら話の分かる人っぽいぞ。
俺はその人に向けて話しかけた。
「あのー優等生を事情聴取なりすれば、多分ゲロるんじゃないですかね? ほら、未来の機器とか使えばポロッと」
「ふむ……わりと職権ギリギリの捜査だが、まあイケるだろうな」
お、これはイケる、イケるっぽいぞ!
「くそ、くそが……!」
あ、隊長さんが懐に手を入れたぞ。
あれは、忘れもしない。俺の全てを奪った「存在抹消」銃だ。
「ここで消えろ!」
隊長さんが構えた刹那――俺は目にも留まらぬ速さで上着の内ポケットに手を差し入れ、あの主犯格から奪った拳銃を取り出し、くるっと回しながら安全装置を解除して、隊長さんの手元目がけて撃った。
圧倒的射撃テク。
パンッ――。
乾いた音が響く。
隊長さんが「うぐっ」と
俺の撃った弾は見事に、存在抹消銃だけをはじき飛ばした。
「正当防衛ですよね?」
俺は即座に銃を投げ捨て、副隊長さんに訴えた。
「あ、ああ……いやすまない、ふむ」
副隊長さんはあまりの展開に、動揺しているようだ。
「あー隊長殿、ちょっと話を聞かせてもらえるかね。良ければ君の
「くそ……くそ……」
あーダメだこりゃ。
さすが血の繋がった祖父と孫。往生際が悪そうなところもそっくりだ。こりゃ、捜査難航しそうだな。
仕方ない。
「あ、隊長さん、副隊長さん、ちょっといいですか? こんなんあるんですけど」
俺は胸元からペンダントを取り出した。
親友が俺に、最期に託してくれた、未来のツールだ。
すると、隊長さんが目の色を変えて、叫びだした。
「そうだ、おい副隊長! あれだ、あれが指定違法薬物だ! 早く確保を!」
「ふむ。確か、影響圏にある人間の深層意識に作用して、認知を歪ませるという薬物……だったかな?」
「そうだ! 発した言葉が全て『嘘』になるっていう危険な代物なんだ。あれを飲まれたら――」
俺は、彼らの視線がこちらに戻る前に、ペンダントの蓋をキュッと開けた。
「そう、俺がこれを飲むじゃん?」
ゴクリと、ひと思いに飲み込む。
まったく、俺が引っ越す度に家探ししやがって。隊長さんめ。
その隊長さんは、俺が喉を鳴らしたのを見て、顔を真っ青にした。
この薬は万能ではない。
まず、影響範囲は人間の認識に限られる。
例えば「雨が降らない」と言ったとして、本当に雨が降るわけじゃない。
その言葉を聞いた人が、雨が降ってきたと
「お、おい、隊長殿、彼は飲んでしまったぞ」
「くそがっ、おい、早く確保だ! 量からして、効果があるのは1回程度だ」
正解。
親友から託されたこの薬の効果があるのは、一言だけ。
でも、それで十分。
「隊長さんは、本当のことを言わないと、末永く幸せになる!」
「なっ――!」
隊長さん、目を見開いて固まってしまった。
これで、隊長さんは嘘を言ったり、黙秘したりすると、末永く不幸になる――と思ったはずだ。
---
隊員たちに連れて行かれる隊長さんを見送る。
副隊長さんが近づいてきた。
なんとなく、小学校の頃の担任の先生に似ている。
この人は、信用できそうだ。
「どうも、ありがとうございました。それで、俺は捕まりますか?」
どっちにしろ、俺が昔、親友と一緒に歴史改ざんに奔走したのは事実だ。
「まあ、本来は何らかの罪に問われるんだがね。今回は……不問に付すことになるかな」
「は? 無罪放免ってことですか?」
「ああ、隊長殿がいろいろやらかしてしまったからなぁ。警察機構として、身内の恥があまり表沙汰になるのは宜しくないんだ」
話が見えてきた。
つまり、隊長さんの歴史改ざんを隠蔽する代わりに、俺の歴史改ざんにも目をつぶってくれるって寸法か。
まあ、世の中綺麗事ばっかじゃ行かないよな。
もうここは、正義や真実がまかり通った子どもの世界じゃないんだ。
「そうですか。じゃあ、まあ、お言葉に甘えて」
「あと、隊長殿の歴史改ざんが起こらなかった世界線、つまり君の家族や親友がいた過去に戻すことはできないんだ。すまないね」
「……それは、もう諦めていますから。大丈夫ですよ」
「そうか……」
まあ、ちょっとは期待したんだけどな。
あーしんどいなー。
でも、副隊長さんが本当に申し訳なさそうな顔をしているから、よしとするか。
「そういえば、副隊長さんはよく俺を信じてくれましたね?」
「ん? ああ。だって君、ずっと怒りを殺して笑っていただろう? 必死に激情を抑えて……そんな若者、信じてやらにゃあ、大人の名がすたるってもんさ」
そう言って副隊長さんは、俺の握り込んだ拳を開いてくれた。
やっぱ、先生に似てるわこの人。
「よく、我慢したね」
肩をポンポンと叩かれる。
「いや、そんなんで泣きませんよ、俺」
子どもの頃に一生分泣いたわ。
「はは、そうかそうか! いいぞ青年!」
「……ていうか、それだけじゃないでしょ? 俺の話に乗ったの」
「なんと、バレていたか!」
「まあ、不自然ですからね。いくら俺の話に信憑性があったとしても」
「ああ、私も隊長殿にはちょっと思うところがあってね。本来は私が隊長に着任するはずだったんだが、いきなり彼が、コネでね」
なるほどな。
それで、隊長さんが「本当は地元の交番勤務のおまわりさんだった」という、俺の話に食いついたってワケか。
「組織って、たいへんですねぇ」
「それなんだがね。こればっかりは、私も誤魔化しきれないんだよなぁ」
副隊長さんは、俺の空になったペンダントを指さした。
「あ、これ、中身ぶどうジュースですよ。本物はとうに失くしてしまったんで」
「え、そうなのかい? じゃあ隊長殿に言ったのは」
「ブラフです」
「ははっ、こりゃオジサン一本取られたなぁ!」
手を頭にポンと乗せる副隊長さん。リアクション古いな。この人、本当に未来人か?
「親友と、約束したんすよ。もう、頼らないって」
「そうか」
俺は、ペンダントを副隊長さんに渡した。
一応、成分分析をするのだという。
さて、ここいらでお開きモードかな。
隊員さんたちも撤収準備始めてるし。
準備が終わると、ここいら一帯の
ふと見ると、副隊長さんが申し訳なさそうな顔をしている。
「すまないが、ここであった記憶……だけじゃなく、今までの全ての記憶を消させてもらうことになるんだが……」
「ですよねぇ~」
「あと、今この時点までが歴史改ざんの対象範囲だからね。つまり、君があの娘と性交渉をしたという事実も消えることになる」
「え、あの子作りセックスは!?」
「無効になる」
天使が処女に戻ってしまうのか。
まあ、また奪えばいいか。
今度は、ちゃんと、ゆっくり、まともに。
「そうですか~。残念ですけど、仕方ないっすね」
「じゃあ、消すよ」
「あ、ちょっち待ってください。おーいボンボーン、喉乾いた~!」
すると、タッタとボンボンが走り寄ってきた。
「もう、人使い荒いよっ!」
「ごめんごめん。副隊長さんも飲みます? コーヒーブラック」
「いや、私は遠慮しておくよ」
「そうっすか」
俺は、コップのコーヒーをぐびっと飲み干した。
うん、苦い。
大人の味だ。
「じゃあ、記憶を消すよ。この棒の先がピカッと光ったら、君は全てを忘れる。いいね?」
「ええ、
閃光が走り、副隊長さんたちは帰っていった。
止まった時が、動き出した。
---
あれから、3年が経つ。
俺は、住宅街の一角にある、不自然に四角い公園に立っていた。
あの日まで、俺たちの家があった場所。
面影があるのは、ちょこちょこ生えてる雑草くらいだ。
「……ありがとな、親友」
俺は、何もかも覚えている。
親友の忘れ形見を失くすわけないよな。
ボンボンに言って、コーヒーに混ぜてもらっていたのだ。
「じゃあ、帰るよ。家に」
俺は、天使と同棲中の家へと急ぐ。
結局、まだ結婚には踏み切っていない。
でも、それでいい。
確定した未来だろうが、俺たちの意思で、俺たちのペースで、歩いていけばいい。
家の前に、見慣れた黒髪ショートカット美少女が立っていた。
サンタのコスプレをしている。
「あ、メリークリスマース!」
「おい、ブス、何しに来たんだよ」
「相変わらずひど―いっ!」
すると、路地の陰から大柄な男が現れた。
「おい、人の妹をいつまでブス呼ばわりするんだよ」
「うっせーよデブ。ボンボンは一緒じゃないのかよ」
「ああ、もうすぐ来るってよ」
まったく。騒がしい奴らだ。
天使も、朝からルンルンでパーティーの準備に精を出している。
今ごろ、家の中は大層な飾り付けに彩られているだろう。
ずいっと、ブスが腕に絡みついてきた。
「ねぇねぇ、あたしね、今日のために腕によりをかけて新作のケーキ作ってきたんだよ!」
するとデブが食いついてきた。
「お、兄ちゃん楽しみだなぁ!」
「お兄ちゃんの分はないよ。少しは痩せたら? そんなんだからデブ呼ばわりなんだよ?」
「うぐっ……そんな……」
愛する妹の辛辣な言葉は、さぞや効いただろう。
「あ、そうだブス」
俺は、ブスを腕から引き離す。
「俺、実は和菓子のほうが好きなんだ。特にふくらんだカステラっぽいやつな」
「ええっ!?」
「そんなワケだから、俺、もうお前のケーキいらないわ」
「ええ……じゃあ、あたし和菓子職人になる!」
おいおい……。
どこまで俺とブスをくっつけようとして来るんだ、未来よ。
「なぁ……ブスはさぁ、なんでそんなに俺のこと、好きでいてくれるんだ?」
「え~? だって、そばについててあげないと、危なくて見てられないんだもん」
ブスは、事もなげに言った。
そこには、彼女の確かな意思が宿っていた。
「……イ子」
「ん? 今あたしの名前呼んだ!?」
「いや、言ってないけど、ブス」
「ちぇ~、まあいいや。ねぇ早く入ろ? 天使ちゃん待ってるよ」
「ああ、そうだな」
家に入っていくブスの後ろ姿を見送る。
未来にとらわれていたのは、どうやら俺のほうだったらしい。
――きみはじつにばかだな。
不意に、親友の言葉を思い出す。
まったくもって。
俺は、ばかだよ。
そうだろ? 親友。