夕日でオレンジ色に染まった廃ビル群。ここは日本の、イレブンの新宿ゲットー。
ブリタニアという超大国に支配され、名誉ブリタニア人となれず、なることを拒否した人たちが押し込められていた。
窓はひび割れ、柱は鉄骨がむき出し、壁にはゼロの行いを称える落書きと行政特区日本のポスターへの罵詈雑言が並ぶ。
そんなどこにでもあるゲットーの一角。
ふらり、ふらりと足取りはおぼつかないまま、より静かなところへ、より遠くへと進んでいく。
彼の視界に写るのはコンクリートの欠片、血痕、ゴミ。
前を向くことを辞め、逃げ出した彼の視界に映るのはそれぐらいだった。
「…っ!」
どこへ進もうとしているの自分でもわからないままの彼は、自身の足にすらつんのめる。
それでも、壁に体をぶつけはしたがでなんとか倒れずにすんだ。
地面だけを向いていた目線をあげて、窓ガラスに写るその顔は、
(…まるで死人のようだな……。)
今はもうそんな自分を嘲る元気すらもない。
(結局、俺のやって来たことは無駄だった。)
そう考える度に、締め付けられた心が悲鳴をあげる。
ゼロになって黒の騎士団を作り上げたのも、すべてはナナリーのためだった。
そのナナリーは総督となり、彼女の身の安全は保証されたのだ。
いや、そもそも、ユフィを殺していなければナナリーの身の安全はもっと早くに保証され、自分も一緒にいられたのではないかと。
ナナリーとの思い出は彼にとって幸せそのものだった。
だけど、今の彼には優しい記憶も、辛い経験も、全てが彼を追い詰める凶器に成り果てた。
今の時代、そんなものは、ここでは決して珍しいものではない。
イレブンはブリタニア人ではないというだけで劣っているものとして酷使され、夢も希望も抱くことは難しく。
だから、せめて、幸せだった頃の夢を見ていたいと、リフレインと呼ばれる薬物を求めるのだ。それがどんなに中毒性が酷くとも、依存性が酷くとも。
お前の行いは無駄だったと彼を嘲笑うかのように、オレンジ色の日の光が僅かにしか差し込んで来ないような路地裏にすら、ナナリーの、彼の妹の総督就任を祝うポスターが張り出されている。
口元にまで胃酸が込み上げてくる。朝からなにも食べていないのに、いつまでも吐き気はなくならない。
行く宛もなく彼はゲットーをさ迷い続けていた。
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過去を求め、ゲットーを砂のつまった袋を背負っているかのような足取りで歩き続けた。
結局、彼は新宿第五区画に着いたのだ、ゼロの始まりの地へと。
その手には路地裏の売人の懐から奪い去ったリフレインを握って。
彼だってわかっているのだ過ぎ去った時は決して戻らない。
なら、ナナリーといたころの幸せを取り戻すにはもうそうするしかないと、彼はそれを求めたのだ。
彼ももう疲れはててしまい、近場にあった鉄骨へと座り込んだ。
残った僅かな力を使い注射器を握り、それを自分に打とうとしたところで。
「グッ!」
紫色の髪が視界を横切った。
注射器を握る手を捕まれ、捻り、リフレインが手から溢れ落ちた。
「なにをしているの、ルルーシュ。」
彼の腕を掴むのは細い指だ。女性らしい細い指だ。
「答えろ。」
返事のない彼にたいして、声に怒気が混じり始めてきた。
彼の腕を締め付けるのは傷だらけの指だ。一年以上闘い続けて傷だらけになった指だ。
「こっちを見ろ!ルルーシュ!!」
ぐっ、とうめき声を発すると共に、後頭部に熱と痛み、ぶちぶちと千切れる音、そして視界に彼女の顔が広がる。
彼女が後ろ髪を力任せに引っ張り、その顔を引き上げたのだ。
彼はその顔はよく知っていた。
「……マーヤか。」
ルルーシュの共犯者であり、数少ないゼロの正体を知っている存在でもあった。
「なにをしているの、ルルーシュ。」
その顔には怒りと失望の混ざり、それでも彼を真っ直ぐに見ていた。
彼はただその視線から逃れるように顔を反らす。
「もうナナリーに俺は必要ない。黒の騎士団もだ。」
冷たい夜風が頬を撫でた。今日の湿気った風は一層冷たい。
ナナリーが彼にとってどれ程大切なのかは彼女もよく知っている。
……だけど。
……それでも。
ブリタニアを壊すために。
「だから、どうした。」
彼女はその一言切り伏せる。
「私と契約しただろう。ブリタニアを壊すと。優しい世界を作るのだと。」
その顔を掴み真っ正面に向かせる。
「契約を果たせ。私たちの契約を。」
ぎりっ、と今にも死にそうだった彼の雰囲気がかわった。
どれ程時間が経とうと、どれ程世界が変わろうと、ナナリーは彼にとって全てといってもいいほど大切な存在なのだ。
ほかの黒の騎士団のメンバーが言うのならまだしも、それを知っている彼女が、ナナリーをよく知る彼女がそう言い放ったのが気にくわなかった。
だからこそ、
「……そうか…契約か。それならお前も契約を果たせ。」
彼女も急に立ち上がり近づいてきた彼には驚いているらしい。
彼女の身長では、目の前に来たルルーシュを見上げる形になった。
その顎を彼はクイッと上げ、
「俺を慰めろ。………お前も女ならやり方を知ってるだろう。」
そう言い放った。
無気力でなにもかもがどうでもよくなった彼にとって彼女にも嫌われて距離を、一人にしてほしい、そう思う。
それだけじゃない、傷つけてやりたいと思ったのだ。
ナナリーのことを知りながら、どうでもいいと言いはなった彼女を。ナナリーは目も見えず歩けないのに、それを当たり前のものとして持っている彼女が。
(まるっきり子供の癇癪だな。)
ぷっくりとしたその唇を奪おうと彼女に顔を近づける。こちらを覗きこんでくるぱっちりとした垂れ目、紫色の瞳。長いまつげ。
視界が揺れ、臀部に痛みが走った。
突き飛ばされ、また鉄骨に臀部を強打したのだと理解するまで時間を必要とはしなかった。
「……ふんっ、そうか。嫌なら、さっさと何処へでも……っ!!」
行け、という言葉が彼の口から出てくることはなかった。
唇に感じる柔らかい感触があった。そして、口内に入ってくる熱。鼻孔をくすぐる匂い。さきほどよりも近い彼女の顔。後頭部に回された手。ひざの上の柔らかい感触。背中に回された手。互いの体温。
思考が固まる。
頭がゆでるような感覚。酸欠で。
「んっ……むぅ……ん」
聞きなれた声の聞きなれない声。
「おっ、お前!なにをしている!」
ガチャリと様々な装備品をつけた制服が地面に落ち、砂ぼこりが起きる。
制服を脱ぎ下着姿になった彼女がそこにいた。
鍛えているからこその彼女のプロポーションは出るところが出ていて引っ込むところが引っ込んでいる、リヴァルが彼に見せてきた雑誌に出ていてるような人たちよりもだ。
黒いスポーツブラに隠された彼女の双丘。下に穿いている黒いパンツ。今は、それだけが彼女の肌を隠している。
白い肌だ。絹のように白い肌。所々にある傷跡。普段は衣服に隠されているところも晒されている。
ここまで走ってきたからだろう。つうっと流れる汗が額からこめかみを通り顎の先から胸の谷間まで落ちていく。
シャーリーほどの大きさはないけれど、それでも服を着ているときよりも大きく見える乳房から目を離せない。
ズボンの中で限界まで大きくなったそれがさらに大きくなろうとするせいでズボンがきつく、痛みすらも感じる。
見れるのは自分だけだという劣情の混ざった支配欲の高まりを彼は感じていた。
「何って、ルルーシュ。するんでしょ。」
鉄骨に再び腰かけた彼の両足の上へ腰かけてくる。
「いや、まて、違う、あれは言葉の…っ!!」
ズボンの上からつぅ、と指が撫でる。それだけで彼の腰は引けてしまう。
「なにもしなくていいから。」
ジジジジッ、とスボンのチャックが下ろされ、息子がぼろんと飛び出してくる。
自分自身ですら見たことがないほどに巨大化しており、真上を向いてギンギンにたっていた。
はっ、と息をのむ声がする。
ブリタニアを壊すためなら体を捧げることに躊躇いなどない。
だけど、彼女にとっても始めてみるそれは、写真で見るよりずっと大きくグロテスクな外見をしていた。
だが、すぐに気を取り戻したのは彼女の優秀さが故だろう。彼のそれを受け入れるために下着をずらし、ピンク色をした割れ目が外気に晒された。
細い指で掴み天上を指す彼のものを入れようとするが…
「……っ!あれ、なんで…んんっ!入らっ……」
どうすれば良いのかは本でも読んだり聞いたりして勉強はしていただけど、初めてではやはり上手くいかない。
ぬるんぬるんと入り口に入れようとする度に擦れ、その度に耐えがたい快感が襲ってくる。
「……んっ!!」
何度目かの快楽の波を耐えた先、苦痛を堪えるような声。なにかを破ったような感覚とぬるりとした粘液、竿を強くしめつけられる感覚。
視界が白く弾けた。
白と赤の混ざった結合部から溢れる体液。
それが鉄骨の上に少しの跡を残した。
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互いに乱れた衣服を整えて、鉄骨の上に腰かけた。
空を見上げればもうすでに白み始めている。
「それで気はすんだ?」
となりに腰かける彼へと声をかけた。
「…その…すまない。」
横目に見た彼の顔はナナリーに怒られた時よりもずっと申し訳なさそうな顔をしていた。
「気にしないで、これも契約だから。それより船に戻ろう。」
(それに、こうすれば必死に生きようとしていた彼女たちに近づくことが出来たような気がするから。)
あの日失った彼女たちのために。
彼の前に立ち、手を伸ばす。