雨が降る日も、二人なら。苦しい日々も、二人なら。
二人でいれば、どうにでもなる。だって、大好きだから。
そんな関係が、続きますように。
ずっとずっと、続きますように。
窓の外は荒天続き、雨音が絶え間無く続いている。部屋の中は空調のお陰で快適だけど、やっぱり雨の日は気が滅入るもの。まして梅雨時というのは、どことなく身体が湿気っていくような気さえしていた。
外に行く気も起きない休日の遅い朝、私はぼんやりとベッドに転がっている。インターハイ前ではあるけれど、オーバーワークを防ぐため日曜は全休。特にすることもないままお休みを借り物の部屋で過ごすことに、以前は抵抗があったものだ。
今は、そうでもないけど。
ごろりと寝返りを一つ打って、横を向いて。健やかな寝息をたてている大喜くんを、そっと抱き締めてみる。
こうやって過ごすのは、悪くない。私たちは、これでいい。
「――そ、……っか。うん、そうなのかー……」
私はきっと、この先ずっと忘れない。大喜くんの真剣な眼差しを、無器用に言葉を選んだ声を。
ただ涙が溢れて止まらず、視界はみるみるうちに歪んでいく。
大喜くんは、私に言った。好きだと、言ってくれた。それは何処かで望んでいて、でも決して有り得ない筈の言葉だった。大喜くんには蝶野さんがいて、だから私を好きになったりはしない。ただ優しいだけなんだ、優しいから私を気遣ってくれているんだ。
そう――確信していたのに。
私は何処まで愚かだったんだろう、どれだけ大喜くんを傷付けてきたんだろう。もっと早く、気付かなければならなかった。蝶野さんとの仲を応援しようとさえ思っていた、それがどれだけ大喜くんにとって辛いかも分からず。
好きな相手に別の人を薦められるなんて、途方もない苦痛ではないか。
そして何より愚かなのは、自分自身の気持ちに蓋をし続けてきた事。大喜くんが私なんかを相手にするわけがない、と勝手に思い込んで一方的に身を引こうとしていた。どこまでも私は愚かすぎる、見下げ果てた先輩だ。
でもまだ、――間に合う。大喜くんの思いに応え、自分の気持ちも伝える。それは今すぐにでも出来る、シンプルな事だ。
「あり、がとう。私も、大喜くんが、好き」
涙で声がつまってしまう、それでも無理矢理喉を拡げて。どうにか言い終える、その刹那。私は大喜くんに抱き締められていた。その顔は、やっぱり涙で濡れている。
格好悪いな、と何処かで小さく思いながら。私たちは泣きながら、縋るように抱き合ってしばらく固まっていたのだ。
思いを伝えあって、数時間ほど。私はベッドの上で、悶々としていた。
今までも、気にしたことはある。猪股家へ来たばかりの頃は、特にそうだった。すぐ隣に男子がいる、というのが少しだけ怖かった。だから僅かに警戒して、隣の気配を伺っていたっけ。
でも今夜は、そうじゃない。私たちは、お互いを好きだから。そうなのだと、知ってしまったから。
もしかしたら、もしかするかもしれない。もし大喜くんが、もしくは私が
あんまり生々しい事は考えたくないけど、でも想像してしまう。大喜くんに――抱かれる、愛される。そんな私を。
一応知識はあるし、興味だって無くはない。無くはないけど、……無いけどちょっと怖いな。
そんな事を考えながら、ふと耳を澄ませたその時。
「――、……」
壁の向こうから、何かが漏れ聞こえてきた。
それは何処か熱を孕んだ、まるで――吐息のような。
ベッドから下りてそっと壁に身を寄せると、それは僅かに透明感を増して耳へと入ってくる。初めて聞くけれど、それがなんなのかは分かる。私は知っている、こういう
大喜くんが、オナニーをしている。きっと、私を思い浮かべて。男の子がどうするのかは、ぼんやりとしか知らないけど。でも、なんとかその姿を思い浮かべてみる。大喜くんの、恥ずかしい姿を。
「……あっ」
そんな良からぬ想像が私の身体にも火を付け始め、熱が沸き上がり出す。胸がチクチクとし、お腹の奥が疼き出していく。
借り物の部屋を汚すのも忍びないし、もし聞かれたりしたら大変だから普段はここでオナニーをしない、出来ない。するとしても他所でする、可能な限り。でも、今は。
「ん、……っ」
左手は胸をまさぐり、乳首を摘まんで扱き立てる。前はこれをやると痛みと痒みの中間のような、ザワザワとした感じがしたけれど、今はただ気持ちいい。もしこれが、大喜くんの手だったら。
――なんて事を考えたせいか、足の間に向かった右手が想像以上に大きく湿った音を立てた。
こんなに派手に濡れたことなんて、今までにないのに。想像だけでこれなんて、本当に大喜くんが愛してくれたらどうなってしまうんだろう。
……ここに、入るんだよね。男の子の、――
入り口を擦りあげていた指先を、そっと中へ入れてみる。口の中に似ている気はするけれど、ずっと密着感が強い。あまり深く入れるのは怖いから、精々人差し指の第一関節までだけど。
掻き回すように指を抽挿しながら、それでも耳が隣室の音を拾い様子を伺うのを忘れない。
大喜くんの息遣いは加速し、濡れた摩擦音が混じっていく。
きっと、もうすぐ。もうすぐ大喜くん
「――、ぁあ……っ!!」
ずにゅりと根本まで入ってしまった人差し指を、千切れそうな程に締め上げながら。私の身体はビクビクと痙攣していく。
声だけでも抑えようと口を固く閉じるのが精一杯で、他はもう手に負えない。溢れた愛液が床を汚していくのも、止めようがない。
長い長い絶頂の余韻が去ってようやく身体が自由になるまで、私はぼんにゃりと隣の部屋から聞こえる音に浸っていた。
「――おはよう、大喜くん」
「あ、おはよう、ございま……す」
いつもと同じ時間、こうして洗面所で顔を合わせる。雨の日も風の日も、それが私たちの日常だから。
とはいえ、だ。
気まずい。物凄い、気まずい。
今こうして目の前にいる相手をその、……オカズにしてしまったというのが気まずい。あと昨日告白されたから、今はもう先輩後輩の間柄だけじゃなくなったのも気まずい。どうしよう、この気まずさ。
でもそれは、大喜くんもそうだろう。私は聞いていたから。
「大喜くん、さ。勘違いだったら悪いけど。……私の名前呼んだよね、その……しながら」
ブハッと咳き込み、愕然とした顔でこっちを二度見する大喜くん。その顔は一旦真っ赤になり、そして青ざめていく。しかしこれはこれで可愛いなあ、ちょっと困る。
きっと大喜くんは、生きた心地がしないだろうな。立場が逆だったら、私もたぶんこうなるし。
「別に怒ったりしないよ、だって大喜くんは私を――好きなんだよね。好きな人とそういうことしたいのは、自然だと思うし」
安心させてあげたくて、そっと抱き締めたその肌は少し冷たい。暖めてあげたい、と思うくらいに。
ああ、このままずっとこうしていたい。でもそうもいかないのが、私たちの辛いところだ。
「そろそろ朝練、行かなきゃね。話はまた後にしようか」
好きになってもなられても、それを理由に他を投げ出してはいけない。全部が全部、大事だから。
だから、頑張ろう。
……頑張った、んだけどな。
今日は自分でも分かるくらいに空回りしてしまった、見下げ果てた先輩で申し訳ないったら。
大喜くんも大喜くんで、普段より上滑りが多くて針生くんに心配されていた。あの針生くんがからかうでも怒るでもなく普通に心配する、って結構な事件な気もする。原因が私だって知ったら、さすがに怒るだろうけど。
そして夜も更けて私たちは、大喜くんの部屋で向かい合っている。朝の続きをするために。
こほんと息を一つ。照れるし恥ずかしい、でも言わないと。
「えっとね、大喜くん。私も、大喜くんを思って――しました。大喜くんの声を聞きながら、ね」
正直口にするのは複雑だけど、大喜くんに突きつけておいて私だけ涼しい顔をしているわけにもいかない。そんな風に追い詰めたくない、同じ思いをする方が良い。
大喜くんはちょっと驚いて、そして――。
「ぇあ、……女の人もその、するんです……か!?」
……とんでもなくアホな事を結構なボリュームの声で言ってくれました、あんたなんばしょっとね。膝撃ち抜くよ?
ああでも、男子にして見たらそうなのか。そうだよなぁ、特に大喜くんだもん。女子のそういうの、分かってるはずないし。だって大喜くんなんだから。
「あー……まあ、します。人間ですから」
頻度はともかく、大体の子はする筈。私だけがお盛んなわけじゃない、……と思う。
まったく、ここでもう脱線していてどうする。
「朝も言ったけど、好き同士ならそうしたいと思っても悪いことじゃないからね。……ただね、でもさ」
私という人間には、情緒というモノが決定的に欠けている。そんな出来映えだから、上手くは言えないだろう。
そこをなんとか取り繕って、言わなければ。
こんな私を好きだと言ってくれる、大喜くんの為にも。
「あのね、もし。もしも、そういう事をしたいからって他を疎かにするようなら、私は大喜くんを嫌いになる。もし私がそうなったら、大喜くんは私を嫌いになって欲しい」
想いながら自分を慰めるだけなんて、嫌だ。私は大喜くんを愛したい、大喜くんに愛されたい。でもそれが、全てになってはいけない。依存してはいけない。
私は大喜くんに憧れられる、ちゃんとした先輩でいたい。この人を好きになってよかった、と心から思って欲しい。
私も、そう思いたいから。
大喜くんは、少しだけたじろいで。でも真っ直ぐに、私を見詰める。
「はい。俺はそう、します。先輩にも俺を、……好きでいて欲しいですから」
その言葉には、嘘も虚飾も一切感じ取れない。熱く強い、決意の視線。
好きでいる為に、好きでいてもらう為に。お互い、頑張らないといけない。
だから約束を、交わそう。決して消えることのない、私たちの約束を。
明日はまた、朝練をする。部活もちゃんとする。もちろん勉強だって大事だ。
でも今私たちは、こうして向かい合っている。さっきとは違ってベッドの上、一糸纏わぬ姿で。
これからお互いの「初めて」を、捧げあう。それよりも強い約束は、思い付かなかったから。……大喜くんとその……したいっていう欲求に流された感は否めないけどさ。向こうだってそう思ってくれているんだろう、大喜くんのオトコノコはさっきから天井を向いて震えているから。男の子は大変だな、と思ったり思わなかったり。あんな状態だとあちこちつっかえて不便だろう、多分。
触ってみたら怒るかな、て言うかあんまりガツガツ行くと私がえっちな子みたいで格好つかないか。自分で「そればかりになるのはダメ」って言っておきながらこれなんだから、私もつくづくダメな子だな。
まあ、良いか。明日もちゃんと頑張るから、今夜はこれで良い。
無言のまま触れてみると、ビクンと大喜くんの身体が跳ねる。おお、これは力加減が難しそうだ。そしてそれ以上に、その存在感に驚かされる。
長さや太さは見れば分かるけど、思った以上に硬くて熱い。それにイメージより手触りが良くて、ゴムの塊を撫でているような気分。そう言えば小さい頃、水にいれると40倍くらいになるゴムのオモチャがあったけど、あれが膨らみきった後に近いかな。
なんにせよ、人間の一部という感じはしない。……それを言ったら私らもそうか、形は磯の生き物みたいなもんだし。
鏡に映して初めて見たときは、ちょっと引いたっけ。
大喜くんは、どう思うのかな。そんな疑問を抱きながら手を動かしていると、不意に呻くような声が漏れてきた。
「ごめ……なさ、出…っ!!」
え、と思う暇も無かった。大喜くんのオトコノコは激しく震え、小さな口から火山のように白いものを打ち出したのだ。
精液というのが存在するのは知ってるけど、これは「液」って感じじゃない。指で摘まめるくらいに高濃度な塊が、私の肌へと降りかかってくる。
昨日もきっと、こんなだったんだろう。こんなのを出しながら、私の名前を呼んでいたんだ。
スゴいなあ、男の子って。
とはいえ、だ。一方的なのは、フェアじゃない。
「ね、大喜くん。私のも、触ってくれるかな」
返事を待たないまま私は大喜くんの手を取って、そして。足の付けねへと、導いていく。
物心ついて以来、親にさえ触れさせた事がない場所。自分以外の誰も弄ることは許さない、許せない。そんな私のオンナノコへ、その指がおずおずと押し当てられた。
粘りけのある水音と共に、僅かな異物感が身体を貫いていく。ぞわりと総毛立ちながらも、それを遥かに上回る興奮が脳を焼いていくのが分かった。
「あ、あー……」
自分でするのとは、快感の振り幅が違いすぎる。気が付けば大喜くんの手を押さえたまま、腰を振って自分を擦り付けてしまっている。ああ、そうか。最近はしてなかったけど、昔はこうやってテーブルの角とかにここを押し付けるのが好きだったっけ。指でするようになったのは、その方が気付かれにくいからだ。家具の角だとどうしても大袈裟に音が立つし、汚れ方も大きくなってしまう。
一瞬一瞬に焼けるような快感が襲ってきて、それに身を任せたくなる。
これじゃ昨日と同じ、オナニーだ。大喜くんをオカズにしているだけだ。私は大喜くんと、したいんだ。
未練がましい身体をどうにか食い止め、大喜くんの手を解放してあげる。
そして、そして。乏しい知識をフル稼働させ、どうにか脳内のイメージを現実に反映しようと試みていく。
ベッドに仰向けになって、膝を抱くようにしてから脚を拡げる。大喜くんからは、潰されたカエルみたいに見えているかもしれない。でもたしかこれが、「正常」な姿勢の筈だ。自信はないけど。
「良いよ、大喜くん。……来て」
少しでも入れやすいよう、力を抜いてはみる。でもさすがにオトコノコが翳されると、内心ちょっとだけ怖くなり緊張で強張ってきた。まあ大喜くんだって、怖くないわけではないだろう。他人の身体の中に入るんだから。
「え、……っと、ここ、穴……なんですよ、ね……?」
「んー……多分……。私もよくわかんないし……」
一応先端が押し当てられた感触はあるけど、なにしろ大喜くんの可動域が分からない。そのまま真っ直ぐで良いんだろうか、微調整がいるんだろうか。
まあ、なんとかなるさ。ダメでも少し痛い思いをするだけだ。
グッと押し出された腰が接近し、その勢いで私の中へと大喜くんが埋まっていく。聞いていたほどの痛みはないけれど、お腹の奥を押し込まれていくのはなんだか不思議な感覚だ。なにしろ私の内径より太いから、指を入れるのと違って全体が押されてしまう。決して不快ではないけど、ちょっとだけ心配だ。ただでさえ不自然な姿勢だし、フィジカルに変な影響がでないと良いけど。
大喜くんも大喜くんで困惑しているんだろう、あうあう言いながらもどうにか動いてくれている。……可愛いな、この子。ちょっと悔しいかも。
そんなどうでも良い事を思い浮かべた、その少しあと。大喜くんと私の腰が、隙間なく密着を果たした。
自分では触れることが出来ない深い場所が突き上げられている、大喜くんの全てが私の中にある。見えなくとも、それが感じ取れる。
――私たちは、セックスをしている。愛し合っている。その事実が、身体に刻まれた。それだけで、頭がおかしくなりそうな程に気持ちいい。粘膜が熱を伝えあい、全身が赤々と燃えているように熱くて堪らない。
それはきっと、大喜くんも同じ筈。だって大喜くんはもう、さっき射精したときと同じ顔になりつつある。快感に呑まれまいと必死で理性を振り絞る、可愛い顔をそっと撫でて私は囁く。
「良いんだよ、大喜くん。さっきみたいに、ね」
ハッと目を輝かせた大喜くんの身体は、次の瞬間跳ね上がるかと思うほどに強く震えた。私の中で大喜くんのオトコノコが放つ激しい拍動、最奥へと何かが叩き付けられる感触。それがどういう意味か、私はつい先程見たから知っている。
大喜くんは、射精した。あの白い塊が、私の一番奥――子宮目掛けて撃ち込まれた。何度も何度も、私を陥落させようと。
長い長い射精は、どれくらい続いただろう。やがて大喜くんは、そのまま崩れ落ちるように私に覆い被さってきた。
「ごめん、なさ……い……。俺だけ、勝手に……気持ち、よくなって……!」
荒い息と共に悔恨を口にする大喜くんは、涙を浮かべている。全くこの子は――、どれだけ私を好きなんだろう。私がどれだけ大事なんだろう、自分が気持ちよくなった事に罪悪感を抱くなんて。
だから私から、言ってあげなければ。
「勝手じゃな、いよ……。わたし、もぉ……!!」
一緒に気持ち良くなれたと言いたいのに、口が上手く動かない。頭がゆっくりと白く染まっていく。一人でしていると一気に来てすぐ醒めていく絶頂感が時間差でやって来て、じわじわと意識を塗り潰しているのだ。それも壊れそうなくらい、圧倒的な濃度で。これがセックスで絶頂する、と言うことなのか。オナニーとは深度が全く違う、理解すら出来ない絶対的な快感の奔流が迫ってくる。
これは不味い、とは思うけどもう遅い。身体がもう、自由にならない。視界が歪んでいるのは、きっと涙の元栓までおかしくなってしまっているんだろう。あちこちが緩んで、何かが溢れていくのが感じられる。
豹変した私にパニくっているらしい大喜くんの声を聞きながら、私はどうにもならなくなった身体から意識を切り離そうとした。
……したけれど、最後の最後で力を振り絞って意識を浮上させる。忘れていたことが、あったから。
「ん、……むっ」
思うようにならない身体を無理矢理動かして私は、大喜くんの唇に吸い付いた。生まれて初めての、キスをする為に。
それは暖かく柔らかい、幸福そのものとしか言えないその感触。
これで良い、これでもう良い。私はもう、満足だ。
心残りを果たした私の意識は、改めて暗がりへと落ちていった。
「あのあと、大変だったなぁ……」
雨音を聞きながら、小さく呟いてみる。事前に催して御手洗いに行っておいたのは、虫の知らせだったのだろう。穴と言う穴から色々と垂れ流して幸せそうに気を失っていた、と大喜くんに聞かされた時は生きた心地がしなかった。
全くメチャクチャな初体験だったけど、でもまあ確かに幸せではあったから問題ないか。それに根性で身体を立て直して、翌朝はどうにか朝練にも出たし。あんな風に言った手前、まさかサボるわけにはいかないもの。もちろん大喜くんも同じく、約束を守ってくれた。
あれから私たちは、どうにかこうにか続いている。部活もそれ以外も結果を出しつつ、頑張っている。
大喜くんを好きでいたいし、大喜くんに私をもっともっと好きになって欲しいから。無様な姿なんか見せられない、私から目を離せなくなるくらいに輝かなきゃ。
そうやって毎日毎日頑張っているんだから、休日くらいは二人で蕩けて過ごしたい。おあつらえ向きに、大人たちは昨日から泊まりでお出掛け中。夜までは二人きり、こうやって退廃的に過ごしたって許される。……筈だ。
昨日のうちに食料その他は買い込んで、今日は靴下を穿かない。服だって夕方までは着ないかもしれない。
唇が腫れるくらいキスして、腰を痛めるくらいセックスして。自堕落な休日は、幸せに過ぎていく。
こんな生活を続けるために、力の限り頑張ろう。
私は大喜くんが好きで、大喜くんは私が好き。だからこの関係がいつまでも続くことを願って、強く強く大喜くんを抱き締めた。
「大好きだよ、大喜くん。ずっとずっと、一緒にいようね」