鳥居亜樹は絵師である
---鳥居亜樹---
母親の遺産で相続した家に住んでいる。中学に入って直ぐの時、推理作家の父親、女優で夏美の母親、俺にとっては父親の再婚相手であるが、それに夏美の実の姉が、自宅で殺されていた。俺と夏美は離れである亡き母親の家で生活していて、難を逃れ、現在は父親と後妻の母親の遺産で暮らして居る。
俺は中学生の時にラノベで大賞を受賞しプロ作家としてデビューし、義妹の夏美も中学の時にフィギュアの原型師としてデビューしており、主にその稼ぎで生活している。
「おにいちゃん、締め切りが近いよ」
お気に入りのパンダの着ぐるみパジャマを着ている夏美が、俺の背中に張り付いている。最近、大きくなった胸の感触がたまらない。
「わかっている。今日中に仕上げて、鈴木さんに送るよ」
鈴木さんは俺の担当編集者である。しかし、今描いているのは、女性の裸体像である。担当編集の鈴木さんの親戚に画廊を開いている人がいて、俺の描いた絵を買ってくれているのだ。小説を書くよりも短納期で高額収入になる。
俺のスキルなのか、服を着た女性を見ただけで,全裸に見える気がし、それを脳内保存して妄想でアレコレと色々なシーンを浮かべられるのだ。
「この人は知り合い?」
「いや、街で見かけたんだよ」
その女子が騎乗位で踊っているアニメを作ったら、鈴木さんが系列のソフト開発会社に持ち込み、大金に化けた。プレイ相手は描いていないけど…
「これ、薄い本にしてみたヤツだよ」
薄い本を夏美に手渡した。その時一緒にいた女子との百合ものである。
「えぇ~妄想でここまで描けるものなの?」
まぁ、才能かな?空想は絵に出来ないが、何故か妄想だと描けるのだ。
「よし、出来た。ちょっと鈴木画廊に届けてくるよ」
メットとバイクの鍵、そして、出耒たばっかの商品を手に、家を飛び出した。
---毛利蘭---
「ねぇねぇ、蘭。従兄弟から奪った薄い本なんだけど、これって蘭にそっくりじゃない?」
園子が薄い本を見せてくれた。その中で私似の女性が、世良ちゃん似の女性と…
「なにこれ!」
私にソックリである。まさかのアンダーヘアの形まで…園子には言え無いけど。
「どうしたんだい?」
私の手元を覗き込んだ世良ちゃんも絶句。
「いや、蘭ちゃんとそんなことはしないよ」
って、顔が紅い。私の耳も熱いし。
「ねぇ、作者は誰?」
「知らないわよ。薄い本って作者名が無い場合があるらしいし」
お風呂を覗かれたのかな?犯人は誰だ?
---鳥居亜樹---
スケッチブックを片手に、街中をぶらりと散歩をする。何か良い風景は無いかな?どこかにイイ女はいないかな?平日の昼間、適齢期の女子はいない。俺も夏美も中学を卒業すると、高校は通信教育に切り替えた。生活費を稼ぐ為に働く。両親の遺産にはなるべく手を出さない。我が家のルールである。
鈴木画廊に着き、おやつをごちそうしてもらう。
「こんな絵は描けますか?」
桜が舞い散る池の畔で舞う天女
「天女を見たことが無いから無理です」
アニメではあるけど…
「脳内保存している女性でどうにかなりませんか?お客様からの要望なんです」
って、言われてもなぁ~
画廊から出て、散歩に戻った。今は、学校ではクラブ活動の時間だろうか?近くにある高校のグランドを見て回る。その時、一人の女子の姿が眼に入った。道着を着て、空手の練習をしているようだ。その動きが天女の舞いに見えた気がした。俺は急ぎ家に帰り、アトリエに籠もった。
---鈴木園子---
親戚が経営する画廊へ何の気無しに訪れた。そこには衝撃的な絵画が飾ってあり…
「何で蘭が全裸で踊っているの?」
題名は『天女の舞』とある。価格は軽く100万を超えているし。透けるようなベールを身体に纏っているだけで、ベールが透けて陰部がうっすら見えている。どういうことだ?
「ねぇ、伯父さん、この作者って誰?」
「園子ちゃんじゃ知らないか。国宝クラスの絵師の子供で、二代目安芸桜っていう絵師だよ」
桜の花びらが舞い、湖の湖面に花びらが映っている。凄い…写真を見ているようだ。それだけに、ほぼ裸体の女性も写真の様に見えるし。その絵を写メで撮り、蘭へ送った。