---鳥居亜樹---
オフロード用バイクを手に入れ、山の頂にある神社に通っている。神主が神主として最後まで神事を行っていた神社だという。個々までの道のり、俺のオンロードバイクでは悪路すぎて、ダメだったのだ。そんな訳で、神代家に悪路を舗装して欲しいと依頼を投げてみた。神代家の持ち山なので、俺が勝手に施工出来ないから。
「おにいちゃん、生活しやすいように手を入れて良いって。請求書は回すようにだって」
神代家から夏美に連絡があったようだ。じゃ、佐田建設に頼むか。
どこにも神主の墓は無い。神代家の当主は代々、鎮守の森に散骨されるという。俺は神社を囲む森に黙祷を捧げた。どこに撒いたか分からないし。神主の霊が俺の守護霊になっているのだが、訊いても撒かれた本人には分からないと言う。
家に戻り、佐田建設に依頼を発注し、蘭の用意してくれた昼飯を三人で食べる。
「今日は山菜そばを作ってみました」
この辺りの森で山菜が採れる。川ではヤマメやイワナも捕れるし。冬場になれば鮭が遡上してくるらしい。そうだ、狩猟免許も取らないとなぁ。クマやシカ、猪は貴重なタンパク源であり、森を荒らす害獣である。その為、神代家のハンター達が駆除をしたとき、肉をお裾分けしてくれるが、自分達でも狩りたいし。
午後はそれぞれが創作活動をする。俺はアトリエにしている広間で、蘭をデッサンしていた。虫眼鏡を使って、細部をデッサンしていく。虫眼鏡使用時は透視スキルが使えないので、蘭には全裸になって貰い、詳細にデッサンをしている。
「ねぇ、亜樹君…そんなに真剣に見られたら、恥ずかしいし、感じちゃうよ」
股間の詳細画をデッサン中である。
小刻みにふるえている蘭の太もも…浸み出てくる液体…この洞窟をまんま描く訳にいかない。洞窟に見えるようにしないと。
「ねぇ、亜樹君…虐めていいよ」
色っぽい声の蘭。だけど、今はデッサンに集中中である。
「蘭、自分で自分を虐めてみて。指でここをねぇ」
洞窟周辺にある突起を蘭が自ら責め始めた。
「ダメ…あぁぁぁぁ~、もっと…」
蘭の息づかいが激しくなっていき、突然果てて失神したのか静になった。さてと…縄で縛り、蘭の身体が畳と並行になるようにして、俺の目線に洞窟の入り口が来る様に固定した。これで見やすいし、洞窟の奥が見える感じがする。洞窟の奥にむかって、サーチライトを当てた。洞窟のヒダが見える。浸み出た液体は畳にシミを作るため、滴下地点にはたらいを置いた。たらいに滴下する音は、まるで水琴窟のようできれいな音である。
「ここは?亜樹君、いるの?」
目隠しをして耳栓をした蘭の意識が戻ったようだ。
「何をしているの?なんか、身体の中が暖かいけど…」
蘭の声は震えていた。見えない聞こえない恐怖を感じているのだろうか?気にせずデッサンをしていると視姦により、蘭が果てたようだ。デッサンも終わったし、縄から蘭を解放し、温泉できれいに洗ってあげた。
◇
「私の身体って、こんな風になっているんだ」
今日、描きあげたデッサンを夕食後、蘭にみせると、そんな感想を述べている。
「これをそのまま清書すると、卑猥画になって捕まるから、人体の一部に見えなくすんだよ」
所謂、隠し絵である。
蘭の乳房そっくりなスライムの絵を見せた。
「私の胸がスライムに?まさか…スライム周囲に生えている松茸ぽい物って…」
「想像に任せるんだよ。言葉に出すと捕まるかも知れないし」
隠し絵は想像力の育成に繋がると信じたい。
---安室透---
キャッツアイという喫茶店に向かっている。そこは、ごく自然な喫茶店であるが、後ろ盾に通称ファルコンという傭兵が付いていることは裏の世界では常識である。そんな店に俺は仕掛けるのだ。俺にも後ろ盾は付いているが、不安が一杯である。
カラン
ドアベルが鳴ると、カウンターの中にいた三人の女性が俺の方を向き、「いらっしゃいませ」と声を掛けてくれた。
「来生泪さんとお話があるのですが…私は佐田探偵事務所の安室と申します」
佐田家で用意してくれた名刺を、俺に一番近くにいた女性に手渡した。今日の俺は佐田家の代理人である。
「私が泪ですが…佐田家の探偵部門ですか…では、奥へどうぞ」
奥にある個室に案内され、本題を切り出す。
「佐田家のリゾート部門が、この度アート&リゾートを計画していまして、是非、この店に来て欲しいんです。前金として、これを差し上げます」
彼女達が悪事に手を染めている証拠と、彼女達が陵辱されるストーリーの薄い本を差し出した。それらに目を通して、身を固くする来生泪。
「来生画伯と初代と二代目の安芸桜の作品を展示、保管する美術館をオープンするんですよ。絵画は佐田財閥と鈴木財閥が所蔵している物全てです。これで安心して生きて行けますよ」
彼女達三人は、来生画伯の娘であり、来生画伯の絵専門の盗人集団キャッツアイという盗賊である。鈴木財閥も佐田財閥も、そして公安も彼女達がキャッツアイという証拠を握っていたが、彼女達の盗む理由が父親の作品が不当に入手され、それを取り戻していることから、お縄にしなかっただけである。
「拒否したら?」
「薄い本は販売され、証拠は警察へ渡ると思います」
これは脅しである。言う事を聞かなければ、警察に突き出すと言う。
「それは…」
「賛成してくれれば、来生画伯の作品は出来る限り、手に入ります」
「確かに、取り戻してくれて、半永久的に保護して貰えるのはありがたいですが…」
「付加条件は、ある青年の生活の面倒をみてもらいたいってことです」
「せ、せい、せっ、性的なサービスも含みますか?」
「彼が望めばですが…たぶん、瞳さん以外は安全だと思います」
アイツの好みは瞳って女だけだと思う。
「返事はよく考えてからお願いします」
用が済み、俺は店を出た。
---来生瞳---
新宿のカウンターバーにやってきた。泪ねえさんの聞いた話を裏世界の探偵に調べて貰い、その調査結果を訊きに来たのだ。カクテル『XYZ』を注文すると、件の人物が近寄って来た。
「安室透って、本業は公安だ」
最初の一言目がそれである。まさか、警察の罠か?
「だが、ダブルフェイスのようで、潜入先が佐田家なんだろう」
「で、彼の言って居た計画は?」
「本気のようで、既に美術館の建設は始まっていた。あと、君達が仕える青年なんだが、二代目安芸桜のようだ。建設中の美術館の裏手にある元温泉旅館に住んでいた」
二代目安芸桜って青年なのか。初代も含めて安芸桜という絵師は正体が不明であった。作品の多くは目を奪われる物多いが、狂気に満ちた物もある。私をモデルにしたいのだろうか?
「喫茶店は彼の住んでいる温泉旅館の一部を改装していて、1階が店で、2階が住居スペースのようだった」
住み込みになるのか。
「話を調べて、どう思います?」
「もう危ない橋を渡らない分、乗ってもいいんじゃ無いか?まぁ、性的サービスがどの程度かが、分からないが、佐田財閥、鈴木財閥がバックにいるんだ
し、無茶はしないだろう」
さて、どうするか…