---鳥居亜樹---
冒険者達の葬儀の後、深雪の兄が妹が心配で同居したいという。シスコンか?俺も他人のことを言え無いが…
「仕事のジャマしたら、叩きだします」
と、俺の代わりに蓮が言ってくれた。俺では実力行使は無理そうだ。だって、深雪の兄って怖そうだし。見たくも無いが見えてしまった。デカイく力強そうなモノをお持ちのようだ。アレに比べたら、俺なんか粗品すぎる…
深雪は、放し飼い状態である。俺からはアレをしろ、コレをしろとは言わない。人手は、足りているし。蓮に茜、帰省からもどった蘭もいるし。おかげで、俺と夏美は創作活動に邁進できていた。
「おにいちゃん、年末年始の巫女さんが足り無いよ~」
この辺りでは寺の役目をしている神代神社。初詣と除夜の鐘、年末年始は来場者が激増するようだ。警備陣は用意してあるが…巫女さんかぁ。真純と深雪と蘭…後は、のどか達と麻衣とちづるは戻って来たら参加させるか。
「賢者様に相談してみれば?」
「後が怖いよ~」
それはしょうがない。かといって、明美と志保は緊急医療に必要だし。残るは来生姉妹だが、喫茶店は夜通し営業だろうな。
「無い袖は振れないよ」
あっ!深雪の兄の仲間の女子はまだ滞在中である。バイトに引き込むか。深雪に頼んでみるかな。
---渡辺摩利---
真由美と共に秘宝館を見学してみることにした。深雪さんが案内してくれるらしい。温泉地の秘宝館って、なんでこんな生々しいモノが展示されているのだろうか?
「これらの造形物は亜樹君の妹さんの夏美さんの作品です」
触れると大きくなるアレ。リアル過ぎる。モデルはいるのだろか?誰かのアレの等身大の秘密の花園…ふ~ん、こうなっていたのか。自分で自分のモノをマジマジと見たこと無い。
「この体験コーナーって?」
「女性専用ですが、やみつきになる方が多く、2時間待ちですよ」
真由美が予約している。ここで2時間待つ気らしい。
「なんの体験なんだ?」
「あり得ない刺激の体験だそうです。私はテストで体験しましたが…」
顔と耳が真っ赤になっていく深雪さん。そういう体験なのか…
「人間相手?」
「いえ、精巧に出来たオートマタです。蜘蛛と大ダコの体験をしました」
蜘蛛と大ダコ?現実にあり得ないモンスター相手なのか?
◇
舐めていた。この体験コーナーを。こんな精巧なオートマタだったのか。数匹のゴブリンに襲われている。抵抗しようにも相手の力が強い。何かの液体を顔に浴びて…腰が抜けたようにしゃがんでしまった。私に群がるゴブリンにオークが加わり…放心状態の私の背後から巨大なムカデが抱きついて来た。足が顔を掴み、脇の下を掴み、乳房を横から掴み、腰を掴まれ、身動きできない状態に…そして、ムカデのアタマ体内に入ってきた。なんとも言えない刺激が私に襲い掛かってきた。
あぁ、確かにこれは戻れないかもしれない。もっと違うモンスターに襲われてみたくなっている。
ムカデで達した後、ゴブリン達に足を掴まれ、どこかに引き摺られていく。何かの台の上に載せられ、目の間のプールから何かが出来た。大ダコだ…
---七草真由美----
摩利は大丈夫だろうか?巨大なゴーレムに両腕を引っ張られ、何かのツタにより両足が開かれていた。完全に無防備な私…何に襲われるんだろうか?身体が期待をしているが、精神的にはグロッキーである。もう蜘蛛で充分よ。体内に卵を産み付けられ、体内で孵化した蜘蛛たち。それが体内で蠢いているようだ。もう人間相手では無理かも知れない。体内のヒダとヒダの間で蠢いているのか、感じた事の無い刺激で、下腹部がグチョグチョである。こんな姿を達也君に見られたく無いのだが…目の前に達也君がいて、私の惨めな姿をガン見していた。
「真由美さん、それはお兄様のオートマタですよ」
って深雪さん。そのオートマタに抱かれ、カワイイ声を上げる私。深雪さんが、その風景を撮影しているし。後で、本人に見せるのだろうか?
2時間コースが終わり、シャワーを浴びて、衣服を整えてロビーへ向かうと、深雪さんがいた。
「中にいた私もお兄様もオートマタなんですよ。本物ソックリでしたか?」
えっ?!あの深雪さんもオートマタなの?
「夏美さんが今回はテストだから、これで次回も楽しんで下さいって」
体験の間のプレイチケットを2枚ずつ貰った私と摩利。あと、2回もできるのか…
---鳥居亜樹---
秘宝館の体験プレイは好評らしい。なので、前日予約制になったらしい。夏美はウハウハらしい。オートマタの売上も好調だという。個人で憧れての人のオートマタを購入して、レンタル彼女では受けられないサービスを受けているらしい。そのうち、レンタルオートマタが出来るのか?
晦日になり、麻衣とちづるが帰ってきた。のどか達はカウントダウンコンサートの参加があり、年始に戻ってくるそうだ。神社に行き、麻衣とちづるの巫女衣装を準備して、明日の大晦日と明後日の元旦の仕事内容を説明していく。
「わかったわ。大丈夫よ、私達女優だからね」
って、麻衣。台本を覚えるのが仕事という。
蕎麦と餅の準備もする大晦日には蕎麦を売り、0時を過ぎたら、雑煮を売る作戦である。鳥居の外には屋台が並んでいる。世俗的な物は境内に入れられないから。境内での販売は神社関係舎だけに許された特権である。違反する者には罰が与えられるだろう。
神社の奥の聖域の館では、世界各地から神々が訪れ、宴会をしているのだろうか?基本、神々は宴が大好きだし。
---工藤新一---
意識が戻ると、俺は俺に戻っていた。俺の上にはジョディ先生がいて、疲れて眠っているようだ。先生を起こさないようにベッドを抜け出し、ガウンを着て、リビングに行くと、父さんと母さんがいた。
「新婚早々、お前は激しいのだな。私達の部屋まで聞こえていたぞ」
俺と先生の行いは、父さん達に丸わかりなのか。
「父さん達はいつ戻るんだ?」
「これからは一緒に暮らすよ。親子4人でな」
新婚家庭に両親が入り込むのか?待てよ。俺はいつ結婚をしたんだ?いつ、俺に戻った?
「どうしたんだ、新一。結婚初夜が衝撃的で、昨日の結婚式のことを覚えていないのか?」
昨日?う~ん…思い出せない。なんでだ?何か遭った気がするんだが…
「まさか、蘭ちゃんではなく、彼女を選ぶとは。人生とは分からないわね、新ちゃん」
って、母さんが笑っている。俺が蘭を選ばなかったって、どういうことだ。あっ頭が痛い…
◇
ここはどこだろうか?俺の家であることは間違いは無いが、ここは俺の生まれ育った世界だろうか?
窓から見える風景は、どこか不思議であった。周囲には木々しか見えない。これは森の中なんでは?
「父さん、ここはどこだ?」
「お前は、私達とは住みたくないのか?」
「いや、そういう問題では無くて…ここはどこなんだ?」
「こうして生きているだけ、儲けものと考えなさい」
「何を言っているんだ?」
父さんの瞳には光が無い。まるで…
「もしかして、俺も死んだのか?」
「いや、新一達は死んではいないらしい」
それは、父さんはもう…