---安室透----
蘭ちゃんを凶行に走らせた薄い本。都条例に抵触する為、公安でも捜査に乗り出していた。この絵師を公安に取り込めれば、モンタージュ職人になれるのでは無いだろうか。一生、飼い殺しになるだろうけど。
薄い本の出版差し止めに成功した警察であるが、新たな怪しい商材が発見されたらしい。フィギュア人形…それも、特定の誰かそっくりな…手の込んだことに色々なポーズが取れるらしい上、専用の衣装も売っているそうだ。
「これ、摘発しますか?」
部下の風間に訊かれた。
「う~ん、ノーマルパーツだけなら、合法だろう。これをダメにすると、普通のマネキンや着せ替え人形もアウトだろう」
ノーマル出ないパーツは、股間である。リアルな形状をしていた。そして、ツルペタでは無い。刻まれ、植毛もされているのだ。
「製造元は?」
「注文の通り作っているそうで、そこに違法性は無いそうです」
「じゃ、注文元は?」
「個人らしく、要望を伝え、特注パーツ扱いで、グレーを判断されています」
仮にモデルがいても、「これ、私です」と証言してくれるか、怪しいものだ。だけど、顔から判断すると、蘭ちゃん、世良ちゃん、何故かベルモットと俺である。俺とベルモットのセットは交わるポーズも可らしい。
---鳥居亜樹---
やっと、退院出来た。こめかみに傷が残ったが、いたって健康だと思う。手先に違和感が残っているが、まぁ、誤差の範囲を考えれば問題は無いだろう。病室で脳内保存してきた裸体をスケッチブックにラフスケッチとして描き残していく。
「そうそう、お兄ちゃんが考案した、色々なポーズを取れるフィギュア人形が、よく売れているらしいよ」
動く機構を考えたのは俺であるが、それを人形に組み込んで居るのは夏美であり、兄妹の合作である。
「で、ナースをナンパしたの?」
「しなかったよ。そんな勇気は無いし、尿道挿管が痛いし、それどころで無かった」
そろそろ鈴木画廊に収める風景画を描くかな…風景画が病院内でした。裸体画は盗難の危険があるので描かなかったけど。病院に持ち込んだスケッチブックを見て、サンプルになるそうなスケッチを探す。
そうだ。銀杏の葉が舞い散る中、木の影に隠れていちゃつくカップルにするか。モデルはあのペアにするか。
薄い本は当局の手入れが入り、出版差し押さえ処分になったそうだ。コミケでこそこそ売ればいいんだよ。大手の出版会社が手を出すから叩かれるんだよ。スケッチブックにラフデッサンを描き、それを見ながら、キャンパスに筆で清書をしていく。
◇
夢を見た…
路地裏にいたカップルを仮面をした男が襲った。銃を手にした女性。だが、仮面の男に意識を刈り取られ、廃ビルに連れ込まれた。意識の無い女性の衣服を脱がし、女の体内に液体を入れ、意識も無く蠢く女体と交わる男…
◇
夢から覚めた。うっ!パンツが人に見せられないことになっていた。こっそり履き替え、洗濯機の中へ…これで完全犯罪は成立か?水場から離れると夏美が見ていた。俺の犯罪は露見していた。
---佐藤美和子---
「いやぁぁぁぁぁ~」
「大丈夫か?佐藤君。気をしっかり持ちなさい」
目暮警部の声で、落ち着きを取り戻した。そうだ、昨日、毛利蘭さんを監視しているチームから連絡があり、「殺気を纏わせている」と報告を受け、高木刑事と寝ずの番をしに行ったんだけど、何者かに襲撃を受け、廃ビルに連れ込まれ、辱めを受けたのだ。
「大丈夫です。で、犯人は?」
「手がかりが無い。遺留品も無しだよ。用意周到な犯人と言えるな」
計画的に、私を襲ったのか?
「うっ!」
ベッドから起き上がろうとした、私の身体に激痛が走った。
「まだ、安静にしておきないさい。体内に裂傷があるんだから」
それはデカイ物が入ったってことか…私の初めてを、クソがぁぁぁぁ~。