---鳥居亜樹---
そして年末年始のイベントが始まった。自称冒険者達が駅から飛び出して来た。彼らとの戦いの火蓋も切られた。母さんのジャガーマーク2を死守しないと、セキュリティーセンターで近藤 友哉というゲーマーがゲーム感覚で自称冒険者達を仕留めていく。
「あいつらサバゲー感覚のようです」
「無茶する前に仕留めてね」
屋根に設置してあるエアライフルで撃退していく。仕留めると言っても捕獲するだけである。彼らは貴重な資源らしいから。
「ご主人様、書き初めの準備をしてください」
蓮に言われた。そうだ、神社の儀式場で書き初めをしないとだ。今年の一文字を書けと、神主と賢者様に言われていた。蓮と共に神社へと戻る。除夜の鐘が鳴り終わり、午前0時と同時に書き始めないといけない。古来からの風習だそうだ。硯に墨を解いていく。まだ新年まで12時間あるが、精神集中をしないといけない。集中が高まり、意識が真っ白になって、初めに浮かんだ文字を半紙に書くのだ。
---毛利蘭---
境内の一角で、寒稽古を披露していた。参加者は私、世良ちゃん、蓮さん、茜さん、深雪ちゃん、摩利さんである。巫女装束での寒稽古、動きづらいが、そういう仕来りだそうだ。巫女といえ、この神社においては、戦力の一部だそうだ。亜樹君は書き初めに向けて精神統一中だという。皆、武術を嗜んでいる為、組手は油断をすると怪我しそうである。
参列者の接待は、巫女姿の麻衣さん、ちづるさん、なぜかパンダ姿のかえでちゃんがしている。ここで暮らすとは巫女として生きるってことのようだ。
除夜の鐘が鳴り始め、寒稽古披露は終了する。皆で滝打ちへと向かい、心を無心にしていく。そして、名の無き神へ祈りを捧げていく。この神社では名の無き神を信仰しているそうだ。名前を特に名乗らず、汚れ仕事をする神様らしい。
そして、0時を迎え、参列者全員が儀式場に跪き、筆の走る音だけが、場を支配していく。書き上げた文字は、ご神体に披露をして、誰の目にも留める事無く、お焚き上げをして、天空の神々に捧げるそうだ。
---鳥居亜樹---
目が醒めると三が日が終わって居た。右に麻衣、左には蘭、上には深雪がいるんだが…人肌が暖かい。人肌が吸い付いている。それだけの感覚で俺の身体は目覚めていく。そして、初夢精…
三人を起こし、水浴をしてから新年の最初の食事、七草粥を食し、お昼の支度をし始める。お雑煮とおせち料理である。大晦日に準備はしてあるので、後は盛り付けだけか。
夏美は既にオートマタの開発に行ったらしい。俺は蓮と茜を連れて、見回りに向かった。自称冒険者達による被害状況を確認である。ガレージはこじ開けようとした跡はあったが、侵入はされてないようだ。離れは無事であった。森には血だまりが数カ所あり、激戦だったのかな?
見回りが終わり、賢者様に新年のご挨拶へ向かう。聖域の森に入ると、心が洗われる気分に浸れる。
「おぉ、亜樹か。元気か?」
「心がリセットされた気分です」
目の前に賢者様がいて、蓮と茜は俺の後ろに立っていた。
「今年は、世界平和プログラムを起動するよ」
「戦乱を巻き起こすヤツラは隔離ですか?」
「あぁ、既に、戦争状態の軍隊は、転移済みだ」
大きなモニターに転移した世界が映し出されていた。近代兵器で、モンスターと戦う軍隊がいくつか。異界のモンスター達に近代兵器は通用するのだろか?
「無理矢理戦わされている者達は、死ねば現世に戻すが、そうで無い者たちは、そのまま転生の道へ行き、新たなゴブリンという名の生を歩んでもらう」
異界のモンスター達に銃弾は効かない。撤退を始める軍隊だが、どこに撤退する気なのか?
「今年も亜樹はやりたいことをしろ。それが亘の願いだ」
挨拶が終わり、蓮達と家に戻った。
---七草真由美---
うぅ~ん…目が醒めると、上に達也君がいた。あれ?ここって、体験の間かな?部屋を見回すと、ロッジ風の部屋にいた。ここは?
「あれ?真由美さん…どうして…」
達也君は私と交わっていることに動揺していた。私から離れる達也君、私からは達也君の体液があふれ出していた。これって…全裸の達也君が、部屋を調べ始めた。
「ここはどこだ?」
窓から朝日が差し込んでいる。窓の外は森のようだ。木しか見えない。いや、木々の隙間から湖のような湖面が見えた。ベッドから起き上がると、私も全裸で達也君の体液塗れであった。
「シャワーを浴びてきます」
ベッドの周囲を見回すが、脱いだ衣服の類いが見当たらない。着替えはどうすれば…シャワー室にはガウンが2枚。私と達也君の分だろうか?
「ここは、現世では無いのか?」
「どういうこと?」
「深雪の気配が感じられない。深雪とは精神的リンクをしているのです」
精神的リンクとは精神系の能力者同士のネットワークと言われている。そのリンクが切れるのは、相手が死んだ時と、世界の位相がズレた時と言われている。シャワーを浴び、ガウンを着た達也君とともに、このロッジがから出てみた。
周囲には似たロッジがいくつかあり、他の建物は見当たらない。
ロッジに戻り、家捜しをするが、私達の持ち物は無かったが、下着と簡単な衣服が何セットか発見をした。おかげで、ガウンを脱ぎ、服に着替えた。居間らしきに入ると、テーブルの上に。
『新年を迎え、新しい家族と新しい土地で生きよ』
と、メッセージがあった。
---鳥居亜樹---
宮野医院の会議室に、関係舎が集まった。参加メンバーは俺、夏美、九内伯斗、宮野先生である。
「今年の方針であるが、私と賢者の作ったシステムが起動した」
と、魔王九内伯斗が会議を切り出した。
「異世界と仮想空間を融合したシステムで、犯罪者及び悪しき心の持ち主は強制転移させ、それ以外の者達はVRゲームを通じての参加となる。当然強制転移者達はログアウト出来ないデスゲームとなるが、それ以外の参加者達は、ログアウト出来る。他にも知ってはいけないことを探る者達はログアウト無しでのフルダイブでの参加となる」
平和を維持するには、平和を維持したい者達を隔離する必要があるってことだな。さすがは大賢者様と魔王様である。仁智の及ばない考えであるな。
「オートマタを利用した義手、義足の開発はそのままで、それと並行してホムンクルム、及びサイボーグの開発にも着手する」
ホムンクルムとは人工生命体であり、魂の揺り篭である。これが開発出来れば、俺と神主は分離出来るかもしれない。
『僕は分離されたくないから、拒否だよ』
って、俺の守護霊様。
「まぁ、こんな感じだよ。俺はGAMEの管理を主体とする。蓮と茜は引き続き亜樹のガードで、田原と近藤は敷地のセキュリティーの管理を頼む」
九内伯斗は自らの配下に指示を出した。あれ?桐野先生は放し飼いか?
『いや、宮野先生にお任せらしい』
と神主。
◇
妄想初めに何をしようかな。薄い本を書くかな。その為には取材…俺はディパックを背負い、バイクに跨がった。一人で旅立った筈なのだが、蓮と茜、そして深雪と蘭が付いて来た。あれ?
「あれ、じゃないでしょ?護衛を撒こうとはいい度胸ですね」
って、蘭。いつの間に護衛になったんだ?
「深雪は?」
「私は婚約者候補ですよ。置いて行くのは納得できませんね」
ライダースーツ姿がなんか、エロい深雪。身体の線がくっきりと…で、今日は迷わずに、東京の佐田グランドホテルに着いてここに停泊かな?
部屋の入ると、先ほどの抱いた妄想を軸に本を書いていく。着ているライダースーツに襲われる話…