---宗方亜樹---
母の遺産を相続し、ひなびた温泉地にある潰れた温泉旅館に移り住んだ。宗方姓は母の姉の嫁いだ家の物である。母の旧姓は神代で、俺の本来の姓は鳥居である。兄は義兄で宗方家の踏襲で、義妹の夏美の本来の姓は神代である。夏美の母は俺の母の妹で、婿を取り、神代姓を貰ったそうだ。
血のつながりのない三兄弟である。だが、神社の家系である神代家の血を持ち、それぞれが特異能力を持っている。
イリュージョニストでウィザードな兄の一弥は『幻想殺し』、俺はマジックキャスターで絵師の俺は『不可視視力』、モデラーの妹の夏美は『人形使い』
である。
神代家はヨハネの黙示録の作者の末裔である代羽家の分家であるため、血族にはそのような特異能力持ちがたまに生まれるらしい
神代神社には、予言書があり、今後起きるであろう出来事が残されている。今後、敵対するであろう家系や組織などがわかっている、それを元に、取り除くのは血族の務めらしい。
「なるべく関わらないようにするか」
兄が呟いた。それぞれの仕事もあるので、血族の務めばかりしている暇はない。俺は、シエスタの全裸をデッサンしまくっている。画集を作るため、それを売れるように。
「ねぇ、全裸を見ないで描かないで」
服を着ていても、裸婦画は描ける俺。寧ろ夏美がシエスタの全裸を見て、フィギュアを作っている。兄はイリュージョンのアシスタントに使う気マンマンである。
「来月、マジックショウするから、亜樹も頼むよ」
まぁ、お客さんをデッサンするかな。透視マジック…服の上から下着を描くという。マジックでも何でもない。タネも仕掛けも無い、固有スキルである。兄のマジックも固有スキルであるから、タネも仕掛けも無い、
「人形ショウしようかな」
とは、夏美である。『人形使い』は意識を狩った人間を自由に操ることができるスキルである。
俺達はインチキ手品師である。スキルだからね。
「自称探偵を呼んで、ネタ探しさせるかな」
兄が悪い笑顔を浮かべた。
「工藤優作、新一の親子とか…息子の新一は亜樹ソックリらしいから」
---佐藤美和子---
公安から監視対象者の写真が送られてきて、皆驚きの声を上げた。
「これって、工藤君ですよね」
監視対象者の顔が、捜一が協力してもらっている高校生探偵である工藤新一君にそっくりであったのだ。
「監視理由が国益に反するとしかわからんのだ。どう反するのかはわからない」
目暮警部が困ったような声をあげている。
「犯罪者ではないんですか?」
白鳥君が疑問を呈した。
「あぁ、まだ犯罪を犯していないそうだ。」
「まだ?」
「犯罪行為に走らないように、監視しろという上からの指示だ。問題は彼らのヤサが警視庁の管轄エリアの外であることだな」
彼らが選んだ移住地は、」他県他県の山中の温泉地だそうだ。
「更に問題は、その温泉街は私有地であることだ」
大地主一族なのか?
「敷地外から、監視ってできるんですか?」