---服部平次---
工藤の彼女が何かをされて、過剰防衛でパクられたらしい。仕返しがしたいが、あのチンコイ身体では無理って事で、ワイに代わりをせいと言うのだ。
「なぁ、平次。工藤くんは、ほんまに仕返しがしたいっていうたの?」
「あぁ、そうじゃ。あの姉ちゃんがパクられるって、ありえん罠を使ったんやろ?そんな卑怯ものは、ワイが成敗してくれる」
アベックを装う為、和葉と上京し、品川駅で工藤ソックリなヤツを見つけた。きっと、コイツや!天はワレに味方をしてくれたんや!
---鳥居亜樹---
やっと温泉へ向かうことになった。品川駅で乗り換えして…いきなり右側頭部に激痛が…そして、三度の入院ってなんでだよ?俺、何かしたか?
「妃先生、俺の顔を変えて下さい」
この呪われた顔が悪いんだ。
「何を言っているの?むしろ、元に戻さないと…あなたのお母様が下さった顔でしょ?」
そうは言うが、この顔のせいで、入院が多い。チタンで出来た人工頭骨にヒビが入ったそうだ。生身だったら即死レベルだったらしい。
「亜樹君は何も悪く無い。100%、相手が悪いんだから、気を強く持ってね」
精密検査の結果、脳にダメージは無かったそうだ。そして、顔も整形手術を受け、元の顔に近くなった。大きな傷跡は残るけど…
退院時には護送車みたいな車で家に帰宅した。もう家から出ること考え無いようにしよう。
退院後、家に引き籠もりをして仕事を熟していく。あぁ、デッサンをしに行きたいな。新作の桜の絵を描かないと…
妃先生、美和子さんに担当編集の鈴木さんと一緒に温泉旅行に行くことになった。問題が起きたときに護衛が3人も居るので、今回は安心かな?出発前
夜、夏美は、俺の薬の用意をしていた。主に鎮痛剤と胃薬であるが…
だけど、今回もまた温泉には行けなかった。
出発当日、家に皆がいるのだが、朝一で、来客があった。
「FBIのジョディ・スターリング捜査官です。実は、安芸桜の贋作が見つかったので、絵の鑑定をして頂きたいので、一緒に来て貰います」
と、連れ出されてしまった。車に乗せられると直ぐに薬を嗅がされ、意識はどこかへ旅立った。
---妃英里---
美和子さんが警視庁に問い合わせている。安芸桜の贋作事件ともなれば、世界的に大問題になっているはずだから。
「え?そんな事件が起きていないんですか?今、亜樹君がFBIに連行されていったんです」
「発見されていない?亜樹君が鑑定人として連れて行かれました」
警視庁、鈴木家を巻き込んでの大捜索が始まった。
「誘拐?家の前から連れ去るとは大胆過ぎるだろ?」
目暮警部が直ぐに臨場してくれた。亜樹君は捜一に知り合いが増えていたから。
「彼の透視スキル狙いだと、犯罪に巻き込まれそうだ」
「でもお兄ちゃんの透視スキルは服を着ている人が全裸に見える以外に、能が無いですよ。金庫の中身は見えないし」
と、夏美ちゃんが首を捻っている。
「そうなると、絵師としてのスキルか?」
「その場合、飼い殺しか、監禁ですね」
って、鈴木さん。コレクター相手に商売すれば、大儲けは出来るが…ストレス下で良い絵が描けるとは思えないそうだ。
「最後に残るのは営利誘拐になるか。今、彼に動かせる金額はいかほどですか?」
警部が私に訊かれた。
「個人預金の分だけです。殆どの財産は彼が成人するまで動かせないんです」
たぶん、微々たる物である。
---ベルモット---
顔の半分は工藤新一で、右半分は傷だらけの男。コイツが、私達をはめた容疑者一番手である。
「バーボン、本当にコイツか?」
「あぁ、コイツのヤサに侵入して直ぐに意識を持って行かれたからね」
暢気そうな顔の男。とても、ジン達に手を掛けたとは思えない。
「そういえば、ラムの許可は取ったのですか?」
「連絡が取れないんだ。もしかすると、既に…」
コイツの手に落ちたのかもしれない。
うっ…何かが股間を這っている。何が這うというのだ?幻覚か?突然、どさっ!と音が背後からした。
「バーボン?」
背後に振り向くと、白目を剥き、泡を吹いて倒れたバーボンがいた。何者だ?
首に何が這う感覚がして、一気に上に首が引っ張り上げられた。首に縄が巻かれ、上に吊り下げられているようだ。床にはうっすら着くことが出来るが…
「うっぐっぅぅぅ」
苦しい…何かが股間から出てきている。それも太い…出てきた何かが、臍の上を通り、胸の谷間を通り…胸から大蛇が飛び出して、私の舌に噛みついている。こんな現実があってたまるか、幻覚に過ぎない。