その間、猿男くんからの連絡はなかったし、猿男くんに連絡をつけることも出来なかった。
一体どうしたんだろう。
父さんと母さんは…何か色々言ってくる。
けどそれは私が知りたいことじゃないし、私に必要なことじゃない。
猿男くんは一体どうしたんだろう。
私はこんなにも猿男くんのおちんちんを必要としているのに。
どうして何の音沙汰もないんだろう。
そうだ、
そう思って哮くんに電話を架けてみたけど…。
「おかけになった電話番号は、お客様のご希望によりお繋ぎできません。」
着信拒否?
哮くんも、一体どういうつもりなんだろう。
軽く怒りを覚えた私は何とか家を抜け出して、大きなお腹を抱えて哮くんの家に向かった。
哮くんの家にたどり着くと、そこには哮くんの後輩と、同級生の子がいた。
「あっ!先輩!お久しぶりッす!」
「先輩も哮に事情を聞きに来たんですか?」
二人とも大きくなったお腹を抱えていた。
私は応えて言った。
「うん、そうなんだ。君たちもそんなにお腹が大きくなっているのに…やっぱり私たちには猿男くんがどうしても必要なんだね。」
「先輩もご一緒なら私たちも心強いです。一緒に哮を問い詰めてやりましょう。」
そして私たちは玄関の前に立ち、呼び鈴を押した。
ドアが開き、そこから…見たことのない女が姿を現した。
両サイドにシニヨンを結った茶色のロングヘア。
白いブラウスに水色のパンツ。
…出てきた女は人間じゃなかった。
確か艦娘ってやつで…名前は、金剛…だった。
その金剛は私たちを見るなり、和やかな笑みを浮かべてこう言った。
「You are welcome!そしてgood bye!哮クンはアナタ達には会いマセン。please go home!」
この金剛は何を言っているんだろう?
苛立った私は、まずこの金剛に聞いてみることにした。
「いきなり出てきて何を言ってるんですか?と言うか、なんで艦娘のあなたが哮くんの家に居るんですか?」
「ワタシは縁あって哮クンの用心棒を引き受けることになりマシタ。哮クンに害を為す人を退けることが、ワタシのmissionデス。」
「害を為すって…私たちはただ哮くんに聞きたいことがあって来ただけです。邪魔しないでくれますか。」
「アナタ達の動画、ワタシもいくつか確認しマシタ。」
「!!」
哮くん…あの動画をこの金剛に見せたの?なんで?
少し混乱した私を見て、金剛は言った。
「動画を確認して哮クンからも話を聞きマシタが…アナタ達は存在自体が哮クンに害を為していマス。please go home!」
存在自体が害と言われては、黙ってはいられない。
けど、後輩の子が私よりも先に金剛に食ってかかった。
「私たちが哮先輩の害になってるって、どういうことッスか!アンタにそんなこと言われる覚えはないっすよ!」
「アナタが猿男クンにfuckされてる…アナタと猿男クンがセックスしている動画、ワタシも見マシタ。」
「とてもとても気持ちよさそうで…素敵デシタよ。ワタシも男だったら、是非アナタとセックスしてみたいデスね。」
「そ、そッスか?な、何か照れるっスね。」
「動画の中でアナタは何度も何度も気絶していマシタね。」
「そうなんッスよ!猿男先輩のおちんちんって、ホント凄く気持ち良くって!アタマの中ホントに真っ白になっちゃうんッス!」
「アナタは哮クンともセックスしたそうデスが。」
「ハイ!哮先輩とセックスしたときも結構気持ち良かったっス!」
「結構気持ち良かった、デスか。気絶するほど、ではなかったのデスね。」
「ハイ!哮先輩も良いっスけど、やっぱり猿男先輩の方が凄いっス!」
「やっぱりアナタは哮クンに害を与えていマス。」
「!?ど、どういうことっスか!?」
「猿男先輩の方が凄いという言い方をされると、哮クンは『じゃあ俺は凄くないのか、大したことはないのか』と思ってしまいマス。」
「!わ、私…そんなつもりは…!」
「しかも自覚がない。アナタがいくらそんなつもりはないと思っていても、そんなこと哮クンにはわかりマセン。動画の中でアナタが見せた姿、アナタが言った言葉は、哮クンに『俺はダメなヤツだ、大したことないヤツなんだ』と思わせているのデス。」
「そんな…それじゃ私、どうすれば良かったって言うんスか!?」
「どうしようもありマセン。そしてアナタはアナタである限り、これからもこうして誰かを傷つけ続けていくのデショウ。
「…………。」
「いずれにせよアナタは哮クンにとっては害毒デス。哮クンに会わせるわけにはいきマセン。please go home.」
「何なんですか!その一方的な言い方は!」
後輩の子が金剛に黙らされると、今度は哮くんの同級生が金剛に食ってかかった。
「ワタシは事実を申し上げたまでデス。そしてアナタも存在自体が哮クンにとっては害毒デス。」
害毒呼ばわりされて、同級生の子は何か言おうとしたが…それを制して金剛は言葉を続けた。
「アナタは哮クンの告白を拒絶したのデシタね。」
「あ…あれは…おちんちん勃起させて『付き合ってください』なんて言う人…断られて当たり前でしょう!?」
「ワタシはpenisをギンギンに勃起させた提督に『金剛!ヤらせろ!』ぐらい言って欲しかったデスけどネ。」
「あなたと一緒にしないで!」
「マア、それはどうでもいいデス。でも結局アナタは強引にアナタと肉体関係を持った猿男クンの恋人になったのデシタね。」
「そ…そうです、けど…。」
「いきなりアナタをレイプした猿男クンを受け容れて、penisを勃起させながらも一応マトモな手順を踏んだ哮クンを拒んだ理由は何デスか。」
「…そ、それは…。」
「アナタはレイプされたくって仕方ない女性なのデスか。哮クンもマトモな手順を踏んだりせずアナタをレイプしていれば、アナタと結ばれる可能性はあったのデスか。」
「そんなわけないでしょう!」
「じゃあ何故アナタはアナタをレイプした猿男クンを受け容れて、アナタをレイプしなかった哮クンを拒んだのデスか。」
「………。」
「答えられない。それは理由がないということデスね。」
「アナタは何の理由もなく哮クンを拒絶し、傷つけマシタ。アナタは何の理由もなく人を傷つけられる人デス。」
「哮クンの用心棒として、そんなアナタを哮クンに会わせるわけにはいきマセン。please go home.」
同級生の子を黙らせると、続いて金剛は私に向かって言葉を掛けた。
「アナタが猿男クンの恋人になった経緯については哮クンから聞きマシタ。」
「猿男クンに激しくfuckされているアナタを見て、哮クンはmasturbationしていたそうデスね。」
「女性が無理矢理fuckされているところを現実に目の当たりにして、することがmasturbationというのは…さすがに無いと思いマス。」
「アナタは動画の中で哮クンを嘲っていましたが、それもマア無理からぬことでショウ。」
後輩の子と同級生の子を黙らせた金剛が、私に対して理解を示すようなことを言う不自然さに、私は気づかなかった。
そもそも人には話しにくいはずの、私が猿男くんと結ばれたときのエピソードを、哮くんが金剛に
「そ、そうだよ…哮くんなんて、目の前で
「そんなことを言うアナタはやはり哮クンにとっては害毒デス。please go home.」
「な…!あ、あなただって哮くんをヘタレの変態だって思ってるんでしょ!?」
「それがどうかしマシタか。」
「どうかしましたか…って…!」
「哮クンがヘタレの変態であることは、ワタシが用心棒としてのmissionを放り出す理由にはなりマセン。」
「で、でも私は…私はっ!レイプされたんだよ?レイプされてるんだよッ!?」
「だから何だと言うのデスか?アナタは猿男クンにfuck,fuck,fuckされてhappyになったのでショウ?」
「それでヘタレで変態の哮クンのことなどサラリと捨てて、猿男クンの恋人になることを選んだのデショウ?」
「何故今になって『私は猿男クンにレイプされたんだ』などと言い出すのデスか?」
「やっぱり猿男クンにfuckされたのは嫌だったとでも言うのデスか?」
「なら何故アナタは哮クンを嘲り、猿男クンに跨がって腰を振っているのデスか?」
「fuckされていたアナタを助けられなかった哮クンは弱い。これはワタシにも否定しようがありマセン。」
「でもそうすると、アナタは弱い哮クンを嘲り侮蔑することで鬱憤を晴すような人だということになりマス。」
「いずれにせよ、アナタのような人を哮クンに会わせるわけにはいきマセン。please go home.」
…どこで間違えてしまったんだろう。
私は金剛に対して全く反論することが出来なかった。
目の前が暗くなる。
…そして金剛は、私たちにとどめを刺した…。
「もしかしてアナタたちは、猿男クンが今どうしているのか知りたくてここに来たのではないデスか。」
俯いていた私たちは、顔を上げた。
この金剛は、猿男くんについて何か知っているのだろうか。
でも、金剛の答は…聞きたくない答だった。
「猿男クンは今警察に追われていマスよ。」
「け…警察!?ど、どうして…!?」
「どうしてって…猿男クンはあの動画の中で、まだ中学生にもなっていない女の子をfuckしていたデショウ?」
「しかも、こんな動画なんて決定的証拠を残したりして、警察が動くのはむしろ当たり前デスヨ。」
「
「それがわからないアナタたちは…。」
目の前の暗さが濃くなった。
「…まだマトモな方だった哮クンを捨てて、アナタ達が選んだ猿男クンは、こんなヤツだったということデス。」
「今、哮クンはもう一人の用心棒と共に、ヘタレの変態だった自分を乗り越え、生き直そうとしていマス。」
「デスが哮クンを捨てたアナタ達が、哮クンに顧みられることは、もうあり得ないデショウ。」
「アナタ達がしでかしてしまったことは、もう取り返しがつきマセン。」
「後は成り行きに任せて…それからアナタ達も生き直すことを、お勧めしマスよ。」
目の前は、真っ暗になった。
ただ、意味の無い光が目に入るだけになった。
何か考えられるようになったとき、私は自分の部屋、自分のベッドの上に居た。
考えられるようにはなったけれど、正解は思いつかない。
ただ、自分は間違えたのだ、愚かだったのだ、と私を責める言葉だけが頭の中に渦巻いているだけだった。