「はあ……♡ はあ……♡」
服を脱いでまっさらな状態になったわたしは、顔を赤らめながら足をもじもじさせる。
宿に連れてこられるまでに虐められ続けた体は、すっかり出来上がってしまっていた。悶々とした疼きが体の中に閉じ込められてぐるぐると動き回っている。
今すぐイキたくてたまらないけど、ご主人さまは許してくださらなかった。部屋に入ってからというもの、ずっとあたりを物色することに集中している。
その間、わたしはずっと熱に浮かされながら悩ましげに吐息をついていた。
「っつ……♡」
この室内は、ふつうとは少し違う。
ベッドや机があるのは、まあいい。けれど、部屋のあちこちに打ち付けてある鉄でできた太い割っかや、壁に掛けられた道具類の数々が放つ存在感はまさに異様と言っていい。
平たく言えば、ここは調教部屋であった。
入口と反対側には、こぢんまりとしながらも重厚なつくりをしたドアがある。ご主人様がそこに手をかけて、ちらりと中を覗いた。
「ふうん……」
中は暗くてよく見えないが、きっとヤバいものがたくさんあるに違いない。
ひとりびくびくしていると、ご主人様がくるりとわたしのほうを向き、ふっと薄く笑った。
「まあ、今日のところはいいか……」
ゆっくりと扉が閉まる。
ほっとため息をつくが、安心できたのはわずかな間だった。ご主人様が壁に掛かった怪しげな道具を手に取ったからだ。金属でできた少し長い棒で、その両端からは短い鎖が二本伸びていた。
一方の鎖の終端には足輪のようなものがついており、その内側は毛皮で覆われている。そしてもう一方の鎖の終端には、小さなフックのようなものがついていた。
「シズク、そこに足を開いて膝立ちで座りなさい」
「かしこまりました……」
広い部屋の中央部にはやわらかそうなマットレスが敷かれていた。座り心地はよさそうだが、気になる点が一つだけある。所々に穴が開き、そこから例の太い鉄の輪っかが顔をのぞかせているのだ。
ご主人様が指差した先は、まさにそれがあるところだった。
まず床に二つ。それからその真上の天井にもいくつかあり、鎖が垂れてるものが何個かあった。
「そう、そこよ。そこに足を置きなさい」
「はい……」
指示された通り、両足をそれぞれ床から出た輪っかの近くに置いた。そうすると自然と足が開く。
「じっとしてなさい」
ご主人様がしゃがみ込み、わたしの足を持ち上げた。そしてまずは足輪を両方の足に取り付けると、ついでフックを床から出た輪っかに取り付けた。
「ちょっと体を動かしてみて」
「はい……あ、あれ?」
足に力を入れるが、棒が邪魔になって閉じることができない。ならばと前に出ようとするが、こちらも残念ながら徒労に終わった。
棒から伸びたフックと床の輪っかが短い距離で接続されているので、開脚したまま縫い留められた状態になってしまったのだ。
「うん、よし。じゃあ次は……」
「あうっ」
むしょうに恥ずかしくなって局部を手で隠そうとしたが、その試みはあえなく潰えた。
腕を動かそうとした瞬間、ご主人様がわたしの両手首をむんずと掴み、動かせないように拘束したからである。
「手を後ろに組みなさい」
「はい……」
言われた通りに手を後ろに回し、腰のあたりに持ってきたが、ご主人様のお眼鏡には叶わなかったようだ。乳首が無造作にはじかれる。
「ひゃうん♡」
「そうじゃない、こう!」
わたしが嬌声を上げている間に、ご主人様は手の位置を移動させた。
手が首の下あたりに配置され、先ほどよりも肘の位置が上がった。少し胸を突き出すような格好になって、薄っぺらいおっぱいとロリ乳首が強調される。
続いてご主人様が細い革でできた首輪と、金属でできた手錠のようなものを持ってきた。
首輪には後ろに小さなリングがついていて。手錠のほうは二つの輪の中間地点から太い縄が伸びており、その終端にはこれまた小さなリングがついていた。
ご主人様が天井から伸びた鎖を手に取り、首輪についたリングと接続する。それからそのリングに手錠から伸びたリングを繋いだ。
それらをわたしから見えるところに持ってきてぷらぷらさせた後、ご主人様は念入りに鎖の長さを調節した。
「これを、こうして……」
ご主人様がわたしの喉に手を添えて首輪を巻き付ける。次に後ろに回って手の位置を調節し、カチャっと手錠をかけた。
「ふうっ」
自然と胸を強調するような姿勢になる。やっとの思いでちらりと視線を下に向けると、いじめられるのを待つかのように勃起した乳首がぴいんと上を向いていた。
「最後にこうして……っと」
「ふあっ!」
じゃらん、と背中側で鎖の音が鳴った。ほどなくしてしっぽに刺激が走る。きゅっと何かが巻き付けられたような感覚だった。
不意打ちのような刺激に悶えていると、くいとしっぽが上方に引っ張られた。ただ幸いにもその力はさほど強くはなく、わずかに違和感を覚える程度の引き方だった。
「ちょっと動いてみなさい」
「はい……んぐっ!」
手や足が動かないことはもう分かっていたが、なんと体を倒すことすらままならなかった。そしてすぐに、首輪と天井が鎖でつながれているからだと気づいた。
しばらく身をよじらせていたが、じゃらじゃらという鎖がこすれる音が鳴るだけだった。そのうちだんだんと疲れてきたので、わたしは諦めておとなしくすることにした。
それを見て、ご主人様はさも満足そうにうなずいた。
「ふむ……」
ご主人様が目線をゆっくりと上下させてわたしの体を視姦する。
毎晩ベッドで生まれたままの姿で交わっているとはいえ、まったく抵抗できない状態でまじまじと見られるのはまたいつもと違った恥ずかしさがあった。
知らず知らずのうちに息が上がる。
「はあっ♡ はあっ♡」
ご主人様が私とじっと目を合わせる。その瞳に吸い込まれそうになる。心臓がドキドキしてきた。
「じゃあ、今からお仕置きよ」
「はい、ご主人様……♡ どうか、よろしくお願いします……♡」
「よろしい」
ご主人様は鷹揚に頷いた後、棚から薬液の入ったビンをとってきた。
唇にビンの口が添えられる。飲むように指示されたので、抵抗することもなく口を開けてこくこくと飲み干す。
特に可もなく不可もない味で、体に違和感もない。
「あの、ご主人様。これは……?」
いったい何だったのだろうかと不思議に思ってご主人様に尋ねた次の瞬間、一気に子宮のあたりが熱くなった。
「っつ!!! ふーっ♡!! ふーっ♡!!」
「お、効いてるね」
イキたい。それしか考えられなくなる。
おまんこに手を伸ばそうとするが、そんなことはできっこない。厳重に拘束された両手は全く動かず、じゃらじゃらと虚しく無機質な鎖の音が響いた。
「お願いしますご主人様ぁ! これ取ってください……ああんっ♡」
必死に懇願するが、ご主人様はまったく意に介さず作業を続けていた。
いつの間にやら持っていた香炉を正面の小机に乗せ、慎重に火をつける。かすかに白い煙が立ち上りはじめた。
「はぁ……♡ はぁ…………んんっ♡♡♡!!!」
にわかに空気の匂いが変わった。ひと吸いするたびに体中が火照る。そしてそれは収まることなくどんどん蓄積していった。
「だめ、これはだめです、頭おかしくなっちゃいます! ご主人様ぁ、どうか……お願いします……」
一分もたたぬうちにわたしの体は完全に出来上がってしまっていた。これ以上じらされたら本当に壊れてしまう。
だからすぐにでもイきたかったけれど……ご主人様の口から出てきたのは、耳を疑うような一言だった。
「……じゃあ、私はちょっと出かけてくるから」
「……え」
「ああ、窒息はしないようにしてるから大丈夫よ。それじゃあね」
引き留める間もなく、ご主人様はさっさと部屋を出て行ってしまった。
扉の開閉の時に一瞬だけ新鮮な空気が入ってきて熱が少し収まる。しかしほどなくしてふたたび催淫の香が部屋に充満し、疼きが止まらなくなった。
「おねがい、いい子にするから……。イきたいよぉ……♡ おねがいします……」
なんとか気を紛らわそうと周囲を見回す。
しかし、そもそもがヤリ部屋である。案の定というべきかその行為はより体を興奮させるだけに終わった。
壁にとりつけられた棚にはバイブが保管してあった。指何本分かよくわからないほどの太さで、あちこちに突起がついている。一目見ただけでもエグさがわかる。
その横には、はたきのような形状をした調教用のバラ鞭が掛けてあった。見た目だけでそんなに痛くはないものとはいえ、断じて叩かれて快感を覚えるようなものではない。
でも今のわたしなら、あれでお尻をぶたれるだけで余裕でイってしまいそうだった。
「はぁ♡ はぁ♡ だめ、だめよわたし……♡」
脳内に桃色の妄想が染みついて離れない。だからせめてその原因を断とうと、わたしは目をつぶって部屋の中を見ないようにした。
「はあ、はあ……♡ これで…………っつ♡♡♡!!!」
少しはましになるかと思ったのも束の間、そんなに甘いことはなかった。目からの情報がなくなったせいで、その他の感覚が鋭敏になったのだ。
「ふーっ♡ ふーっ♡ まって、これ、むり♡♡♡!!!」
無駄なことと分かっているのに無様にがたがたと体を動かしていると、突然体に強い衝撃が走った。
鎖につながれていたしっぽがいい感じに引っ張られたのだ。
「あぁん♡♡ んっ♡ んっ……♡ ああっ♡♡♡!!!」
半ば気が狂ったようにぐいぐいとしっぽを刺激する。
そしてついに、軽くイクことに成功した。
――でもそれだけで興奮が収まるはずもなく。こうしている間にも媚薬は常に体を苛んでくるのだ。
「はぁ……っ♡ まだ、まだたりないよぉ♡ もっと、もっと♡♡♡」
前後左右に体をゆすってイキ続けていると、だんだんと熱が収まってきた。これなら何とか耐えられそうだと思い、わたしは止まることなく体をゆすり続けた。
しかし現実は非情である。最初のうちはともかく、そのうちしっぽでイクだけでは解消できなくなってしまった。それどころか、イッてもイッても逆にたまっていく始末である。
それもそのはず。毎日念入りにご主人様の種付けを受けて精液で子宮を満たされることに慣れ切ったメスの体は、自慰くらいでは満足できなくなっていたのだ。
それでもなお、しばらくは本能的に体を動かしてイキ続けた。しかしそのうちそれが意味のないことでるあると気づくと、わたしは静かにその場にとどまった。
「うぅ……ご主人さま、はやくかえってきてください……」
疼きは容赦なく増していき、わたしの中で渦巻いていた。でも、だからといってどうすることもできない。
イけないことがこんなにつらいなんて夢にも思わなかった。視界が涙でぼやけてくる。
「ご主人さま……ごめんなさい……ごめんなさい……」
部屋にはわたししかいないから意味もないというのに、わけも分からず謝り続ける。わたしには、ただそうすることしかできなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさ…………ぁ」
ふと、きぃという音が鳴った。そして扉が開く。
ご主人様だった。
「ご主人さまあ」
わたしのほうに顔がくるりと向いた。気のせいでなければ、その頬はさっき出て行った時よりも赤かった。
「お願いします♡ わたしの淫乱おまんこ、ご主人さまのたくましいおちんぽでしつけてください♡ わたしがご主人さまのメス奴隷だって、どうか刻み込んでください♡ ご主人さまのことしか考えられなくなるように、いっぱいザーメンくだしゃ……っひゃあああ♡♡♡!!!」
ご主人様がわたしに上から覆いかぶさる。そして間髪を入れず、わたしのメス穴におちんぽを挿入した。その目は血走っており、理性が吹き飛んでいるようだった。
ガツガツと容赦のないピストンが間断なく襲い続ける。わたしが気持ちいいかどうかなんて全く考えていない、まさしくオナホのような扱いだ。
でも、わたしはご主人様に使っていただけるのがうれしくて、どちゅどちゅとガン突かれるたびにこの上ない幸福感を感じていた。
「ああん♡ もっと♡ もっとぉ♡」
さっきからイキっぱなしで、高みから戻ってこれない。これ以上は危険だと理性が囁くが、メスの本能には抗えずオスを煽るようなことしか言えない。
「ご主人さま♡ すき♡ すき♡ だいすきなの♡」
びきい、とおちんぽが音を立てる。次いでピストンがより一層苛烈になった。わたしは髪を振り乱しながら激しくイキ散らかす。
「ああっ♡ イク♡ イキましゅ♡♡」
膣壁にびくびくとした振動が伝わってきた。射精の合図である。わたしは覚悟を決めて受け入れる準備をした。
「…………あああああああ♡♡♡!!! ……ぁ」
目の前がチカチカする。花火の光を間近で見たかのように、しばらく視界が真っ白になる。
「……ぅ……ぁ」
昂ぶり続けた結果の深イキなので、体力が持っていかれて意識が落ちそうになる。
でも、そんなことは許されなかった。身の程もわきまえずオスを煽ったツケを払わねばならない。
杭打ちピストンでまどろみからたたき起こされる。
「あ♡ 気絶してごめんなしゃい♡ しっかりごほうしします♡」
おまんこをしっかり締め付ける。そうするとおちんぽが膣壁をえぐるときの刺激が大きくなってしまうが、ご主人様が気持ちよくなることが一番大事だ。
イキっぱなしになりながらも、わたしはいっしょうけんめいご奉仕した。
そうして何度目かの射精を経て、何回もたたき起こされながらもなんとか気を振り絞って耐え続け、ついにご主人様が私のナカからイチモツを抜いた。
その瞬間、ふっと気が抜けて、わたしの意識は闇の底に沈んでいった。
「……ぅう」
「……起きた?」
目を開けると、ご主人様が私の顔を覗き込んでいた。
「あれ、わたしはいったい……?」
きょろきょろとあたりを見回すと、液体でぐっちゃぐちゃになった部屋が目に入ってきた。
「あの、ごめんね、シズク。さすがにやりすぎだったわ」
ご主人様がぽりぽり顔を搔きながら気まずそうに眼をそらす。
「媚薬を焚きすぎて、私まで理性飛んじゃってたみたいなの……」
いつもとは違ってご主人様がおどおどしている。わたしはそのようすがなんだかおかしくて、思わず吹き出してしまった。
「ちょっとなによ~その笑いは!」
「いえ、ごめんなさい。ふふっ」
さっきまでは少し怖かったけど、もとの優しいご主人様に戻ったみたいだ。わたしもさんざんイカせられたので、あんなに渦巻いていた熱さは跡形もなくなっていた。
「……ね、ご主人様」
「なによ」
ご主人様が唇を尖らせながら言う。
わたしは微笑みながら言葉を返した。
「キス、してください」
ご主人様は少し驚いたように目を見張ったが、すぐに表情を崩してやわらかく微笑んだ。
「うん、いいよ…………んっ」
「っ♡ っ♡」
舌を入れ、絡めるように舐めあう。ぴちゃぴちゃと湿っぽい水音が鳴る。
「ん……ぷはぁ」
「はぁっ♡ はあっ♡」
ちょぴりエッチで、お互いを労り合うようなキスだった。
二人の間には、あたたかな時間が流れていた。
これにて完結です。
お付き合いいただきありがとうございました。