正義の騎士は四肢を奪われ、その母胎を触手へと捧ぐ 作:春風れっさー
オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル
タグ:R-18 残酷な描写 四肢欠損 触手 出産 箱詰め ダーク
そしてその力を奢ること無く民のために振るう彼女は、今日も騎士団を率い悪を討たんと通報のあった洞窟へと向かう。
しかしそれは、シェリアを手中に収めんとする者の巧妙な罠であった――。
清廉で美しい少女騎士が触手に捕まり、手足を奪われ孕むだけの肉袋にされるお話。
世界は悪意に溢れ、その犠牲となるのはいつも無力で善良な人間たちだ。しかしだからこそ、守るために剣を取る人間も存在する。
シェリア・ゼナ・ミルザークと彼女に率いられた騎士団、銀月騎士団はその典型であった。
「はああああっ!!」
裂帛の気合いと共に振り下ろされた剣は、過たず小鬼の頭をかち割った。洞窟に小鬼の断末魔が響き渡る。シェリアは素早く剣を振って血を払うと、次の標的目掛け剣を振るった。彼女は血飛沫と剣閃と共に舞い踊り、括った美しい銀髪を揺らす。
彼女が剣を降ろした頃には、醜い緑色の肌をした小鬼は一匹もいなくなっていた。銀色に輝く鎧には返り血はあれど、傷は一つもない。月の化身のように美しい立ち姿のまま、小鬼の死体の山を見つめていた。
剣を収めたシェリアへ、労うように赤い髪の副官が声をかける。
「お疲れ様です、団長」
「あぁ、ブレイズ。少々手こずったがな」
シェリアは部下たちを眺め一人の欠員もないことに満足そうに頷くと、髪をかき上げ安堵の息を吐いた。
煌びやかな銀髪、ダークブルーの瞳。月の女神とも例えられたことのある美貌を湛えた少女は、しかしそれでも歴とした騎士団の団長だった。
齢十八にしてその地位に就くことが出来たのはやんごとない血筋の影響もあるが、それ以上に普段の努力によって身につけた剣術の賜物であった。副官のブレイズ以下騎士団一同、皆が彼女の実力を認めている。
現に今いる洞窟に転がっている、数十に及ぶ小鬼はその過半数がシェリアの手によって仕留められた物だ。
「しかし解せんな」
シェリアの漏らした疑問の言葉をブレイズが拾う。
「何がです?」
「小鬼しかいないことだ。報告では、ここには我々が追っている犯罪組織がいるはずだった」
最も弱い怪物である小鬼を踏みつけながらシェリアはぼやく。
シェリア率いる銀月騎士団はとある犯罪組織を追っていた。その組織は国の全域に出没していて、ここ数年間国にとって一番の悩みの種だった。
村落を皆殺しにするのは当たり前。川に有毒物質を大量に流して生態系にすら損害を与え、悪辣なものになると婦女子と異形を交じり合わせ出来た子どもを国外に売り飛ばして儲けるなどということもあった。
業を煮やした上層部は犯罪組織を討伐するための騎士団を編制した。それが銀月騎士団である。
犯罪組織を捕らえるために貴族領すらも飛び越える権限を持つ騎士団は、その責務として犯罪組織の根城があると噂の洞窟へ踏み込んだのだが。
「どうせまた、空振りでしょう」
そう言ってブレイズは肩を竦めた。犯罪組織は狡猾で、こうして有力な情報だと信じて踏み込んでも逃げられたり、そもそも偽報であったりすることが多かった。報告を聞きつけここまで来る労力が無駄になることに、騎士団は悪い意味で慣れ始めていた。
しかしシェリアは首を傾げる。
「いや今までならば組織の痕跡なり、もしくは見間違えるに値する何かが存在していた。しかしここにいたのは小鬼だけ。これは不可解だ」
シェリアの言葉に、ブレイズも気を引き締める。
「では何かあると?」
「そう思って行動した方が良い。なにか証拠を……」
シェリアが命令を下そうとした瞬間、洞窟に轟音が響き渡る。
「何っ!」
「団長! 洞窟の入り口が崩落しました!」
駆け寄ってきた団員の報告にシェリアはすぐに組織の仕業だと当たりをつけた。自然現象としてはあまりにタイミングが良すぎる。
「外に残してあった団員たちは!」
「崩落の向こう側からの声は聞こえません! 聞こえていないだけか、それとも……」
「くっ、罠か」
歯噛みするシェリア。しかし状況は彼女に悔しがる時間すら与えなかった。
ブレイズの鋭い声が洞窟に響く。
「奥から化け物が来たぞ!」
シェリアを始めとする洞窟に残された騎士団の団員は素早く構えた。そして目撃したその異様に目を瞠る。
「なんだ、これは」
それは触手の化け物だった。胴の長いイソギンチャクというのが一番近いだろうか。大蛇のように太く長い胴体にうねうねと触手が蠢く頭部が生えている。その大きさは鎌首をもたげるだけで人二人分くらいの高さである洞窟の天井に頭をこすりつけるほどだった。
「散開しろ! 押し潰されるのを避け、近づいて攻撃を」
シェリアは冷静だった。自らよりも数倍の大きさを持つ相手でも的確に行動しようと指示を出す。しかしシェリアが言い終えるより早く、化け物の口から桃色の煙が勢いよく吹き出した。閉鎖空間となった洞窟に煙はみるみる充満していく。
「な、これは……」
そう言いかけたシェリアはがくんと膝を突く。他の団員も同じだ。
遠のき始めた意識に煙の正体を思い当たる。
「まさか、催眠、ガス……」
歯を食いしばって瞼を開こうと試みても、抗えず眠気がシェリアを襲う。
百の小鬼が相手であれば怯むことなく殺し尽くしてみせるシェリアも、ガスの入眠作用には敵わず倒れ伏した。
「は、ぐ……」
化け物は何をする気か。仲間たちはどうなる。微かな思考を繋ぎ止めてせめて一秒でも長く状況を憶えようとシェリアは藻掻く。
そんなシェリアが最後の瞬間に目にしたのは、マスクをつけて近づいてくる白衣の男だった。
◇ ◇ ◇
次に目覚めた瞬間、シェリアが目にしたのは気色悪く蠢くピンクの肉壁だった。
「っ!」
その異様、そして香る生臭さにシェリアは顔を顰める。
パニックを起こさずすぐに我に返れたのはやはり優秀な騎士故にだろう。だからこそ、シェリアは自分が一糸纏わぬ姿にされていることにも左程驚かなかった。
まだ女として成熟していない所為だろうか。全体的にほっそりとしていて、手足に漲るバランスのよい筋肉に健康的な色気を漂わせていた。胸はないわけではないが、胸筋に発達を阻害され薄い部類に入る。しかし女としての魅力がないこともない。腰は悩ましくくびれ、すらりと長い手足は十分な性的魅力を感じさせる。陶器のように白い肌も勝ち気そうなアーモンド状の瞳も、男を引きつけるに足る美貌を持っていた。
シェリアにとって敵に捕まって裸に剥かれることは想定内だった。周りを囲む肉壁はおぞましいが、状況は理解できる。
(囚われた、か)
上を仰げば、天井は高かった。まるで塔のような高さだ。その中に一角だけ肉壁ではない場所があり、鉄の格子が嵌められていた。扉ほどの大きさで、あそこから出入りできそうだ。
(だが、高いな)
格子はシェリアの身長二人分の高さに存在していた。当然ただ手を伸ばしても届かない。自分がここに入れられた時は、あそこから落とされたのだろうとシェリアは推測した。肉のようなこの壁床だから怪我を負わなかったのだろう。
高い、高いが、肉壁にはまるで腫瘍のような出っ張りがいくつか存在している。それを足がかりにすれば登ることは不可能では無さそうに思えた。
希望はある――シェリアがそう確認した時、格子に人影が現れた。
「やあ、健康状態は良好のようだね」
白衣を着た、鳥に似た奇妙なマスクをつけた男だった。シェリアが意識を失う寸前に見た男だ。男は格子越しにシェリアを見下ろしている。
シェリアは乳房と局部を手で隠しつつ男を睨み付けた。
「悪趣味だな。婦女子を拐かし怖がらせるのが趣味と見える」
「婦女子という柄かい? むしろ男を怖がらせる女騎士だろう、君は。……確か、『銀閃の戦乙女』と呼ばれていたのだったかな」
(二つ名を知っている……やはり、組織の仕業か)
シェリアの二つ名は轟いている。騎士としての武威も、その出自も。故に普通の盗賊如きはシェリアを狙うという発想すらない。恐れて逃げ出すのが関の山だ。そんな彼女を積極的に狙うのは追っている組織しかあり得なかった。
「ここはどこだ! 部下たちはどこにやった!」
怒鳴りつけるシェリアに対し、白衣の男は肩を竦め怖がるフリをした。
「おぉ、流石は稀代の女騎士。裸一貫になっても怖いねぇ」
「答えろ!」
「まだ会えない。とだけは言っておこうか……」
「くっ!」
チンピラであれば腰を抜かすシェリアの威迫も男にはまるで堪えていなかった。歯噛みするシェリアに、男はおちょくるように礼をしながら自己紹介した。
「まずは名乗ろうか、教授とでも呼んでくれ。ここの研究所を任されている」
教授と名乗った男は、マスク越しにシェリアの肢体を舐めるように見つめた。
「ふむ……状態は良い。女騎士というからには、もっと傷がある物だと思っていたが」
シェリアの身体には傷がほとんどなかった。それはシェリアの戦闘能力が優れていることの証左であり、とある事情から最高の治療を受けることが出来たことを示している。
その事情こそが……。
「やはり、王族の一員というだけはあるか」
「ッ! それが狙いか!」
シェリアは国を治める王の血族だった。正確に言えば現王の甥の娘。末席もいいところだが、王位継承権を持っている立派な王族だった。
そしてその事を教授が口に出したところでシェリアは敵の狙いを悟る。王族の一員を血祭りに挙げれば国に対する痛痒となる。人質としても価値が高い。故にシェリアを捕らえた――シェリアはそう予想したが、教授は首を横に振った。
「いや、確かに王族の血が欲しかったのだが、君の想像しているような話ではない」
「な、何?」
予想外の言葉にシェリアは困惑する。そんなシェリアに説明するように、教授は滔々と語り始めた。
「この国では王族は神の末裔とされている」
それはこの国に伝わっている古い神話の類いだった。
かつて地上にいた神々の一人が美しかった王族の姫を娶り、その子どもである半神の英雄が暴君と化した王を倒し新たな王となった。どこにでもあるような、英雄譚の一節だ。
「……お伽噺だろう」
「いや僕は違うと考えている。少なくとも君のように――」
教授はシェリアの身体を指さした。
「――特別な力を持った人間が多く生まれているのは事実だ。英雄であった王や、竜を鎮めた姫。不世出と呼ばれる人間を、数多く世に出す血筋だ」
それは史実ではあった。
かつて暴君を倒した英雄を始め、国を荒らす竜を身を以て鎮めた姫や、天才的な軍略で版図を広げた征服者が王族より出でたのは確かだ。シェリアもまた、それらの英雄たちの一員だと称えられていた。
「故に君の血には、何か特別な物があるんじゃないかと僕は思った。そしてそれを自分の研究に生かしたいと」
「研究?」
「もう目の前に見えていると思うがね」
目の前にある物と言われ、シェリアが目に留めたのは肉壁だった。今もまだ生きているように蠢いている。そのおぞましさに息を呑んだ。
「まさか、これが――」
「そう、僕の愛しい肉と触手さ。君も洞窟で見ただろう?」
その言葉にシェリアは洞窟の出来事を思い出す。突如現れたイソギンチャクのような化け物。ガスによって何も出来ず騎士団が壊滅させられた。あれを作り出したのが目の前の教授だったのだ。
怒りによってシェリアの頭に血が昇る。銀月騎士団は彼女が直々に鍛え上げた、シェリアにとってなによりも大切な部下たちだった。そんな彼らをどこかに連れ去った教授に憤怒がこみ上げる。もう一度ど怒鳴ろうとして――
「だから、君には僕の触手と子どもを育んでもらおうと思う」
――教授の言葉に、冷や水を浴びせられたように固まった。
「は……あ? な、に?」
「だから孕んでもらうのさ。僕の、触手との子を」
繰り返される言葉を聞いてもシェリア訳が分からなかった。先程の憤怒は跡形もなく消え去り、代わりに浮かんだのは純粋な戸惑いだ。言っている意味が分からない。子どもを、孕む? それも、触手と? あまりにシェリアの常識の埒外過ぎて、呆けることしか出来なかった。端正な顔立ちの彼女がポカンと口を開けて固まっている姿に教授は苦笑する。シェリアは少しずつ時間をかけて告げられた言葉を咀嚼し――その白い顔はより一層に青ざめた。
「何を……言っている……?」
理解してなお、シェリアの口をついて出たのは混乱の言葉だった。先と違っているのは、無理解ではなく真実と信じたくないからこそ出た言葉という点だった。
それを知ってか知らずか教授は丁寧に答える。
「僕の触手は美しさもさることながら高い拡張性と進化の可能性を秘めた生物でね。その繁殖には哺乳類の母胎を必要とするのさ。犬、猫、猿など色々試したが、具合が一番良かったのは人間の雌の胎だった。だから最近はもう捕らえてきた雌の子宮しか使って無くてね。となると当然、人間の内でもどの子宮が一番最適かを探ることになるだろう? ……君はそのサンプルの一つという訳だ」
教授はまくし立てるようにシェリアに述べた。それは本人に理解させたくて聞かせるというよりかは、自分の理論をとにかく披露したくて堪らないといった様子だった。
それを聞かされたシェリアの蒼白は極まっていた。
攫われた女性への無体に怒ることも、更なる人々を混迷に陥れる研究を止めるように憤ることも出来ない。
ただただその悍ましさに震え始めた身体を、抱きしめることしか出来なかった。
「さて……まぁ、説明はこんなところでいいか。僕は意外と研究対象にも気を遣うタチではあるが、それで実験が滞ってしまえば本末転倒だからね」
「よせ……やめろ……」
突いて出た声は弱々しく震えていた。気丈な女騎士から漏れ出たとはとても思えない声音。懇願とすら言えるそれを、教授は聞くことすらせず手にした機械を操作した。
たちまち肉牢のあちこちが隆起し、幾本もの触手がその姿を現した。
「ひっ……!」
怯えたシェリアは堪らず後退る。だが背後には肉の壁しかない。そして背をつけたそこからすらも、触手は飛び出した。逃げ場はない。
素手であってもシェリアは充分強い。現われた触手が数本ならば捌いて踏み潰すことも出来ただろう。だが数十本に及ぶ本数を前にしては、多勢に無勢と言わざるを得なかった。
赤黒い触手は緩慢な動きでシェリアに迫った。シェリアはそれを咄嗟に両手で受け止める。
どくりどくりという、不気味な鼓動が掌を通して伝わった。生温い体温も、表皮を濡らすヌメリとした粘液も。鼻を突くのはえもいわれぬ生臭さだ。
それが全て自分を犯すために襲い来るという事実に、シェリアの心は既にくじけかけていた。
「やめ、やめろぉ!!」
自分の腕と左程変わらぬ太さの触手が四肢に巻き付く。一本では力負けはしない。だが二本、三本と増えていく内にシェリアの自由は奪われていく。絡みついた触手はしめ縄のように結合し、シェリアの白い肌はグロテスクな肉に埋まっていった。
完全に身動きも取れなくなった頃にはシェリアは、大の字になる形で固定されていた。手足は肘膝の上まで触手に囚われ、感覚も掴めない。
「離せぇ!!」
グッと力を籠める。だがその感触がない。触手に圧迫された神経はその伝達すらもままならない状況に陥っていた。苦し紛れに肩の力で引っ張ってみても、ビクともしなかった。
自由になるのは頭と、精々が腰ぐらい。シェリアは完璧に囚われた。
「ぐっ……くそっ!!」
悪態をつく。それもシェリアに残された数少ない自由だ。
今までに無い形相でシェリアは頭上の教授を睨み付けた。
「今離せば命までは取らず、投獄で勘弁してやる! 私に手足の先から刻まれていくのが恐ろしいなら離すがいい!!」
この期に及んでも命乞いで無いのは彼女の矜持と、そして己の鼓舞の為だった。
何故なら彼女の股間は、空いている。ピッチリと閉じられた秘裂という門扉以外、その雌華を守る物は何も無い。
先程教授が述べた言葉と照らし合わせれば、次に待ち受けているものを想像するのは容易だった。
ずるり、ぬちり。
聞き咎めた音に視線を降ろせば、そこには白い貝口を見上げる一本の触手の姿が。
「ひぃっっ!!」
粘液にぬらぬらと光る触手は滑るように身を伸ばし、亀頭によく似た先端部をピトリと谷間に押し当てた。妙に籠もった熱が、悪寒と共に背筋を這い上がる。
「や、やめろ……よせ……やめて、くれ……」
呟くような小ささで希う。そんなシェリアの最後の抵抗は、何の意味も成さなかった。
ぐちゅり、ぐち、ぶちぷち。
シェリアの秘裂と処女膜はあっさりと破れた。
「ひぃっ、ぎぃ!?」
突如股間から爆発し全身に響く、痛み。騎士だけあってシェリアは痛みに強い方だ。だが今まで経験したことのない、傷ついたことのない箇所からの痛みは抵抗の無いシェリアを苛んだ。触手の表面を彩るように鮮血が伝う。
痛みに悶えている暇すらシェリアには与えられなかった。触手はそのまま膣内を掘削していく。
「はぉ……んごぉ!!」
触手の太さはシェリアの二の腕とほぼ同等だ。いきなりそんな物を突っ込まれたシェリアの未開拓の膣はメキメキと悲鳴を上げる。しかし触手は意に介することなく更に奥へと進む。
「う、ぎぃ!?」
やがてシェリアを、痛み以外のものが襲う。それは触手の先端部が子宮口に到達したことを知らせる、悪寒であった。誰にも触られたことのない最重要部が、まともな生き物ですらない触手に触れられていることに本能が警鐘を鳴らす。吐き気を催す拒否反応が、シェリアの身体をぞわぞわと駆け巡る。嫌な汗が噴き出した。
「ひ、いぃ……」
歯を食いしばって仰け反るシェリア。処女を奪われたショックや、秘奥を踏みにじられた屈辱よりも、生理的な嫌悪に震えた。少しでも逃れようと抗う。だが触手はその抵抗を嘲笑うかのように蠢く。
粘液を刷り込むようにしながら触手がゆっくりと引き抜かれていく。その動きで膣内のひだ肉が引っかかれ、シェリアは更なる悪寒を催した。ストレスで呼吸が浅くなる。しかしこれは緩急の中の、緩に過ぎない。
直後、ねじ込まれるように勢いよく突き入れられる触手。
「かふっ!」
一瞬で最奥に到達した触手はそのまま子宮口を叩き、その形を凹ませた。圧迫感で肺の空気が飛び出る。別角度から撃ち込まれたボディブローは、シェリアの女としての急所を捉えた。
「お……お……」
衝撃にシェリアは目を白黒させ、呼吸を求めるように舌を突き出す。王族とは思えない酷い顔だ。だが触手は一切の斟酌をしない。
「うげぇ!? ぎぃ! んおぉっ!!」
すぐに再開されるピストン運動。激しい抽送がシェリアの膣内を前後する。膣肉が抉られ、サンドバッグのように子宮口が何度も叩かれる。まるで憎い相手の顔面を幾度も殴りつけるが如き所業。乙女を失ったばかりの身に対するには、あまりに苛烈な拷問だった。
それが何度も繰り返され、シェリアの視界に火花が散り始めた頃。ふとシェリアは痛みと悪寒以外の物が股間に存在することに気付いた。
(? なんだ、熱、い……♡)
今までに感じたことのない、未知の感覚。不思議な熱。触手が前後し粘液が塗り込まれる度に大きくなるそれは、やがて悪寒よりも大きくなっていく。
「なぁ!? ぃぎっ♡ ひぃっ♡?」
膨れ上がっていくそれに当惑している内に、それは十分な衝撃を持ってシェリアの脊髄を駆け巡った。
「んあぁっ!?♡♡」
口をついて出たのは、嬌声。自分から初めて出る類いのそれを認知した時、シェリアの困惑は頂点に達した。
自分には性経験が一切無い。そんな自分でも、この暴力が性行為に相当する物ではないことは分かる。小鬼の犠牲者が無遠慮に腰を打ち付けられる様を目撃したことはあるが、その時ですらここまでの勢いも力強さもなかった。こんなので気持ちよくなれる筈がない。
なら、これはなんだ。口から出た音はなんなのだ。この、股間から背骨を駆け上がり、脳でスパークする感覚は一体なんだ。
「んぅっ♡ ひいいぃっ♡♡」
突き込まれる度感覚は徐々に大きくなっていく。やがてそれは怖気を上回り、それを掻き消すほどに巨大な存在となっていった。
気丈な筈の彼女の顔が涙と涎でぐしゃぐしゃになる頃には、もうすっかりシェリアの身体は火照っていた。
「違う! 気持ちよくなんか、んおぉっ♡♡♡」
どちゅん、と、今までで一番の勢いで触手が突き込まれる。湧き上がる物を否定し駄々をこねる彼女を仕置きするような一撃だった。遂にシェリアは稲妻のように奔るその感覚を、快楽と認めた。
認めざるを得なかった。
「~~~っっ♡♡♡」
澱のようにわだかまっていた快楽は、その瞬間に爆発した。声にならない叫びを上げるシェリアの視界は白い火花に埋まり、身体は自分の意思とは無関係にビクビクと跳ね回る。腰を小刻みに揺らすその様は、海に打ち上げられた白魚のようだ。秘裂からは、粘液以外の汁が滴り落ちる。
訓練に明け暮れ自慰すらほとんどしたことのない、シェリア初めての絶頂だった。
「ぉ……へ……♡」
女の急所を嬲られる痛み、大切なところを踏みにじられる怖気、そして快楽。未知なる物に立て続けに翻弄されたシェリアは、息も絶え絶えといった具合にぐったりと項垂れた。
だが余韻にカクカクと震える身体には、まだ触手が収まったままだ。
そしてシェリアは絶頂に至ったが、触手の方はまだだった。
「……ぅふっ!?」
達したことによる膣の収縮を味わうように静かにしていた触手は、シェリアが余韻によって快楽を刻み込まれたとみると再びピストンを再開した。また快楽が走り、容赦のない痛みと共に襲い来る。
「ぎいぃぃいぃ~~!! ーー~~~っっっ♡♡♡」
歯を食いしばって耐えようにも、それは無駄な努力と言わざるを得ない。
すっかり柔らかくなってしまった膣は触手によって蹂躙され、粘液と愛蜜のミックス潤滑液がそれを促進する。スムーズになったピストンにより、むしろ痛みは減っていく。だがシェリアにとってはその方が辛い。快楽の味を知ってしまった身体は抵抗を放棄し、シェリアはダイレクトに伝わるそれを真正面から受け止めるしかなくなっていた。痛みがある方がまだ馴染みのある感触だったのに。これでは全てすり抜けてしまう。
「ひっぐ♡ ひぃんっ♡♡」
鞭打たれた牝馬のように情けない悲鳴を上げ始めた頃、触手の動きに変化が現われた。シェリアはそれを敏感になってしまった膣で感じ取ってしまう。
より早く、より奥へ。そしてその太さは、先よりも僅かに大きくなっている。
まるで何かの前兆のように。
「こ、れぇ……♡」
シェリアが思い至った瞬間。
その最奥で、粘ついた熱が吐き出された。
「んあ゛あ゛ぁぁあああああぁぁっっ♡♡♡」
どろりとした白濁が、熱い奔流となって子宮へ撃ち出される。不意を突かれた形となる子宮は粘ついた泥をほとんど呑み込んでしまい、まだ真っ新だった赤子の部屋は突然の侵入者による暴虐に大きく跳ねた。
更なる快感に、シェリアは二度目の絶頂に達する。
「あ……んおっ♡♡」
射精された。まともな思考を取り戻した時、シェリアはそれを理解した。触手との接合部より流れる、子宮に入れなかった落伍の白濁が現実だと知らしめる。
悦楽に赤みを差していた顔が青ざめた。奴は、教授は触手との子どもを作ると言っていた。であるなら、この精液で自分は……孕んでしまう。
この、化け物を。
「う……ふっ……ひぐっ……!」
ジワリと込み上がってくる涙を、シェリアは止められなかった。十八年、生きてきた。母に愛され剣を握り、みんなに期待されながら己を鍛え上げた日々。その歴史が、価値が、取り返しのつかない物で汚されたように感じた。申し訳なさと屈辱が心に滲み、止め処なく流れる雫を止められない。
「あぁっ……うああぁぁ……」
だが触手は、やはりシェリアの嘆きを理解しない。
「う、ぎっ!」
ぐちゅぐちゅ、ぬるぬると触手は粘液と吐精した白濁の中で遊ぶようにうねる。そしてその先端部が再び子宮口に口づけしたことにより、まだ行為が終わっていなかったことをシェリアは悟った。
「や、やら♡ もうやめ、へぇっ♡♡」
疲弊と快楽で舌足らずになった口でシェリアは、今度こそ懇願した。矜持も抵抗も全て剥ぎ取られた、本物の願い。それは敢えてくねって膣道を広げ始めた触手にも、頭上でニヤついたままシェリアの痴態を観察している教授にも向けられていた。
どちらも、シェリアの言葉に耳は貸さなかった。
「やめ、んお゛っ♡ おほお゛お゛っっ♡♡」
ごつりと最奥を叩かれた衝撃で、懇願すら中断される。
後はもう、ひたすら蹂躙されるだけだった。
泣いて喚いて、狂ったように見せかけても止まない陵辱。
だがそれはまだ、悲劇の序章に過ぎなかったのだ。
◇ ◇ ◇
「はーっ♡ う゛ぅーっ♡」
数時間後。
シェリアはまだ貼り付けにされたまま、荒い息をついている。
触手による陵辱は止んでいた。あの赤黒い亀頭はシェリアの秘所から引き抜かれている。だがそれは、楽になったことを必ずしも意味しない。
「ふぅ゛ーっ♡♡」
堪えきれず身震いすると、股間から飛沫が弾け飛ぶ。股をしとどに濡らしているのは彼女自身の愛蜜だ。湧き水のように溢れているそれは、触手の放出した白濁と入り混じりシェリアの下半身を淫らに彩っていた。
媚毒を身体のあちこちに塗り込まれたシェリアは、最早自分の情動を制御できないでいた。
「ふぅっ、うぅあぁっ♡♡」
ぎくんと腰が揺れたかと思えば、次の瞬間には恍惚の表情を浮かべて弛緩する。軽い絶頂。楽だが浅く、真に満足することが無い法悦。だから敏感になった肢体にはすぐに次の性欲が漲り、また腰をフリフリと揺らし始める。そしてしばらくすればそれだけで軽く絶頂してしまう。何もされていないのに抜け出せないループ。そんなことをシェリアは放置されてしばらくの間、小刻みに繰り返していた。
(何を♡ 企んでいる♡)
潤んだ瞳でシェリアは鉄格子の向こう側を見上げた。そこには変わらず教授の姿がある。だが最早シェリアのことは見ておらず、すぐ傍にある机でなにやら熱心に書き込んでいた。
(もう……随分経つ。それなのに、何もしない?)
シェリアの強姦は長く続いた。いくら泣き叫んで懇願しても彼女の意思で止めてもらえることは無く、触手たちはシェリアの身体を思う存分蹂躙した。乳首にも吸い付かれたし、尻穴も掘削された。だが教授は何を思ったのか、急に触手たちを退かせたのだ。手足を拘束しているこの肉塊以外は、シェリアの視界から消えている。
絶え間ない責め苦から解放され、もう久しいとも言える時間が経っていた。
(っ♡ 犯されない方が、いいに決まっているのに♡)
切ない律動が、シェリアの子宮より湧き起こる。触手に嬲られその味を覚えた女の秘奥は、散々いじめられたくせにあの暴虐を求め始めていた。涎のように愛液を滴り落とし、まるで餌を求める雛鳥ように陰唇をパクパクさせている。まだ一日すら経っていない内にこうも躾けられてしまった自分の身体の浅ましさに、シェリアは深く失望していた。
止め処ない身体の疼き。しかしシェリアは、まだ脱出を諦めていなかった。
(この肉牢から脱出さえ出来れば♡)
四方八方に触手が潜み壁すらも牙剥いてくるこの肉牢は全面がシェリアの敵だ。完全包囲されたこの空間においてシェリアは絶対に勝つことは出来ない。だが、ここから脱出さえ出来てしまえば話は別だ。
(剣が無くとも、私は十分戦える)
問題は、その方法。
より正確に言えば肉牢は駆け上ることが出来るのだから、この手足の拘束を解く方法だった。
(どうする……どう逃げる……)
とてもじゃないがこんな地獄では耐えられない。まともな思考が戻った瞬間から、シェリアは逃げ出す算段をずっとつけていた。
まず、自力は難しい。
手足を拘束する触手は強靱で、長い時間が経った筈の今でもその拘束力を衰えさせてはいなかった。木の幹のように太い触手の集合体に覆われた手足の感覚は、まだ無い。
相変わらずビクともしないこれから抜け出すことはまず不可能だろう。
(だが、助けも期待できない……)
あの洞窟内にいた騎士たちは、皆自分と同じように眠らされ捕らえられてしまっただろう。そしてあの場にいたのが銀月騎士団のほぼ全兵力だ。
普通は予備兵力を残しておく物だが、長きに渡る組織との戦いによりその兵力を大きく磨り減らしていた。そして諸侯の騎士団が頼りにならないから領境を超える権力を持つ銀月騎士団が結成された訳で……。
援軍というのは期待できなかった。
(なら方法は、ただ一つ)
教授を、騙すことだ。
自分で解けない拘束なら、その権限を持つ相手にやらせればいい。
従順になったフリで教授に媚び、油断したところで脱走する。これしかない。
しかしそれは、シェリアの騎士としての誇りを大きく傷つけるものだった。
(だがどうせ、誉れも矜持も地に墜ちてしまっている……♡)
シェリアは自分の姿を見下ろし、自嘲した。
手足の自由を奪われた肢体。溢れた汗はまだ引ききらず、天井の灯りを反射しててらりと光っている。そして嫌でも、ピンと尖った乳首が目に入ってしまう。
処女を奪われ子宮を嬲られたシェリアであったが、あの後胸をも弄ばれてしまった。
膣を犯す触手とは別の触手が二本肉壁から現われ、興味を持つかのように胸へ鎌首をもたげたのだ。
それを面白がった教授はその触手たちに許可を出したのか、機械を操作すると二つの触手は乳房に纏わり付いた。
シェリアの胸は、お世辞にもある方とは言えない。
だが禄に触れたことのない肉房は抜群の感度を誇っていた。犯され上気した身体と相まって、随分と鳴かされた。
花弁のように分かれた口で搾乳するかのように吸い付かれた感覚が、今もなおシェリアの乳首には宿っていた。敏感になった先端をちゅうちゅう吸い上げられる感触。乳首から走った電流が子宮まで届くような錯覚。その記憶が離れない所為で、シェリアの桜色の乳頭は萎えず天を向くようにそそり立っている。
そして胸も嫌だが、やはり何より下腹部だ。
へそから下は、秘部を中心にして白濁がべったりと張り付いていた。粘性をもってへばり付いているものもあれば、乾いてこびり付いているものもある。長く長く犯された証だ。
そして忌々しいのは、その白濁の中に自分の吹いた潮も混ざっていることだ。
何度も何度もイかされている内に、シェリアは潮吹きを覚えさせられてしまった。
絶頂と共にクジラのように愛液を噴出し辺りに撒き散らす。ここに来る前まで純潔だったシェリアには、それが酷く下品な行為に思えた。自分の汚れを恥ずかしげも無く、腰を浮かせて泡立った蜜を噴き出す。気持ちいいが最低の行為。尊厳を忘れた獣の情動。やってしまったと自覚する度、羞恥と屈辱がシェリアを苛んだ。
そんなことを何度も何度も繰り返された。幾度か意識も飛ばしてしまったため時間感覚は曖昧だが、大分長くここにいる気がする。
変わってしまった身体を自覚する度、自分がどうなっていくのか分からない恐怖に怯えた。
特に、感度だ。触手の粘液には媚薬の作用があるのか、シェリアの身体は肉牢に閉じ込められる前と比べて大分敏感になってしまっていた。粘液が刷り込まれる度にイきやすくなり、犯されるほどに絶頂してしまう頻度は増えた。今では肌の感度も上昇し、纏わり付く生暖かい空気ですら煩わしい。舌で柔肌を嬲られているようで、弱い快楽で炙るような感触が、シェリアの疲弊した精神を常に苛んでいる。休憩している今も、シェリアは更に追い詰められつつあった。
(もう、無理……♡ あたま、おかしくなるっ♡♡♡)
ここにいすぎてはいけない。時間を過ごす度、自分の身体は、精神は書き換えられていく。自分が自分でなくなる恐怖。汚された肢体は既に元通りになるか怪しい。これ以上変質してしまうくらいなら、この際騎士の矜持は捨てるべきだ。
それには今まで築き上げてきた自分を捨てるという、自傷に等しい覚悟が必要だった。だがシェリアは何とか己を宥め賺し、決意出来た。
だから、教授が格子越しに姿を現した時に真っ先に口を開いた。
「あ、あのっ……! も、もう許してくださいっ!」
まるで町娘のように弱々しい声音で、遜った口調で許しを乞う。
今までシェリアのしてきたことのない行為だ。生まれてきた時から高貴な身分であったシェリアは敬語を使った経験もほとんど無い。目上の者がいなかった訳では無い。両親、国王、上官……しかしどれとも親しかった為に、公式の場で以外はあまり気負わなかった。
完全に相手の風下に立って諂うのは初めての、そして屈辱的な経験だった。
「ふぅん……? 続けて」
シェリアの懇願を聞いた教授は面白がるようにその先を促した。
一先ず発言が許されたシェリアは思いつく限りの言葉を口に出した。
「わ、私が今までやってきた行為は、全部謝ります! 組織の……邪魔をしたことは、本当にごめんなさい……」
心にもない言葉だ。組織のやってきた悪行には今も腸が煮えくりかえる。国民を食い物にし、魔獣を放ち、村々を滅ぼした。一生掛かっても許せない所業だ。だが今は、その憤怒を押さえ込まねばならない。
「全部、私が悪かったです! 愚かにも力の差が分からなかった私は組織に刃向かって、今手痛い罰を受けました! 反省してます、心から!」
気を抜けば悔しさに歯ぎしりしてしまいそうだった。決して膝を屈したくなかった組織の人間に遜る。何日か前の自分が目の前にいたら怒りのあまり叩き斬りそうな姿だ。今だって、恥辱に舌を噛んでしまいたい。だが自死とはまさしく己を捨て去る強い気力が必要となる。弱り切った今のシェリアには自殺するだけの力が残されていなかった。
それでもこれはこれで、気力を大きく磨り減らす自傷行為ではあるのだが。
「何でも言うこと聞きます! そ、組織に降れというならそうします! 王族として身代金と引き換えにしても文句は言いません! 内通者だって、喜んでします! 一生賭けて組織に逆らったの罪を償います! だから……」
聞いた者が顔を顰めそうな、恥も外聞も無い命乞い。シェリアだって吐きそうだ。口先だけだと自分を誤魔化し、何とか口に出せているだけで、今にも撤回してしまいたい。
だが、
「だから……ここから出してください……」
それだけは、紛れもない本心だった。
ここにいることだけは、どうしても嫌だった。
嘘の懇願を吐かせた動機は、正義だけでは無かった。とても利己的な、恐怖。自分が自分でなくなることへの怯懦だった。
「ん~……」
シェリアの迫真の命乞いを聞き届けた教授はペンで頭の裏を掻きながら苦笑した。
「そう言われても、僕は君を孕ませてサンプルを増やすこと以外に興味がないんだ。組織としても結果を出すから存続を許されている異端で、君を得るのにも色々根回しをしないといけなかった。君ら騎士団を眠らせたワームを数十匹納品したりね」
シェリアは洞窟で見た、騎士団を壊滅させた巨大生物を思い出す。騎士団総掛かりになっても叶うか怪しかった巨躯、そして催眠ガス。あんな奴が数十匹もこの地上を跋扈する。それはこの世の終わりの光景に思え、シェリアの背筋に冷たい物が走った。
だが今はそれより、懇願を棄却されそうな気配だ。
「だから君を触手の孕み袋にするという決定はどう足掻いても覆らないよ」
「そんな……!」
「でも」
教授はご機嫌そうに、ラップトップを捲った。
「でも確かに、ここからは出してあげてもいいかな」
「え?」
「君の今いる肉牢は本来触手の生活スペースで、そこで君を拘束するのはとても非効率的なんだ。普通の研究室で実験する方が手間とコストの面から見ても、ずっと楽だ。だからそこからは出してあげてもいい」
その言葉にシェリアは内心で歓喜した。やっとこの地獄から解放される! そしてここから出てしまうばこっちの物だ。特に教授が今言ったように普通の研究室に移送されるのなら、こんな肉塊の閉鎖空間よりも脱出するチャンスは巡ってきそうだ。少しでも機会があれば力尽くで物にしてみせる。
シェリアがここから出られさえすればと自信満々なのは、彼女に武勇の覚えがあるからだ。
騎士としての活躍も目覚ましい彼女は国内でも有数の剣士でもある。身体能力は高く、女性の身でありながら騎士全体の中でトップクラスだ。多少の拘束、鉄の枷程度なら力任せに破壊できる分の膂力を持っていた。残念ながらこの触手の拘束はそれ以上だが、逆を言えばこの異常な空間から逃れさえすれば……。
そう、シェリアが今も希望を捨てずにいられるのは、類い希なる身体能力への自信からだった。
逆に言えば、それが最後の希望だった。
「もうそろそろ時間だしね」
「え……?」
そう教授の言った言葉に疑問を持つよりも早く。
ずるり、とシェリアの右肩がズレた。
「!!」
自由になる感覚。拘束が外れたのだとシェリアは思った。
これで逃げられる! まだ腕一本かもしれないが、片腕が自由なら他を無理矢理外すのもきっと出来る! そしたらこの肉の牢を駆け上って、見下ろしているあのクソ野郎をぶん殴ってやる!
そこまで脳が高速で回転したが……自由になったと思った腕を見て、シェリアの表情は凍り付いた。
「……え?」
拘束されていた、肘から先。
そこが、無かった。
「………え」
本来肘があったはずのその場所には、つるりとした丸い先端がついているだけだ。まるで元からそういう風だったように傷跡も何もない。
勿論、感覚もない。ミニテーブルの足先のような、短くなった腕がそこにあるだけだった。
「なん……で……」
シェリアは呆然とした。指先を握るように感覚を込めても、何も動かない。当然肘も動かない。諦め悪く見えていないだけだと思い込み手先が肉壁に触れるように動かしても、何も触れなかった。
現実を飲み込めず短くなった腕を空振らせるシェリアに、教授は愉快そうに笑う。
「ははは。当たり前だろう。君に暴れられて僕が殺されでもしたら世界の損失だからね。必要なのは子宮だけだし……手足はむしろデッドウェイトだ」
「え……嘘……」
「当然、四肢全部だよ」
その言葉と同時に、残り三つの手足が同時にずり落ちた。突然拘束から解放され、シェリアは受け身も取れずに尻から肉壁の床に落ちる。
ぼてっ、と呆然としながら落ち……見上げた景色は、自分の四肢の関節部から先がなくなっている光景だった。
「あ、あ、あ、あああああああああああああ!!!」
絶望の絶叫。
シェリアがこれまで心折れずにいたのは自らの武術に自身があったからだ。
長く苦しい鍛錬。周囲からの賞賛。そして積み上げた実績が、彼女の心を支えていた。
今は捕らえられていても、隙を見つければ必ず脱出できる。そう信じていたからこその、今までの気丈さ。己の腕前という、絶対の自負。
それが失われた今、彼女の寄る辺はどこにもなかった。
「うわあ゛あああああああ!!!」
「綺麗な断面だろう? 元々手足がなかったかのような処置だ。溶けきるまで気付かなかったということは、痛みもなかったようだね。これは素晴らしい。おおいに応用できる」
シェリアが絶望しているのを余所に、教授は手にしたラップトップに得られたデータを書き込んでいく。
子どものように興奮し、心底楽しそうな様子だった。
「あぁ、後で断面の痛覚データも取るか。血管の繋がり方も見たいな……解剖は駄目だけど、レントゲンはしとこう」
「あ、あ、ああぁあぁぁ」
滂沱の涙を流し自分の失われた四肢を見上げるシェリア。
自らの最大の希望が、否、抗うための大前提が崩された彼女は絶望という言葉すら生ぬるいどん底に落とされた。
幼少の頃から、ずっと剣を振るい続け築き上げた剣ダコも、
幾多もの戦場を駆け抜けてきた健脚も、
鍛え上げたしなやかで柔らかい筋肉も、
何よりもう二度と剣を握ることも、駆けることも出来ないという事実。
その全てが、受け入れがたかった。
「嘘でしょ……嘘だ……」
涙で滲んだ光景が全て夢であってくれと願いながら、シェリアは回収されるまでずっと見上げていた。
◇ ◇ ◇
それからシェリアが過ごした日々は絶望的なものだった。
絶え間なく続く実験という名の非合法行為。いくつもの薬品を使われ、その副作用にのたうち回り、そして触手との望まぬ子を数えきれぬくらいに孕まされた。
その度にシェリアは涙を流して懇願した。最早かつての誇り高い騎士としての姿は無かった。手足を失う前は辛うじて持っていた心底の志さえ、既に折れて潰えていた。
そこにいたのは短くなった手足をバタつかせて悶える、哀れな一人の
そして、数ヶ月後。
研究室らしき部屋の一角に、長方形の箱がポツンと置かれていた。
縦の長さは、成人男性の腰ぐらい。横幅は肩の幅くらいだ。上から見ると、それなりの奥行きがある。
六面の内五面が木材で構成されており、それだけ見るなら寝台の横に置いてありそうな低めの本棚と似ている。
何の変哲のない箱、だろう――残った一面を見なければ。
『……! ……!!』
ガラス張りになった扉の中で、声なき声で叫ぶ少女がいた。
閉じ込められているのはかつての騎士団長、シェリアだった。箱は人が入るには少々手狭だったが、手足を失ってコンパクトに纏まった彼女にとっては余裕のスペースがある。いや、ある筈だった。
その箱の中には不具なシェリアの他に、いっぱいの触手が詰め込まれていた。
『……!! ……ッ♡♡』
白い肢体を覆い尽くさんばかりに、大量の触手たちは這いずっている。手足のないシェリアは払いのけることも出来ず、涙目で身を捩ったが、だがどんなに暴れても芋虫が蠢いているかのようにしか見えないそれが抵抗になっていないことは明らかだった。ガラスには蝶番が付き扉となって開く仕組みになっているが、錠前の閉まったそれが彼女の力で開くことはあり得ない。
その弱々しい姿に騎士の面影はほとんど無かった。銀髪は粘液に塗れてくすみ、凜々しかった表情は涙と粘液に塗れぐしゃぐしゃに歪んでいる。短くなった四肢は箱詰めされるのに相応しく、ガラス戸を割ることすら出来ないほど非力だった。見惚れるような女傑だったシェリアは、誰もが顔を顰める弱者に落ちぶれていた。
そしてその腹は――大きく、膨らんでいた。
『ーーっ!!』
口の中には一本の触手が入り込んでおり、叫ぶことすらままならない。声なきままに、シェリアは藻掻く。だが何にもならず、触手を除けることすら叶わない。
『……っ♡♡ ――~~~~っっ♡♡♡』
ジタバタしていたシェリアの肢体が、不意に白魚のように大きく跳ねた。ビクビクと痙攣するその様は、明らかに絶頂の証。腰をカクカクと揺らし、達した快感を己の意思とは無関係に噛み締めている。
手足のない彼女が自慰をしたわけもなく、その下手人は秘所に入り込んだ触手たちだった。
その様子はさながらイソギンチャクだった。たった一つの秘裂に、幾本もの触手が己をねじ込もうと殺到していた。ギチギチに詰められた膣道はこんもりと盛り上がり、シェリアは圧迫感からくる苦しみにも身を捩らせていた。
膣穴だけでは足りなかったのか、その下の尻穴にも、触手は入り込んでいた。本来は排泄に使う穴も、触手にとっては居心地の良い住処らしい。分泌する粘液による媚薬作用により、すっかり性感帯へと変えられた尻穴で触手が蠢くこともまた、シェリアを襲う地獄の一つだった。
『……♡♡』
絶頂の余韻に震え、身体を上下させるシェリア。だが浸る余裕を許すほど、触手たちは寛容ではない。
『っっ♡♡ ~~~!!』
今度は他の触手が、シェリアの白い肌を這いずり始める。絶頂して流れ出たシェリアの体液を啜るためだ。
反り返る乳首を、何かを蓄えた大きな胎の上を、泡立った液に濡れた割れ目を、充血して勃起したクリトリスを、小ぶりな触手たちはうねるように舐め回す。
『っ♡ っっ♡♡』
それは膣をかき回されるような大きな快楽はもたらさない。しかし感度が人一倍上昇しているシェリアにとっては十二分な拷問だ。
表面を這いずる触手たちは精々が掌程度の大きさだ。もし手があったのなら迷わず全て毟り取っていただろう。そんなことすら出来ない今のシェリアには、それも叶わぬ願いだったが。
人舌のような質感の触手たちはシェリアの透き通った白肌の上を存分に舐め回す。自分らのいる大地が小刻みに振動しても気にしない。むしろ、愉しんでいるような節すら感じられる。
『……っ! !♡!♡♡っ!!」
ヒクヒクと全身を震わせていたシェリアが大きく跳ねる。二穴の触手が思い出したかのように動き出したのだ。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた穴の中で触手たちが蠢くことは苦痛であり、感度の極まったシェリアにとっては快楽でもあり、既に変わり果ててしまった彼女の神経はその両方を余すことなく脳髄に叩き込む。
風船のように膨らんだ腹を大きく揺らし、シェリアはまた絶頂した。粘液を四六時中刷り込まれた彼女の肢体は驚くべき程の頻度で頂に達する。その度に彼女のダークブルーの瞳は波打つ水面に映った月のように歪み、白い
シェリアを嬲り、絶頂した体液を啜り、また弄ぶ。それが触手たちのルーティーンだった。
悍ましい災いに襲われ続けるシェリアの身体だが、それも外界にとっては箱をカタカタ揺らす程度の事柄でしかなかった。無人の研究室の耳に痛いくらいな静寂の中で、箱の軋む音と時折漏れ聞こえるシェリアのくぐもった嬌声が微かに響く。
それがそれからも何度か続いたが、やがてルーティーンに変化が訪れる。
シェリアの肢体が、より不自然に仰け反り始めた。注視したのなら、その震源地が丸い腹であることが分かるだろう。
シェリアの顔は元々苦悶に塗れていたが、それが一層に濃くなる。
『――っ!! ――っ!!!』
まるで訴えるように全身を硬直させる。普段の触手たちならそれを一顧だにすることは無かっただろうが、今ばかりはどういうことか嬲る手を止め退き始めていた。
膣穴の中に殺到していた触手たちが一本、また一本と抜けていく。その動きは渋々といった様子で、しかも去り際に何か腹いせでもしているのか、シェリアの腰は触手が抜けていく度にカクカクと震えた。
そして最後の一本。特に太い触手が名残惜しげに引き抜かれて……ぬぽんっ、と栓の引き抜かれたような音と共にシェリアの膣穴は解放された。
全ての触手がいなくなってもそこはぽっかりと開いたままで、まるで閉じ方を忘れてしまったかのようだった。だらしなく弛緩した陰唇はぬとぬとした粘液に塗され、ヤツメウナギの口に幻視する有様だ。一体何時間、いや何日間嬲られ続けたらこうなるのか――想像も出来ない程の惨状。
『……っ!』
触手が去っても、シェリアの苦悶は消えてはいなかった。彼女の丸かった胎は、今や内側で蠢く何かに押し広げられ、ボコボコと絶え間なく形を変えていた。気味悪く変形するそれは中身が暴れている証左であり、それはそのまま母体であるシェリアの苦痛に繋がる。
『~~~っっ!!』
早く出て行ってもらいたくて、シェリアは腹筋を振り絞った。かつては騎士として活躍した、しなやかに鍛えられた彼女の筋肉は忠実に従い胎の内容物を押し出そうとする。しかしそれに――驚いてしまったのか。胎内の存在は、
『~~~んんぶっ! ーーーンオオォッ!!!』
塞がれている筈のシェリアの口から声が漏れ出る。つまりはそれだけの大音量で叫んでいるということであり、それが突き出る程の苦悶に晒されているということだった。
まるで沸騰する鍋を見ているかのように形を変えるシェリアの腹部は、かなりの時間をかけて次第に収まっていった。そして内容物はやがて出口を見つけたのか、今度は自ら出て行こうとする。
ボコン! ボコン! と、大きな衝撃がシェリアの膣内で響く。殴りつけられているかの如くシェリアの身体は跳ね、乱暴なノックに答えるべくシェリアはその扉を開いた――つもりだったが。
『ン゛ン゛ン゛ーーーーッッ!!!』
ぶぎゅっと、不可思議な音が響いた。それは中身が出て行こうと勇んで……子宮口に詰まった音だった。
『ン゛! ンゥッ!!』
シェリアは子宮口を開こうと必死の形相だ。だが既に限界まで開かれているそれは彼女の意思では最早どうにもならなかった。中身も外の世界へ行きたくて押し広げるが、にっちもさっちも行かずにギチギチと詰まったままだった。
『ングウゥゥッ!!』
しばらく待っても出てこないことへ疑問を抱いたのか、退いていた触手たちが少女の開ききった陰部へと群がり始めた。そして――何を思ったのか、数本の触手が肉の洞穴へ再び入り込んだ。
『ンギュウッ!?』
ただでさえ必死にいきんでいた最中、更に入り込んだ触手の感覚に悶えるシェリア。赤と青を目まぐるしく顔色を入れ替え、突然のことに混乱する。
だがその触手たちは、そんなシェリアのことを助けてやろうとしていたのだ。――彼女に最も、苦痛が残る方法で。
『ンンンウウウゥゥーーーッ!!!』
詰まっている物を引き摺り出す。その為に触手たちが取った方策は、至極単純なものだった。
膣道が狭くて通れない。
なら、もっと広げればいい。
詰まった物の隙間を押し広げるかのように、触手たちはその身をねじ込んでいく。限界以上に膣を広げられ、少女の身体がバキバキと悲鳴を上げる。シェリアの喉から迸る絶叫はそれ以上だ。
『ン゛ン゛ゥゥ!!!』
引きつけを起こしたように身を震わせるシェリア。触手たちはそんな彼女に構うこと無く、いっそ一生懸命なくらいに膣道へ殺到する。力任せに。強引に。
だがそれが功を奏したのか。程なくして中身は外への道行きを滑り始める。しかしそれは非常にゆっくりとしたペースで、亀の歩みのようにのろまだった。
そしてギチギチに詰まった膣道から、触手たちにエスコートされる形で遂に中身が姿を現す。
『ンホオォッ!!』
ヌポン、と音が聞こえるような様子で中身は飛び出した。
それは他の触手と同じ肉の色をしていた。だがその形状は蛸に近い。ブヨブヨとした丸い頭と幾本かついた触手たち。丸みを帯びたその身体は柔らかいが、それでもなお詰まってしまったのが一目で分かるくらいには巨大だった。
だがそれは、蛸で言う胴体の部分の丸みは――いや、最悪の想像だが。
まるで、人間の赤子の頭のようにも、見えた。
『オ……ォ――……』
出産。
シェリアが孕んだのは自分と触手の子だった。悍ましい肉塊はフルフルと震えながら潰れた風船のようになった胎の上をよじ登り、乳児の如く乳首にしゃぶりついて母乳を吸い上げる。
どこか人間の面影を残しているのは、彼女が王族という特別な血筋にあるからだろうか。その冒涜的な真実は教授以外の誰にも計り知れない。少なくとも本人が知り得ることは一生無いだろう。それはともすれば幸運なことかもしれないが。
苦境を抜けたことで、シェリアの表情は微かに和らいでいた。それは安寧とは程遠いものではあったが、先よりは少なくともマシだろう。苦痛から解放された安堵の顔。
だがその表情も、次の瞬間には固まった。
「おや、丁度生まれたところだったか」
箱の外。ガラスの向こう側から教授が覗き込んでいた。この狂気的な状況を作り上げた張本人。箱の中の地獄とはまるで打って変わった呑気な顔をして、しげしげと中の様子を眺めている。
シェリア自身をこのような身体にした憎き仇敵。騎士であった本来のシェリアなら、己が命を捨ててでも討ち取りにいくことだろう。
だが、今は。
『ウウゥッ!! ンウウウゥーーッ!!!』
叫ぶ。先まで枯れ果てん勢いで絶叫していたにも関わらず、それに劣らぬ声量で塞がれた喉を振り絞る。
それは悲鳴では無い。訴えだ。その内容はくぐもった声では窺い知れないが、その瞳いっぱいに浮かんだ涙を見れば予想はつく。
――ここから、出して。
だが近づいてしゃがむ教授の視界には、彼女は映らなかった。
「うんうん。これはまたいいサンプルだ。まだ未熟だから外の環境は辛そうだが、将来は有望だな。成長するのが楽しみだ」
『ンウゥーーッ! ウウゥーーッ!!』
バタバタと非力な手足を動かしガラスを叩くシェリア。しかし教授に見えているのはその胸に吸い付く新たな嬰児だけだった。
「人間の要素を持つ混合体……更に配合を進めればより人間に近い形になれるかもしれない。人間自体に興味はあまりないが、人間体に変態出来る触手というのには惹かれるな。少し試してみようか……」
『ウウッ! ウウウゥーッ!』
「ん? ははは。必死だねぇ」
しかしシェリアの訴えはどうにか届き、気付いた教授は目線を上げた。そして指をクルリと回し、それを合図に口枷となっていた触手が引き抜かれる。
『ぷはぁ! けほっ、げほっ!』
「何か言いたいことがあるなら聞いてあげるけど?」
そう首を傾げて、どこか人を小馬鹿にした態度で問う教授。しかし今のシェリアには反感を覚える余裕すらなかった。
『こ、こごがら出じでぇっ!』
涙声で必死に懇願する。
『おねがいじまずっ! もう゛無理゛っ! おがじぐなるっ! 死んじゃう゛っ、死んじゃうがらぁっ!!』
日に日に、自分という存在が摩耗していくのをシェリアは感じていた。触手たちに嬲られ尊厳を汚し尽くされる度、自分の心が罅割れポロポロと零れ落ちていく。
異常な快楽と絶え間ない責め苦。それはシェリアという気丈であった筈の人格さえ壊そうとしていた。
『おねがいでずっ! 何でもじますがらぁっ!!』
今度こそ心から、シェリアはそう願い出る。もうそこには矜持も何も存在しない。あるのはここから何としても出たいという、その一心。民のことも仲間のことも、もうシェリアにはどうでもよかった。この箱の中から解放されさえすれば。
「ええっと。箱に詰めてからもう……
訴えを聞いた教授は壁に掛かった日付を確認し思案する。
「でも一緒に詰めた栄養補充用の触手は一ヶ月もつ試算だし……母胎の強化も済ませている訳だし……」
考え、そして彼が出した結論は。
「……よし! この際限界まで耐久してみようか!」
『!? 待っでぇ!!』
シェリアの願いとは、真逆だった。
『おねがいじまずっ!! もうほんどに無理なんでずっ! 壊れぢゃう! ごわれぢゃうっ!!』
「でも母胎と同時に触手もどれだけ変化するか見てみたいし。もしかしたらまったく予想外のことが起きるかもしれないしね。子宮さえ無事ならどうとでもなるし」
『やだ、やだやだやだ! ねぇ、出してよぉっ! ここから出じでよ゛ぉ゛っ!!』
必死に訴えかけるが教授は素知らぬふりで立ち上がり、箱の前から離れていく。何一つ少女の要望を聞き入れず去って行く。
「じゃあ、また二週間後に迎えに来るから、頑張って」
『やだ、やだやだやだぁぁーーーーっ!!!』
遠のいていくその背中へ縋るようにガラスを叩くも、教授は一顧だにすることなく。
パタンと扉は閉じ、そのまま本当にいなくなってしまった。
『うそぉ……うそぉ……』
目に涙を溜め、扉が閉まるのを見送ったシェリアは絶望の声を漏らした。それは捨てられた子犬のように哀れで、そして惨めな姿だった。
しかしその表情は次に強ばることとなる。
『……え? ひぃぃっ!!??』
大変な出産を終えたばかりの筈だった。正に地獄のような時間。ありとあらゆる拷問を受けてもなお勝るのでは無いかと思うほどの苦痛の果てに、解放された筈だった。
だがそんなシェリアの穴には、ようやく空いたとばかりに触手が殺到し始めていた。ぬらりと粘液を涎のように垂らし、少女の身体へよじ登る。まるで飢えた獣の如く。
『やだっ!! やめて、もうやめてよぉっ!!』
狂ったようにシェリアは首を振る。だがその懇願を触手たちは聞き分けはしない。いたぶり、孕ませ、出産する――少女の地獄は、また一から再開する。
『いや゛ぁっ! お゛っ♡ 入っでごないでぇっ♡ 気持ちよぐなんでなりだぐないのに゛っ♡! あ゛っ、んぎぃっ♡ ~~~~っあ゛♡ んお゛お゛ぉっ♡♡! もう゛許じでよ゛ぉっ! おぶっ、ンッグ、ンブウウウゥーーッ♡♡♡!!!』
かつて騎士だったシェリアは誇りも、尊厳も、手足さえも奪われ今日も触手に嬲られる。容易くは壊れないよう身体も強化されているので中々死ねず、心が壊れたとしてもそれは続くことだろう。ずっと、ずっと。
いつか母胎として擦り切れる、その瞬間まで。彼女の地獄は続くのだ――。