ひょんなことから友人関係になった、小説書きの飾手 七恵(かざりで ななえ)と絵描きの常野江 四季(とこのえ しき)。
 二人は高校生活を送りながら創作を褒めあい、互いを高めあっていた。
 しかし、四季はある日、成人向けのネット小説投稿サイトに七恵が書いたであろう作品を見つけてしまう。
 その内容は、触手に少女が犯され、苗床にされるというものだった……。

第1回シチュエーションごちゃまぜ合同企画で書かせていただきました。
大変だったけど楽しかった。

お題:触手苗床
 特設ページ
 https://r18novel-lovers.com/SituationShuffle

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触手苗床の餌食~薫風と百合暴力を添えて~

 校庭を囲む防風林の間に、一束の薫風が吹く。葉を靡かせ枝を震わせ、校舎へと流れ込んだ風が、一枚の紙をはためかせた。

 窓際に佇む人物の描かれたその紙を、はたと押さえつけた少女は、絵のモデルとなってくれている友人へと苦笑を浮かべる。

 

 建付けの悪いサッシに悪戦苦闘する友人。少女はガタンと椅子を弾き飛ばし、後頭で結ぶ黒髪を揺らした。彼女は、抱きしめるように友人の背中へまわり、綱引きをするかのように窓枠を引っ張っていく。

 ピシリと閉じられ、風がやんだ教室に二人。一人は黒髪、もう一人は桃髪。

 

 入学から一ヶ月間、何度も地毛か確認され、その度にオドオドし萎れていた彼女──飾手(かざりで) 七恵(ななえ)。彼女の髪色は、引っ越し時に処分したと過去の写真もなく、チャラけて染めている、と相当に怪しまれていたが、

 結局、一度も黒の地毛が生え際から出ることはなく、生徒らからの抗議デモもあり、彼女はそのままの桃髪で登校することを許可された。

 

 その抗議デモを先導していた黒髪の少女──常野江(とこのえ) 四季(しき)は、物怖じもせずに教師に面と向かい、可憐な七恵に庇護欲と母性を掻き立てられた女生徒を中心に、保護者や地域住民も巻き込み、扇動し、革命を起こし、そして現在に至る。

 

「あんなに大事にするつもりはなかったんだけどなぁ……」

 

 そう嘆息する革命家の正体は、いつの間にか出来ていた自身のファンクラブ会員たちに背中を押され、

 また、彼女の親が営む肉屋の所属する商店街の会合で、愚痴を漏らしてしまい、義理人情の祭り好き共に、文字通り祀り上げられ、

 あれよあれよと流されただけのただの少女なのであった。

 

「あは、あはは……けど、あの時は本当に嬉しかったよ。あ、ありがとうね」

 

 吃音気味に言葉を発する七恵は、四季の対面にちょこんと座り、原稿用紙に筆を走らせる。それを数刻ながめていた四季は、対面の彼女の髪と同じ色のコピックを取り出し、紙上を染めていった。

 

 生徒たちが下校や部活動をする時間帯に、埃っぽい部屋で互いに創作をする二人。本来ならそれぞれイラスト部や文芸部に入るつもりだった。しかし、騒動以来ヘンに目立つようになってしまい、見かねた教師が奥まった空き教室を貸し渡したのだ。

 鉛筆で文字を書く音と、コピックで色を描く音。そして遠くから、野球部の掛け声と金属バットで硬球を打つ音が聞こえる。

 

「ん……とりあえず完成した」

「あ、アタシもで、出来たよ」

 

 四季が絵を差し出し、七恵も小説を渡す。声も出さずにそれぞれの作品を読み、眺め、そして同時に向き直った。

 

「えっと、飾手さんの作品、今回もすごく良いと思う」

「! えへへ、ありがとう。四季ちゃんの絵もすっごく素敵だと思……あ、うん。思うよ?」

 

 褒めた絵のモデルが誰なのかを思い出し、七恵の頬に朱が浮かぶ。そんな彼女を愛らしそうに見つめていた四季が、切れ長の目を吊り上げ彼女の文を更に褒めだした。

 

「特にこの、感情に身を任せてキスしちゃうのに、手を繋ぐことを躊躇うとこが、キャラクター性が出てていいね」

「あ、うん。ちょっと、男の子っぽいかなって思ったけど、女の子同士でもいい感じに、なったと思う。えへへ」

 

 殊更赤くなる七恵が、四季の絵をまた眺める。平均より随分と小さな彼女が、絵を掲げたり近づけたりして観察する様は、子供らしく無邪気な姿に見えた。

 

「四季ちゃんの絵は、可愛い」

「ふふ、ありがとう」

「あとね、そのね、なんだろう……ちょっとだけ、えっちな感じがする」

「! そ、そうかな? 私はそうは思わないけど……」

 

 しどろもどろになる四季を見て、それ以上に狼狽える七恵。彼女は、空間に満ちる羞恥を掻き消すように、両手をブンブンと振った。

 

「あわ、あわわ。ご、ごめんね? アタシはすっごくイイと思ったんだけど……」

「……ありがと」

 

 交互に褒めあい、照れあい、二人はまた作品を作っていく。再びの沈黙。そしてかく音が響く。そんなやり取りは、夕日が教室に差し込んでくる頃に終わり、それぞれが逆方向に帰っていく。

 騒がしい学園生活の中の、静寂で満たされるひとときを、四季はとても気に入っていた。

 

 彼女はいつも通り、帰りのバスの中で七恵の作品を読み返す。いじらしくて、甘くて、切ない物語。酔いも忘れ、物語の中へと没頭していた彼女の耳に、目的地に到着したアナウンスが流れてきた。慌てて降りることを告げ、部活帰りの他生徒の間をすり抜ける。

 七恵も同じように、自分の作品を見返してくれているだろうか。彼女はそう物思いに耽りながらバスを降りた。

 

 

 § § §

 

 

「ふう……さて、と」

 

 湯冷めしないように髪をまとめ、四季は机へと向かう。整頓された鞄の中からプリントを取り出し、彼女は今日の課題に取り掛かった。

 しかし、特に苦手としていた数学の課題は遅々として進まず、やる気の削がれた彼女の手には、また七恵の作品が握られていた。

 

「見つめ合い、顔を近づけ、吐息が当たる。そして彼女たちはその唇を重ね合わせ……か」

 

 彼女は課題を放り投げ、ベッドへ身を投じた。天に掲げた原稿用紙に、蛍光灯の白い光が透けて通る。リビングで野球中継を見る父親の、大口を開けて放たれているだろう笑い声が響いた。

 暫く読み耽っていた四季は「捨てたら駄目!」と書かれた菓子箱に、恭しく原稿用紙をしまいこむ。

 

 冷めた体が、また熱を帯びてしまっていた。

 

 スマートフォンを取り出した彼女は、ブックマークから小説投稿サイトを開く。

 成人向けのページへと進めた彼女の心に、背徳感が這い寄り体感温度が更に上がった。

 

 七恵の作品を見るようになり、影響され読み始めたネット小説。ある日、四季はなんとなくの好奇心でサイトの奥へ奥へと進んでしまった。

 そんな彼女を待ち受けていたのは、数多の性癖の嵐だった。

 

 今日もまた、明け透けで扇情的なタイトルたちに中てられ、彼女の手が自然と下腹部へと伸びる。

 

 その中で、ふと目に止まった作品ページを覗くと、そこには触手に犯される少女の姿があった。

 鼻息荒く文を読み進め、疼く陰核を指で転がしていく。

 服が溶かされ、催淫ガスを嗅がされ、触手に弄ばれる少女に、自分を重ねる四季。

 しかし、彼女が達する前に、少女が苗床へと堕とされ、物語は結末を迎えてしまった。

 四季は震える指で、作者の作品一覧へと進む。

 ずらりと並ぶ触手小説の数々に圧倒され、彼女は思わず笑みを溢した。

 

 手慰みを続けながら、彼女は上から順に作品を読む。

触手壺に尻から落ちた少女が、助けを乞いながら只管に性器をいじめ抜かれる話。

ダンジョンのトラップが作動して、触手で覆われた部屋に転移させられ、絶望の中、触手による快楽責めで壊れていく話。

女冒険者が、案内役に扮した魔女に突き落とされ、触手のみっちりと詰まった穴の中で体液を採取され続ける話。

 

 物語の中に入り込み、触手に犯されていくような感覚になっていく四季。

 弄る指を触手に見立て、文と同じように陰核を刮げ、弾いていく。

 そして乳房を手で揉み捻り、くりくりと乳首を弄くり、触手に括り付けられたかのように、足首を交差させた。

 

 ヒュッと喉が鳴り、四季の身が跳ねる。手からずるりとスマートフォンが落ち、呆けた顔に画面が襲いかかってきた。

 

「痛っ!ぐうぅ……」

 

 途端に現実に戻され、羞恥で悶える四季。少し冷静になった頭で作品を見返し、彼女はとりあえずとそのページをブックマークする。すると彼女は、眺めていた文に違和感のようなものを覚えた。

 

「この文、どこかで見たことある気が……」

 

 四季は、頭を捻り出処を探っていく。しかし、絶頂しふやけた脳ではデジャヴを現実に戻すことは困難だった。

 彼女はえいと立ち上がり、部屋にある本や小説を読み回す。そして、ついに彼女はデジャヴの大元にたどり着いた。

 

「この部分……飾手さんの書いた文と一緒だ」

 

 七恵の書いた小説と、触手小説を見比べていく。一節、一節と一致する表現を探し当て、更には登場人物の容姿と名前が同じものまで見つけてしまった。

 つまりは、少女同士の恋を書く七恵が、触手に犯される少女たちの物語を書いている事実を示しており、

 

「…………んっ♡」

 

 七恵の心の底を、彼女の本質を覗き見てしまったような感覚に陥った四季は、背徳感と高揚感でまた下腹部に手を伸ばした。

 

 

 § § §

 

 いつも通りの、七恵と四季だけの教室。しかし、今日はどこか緊迫した空気が漂っていた。それを感じ取ったのか、七恵の表情もどこか緊張している。

 原稿用紙と四季の顔をオドオドとしながら交互に見ていた彼女に、スマートフォンの画面が突き出された。

 

「これ、七恵ちゃん?」

 

 七恵は、何事かと画面を見やる。すると、次第に彼女の目が見開かれ、顔が青くなっていった。

 彼女が飛び退き、椅子がバタリと倒れる。悪事がバレた子供が誤魔化すように、彼女はしどろもどろに言葉を並べた。

 

「し……知らない! 私じゃない!」

「……この登場人物、前に書いてた娘と一緒だよね?」

 

 四季からの詰問に、目を泳がせる。そんな彼女を追い詰めるように、四季は淡々と証拠を突きつけていった。

 七恵の幼い顔が、苦悶で歪んでいく。

 

「ごめんなさい……ごめんなさいっ……!」

 

 そしてとうとう、七恵は泣き出してしまった。彼女の黄色い瞳から、ぽろぽろと雫がこぼれ落ちる。彼女を責め立てるつもりはなかった四季は慌て彼女を宥めるが、それでも萎れる七恵の涙は止まらない。

 

「こ、こんなの書いてるなんて、知られたくなかった……」

「だって、だって!……引いたよね、変態だって思ったよね?アタシは──」

 捲し立てる彼女を、四季は屈みぎゅうと抱きしめた。そのまま頭を撫で、すすり泣く彼女をあやしていく。

 

「私が言いたいのはそんなんじゃなくって、その……昨日上げてた話、すっごく良かったよって伝えたかったの」

「……嘘だよ、だって、だって……」

「嘘じゃない! 見て!」

 

 そう言うと四季は机の上に荷物をぶちまけ、一枚の紙を取り出した。

 泣き顔の七恵に、その絵を突きつけると、彼女の顔が綻んでいった。

 

「えへ、これって、触手の絵?」

「昨日見たお話の、その、挿絵的な……」

 

 変じゃないかな。と訊ねる四季に、七恵はぐしゃぐしゃの顔に満面の笑みを浮かべた。

 

「……変じゃないよ。まるで本物みたい」

 

 四季は自身が返せる最大級のお返しを彼女に、彼女の作品に返し、それに気がついた七恵は、ほうと満足そうなため息を付いた。

 わだかまりが解け、笑い合う二人。そして七恵は、四季が何故このシーンを選んだかを訊ねた。

 緊張が解け油断していた四季は、明け透けに気持ちを吐露してしまう。

 

「そのシーン、すごくえっちでいいなーって思って、3回くらいシちゃったから」

 

 瞬間、固まる四季。きょとんとした顔でそれを眺める七恵。

 彼女が何故固まっているのか、顔を真赤にしているのかを探る七恵は、何かにピンときた顔をし、そして同じく顔を真赤にした。

 

「四季ちゃん……もしかして、その、あ、アタシの書いたので……一人え──」

「今のナシ! 帰る!」

 

 七恵の制止を振り切り、彼女は教室を飛び出し階段を駆け下り、帰りのバスに飛び乗った。

 なんであんな事を言ってしまったんだろう。七恵は何を思っているのだろう。

 四季の頭の中に後悔がぐるぐると渦巻き、彼女の心を苛んでいく。

 

 永遠とも思える思考のスパイラルに囚われ、バスから降りた彼女の姿は、何十年も経ったかのように老け込んでしまっていた。

 

 

 § § §

 

 

「ううう、あああ。うあ……あぁもう! うぅ……」

 

 奇声を上げながら悶える四季。枕に顔を埋めながら、流し目でスマートフォンの画面を見やる。

 いつも通りにサイトを覗き、いつも通りに成人向けのページへと進んだ彼女の手が止まった。

 新着一覧に載っている、七恵の作品。「最強の女冒険者が催淫ガスで発情して、最弱の触手の餌食になる話」と題されたそれを、彼女は読み進めていく。

 触手に弄くられ、開発され、どんどんと堕ちていく少女を自分に重ねた彼女は、いつも以上に疼く陰核を、指で掻いていく。

 

「ふぅっ……んっ……♡」

 

 溜まった鬱憤をはらすように激しい自慰をする彼女は、物語を読み終わらぬ内に果ててしまった。

 呆けながらも、少し長くかけるようになった彼女の小説を読み進めていく。

 

「この子……私みたい」

 

 触手への忌避感が薄れ、代わりに愛が芽生え始めた主人公の姿に自分を見出しそうになる四季。彼女はその念を振り払い、机に向かう。

 七恵の作品のワンシーンを思い浮かべ、絵を描いていく四季をデスクライトが照らし、部屋の壁に影を落としていった。

 

 

 § § §

 

 

 昨日にも増してぎこちない二人。教室の中はしんと静まり返っている。

 どうにか話を切り出した四季が、七恵にまた挿絵を差し出す。

 

「あ、ありがとう……ねぇねぇ四季ちゃんの絵、挿絵にしてもいい?」

「私ので良ければ……データで送るね」

 

 SNSを登録し合い、四季は加工した絵のデータを送る。その御礼にと七恵が、どこから見つけてきたのか検討もつかない、可愛らしくデフォルメされた触手のスタンプを送り返した。

 

「えへへ……ねぇ四季ちゃん。四季ちゃんは、このシーンで、シちゃったの?」

 

 突然明け透けな質問をされ、素っ頓狂な声を上げる四季。上ずった声で言い訳を並べるが、七恵に見つめられ、とうとう白状してしまう。

 

「えっと……女の子が触手にレイプされながら、好き好きって言ってるところ……で、シました」

「ふーん、そっか、えへへ。ちょっと嬉しいかも」

 

 七恵は、普段のおどおどした表情とは打って変わって、いたずらっぽい笑みを浮かべ彼女の手をにぎる。

 

 その日から、七恵と四季の関係は、奇妙でいて、そして淫靡なものへと変わってしまった。

 

 次の日も次の日も、七恵が触手小説を書き上げ、四季はその作品で自慰をする。我に返った四季が挿絵を描いて、それを翌日七恵にみせ、その結果、彼女にどのシーンで自慰をしたかが伝わるという、酷く歪んだサイクルが出来上がった。

 歪んではいるがお互いに楽しんで創作をしていた。そして四季は、七恵の創作に関わっていることが、彼女の本質に触れているような感覚が心地いいと感じ始めていた。

 

 しかし、その思いに次第に陰りが見えてくる。七恵の書く小説に、真新しさがなくなってきたからだ。四季が自慰をしたシーンと似たような展開ばかりを詰め込むようになり、ついには、登場人物を変えただけのような、焼き直しに近い作品が投稿されてしまった。

 

「……私が見たいのはこんな作品じゃない」

 

 七恵に打ち明けることを決意した四季は、挿絵を描かずにベッドへと潜り込んだ。

 

 

 § § §

 

 

翌日、居ても立っても居られなくなった七恵が、廊下で一人佇む四季に話しかけた。「ねえねえ四季ちゃん! 昨日の作品、どこでシてくれ──」

「飾手さん、もうこういうのやめない?」

 

 突然四季から拒絶され、その場に立ち尽くす七恵。何故やめたいのか、とどうにか喉からひりだした彼女に、四季は心の内をさらけ出していく。

 

「私はね、貴女の身の内から出た創作が見たいの、私が気に入る創作を書いてほしいわけじゃないんだ」

「でもでもアタシ、こうなったらいいなって、本当にこうしたくって書いて……!」

「……分かってくれないならもういい」

 

 四季に愛想をつかされた七恵は、縋るように彼女を追いかける。しかし、段々と早足になる四季に追いつけなくなり、覚束ない足取りの七恵は、派手に転んでしまった。

 見かねた四季が、彼女に手を貸す。すると七恵が、涙目になりながらも四季に真っ直ぐに向き直った。

 

「ねえ四季ちゃん、アタシが本当にしたいことをしても引かない?」

「大丈夫、絶対引かない。私、最初から引かなかったでしょ?」

 

 七恵は立ち上がり、制服の袖で顔を拭った。

 カッとタレ目を見開き、四季を見上げた彼女もまた、心の内をさらけ出していく。

 

「全部受け止めてくれる?」

「うん、全身全霊で受け止める」

「……じゃあ、見せるね。私の全部」

 

 そう宣言した彼女に確かな決意を感じ、四季は二つ返事でそれを了承する。

 放課後、四季は七恵と一緒に電車に乗り、隣町へと向かった。

 駅から30分ほど歩いた先にあったのは、白い塗装だったであろう古びた家屋だった。

 

「えっと……飾手さんはココに住んでるの?」

「ううん、昔はここに住んでたんだけど、お父さんが死んじゃってからは別のとこで暮らしてるんだ」

 

 七恵に暗い過去を告白させてしまい、咄嗟に謝罪する四季。そんな彼女に大慌てで謝罪し返した七恵は、彼女を中へと案内する。

中に入ると、そこはモデルルームのように小綺麗だった。そして同時に、人の住んでる気配がしないほどにものがなく、四季の背筋に冷たいものが走る。

 

「お話を書くときに、たまにここの地下に来るんだ。だから上にはあんまり物を置いてないの」

「なるほど……じゃあその地下をアトリエみたいな感じにしてるんだ」

 

 生活感がない理由がわかり、四季はほっと胸をなでおろした。

 七恵に導かれるままに、地下への階段を下っていく。好奇心と恐怖心が等量ずつ湧き上がり、四季の心をざわつかせていった。

 七恵が地下室の扉を開ける。そこには、壁一面を覆い尽くすように、絵が飾られていた。

 

 四季の背筋が凍りつく。部屋の様子はまるで、サイコホラーのワンシーンのようだった。

 

「貰った絵、飾ってるんだ。……引いちゃった?」

「……ごめん、ちょっとビックリしちゃった。けど、嬉しいよ」

「えへ、えへ、えへへ」

 

 はにかむ七恵と共に、自分の描いた触手の絵を鑑賞していく四季。思い出されるシーンで、そして自慰の快感で、彼女の下腹部が疼いてきてしまう。

 ふと、四季は彼女の絵の中に、見覚えのない絵が一枚飾られていることに気付いた。

 何処となく七恵に似ている、触手の生えた人型の生物の絵。

 

「この絵はね、アタシのお父さんが書いたの」

 

 七恵は、その絵を起点に過去をつまびらかに打ち明けていった。

 

「アタシのお父さんは研究員でね、色々な実験をここでしてたの」

 

嘘か本当か判断しかねるような七恵の話。しかし、嘘をついているようには見えず、四季は彼女の話をただただ黙って聞く。

 

「それでね、お父さんが倒れてちゃって、一人で暮らすようになって」

「アタシ元々籠もりっきりだったから常識とか分かんなくって、色んな事を沢山勉強して、沢山調べて」

「段々人がどういうふうに考えて、どう思って、そして想って生きているかが分かっていったの」

 

 彼女のしたであろう苦悩を、苦労を感じ、四季は思わず涙ぐむ。そんな彼女に七恵は微笑み、少し背伸びをして頭を撫でた。

 

「だから私には、皆みたいに昔の写真や思い出みたいな、誰かに自分を証明できるものがなくって、今アタシが生きているって証明するのに、作品を書いてるの」

 

 彼女の想いを聞き、今朝の仕打ちを思い出してしまった四季は、涙を浮かべ七恵に謝罪をした。

 しゃがみ込み嗚咽を漏らす彼女に、七恵は尚も頭を撫で、そして抱きしめる。

 

「私がどういう事を考えて、何をしたいかを書いてるんだ」

「今、四季ちゃんがされたい事を書いちゃってるのは、アタシが四季ちゃんのことが大好きだからかもしれない」

 

 この先の分岐路の、暗い方を考えてしまっているからか、七恵の瞳には、憂いが浮かんでいる。

 

「大丈夫、引かないよ。私も飾手さんが……七恵ちゃんが大好きだから」

 

 分岐路の明るい方に、二人で歩を進める。彼女たちは、互いに互いを認め合い、共に歩む道を選んだ。

 

 そう、選んだかのように見えた。

 

「ねえ、四季ちゃん」

 

 七恵の声が、普段よりも低い、感情のない声に変わった。

 四季の手を握った両手が、万力のように締まっていく。

 異変を察知した四季は、狼狽えながらも彼女から離れようとするが、足元に何かが絡みつき転んでしまった。

 

 四季の足首には、ピンク色の紐状の肉が絡みついていた。

 思わず叫ぶ四季が、肉紐の根本を目で探っていく。

 

 視線の先には、七恵の足があった。

 彼女のスカートからは、4本程の肉紐が垂れ下がり、その末端が四季の足首や手首を絡め取ろうとする。

 

 四季は肉紐をどうにか振り払い、その場から逃げようと扉を見やるが、扉全体を覆う肉壁に慄き、へたり込んでしまう。

 

 彼女の首筋に、ねとりとした感触が巻き付く。肉紐の先端がぷくりと膨らみ、何かを彼女の顔めがけ放出せんとしていた。

 

「──全身全霊で受け止めてね♡」

 

 七恵の蠱惑的な声と共に放たれた、桃色のガスを吸い込んだ四季は、目を白黒とさせた後に白目を剥き、意識を完全に手放してしまった。

 

 

 § § §

 

 

 四季が目を覚ますと、彼女は中空に縛り付けられ、その身をX字にさらけ出していた。

 周りを見ると、壁一面を肉襞が覆い、まるで小説に出てきた触手部屋のような様相になっていた。

 

「おはよー四季ちゃん♡ 気分はどう?♡」

 

 七恵の可憐な声が聞こえてくる。しかし、その声色は淫靡なものへと変わり、顔にも、普段からは想像もつかないような蠱惑的な笑みが浮かんでいた。

 肉襞の蠢く水気を含んだ音が、辺り一面から響き、彼女の聴覚を侵していく。

 生理的嫌悪感が心に湧き、四季の顔に苦悶の表情が浮かんでいった。

 

「うーん、そんな顔しないでほしいなぁ」

「七恵ちゃん、これ何? 七恵ちゃんがやったの?」

「そうだよ♡ すごいでしょ♡」

 

 七恵がにまりと笑い、縛り付けられている四季に近づいていく。

 彼女の両の手が、四季の胸に伸びていった。比喩表現ではなく、ゴムのおもちゃのように、

 七恵の両腕が、両指がずろぉと伸び拡がり、四季の胸を制服越しに鷲掴んだ。

 カラメルを焦がしたような、甘い匂いが立ち込める。それは七恵の掴んだ布地が、溶かされ焼ける匂いだった。

 

「えへ、えへ、すごいでしょ?♡ 私が溶かしたいものだけ溶かせるんだよ♡」

 

 硫酸に溶かされるようなイメージが浮かび、恐怖で顔を歪める四季。

 彼女の苦虫を噛み潰したような表情に、七恵は口を尖らせ抗議をした。

 

「もー、四季ちゃんのことを溶かしたいわけじゃないんだよ?」

 

 七恵はそう言いつつ、四季の股間に団扇大の手を当てる。

 シュウシュウと音と煙をたて、スカートが溶かされていく。ただれた皮膚のように、垂れ下がる布切れ。暴漢に引きちぎられたような服の残骸を身にまとう四季は、たゆんとしたグレープフルーツ大の胸と、ビスケット大の乳輪、そして小指の先程の大きさの乳首をさらけ出してしまっている。

 前面が溶け、消滅したスカートの奥には、引き締まりつつもまるんと張る尻、そして、薄い切符大の陰毛が生えている、未だ何者をも通していない女陰が、心細そうにきゅうと身を縮こませていた。

 七恵が、恍惚そうな笑みを浮かべる。それと同時に彼女の瞳が、羊のような横長の瞳孔に変形した。

 悪魔のような彼女の笑みを見せつけられ、四季は身を捩り触手から抜け出そうとする。

 

「なんで逃げようとするの?受け止めてくれるって言ったのに……」

 

 心底不機嫌そうなため息をついた七恵が、両手をもとの小さな手に戻した。蚊を潰すようにパチンと手を叩くと、部屋を覆っていた肉襞が、どんどんと狭まり二人を囲んだ。半径1m程度まで狭まった空間に、甘ったるい百合の匂いが立ち込める。

 四季の背中に触手が当たり、服を噛み裂いていく。殆ど全裸に近い、ボロボロの布切れだけの四季は、ツリ目をキッと七恵に向けた。

 彼女は意に介さず、指揮者のように手を中空で踊らせる。片方の目を瞑り、四季の背に這わされた触手に視界をリンクさせ、獲物を後ろから観察し始めた。

 

「四季ちゃんの背中、スラッとしててアタシ大好き♡」

 

 曝け出された背中に、触手が撫でつけられる。ヌルヌルとした感触が背骨を伝わり彼女を苛んでいく。

 生理的嫌悪感は薄れ、こそばゆさが彼女の皮膚上を駆け巡っていった。

 

「この甘い匂い、いいでしょー♡ えっちな気分になるように工夫してるんだよ?♡」

「どう? えっちになった?♡」

 

 七恵の思い通りにはならないと、四季は彼女を睨み、息を止める。しかし、七恵が短い舌先をちろちろとさせると、首筋に舌が這うような感触が当たり、思わず仰け反り声がでてしまった。

 

「ひぃっ♡ やっ今のは違っ……!」

「えへへ♡ 四季ちゃんの声、すっごくかわいいね♡」

 

 首から肩、肩から鎖骨にかけて触手が這い、四季の強張った体が蕩かされていく。

 気の抜けた声が口から漏れ出てしまい、それをみた七恵が恍惚な表情で、間延びした歓喜の声を上げた。

 

「はぁ♡ や♡ やめっ♡ はぅんっ♡」

「はぁあ~♡ もっともーっと四季ちゃんのえっちな声聞かせてぇ♡」

 

触手の先端が、四季の鎖骨を撫でつける。そのまま脇へと伝わう先端が、彼女の乳房をきゅうとひねり上げた。

 まるんとした乳房が、ロケットのような形に変形させられる。朝顔のつるのようにぐるぐると巻かれた触手が、搾乳をするように彼女の双房を絞り上げていく。

 少し苦しそうな、甘ったるい声を上げる四季。彼女の脳裏には、小説に書かれていた場面が映し出されていた。

 小説通りであれば、触手の形状が変化し、獲物に見せつけるようにその先端を見せつけてくるはずだと、彼女は一瞬期待してしまい、その先を想像しないように頭を振る。

 

「えへ、えへへ♡ 四季ちゃんの乳首、勃ってきてるよ?♡」

 

 しかし、期待が体に顕れてしまい、それを七恵に勘付かれてしまった。

 彼女の胸を絞り上げている触手の先端が、目の前で鎌首をもたげる。

 形状がうぞうぞと変化していき、電動歯ブラシのように細かく振動する、小豆大の襞がびっしりと生えてきた。

 

 それは七恵の小説の中で、四季が自慰をした描写と一致していた。

 

「このあとアタシがどうするか、わかっちゃってるよね?♡」

「や、やめっ……!」

 

 歯先の振動が増し、鈍い音を立て汁を撒き散らしている。ローションのようにぬめる汁が、四季の乳首にポタポタと垂れた。

 彼女の乳首に、ゆっくりと先端が近付いていく。

 

 四季の乳首に先端が触れた。

 瞬間、肉襞ががっちりと乳房を絞り押さえ、どれだけ身を捩っても引き剥がせなくなってしまった。

 肉と肉が擦り合わさり、四季の双房の先から鈍い水音をたてる。

 

ぞりゅぞりゅぞりゅぞりゅ♡

「ひっ♡ お゛ぉっ!?♡ あ゛っ♡ お゛ほっ!♡」

「あっは!♡ すっごい可愛くてえっちな声ぇ♡」

 

 情けない甘い声か出てしまい、四季は唇をぎゅっと噛む。口内で抑えられる、くぐもった彼女の嬌声。しかし、歯ブラシで磨くように乳首を擦られる度に、強制的に口から声が吐き出されてしまう。

 

「なぁんで我慢しようとするのー?♡ もっと、もーっとえっちな声聞かせてよぉ♡」

 

 七恵の間延びした声が肉襞まみれの空間に響く。彼女が指をパチンと弾くと、スカートの中から無数の触手が伸びてきた。或いは猫の舌、或いは根元までを解された筆。様々な形状の触手が、四季の足裏を、脇を、耳をこそばみ舐り、嬲っていく。

 

「やぁっ♡ へぁ゛っ♡ んぎぃ……はぉ゛っ!?♡」

「あっは♡ アタシ、ずっと聞きたかっただんだぁ♡ 四季ちゃんの間抜けな声ぇ♡」

 

 ガクガクと痙攣し、軽く絶頂し続ける四季に、七恵は嘲笑うような笑みを向けた。

 ショーウィンドウ越しに可愛い服を見つけた少女の無邪気さに、ドロドロの性欲を混ぜ込んで煮詰めたような、可憐で邪悪な七恵の声。

 そして、梟の鳴き声に、全力疾走した人間のぜえぜえとした吐息を混ぜたような、四季の間の抜けた喘ぎ声。

 

 ひとしきり、四季の奏でる嬌声を愉しんだ七恵は、制服の裾から朝顔の蕾のような触手をずりだした。

 四季の目の前まで持ち上げられた触手の先端は、朝顔の蕾のような形になっている。

 開花のような変化をすると予想した四季の思惑に反して、その先端は蛇が獲物を飲み込むようにガパァと開かれた。そこに牙や毒腺の類はなく、代わりに無数の舌先がチロチロと贄を求め激しく蠢いている。

 思わず悲鳴を上げた四季。しかし、自分の悲鳴の中にまた期待が混ざっているのに気がついてしまい、

 

「えへ、いひ♡ おまんこにちゅーシて欲しいんだねぇ?♡」

 

 当然それは、七恵にも勘付かれてしまっていた。

 

 四季の股間に、蛇の大口のような触手が近づいていく。彼女は身を捩り抵抗しようとするが、散々弄ばれ嬲られた体は言うことを聞かず、へこへこと乞うように腰を動かすことしか出来ずにいた。

 四季の肛門から陰核までを触手が覆い、絶対に外れないようにと吸い付いた。

 貞操帯のようにがっちりと張り付く触手を、涙を流しながら外そうとする四季。

 その姿は、まるでブランコのようにゆらゆらと揺れ、ただ、それだけだった。

 

 無数の舌先が、チロチロと蠢き始める。彼女の泣き叫ぶ声は次第に治まり、代わりに気の抜けた甘い声が震える唇から漏れ出てきた。

 

「ほぉっ♡ いやっ……♡ はっはっ、はぁっ♡ ひい゛っ♡」

 

 陰核をねぶられ、肛門を舐め回され、膣襞を吸われそして、膣穴をくぽくぽと弄ばれる。

 喘ぎ呆ける彼女を見つめながら、七恵は味覚を触手と共有し、口をモゴモゴと動かした。

 

「……しょっぱいのと、ちょっと甘い?あと鉄の味がするね♡ これが四季ちゃんの味かぁ♡」

 

 七恵がずろぉと舌を放り出し、態とらしく中空をねぶり回す。すると、連動した触手が蠢き、四季の秘部を殊更に嬲り始めた。

 

れろっれりゅっ、ずりゅっちゅぽっ♡

「いぎっ!♡ お゛っお゛っほぉ゛っ♡ やだぁ……もうやめでよお゛……!」

 

 四季の懇願は一切届かず、七恵はただひたすらに彼女の秘部を味わっていた。

 彼女が舌先をチロチロと動かすと、陰核付近が同じように蠕き、

 キスをするように唇をすぼめると、包皮が剝かれ、ちゅうちゅうと根元から吸われる。

 れろんと舌を動かせば、後ろから先までに無数の舌先が這わされ、

 先端を尖らせ出し入れするようにすれば、膣口につぽつぽと長細い触手があてがわれた。

 

 その度に四季は濁点混じりの嬌声をあげ、七恵の嗜虐心が満たされていく。

 味覚も視覚も聴覚も十分に満足し尽くした七恵は、最後の締めと言わんばかりに、乱暴な口淫を彼女に仕掛ける。

 

「四季ちゃーん?♡ エッグいイかせ方させたげるね♡」

「ヤダ……ヤダヤダやめて! わたしイぎだぐないっ! もうやめ゛てってばぁ……!」

 

 必死の懇願を無視し、七恵は全ての触手を操っていく。

 ブラシ状の触手を上下に挟みつけ、手を洗うように乳首を擦り上げる。

 四季が上半身を捻り、逃げようとすると、乳房に巻き付いた触手が逆方向に絞りあげ、彼女の体勢を矯正する。

 首輪をぐいと引かれた飼犬のように、大人しく従うしかない四季は、くうくうと媚びたような鼻声を上げた。

 

 膝裏に触手が巻き付き、四季の体を持ち上げる。

 M字に開脚させられ、秘部を突き出すように宙づりになった彼女は、女陰を触手に拡げられるさまをまざまざと見せつけられ、羞恥で顔をしかめた。

 太いストローのような触手が膣口にあてがわれ、愛液が音を立て吸われていく。

 掃除機が皮膚に当たったときのように、不意に膣壁に吸い付かれ、彼女は腰を引いて引き剥がそうとする。

 しかし、尻を鞭状の触手で何度も叩かれた四季は、断続的に悲鳴を上げ、腰をヘコヘコとさせることしかできずにいた。

 小さなクラゲ型の触手があてがわれ、及び腰になるが、尻に当たる硬質の肉鞭に慄き、とうとう自ら尻を上げ、陰核を突き出した。

 

「ぐすっ……うええ゛……なんでこんなことするのぉ……私、七恵ちゃんのことが好きだったのにぃ……!」

「……アタシは今も大好きだよ? 過去形にした四季ちゃんと違って」

 

 心底傷ついた、と長い溜息を一つした七恵は、右手をクラゲ型の触手とリンクさせ、動きを確かめる。

 クラゲの内部にみっちりと敷き詰められた肉襞が、七恵の指の動きに合わせ、グヂュグヂュと音を立てうごめいた。

 にやりと嗤い、七恵はクラゲを四季の陰核にあてがう。度重なる快楽と苦痛に嗚咽を漏らす四季は、目を見開きクラゲに包まれる陰核を凝視する。快感で焦がれる脳で、七恵の小説の一節を思い返したが、だからといって何かを出来るわけでもなく。

 彼女は、この先に起こることに気づいてしまい、絶望し助けを乞うた。

 

「んー……だーめっ♡」

 

 ぶぢゅりと、肉襞が陰核を覆い尽くす。七恵が指を波打たせる度に、陰核はもみくちゃにされ、グヂュグヂュと音をたてる肉襞に埋もれていく。

 先程まで責め立てていた触手も再稼働し、四季の全身が快楽で覆われていった。

 胸も、乳首も、耳も脇も、

 手のひらも足裏も、へそも脇腹も、

 膣口も肛門も、そして陰核も、

 ただひたすらに嬲られ四季は、普段の凛々しい姿からは想像もつかない、体液まみれのフルネルソンの体勢で泣き叫ぶ。

 それでも彼女を弄ぶ触手の動きは止まらず、七恵は笑い声をあげ、より激しく触手を操作した。

 

 彼女の激しい責めに耐えきれず、四季は穴という穴から汁を吹き出し、

 

「イ゛ぐっ♡イグイグイグっ♡イ゛っ……お゛ぉほお゛っ!?♡♡♡」

 

 今まで体験したことのない快楽の中、雄叫びのような嬌声をあげ、絶頂した。

 

ぷしっ♡ ぷしゃっ♡ ぢょろ、ぢょろろろ♡

 

「えへへ、すっごいアクメ顔♡ 写真に撮っちゃおーっと♡」

「やめ゛っ……おひっ♡ んん゛っ……はへぇ♡」

 

 絶頂している最中にも、ゆるゆると全身を愛撫され、異なる性感帯がそれぞれ別タイミングで絶頂を繰り返し、四季の体は痙攣しっぱなしになっている。

 そして、絶頂のたびに腰が跳ね、潮が吹き出してしまう。幾度となく絶頂した四季は、とうとう気絶してしまった。

 

「四季ちゃーん? まだ寝ちゃ駄目だよぉ?♡」

 

 七恵が、四季の乳首と陰核を直接捻り上げる。

 強制的に覚醒させられた四季は、目を白黒とさせながら周りを見渡し、醒めない悪夢が現実であることを再確認した。

 

「ここからが、アタシの本当にシたいことなんだから♡ 全身全霊で受け止めてね♡」

 

 先端が注射針のようになった触手が、七恵のツインテールから這い出てくる。

 鍼治療のようにプスプスと、四季の体に突き立てられ、蛍光ピンクの液体が体内に注がれていった。

 舌、乳首、陰核と、感覚の鋭敏な箇所にも刺され、痛痒さで四季はもぞつく。

 次第に体が火照り、性感帯がじんじんと疼いてきた。

 分泌液が脳にまで達したのか、受動的に悦んでいただけだった先程とは打って変わって、発情期のメス猫のように、尻を振り辺りに擦り付けようとしてしまう。

 

「えへ、えへ♡ 四季ちゃーん♡ どうしてほしい?♡」

「ん゛っ♡ ふぅっふぅっ♡ 家にっ……家に、かえして、ほしいっ……」

 

 最後の気力を振り絞り、嗄れた声で解放を望む四季。当然七恵には、受け入れて貰えなかった。

 いつまでも自分を拒絶する四季に、少し寂しそうな目をする七恵。直ぐに蠱惑的な笑みに戻った彼女は、目を妖しく光らせ黒髪の少女に向き直った。

 

 

「むう、意地っ張りなんだからぁ。そんな風にする四季ちゃんは……」

「──もう二度と帰れないようにシてあげるね♡」

 

 七恵がスカートを少し翻すと、股の間から極太の触手がまろびでてきた。

 七恵の腕と同等の太さのその先端には、同じく七恵の拳と同等の膨らみがあり、隆々としたそれは、まるで使い込まれた男性器のようだった。

 四季のさらけ出す陰部に、拳大の先端があてがわれる。

 四季は脇目も振らず、駄々をこねる子供のように拒絶し続けた。

 

「ヤダヤダ! 初めてが触手なんて絶対イヤ!」

「……そっか、イヤなんだ」

「そうよ! 絶対イヤッ! 離してよっ! 家に帰してよぉ……!」

 

 泣き叫ぶ姿に心を打たれたのか、ゆっくりと四季を降ろしていき、目線を合わせる七恵。彼女の頬を撫で涙を拭った七恵は、そっと唇を重ね、自身が書いた小説のような、甘くいじらしいキスをした。

 

「七恵ちゃん……お願いだからもうやめて? 今なら元の関係に戻れるから……」

「……四季ちゃん、ごめんね」

 

 七恵は、触手を膣口から引き離し、

 

「今更もう戻れないよ♡」

 

 勢いをつけて膣へ挿入し、四季の処女膜をぶち抜いた。

 

ブヅンッ!

「ギぃいっ!? オごッ!?」

 

 処女だった四季に、容赦のないピストンを繰り出す七恵。彼女の膣に極太触手が出たり入ったりする様子が、腹を内から押し上げる蠕動でつぶさに分かる。

 殆ど悲鳴のような嬌声を上げる四季は、痛みによる気絶と、衝撃による覚醒を繰り返し、前後不覚のなか中空でグラグラと揺らされていた。

 

「……受け止めてくれるって言ったのは四季ちゃんなんだよ? 約束を破った四季ちゃんが悪いんだよ?」

 

 彼女のそしりも四季には殆ど聞こえておらず、腹を押し上げられて強制的に出される空気が、喉を通り声のような音を発しさせていた。

 暴力的なピストン運動に晒され、嗚咽を漏らすこともできず、サンドバックのように無抵抗で、七恵の怒張めいた触手を受け入れる他なかった。

 

「約束を破る悪い四季ちゃんには、たーっぷりオシオキしなくちゃだよねぇ?♡」

 

 七恵が拳を掲げ、膣を陵辱する触手とリンクさせる。彼女が拳を広げると、膣内の触手の先端も同じく広がっていった。

 指の先端をすぼめ、鳥のくちばしのような形を作った七恵は、何かをつつくように手を動かす。

 すると触手の先端が先細り、彼女の手の動きに合わせ、四季の子宮口をコツコツとつつき始めた。

 

コツ、コツ、コリュ、クリュ♡

「いぎッ! がハッ……やめでっ……やめでぐだざいっ!」

 

 痛みからか、涎が垂れることも厭わずに懇願をする四季。しかし、そんな彼女を見る七恵の目は、今までにないほどに冷ややかだった。

 コツコツと子宮口をつつく手を止めず、むしろ動作を早めて彼女をいじめ抜いていく。

 

「嘘つき四季ちゃん。痛くならないようにお注射したの、ホントはわかってるんでしょ?」

「……ッ!」

 

 七恵が、つんとした表情で手をわきわきと動かす。すると、連動した触手が膣壁を掻き回し始めた。

 ピストン運動と、膣を掻く動き、そして先程の分泌液の注入で痛みはほぼなく、快楽だけが彼女の体を蝕んでいた。

 

 

ぐぢっぐぢゅっ♡ぐぢゅん、ぐぢょっ♡

「お゛ほぉッ!?♡ ぎぃっ♡ やめ゛っ♡ やめでっ♡ い──」

「痛くないよね? まだ嘘つくならもっと激しくするけど」

 

 七恵はストレッチをするような、バラバラな動きで手を、腕をガクガクと振り回す。同じく触手がのたうち回るように膣内でうねり、子宮も膣壁もGスポットも押しつぶすように、只管動き回っている。

 

ぐぢょぐぢょぐぢょ♡ ぐっぢゅ♡

にぢゅっにぢゅっ♡ ごぢゅんっ♡

「ごめんなざい! ごめんなざいっ!うそつぎまじだっ!♡」

「きもぢよくでっ、あだま♡おがじぐなるがら♡やめでぐだざいっ!♡」

 

 彼女の膣をのたうつ触手を止めず、七恵は、泣き叫び嬌声と嗚咽を吐き出す四季に近づいていった。

 七恵は、涎をたらす四季に、満面の笑みを浮かべ、拳を見せつける。

 拳がどんどん掲げられ、膣内の触手も、ゴリゴリと膣を押し進んでいくと、彼女の子宮に触手塊が当たった。そのまま止まらず、ゆっくり上へ上へと押し上げられていく。

 息が出来ないほどに押され、身を焦がすような快感と圧迫感で吐き出しそうになる四季に、七恵はニコリと笑って命令をした。

 

「四季ちゃん、アタシのこと大好きって言って? そしたら許してあげる♡」

「……ななえ゛ちゃん゛、だいずぎでづ……♡ ぐぇ、ごぶっ……♡」

 

 七恵は笑みを崩さず、掲げていた拳を、招き猫のように折り曲げた。

 

ゴリゴリッ♡ ゴリュッ!♡

「ッ!?♡────ッッッ!♡♡♡」

 

 子宮をゲンコツのような触手塊で押しつぶされ、ポルチオ絶頂した四季は、仰け反り、白目を剥きながら意識を手放した。

 

「えへ、えへへ♡ ありがとう四季ちゃん♡」

「これからも、いっぱいいーっぱい遊ぼうね♡」

 

 膣穴からダラダラと愛液を垂らす四季を、部屋の奥へ運ぶ七恵の声は、彼女の耳には届いていなかった。

 

 

 § § §

 

 数週間後

 

 いつも通りの、二人だけの教室。四季は絵を描き、七恵は文を書く。七恵の原稿用紙には触手の子を産もうとする少女が触手に子宮を押さえられ、勢いよく卵を孵している描写が書かれており、

 対する四季の紙には、ボデっと腹の膨れた少女が、新婚ホヤホヤのような幸せいっぱいの表情で触手にキスをする絵が描かれていた。

 

「……四季ちゃん、そろそろ産まれる頃だと思うんだけど」

「うん、最近良くお腹を蹴られて……えっと、その度に軽くイっちゃうんだ♡」

 

 今まで通りの凛々しい顔に、恍惚な笑みを浮かべる四季は、トンと肚を内から撫でられ、ビクンと背を跳ねさせる。

 

「もー、お家帰ったらいくらでもシてあげるから、我慢しなきゃだよ?」

「だ、だってぇ……♡ ん゛っ♡……はぁ、挿し絵できたよ」

 

 完成した絵を渡し、七恵にみせる。心底満足そうな笑みを浮かべた彼女は、それを丁寧に鞄へとしまい込み、また文筆を進める。

 

「四季ちゃんの絵、どんどん本物みたいになってくよねぇ♡」

「……それは、まあ、ねえ♡」

 

 互いに笑い合う少女たちの顔には、淫魔のような蠱惑的な笑みが浮かび、二人だけの空間には淫靡な雰囲気が漂っていた。

 四季が七恵の袖を引き、一枚の紙をみせる。そこには、ナマコとヒトデの間の子のような触手の絵が描かれていた。

 

「今の仔を産んだら、その、こんな感じの仔を産みたいなって思ってるんだけど……どうかな?♡」

「えへ、えへへ♡ アタシ、頑張って創り上げるね♡」

 

 夫婦のような会話をする二人の間には、運命の赤い糸ならぬ、運命の触手が、確かに繋がり絡み合っていた。

 

終

 


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