「――このあと、二軒目とかどうだ?」
中学の同窓会。久しぶりに集まった地元のメンツと馬鹿話と酒を楽しみ、とりあえず一次会的なものが解散となったタイミング。俺は高校、大学と同じだった樹にはしご酒を誘われるも、何となく酔いすぎていたし今日はいいかなと思いつつ、それでも断るのもな……と悩んでいた。
「じゃあ、うちで飲もうぜ。独身一人暮らしだし、わりと防音もしっかりしてるから余程騒がなきゃ苦情も来ないぜ? そのまま泊まっていっていいからさ」
そう言われると「まあ、それなら……」と妥協してしまう。
「とりあえず、メールしておくわ」
「ああ、お袋さん? お前、律儀だよなぁ」
「実家住まい安月給なりの、誠意だよ」
「なるほどな」
SNSなんか「何それ?」って母親なので、メールでのやり取りが基本だ。パソコンとかスマホを使うのに、SNSは「怖い」んだってさ。
まあ、そんな母親だけど……不仲になりつつも俺が大学を出るまで離婚を待ってくれていたという点で俺なりに申し訳なさみたいなものを感じていて、なるべく親孝行してやりたいというのもあって未だに実家暮らしだ。――まあ、給料が安いから、ってのもある。
まあ、なんだかんだ格好付けたところで俺がただのマザコンだってことなんだろうけれども。――俺を大切に育ててくれた母さんを好きで、何が悪い?
――To:母さん
――ごめん、友達の家で飲み直すことになった。そのまま泊めてもらう。
――From:母さん
――わかった。ご迷惑おかけしないようにね?
――あと、飲み過ぎないように。水分もちゃんととるのよ?
思いの外早い返事だった。俺は「粗相のないようにするよ」と返し、樹に「OK。連絡付いた」と伝える。
「そんじゃ、行こうぜ」
「引越してから初めて行くけど、『汚部屋』じゃねえだろうな……?」
「心配すんな、彼女が定期的に綺麗にしてくれるから」
「ああ……あの歳上の人?」
「あ、それ前の彼女。別れたんだよ」
駅へと歩きながら話をする。俺も会ったことのある、5歳ほど歳上の『大人の女』って感じの女性とは別れたらしい。樹ってスゲーモテるのに、その人に惚れ込んでその人しか見えねえって感じだったのに……。
「彼女がさ、浮気してたんだよ。――40代のおじさまと」
「うぇ……」
そいつはご愁傷様、としか言えなかった。ただ、それで別れることになり、落ち込んでやけ酒した後のファミレスで今の彼女さんと出会ったらしい。
「んで、また歳上?」
「ん~……聞いて驚くなよ?」
「実際に聞かんとわからんわ……」
「………アラフィフ」
「――っ?! ま、マジ……?」
「マジ」
――驚いた。
アラフィフって言ったら、50歳前後……ってことだろ? つまり、俺達の母親世代ってことじゃないか……。
「驚いたな……いや、歳上好きにしたってスゲー上じゃねぇか……」
「ん~……俺も、最初はそんな気無かったんだけどさ。優しく話を聞いてもらって、微笑んで貰っていたら自然と……な?」
「はぁ……そういうもんなのか……」
正直、俺は彼女がいたことすらないので何とも言えない。俺がアイドルとかAV女優見て「可愛い! エロい!」って思うのとは、やっぱり別物だろうしな……。
「ま、家に着いたらたっぷり話を聞かせてやるからさ」
そう言って、俺の肩を抱く樹。
「――きっと、もっと驚くと思うぜ?」
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『やだ、ちょっと……恥ずかしいわよ……』
24時間スーパーで買ってきたビールとつまみでグダグダと話をして、日付もとっくに変わった頃――樹は、「いいもの見せてやるよ」とニヤニヤしながら俺の前にノートパソコンをセッティングした。
――再生されたのは、この家の玄関の映像。
――そして、そこに映っていた『女性』は……。
「な、なんで……?」
「な? 驚いただろ?」
悪戯が成功したとばかりに笑っている樹。俺は、そんな樹のシャツに手をかけながら――どこか、力が抜けていた。
――そこに映っていたのは、間違えなく俺の母さんだった。
『いいじゃん、久美さんとの思い出作り、協力してくれるって言ってたじゃない』
『そ、それは言ったけど……やっぱり、恥ずかしいものは恥ずかしいのよ……若い子なら、そんなことないのかもしれないけれど……』
『何言ってんの、久美さん十分若いって』
『お世辞はいいの。自分が49歳だって、ちゃんと分かってますから』
拗ねたような様子の母さん――そんな母さんの手を、カメラを回している樹の手が引っ張って部屋へと連れ込む。
『うん、ちゃんと綺麗にしてるわね。関心関心』
『そりゃ、まだ1週間経ってないし』
『私の息子なんて、2日あればすぐに元通りよ?』
『あ~……だろうね――いや、俺くらいの年頃の男って、まだまだそんなもんだと思うよ?』
『そお?』
『うん、そう』
――白々しい。
俺は、あらためて樹を見る。
「――どういう、ことだよ?」
「だから――俺の彼女が、久美さんてこと。お前のお袋さんが、俺の彼女なんだよ」
「どうして――」
「ちゃんと話しただろ? 明け方まで飲んで、潰れて――ボロボロになって入った朝のファミレスで、働いていた久美さんと出会ったんだよ」
『今日のブラウス、大人っぽさと色っぽさが絶妙でいいね』
『もう……そんなに褒めたって、何も出ないわよ?』
『いやいや……服の下から、俺が大好きな生の久美さんが――』
画面の中では、母さんがベッドに押し倒されて、ブラウスのボタンを外されていく。
俺が最後に見た記憶では朧気になっていた母さんの胸が――記憶よりはいくらかやわらかく見える大きな胸が、ブラをズラされることで外気に晒される。
「シフトが終わった久美さんが、近くの公園で話を聞いてくれて――俺、すっげぇ救われたんだよ」
『やだ、もう……いやらしい手付き――』
『だって、いやらしいことしたいんだもん』
『も、もう……子供みたいに』
『年齢的には久美さんの子供と同じだけどさ――俺、男だよ?』
『あん――♡』
開けた胸元にキスされ、母さんが喘ぐ。
「話をしている途中で、久美さんがお前のお袋さんだって気が付いた。――向こうは、俺のことなんて覚えちゃいなかったけどな。俺は……まあ、美人なお母さんだなって思ったことがあったから、印象的だったんだろうな――」
『ん――ふぅ――あ――ん――♡』
カメラが置かれ――キスをするふたりが画面に映し出される。興奮しているようで、ちゃんと画面内にふたりが映るようにセッティングしている樹に、俺は恐怖に似たものを覚える。
「それから、俺が粘って――何度も何度も通って、告白して、最初は振られたけど……俺がしつこく迫って、最終的にOKを貰えた」
『あぁ……いい……』
樹に胸を揉まれながらキスされ、母さんが見たことの無い色っぽい表情でそんなことを口にする。
樹の指が、母さんの胸の肉に沈み込む。けれどもそれは、決して力任せではなく――それは、母さんの表情が苦しそうではないことから推し量れた。
――俺は頭がおかしくなりそうだった。
『ね……あれ、やってよ』
『ん――あれ……? あれって、お口ですること……? 顎が疲れちゃうから、あまり好きじゃないんだけど……』
『お願い! 胸で挟みながら……ね?』
『もう……仕方ない人ね……』
母さんは、そう言いながらも苦笑して――ブラウスとブラを脱ぎ、ベッドの隅に畳むとベッドに腰掛けた樹の股間に顔を寄せて……
『ん――♡』
――パイズリフェラを始めていた。
「久美さん、俺がお願いしたプレイをさ、恥ずかしがりながらもちゃんとやってくれるんだよ。分からなければ俺に聞いてきて、俺はDVDとか動画でこういうのだよって教えてさ。――一生懸命、再現しようとしてくれる久美さんがすげー嬉しくて、愛おしい」
――コイツハ、ナニヲイッテイルンダ?
『んっ――んっ、んっ――あむっ♡』
『んっ――!』
涎を垂らし、挟み込んだ樹のチンコをしごいていた母さんが――ついに、樹のチンコを咥えてしまった。
樹は気持ち良さそうに母さんの胸と口を味わっているようで、ベッドに片手を突きながら、空いている手で優しく母さんの頭を撫で、うっとりと瞼を閉じていた。
『あぁ……気持ちいいよ、久美さん……すごくいい……』
『んっ、んっ――ふふっ♡』
樹に微笑みかけた母さんの表情――それは、俺の知る『母親』としての母さんではなく、俺が『女』としてイメージするような顔をしていた。
――俺の知らない母さんが、そこにいた。
『その……ね? そろそろ……』
『そろそろ……?』
もじもじしながら、恥ずかしそうに何かを言い出せない母さん。――樹は、そんな母さんに優しく微笑みつつも意地悪そうな反応で母さんをからかっている。
『わ、わかるでしょう……?』
母さんは、内股をスリスリと摺り合わせるように、身を捩らせている。
女性との経験が無い俺でも、もうわかってしまった――母さんが、何を求めているのか、を。
『――欲しい?』
優しく、母さんの頭を撫でながら問う樹。
『――欲しい♡』
優しい母親の顔ではなく、熟した女の顔で樹を求める母さん――
『――わぁ、下着びちょびちょだよ久美さん』
『やだ……恥ずかしいから言わないで――』
スカートとパンスト、ショーツを脱がされる母さん。最後に樹の手の中に残ったショーツは、画面越しではよく分からないが『湿っている』らしい。――それが意味することを理解し、俺は口を押さえてうずくまる。
『――来て……』
『今行くよ――』
震えながら、画面へと視線を戻すと――アングルを変えたカメラが、ふたりが結ばれるその瞬間を克明に写していた。
『ん――くぅ……っ♡』
『あぁ、すげ……今日前戯ちゃんとしてないのに、スゲーぬるぬる……』
『やめて、恥ずかしい――ひんっ♡』
グイッと突き出された樹の腰に、母さんが背中をベッドから浮かせて喘ぐ。
『ひっ♡ ひっ♡ んっ、んっ、あっ、あっ、あんっ♡』
『あぁ……凄い……最高だよ久美さん……』
『わたしも、きもち、いっ♡♡♡』
嬉しそうに、気持ち良さそうにそう叫ぶ母さん――俺は、そんな母さんの姿に、俺以外の男に抱かれて幸せそうな母さんの姿に、勃起してしまっていた。
「綺麗だよなぁ、久美さん――本当に綺麗で、エロくて……最高の女性だよ」
『んっ♡ ぎっ♡ んっ、んっ、んっ、んんっ♡♡♡』
その喘ぎ声は、若いAV女優が漏らす喘ぎ声とは違って、低いもので。透明感よりも色々なものが込められたような濁りがあって。――でも、それは汚いってことでもなくて、どうしようもなくエロかった。
『あっ、あっ、あっ、あっ、イクッ♡ 樹君わたしイっちゃう――♡♡♡』
『いいよ、何度でもイって。――何度でも、出してあげるからっ!』
――出す?
そこで、俺はそのモザイクの無い映像の、ふたりの結合部に恐れながら視線を集中させる。
「あ――」
「あぁ……してないよ、ゴム。この映像を撮る頃から、ずっと付けてない。――そういうお付き合いだから」
俺は、震えながら樹を見た。
「――お前、もう少ししたら一人っ子じゃなくなるから。パパは俺だよ」
『イグゥゥゥ♡♡♡ あぁ、イクのぉぉぉぉおほぉぉぉ♡♡♡』
そう言って、樹は俺の肩をポンと叩くと「トイレ行ってくるわ」と立ち上がった。
俺は独り残され、画面の中で絶頂した母さんを見せつけられる。
『あ……しあ、わせ……♡』
『もっともっと、幸せになれるよ……ふたりで……ううん、産まれてくる子供と皆で、幸せになろうね……?』
『ええ……私、今度こそ幸せになるわ……♡』
それが、父さんとのことを言っているのであろうと頭の中で理解しつつも、『そこ』に俺も含まれているのではないかという不安と恐怖で――
――俺は、スーパーの袋の中へと嘔吐した。
「なんで……なんでだよ……」
『ねぇ……もっと……』
『ふふ……今日は甘えん坊だね、久美さん。いつもと立場が逆だ』
『たまにはいいでしょう? 私だって、女として甘えたい日もあるの――』
『そうだね、お母さんて大変だものね』
『そうよ? ――でも、愛があれば頑張れてしまうものなの。たまに、ちょっと疲れちゃうけどね?』
『お母さん、いつもありがとうございます――』
『もう……私じゃなくて、ちゃんとお母さんに感謝しないと――あ、そろそろ、ちゃんとご挨拶しないとね……さすがに、これじゃあ息子さんを誑かしている酷い女だし』
『うちの親はわりと理解あるし、俺次男だからね。煩く言われないと思うよ。――まあ、言われたら俺が守るから』
『ふふ……頼りにしてるわ』
幸せそうな母さん――俺は、口元を拭うと自分のスマホをテーブルの上からみつけ、メールを打つ。
――To:母さん
――母さんは今、幸せ?
そして、俺は泣きながら寝落ちた。