数千年周期で訪れる発情期に悩むアンナ。そんな彼女の悩みを聞いたオフェリアは、彼女に苦しい思いをさせはしないと、友人として彼女の性欲処理に付き合う事を決意する。
 しかし数千年に一度来る獣欲は、彼女が思っていたよりも強烈なもので……。


 こちらは『緋雷ノ玉座』の限定公開(現時点ではそのつもり)作品ですッ!
 逆転要素がありますので、苦手な方はブラウザバックをお願いします。大丈夫な方はどうぞですッ!


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アイビーが如く、君を。

 

 アンナと約束を交わしてからあっという間に時間は経ち、夜。

 カドックも、ペペロンチーノも、虞美人も、誰もが寝静まったシュレイド城は、本来の廃城としての在り方を取り戻したかのような静寂に包まれている。

 

 辛うじて、この城がまだ住居として機能している証である、壁に設置された蝋燭によって仄明るく照らされている廊下を歩き、私は扉の前に立つ。

 

 そこは、私とアンナの寝室。今夜、私達が身を重ねる場所。この扉の奥で、彼女が待っている。

 

 

「……行くわよ、オフェリア」

 

 

 一度深呼吸し、自分に喝を入れて扉を開ける。

 ギイィ……、と軋む音と共に開かれた扉から室内に入り、扉を閉める。もちろん、鍵をかけ、おまけにアンナから習った遮音の魔術を発動させる。

 簡単な術式ながらも、術者が解除するまでこの部屋から発せられる音は外部に漏れる事は無いという、諜報活動や隠密行動時には打って付けな魔術は、きっとこれからこの部屋から出るであろう声を留めてくれるだろう。

 

 魔術の詠唱を終えて振り返る。

 そして私は、ベッドの上で枕を抱いている女性と目が合う。

 

 

「……待ってたよ」

「……アンナ」

 

 

 普段なら、あの余裕を持った不敵な笑みで告げるだろうその言葉は、しかし今となっては少しだけ私を責めるように聞こえてしまう。

 いつも着ている、白を基調にした服は着ていない。今の彼女は、寝間着として使っているシャツを羽織り、下は履いていなかった。それは、私から見える彼女の両足が、すらりと伸びた血色の良い素足が物語っていた。

 もう少し早く来るべきだったか、なんて思いながら、私はベッドに腰かける。

 

 

「……しつこいけど、本当に、いいんだよね……?」

「えぇ。貴女だから……いいのよ」

「……ッ。オフェリア、ちゃん……」

 

 

 ゆっくりと、枕を置くアンナ。顔半分を隠していた枕がなくなり、上気した顔が露わになる。

 

 そして、「早くしてほしい」と言うように私の傍まで寄り、瞼を閉じて微かに唇を開く。

 

 

「アンナ……」

 

 

 それがなにを求めているのかを瞬時に悟った私は、アンナの頬に両手を当て、そっと引き寄せ―――唇を重ねた。

 

 

「んっ……」

 

 

 アンナの口から小さく声が漏れ出る。

 小さなリップ音を何度も響かせて触れる唇はとても柔らかく、そして甘い。

 

 

「ふっ、ちゅるっ……」

「んっ、ちゅっ……」

 

 

 どちらからともなしに伸ばされた舌が、私達の間で絡み合う。

 瞼を少し持ち上げれば、微かに開かれた瞳が見える。

 今にも零れ落ちそうな程に涙で揺らいでいる瞳をじっと見つめていると、まるで吸い込まれそうな感覚に襲われる。

 背に腕が回される感覚を覚え、私は彼女の体を優しくベッドに押し倒す。

 

 

「ちゅぱっ……、ふふっ、キス……しちゃったね」

 

 

 唇が離され、銀色の糸を引く。

 その奥で、アンナがはにかむように笑った。

 

 

「……そう、ね」

「気持ち、よかったね」

「……えぇ。とても、気持ちよかった」

 

 

 曖昧に返してしまうと、アンナの笑顔に不安の影が差す。

 

 

「……もしかして、嫌だった?」

「ち、違うわ。決して、そういうわけじゃないの。ただ……」

 

 

 曖昧な返事をしてしまったから、アンナを不安にさせてしまった。

 彼女を安心させるべく、私は気恥ずかしさを覚えながら、なぜそんな返事を返してしまったのかを答えた。

 

 

「その、アンナがとても綺麗で、見惚れていたの……」

「ふぇ……?」

 

 

 そう、そうなのだ。

 濡れた瞳も、恥じらった笑顔も、なにもかもが綺麗で、美しいのだ。

 それは正しく、決して手にしてはならぬ天上の果実が如き魅力。これから私は、この肢体を持つ彼女を抱くというのに、この美しさを穢してしまっていいのか、と考えてしまって躊躇ってしまうのだ。

 

 

「~~~ッ、ばかっ!」

 

 

 面白いぐらいに顔を真っ赤にしたアンナが両手で自分の顔を隠した。しかし、微かに開いている指の隙間からは嬉しそうに細められた瞳が覗いており、酷く愛らしく思えてしまう。

 

 

「ごめんなさい。これからするっていうのに、その、足踏みしちゃって……」

「……ううん、いいの。私の体を綺麗って言ってくれて……ありがとね。その―――」

 

 

 顔をから離した両手を自分の胸に置き、アンナは上目遣いでこう囁いてきた。

 

 

「君だったら、好きにしていいから、ね……?」

「……誘い文句にしては、威力がありすぎない?」

「買ってくれないの?」

「……貴女ってズルいわよね」

「そっちこそ……んっ」

 

 

 もう一度、唇を重ねる。今度は先程みたいなディープなものではなく、ついばむような軽いキス。それを何度か繰り返した後、私はアンナのシャツへと手を伸ばす。

 少しサイズが小さいのか、内側からの圧力を耐えるかのようにシワが入っているそれに一瞬瞠目するも、逸る気持ちを抑えてゆっくりとボタンを外していき―――

 

 

「ぅわ……」

 

 

 ぶるんっ、という音が似合う程に豊かな、私の想像以上の大きさを持っていた二つの果実に、思わず呆けた声が漏れてしまった。

 

 

(こ、こうして見ると、本当に大きいわね……)

 

 

 この世界に来てからというもの、何度かアンナや虞美人などと一緒に大浴場に入る機会はあった。初見の時には、普段では想像もつかない程に大きなアンナの乳に驚愕したのは今でも覚えている。

 元から着痩せするタイプだとは思っていた。しかし、いざ己の身を包む服や下着を払えば、現れるのは凹凸の優れた美しい肉体だった。

 ウエストはかなり細いのに、胸やお尻は常人よりも、しかし不自然な違和感などは欠片も感じない大きさを持つその体は、私達女性が持つ肉体の究極形とも言えるだろう。

 

 

「さ、触るわよ……」

「うん……」

 

 

 了承を受けた事で、私は恐る恐る右手でアンナの胸に触れてみる。

 ふにゅり、とその迫力とは異なる、柔らかな感触が返ってくる。仄かな体温の心地良さに、押した分だけ返してくる弾力に「おぉ……」と瞬く間に病みつきになり、何度も揉みしだく。

 

 

「ふっ、んっ、んんっ……。オ、オフェリア、ちゃん……」

 

 

 しかし、なによりも目を引くのは、その中心にある二つの点。

 日本(ジャパン)には桜という名の桃色の花があるが、自分を誇示するかのように屹立するそれの色は、正しくその桃色だ。

 一切の穢れが無い、綺麗なピンク色。

 それに惑わされるように、私は思わず舌を這わせた。

 

 

「ひゃんっ!?」

「んっ、れろっ……。ちゅ、じゅっ……」

「ぁあッ! ひゃ、ひゃら……♡ 吸わ、ない、でぇ……っ♡」

 

 

 ただ舐めるだけではない。舌先で転がすだけでなく、時折吸い上げるようにすれば、アンナの口から甲高い嬌声が飛び出す。それが酷く、私の嗜虐心をそそらせてくれる。

 左胸を吸いながら、右胸の乳首を強く摘まみ上げる。

 すると―――

 

 

「む、むりっ♡ イっちゃうっ♡ イく、イくっ♡ イッッ―――♡♡♡」

 

 

 アンナがこれまでよりも高い嬌声を上げ、その背が弓なりになる。

 ビクビクと短く痙攣する彼女から一旦口を離し、見下ろしてみる。

 

 

「はっ、はっ、はぁ……♡」

(うわっ……、す、凄いえっち……)

 

 

 恐らく、絶頂に達したのだろう。

 余程気持ちよかったのか、瞳から一筋の大粒の涙を流し、肩で激しく呼吸をするアンナの姿は、とても扇情的なもので。

 これが私によって齎されたものだと思うと、ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け上がっていく。

 

 ふと、私はアンナの上半身から下―――下半身へと視線を移した。

 なにもつけていなかった股関節からは透明な液体が流れ出ており、小さな明かりを受けて微かに光っている。

 

 

「……っ! や、やだ……触らないで……っ! んっ!」

 

 

 アンナの制止も聞かずに指を這わせれば、再び彼女の口から短い嬌声が漏れ出た。

 

 

「濡れてる……。私で感じてくれたのね」

「……だって、気持ちよかったんだもん……」

「ふふっ、かわいいわね」

 

 

 そういってまた口づけをすれば、アンナは抵抗なくそれを受け入れてくれる。

 

 

「……私、キスで納得する女だって思われてる?」

「許してくれるから、仕方ないんじゃない?」

「むぅ……反論できない私が憎い」

 

 

 むくれるアンナがとてもかわいい。

 そんな彼女が愛おしくて、ついぎゅっと抱き寄せてしまう。

 突然そんな事をされたアンナは一瞬呆けたように声を漏らしたが、次には照れくさそうに笑って、私の背に腕を回してきた。

 

 

「ふふっ、まるで子どもみたいね」

「だって、自分からする事は多くても、される事はあんまりなかったから。なんだか新鮮な気分」

「それなら、もっとしてあげるわよ。これからも、ずっとね」

「……あはは、嬉しい。嬉しいなぁ……」

 

 

 嬉しそうに、けれどなぜか物悲しくそう言って頬擦りしてくるアンナの体をもう一度強く抱き締めてから、再びベッドに押し倒す。

 

 

「ねぇ、オフェリアちゃん」

「なに?」

「その、途中で言うのはあれなんだけど……。その、私を、ルーツって呼んで……?」

「ルーツ? ……そういえば、それが貴女の本名だったわね」

「うん。……今夜だけでいいから、私の事はそう呼んで……?」

「……えぇ、わかったわ」

 

 

 頷き、私は再び、彼女を愛で始める。

 

 

「はっ、ぁっ、んんっ……!」

 

 

 視界いっぱいに広がる、薄暗い部屋の中でもわかる程に上気した顔。絹のように滑らかな白銀の髪が水面のように広がる中、その中心に浮かぶその顔に、口づけを落とす。

 

 

「んっ……、オフェリア、ちゃん……」

 

 

 小さなリップ音と共に頬に口づけされた親友の体が小さく跳ね、情欲に塗れた瞳が私を見る。

 ルビーのように赤い、美しい瞳は、今にも零れ落ちそうな涙によって潤んでおり、自分が本当に欲しい場所に貰えなかったためか、どこか懇願しているようにも見える。

 それにゾクリと来た私が徐に彼女の唇に人差し指を這わせると、ルーツは指一本に開けるには充分すぎる程に口を開け、そこから伸ばした舌で私の指を舐め始める。

 まるで、ご褒美に与えられた飴を頬張る子どもみたいだ。弱々しく震える右手で私の手を掴んでは、中指や親指と、愛おしそうに舐めてくる。

 

 

「ルーツ、かわいいわね……」

「はむっ……んっ、ちゅっ……んんっ!?」

 

 

 一心不乱に指をしゃぶるルーツが、突然目を見開いて体を跳ね上げた。

 私が留守にしていた左手の人差し指と中指で、彼女の秘所を撫で上げたからだ。いきなり襲ってきた快楽に対応できなかったルーツは、最早私の指をしゃぶる事など出来ず、遂にその瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

 

 

「ま、まって……! そこ、いじらな―――~~~っ!!??」

「ふふっ、いきなり挿入(いれ)てもしっかり感じるのね」

「やっ、やぁっ! 激しく、しにゃいでぇ……!」

 

 

 くちゅくちゅと下半身でいやらしく水音を奏でながら嬌声を上げるルーツの姿が、途轍もなくエロい。いつもの明るい笑顔や、余裕を崩さぬ不敵な態度とはまるで違う、私だけが見る事の出来る乱れ切った表情に、背筋がむず痒くなる感覚に襲われる。

 しかし、防音対策はしっかりされているとはいえ、万が一にもこの嬌声が外に漏れてしまってはまずい。そんな事はあり得ないとわかっていながらも、一度そう考えてしまったら、その考えが肥大化していくのは止められない。

 

 

(今の彼女は、私だけのもの―――その声も、誰にも聞かせない)

「んっ、んんっ!?」

「ちゅっ、ルーツ……ちゅるっ」

「はふっ、オフェリアちゃん……ん、ちゅっ……♡」

 

 

 唇を塞ぎ、舌を滑り込ませる。そんな私の名前を熱を帯びた声で呼びながら、ルーツもまた自身の舌でそれに応えてくる。

 唾液に塗れた私の手を、彼女の手が掴んで離さない。恋人のようにお互いに固く、絶対に離さないとばかりに握り合う。

 止めどなく愛液を溢れさせる蜜壺は、私に指を抜かせないように必死に内側の肉で締め付けてくる。

 

 絡み合っていた舌が離れ、銀色の糸を引く。それが切れない内に、私は豊満な乳房に手を伸ばす。

 

 

「あっ♡ んぁっ♡ これっ、気持ちっ♡ いい……っ♡♡」

「じゅっ……じゅっ、はぁっ、ん、れろっ……」

「んんっ♡ 乳首、吸われながらイジられるのっ、好きぃ……っ♡」

 

 

 左手で秘所を掻き乱しながら右手で左胸を揉み、時には乳首を摘み上げ、右胸は口で愛撫していく。

 同時に三カ所を攻められているルーツの口からは絶え間なく喘ぎ声が発せられ、悩まし気に体をくねらせているのがよくわかる。

 

 

「だ、だめっ♡ またっ♡ またイくっ♡ 気持ちよすぎて、またイっちゃうっ♡♡」

「いいのよ、ルーツ。好きなだけイっていいからね。さぁ―――イって……♡」

「んっ、あぁああ―――ッッ♡♡」

 

 

 ぐじゅり、と抉るように蜜で満たされた壺に入れていた指を動かせば、ルーツがまた甲高く叫ぶ。それに連動するようにぶしっ、とルーツの秘所から愛液が飛び出し、私の腕にかかる。

 

 ピンと張った両足の付け根から指を引き抜けば、ぬめぬめとした粘性のある液体が光を反射して輝く。

 それを彼女に見せつけながら、私は口を開く。

 

 

「こんなにイったのね……。今の貴女、とても綺麗よ、ルーツ」

「はっ♡ はっ♡ はぁ……っ♡」

 

 

 絶頂を迎えたばかりで意識が朦朧としているのか、荒い呼吸を繰り返している彼女を視界に収めながら、手に付いた彼女の愛液を舐め取る。

 

 

(……甘い)

 

 

 そんな事を考えてしまう私は、どうかしてしまっていると思う。

 しかし、この時の私は、それ以外にその味に似合う感想が全く頭に浮かんで来ず、代わりに「それでもいいか」という考えが浮かんでいた。

 

 もっと、この味を知りたい。

 もっと彼女を絶頂に導いて、この嗜虐心を満たしたい。

 

 内に芽生えた邪な欲求が、私の体を突き動かす。

 

 

「ルーツ……っ、ルーツ……♡ ちゅっ、じゅるっ……♡」

「んんっ♡ はふっ、オフェリア、ちゃんっ♡」

 

 

 貪るようにキスを交わし、抱き締め合う。

 火照った体が流す汗が混じり合い、シーツを穢していく。そんな事を一切気にもかけず、ただ目の前にいる女性を愛で、支配しようと、私は親友の体を弄び続ける。

 

 舌を絡ませ、お互いの唾液を交換して、混ざり合わせたそれを呑み込む。喉を通る熱い蜜が、酷い渇きを私に齎す。

 それが私をさらに焚きつけ、親友をまるで欲望の捌け口として扱うように愛撫し続ける。

 

 

「うぅ……この体勢、恥ずかしい……」

 

 

 そして今、枕に顔を埋めたルーツは、腰を高く上げて私の前に突き出していた。

 私からの視点だと、目の前にはルーツの形のいいお尻があり、止めどなく愛液が溢れ出している秘所はおろか、見られる事すら恥ずかしい不浄の穴すら見えてしまっている。

 しかし、口では「恥ずかしい」と言っておきながら、目の前の尻はふりふりと左右に揺れており、彼女が本心では私から攻められるのを待っているのが丸わかりである。

 

 

「そんな事言ってるくせに、本当は期待しているんじゃない? ほら、こんなに濡れて……」

「ひゃうっ♡♡」

 

 

 ぐじゅぐじゅになった秘所を人差し指と中指で開閉しながら、時々中身に指を差し込む。一回指を動かす度にルーツの腰が跳ね、膣内がきゅぅっと指を締め付けるのが面白く、何度も何度も、彼女の秘所を愛撫し続けてから、一旦指を引き抜く。

 

 

「ふぁ……♡ オフェリア、ちゃ―――んお゛っ♡♡」

「じゅるっ、ちゅぱっ……じゅるるるっ♡」

 

 

 私が愛撫を止めた事を不思議に思ったのか、一瞬此方を向こうとしたルーツが、再び枕に顔を埋めた。私がわざと部屋中に響かせるように音を立てながら、彼女の秘所を舐めたり、吸ったりし始めたからだ。

 

 

「あ゛っ、お゛っ♡♡ や、やめでっ♡ そんな、やらしいお゛っ♡ とぉ……っ♡ たてないっ、でぇ……っ♡♡」

 

 

 ルーツが腰を動かして私から逃れようとするが、そんな事を許すはずが無い。

 両腕で彼女の細い腰を捕まえ、逃げられないように固定する。

 そして、逃げようとした彼女に罰を与えるように、より高い音を響かせながら愛撫の勢いを強める。

 

 

「やだっ、やだっ♡ きもちいいのやだぁっ♡♡ あたま、おがしぐなるぅ♡♡♡」

 

 

 逃げられないと悟ったルーツが、せめてもの抵抗として甲高い嬌声を上げる。だが私がそれで止まるわけでもなく、そのまま愛撫を続け―――

 

 

「お゛ッ、イぐッ♡♡ イっ、ぐうぅ……ッッ♡♡♡ ~~~~~ッッッッ♡♡♡♡♡♡」

 

 

 声にならない悲鳴にも似た嬌声を上げ、ルーツが倒れ込む。

 噴水のように甘い汁を噴き出す彼女の秘所から口を離し、顔に付いた愛液を拭う。

 

 額に汗の玉を浮かべた私の前には、ガクガクと痙攣している親友の姿があった。

 大丈夫かと思い、ルーツの顔を見れば、「ひゅーっ♡ ひゅーっ♡」と熱い吐息を吐き出しながら虚ろに空を眺めている彼女と目が合った。

 

 しかしこの調子では、恐らく私の事など見えていないだろう。それどころか、今の彼女にはなにも見えていない可能性もある。

 

 

(……もしかして、やり過ぎた?)

 

 

 途中から理性が消え、ただ情欲の赴くままに行動していたとはいえ、これが自分によって作られた光景だと思うと、我ながら若干顔が引きつってしまう。

 

 ベッドの端に移動し、足をカーペットが敷かれた床に下ろす。

 

 一通りの行為を終え、ある程度の理性を取り戻したからか、少しずつ冴えていく思考のまま、床を見渡す。

 乱雑に脱ぎ散らかされた、私とルーツの衣服。どちらのものかわからぬ潮によって作られたシミ。顔を上げれば、汗臭さと愛液の匂いが入り混じった空気が部屋を満たしているのが嫌でもわかる。

 

 それに、私はポツリと「どんだけシたの私達……」と零して頭を抱える。

 

 

(とりあえず掃除を……いえ、私ももう疲れてるし、片付けるのは眠ってからにしようかしら。でも、この空気はなんとかしておいた方がいいわよね。換気だけなら窓を開けるだけでいいし、一先ずはそれだけやって、後は寝てから―――)

 

 

 これからの行動を考えていたその時、背後から布が擦れる音が聞こえる。

 ルーツが意識を取り戻したのだろうか。となると、最初にやり過ぎた事を謝るべきかと思って振り返ろうとして―――

 

 ―――ガシッ、と肩を掴まれた。

 

 それにどうしようもなく嫌な予感を覚えながら、恐る恐る振り返る。

 そして私は、これまで以上の情欲の炎を宿した瞳と視線が合った。

 

 

「……オフェリアちゃん」

「ア、ルーツ……?」

「ありがとうね。とっても、気持ちよかった。お陰で、ほとんど収まったよ」

「え、えぇ。それは、よ、良かったわ……」

「だから、お礼(・ ・)……してあげるね?」

「え、お、お礼……?」

「うん、お礼♪」

 

 

 どうしよう。ただ笑っているだけなのに、それが途轍もなく恐ろしい。

 目覚めさせてはいけない存在を目覚めさせてしまったような、そんな寒気を感じている中、彼女は続ける。

 

 

「私はもうたくさん気持ちよくさせてもらったからさ……。君も私で、気持ちよくなって……ね♡」

(あ、これ、駄目かも)

 

 

 もうなにもかもが手遅れで、なにもかもが終わった後だと気付いた頃には、時既に遅く。

 

 私は瞬く間にルーツに組み敷かれ、先程までの彼女のように、捕食される側に回ったのだった。

 

 

「ル、ルーツ……」

 

 

 真上から私を見下ろす彼女がどこか恐ろしくて、微かに怯えの混じった瞳で彼女を見上げる。

 ルーツが私を安心させるように優しく頭を撫でて頬に口づけを落とされると、緊張していた体から少しずつ力が抜け、怯えは期待へと切り替わった。

 

 

「さっきはずっと君のターンだったからね。ここからは―――私のターンだよ」

「ん……っ」

 

 

 邪魔な衣服は既になく、外気に晒されている乳房に手を伸ばされ、ピクリと体が跳ねる。

 大きさや豊かさは彼女とは比べものにならない、控えめなもの。お尻も、ルーツの方が上。しかし、ルーツは私の体を見て熱っぽい目で見つめていた。彼女に興奮してもらえている―――それが私の体を、心を、熱く燃え上がらせる。

 

 

「あっ、ふぁ……っ♡」

 

 

 胸を揉まれ、乳首がピンと弾かれれば、私の口から自分のものとは思えない甘い吐息が漏れた。

 ルーツはそのまま片手で私の胸をイジりながら、もう片方の手を私の秘所へと伸ばす。

 一回戦目が終わってしばらくしない内に触れられたからか、まだじっとりと濡れている。それにルーツが満足して頷いたかと思った刹那、一瞬だけ、彼女の口元に邪悪な笑みが浮かんだ。

 

 

「挿入(い)れるよ。ゆっくりとするから……力は抜いててね」

「……えぇ」

 

 

 少し緊張してコクリと頷き、下半身の力を抜いた瞬間―――

 

 

「ぉ゛……っ!? が、……っ!!?」

 

 

 ずぶりと、反応する余地すらなく一気に奥まで指が入ってきた。

 それも一本ではない。人差し指、中指の二本が、私の膣内(ナカ)を掻き分けてきたのだ。

 

 

「ル、ルーッ、ツ……ッ!? どうし、くひィっ!?♡」

「あっ、ごめんね? ゆっくり挿入(い)れるつもりだったんだけど、なんかすんなり入っちゃった♪」

 

 

 嘘だ。

 この人は絶対、元からこうするつもりで私に噓を吐いたのだ。最初から、私に意地悪する気で騙してきた……ッ!

 

 せめて視線だけでも彼女を叱る意志を告げようとするのだが、ルーツは私にその目をさせる前に二本の指を動かし、私を内側から攻め始める。

 

 

「かっ、は……っ♡ あっ、ルーツ……っ♡ いったんっ、とめっ、あぁっ♡♡」

「私が駄目って言ったのに、そっちはやめなかったでしょ? だったら、私がそうしないのも当然だよねぇ?」

 

 

 バチバチと脳内で火花が散り、下腹部から走った快楽が全身を突き抜けていく。それに瞬く間に抵抗する力を奪われた私の視界に、ルーツの笑みが映り込む。

 

 ただ仕返しするだけではない。その上で私を弄び、己の掌の上で踊らせる事に快感を覚えている、サディスティックな笑み。

 ……間違いない。

 この子は、私の親友は―――ッ!

 

 

「さぁ、もっともっといくよ? 楽に終わるなんて、思わないでね……?」

 

 

 私で、愉しんでいるッ!

 

 

「ま、待って……っ」

「待って? 目の前に大好きな人がいるのに、お預け? 私としては今すぐにでも襲い掛かりたいんだけど?」

「ぅ……」

 

 

 面と向かって『大好き』と言われ、思わず口ごもってしまった。

 大切な人にそう言われて、喜ばないわけがない。あっという間に心が幸せな気持ちで満たされてしまった私は、自分からしてもあまりにチョロすぎると思う。

 

 ルーツはもう既に準備万端。このままお預けし続けた結果爆発したら、自分がどんな目に遭うのかわかったものじゃない。間違いなく地獄の快楽を味わう事になる。

 ならば、なるべく早く彼女に発散させて、少しでも安全に終わらせてもらおう。

 

 

「……や……」

「や?」

「優しく、して……?」

「―――」

 

 

 瞬間、ルーツの瞳に宿っていた情欲の炎がより苛烈に燃え上がった。

 そして、私は悟った。

 私は今、この時取れる選択肢の中で最悪のものを取ってしまったのだと―――。

 

 

「あっ、ちが―――んむっ!?」

 

 

 慌てて否定の言葉を述べようと開いた口が、あっという間に塞がれる。

 侵入してきた舌先が私の口内を舐め回し、メインディッシュを食べるかのように私の舌先に絡みつく。

 

 まるでそれ自体が意思を持っているかのように動く彼女の舌は、ただされるがままだった私のそれを瞬く間に蹂躙し、一切の抵抗の意思を根こそぎ奪い去っていく。

 

 私がリードしていた時とは全然違う、舌が千切られそうなぐらいのディープキス。

 私がしていたものとは全く異なる、相手を蹂躙し、支配する事しか考えていない濃厚な口付け。

 

 それが、理性の欠片も介在しない、ケダモノのような交尾(セックス)の開始を意味する合図だった。

 

 

「あッ、はげしッ、いぃ……ッ♡♡」

「はぁ、はぁ……っ! オフェリアちゃん……っ! オフェリアちゃん……ッ!」

 

 

 乱暴に、しかし痛みよりも快楽の方が大きくなるように揉まれた胸から走った電撃が、私の脳を焼く。それが私に残されていた理性の欠片を残さず焼却していく。

 

 

「オフェリアちゃん、好き……っ♡ 好きぃ……っ♡ んっ、じゅっ♡」

「……ッ! ぃ……っ♡」

「……あははっ♡」

 

 

 ルーツが左胸に口づけしたと思いきや、鋭い痛みが走る。

 それがなにを意味するのかもわからないまま、私は次々と体中に刻まれる鋭い痛みに嬌声を上げ、その度にルーツが漏らす恍惚とした笑い声に魂が揺さぶられる。

 

 

「ん、むっ♡ はぁっ、ちゅっ♡」

「じゅるっ、ちゅぱっ♡ ちゅぅ……っ♡ れろっ♡」

 

 

 上半身を抱き起され、舌先を絡め合う。

 片腕で倒れそうになる私の体を支えながらキスをし、もう片方の手で私の秘所を苛烈に攻め立てる。

 

 

「はっ、あん……っ♡ ん、じゅぅっ♡ んんっ♡」

「あはっ♡ 必死に耐えちゃって、かわいい。でも―――駄目だよ?」

「ひぃ……ッ!?♡」

 

 

 まだイきたくないと示したくてルーツの体に手を回せば、彼女は邪悪な笑みを浮かべて膣内(ナカ)に挿し込んでいた指を奥へと捻じ込み、動かし始めた。

 それに意識が明滅する感覚を覚える中、私の耳元でルーツの囁き声が聞こえてくる。

 

 

「ほら、イってもいいんだよ? 私の指でイってもいいからね? ほら、イって♡ イけ♡♡」

「ひゃっ、ぁ……っ♡」

 

 

 生暖かい吐息が吹きかけられたくすぐったさで怯んだところを、彼女が私の耳を口に含んで追撃してくる。

 

 くちゅくちゅ、ねちゃねちゃと、生暖かい舌が耳の内側を舐め回し、艶めかしい水音が鼓膜を刺激してくる。

 

 想像を絶する快楽を立て続けに与えられた私に、最早決壊寸前までにされていた絶頂を留める術はもうなく―――

 

 

「あっ、ああぁあぁああああぁぁぁ―――っっっ♡♡♡♡♡」

 

 

 甲高い嬌声を上げ、絶頂を迎える。

 秘所から愛液が放出されるのが嫌でもわかり、ガクガクと腰が痙攣する。それは上半身にも伝播し、ビクビクと全身が震える。それが私の体から力を奪い取り、そのままベッドに倒れ込みそうになるが―――

 

 

「まだよ……っ♡ まだまだ、終わりじゃないから……っ♡♡」

「ひ……ッ♡ だめっ、だめぇっ! まだイったばかりで、びんか―――はぁあっ♡♡」

 

 

 また胸に吸い付かれ、絶頂直後の膣内(ナカ)で再び指が荒れ狂う。

 それでまた私は迎え終えたはずの絶頂をまた味わう事になり、体が弓なりになる。それが私の体から快楽を逃さず、残留した快楽が私をさらに責め立て、小刻みに潮を噴き出させてきた。

 

 だが、これで彼女が終わらせるはずが無い。

 これから先も、私は彼女によって何度も絶頂へと導かれる事になる。

 

 

「や、やぁ……っ♡ これっ、乳首、擦れっ♡ あっ♡♡」

「はぁっ♡ あんっ♡ もっと、もっとぉ……っ♡」

 

 

 お互いにピンと張った乳首が擦れ合い、それが子宮に感覚を齎す事によって溢れ出す快楽が、私達に無理矢理喘ぎ声を上げさせてくる。

 私達は擦れ合う快感に身を任せながら口づけを交わしている間にまた私は絶頂を迎え、それと同時に彼女もまた絶頂に達した。

 

 それからも、彼女との行為は続く。

 

 抱き合いながら繰り返すキスだけでもイかされ。

 背後から抱きすくめられて秘所をイジられて絶頂して。

 

 何度も何度も何度も、イかされ続けて―――

 

 

「オフェリアちゃん、目を開けて……?」

 

 

 そして今、私はガクガクと生まれたての小鹿のように震える足を彼女に立たされ、どこかに連れていかれていた。

 左胸を揉まれ、秘所を指でイジられながら、無理やり連れて行かれたその場所。

 あまり歩かなかった事から崩れ落ちたりはしなかったが、今私が支えにしているものの硬い感触が、私達がこの部屋にどこにいるのかを鮮明に教えてくる。

 

 それがわかるからこそ、目を開けたくない。

 しかし私の体は、彼女に何度も攻められた事から、既に彼女という存在に屈してしまっており、素直に瞼を持ち上げてしまう。

 

 

「ふぁ……あぁ……っ♡」

「凄いでしょ♡ オフェリアちゃんって、こんなにえっちな顔になっちゃうんだね……っ♡」

 

 

 私達の前にあったのは、普段私達が寝癖を整えたりする時に使う鏡。だが今のそれは、寝ぼけ眼で髪形を整える私を映さず、代わりに快楽に染まり切った、椅子の背もたれを握り締めながらとろけた表情をしている私の顔を鮮明に映し出していた。

 

 

「い、いやっ♡ いやぁっ♡ みないで、みせないでぇ……っっ♡♡♡」

「あぁ……っ♡ そんな顔する君も好き……っ♡ ねぇ、もっと私に見せて……?」

「んっ、んんっっ♡♡♡」

 

 

 無理矢理顔を動かされ、唇が重なる。

 空いた隙間から垂れた唾液が椅子やカーペットを汚す事も気にせずキスを交わしながら、私は鏡に映る自分を見る。

 

 完全に快楽に塗れ、リンゴのように真っ赤になった顔。至る所に赤い斑点(キスマーク)が刻まれた体。気付かない内に外されたのか、眼帯がなくなって露わになって私を見つめる魔眼は、蹂躙されるようなキスを受けながらも無意識に幸せそうに細められていて、これが今の自分だという事実を突きつけてくる。

 

 それは、およそ人間の女性が浮かべていいものではない。

 

 これはそう、メスの顔。

 

 相手は男性ではなく女性(ルーツ)だというのに、いや、女だからこそ、男以上に徹底的に女としての喜びを叩き込まれ、相手に支配され、従順する事こそ己の幸せと定義してしまった、快楽に堕ちたメスの顔……。

 

 

(あぁ……っ♡ 私、虜にされちゃってる♡ 身も心も、全部全部、ルーツのものにされてる……っ♡♡)

「んっ、ぷはぁっ♡ オフェリアちゃんっ♡ イってっ♡ イってぇっ♡♡」

「あん、あっ♡ ルーツっ♡ ルーツルーツルーツっっ♡♡ ルーツぅううぅうぅぅっっっ♡♡♡♡♡」

 

 

 愛おしい人に名を呼ばれる喜び。

 愛おしい女性に愛撫される悦び。

 

 それに体を委ね、私はその日最後にして最大の絶頂を迎えた―――。

 

 

 

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 やり過ぎた。

 

 目の前でぶすっとした顔で私を睨んでくる親友に、私は思わずそう考えてしまう。

 

 そう、やり過ぎた。やり過ぎたのだ。もう本当、色んな意味でやり過ぎた。

 今回の一件は、本当にその一言に尽きる。

 

 オフェリアちゃんは私の為にしてくれたというのに、意地悪されたからってその仕返しで二十回以上イかせたのは、正直自分としてもどうか思う。

 

 

「あの、オフェリアちゃん……?」

「……なに?」

「その、ごめんね? 流石にちょっと、やり過ぎた……」

「えぇ、その通りね。お陰で今でも腰がガクガクしてるわよ」

「う……っ」

 

 

 親友がそんな状態になってしまったのは、暴走した私の責任だ。オフェリアちゃんには本当に申し訳が立たない。

 もう一度謝ろう―――そう思って口を開きかけた時だった。

 

 

「……でも、私がこうなったのは、私が貴女に意地悪したせいだから、貴女が謝る必要は無いわ」

「……っ。オフェリアちゃん……」

「まぁ、自業自得ね。でも、気持ちよかったわ。ありがとう、ルーツ」

「……こっちこそ、ありがとうね。オフェリアちゃん」

 

 

 そのおしとやかな笑みに中(あ)てられてしまっては、謝罪の言葉はもう出せなくなってしまった。言おうとした言葉が言えなくなってしまったので、代わりに、こちらも小さく笑ってそう返す事にした。

 

 

「……質問なのだけれど、いいかしら」

「なに?」

「その、私とシてる時の貴女、何度も『好き』って言っていたわよね。えっと、それって、どういう『好き』?」

「あっ、えっと、そのぉ……」

 

 

 その時の事を思い出して、顔が赤らんでしまう。

 オフェリアちゃんがしてきた質問。その答えは、もちろん私の中にある。けれど、それを口に出して言えるかと問われれば、首を横に振るしかない。

 

 

「……し、親友としてだよ。親友として、とても大切な人だから、好きって言ったの」

「……そう」

(あれ……? なんか……)

 

 

 私からの返答に、オフェリアちゃんが一瞬表情を曇らせた。

 しかし、それも一瞬の間の出来事で、オフェリアちゃんはすぐにその表情を消してしまった。

 

 

「……私も好きよ、ルーツ。もちろん、親友としてね」

「……うん」

 

 

 笑みと共に告げられたその言葉。日常の中で言われたなら、つい嬉しくて抱き着いてしまっていただろう。しかし今の私は、先程の彼女の表情を思い出して上手く返事を返す事が出来なかった。

 

 その時、私の脳裏にとある考えが浮かんできた。

 

 

(んんっ? もしかして、オフェリアちゃん……私が『親友として好き』って言ったから、落ち込んでたんじゃ……?)

 

 

 という事は、あの時私が『女性として好き』と答えていたら、いったいどんな反応をしていたのか。

 それはぶっちゃけ、とても気になる。

 

 気にはなるが―――

 

 

(……いや、駄目、だよね)

 

 

 それはきっと、口にしてはいけないものだ。

 私は龍で、彼女は人間。同じ女性(メス)としてこの世に生まれたが、その種族の違いは大きい。

 

 特に違うのは、寿命。

 

 私はこの地球(ほし)に創られたアルテミット・ワンであり、その寿命は永遠と言っても過言ではない程に長い。しかし人間である彼女は、精一杯生きても百年でその命を終えてしまうだろう。

 

 愛する人との離別。永遠の別れ。―――私が、二度と体験したくないもの。

 

 自分本位な考えだというのはわかっている。大切な人と死別するのが嫌だからと、彼女と結ばれる事を拒むなんて、大馬鹿者にも程がある。

 

 だが―――

 

 

(でも、もし、そんな私を受け入れてくれるのなら……)

 

 

 こんな大馬鹿者を、許してくれるなら。

 彼(キリシュタリア)への恋心を、無くしてしまえるのなら。

 

 

「……ねぇ、オフェリアちゃん」

「なに?」

「その、オフェリアちゃんが良かったら、えっと……」

 

 

 やめて。それ以上は言っては駄目。

 それは、禁断の言葉だから。

 それは、彼女から人間の女性としての幸せを奪ってしまうものだから。

 

 そう叫ぶ私が、心の中でいる。

 けれど、それと対立するように、彼女にその言葉(・ ・ ・ ・)を告げろと急かす私もいる。

 

 彼女が受け入れてくれるなら、それでいいんじゃないのか。

 彼女が愛してくれるなら、種族の違いなど些細なものだから。

 愛というものに、種族の壁などないのだから。

 

 相反する気持ちの中、私は言葉を紡いでいく。

 

 

「わ、私のつ、つが……」

 

 

 オフェリアちゃんは、私の言葉を待ってくれている。

 

 そうだ。伝えるのだ。彼女に、この愛を。

 この、胸を焦がす想いの言葉を。

 

 そうして私は、ついに―――

 

 

「……やっぱり、いいや」

 

 

 ヘタレた。

 

 

「え、ちょっと? ルーツ?」

 

 

 ごめんね……ごめんね、オフェリアちゃん。

 私からの言葉を待っててくれたんだよね。でも、ごめんなさい。

 私、恋愛クソザコヘタレドラゴンだったみたい。

 

 

「……なんでもないよ」

「そんなわけないじゃない。教えなさい、ルーツ」

「お休みッ!」

「あっ、……もう」

 

 

 もう色々と恥ずかしくて情けなくて、親友に顔を見られたくなくて背を向ける。

 そうすると彼女も無理に聞き出そうとせず、「……お休み」と呟いて寝息を立て始めた。

 余程疲れていたのだろう。あっという間に眠ってしまった彼女を起こさないように、体の向きを変える。

 

 目の前には、すぅ、すぅと寝息を立てて眠っている親友の顔。

 その寝顔が愛おしくて、けれど、愛おしいからこそ、私のものにするにはどうしても気が引けてしまって。

 

 

(高望みはしちゃいけないよね。きっとその方が、この娘にとっての幸せ)

 

 

 オフェリアちゃんは、人としての幸せを、女性としての幸せを手に入れるべきだ。

 龍(わたし)ではない誰かと結ばれて、子を持って、老いて死んでいく―――それこそが、基本的な人間の女としての生涯だ。

 

 確かに彼女は大切な人で、私のものにしたい人。でも―――

 

 

 ―――私なんかには、あまりにももったいない。

 

 

「折角手に入れた恋だもの。手放さないでね、オフェリアちゃん」

 

 

 私は君と結ばれないけれど、君はまだ誰かと結ばれる可能性が残っている。その可能性を少しでも上げられるように、虚空の神を討ち滅ぼそう。

 そうすればきっと、彼女は人並みの幸せを手に入れられるから。

 

 

(……でも、それでも)

 

 

 けれど、夢想してしまう。

 

 他ならぬ私自身が壊してしまった未来。

 もしも彼女が彼に恋をせず、未だ恋を知らなかった―――その未来を。

 

 

「ねぇ、オフェリアちゃん。私は、君が好きなの。一人の女として、愛しているの」

 

 

 その未来だったら、私はあらゆる手を尽くしても君を手に入れていただろう。

 

 

「だから、ね……」

 

 

 私が恋を教えて、私をその身に刻み付けて、一生私を忘れられないようにして。

 

 

「今だけなら、一言だけなら、いいよね」

 

 

 そうして、私から離れられなくなったその時に―――

 

 

「ねぇ、オフェリアちゃん。私の―――」

 

 

 彼女にこう告げるのだ。

 

 

「―――私の、番(つがい)になって」

 

 

 それは届かない想いの発露。

 届かせない、届かせたくない、私の愛の言葉。

 

 私だけが聞いているこの言葉は、届かせたい相手に届く事なく、霧散して消えていく。

 

 

「……っ」

 

 

 胸が苦しい。痛くて、辛くて、耐えられない。

 

 ズキズキとした痛みに、私は胸を押さえる。

 それから早く解放されたくて、私は無理矢理意識を沈めていく。

 

 私は眠る。

 この想いと共に、眠る。

 

 熱くなっている目元から、頬に流れる雫から、意識を背けるように―――。

 




 
 ちなみにアンナが男だった場合ですが、この夜で絶対にオフェリアを孕ませる気で何度も中出しします。さらにあらゆる手を使ってオフェリアを快楽漬けにした後、徹底的に自分に依存させるように仕向けますので、ある意味女性版よりも質が悪いです。

 やはり百合はいいネ。書いててとても楽しいですッ!

 今回の一件はしっかり『緋雷ノ玉座』で活かしていきますので、乞うご期待デスッ!

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