キカイイッカクの側面、ルシア達が入っていたユニットに到着した。
いつの間にか透明な膜は消え去っており、守林人達が協力してルシア達をユニットの外へ連れ出していた。
天候はいつの間にか吹雪に変わっており、3人の様子を見渡すことはできない。
ユニットの外に出た彼女たちであったが、ルシア以外のリンクはまだつなぐことができなかったため、ひとまず全員に十分と思われる量のエネルギー剤を投与してからそれぞれの対応に当たることにした。
まず、リンクがつながったルシアの方に向かった。
本来ならばリーフ達の処置を優先すべきであるが、彼女たちの状況を一番知っているのはルシアだからだ。
ルシアは守林人によってエネルギー剤を投与されている最中だった。
その顔には色濃く消耗しきっている様子が浮かんでいたが、私に気づくと安心しきった表情を浮かべた。
「指揮官・・・。」
「まだあまり動かないで。機体の消耗がだいぶひどいから。」
こちらに身体を向けようとしたルシアを止める。
「よく耐えてくれたね。」
ルシアの頭に手を伸ばす。
「汚いですから、今は触らないほうが・・・。」
ルシアはそれを拒もうとしたが、私は構わず頭に手をおいて撫でてやった。
長い黒髪は肉壁の粘液とルシア自身の精液でひどくヌメヌメとしていたが、それはルシアの死闘の証だろう。
「・・・ありがとうございます。」
ルシアは顔を赤くしながら、ポツリと呟いた。
それからしばらくルシアは横になっていたが、順調に回復していったようで数分後には立ち上がることができるようになった。
顔つきも、段々といつものルシアに戻っていく。
立ち上がった際に機体を確認したが、目立った損傷はないためとりあえずそのままにしておくことにした。
ただ、勃起は収まっているとは言えルシアのペニスはまだ皮が剥けたままになっており、流石に辛いだろうとそこだけ直しておくことにした。
「ルシア、ちょっとそのままで。」
ルシアのペニスに手を伸ばし、カリ首のあたりをそっと握った。
「指揮官、今はだめです!!!」
ルシアの声が聞こえる前に、私は亀頭に皮を被せた。
その瞬間、私の手に生暖かいものが触れたのがわかった。
驚いて、ペニスから手を離す。
その手についていたのは、白くて粘性のある液体・・・ルシアの精液だった。
何が起きているのかわからなかったため、ルシアの方を見た。
彼女の身体に変わりはなかったが、ペニスからはまるで排泄をしているかのように精液が出続けている。
よくよく見ると、ルシアは歯を食いしばってなにかに耐えているようだった。
「これは一体・・・?」
恐る恐るルシアに問いかけた。
ルシアはゆっくりと顔を上げる。
まるでおもらしをしてしまった子供のように、薄っすらとその目には涙が滲んでいた。
「だめって、言ったのに・・・。」
そんなことを言われては、とにかくルシアに謝罪するほかない。
「・・・感度を、いじられていたんです・・・。」
ルシアがポツポツとつぶやき始めた。
「キカイイッカクが私のおちんぽの制御権限を奪い、感度を上げてしまったんです。一度おちんぽをいじられただけなのに、もう何百回としごかれたあとのような強い快感が襲ってきて・・・。今ではもう、そうやって触れられるだけで、勃起していないのにザーメンがでてしまうまでになってしまって・・・。」
外からでは分からなかったが、ルシア自身もキカイイッカクにかなり侵食されていたらしい。
私はそばにいた守林人に声をかけ、ルシア達のもともとの機体を持ってくるように頼んだ。
「・・・ルシア、教えてくれ。」
ある程度回復したのを確認し、私はリーフ達の状況の手がかりを得るためにルシアに尋ねた。
私の声色が戦闘時のそれに近かったのか、ルシアも真剣な顔つきになる。
「了解しました。指揮官。」
いつもの冷静かつ気迫を感じる声で、ルシアが答えた。
「リーフの信号が無くなったのは、大体今から1時間程度前のことです。その前からリーフとのリンクはかなり途切れ途切れになっていましたが、キカイッカクに私のペニスの感度をいじられたあたりでほとんど通じなくなってきました。もちろん私自身が不安定になったのもあると思いますが、キカイイッカクは私やリーフ、そしてアイラそれぞれに適した方法を自律的に選択して意識海の改造権限を得ようとしていたと考えられるため、おそらくリーフにも何かが起きていたと考えるのが妥当でしょう。」
「リーフがリンクで何を言っていたかはわかる?」
「いえ・・・。」
ルシアが首を横に振る。
「ひとまず、アイラの方に話題を変えましょう・・・」
それから暫くの間、ルシアと情報交換をした。
「・・・状況はだいたいわかった。それじゃあ、最後に一つ聞きたい。」
「なんでしょう、指揮官?」
「リーフとアイラ、先にどっちから救った方がいい?」
ルシアの顔が青ざめた。
「・・・どういうことでしょうか。」
「アイラとリーフ、二人の信号がなくなってからもう30分以上は経っている。単にキカイイッカクに通信モジュールを破壊されていただけかもしれないが、もし意識海にキカイイッカクが侵入されていたらどうする?」
「・・・意識海に入って、リーフ達を見つけ出さないといけません・・・。」
「そう。それにはどれだけ短く見積もっても20分はかかる。」
「更に、短時間で何回も意識海に入ってしまうと体への負担が大きい・・・。指揮官、私が行ってはだめでしょうか?」
「・・・無理。武器はあるけどその格好と消耗の程度ではリスクが大きすぎる。」
「今までのリーフ達の状況を一番わかっているのは私ではなくルシアだ。どちらから取り掛かるべきか、その最適解はルシアが持っているはずだ。」
ルシアはうつむいて考え込んだ。
場合によっては、これがリーフとアイラにとって命の選別となりうる。
真剣に考えた末、ルシアは顔を上げた。
「アイラから行きましょう。」
その目には、迷いはなかった。
「本当にいいんだね?」
「・・・ええ。救える可能性が高いのは、アイラですから。」
「分かった。」
「でも、指揮官。一つだけ約束してください。」
動き出そうとした私の腕を、ルシアがつかんだ。
「・・・リーフのこと、絶対に忘れないであげてください。」
ルシアの手が震えていた。
「・・・全力を尽くすよ。」
私はその手をそっと握り返した。
近くにいた守林人に声をかけ、アイラの場所まで連れて行ってもらうことにした。
ルシアも機体をもとに戻してから合流するとのことだった。
「・・・それでは指揮官、後ほど合流しましょう。」
守林人がアイラの方へ走り出した。
ルシアのシルエットはどんどん消えていき、ついには見えなくなった。
「・・・あの言葉、聞こえていましたよ。」
指揮官が見えなくなってから、リンクに乗らないようにルシアがつぶやいた。
それからまもなく機体が運ばれ、ルシアは自分の身体としばしの別れを告げた。
遠くの方に人影が見えてきた。
数人の守林人がアイラを囲んでいるようだった。
近づくにつれ、状況は更に明確になっていった。
アイラの鮮やかなピンク色の髪は・・・守林人の顔と同じくらいの高さに見えている。
「あ、指揮官~~~!」
私達が近づいているのがわかったようで、アイラはこちらに向かってブンブンと手を振って飛び跳ねている。
先程まで生死をさまようほどに消耗していたはずなのに、ここまで回復力があるとは・・・、いや、装甲型特有の耐久性なのかもしれない。
「アイラ、無事か?」
守林人の背中から飛び降り、アイラに声をかけた。
アイラはこちらに向かって突進し、私に飛びついた。
「全身もみくちゃにされるわ、おちんぽからミルクを搾り取られるわ、挙句の果てには意識海まで乗っ取られそうになるわで大変だったのよ!あと少し指揮官が起きるのが遅かったら今頃海の底でキカイイッカクの性奴隷になるところだったわ!」
アイラがすっかり垂れ下がった乳房を押し当てながら言った。
母乳が溢れて止まらないようで、私の軍服はたちまちアイラの母乳臭くなってしまった。
「指揮官、どうして私の声に答えてくれなかったのよ?こっちはなんとか指揮官に気づいてもらおうと色々やったのに・・・。」
不満そうな顔でこちらを見る。
「それなんだけど・・・。」
アイラは自身の通信モジュールが壊れていたことに気づかなかったようだ。
「意識海のリンクができてなかったの!?じゃあ、私の声はほとんど指揮官に届いていなかったのね・・・。」
事実を知ったアイラが肩を落とす。
「アイラの声も届かなかったし、こっちからアイラの状況もわからなくて心配したんだ。ルシアもアイラのことを心配してた。」
「そうなのね・・・。心配かけて申し訳なかったわ・・・。」
どうやら相当へこんでいるようだ。
「まあでも、無事でよかったじゃないの。指揮官もアイラも。」
マリネがアイラに近づいて言った。
「指揮官。アイラがユニットか出てきたときの事は聞いた?」
マリネがこちらに問いかけた。
「ちょ、マリネ!それは言わないでよ・・・。」
アイラがマリネの口を塞ごうとする。
しかし、消耗したアイラの機体と守林人の機動力は比べ物にならず、マリネはアイラの手をかいくぐりながら話し始めた。
「アイラ、キカイイッカクの中でホースに繋がれていたときからずーっと指揮官のことを心配してたの。『指揮官の声が聞こえない』、『指揮官の顔が見えない』とかね。ホースをぶった切って外に引きずり出してあげたら、今度は『こんなに汚されちゃって、指揮官に見られるのが嫌』とか言い出すし・・・。それで、自分の状態もかなり悪いのに、どうしてそこまで指揮官のことを気にしていられるのか聞いてみたの。そしたらね・・・」
「マリネ!お願い!!それだけは言わないで!!!」
アイラが決死の覚悟でマリネに飛びかかった。
「じゃあ、自分の口から言っちゃいなさい!」
マリネはアイラをキャッチし、こちらを向いて立たせた。
いつの間にか、アイラの顔は真っ赤になっていた。
アイラは珍しく口をもごもごさせていたが、しばらくして覚悟を決めたようだ。
「・・・約束。」
「意識海がキカイイッカクの中に取り込まれちゃいそうになった時、思い出したの。ここから出たら、指揮官をいっぱい癒やしてあげなきゃって。
でも、もしここで私の意識海がキカイイッカクに取り込まれちゃったら、私とこの機体はキカイイッカクのものにされちゃう。もしかしたら伝送した意識海で指揮官にとっては“アイラ”が復活するかもしれないけど、それはあなたと約束したときの“アイラ”じゃない。
絶対にここから出て、指揮官をもう一回この手で抱きしめてあげたい、指揮官が嫌というほど癒やしてあげたいという気持ちがあったから、私はじっと耐えることができたの。」
「・・・指揮官とここに来れて、本当に良かったわ。私を救ってくれて、ありがとうね。」
アイラはそこまで言うと、私の背中を両腕で拘束して引き寄せ、唇を重ねてきた。
私は抵抗することなく、アイラがやりたいように私の身体を貸してやった。
さて、残るはリーフだ。
通信モジュールが壊れていてはどうしようもないので、アイラにももとの機体に戻ってもらうことにした。
ひとまずルシアに連絡する。
「ルシア、聞こえる?アイラは無事。通信モジュールが壊れていただけみたい。」
ルシアはすぐに応答した。
「了解しました、指揮官。こちらはもとの機体への換装が終了しています。センサーで確認できる限りすべての機能が正常に戻りました。」
「それは良かった。アイラにももとの機体へ戻ってもらってるから、起動次第ルシアに通信をつなぐように伝えておく。」
「ありがとうございます。アイラがキカイイッカクに何をされていたのか、個人的に興味があるので・・・。」
「ゆっくり聞くといいよ。それで、これからリーフのところへ向かおうと思うんだけど、ルシアは今どこにいる?」
「私は今・・・。」
ルシアの声が震えているのに気がついた。
「ルシア、どうした?声が震えている。」
「・・・指揮官、どうか気をしっかりして聞いてください。」
ルシアの言葉に悪寒が走る。
「・・・わかった。」
「・・・私は今、リーフの機体の前にいます。」
「・・・その言い方をするってことは・・・。」
「・・・ええ。そういうことです。」
「・・・指揮官、今すぐこちらに来てください。ディアンヌが閃光弾を今から撃つので、守林人の皆さんにはそこを目印に走ってきてもらえば間違いないです。」